JPH09199331A - コイル部品およびその製造方法 - Google Patents

コイル部品およびその製造方法

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JPH09199331A
JPH09199331A JP634696A JP634696A JPH09199331A JP H09199331 A JPH09199331 A JP H09199331A JP 634696 A JP634696 A JP 634696A JP 634696 A JP634696 A JP 634696A JP H09199331 A JPH09199331 A JP H09199331A
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JP
Japan
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conductor
coil component
insulator
turn portion
insulating sheet
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JP634696A
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English (en)
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Akihiko Ibata
昭彦 井端
Shinji Harada
真二 原田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はコイル部品およびその製造方法に関
し、特に特性の優れたコイル部品を提供することを目的
とする。 【解決手段】 導体パターンを形成した絶縁体シートを
積層してなるコイル部品において、積層体内の導体2は
複数ターンからなり、各ターン部の径が一端から他端に
かけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異
なる平面内に位置した構成である。この構成により、導
体2間の浮遊容量が小さく、導体2の直流抵抗も小さく
することが可能な優れた電気特性を有し、しかも製造方
法上は積層時に積層体の平坦性を維持できるため、優れ
た歩留りでしかも容易にコイル部品を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器、通信
機器などに利用されるコイル部品およびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】コイル部品は各種電子機器、通信機器な
どに多用されており、近年は小型あるいは薄型のコイル
部品がますます要求されており、しかも、回路の高周波
化やディジタル化に伴ってノイズ対策部品としてのコイ
ル部品もますます重要になってきている。
【0003】従来のこれらの要望を満たすコイル部品と
して、特にノイズ対策部品としては構成が単純でしかも
構造的にはコイル部品と同様であるが、高周波成分に対
して抵抗として働くものがある。これはフェライト磁性
層とコイル用導体層を交互に積層して得られる積層型コ
イル部品(例えば特公昭57−39521号公報)があ
る。
【0004】この積層型コイル部品は図13、図14に
示すようにフェライトのグリーンシート16上の半分に
印刷によるフェライト層12を形成し、このフェライト
層12のない部分とフェライト層12の一部に印刷によ
りL字状の導体パターン13を形成し、この導体パター
ン13上にグリーンシート16の約半分のフェライト層
14を印刷し、上記導体パターン13と連続するように
フェライト層12上とフェライト層14の一部にU字状
の導体パターン15を印刷し、この工程を数回繰返して
最上層にフェライトのグリーンシート16を積層したも
のを一括焼成し、この積層体の両端に端面電極17を形
成して構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によるもので
は、大きなインピーダンスを得るためには導体パターン
の巻数を多くすることが必要となり、きわめて多くのフ
ェライト層12,14、導体パターン13,15を積層
印刷する必要がある。しかも、導体パターン15はフェ
ライト層12,14を介して相対向するように形成され
るため、導体パターン間の浮遊容量が大きくなり、ノイ
ズ対策部品としては自己共振周波数が小さくなったり、
耐圧が小さいといった問題があった。
【0006】さらに、この積層型コイル部品では、フェ
ライト層の一部に導体パターンが形成されるため、コイ
ルの導体抵抗を低減するために導体パターンの厚さを厚
くすると、全体の厚みが導体パターン13,15のある
部分とない部分では大きく異なり、焼成してもクラック
が発生したりして安定した品質のノイズ対策部品を得る
ことができないものであった。
