JPH09260144A - コイル部品およびその製造方法 - Google Patents

コイル部品およびその製造方法

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JPH09260144A
JPH09260144A JP8065953A JP6595396A JPH09260144A JP H09260144 A JPH09260144 A JP H09260144A JP 8065953 A JP8065953 A JP 8065953A JP 6595396 A JP6595396 A JP 6595396A JP H09260144 A JPH09260144 A JP H09260144A
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JP
Japan
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conductor
insulator
coil component
turn portion
sheet
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JP8065953A
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English (en)
Inventor
Akihiko Ibata
昭彦 井端
Shinji Harada
真二 原田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH09260144A publication Critical patent/JPH09260144A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はコイル部品およびその製造方法に関
し、特に特性の優れたコイル部品を提供することを目的
とする。 【解決手段】 導体パターンを形成した絶縁体シートを
積層してなるコイル部品において、積層体内の導体2は
複数ターンからなり、各ターン部の径が一端から他端に
かけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異
なる平面内に位置した構成である。この構成により、導
体間の浮遊容量が小さく、導体の直流抵抗も小さくする
ことが可能な優れた電気特性を有するものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器、通信
機器などに利用されるコイル部品およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】コイル部品は各種電子機器、通信機器な
どに多用されており、近年は小型あるいは薄型のコイル
部品がますます要求されており、しかも、回路の高周波
化やディジタル化に伴ってノイズ対策部品としてのコイ
ル部品もますます重要になってきている。
【0003】従来のこれらの要望を満たすコイル部品と
して、特にノイズ対策部品としては構成が単純でしかも
構造的にはコイル部品と同様であるが、高周波成分に対
して抵抗として働くものがある。これはフェライト磁性
層とコイル用導体層を交互に積層して得られる積層型コ
イル部品(例えば特公昭57−39521号公報)があ
る。
【0004】この積層型コイル部品は図10、図11に
示すようにフェライトのグリーンシート20上の半分に
印刷によるフェライト層21を形成し、このフェライト
層21のない部分とフェライト層21の一部に印刷によ
りL字状の導体パターン22を形成し、この導体パター
ン22上にグリーンシート20の約半分のフェライト層
23を印刷し、上記導体パターン22と連続するように
フェライト層21上とフェライト層23の一部にU字状
の導体パターン24を印刷し、この工程を数回繰返して
最上層にフェライトのグリーンシート20を積層したも
のを一括焼成し、この積層体の両端に端面電極25を形
成して構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によるもので
は、大きなインピーダンスを得るためには導体パターン
の巻数を多くすることが必要となり、きわめて多くのフ
ェライト層21,23、導体パターン22,24を積層
印刷する必要がある。しかも、導体パターン24はフェ
ライト層23を介して相対向するように形成されるた
め、導体パターン間の浮遊容量が大きくなり、ノイズ対
策部品としては自己共振周波数が小さくなったり、耐圧
が小さいといった問題があった。
【0006】さらに、この積層型コイル部品では、フェ
ライト層の一部に導体パターンが形成されるため、コイ
ル導体抵抗を低減するために導体パターンの厚さを厚く
すると、全体の厚みが導体パターン22,24のある部
分とない部分では大きく異なり、焼成してもクラックが
発生したりして安定した品質のノイズ対策部品を得るこ
とができないものであった。
【0007】本発明は以上のような従来の欠点を除去
し、積層数を多くしても積層体の表面の平坦性を維持
し、積層数に依存しない優れた積層性を確保し、しかも
