JPH1027714A - 複合部品およびその製造方法 - Google Patents

複合部品およびその製造方法

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JPH1027714A
JPH1027714A JP8178889A JP17888996A JPH1027714A JP H1027714 A JPH1027714 A JP H1027714A JP 8178889 A JP8178889 A JP 8178889A JP 17888996 A JP17888996 A JP 17888996A JP H1027714 A JPH1027714 A JP H1027714A
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insulator
conductor
conductors
capacitor
composite part
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JP8178889A
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English (en)
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Akihiko Ibata
昭彦 井端
Shinji Harada
真二 原田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は複合部品およびその製造方法に関
し、特に特性の優れた複合部品を提供することを目的と
する。 【解決手段】 絶縁体1内に各ターン部の径が一端から
他端にかけて徐々に異なるとともに、少なくとも各ター
ン部が異なる平面内に位置する導体2を複数有し、さら
に絶縁体1内でしかも導体2の間にコンデンサ11を設
け、しかもこれらの端子と導体2の一端とを接続した構
成としたものである。この構成により、導体2間の浮遊
容量が小さく、導体2間の相互干渉を小さく押さえるこ
とができ、導体2の直流抵抗も小さくすることが可能な
優れた電気特性を有し、しかも少ない工数で、容易に製
造可能な構造を有する複合部品となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は各種電子機器、通信
機器などに利用される複合部品およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】複合部品は各種電子機器、通信機器など
に多用されており、近年は小型あるいは薄型の複合部品
がますます要求されており、しかも、回路の高周波化や
ディジタル化に伴ってノイズ対策部品としての複合部品
もますます重要になってきている。
【0003】従来のこれらの要望を満たす複合部品とし
ては、フェライト磁性層とコイル用導体層を交互に積層
して得られる積層型コイル部品(例えば特公昭57−3
9521号公報)にさらに積層セラミックコンデンサを
重ねたLC複合部品などがある。
【0004】L(コイル)とC(コンデンサ)からなる
複合部品ではCの容量もさることながらLの大きさも複
合部品の特性に重要である。つまり、種々の減衰特性の
複合部品を得るには種々の電気特性のコイル部分を形成
することが必要となる。
【0005】この積層型コイル部品は図12、図13に
示すようにフェライトのグリーンシート20上の半分に
印刷によるフェライト層21を形成し、このフェライト
層21のない部分とフェライト層21の一部に印刷によ
りL字状の導体パターン22を形成し、この導体パター
ン22上にグリーンシート20の約半分のフェライト層
23を印刷し、上記導体パターン22と連続するように
フェライト層21上とフェライト層23の一部にU字状
の導体パターン24を印刷し、この工程を数回繰返して
最上層にフェライトのグリーンシート20を積層したも
のを一括焼成し、この積層体の両端に端面電極25を形
成して構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記構成によるもので
は、大きなインダクタンスを得るためには導体パターン
の巻数を多くすることが必要となり、きわめて多くのフ
ェライト層21,23、導体パターン22,24を積層
印刷する必要があり、生産工数が増えて生産性の点で問
題があり、しかも、導体パターン24はフェライト層2
3を介して相対向するように形成されるため、導体パタ
ーン間の浮遊容量が大きくなり、コイル部品としては自
己共振周波数が小さくなったり、耐圧が小さいあるいは
