JPH08236409A - 積層複合部品およびその製造方法 - Google Patents

積層複合部品およびその製造方法

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JPH08236409A
JPH08236409A JP7036843A JP3684395A JPH08236409A JP H08236409 A JPH08236409 A JP H08236409A JP 7036843 A JP7036843 A JP 7036843A JP 3684395 A JP3684395 A JP 3684395A JP H08236409 A JPH08236409 A JP H08236409A
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JP
Japan
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forming
coil
conductor
layer
laminated
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JP7036843A
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English (en)
Inventor
Akihiko Ibata
昭彦 井端
Kunio Yamakawa
邦雄 山川
Shinji Harada
真二 原田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、積層複合部品に関し、特に薄型で
特性の優れたコンデンサとコイルの積層複合部品および
その製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 誘電体層と導体層を交互に積層してなる積層
体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パター
ン3とコイル形成用の導体パターン2を有し、コイル形
成用の導体パターン2の中心部には誘電体層に開口部を
有し、しかも開口部には磁性体4を有する積層複合部品
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層電子部品に関し、
特にセラミックス層を積層してコンデンサ、コイル等を
形成した積層複合部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】積層部品としてはコンデンサおよびイン
ダクタなど種々のものがこれまでに提案され、実用化さ
れている。インダクタは各種通信機器、民生用機器など
のコイル、トランスなどとして多用されており、近年、
小型あるいは薄型のインダクタがますます要求されてい
る。さらに、回路の高周波化あるいはディジタル化に伴
って、ノイズ対策部品としてのコイルあるいはコイルと
コンデンサの複合部品がますます重要になっている。
【0003】コイルとコンデンサの複合部品としては、
フェライト磁性層と導体層を交互に積層した積層インダ
クタと同様に誘電体層と導体層を交互に積層した積層コ
ンデンサを重畳してなる積層T型フィルター(例えば、
特公昭62−28891号公報)などが提案されてい
る。この積層T型フィルターの主な構成部材は磁性層を
形成するフェライトと導体層を形成する電極材料および
誘電体層を形成する誘電体材料であり、しかも、コイル
部とコンデンサ部を積み重ねてLC複合部品を得るもの
である。つまり、積層型のコイルと積層型のコンデンサ
を積み重ねて複合部品にしたものである。そのため、個
々の単一部品を電気的に結線する必要はないが、個々の
単一部品を組み立てて得るのとほぼ同様の工数を要する
という問題があった。特に、積層複合部品においては導
体層の形成数が工数の増加になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、これ
まで積層型複合部品として、いくつかのものが提案され
ているが、基本的には単一部品を1つ1つ積み重ねて複
合部品としたもので、単一部品の電気的結線等を省略で
きるものの個々の部品形成は単一部品を得るのと大きな
差はないという課題があった。特に、複合部品において
積層方向に各単一部品を積み重ねた構造では、多数の導
体層を必要とし、薄型に対しては不利となり、また製法
的にもかなりの工数を要する。
【0005】本発明は上記の従来の問題点を解決するも
ので、コイルとコンデンサを有する積層複合部品におい