【0007】本発明は以上のような従来の欠点を除去
し、積層数を多くしても積層体の表面の平坦性を維持
し、積層数に依存しない優れた積層性を確保し、しかも
優れた電気特性を発揮するコイル部品およびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明のコイル部品は、導体パターンを形成した絶縁
体シートを積層してなるコイル部品において、導体パタ
ーンを有する絶縁体シートを積み重ね、しかも積層体内
の導体は複数ターンからなり、各ターン部の径が一端か
ら他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ター
ン部が異なる平面内に位置した構成のコイル部品とした
ものである。
【0009】この本発明によれば、導体間の浮遊容量を
低減できるため自己共振周波数が大きくなり優れた電気
特性を示すコイル部品となる。また、製法的には積層数
を多くしても積層体の表面の平坦性が維持でき、積層数
に依存しない優れた積層性を確保できる。そのため歩留
りの優れた積層型コイル部品を得る方法となり、しかも
導体回りの絶縁体の磁気的性質を種々のものに変更が容
易であるため、得られたコイル部品は優れた電気特性あ
るいは特性コントロールを容易にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、導体パターンを有する絶縁体シートを積層してなる
コイル部品であって、積層体内の導体は複数ターンから
なり、各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異
なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
置した構成であり、導体間の浮遊容量を小さくできるた
め自己共振周波数が高くなり、使用できる周波数帯域が
向上する。また、ノイズ吸収特性も広い帯域で大きくな
るため優れた減衰特性が得られる。
【0011】請求項2に記載の発明は、絶縁体シートを
形成する工程と、絶縁体シートを積層する工程と、絶縁
体シートに導体を形成する工程とを有し、絶縁体の表面
に複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他端に
かけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異
なる平面内に位置するような導体を有するコイル部品の
製造方法であり、少ない工数でコイル部品を得ることが
でき、積層数を多くしても積層体の表面の平坦性を維持
し、積層数に依存しない優れた積層性を確保できるた
め、歩留りの優れた方法となる。また、得られたコイル
部品は導体が真上に重畳していないため浮遊容量が小さ
くなり、優れた電気特性を発揮する。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2記載の
発明に対して円形状または角形状の穴を設けた穴あき絶
縁体シートを形成する工程を付加し、同様に絶縁体内あ
るいは表面に複数ターンからなり各ターン部の径が一端
から他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各タ
ーン部が異なる平面内に位置するように導体を形成する
ものであり、絶縁体内に導体を形成することが可能とな
る。そのため、得られるコイル部品の電気特性はより高
性能なものが可能となり、優れたインダクタンス値(あ
るいはインピーダンス値)となる。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項3記載の
発明に対してさらに穴あき絶縁体シートの穴を充填する
工程を付加したものであり、得られるコイル部品の電気
特性はさらに優れたインダクタンス値(あるいはインピ
ーダンス値)を達成することが可能となる。
【0014】本発明のコイル部品は、導体パターンを形
成した絶縁体シートを積層してなる積層型のコイル部品
において、積層体内の導体は複数ターンからなり、各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置した構成
である。そのため、従来の積層型のように導体を真上に
重畳していないため導体間の浮遊容量を低減できる。そ
のため自己共振周波数が大きくなる。さらに、ノイズ対
策部品としても高周波域での減衰特性が優れたコイル部
品となる。
【0015】一方、製造方法上は積層数を多くしても積
層体の表面の平坦性が維持でき、積層数に依存しない優
れた積層性を確保できる。そのため歩留りの優れた積層
型コイル部品を得る方法となり、しかも導体回りの絶縁
体の磁気的性質を種々のものに変更が容易であるため、
得られたコイル部品は優れた電気特性あるいは特性コン
トロールを容易にすることができる。
【0016】本発明のコイル部品の製造方法は、絶縁体
シートを形成する工程と、円形状または角形状の穴を中
央に設けた穴あき絶縁体シートを形成する工程と、穴あ