複合部品を構成するコイル部品として用いた場合、減衰
量の周波数特性が悪くなるという問題があった。
【0007】さらに、この積層型複合部品を構成するコ
イル部品では、フェライト層の一部に導体パターンが形
成されるため、コイル導体抵抗を低減するために導体パ
ターンの厚さを厚くすると、全体の厚みが導体パターン
22,24のある部分とない部分では大きく異なり、焼
成してもクラックが発生したりして安定した品質の複合
部品を得ることができないものであった。
【0008】本発明は以上のような従来の欠点を除去
し、生産性に優れ、しかも浮遊容量が小さく電気特性に
優れた複合部品およびその製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の複合部品は、絶縁体内あるいは表面に複数タ
ーンからなり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐
々に異なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面
内に位置した導体を複数個有し、さらに導体の間にコン
デンサ、コイルあるいは抵抗を設け、しかもこれらの端
子と前記導体の一端とを接続した構成としたものであ
る。
【0010】この本発明によれば、生産性に優れ電気特
性の優れた複合部品が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、絶縁体内あるいは表面に複数ターンからなり、各タ
ーン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるととも
に少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置した導体
を複数有し、さらに導体の間にコンデンサ、コイルある
いは抵抗を設け、しかもこれらの端子と前記導体の一端
とを接続する構成としたものであり、生産しやすくしか
も導体の各ターン部間の浮遊容量が小さく、また複数の
導体間にコンデンサ等を配置するため磁気的な結合等を
少なくできるため電気特性の優れたものとすることがで
きる。例えば、コンデンサを含む複合部品の場合、優れ
た減衰特性を発揮するLC複合部品となる。
【0012】請求項2に記載の発明は、コンデンサ、コ
イルあるいは抵抗が導体の径が小さい位置に設けた構成
としたものであり、前記導体で形成されるコイル部のデ
ッドスペースを有効に活用できるため、小型の複合部品
とすることができる。
【0013】請求項3に記載の発明は、円錐形状または
角錐形状の中空部を設けた中空体状の絶縁体を形成する
工程と、円錐形状または角錐形状の絶縁体を形成する工
程のいずれか一方ないしは両方の工程と、中空体状の絶
縁体の内面あるいは円錐形状または角錐形状の絶縁体の
表面に複数ターンからなり各ターン部の径が一端から他
端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン部
が異なる平面内に位置するように導体を複数形成する工
程と、中空体状の絶縁体あるいは円錐形状または角錐形
状の絶縁体内でしかも導体の間にコンデンサ、コイルあ
るいは抵抗を設ける工程を有する複合部品の製造方法で
あり、生産しやすく、しかも得られた複合部品のコイル
を形成する導体の各ターン部間の浮遊容量が小さく電気
特性の優れたものとすることができる。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項3記載の
発明に対してさらに中空体状の絶縁体あるいは円錐形状
または角錐形状の絶縁体の上下端面の少なくともいずれ
か一方に端面層を形成する工程を付加したものであり、
得られる複合部品の表面実装性、強度あるいは各部品間
の電気的接続を容易にすることが可能となる。
【0015】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて説明する。まず、図1に本発明の複合部品の代表
的な一例の断面図を示す。絶縁体1内に導体2を2つ有
する。この導体2は複数ターンからなり、一端から他端
にかけて各ターン部の径が徐々に大きくなる円で形成さ
れ、しかも各ターン部の位置がそれぞれ異なる平面内に
位置している。さらに、具体的な例としては、導体2の
一端は小径の円で形成され、他端側になるにつれて徐々
に径が大きくなる円で形成され、その各ターン部は終端
あるいは始端で立上がってまたは立下がって隣りのター
ン部と接続されている。したがって、各ターン部は同一
平面内に位置し、隣接するターン部は立上がりや立下が
り部によって異なった平面部に位置し、かつ、その径が