て、優れた生産性で形成でき、高い信頼性を確保できる
構造を有する積層複合部品およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに本発明は、誘電体層と導体層を交互に積層してなる
積層体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パ
ターンとコイル形成用の導体パターンを有し、コイル形
成用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電体層
に開口部を有し、しかも開口部には磁性体を充填した積
層複合部品としたものである。さらに、積層体の表裏面
あるいは側面にも磁性層を設けることによって、複合部
品の内のコイルの特性を向上させることができ、優れた
電気特性の積層複合部品となる。
【0007】
【作用】前述した積層複合部品にすることによって、つ
まり誘電体層と導体層を交互に積層してなる積層体にお
いて、導体層にはコンデンサ形成用の導体パターンとコ
イル形成用の導体パターンを有し、しかもコイル形成用
の導体パターンの中心部には誘電体層に開口部を有し、
しかも開口部には磁性体を有する積層複合部品とするこ
とによって、同一積層面内にコンデンサとコイルを配置
しているため薄型の複合部品となる。また、製法的には
コンデンサおよびコイル形成用の導体が同一積層面にあ
るため、個々の単一部品を形成するのとほぼ同じ工数で
複合部品を得ることができる。さらに、コイル部品だけ
に着目すれば、少なくともコイルの中心部には磁性体が
存在するため、少ない巻数、少ない積層数で複合部品と
して必要なコイル特性を確保できる。
【0008】
【実施例】本発明の積層複合部品は、誘電体層と導体層
を交互に積層してなる積層体において、導体層にはコン
デンサ形成用の導体パターンとコイル形成用の導体パタ
ーンを有し、コイル形成用の導体パターンの中心部には
誘電体層に開口部を有し、しかも開口部には磁性体を有
する積層複合部品としたものである。
【0009】本発明の積層複合部品はコイルとコンデン
サを含んだ複合部品であり、部品の大部分は誘電体材料
で構成される。つまり、本発明の積層複合部品は複合部
品であるが、積層コンデンサとほぼ同様の構成であり、
同一面にコイル用の導体とコンデンサ用の導体が存在す
る。そのため非常に薄型の複合部品となり、しかも製法
的には少ない導体層形成で本発明の積層複合部品を得る
ことができる。この誘電体層はコンデンサに対しては誘
電体材料として用い、コイルに対しては導体層間の絶縁
材料として用いる。そのためコイルとしての電気特性を
確保するために、コイル形成用の導体パターンの中心部
に磁性体が存在する。このため本発明の積層複合部品の
コイルは磁性体を用いない空心コイルではなく、芯に磁
性体を有する電気特性の優れたコイルとなり、必要に応
じて、コイルが発生する磁路に沿って、さらに磁性層を
存在させることができる。つまり、基本は前述したコイ
ルの中心部だけに磁性体が存在するものであるが、2つ
目としては積層複合部品の積層面に平行な端面にも磁性
層が存在するタイプであり、3つ目としては磁気回路的
には閉磁路構成が可能なように、積層複合部品の側面に
も磁性層が存在するタイプである。これらの磁性体の形
成する量あるいは位置は複合部品におけるコイルとして
の必要な特性によって、巻数などから決定すればよい。
【0010】(実施例1)1つ目の積層複合部品の外観
斜視図を図1(a)に示し、中央部の断面図を図1
(b)に示す。これらの図に示すように誘電体層1とコ
イル形成用の導体層2およびコンデンサ形成用の導体層
3を交互に積層してなり、しかもこれらのコイル形成用
とコンデンサ形成用の導体層は同一積層面に存在し、さ
らにコイル形成用の導体層2の中心部には磁性体4が存
在する。電極層5はチップ部品としての取り出し電極で
ある。これらの図はコイルが2つでコンデンサが1つの
T型フィルタとなる複合部品の例を示し、中央にコンデ
ンサ、両端にコイルを配置したものである。このように
コイル形成用の導体層2の中心部には磁性体4が存在す
る。つまり、コイルの中心部には磁性体4が存在するた
め、コイルのインダクタンスは大きくなり、巻数つまり
積層数が少なくても大きなインダクタンスが得られる。
このコイルにとって誘電体層1は絶縁層として用いられ
ており、インダクタンスを大きくするためにコイルの芯
部に磁性体4を配置している。
【0011】次にこの実施例の製造方法について説明す
る。BiCaNbO系の誘電体粉末100gに対してブ
チラール樹脂が8g、ブチルベンジルフタレートが4
g、メチルエチルケトンが24gおよび酢酸ブチルが2