優れた電気特性を発揮するコイル部品およびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコイル部品は、導体パターンを形成した絶縁
体シートを積層してなるコイル部品において、導体パタ
ーンを有する曲面状に成形した絶縁体シートを積み重ね
た構造であり、しかも積層体内の導体は複数ターンから
なり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
した構成である。
【0009】この本発明によれば、導体間の浮遊容量を
低減できるため自己共振周波数が大きくなり優れた電気
特性を示すコイル部品となる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、導体パターンを形成した絶縁体シートを積層してな
るコイル部品において、導体パターンを有する曲面状に
成形した絶縁体シートを積み重ねた構造であり、しかも
積層体内の導体は複数ターンからなり各ターン部の径が
一端から他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも
各ターン部が異なる平面内に位置した構成であり、導体
間の浮遊容量を小さくできるため自己共振周波数が高く
なり、使用できる周波数帯域が向上する。また、ノイズ
吸収特性も広い帯域で大きくなるため優れた減衰特性が
得られる。
【0011】請求項2に記載の発明は、絶縁体シートを
形成する工程と、絶縁体シートに導体を形成する工程
と、絶縁体シートを成形する工程と、絶縁体シートを積
層する工程とを有し、絶縁体内の導体が複数ターンから
なり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
するようにするコイル部品の製造方法であり、積層数を
多くしても積層体の表面の平坦性を維持し、積層数に依
存しない優れた積層性を確保できるため歩留りの優れた
方法となる。
【0012】請求項3に記載の発明は、絶縁体シートを
形成する工程と、絶縁体シートに導体を形成する工程
と、絶縁体シートを積層する工程と、絶縁体シートを積
層して得られた積層体を成形する工程とを有し、絶縁体
内の導体が複数ターンからなり各ターン部の径が一端か
ら他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ター
ン部が異なる平面内に位置するようにするコイル部品の
製造方法であり、積層数を多くしても積層体の表面の平
坦性を維持し、積層数に依存しない優れた積層性を確保
できるため歩留りの優れた方法となる。また、積層体を
一括で成形するため歩留りのより優れた方法となる。
【0013】本発明のコイル部品は、導体パターンを形
成した絶縁体シートを積層してなる積層型のコイル部品
において、導体パターンを有する曲面状に成形した絶縁
体シートを積み重ねた構造であり、しかも積層体内の導
体は複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他端
にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が
異なる平面内に位置した構成である。そのため、従来の
積層型のように導体を真上に重畳していないため導体間
の浮遊容量を低減できる。そのため自己共振周波数が大
きくなる。さらに、ノイズ対策部品としても高周波域で
の減衰特性が優れたコイル部品となる。
【0014】一方、製造方法上は積層数を多くしても積
層体の表面の平坦性が維持でき、積層数に依存しない優
れた積層性を確保できる。そのため歩留りの優れた積層
型コイル部品を得る方法となる。また、導体近傍の絶縁
体の磁気的性質を変えることも可能であるため、種々の
電気特性あるいは特性コントロールなどが可能となる。
【0015】本発明のコイル部品の導体は、各ターン部
の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに少な
くとも各ターン部が異なる平面内に位置したものであ
る。導体形状の一例としては、絶縁体内に複数ターンか
らなる導体を有し、この導体は一端から他端にかけて各
ターン部の径が徐々に大きくなる円で形成され、しかも
各ターン部の位置がそれぞれ異なる平面内に位置する。
つまり、導体の一端は小径の円で形成され、他端側にな
るにつれて徐々に径が大きくなる円で形成され、その各
ターン部は終端あるいは始端で立上がってまたは立下が
って隣りのターン部と接続されている。したがって、各
ターン部は同一平面内に位置し、隣接するターン部は立
上がりや立下がり部によって異なった平面部に位置し、
かつ、その径が異なるように設定されている。この場合
の各ターン部とは同一平面内に存在する導体を意味す
る。
【0016】以下、本発明の実施の形態についてさらに
図面を用いて説明する。図1は本発明のコイル部品の断
面図を示したものである。導体2は絶縁体1上に位置
し、しかも複数の導体2を形成した絶縁体1を積層して
なる構造である。図1に示すように、積層体全体では導
体2は複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他