異なるように設定されている。別の例としては、導体2
は一端から他端にかけて徐々に径が大きくなるとともに
その位置が全て異なる平面内に位置する立体的うず巻状
がある。
【0016】図1では、導体2の径の大きい部分が上で
径の小さい部分が下に位置している。絶縁体1の上下端
面部分には端面層5,6が存在する。端面層5,6には
端面電極7,8,9がある。絶縁体1内にはさらに図1
に示すように、1つのチップ状のコンデンサ11を有す
る。コンデンサ11は2つの導体2の間に位置してお
り、しかも図1の例では導体2の径が小さい部分にあ
る。図1に示した複合部品は2つの導体2で構成される
2つのコイルと1つのコンデンサ11の3つの部品から
構成されており、電気回路的には図2に示したようなT
型のLCフィルタである。図1に示した引出電極3,4
および結線10は図2に示した電気回路になるようにコ
イル、コンデンサおよび端面電極7,8,9をそれぞれ
電気的に接続している。
【0017】図1に示した絶縁体1および端面層5,6
は非磁性体であっても磁性体であってもよい。
【0018】非磁性体としては、ガラスエポキシ、ポリ
イミドなどの有機系の絶縁材料、ガラス、ガラスセラミ
ックスあるいはセラミックスなどの無機系の絶縁材料な
どの電気的に絶縁性があればどのようなものであっても
よい。
【0019】磁性体としては、NiZn系やNiZnC
u系などの一般に知られる透磁率が大きいフェライト材
料であればよい。
【0020】絶縁体1あるいは端面層5,6を磁性体と
した場合はインダクタンス値を大きくすることができ、
非磁性体とした場合は大きなインダクタンス値を得るこ
とはできないが、自己共振周波数が高くなり使用できる
周波数帯域は広くなる。
【0021】また、導体2あるいは引出電極3,4さら
には結線10の材料としては電気的に良導体であれば何
でもよいが、抵抗率が重要で低抵抗なものが複合部品に
は要求されるため銅、銀とパラジウム合金あるいは銀な
どの導体材料が有効である。
【0022】端面電極7,8,9としては導電性材料で
あればよいが、一般的には単一層でなく複数層から構成
されることが望ましく表面実装用とした場合にはプリン
ト配線板への実装時の実装強度あるいは実装時の半田の
濡れ性、半田くわれなどを配慮する必要があり、具体的
には最下層は引出電極3,4などと同じ導体材料を用
い、中間層には半田に対して耐性を有するニッケルを用
い、最外層には半田に対して濡れ性の良い半田あるいは
錫を用いる。
【0023】しかしながら、これは一例であり、必ずこ
の構成を採用する必要はなく、金属等の導電性に優れた
材料以外に導電性樹脂材料を含んでもよい。
【0024】また、アルミナやフェライトなどのセラミ
ック基板に所定の配線パターンを形成し、セラミック基
板に窓を設けて複合部品を挿入し、配線パターンと複合
部品の端面電極7,8,9を接触させ厚膜形成プロセス
を用いて焼成して電気的に接続するため、耐熱性を高
め、この厚膜形成プロセスに対応する構成とすることも
考えられる。
【0025】次に、図3に示す複合部品について説明す
る。複合部品としての構成は基本的には図1に示したの
と同じである。図3の異なる点は導体2を取り巻く絶縁
体1を導体2の外側に位置する外側絶縁体14と導体2
の内側に位置する内側絶縁体15の2つの部分に分け、
しかもこれらの2つの部分を磁気的性質の異なるもので
構成したものである。外側絶縁体14を磁性体で構成
し、内側絶縁体15を非磁性体で構成するとコイル部品
としては、絶縁体1を磁性体で構成した場合に比べてイ
ンダクタンス値が小さくなるが、直流重畳特性を大幅に
改善することができる。つまり、電流値を変化させても
インダクタンス値の変化を小さくでき、許容電流値を大
きくすることができる。
【0026】外側絶縁体14あるいは内側絶縁体15を
非磁性体で構成する極端な例としては、外側絶縁体14
あるいは内側絶縁体15のどちらかを無くし、空気とし
た場合がある。この場合、導体2は外側絶縁体1あるい
は内側絶縁体3のどちらかの存在する方の表面に形成す
ればよい。また、この場合は端面層5あるいは6が2つ
の導体2およびコンデンサ11を一体化させる役割を有
することになる。
【0027】また、外側絶縁体14と内側絶縁体15が
共に磁性体であり、しかも磁気的に磁束密度の異なる特
性のものにすることによって、直流重畳特性の改善が可
能となる。
【0028】さらに、外側絶縁体14と内側絶縁体15
が共に磁性体であり、しかも磁気的に透磁率の異なる特
性のものにすることによって、同一導体構造でインダク
タンス値の異なる複合部品を得ることができる。この場
合、外側絶縁体14と内側絶縁体15との透磁率の大小