4g混合し、ポットミルを用いて混練して、誘電体材料
のスラリーを作製した。このスラリーを使い、コータを
用いて乾燥後厚み50μmの誘電体グリーンシートを作
製した。なおグリーンシートはPET上に形成した。次
に誘電体グリーンシートにパンチャーを用いて、所定の
位置に穴(ビア、各層の導体を電気的に結線するための
もの)をあけた。次に、印刷機を用いて、市販の焼成型
銀ペーストで先に作製した誘電体グリーンシートにコイ
ル形成用とコンデンサ形成用の導体を印刷法で形成し
た。導体の厚みは乾燥後で15μmであった。導体を形
成していない誘電体層グリーンシートに導体を形成した
誘電体層グリーンシートを熱プレスを用いて接合した。
熱プレスの定盤温度は100℃に設定し、圧力は60kg
/cm2であった。同様に、導体を形成した誘電体グリー
ンシートを熱プレスを用いて順次接合し、導体が10層
になるまで繰り返した。これらの積層体を図1に示した
ような磁性体4を形成する開口部にパンチャーを用いて
貫通穴を形成し、NiZnCu系フェライトペーストを
用いて磁性体4を形成した。さらに、図1に示すような
電極層を銀パラジウムペーストを用いて形成し、900
℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0012】以上の方法で得られた本発明の積層複合部
品には剥離、割れなどの欠陥は認められなかった。イン
ピーダンスアナライザなどを用いて、各種の電気特性を
測定したところ、優れた特性を有する積層複合部品であ
った。
【0013】このように本発明の積層複合部品は同一積
層面にコイルとコンデンサを形成するため、優れた生産
性で複合部品を得ることができ、しかもコイル部の中心
部には磁性体を有するため優れた特性を示し、しかも誘
電体材料、導体材料および磁性材料の3つの異種材料を
1回の焼成で一体化でき生産性に優れた積層複合部品を
得ることができる。
【0014】(実施例2)2つ目の積層複合部品の分解
外観斜視図を図2(a)に示し、中央部の断面図を図2
(b)に示す。これも前記と同様にコイルが2つでコン
デンサが1つのT型フィルタである。1つ目の積層部品
と異なる点は、誘電体層1に平行な積層面、積層体の上
下の端面に図に示すように磁性層6がさらに存在するこ
とである。この磁性層6は少なくともどちらかの端面に
存在すればよいが、図では上下の2面に存在する場合を
示す。この場合は巻線型のコイル部品におけるドラム型
のフェライトコアを用いたコイル部品と同様の磁気回路
となり、図1に示した複合部品のコイルよりも優れた電
気特性となる。
【0015】次にこの実施例の製造方法について説明す
る。実施例1と同様に、SrTiO系の誘電体粉末を用
いて、誘電体材料のスラリーを作製し、さらに乾燥後厚
み50μmの誘電体グリーンシートを作製した。同様の
方法でNiZnCu系フェライト粉末100gに対して
低融点ガラスを3g添加した粉末を用いて、同じ厚みの
フェライトグリーンシートを作製した。実施例1と同様
の方法で誘電体グリーンシートに穴あけし、コイル形成
用とコンデンサ形成用の導体を形成した。導体を形成し
ていない誘電体グリーンシートに導体を形成した誘電体
グリーンシートを熱プレスを用いて接合した。同様に、
導体が10層になるまで繰り返した。これらの積層体に
図3に示したような、磁性体4を形成する開口部を形成
した。次に、先に作製したフェライトグリーンシートを
積層して厚み0.2mmの磁性層6を形成し、これに先
に作製した積層体を接合した。積層体の開口部にフェラ
イトペーストを用いて磁性体4を形成し、さらにその上
に厚み0.2mmの磁性層6を接合した。さらに、図3
に示すような電極層5を銀パラジウムペーストを用いて
形成し、900℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0016】前記の方法で得られた本発明の積層複合部
品には剥離、割れなどの欠陥は認められず、インピーダ
ンスアナライザなどを用いて、各種の電気特性を測定し
たところ、優れた特性を有する積層複合部品であった。
【0017】(実施例3)3つ目の積層複合部品の分解
外観斜視図を図3(a)に示し、中央部の断面図を図3
(b)に示す。これも同様にコイルが2つでコンデンサ
が1つのT型フィルタの例である。2つ目の積層部品と
異なる点は、磁性層6をさらに磁気的につなぐように、
積層体の側面にも磁性層7がさらに存在することであ
る。つまり、コイルが発生する磁束は磁性体4、磁性層
6および磁性層7を通って閉ループとなる。つまり、磁
気回路的には磁路に沿って、磁性体が連続的に配置した