き絶縁体シートあるいは絶縁体シートと穴あき絶縁体シ
ートを積層する工程と、絶縁体シートに導体を形成する
工程と、穴あき絶縁体シートの穴を充填する工程とから
なって絶縁体内あるいは表面に複数ターンからなり各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよう
な導体を有するコイル部品の製造方法である。そのた
め、積層数を多くしても積層体の平坦性がいつまでも確
保でき、優れた歩留りでコイル部品を得ることができ
る。また、得られたコイル部品は導体を真上に重畳して
いないため、浮遊容量が小さくなり、優れた電気特性を
発揮する。さらにノイズ対策部品としても優れたノイズ
吸収特性を発揮する。また、導体回りの絶縁体を種々の
ものに変更することが容易な製造方法であるため、得ら
れるコイル部品の電気特性は種々の特性にできる。
【0017】本発明のコイル部品の導体は、各ターン部
の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに少な
くとも各ターン部が異なる平面内に位置したものであ
る。導体形状の一例としては、絶縁体内あるいは表面に
複数ターンからなる導体を有し、この導体は一端から他
端にかけて各ターン部の径が徐々に大きくなる円で形成
され、しかも各ターン部の位置がそれぞれ異なる平面内
に位置する。つまり、導体の一端は小径の円で形成さ
れ、他端側になるにつれて徐々に径が大きくなる円で形
成され、その各ターン部は終端あるいは始端で立上がっ
てまたは立下がって隣のターン部と接続されている。し
たがって、各ターン部は同一平面内に位置し、隣接する
ターン部は立上がりや立下がり部によって異なった平面
部に位置し、かつ、その径が異なるように設定されてい
る。この場合の各ターン部とは同一平面内に存在する導
体を意味する。
【0018】以下、本発明の実施の形態についてさらに
図面を用いて説明する。まず、図1に本発明のコイル部
品の代表的な一例を模式的に透視した斜視図を示す。す
なわち、外側絶縁体1と内側絶縁体7の境界部に複数タ
ーンからなる導体2を有する。換言すれば、外側絶縁体
1と内側絶縁体7で構成される絶縁体内に複数ターンか
らなる導体2を有する。この導体2は一端から他端にか
けて各ターン部の径が徐々に大きくなる円で形成され、
しかも各ターン部の位置がそれぞれ異なる平面内に位置
している。つまり、導体2の一端は小径の円で形成さ
れ、他端側になるにつれて徐々に径が大きくなる円で形
成され、その各ターン部は終端あるいは始端で立上がっ
てまたは立下がって隣のターン部と接続されている。
【0019】したがって、各ターン部は同一平面内に位
置し、隣接するターン部は立上がりや立下がり部によっ
て異なった平面部に位置し、かつ、その径が異なるよう
に設定されている。図1の例では同一平面内には約1タ
ーンである。この場合の各ターンは図1に示すように、
同一平面内に存在する導体を意味する。つまり、図1に
示した導体2の例では4つの平面に各ターンが形成され
ているといえる。
【0020】導体2のそれぞれの一端は引出電極3,4
が設けられ、この引出電極3,4は外側絶縁体1の両側
部に設けた端面電極5,6にそれぞれ接続されている。
【0021】次に、図2は本発明のコイル部品の端面か
ら見た模式的な透視図である。つまり、図1の真上から
見たような図である。図2をみればわかるように、導体
2は一端から他端にかけて各ターン部の径が徐々に大き
くなる円で形成され、しかも各ターン部の位置がそれぞ
れ異なる平面内に位置している。
【0022】図3は本発明のコイル部品の断面図を示し
たものであり、導体2は外側絶縁体1の内面にあるいは
内側絶縁体7の表面に形成した構成となる。ここで、導
体2とは各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に
異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に
位置した導体である。外側絶縁体1あるいは内側絶縁体
7は一種類の材料で構成され、この外側絶縁体1あるい
は内側絶縁体7は非磁性体であっても磁性体であっても
よい。さらに、図3の例は外側絶縁体1あるいはおよび
内側絶縁体7の上下端面に位置する端面層8,9を有す
る例を示した。
【0023】外側絶縁体1と内側絶縁体7を構成する非
磁性体としては、ガラスエポキシ、ポリイミドなどの有
機系の絶縁材料、ガラス、ガラスセラミックスあるいは
セラミックスなどの無機系の絶縁材料などの電気的に絶
縁性があればどのようなものであってもよい。
【0024】一方、磁性体としては、NiZn系やNi
ZnCu系などの一般に知られる透磁率が大きいフェラ
イト材料であればよい。
【0025】外側絶縁体1あるいは内側絶縁体7を磁性
体とした場合はインピーダンスあるいはインダクタンス
値を大きくすることができ、非磁性体とした場合は大き
なインピーダンスあるいはインダクタンス値を得ること
はできないが、自己共振周波数が高くなり、使用できる