関係には特に限定はない。
【0029】以上のように外側絶縁体14と内側絶縁体
15の磁気的性質を適当に選ぶことにより、複合部品と
してのインダクタンス値を任意に選ぶことができるとと
もに、漏洩磁束あるいは直流重畳特性のコントロールも
自由に行えることになる。
【0030】導体2の断面形状は、偏平な長方形状以外
に導体2の断面積を大きくして導体抵抗を小さくし、大
電流用としても使用できる。この場合、導体2の断面形
状としては、三角形、円形、楕円形、半円形、多角形あ
るいは長円形などの種々のものが可能である。このよう
な断面形状の導体2を得るには、例えば、外側絶縁体1
4の内面に階段状の段差部を設け、この段差部に導電ペ
ーストを塗布して硬化させた後、焼結させることによっ
て断面三角形の導体2を実現することができる。
【0031】なお、導体2の形状としてはこれまで円形
状の例を示したが、角形状などでもよい。つまり、本
来、面実装型の複合部品としては角柱状が好まれてお
り、角柱状の複合部品においては角形状のターン部で構
成し複合部品の外形いっぱいの角形状のターン部を形成
することが可能になる。このような導体2を得るには、
例えば、絶縁体に角錐状の中空部を形成して、この中空
部の傾斜面に導体2を形成し、さらにこの中空部を絶縁
体で充填することによって絶縁体内に角形状のターン部
を構成することができる。
【0032】以上数多くの例で説明した通り、絶縁体1
内あるいは表面に各ターン部の径が一端から他端にかけ
て徐々に異なるとともに、少なくとも各ターン部が異な
る平面内に位置した導体2が連続的に形成される構成の
ため、従来の積層構造とは異なり、生産しやすく、歩留
りの向上を図ることができるとともに、近隣のターン部
が絶縁体1を介して面対向しないため、浮遊容量の発生
も最小限に抑えられるため、自己共振周波数が小さくな
ってフィルタなどとして用いた場合広帯域で高い減衰量
を得られないといったことが阻止でき、品質面、性能面
で著しく優れた複合部品とすることができる。
【0033】なお、上記実施の形態においては、面実装
タイプとして両端等に端面電極7,8,9を設けたもの
についてのみ説明してきたが、絶縁体1にピン端子を植
設したものや、端面電極7,8,9の代りに端子を有す
るキャップ状電極を絶縁体1の両端に嵌合結合したリー
ドタイプの複合部品とすることもできる。
【0034】次に、本発明の複合部品の製造方法につい
て説明する。本発明の複合部品の製造方法は、円錐形状
または角錐形状の中空部を中央に設けた中空体状の絶縁
体(外側絶縁体14)を形成する工程と、円錐形状また
は角錐形状の絶縁体(内側絶縁体15)を形成する工程
のいずれか一方ないしは両方の工程と、外側絶縁体14
の内面あるいは内側絶縁体15の表面に複数ターンから
なり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
するように導体2を複数形成する工程と、外側絶縁体1
4あるいは内側絶縁体15内にしかも導体2の間にコン
デンサ、コイルあるいは抵抗を設ける工程と、あるいは
さらに外側絶縁体14あるいは内側絶縁体15の上下端
面の少なくともいずれか一方に端面層5,6を形成する
工程をさらに付加した複合部品の製造方法である。
【0035】前述したように、外側絶縁体14あるいは
内側絶縁体15ないし端面層5,6の形成の有無などに
差はあるものの基本的には前述したように、絶縁体1内
あるいは表面に各ターン部の径が一端から他端にかけて
徐々に異なるとともに、少なくとも各ターン部が異なる
平面内に位置した複数個の導体2と絶縁体1内でしかも
導体2の間にコンデンサ、コイルあるいは抵抗を設ける
ものである。つまり、絶縁体1の傾斜状あるいは階段状
の面に導体2を形成するため、優れた生産性で複合部品
を得ることができる。
【0036】次に、さらに詳細な本発明の複合部品の製
造方法について、図を参照しながら説明する。
【0037】図4から図11は本発明の複合部品の製造
方法を工程順に示した断面図である。まず、図4に示す
ように円錐形状または角錐形状の中空部12を2つ形成
した中空体状の外側絶縁体14を形成する。つまり、中
空部12の形状は円錐ないしは角錐状である。さらに、
外側絶縁体14はコンデンサ11を収容することができ
る1つの開口部13も合わせて設けてある。
【0038】前述した形状の内面を有する中空体状の外
側絶縁体14を形成する方法としては、この内面に噛み
合うことのできる凸部を有する支持体上にスラリー状の
絶縁体1を流し、乾燥後この支持体から分離することに
よって、絶縁体1に特定の中空部12を形成することが
できる。また、別の方法としては前記と同様にスラリー