閉磁路構成である。そのため、最も優れた電気特性を有
するコイルとなる。
【0018】次に本実施例の製造方法について説明す
る。実施例1と同様に、SrTiO系の誘電体粉末を用
いて、誘電体材料のスラリーを作製し、さらに乾燥後厚
み40μmの誘電体グリーンシートを作製した。同様の
方法でNiZnCu系フェライト粉末100gを用い
て、同じ厚みのフェライトグリーンシートを作製した。
実施例1と同様の方法で誘電体グリーンシートに穴あけ
し、コイル形成用とコンデンサ形成用の導体を形成し
た。導体を形成していない誘電体グリーンシートに導体
を形成した誘電体グリーンシートを熱プレスを用いて接
合した。同様に、導体が10層になるまで繰り返した。
これらの積層体に図4に示したような、磁性体4を形成
する開口部を形成した。次に、先に作製したフェライト
グリーンシートを積層して厚み0.2mmの磁性層6を
形成し、これに先に作製した積層体を接合した。積層体
の開口部および積層体の側面にフェライトペーストを用
いて磁性体4および磁性層7を形成し、さらにその上に
厚み0.2mmの磁性層6を接合した。さらに、図4に
示すような電極層5を銀パラジウムペーストを用いて形
成し、900℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0019】前記の方法で得られた本発明の積層複合部
品には剥離、割れなどの欠陥は認められず、インピーダ
ンスアナライザなどを用いて、各種の電気特性を測定し
たところ、優れた特性を有する積層複合部品であった。
【0020】上記の3つの実施例で述べたように、本発
明の積層複合部品はいかなる製品性能が必要かによっ
て、誘電体材料、磁性材料および導体材料の種類あるい
は積層数さらには部品サイズや導体パターンの各部の寸
法などを適宜決めればよい。
【0021】誘電体層1を形成する誘電体材料として
は、一般に知られた誘電体材料あるいは絶縁材料であれ
ばいかなるものでもよい。例えば、強誘電体材料として
はTGS族、ロッシェル塩族、KDP族、ペロブスカイ
ト族、ニオブ酸リチウム族、タングステンブロンズ族な
どがあり、特にペロブスカイト族のチタン酸系がよく知
られている。他にも酸化チタンを含む各種の常誘電体材
料、ガラス系の絶縁材料でもよい。以上のような種々の
材料がある。また、後述するように、製法的には生産性
を考慮すると、導体材料および磁性材料の三者を同時に
焼成して本発明の積層複合部品を形成することが望まし
いため、これらの材料との整合性を考慮する必要があ
る。つまり、焼結時の焼結収縮挙動あるいは焼結後の熱
膨張係数などが重要な因子となり、前記の材料はこれら
を調整するために、各種の添加物を含ませてもよい。
【0022】コイル形成用の導体層2とコンデンサ形成
用の導体層3については同一の導体材料でもよいが、コ
イル用については導体の抵抗率が重要である。つまり、
低抵抗なコイルを形成することが一般には重要となるた
め、抵抗率の小さい導体材料が望ましい。具体的には、
銀、銀とパラジウム合金、銅などが望ましい。コンデン
サ用の導体材料については電圧を印加したときの導体材
料のマイグレーションを考慮して、銀とパラジウム合
金、パラジウム、銅、ニッケルなどが望ましい。しか
し、複合部品としてはコイル形成用の導体層2とコンデ
ンサ形成用の導体層3を同一の導体材料、例えば銀で形
成してもよい。
【0023】磁性体4、磁性層6および磁性層7を形成
する磁性材料としては、一般に知られる透磁率が大き
い、高透磁率材料であればよい。パーマロイ、センダス
トなどの軟磁気特性の優れた金属系あるいはフェライト
磁性材料と前記の金属磁性材料の混合材料であってもよ
く、軟磁気特性の優れた磁性材料であればどのようなも
のでもよい。具体的にはフェライト系の酸化物磁性材料
が他の材料との整合性が優れるため望ましい。さらに具
体的には、NiZn系、NiZnCu系、MnZn系な
どのフェライト磁性材料である。
【0024】電極層5を形成する電極材料は導電性材料
であればよいが、一般には単一層ではなく、複数の電極
層からなる。つまり、本発明の積層複合部品はチップ状
の複合部品であるため、基板に実装したときの接着強度
あるいは実装時の半田づけ時の濡れ性、喰われ性などが
重要である。そのため、一般的には最下層は前記のコイ
ル形成用の導体層2と同じ導体材料からなり、中間層に
は半田に対して耐性を有するニッケルを用い、最表層に
は半田に対して濡れ性が良好な半田あるいは錫を用い
る。しかし、これは一般的な十分な安全性を確保した構
成であり、極論すれば、導電性の材料で電極層5を構成
すれば、いかなるものでもよい。
