JPH09235288A - シランカップリング剤 - Google Patents

シランカップリング剤

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JPH09235288A
JPH09235288A JP8044488A JP4448896A JPH09235288A JP H09235288 A JPH09235288 A JP H09235288A JP 8044488 A JP8044488 A JP 8044488A JP 4448896 A JP4448896 A JP 4448896A JP H09235288 A JPH09235288 A JP H09235288A
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Yoshiharu Suzuki
芳治 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス繊維製品に優れた耐熱性を付与できる
だけでなく、水溶性に優れ、水性溶媒を用いる処理に好
適なシランカップリング剤を提供する。 【解決手段】 一方の末端にビニルベンジル基、他方の
末端にトリアルコキシシリル基を有し、これら両末端基
の間に含窒素アルキレン基を有するシラン化合物または
その塩(A)と酸無水物(B)との反応物からなること
を特徴とするシランカップリング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシランカップリング
剤およびこのシランカップリング剤で処理した積層板用
ガラス繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】近
年、ガラス繊維を補強材とし、不飽和ポリエステルやエ
ポキシ樹脂をマトリックスとするプリント配線基板が多
く用いられるようになってきている。このようなプリン
ト配線基板は、銅箔回路を形成したプリント配線板とな
り、さらにIC、LSI等のチップを装着してコンピュ
ーター、通信機器等に使用される。
【0003】プリント配線板にチップ部品を装着する場
合、従来はプリント配線板に空けられたスルーホール部
分にチップの足を挿入し、溶融半田にディップして半田
によるチップの固定を行うディップ法が採用されてい
た。しかし、チップの高集積化に伴い、チップの固定は
半田ペーストによる点付け法に変わりつつある。点付け
法の場合には、瞬間的に半田ペーストを溶融してチップ
を接着固定する必要があるため、ディップ法よりもさら
に高温での加熱が行われる。この際の加熱によりプリン
ト基板自体にも熱衝撃が加わり、その結果、基材織物の
タテ糸とヨコ糸の交点部分にミーズリングと呼ばれる小
さな剥離が起こる場合がある。このような剥離が起こる
と、スルーホールメッキ時に、メッキ液がこの剥離部分
に浸み込み、その結果不必要な部分での回路導通が起こ
るという問題があった。
【0004】また、ガラス繊維とマトリックスの密着力
が弱いとスルーホール内壁が粗くなり、メッキ液がガラ
ス繊維とマトリックスの界面に浸み込み、やはり不必要
な部分での回路導通が起こることになる。
【0005】ガラス繊維とマトリックスの接着力を増大
し、かつプリント基板の耐熱性を改良するためにガラス
繊維をシランカップリング剤で処理する方法が採られて
いる。このようなシランカップリング剤としては、
(a)γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
または(b)N−(ビニルベンジル)−β−アミノエチ
ル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランの塩酸塩等
が用いられるが、前者のシランカップリング剤(a)は
化合物自体の耐熱性が充分でなく、また後者のシランカ
ップリング剤(b)はアミノ基の部分が樹脂の含浸を阻
害するため充分な効果は得られていない。
【0006】そこで特開平2−279688号公報は、
上記シランカップリング剤(b)中のアミノ基にハロゲ
ン含有スチレン誘導体を付加させることにより、特に耐
ミーズリング特性を高めたシランカップリング剤を提案
している。しかしながら、ハロゲン含有スチレン誘導体
を付加させたシランカップリング剤は、疎水性であり、
水溶性が劣り、ガラス繊維織物のシランカップリング剤
処理は工業的にはほとんどが溶媒として水が使われてい
ることから、大きな問題となる。
【0007】本発明の第一の目的は、含浸性に優れ、補
強材であるガラス繊維製品に優れた耐熱性を付与するこ
とができるだけでなく、それ自体水溶性に優れ、水性溶
媒を用いるシランカップリング剤処理を工業的に円滑に
行なうことができる、新規なシランカップリング剤を提
供することである。
【0008】本発明の第二の目的は、上記の新規シラン
カップリング剤を用いて、耐熱性に優れた積層板を得る
ことができるガラス繊維製品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の目的は、
一方の末端にビニルベンジル基、他方の末端にトリアル
コキシシリル基を有し、これら両末端基の間に含窒素ア
ルキレン基を有するシラン化合物またはその塩(A)と
酸無水物(B)との反応物からなることを特徴とするシ
ランカップリング剤によって達成された。
【0010】本発明の第二の目的は、上記第一の目的を
達成するシランカップリング剤で処理された積層板用ガ
ラス繊維製品によって達成された。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のシランカップリング剤
は、シラン化合物またはその塩(A)と酸無水物(B)
との反応物からなることを特徴とするものであり、本発
明のシランカップリング剤は、含浸性に優れ、ガラス繊
維製品に優れた耐熱性を付与できるというシラン化合物
またはその塩(A)の利点をそのまま活かし、同時に、
シラン化合物またはその塩(A)に酸無水物(B)を反
応させることにより、水溶性を向上させ、水性溶媒を用
いるシランカップリング剤処理を工業的に円滑に行なう
ことを可能にしたものである。
【0012】本発明のシランカップリング剤において、
その原料であるシラン化合物またはその塩(A)は、一
方の末端にビニルベンジル基、他方の末端にトリアルコ
キシシリル基を有し、これら両末端基の間に含窒素アル
キレン基を有するシラン化合物またはその塩である。
【0013】シラン化合物またはその塩(A)として
は、一般式(I)
【化3】 で示されるシラン化合物またはハロゲン化水素塩が好ま
しい。
【0014】ここに、一般式(I)において、Rは炭素
数1〜4のアルキル基であるが、メチル基、エチル基が
好ましい。mはビニルベンジル基の数を示し、1または
2の整数である。xは窒素原子上の水素の数を示し、m
が1のとき、xは1であり、mが2のとき、xは零であ
る。nは基
【化4】 の数を示し、1〜2の整数である。
【0015】一般式(I)のシラン化合物の特に好まし
いものとして、下記のものが挙げられる。
【0016】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】 上記シラン化合物またはその塩(A)と反応させる酸無
水物(B)としては、無水酢酸、無水こはく酸などが挙
げられる。
【0017】シラン化合物またはその塩(A)と酸無水
物(B)との反応は、より具体的にはシラン化合物また
はその塩(A)中の−NH2基と酸無水物(B)との反
応であり、下式により示される。
【0018】
【化9】 上記反応に遊離のシラン化合物を用いる場合、シラン化
合物の活性窒素原子1個に対して、酸無水物分子を0.