状の絶縁体1を平坦な支持体上に流し込み平滑なシート
状の絶縁体1を形成した後、前述した所定の中空部12
を形成するための形状を有する金型で絶縁体1に特定の
中空部12を形成する方法である。さらには、通常一般
に知られた粉末成型法によって同様に特定の中空部12
を有する中空体状の外側絶縁体14を形成することがで
きる。いずれの方法でも図4に示したように、前述した
特定の内面を有する中空体状の外側絶縁体14を形成す
ることができる。また、コンデンサ11を収容する開口
部13についても前述と同様の方法で形成できる。
【0039】次に、図5に示すように外側絶縁体14の
2つの中空部12の内面に導体2を形成する。導体2は
図5に示すように内面全面に形成する。
【0040】さらに、図6に示すように外側絶縁体14
の2つの内面に形成した導体2を図に示すようにパター
ン形成する。それぞれの導体2は複数ターンからなり各
ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとと
もに、少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置する
ようにパターンを形成する。この場合は、立体渦巻状で
あり、つまり蚊取り線香の中央を持ち上げたような形状
である。
【0041】導体2の形成面としては、前述した斜面以
外に階段状の段付き面に形成してもよい。さらに、単純
な円錐面あるいは角錐面状であっても導体2を前述した
ように、複数ターンからなり各ターン部の径が一端から
他端にかけて徐々に異なるとともに少なくとも各ターン
部が異なる平面内に位置するように導体2をこの内面に
形成すればよい。一方、単純な傾斜面ではなく階段面の
場合には、例えば、階段面の隅に導体2を形成した場
合、全体的には複数ターンからなり、各ターン部の径が
一端から他端にかけて徐々に異なるとともに、少なくと
も各ターン部が異なる平面内に位置するように導体2が
形成される必要がある。
【0042】導体2のさらに具体的なものとしては、前
述したように導体2の各ターン部が一端から他端にかけ
て同じ平面内に形成され、各ターン部の終端あるいは始
端で隣り合うターン部と接続されたものなどがある。
【0043】次に、図7に示すように1つの開口部13
に1つのコンデンサ11を埋め込む。
【0044】導体2を形成した外側絶縁体14は図8に
示すように、外側絶縁体14の底面に導体2の導体径の
小さい側の導体端部およびコンデンサ11の端の電極と
接合できる結線10を予め形成した端面層6を接合す
る。また、この端面層6にはコンデンサ11の他端の電
極と接合され結線10とは絶縁されたスルーホールを形
成しておく。
【0045】次に、図9に示すように外側絶縁体14と
端面層6で形成された中空部12に絶縁体を充填し、内
側絶縁体15を形成する。
【0046】図10に示すように、端面層6を形成した
時と同様に外側絶縁体14の底面、結線10を形成した
反対面に導体2の導体径の大きい側の導体端部と接合可
能な引出電極3,4を予め形成した端面層5を外側絶縁
体14と内側絶縁体15の端面に接合する。
【0047】さらに、図11に示すように端面層5,6
の2面に端面電極7,8および9を形成する。得られた
この積層体を焼成することによって複合部品を得ること
ができる。しかし、焼成は端面電極7,8および9を形
成せずにさらにはコンデンサ11を挿入せずに行っても
よい。つまり、端面電極7,8および9を形成していな
いものあるいはさらにコンデンサ11を挿入していない
ものを焼成し、焼成後にコンデンサ11を挿入したりあ
るいはさらに端面電極7,8および9を形成する方法で
ある。この場合の形成法の一例を説明すると、図11に
示した端面電極7,8および9と同様の形状に導体層を
形成し、一度焼成する。その後、開口部13にコンデン
サ11を挿入し、さらに焼成前に形成した導体層を電極
にして、ニッケルめっきおよび半田あるいは錫めっきを
施す。最終的には、端面電極7,8および9は焼成によ
って形成した下地の導体層と電気めっきによって形成し
たニッケルおよび半田ないしは錫の3層構造である。な
お、コンデンサ11を最後に挿入する方法では、端面層
6にもコンデンサ11を挿入するための開口部13を設
けておく必要がある。
【0048】以上の外側絶縁体14、内側絶縁体15あ
るいは端面層5,6は一般に知られているグリーンシー
ト成形法、印刷法、ディッピング法、粉末成型法あるい
はスピンコート法などで形成することができる。導体2
あるいは引出電極3,4さらには結線10は印刷法が一
般的であるが、レーザを用いたパターン形成、金型等で
所定形状に予め形成した導体を転写する方法、滴下、ポ