【0025】本発明の積層複合部品におけるコイルを形
成する導体(コイル形成用の導体層2)は誘電体層1を
介した積層であるため、浮遊容量が問題となる場合があ
る。つまり、誘電体層1を構成する誘電体材料の誘電率
が大きい場合あるいはコイル形成用の導体層2の対抗面
積が大きな場合さらには対抗距離が小さい場合などでは
コイルの浮遊容量が大きくなる傾向がある。この浮遊容
量を小さくするためには、誘電体層1の誘電率を小さく
するあるいは積層数を少なくするさらには対抗面積も小
さくする以外に対抗距離を大きくする方法もある。それ
には積層体のすべての導体層にコイル形成用の導体層2
を含ませない方法でもよい。つまり、図1から図3に示
した積層複合部品の例では、すべての導体層にコイル形
成用の導体層2とコンデンサ形成用の導体層3を有して
いるが、コンデンサ形成用の導体層3はそのままにし、
コイル形成用の導体層2の一部を省いた積層である。製
造法的には、コンデンサ形成用の導体層3だけを形成し
た誘電体層1とコイル形成用の導体層2とコンデンサ形
成用の導体層3を形成した誘電体層1の2種類をうまく
使い分けて、積層することによってコイル部分の誘電体
層の厚みを増加させることができ、コイルの浮遊容量を
低減することが可能である。
【0026】コイルの浮遊容量を低減する他の方法とし
ては、誘電体層1のコイル形成用の導体層2が存在する
部分とコンデンサ形成用の導体層3が存在する部分の誘
電体材料の誘電率に傾斜あるいは差を持たせる方法もあ
る。つまり、例えば誘電体層1のコイル部分では限りな
く絶縁材料であり、コンデンサ部分では優れた誘電体材
料であるというような使い分けである。
【0027】次に、積層複合部品の製造法について説明
する。前述した3つの積層複合部品において、実施例3
の積層複合部品が最も工程的に多くなるため、これを例
にして図を参照しながら積層複合部品の製造法の一例を
説明する。
【0028】図4(a)は実施例3の積層複合部品の積
層体を各層ごとに分解した図である。このように最も少
ない積層数は3層であり、所定の特性を得るためには図
4(a)に示した誘電体層の内導体パターンを有する誘
電体層と同様の導体パターンを有する誘電体層1を用い
て積層数を増やせばよい。この図に示すような最低数の
場合は、まず誘電体層を形成した後、図4(a)に示す
ような2種類の導体パターンを形成した誘電体層1を順
次積層し、さらに導体パターンを形成していない誘電体
層1を積層して積層体を形成する。次にコイル形成用の
導体パターンの中心部に穴あけをして図4(b)に示す
ような開口部8を形成する。この開口部8は図に示すよ
うに積層体を貫通した穴である。次に図4(c)に示す
ように磁性層6と開口部8を形成した積層体を接合した
後、開口部8に磁性体4を形成する。さらに図4(d)
に示すように積層体の側面に磁性層7を形成する。次に
図4(e)に示すように最上層にも磁性層6を形成し、
積層体はほぼ磁性層6ないし磁性層7で覆われた状態に
する。さらに図4(f)に示すように電極層5を形成し
た後、この積層体を焼成することによって積層複合部品
を得ることができる。
【0029】以上の誘電体層1あるいは磁性層6などは
一般に知られているグリーンシート成形法、印刷法、デ
ッピング法あるいはスピンコート法などで形成すること
ができる。コイル形成用の導体層2あるいはコンデンサ
形成用の導体層3は印刷法が一般的であるが、レーザを
用いたパターン形成あるいはグリーンシート法で所定パ
ターンに打ち抜きさらには金型等で所定形状に予め形成
した導体層を転写するなどの方法でもよい。磁性体4あ
るいは磁性層6の形成方法としては印刷法、積層体の圧
入あるいは鋳込法などによって形成すればよい。例え
ば、印刷法では誘電体層1の形成と同時に磁性体4と磁
性層6の形成を進め、これらがほぼ平坦に積層するよう
に、各々を順次積み上げていけばよい。鋳込法では誘電
体層1を全面に形成した後、磁性体4ないし磁性層6の
形成する部分をあとから形成するかないしは前述したよ
うに、開口部8などのパターンを有する誘電体層1を所
定の積層数まで形成した後、磁性体4ないし磁性層6を
形成する。つまり、へこみ部あるいは開口部8にペース
ト状の磁性材料を鋳込む方法などである。誘電体層1の
厚みは磁性体4あるいは磁性層6のそれよりも厚くなる
ように形成する方が、磁気回路のギャップ調整などが正
確に行える。
【0030】本発明の積層複合部品は耐熱性に優れた積
層複合部品であるためモジュール化することが容易であ
る。例えば、アルミナ基板あるいはフェライト基板など
のセラミック基板に所定の配線層を形成し、基板の配線
と積層複合部品の電極層5との結線を同時に行って一体