端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部
が異なる平面内に位置した構成となる。また、導体2を
有する絶縁体1はそれぞれ断面はコの字状であり、これ
はフラットなシート状の絶縁体1を成形して得ることが
できる。導体2の2つの端部は引出電極3,4にそれぞ
れ接続しており、さらに引出電極3,4は端面に位置す
る端面電極5,6と接続している。絶縁体1は一種類の
材料で構成され、この絶縁体1は非磁性体であっても磁
性体であってもよい。
【0017】絶縁体1を構成する非磁性体としては、ガ
ラスエポキシ、ポリイミドなどの有機系の絶縁材料、ガ
ラス、ガラスセラミックスあるいはセラミックスなどの
無機系の絶縁材料などの電気的に絶縁性があればどのよ
うなものであってもよい。
【0018】一方、磁性体としては、NiZn系やNi
ZnCu系などの一般に知られる透磁率が大きいフェラ
イト材料であればよい。
【0019】絶縁体1を磁性体とした場合はインピーダ
ンスあるいはインダクタンス値を大きくすることがで
き、非磁性体とした場合は大きなインピーダンスあるい
はインダクタンス値を得ることはできないが、自己共振
周波数が高くなり使用できる周波数帯域は広くなる。
【0020】また、導体2あるいは引出電極3,4の材
料としては電気的に良導体であれば何でもよいが、抵抗
率が重要で低抵抗なものがコイル部品には要求されるた
め銅、銀とパラジウム合金あるいは銀などの導体材料が
有効である。
【0021】本発明のコイル部品の端面電極は、一般に
知られた表面実装部品と同様の端面電極と同じ構成にし
てもよい。この場合は、一般的には単一層でなく複数層
から構成されることが望ましく表面実装用とした場合に
はプリント配線板への実装時の実装強度あるいは実装時
の半田の濡れ性、半田くわれなどを配慮する必要があ
り、具体的には最下層は引出電極3,4と同じ導体材料
を用い、中間層には半田に対して耐性を有するニッケル
を用い、最外層には半田に対して濡れ性の良い半田ある
いは錫を用いるのが一般的である。
【0022】しかしながら、これは一例であり、必ずこ
の構成を採用する必要はなく、金属等の導電性に優れた
材料以外に導電性樹脂材料を含んでもよい。
【0023】また、アルミナやフェライトなどのセラミ
ック基板に所定の配線パターンを形成し、セラミック基
板に窓を設けてコイル部品を挿入し、配線パターンとコ
イル部品の端面電極を接触させ厚膜形成プロセスを用い
て焼成して電気的に接続するため耐熱性を高め、この厚
膜形成プロセスに対応する構成とすることも考えられ
る。
【0024】本発明のコイル部品は、導体2を形成した
シート状の絶縁体1を積層してなるコイル部品におい
て、導体2を有するシート状の絶縁体1が曲面状であ
り、しかも絶縁体1内に複数ターンからなる導体2を備
え、各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに、少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
置した導体2を有するコイル部品である。
【0025】次に、図2に示す本発明のコイル部品につ
いて説明する。図2に示すものは、絶縁体1の上下端面
に端面層7,8を有する構成である。他の構成は図1と
同じである。端面層7,8は前記の絶縁体1と同じ材料
で構成してもよいが異なる材料で構成してもよい。端面
層7,8の有無はコイル部品の機械的性質および電気的
特性に影響する。例えば、端面層7,8を非磁性体で構
成すれば機械的性質を向上させることができ、磁性体と
すれば機械的性質以外にコイル部品の電気特性を改善す
ることができる。また、端面層7,8は図2に示すよう
に必ずしも上面および下面の両面に存在する必要はなく
片方でもよい。
【0026】次に、図3に示す本発明のコイル部品につ
いて説明する。図3に示すものは、絶縁体1の一部を磁
気的性質の異なる材料で置換した一例である。つまり、
図3において内側絶縁体9の部分が置換した部分であ
る。例えば、絶縁体1を磁性体で構成し、内側絶縁体9
を非磁性体で構成するとコイル部品としては、絶縁体1
と内側絶縁体9を共に磁性体で構成した場合、つまり絶
縁体1を磁性体として置換しない場合に比べてインピー
ダンス値が小さくなるが、直流重畳特性を大幅に改善す
ることができる。つまり、電流値を変化させてもインピ
ーダンス値の変化を小さくでき許容電流値を大きくする
ことができる。
【0027】また、絶縁体1と内側絶縁体9が共に磁性
体であり、しかも磁気的に磁束密度の異なる特性のもの
にすることによって、直流重畳特性の改善が可能とな
る。
【0028】さらに、絶縁体1と内側絶縁体9が共に磁
性体であり、しかも磁気的に透磁率の異なる特性のもの
にすることによって、同一導体構造でインピーダンス値
の異なるコイル部品を得ることができる。この場合、絶
縁体1と内側絶縁体9との透磁率の大小関係には特に限
定はない。
【0029】以上のように絶縁体1あるいはさらに内側
絶縁体9の磁気的性質を適当に選ぶことにより、コイル
部品としてのインピーダンス値を任意に選ぶことができ
るとともに、漏洩磁束あるいは直流重畳特性のコントロ