ッティングあるいは溶射法などの方法でもよい。
【0049】本発明の製造方法で得られる複合部品は耐
熱性に優れた複合部品であるためモジュール化すること
が容易である。例えば、アルミナ基板あるいはフェライ
ト基板などのセラミック基板に所定の配線層を形成し、
基板の配線と複合部品の端面電極7,8ないし9との結
線を同時に行って、一体化あるいは組立が可能である。
【0050】この場合、基板の所定場所に窓をあけて複
合部品の側面の端面電極7,8ないし9とセラミック基
板上の配線に結線することが可能になるため、薄型のモ
ジュールが得られる。この場合は、一般に知られている
セラミック基板を用いた通常の厚膜形成プロセスが適用
できる。複合部品の端面電極7,8ないし9は半田づけ
を前提としたものでなく、焼成して電気的に接続するも
のにすればよい。
【0051】以上のコイルを形成する導体2の2つの端
子は、チップ部品の端面に形成して端面電極7,8ない
し9と電気的に接続された状態である。つまり、導体2
の最上部および最下部には端面電極7,8ないし9と電
気的に結線するための引出電極4,5ないし端面層6の
スルホールを有して端面電極7,8ないし9につながっ
ている。
【0052】前記の各層を形成するためのペーストは、
各粉末とブチルカルビトール、テルピネオール、アルコ
ールなどの溶剤、エチルセルロース、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド、エチレン−酢酸ビニルなどの結合剤、さらに、各種
の酸化物あるいはガラス類などの焼結助剤を添加し、ブ
チルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、グリセ
リンなどの可塑剤あるいは分散剤等を添加してもよい。
これらを混合した混練物を用いて各層を形成する。これ
らを前述したような所定の構造に積層したものを焼成し
て複合部品を得る。グリーンシートを作製する場合は、
前記の溶剤に替えて蒸発性の優れた各種の溶剤、例えば
酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、アルコー
ルなどが望ましい。
【0053】焼成温度範囲としては約800℃から13
00℃の範囲である。特に導体材料によって異なり、例
えば、導体材料として銀を用いれば900℃前後にする
必要があり、銀とパラジウムの合金では950℃で、さ
らに高温で焼成するには導体材料にニッケル、パラジウ
ムなどを用いる。
【0054】
【実施例】次に本発明の更に具体的な実施例について説
明する。
【0055】(実施例1)NiZnCu系フェライト粉
末100gに対してブチラール樹脂を8g、ブチルベン
ジルフタレートを4g、メチルエチルケトンを24gお
よび酢酸ブチルを24g混合し、ポットミルを用いて混
練してフェライトスラリーを作製した。
【0056】このスラリーを使い、コータを用いて乾燥
後厚み0.2mmのフェライトグリーンシートを作製し
た。なおグリーンシートはPETフィルム上に形成し
た。
【0057】このフェライトグリーンシートを3枚積み
重ねて積層した。フェライトグリーンシートの積層には
熱プレスを用い、熱プレスの定盤温度は100℃に設定
し、圧力は500kg/cm2であった。図4に示した
ような中空体状の外側絶縁体14の内面に複数ターンか
らなり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異
なるとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位
置するように導体2を形成することができるような所定
の内面を形成するための形状を有する金型を用いて、パ
ンチャーを使用して前記の積層したフェライトグリーン
シートに所定の内面を形成し、円錐形状の中空部を設け
た中空体状の外側絶縁体14を形成した。さらに、外側
絶縁体14には1つのコンデンサを収容可能な1つの開
口部13も合わせて設けている。図4に示した図と異な
り外側絶縁体14の内面の形状は単純な斜面ではなく、
ここでは階段状の斜面を形成した。
【0058】次に、市販の銀ペーストと印刷機を用い
て、外側絶縁体14の内面に複数ターンからなり各ター
ン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとともに
少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するように
導体2を2つ形成した。なお、印刷方法は一般に知られ
るスルーホール印刷と同様に外側絶縁体14の印刷面の
反対面から吸収し、内面の階段状斜面の隅に銀ペースト