化あるいは組立が可能である。この場合、基板の所定場
所に窓をあけて積層複合部品の側面の電極層5とセラミ
ック基板上の配線に結線することが可能になるため、薄
型のモジュールが得られる。この場合は、一般に知られ
ているセラミック基板を用いた通常の厚膜形成プロセス
が適用できる。積層複合部品の電極層5は半田づけを前
提としたものでなく、焼成して電気的に接続するものに
すればよい。半田づけを想定した電極層5の形成法とし
ては、銀あるいは銀パラジウムで電極層5の下地を形成
しておき、この下地電極にさらにNiめっきおよび半田
めっきを施す方法あるいは導電性の金属粉末を含有した
樹脂を用いて電極層5を形成する方法などがある。
【0031】誘電体層1とコイル形成用の導体層2を交
互に積層して形成するコイルの形状としては、ソレノイ
ド型あるいは同一面に何周もしたスパイラル型等があ
る。小型化に対してはソレノイド型が有効である。ソレ
ノイド型は大きな巻数を必要とする場合は積層数が大き
くなるが、導体抵抗は小さくできる。スパイラル型では
大きな巻数を得るには有利であるが、反面導体抵抗が大
きくなる。これらのコイルの形状の特徴といかなる部品
性能が必要かで適宜使い分ける必要がある。
【0032】誘電体層1とコンデンサ形成用の導体層3
を交互に積層して形成するコンデンサは、一般に知られ
る積層型のセラミックコンデンサと同じ構成である。し
かし、本発明の積層複合部品は同一面にコンデンサとコ
イル用の電極を形成するために、コンデンサだけではな
くコイルとしての特性をも考慮する必要がある。例え
ば、誘電率を高くすればコンデンサとしての容量が大き
くなる反面、コイルの浮遊容量が大きくなり複合部品と
しての電気特性が問題となる場合がある。そのため誘電
率あるいはコイル形成用の導体層2とコンデンサ形成用
の導体層3の形成数を適宜決める必要がある。つまり、
コンデンサ用は常に形成するが、コイル用の導体は2層
おきあるいは3層おきなどにして調整する必要がある。
【0033】前記の各層を形成するためのペーストは、
各粉末とブチルカルビトール、テルピネオール、アルコ
ールなどの溶剤、エチルセルロース、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、エチレン−酢酸ビニルなどの結合剤、さらに、各種
の酸化物あるいはガラス類などの焼結助剤を添加し、ブ
チルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、グリセ
リンなどの可塑剤あるいは分散剤等を添加してもよい。
これらを混合した混練物を用いて各層を形成する。これ
らを前述したような所定の構造に積層したものを焼成し
て積層複合部品を得る。グリーンシートを作製する場合
は、前記の溶剤に替えて、蒸発性の優れた各種の溶剤、
例えば酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、ア
ルコールなどが望ましい。
【0034】本発明の積層複合部品の焼成温度範囲とし
ては約800℃から1300℃の範囲である。特に導体
材料によって異なり、例えば、導体材料として銀を用い
れば900℃前後にする必要があり、銀とパラジウムの
合金では950℃で、さらに高温で焼成するには導体材
料にニッケル、パラジウムなどを用いる。
【0035】
【発明の効果】本発明によって、つまり誘電体層と導体
層を交互に積層してなる積層体において、導体層にはコ
イル形成用の導体パターンとコンデンサ形成用の導体パ
ターンを有し、コイル形成用の導体パターンの中心部と
それに対応するには誘電体層に開口部を有し、この開口
部には磁性体を有する積層複合部品にすることによっ
て、薄型で優れた生産性を可能にし、しかも優れた特性
を有する積層複合部品を得ることができる。つまり、同
一面内にコイルとコンデンサを配置しているため、薄型
が可能となり、しかも工法的には一度にコイルとコンデ
ンサの導体層を形成できるため、優れた生産性を確保で
きる可能性がある。さらにコイルの中心部が磁性体で構
成されているため、優れたコイル特性を発揮する。さら
に、種々の電気特性を得るためには磁気回路における磁
性体の長さを自由にコントロールでき、場合によっては
閉磁路構成も可能である。さらに、十分な耐熱性と高い
信頼性をも兼ね備えた優れた積層複合部品であるため、
モジュール化にも対応する積層複合部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の第1の実施例の構成を示す外観
斜視図 (b)同断面図
【図2】(a)本発明の第2の実施例の構成を示す外観