ールも自由に行えることになる。
【0030】また、同様に端面層7,8を構成する材料
を例えば磁気的性質の異なるものを種々選択すること
で、コイル部品としてのインピーダンス値を任意に選ぶ
ことができるとともに、漏洩磁束あるいは直流重畳特性
のコントロールも自由に行えることはいうまでもない。
【0031】導体2の全体的な形状としては円形状以外
に角形状などでもよい。つまり、本来、面実装型のコイ
ル部品としては角柱状が好まれており、角柱状のコイル
部品においては角形状のターン部で構成しコイル部品の
外形いっぱいの角形状のターン部を形成することが可能
になる。このような導体2を得るには、例えば、シート
状の絶縁体1に角形状の導体2のパターンを形成し、し
かも積層体として角形状に成形すればよい。
【0032】以上数多くの例で説明した通り、絶縁体1
内に各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
した導体2が形成されるため、近隣のターン部が絶縁体
1を介して面対向しないため浮遊容量の発生も最小限に
抑えられる。そのため、自己共振周波数が小さくなって
フィルタなどとして用いた場合、広帯域で高い減衰量が
得られないといったことが阻止でき、品質面、性能面で
著しく優れたコイル部品となる。また、従来の積層方法
とは異なり、積層体の平坦性を高積層時でも維持できる
ため歩留りの向上を図ることができる。
【0033】なお、上記実施の形態においては、面実装
タイプとして両端に端面電極5,6を設けたものについ
てのみ説明してきたが、端面層7,8などにピン端子を
植設したものや、端面電極5,6の代りに端子を有する
キャップ状電極を端面層7,8などの両端に嵌合結合し
たリードタイプのコイル部品とすることもできる。
【0034】次に、本発明のコイル部品の製造方法につ
いて説明する。本発明のコイル部品の製造方法は、絶縁
体1シートを形成する工程と、絶縁体1シートに導体2
を形成する工程と、絶縁体1シートを成形する工程と、
絶縁体1シートを積層する工程とを有し、絶縁体1内の
導体2が複数ターンからなり各ターン部の径が一端から
他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン
部が異なる平面内に位置するようにするコイル部品を製
造する方法である。さらには、積層体を形成し積層体を
一括成形することによって、前記と同様の導体を絶縁体
内に内蔵したコイル部品を得る方法である。
【0035】絶縁体1はシートを積層ないしは導体2を
形成し、しかも成形することによって絶縁体1内に各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置した導体
2を形成するものである。つまり、絶縁体1の階段状面
に導体2を形成するため、導体2の真上に導体2を重畳
させないので優れた歩留りでコイル部品を得ることがで
きる。
【0036】次に、さらに詳細な本発明のコイル部品の
製造方法について、図を参照しながら説明する。
【0037】図4から図9は本発明のコイル部品の製造
方法を工程順に示した断面図である。まず、図4に示す
ようにシート状の絶縁体1に導体2を形成する。なお、
シート状の絶縁体1は一部穴あけをしており、表面に導
体2を形成すると同時に穴にも導体2を充填する。な
お、シート状の絶縁体1の穴に充填した導体2は引出電
極3となる。次に、図5に示すように、シート状の絶縁
体1を断面がコの字状に成形する。以上の図4および図
5に示したシート状の絶縁体1に穴あけ、導体2の形成
および成形さらに積層を繰り返すことによって、図6に
示した積層体を得ることができる。さらに、図7に示す
ように積層体の端面に引出電極4を形成する。
【0038】以上の工程で導体2は絶縁体1内で複数タ
ーンからなり、各ターン部の径が一端から他端にかけて
徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平
面内に位置したものとなる。次に、図8に示すように絶
縁体1、つまり積層体の上下端面にそれぞれ端面層7,
8を積層する。
【0039】最後に、図9に示すようにチップ状の部品
の端面に端面電極5および6を形成する。得られたこの
積層体を焼成することによってコイル部品を得ることが
できる。しかし、焼成は端面電極5および6を形成せず
に行ってもよい。つまり、端面電極5および6を形成し
ていないものを焼成し、焼成後に端面電極5および6を
形成する方法である。この場合の形成法の一例を説明す
ると、図9に示した端面電極と同様の形状に導体層を形
成し一度焼成する。その後この導体層を電極にして、ニ
ッケルめっきおよび半田あるいは錫めっきを施す。最終
的には、端面電極5および6は焼成によって形成した下
地の導体層と電気めっきによって形成したニッケルおよ
び半田ないしは錫の3層構造である。
【0040】図3に示した絶縁体1の一部を内側絶縁体
9で置換する一例を説明する。図4に示したシート状の
絶縁体1の導体2の形成部の中央を穴あけしたものを前
述した方法と同様に積層すればよい。図6ないしは図7
に示した積層体を形成した時点で穴の部分に絶縁体1と
異なる絶縁体材料を充填することによって内側絶縁体9