が残されるように行った。
【0059】次に図8に示すように、先に作製したフェ
ライトグリーンシート(厚みが0.2mm)に前記と同
じ銀ペーストと印刷機を用いて、結線10を形成した。
さらに、端面層6と導体2を形成した外側絶縁体14を
張り合わせた。
【0060】さらに、図9に示したように外側絶縁体1
4の内面、つまり2つの中空部12に前述したフェライ
トスラリーを流し込みほぼ平坦なフェライトグリーンシ
ートを作製した。つまり、この充填によって内側絶縁体
15を形成した。
【0061】次に図10に示すように、先に作製したフ
ェライトグリーンシート(厚みが0.2mm)に前記と
同じ銀ペーストと印刷機を用いて、引出電極3,4を形
成した。さらに、端面層5と内側絶縁体15、導体2な
どを形成した外側絶縁体14を張り合わせた。
【0062】さらに、図11に示すような端面電極7,
8,9を市販の銀ペーストを用いて形成し、900℃で
2時間保持する条件で焼成した。
【0063】以上の方法で得られた本発明の複合部品に
は剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
【0064】次に、焼成したものの1つの開口部13に
それぞれコンデンサ11を挿入および電気的に接続し
て、図2に示したようなコイルが2つでコンデンサが1
つのT型のLCフィルタを作製し、インピーダンスアナ
ライザあるいはネットワークアナライザなどを用いて、
各種の電気特性を測定したところ、優れた特性を有する
複合部品であった。
【0065】このように本発明の複合部品は従来の積層
型の複合部品よりも少ない工数でコイル部を形成するこ
とができ、優れた電気特性を有する複合部品を得ること
ができる。
【0066】(実施例2)実施例1と同様にNiZnC
u系フェライト粉末100gに対してブチラール樹脂を
6g、ブチルベンジルフタレートを4g、酢酸ブチルを
50g混合し、ポットミルを用いて混練してフェライト
スラリーを作製した。
【0067】このスラリーを使い、実施例1と同様に中
空体状の外側絶縁体14の内面に複数ターンからなり各
ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なるとと
もに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置するよ
うに導体2を2つ形成することができ、さらにコンデン
サ11を挿入するための開口部13を形成することがで
きるシート状のポリイミド上にコータを用いて乾燥後厚
み0.6mmのフェライトグリーンシートを作製し、外
側絶縁体14を形成した。
【0068】次に、実施例1と同様に外側絶縁体14の
内面に導体2を形成した。さらに、図8以降に示すよう
に、実施例1と同様の方法で端面層5,6、内側絶縁体
15、引出電極3,4および端面電極7,8,9などを
形成し、900℃で2時間保持する条件で焼成した。
【0069】以上の方法で得られた本発明の複合部品に
は剥離、割れ、反りなどの欠陥は認められなかった。
【0070】次に、実施例1と同様に、焼成したものの
1つの開口部13にコンデンサ11を挿入および電気的
に接続して、図2に示したようなコイルが2つであり、
コンデンサが1つのT型のLCフィルタを作製し、イン
ピーダンスアナライザあるいはネットワークアナライザ
などを用いて、各種の電気特性を測定したところ、優れ
た特性を有する複合部品であった。
【0071】このように本発明の複合部品は従来の積層
型の複合部品よりも少ない積層数で優れた電気特性を有
する複合部品を得ることができる。さらに、この方法は
実施例1に示した方法よりも外側絶縁体14を一工程で
形成し工数的にも有利な方法であった。
【0072】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の
複合部品を形成するコイル部分は、積層構造ではないた
め生産性に優れ、しかも絶縁体内あるいは表面上の円錐
形状または角錐形状の表面の傾斜あるいは階段状の斜面
上に導体を位置させているため高さを低く抑えることが
でき、かつ、導体のターン部間での浮遊容量も殆ど発生
せず、しかも導体間にコンデンサ等を配置しているた
め、導体間の相互干渉を小さくすることができ、電気特
性の優れたものとすることができ、産業的価値の大なる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合部品の一実施の形態を示す断面図
【図2】本発明の複合部品の電気的等価回路図
【図3】他の実施の形態の模式的に示した断面図