周波数帯域は広くなる。
【0026】また、導体2あるいは引出電極3,4の材
料としては電気的に良導体であれば何でもよいが、抵抗
率が重要で低抵抗なものがコイル部品には要求されるた
め銅、銀とパラジウム合金あるいは銀などの導体材料が
有効である。
【0027】本発明のコイル部品の端面電極5,6は、
一般に知られた表面実装部品と同様の端面電極と同じ構
成にしてもよい。この場合は、一般的には単一層でなく
複数層から構成されることが望ましく表面実装用とした
場合にはプリント配線板への実装時の実装強度あるいは
実装時の半田の濡れ性、半田くわれなどを配慮する必要
があり、具体的には最下層は引出電極3,4と同じ導体
材料を用い、中間層には半田に対して耐性を有するニッ
ケルを用い、最外層には半田に対して濡れ性の良い半田
あるいは錫を用いるのが一般的である。
【0028】しかしながら、これは一例であり、必ずこ
の構成を採用する必要はなく、金属等の導電性に優れた
材料以外に導電性樹脂材料を含んでもよい。
【0029】また、アルミナやフェライトなどのセラミ
ック基板に所定の配線パターンを形成し、セラミック基
板に窓を設けてコイル部品を挿入し、配線パターンとコ
イル部品の端面電極を接触させ厚膜形成プロセスを用い
て焼成して電気的に接続するため、耐熱性を高め、この
厚膜形成プロセスに対応する構成とすることも考えられ
る。
【0030】本発明のコイル部品は、絶縁体内あるいは
表面、つまり外側絶縁体1あるいは内側絶縁体7の表面
に複数ターンからなる導体2を備え、各ターン部の径が
一端から他端にかけて徐々に異なるとともに、少なくと
も各ターン部が異なる平面内に位置した導体2を有す
る。あるいはさらに前記絶縁体(外側絶縁体1およびあ
るいは内側絶縁体7)の上下端には端面層8,9を有す
るコイル部品である。
【0031】次に図4に示す本発明の製造方法で得られ
るコイル部品について説明する。図4に示すものは、外
側絶縁体1と内側絶縁体7を磁気的性質の異なるもので
構成したものである。すなわち、図4において、導体2
に対して外側の外側絶縁体1、内側の内側絶縁体7とし
て、外側絶縁体1を磁性体で構成し、内側絶縁体7を非
磁性体で構成するとコイル部品としては、外側絶縁体1
と内側絶縁体7を共に磁性体で構成した場合に比べて、
インピーダンス値が小さくなるが、直流重畳特性を大幅
に改善することができる。つまり、電流値を変化させて
もインピーダンス値の変化を小さくでき、許容電流値を
大きくすることができる。
【0032】外側絶縁体1あるいは内側絶縁体7を非磁
性体で構成する極端な例としては、外側絶縁体1あるい
は内側絶縁体7のどちらかを無くし空気とした場合があ
る。この場合、導体2は外側絶縁体1あるいは内側絶縁
体7のどちらかの存在する方の表面に形成すればよい。
【0033】また、外側絶縁体1と内側絶縁体7が共に
磁性体であり、しかも磁気的に磁束密度の異なる特性の
ものにすることによって、直流重畳特性の改善が可能と
なる。
【0034】さらに、外側絶縁体1と内側絶縁体7が共
に磁性体であり、しかも磁気的に透磁率の異なる特性の
ものにすることによって、同一導体構造でインピーダン
ス値の異なるコイル部品を得ることができる。この場
合、外側絶縁体1と内側絶縁体7との透磁率の大小関係
には特に限定はない。
【0035】以上のように外側絶縁体1と内側絶縁体7
の磁気的性質を適当に選ぶことにより、コイル部品とし
てのインピーダンス値を任意に選ぶことができるととも
に、漏洩磁束あるいは直流重畳特性のコントロールも自
由に行えることになる。
【0036】また、同様に端面層8,9を構成する材料
を例えば磁気的性質の異なるものを種々選択すること
で、コイル部品としてのインピーダンス値を任意に選ぶ
ことができるとともに、漏洩磁束あるいは直流重畳特性
のコントロールも自由に行えることはいうまでもない。
【0037】導体2の断面形状は、偏平な長方形状以外
に導体2の断面積を大きくして導体抵抗を小さくし、大
電流用としても使用できる。この場合、導体2の断面形
状としては、三角形、円形、楕円形、半円形、多角形あ
るいは長円形などの種々のものが可能である。このよう
な断面形状の導体2を得るには、例えば、外側絶縁体1
の階段状の内面全体に導電ペーストを塗布して硬化させ
た後、焼結させることによって断面三角形の導体2を実
現することができる。
【0038】また、導体2の全体的な形状としてはこれ
まで円形状の例を示したが、角形状などでもよい。つま
り、本来、面実装型のコイル部品としては角柱状が好ま
れており、角柱状のコイル部品においては角形状のター
ン部で構成しコイル部品の外形いっぱいの角形状のター
ン部を形成することが可能になる。このような導体2を
得るには、例えば、外側絶縁体1を形成するにあたり、
四角形の穴を形成すればよい。
【0039】以上数多くの例で説明した通り、外側絶縁
体1と内側絶縁体7で形成される絶縁体内あるいは表面
に各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なる
とともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置し
た導体2が連続的に形成されるため、従来の積層方法と
は異なり、積層体の平坦性を高積層時でも維持できるた
め、生産しやすく、歩留りの向上を図ることができる。
また、得られるコイル部品は近隣のターン部が絶縁体を
介して面対向しないため、浮遊容量の発生も最小限に抑
えられるため、自己共振周波数が小さくなってフィルタ
などとして用いた場合広帯域で高い減衰量が得られない
といったことが阻止でき、品質面、性能面で著しく優れ
たコイル部品を得ることができる。
【0040】なお、上記実施の形態においては、面実装
タイプとして両端に端面電極5,6を設けたものについ
てのみ説明してきたが、端面層8,9などにピン端子を
植設したものや、端面電極5,6の代りに端子を有する
キャップ状電極を端面層8,9などの両端に嵌合結合し
たリードタイプのコイル部品とすることもできる。
【0041】次に、本発明のコイル部品の製造方法につ
いて説明する。本発明のコイル部品の製造方法は、絶縁
体シートを形成する工程と、円形状または角形状の穴を
中央に設けた穴あき絶縁体シートを形成する工程と、穴
あき絶縁体シートあるいは絶縁体シートと穴あき絶縁体
シートを積層する工程と、絶縁体シートに導体を形成す
る工程と、穴あき絶縁体シートの穴を充填する工程とを
有し、絶縁体内あるいは表面に複数ターンからなり各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよう
な導体を有するコイル部品の製造方法である。
【0042】絶縁体シートを積層ないしは導体を形成し
て、絶縁体内あるいは表面に各ターン部の径が一端から
他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン
部が異なる平面内に位置した導体を形成するものであ
る。つまり、絶縁体の階段状面に導体を形成するため、
優れた歩留りでコイル部品を得ることができる。
【0043】次に、さらに詳細な本発明のコイル部品の
製造方法について、図を参照しながら説明する。
【0044】図5〜図12は本発明のコイル部品の製造
方法を工程順に示した断面図である。まず、図5に示す
ように端面層8に引出電極3を形成する。次に、図6に
示すように、穴あけした絶縁体シート1を引出電極3を
形成した端面層8に積層する。さらに、図7に示すよう
に穴あけした絶縁体シートの穴の近傍部分に導体2を形
成する。同様に図8に示すように穴あけした絶縁体シー
ト1を積層する。以上の穴あけした絶縁体シート1を積
層することと導体2を形成することを繰り返して、図9
に示すような積層体を得る。
【0045】図9に示した積層体の導体2は、最終的に
は穴あけした絶縁体シート1を積層して得られる外側絶
縁体1の表面に複数ターンからなり各ターン部の径が一
端から他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各
ターン部が異なる平面内に位置するような導体2とな
る。
【0046】次に、図10に示すように、外側絶縁体1
の穴の部分に絶縁体を充填し内側絶縁体7を形成する。
さらに、図11に示したように、外側絶縁体1および内
側絶縁体7の端面部分に端面層9を積層する。なお、端
面層9には積層前に引出電極4を形成しておく。
【0047】最後に、図12に示すようにチップ状の部
品の2面に端面電極5および6を形成する。得られたこ
の積層体を焼成することによって、コイル部品を得るこ
とができる。しかし、焼成は端面電極5および6を形成
せずに行ってもよい。つまり、端面電極5および6を形
成していないものを焼成し、焼成後に端面電極5および
6を形成する方法である。この場合の形成法の一例を説
明すると、図12に示した端面電極と同様の形状に導体
層を形成し、一度焼成する。その後この導体層を電極に
して、ニッケルめっきおよび半田あるいは錫めっきを施
す。最終的には、端面電極5および6は焼成によって形
成した下地の導体層と電気めっきによって形成したニッ
ケルおよび半田ないしは錫の3層構造である。
【0048】以上の外側絶縁体1、内側絶縁体7あるい
は端面層8,9は一般に知られているグリーンシート成
形法、印刷法、ディッピング法、粉末成型法あるいはス
ピンコート法などで形成することができる。導体2ある
いは引出電極3,4は印刷法が一般的であるが、レーザ
を用いたパターン形成、金型等で所定形状に予め形成し
た導体を転写する方法、滴下、ポッティングあるいは溶
射法などの方法でもよい。
【0049】本発明のコイル部品は耐熱性に優れたコイ
ル部品であるためモジュール化することが容易である。
例えば、アルミナ基板あるいはフェライト基板などのセ
ラミック基板に所定の配線層を形成し、基板の配線とコ
イル部品の端面電極との結線を同時に行って、一体化あ
るいは組立が可能である。この場合、基板の所定場所に