を形成することができる。
【0041】以上の絶縁体1あるいは端面層7,8は一
般に知られているグリーンシート成形法、印刷法、ディ
ッピング法、粉末成型法あるいはスピンコート法などで
形成することができる。導体2あるいは引出電極3,4
は印刷法が一般的であるが、レーザを用いたパターン形
成、金型等で所定形状に予め形成した導体を転写する方
法、滴下、ポッティングあるいは溶射法などの方法でも
よい。
【0042】本発明のコイル部品は耐熱性に優れたコイ
ル部品であるためモジュール化することが容易である。
例えば、アルミナ基板あるいはフェライト基板などのセ
ラミック基板に所定の配線層を形成し、基板の配線とコ
イル部品の端面電極との結線を同時に行って一体化ある
いは組立が可能である。この場合、基板の所定場所に窓
をあけてコイル部品の側面の端面電極とセラミック基板
上の配線に結線することが可能になるため、薄型のモジ
ュールが得られる。この場合は、一般に知られているセ
ラミック基板を用いた通常の厚膜形成プロセスが適用で
きる。コイル部品の端面電極は半田づけを前提としたも
のでなく、焼成して電気的に接続するものにすればよ
い。
【0043】以上のコイルを形成する導体2の2つの端
子は、チップ部品の端面に形成して端面電極と電気的に
接続された状態である。つまり、導体2の最上部および
最下部には端面電極と電気的に結線するための引出電極
3ないし4を有して、端面電極5ないし6につながって
いる。
【0044】前記の各層を形成するためのペーストは、
各粉末とブチルカルビトール、テルピネオール、アルコ
ールなどの溶剤、エチルセルロース、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、エチレン−酢酸ビニルなどの結合剤、さらに、各種
の酸化物あるいはガラス類などの焼結助剤を添加し、ブ
チルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、グリセ
リンなどの可塑剤あるいは分散剤等を添加してもよい。
これらを混合した混練物を用いて各層を形成する。これ
らを前述したような所定の構造に積層したものを焼成し
てコイル部品を得る。グリーンシートを作製する場合
は、前記の溶剤に替えて蒸発性の優れた各種の溶剤、例
えば酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、アル
コールなどが望ましい。
【0045】焼成温度範囲としては約800℃から13
00℃の範囲である。特に導体材料によって異なり、例
えば、導体材料として銀を用いれば900℃前後にする
必要があり、銀とパラジウムの合金では950℃で、さ
らに高温で焼成するには導体材料にニッケル、パラジウ
ムなどを用いる。
【0046】次に本発明の更に具体的な実施例について
説明する。 (実施例1)NiZnCu系フェライト粉末100gに
対してブチラール樹脂を8g、ブチルベンジルフタレー
トを4g、メチルエチルケトンを24gおよび酢酸ブチ
ルを24g混合し、ポットミルを用いて混練してフェラ
イトスラリーを作製した。このスラリーを使い、コータ
を用いて乾燥後厚み0.05mmのフェライトグリーン
シートを作製した。なおグリーンシートはPETフィル
ム上に形成した。
【0047】図4に示したようにフェライトグリーンシ
ートに穴あけをした。穴あけにはパンチャーを用い、穴
の径は0.15mmとした。さらに図4に示すように、
導体2を形成した。導体2の形成には市販の銀ペースト
と印刷機を用いた。
【0048】次に、金型とプレスを用いて図5に示すよ
うにフェライトグリーンシート、つまりシート状の絶縁
体1を成形した。
【0049】以上の操作を繰り返して、図6に示したよ
うな積層体を作製した。なお、フェライトグリーンシー
トの積層には熱プレスを用い、熱プレス時の金型温度は
100℃に設定し、圧力は500kg/cm2であっ
た。
【0050】次に、図7に示したように引出電極4を形
成した。引出電極4の形成は前記と同様に市販の銀ペー
ストと印刷機を用いた。
【0051】さらに、前記の厚み0.05mmのフェラ
イトグリーンシートを4枚重ねたものを端面層7,8と
して、図8に示すように端面層7,8を積層体に接合し
た。以上の積層条件も前記と同じとした。結果的に導体
2はフェライト内に複数ターンからなり各ターン部の径
が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに少なくと
も各ターン部が異なる平面内に位置するように形成する
ことができる。
【0052】次に、図9に示したように端面に市販の銀
ペーストを用いて端面電極5,6を形成し、900℃で
2時間保持する条件で焼成した。
【0053】以上の方法で得られた本発明のコイル部品
には剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
また、積層時点でも積層体の平坦性は維持され、絶縁体
シートを均一に積層あるいは成形することができた。イ
ンピーダンスアナライザなどを用いて各種の電気特性を
測定したところ、優れた特性を有するコイル部品であっ
た。
【0054】(実施例2)実施例1と同じフェライトグ