分解斜視図 (b)同断面図
【図3】(a)本発明の第3の実施例の構成を示す外観
分解斜視図 (b)同断面図
【図4】本発明の第3の実施例の製造工程を示す斜視図
【符号の説明】 1 誘電体層 2 コイル形成用の導体層 3 コンデンサ形成用の導体層 4 磁性体 5 電極層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体層と導体層を交互に積層してなる
    積層体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パ
    ターンとコイル形成用の導体パターンを有し、コイル形
    成用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電体層
    に開口部を有し、この開口部には磁性体を有する積層複
    合部品。
  2. 【請求項2】 誘電体層と導体層を交互に積層してなる
    積層体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パ
    ターンとコイル形成用の導体パターンを有し、コイル形
    成用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電体層
    に開口部を有し、この開口部には磁性体を有し、さらに
    積層体の表面に磁性層を有する積層複合部品。
  3. 【請求項3】 誘電体層と導体層を交互に積層してなる
    積層体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パ
    ターンとコイル形成用の導体パターンを有し、コイル形
    成用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電体層
    に開口部を有し、この開口部には磁性体を有し、さらに
    積層体の表面および側面には磁性層を有する積層複合部
    品。
  4. 【請求項4】 誘電体層を形成する工程と、この誘電体
    層の片面にコンデンサ用およびコイル用の導体パターン
    を形成する工程と、この誘電体層と導体パターンを形成
    した誘電体層を積層して積層体を形成する工程と、前記
    コイル用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電
    体に開口部を形成した後開口部に磁性体を充填する工程
    と、この積層体を一括焼成する工程とを有する積層複合
    部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 誘電体層を形成する工程と、この誘電体
    層の片面にコンデンサ用およびコイル用の導体パターン
    を形成する工程と、この誘電体層と導体パターンを形成
    した誘電体層を積層して積層体を形成する工程と、前記
    コイル用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電
    体に開口部を形成した後開口部に磁性体を充填する工程
    と、積層体の表面に磁性層を形成する工程と、この積層
    体を一括焼成する工程とを有する積層複合部品の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 誘電体層を形成する工程と、この誘電体
    層の片面にコンデンサ用およびコイル用の導体パターン
    を形成する工程と、この誘電体層と導体パターンを形成
    した誘電体層を積層して積層体を形成する工程と、前記
    コイル用の導体パターンの中心部とそこに対応する誘電
    体に開口部を形成した後開口部に磁性体を充填する工程
    と、積層体の表面および側面に磁性層を形成する工程
    と、この積層体を一括焼成する工程とを有する積層複合
    部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 誘電体層と導体層を交互に積層してなる
    積層体において、導体層にはコンデンサ形成用の導体パ
    ターンとコイル形成用の導体パターンを有する導体層
    と、少なくとも一層以上のコンデンサ形成用の導体パタ
    ーンのみからなる導体層とを有し、コイル形成用の導体
    パターンの中心部とそこに対応する誘電体に開口部を有
    し、この開口部に磁性体を有する積層複合部品。
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