【図4】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図5】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図6】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図7】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図8】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図9】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な断
面図
【図10】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図11】本発明の複合部品の製造方法を示す模式的な
断面図
【図12】従来の複合部品を示す概略斜視図
【図13】同分解斜視図
【符号の説明】
1 絶縁体 2 導体 3,4 引出電極 5,6 端面層 7,8,9 端面電極 10 結線 11 コンデンサ 12 中空部 13 開口部 14 外側絶縁体 15 内側絶縁体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体内あるいは表面に複数ターンから
    なり各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異な
    るとともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置
    した導体を複数個有し、さらに前記導体の間にコンデン
    サ、コイルあるいは抵抗を有し、しかもこれらの端子と
    前記導体の一端とを接続してなる複合部品。
  2. 【請求項2】 コンデンサ、コイルあるいは抵抗を導体
    の径の小さい位置に設けた請求項1記載の複合部品。
  3. 【請求項3】 円錐形状または角錐形状の中空部を設け
    た中空体状の絶縁体を形成する工程と、円錐形状または
    角錐形状の絶縁体を形成する工程のいずれか一方ないし
    は両方の工程と、中空体状の絶縁体の内面あるいは円錐
    形状または角錐形状の絶縁体の表面に複数ターンからな
    り各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なる
    とともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置す
    るように導体を複数形成する工程と、中空体状の絶縁体
    あるいは円錐形状または角錐形状の絶縁体内でしかも導
    体の間にコンデンサ、コイルあるいは抵抗を設ける工程
    を有する複合部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 円錐形状または角錐形状の中空部を設け
    た中空体状の絶縁体を形成する工程と、円錐形状または
    角錐形状の絶縁体を形成する工程のいずれか一方ないし
    は両方の工程と、中空体状の絶縁体の内面あるいは円錐
    形状または角錐形状の絶縁体の表面に複数ターンからな
    り各ターン部の径が一端から他端にかけて徐々に異なる
    とともに少なくとも各ターン部が異なる平面内に位置す
    るように導体を複数形成する工程と、中空体状の絶縁体
    あるいは円錐形状または角錐形状の絶縁体の上下端面の
    少なくともいずれか一方に端面層を形成する工程と、中
    空体状の絶縁体あるいは円錐形状または角錐形状の絶縁
    体内でしかも導体の間にコンデンサ、コイルあるいは抵
    抗を設ける工程を有する複合部品の製造方法。
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JP2005303106A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd インダクタ及び複合素子

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005303106A (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd インダクタ及び複合素子
JP4572567B2 (ja) * 2004-04-14 2010-11-04 パナソニック株式会社 インダクタ複合部品及び複合素子

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