リーンシートを用い、さらに実施例1と同様にフェライ
トグリーンシートに穴あけ、導体2の形成および積層を
行った。この積層体を図6に示したように、成形して積
層体を作製した。つまり、実施例1では1枚のグリーン
シートを成形しては積層したが、ここでは成形せずに積
層して積層体を得、最後に一括して成形した。
【0055】以後は、実施例1と同様に引出電極4、端
面層7,8および端面電極5,6を形成し、900℃で
2時間保持する条件で焼成した。
【0056】以上の方法で得られた本発明のコイル部品
には剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
また、積層時点でも積層体の平坦性は維持され、絶縁体
シートを均一に積層することができた。インピーダンス
アナライザなどを用いて各種の電気特性を測定したとこ
ろ、優れた特性を有するコイル部品であった。
【0057】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
コイル部品は、シート状の絶縁体を積層してなる積層型
のコイル部品において、積層体を構成するシート状の絶
縁体は曲面状でありしかも積層体内における導体は複数
ターンからなり各ターン部の径が一端から他端にかけて
徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平
面内に位置した構成であるため、つまり絶縁体内の円錐
形状または角錐形状の階段状の面上に導体を位置させて
いるため、高さを低く抑えることができ、しかも導体の
ターン部間での浮遊容量も殆ど発生せず電気特性の優れ
たものとなる。製法的には、導体を真上に重畳しないた
め、積層時の積層体の平坦性が維持される。そのため容
易に形成することができ、優れた歩留りを確保でき、産
業的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコイル部品の一実施の形態を示す断面
【図2】他の実施の形態の断面図
【図3】さらに他の実施の形態の断面図
【図4】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図5】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図6】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図7】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図8】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図9】本発明のコイル部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図10】従来のコイル部品を示す概略斜視図
【図11】同分解斜視図
【符号の説明】
1 絶縁体 2 導体 3,4 引出電極 5,6 端面電極 7,8 端面層 9 内側絶縁体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体パターンを形成した絶縁体シートを
    積層してなるコイル部品において、導体パターンを有す
    る曲面状に成形した絶縁体シートを積み重ねた構造であ
    り、しかも積層体内の導体は複数ターンからなり各ター
    ン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに
    少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置した構成で
    あるコイル部品。
  2. 【請求項2】 絶縁体シートを形成する工程と、絶縁体
    シートに導体を形成する工程と、絶縁体シートを成形す
    る工程と、絶縁体シートを積層する工程とを有し、絶縁
    体内の導体が複数ターンからなり各ターン部の径が一端
    から他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各タ
    ーン部が異なる平面内に位置するようにするコイル部品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 絶縁体シートを形成する工程と、絶縁体
    シートに導体を形成する工程と、絶縁体シートを積層す
    る工程と、絶縁体シートを積層して得られた積層体を成
    形する工程とを有し、絶縁体内の導体が複数ターンから
    なり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
    るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
    するようにするコイル部品の製造方法。
JP8065953A 1996-03-22 1996-03-22 コイル部品およびその製造方法 Pending JPH09260144A (ja)

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