窓をあけてコイル部品の側面の端面電極とセラミック基
板上の配線に結線することが可能になるため、薄型のモ
ジュールが得られる。この場合は、一般に知られている
セラミック基板を用いた通常の厚膜形成プロセスが適用
できる。コイル部品の端面電極は半田づけを前提とした
ものでなく、焼成して電気的に接続するものにすればよ
い。
【0050】以上のコイルを形成する導体2の2つの端
子は、チップ部品の端面に形成して端面電極5,6と電
気的に接続された状態である。つまり、導体2の最上部
および最下部には端面電極5,6と電気的に結線するた
めの引出電極3ないし4を有して、端面電極5,6につ
ながっている。
【0051】前記の各層を形成するためのペーストは、
各粉末とブチルカルビトール、テルピネオール、アルコ
ールなどの溶剤、エチルセルロース、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、エチレン−酢酸ビニルなどの結合剤、さらに、各種
の酸化物あるいはガラス類などの焼結助剤を添加し、ブ
チルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、グリセ
リンなどの可塑剤あるいは分散剤等を添加してもよい。
これらを混合した混練物を用いて各層を形成する。これ
らを前述したような所定の構造に積層したものを焼成し
てコイル部品を得る。グリーンシートを作製する場合
は、前記の溶剤に替えて蒸発性の優れた各種の溶剤、例
えば酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、アル
コールなどが望ましい。
【0052】焼成温度範囲としては約800℃から13
00℃の範囲である。特に導体材料によって異なり、例
えば、導体材料として銀を用いれば900℃前後にする
必要があり、銀とパラジウムの合金では950℃で、さ
らに高温で焼成するには導体材料にニッケル、パラジウ
ムなどを用いる。
【0053】次に本発明の更に具体的な実施例について
説明する。 (実施例1)NiZnCu系フェライト粉末100gに
対してブチラール樹脂が8g、ブチルベンジルフタレー
トが4g、メチルエチルケトンが24gおよび酢酸ブチ
ルを24g混合し、ポットミルを用いて混練してフェラ
イトスラリーを作製した。
【0054】このスラリーを使い、コータを用いて乾燥
後厚み0.05mmのフェライトグリーンシートを作製
した。なおグリーンシートはPETフィルム上に形成し
た。
【0055】フェライトグリーンシートを6枚積み重ね
て積層し、図5に示したような端面層8を形成した。フ
ェライトグリーンシートの積層には熱プレスを用い、熱
プレスの定盤温度は100℃に設定し、圧力は500k
g/cm2であった。さらに、この端面層8に市販の銀
ペーストと印刷機を用いて、引出電極3を形成した。
【0056】さらに、厚み0.05mmのフェライトグ
リーンシートを穴あけし、図6に示すように端面層8に
積層した。この積層体に図7に示すように引出電極3を
形成したときと同様に導体2を形成した。以上の穴あ
け、積層および導体2の形成を繰り返して、図9に示す
ような積層体を作製した。なお、穴あけは金型とプレス
を用いた。結果的に導体2は中空体状の外側絶縁体1の
内面に複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他
端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部
が異なる平面内に位置するように形成することができ
る。
【0057】次に、図10に示すように外側絶縁体1の
穴の部分に前記のフェライトスラリーを流し込み内側絶
縁体7を形成した。
【0058】次に図11に示すように、先に作製したフ
ェライトグリーンシート(厚みが0.05mm)を6枚
積層して端面層9を作製した。さらに、前記と同じ銀ペ
ーストと印刷機を用いて、引出電極4を形成し、外側絶
縁体1を含む積層体に張り合わせた。
【0059】さらに、図12に示したように、端面に市
販の銀ペーストを用いて端面電極5,6を形成し、90
0℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0060】以上の方法で得られた本発明のコイル部品
には剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
また、積層時点でも積層体の平坦性は維持され、絶縁体
シートを均一に積層することができた。インピーダンス
アナライザなどを用いて、各種の電気特性を測定したと
ころ、優れた特性を有するコイル部品であった。
【0061】(実施例2)実施例1と同じフェライトグ
リーンシートを用いて、実施例1と同様に図9に示す積
層体を作製した。
【0062】次に、内側絶縁体7を形成せずに図11に
示したような引出電極4を形成した端面層9を接合し、
以下同様に端面電極5,6を形成し、900℃で2時間
保持する条件で焼成した。
【0063】以上の方法で得られた本発明のコイル部品
には剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
また、積層時点でも積層体の平坦性は維持され、絶縁体
シートを均一に積層することができた。インピーダンス
アナライザなどを用いて、各種の電気特性を測定したと
ころ、優れた特性を有するコイル部品であった。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
コイル部品は、積層体内における導体は複数ターンから
なり、各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異
なるとともに、少なくとも各ターン部が異なる平面内に
位置した構成であるため、つまり絶縁体内あるいは表面
の円錐形状または角錐形状の階段状の斜面上に導体を位
置させているため、高さを低く抑えることができ、しか
も導体のターン部間での浮遊容量も殆ど発生せず電気特
性の優れたものとなる。製法的には、穴あきないしは異
なる寸法の絶縁体シートを積層して、積層型のコイル部
品を得るため、積層時の積層体の平坦性が維持されるた
め、容易に形成することができ、優れた歩留りを確保で
き、産業的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で得られるコイル部品の一実
施の形態を示す模式的な透視図
【図2】他の実施の形態の上面図
【図3】さらに他の実施の形態の断面図
【図4】さらに別の実施の形態の断面図
【図5】本発明のコイル部品の製造方法を示す端面層に
引出電極を形成した状態の断面図
【図6】同端面層に絶縁体シートを形成した状態の断面
【図7】同絶縁体シートの穴に導体を形成した状態の断
面図
【図8】同絶縁体シートをさらに積層した状態の断面図
【図9】同積層が終了した状態の断面図
【図10】同内側絶縁体を形成した状態の断面図
【図11】同他方の端面層を形成した状態の断面図
【図12】同端面電極を形成した状態の断面図
【図13】従来のコイル部品を示す概略斜視図
【図14】同分解斜視図
【符号の説明】
1 外側絶縁体 2 導体 3,4 引出電極 5,6 端面電極 7 内側絶縁体 8,9 端面層 10 穴

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体パターンを形成した絶縁体シートを
    積層してなるコイル部品において、導体パターンを有す
    る絶縁体シートを積み重ね、しかも積層体内の導体は複
    数ターンからなり、各ターン部の径が一端から他端にか
    けて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異な
    る平面内に位置した構成とするコイル部品。
  2. 【請求項2】 絶縁体シートを形成する工程と、絶縁体
    シートを積層する工程と、絶縁体シートに導体を形成す
    る工程とを有し、絶縁体の表面に複数ターンからなり各
    ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとと
    もに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよ
    うな導体を有するコイル部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 絶縁体シートを形成する工程と、円形状
    または角形状の穴を中央に設けた穴あき絶縁体シートを
    形成する工程と、穴あき絶縁体シートあるいは絶縁体シ
    ートと穴あき絶縁体シートを積層する工程と、絶縁体シ
    ートに導体を形成する工程とを有し、絶縁体内あるいは
    表面に複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他
    端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部
    が異なる平面内に位置するような導体を有するコイル部
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】 絶縁体シートを形成する工程と、円形状
    または角形状の穴を中央に設けた穴あき絶縁体シートを
    形成する工程と、穴あき絶縁体シートあるいは絶縁体シ
    ートと穴あき絶縁体シートを積層する工程と、絶縁体シ
    ートに導体を形成する工程と、穴あき絶縁体シートの穴
    を充填する工程とを有し、絶縁体内あるいは表面に複数
    ターンからなり各ターン部の径が一端から他端にかけて
    徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平
    面内に位置するような導体を有するコイル部品の製造方
    法。
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