2〜1個用いるのが好ましい。一方、上記反応にシラン
化合物の塩を用いる場合、シラン化合物の塩の活性窒素
原子1個に対して、酸無水物分子を0.2〜1個用いる
のが好ましい。
【0019】本発明のシランカップリング剤を構成す
る、シラン化合物またはその塩(A)と酸無水物(B)
との反応物とは、シラン化合物またはその塩(A)中の
アミノ基(イミノ基)と酸無水物(B)とが反応して得
られた反応生成物を主要成分として含み、場合により未
反応のシラン化合物またはその塩(A)および/または
酸無水物(B)を含むものを意味する。
【0020】本発明のシランカップリング剤を用いる積
層板用ガラス繊維製品の処理は常法により行なわれる。
特に代表的な方法を記すと以下のとおりである。
【0021】シランカップリング剤を濃度0.05〜
5.0wt%、好ましくは0.1〜2.0wt%となる
ように蒸留水で希釈し、酢酸でpHを3〜5、好ましく
は3.5〜4.5の範囲に調整し、全部で100重量部
になるように調整して処理液を調合する。
【0022】この処理液にガラス繊維製品を含浸後、シ
ランカップリング剤のガラス繊維製品への付着率が0.
01〜1.0%、好ましくは0.05〜0.20%とな
るように、マングルで絞り、100〜130℃で5〜1
0分、または水分がなくなるまで十分乾燥する。
【0023】このようにして本発明の積層板用ガラス繊
維製品を得ることができ、この積層板用ガラス繊維製品
をマトリックス用樹脂に含浸させて耐熱性の優れた積層
板を得ることができる。積層板用のマトリックス樹脂と
しては不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂などが用いら
れるが、これに限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
実施例1 (1)シランカップリング剤の製造 冷却器、撹拌器、滴下ロート、温度計を取り付けた2リ
ットルのセパラブルフラスコにN−β−アミノエチル−
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを222.1g
(1.0モル)仕込み、これを50−60℃に加熱した
後、滴下ロートよりクロロメチルスチレンを最終的に1
52.5g(1.0モル)となるようにゆっくりと滴下
した。
【0025】滴下終了後、より緩やかにセパルブルフラ
スコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−
60℃に維持し続けた。
【0026】セパラブルフラスコの内容物を30分ごと
に採り、その一部をTLC(薄層クロマトグラフィー)
で展開しクロロメチルスチレンの消失を確認した後、加
熱を停止し、反応を終了させた。なおTLCプレートは
メルク社製キーゼルゲル160F254を用い、展開溶媒
にはベンゼンを用いた。
【0027】得られたN−β−(N−ビニルベンジルア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
塩酸塩に無水酢酸を最終的に102g(1.0モル)と
なるようにゆっくり滴下した。
【0028】滴下終了後、より緩やかにセパラブルフラ
スコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−
60℃に維持し続けた。
【0029】セパラブルフラスコの内容物を30分ごと
に採り、その一部をフーリエ赤外分光光度計で酸無水物
の代表的吸収帯である1830cm−1の吸収帯の消失
を確認した後、加熱を停止し、反応を終了させて、N−
β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン塩酸塩と無水酢酸との反応
物からなる本発明のシランカップリング剤を得た。
【0030】さらにメタノール714.9gを加え40
重量%のメタノール溶液とした。
【0031】図1にメタノールを除去した後の反応物
(シランカップリング剤)のIRチャートを示す。併わ
せてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩のIRチャ
ートを図2に、無水酢酸のIRチャートを図3に示す。
【0032】図1において、無水酢酸の代表的吸収帯で
ある1830cm−1における吸収帯が消失しているこ
とから、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩と無水
酢酸との反応が確認できた。
【0033】得られた反応物の粘度測定は、JIS Z
8803に準拠し、キャノン−フェンスケ粘度計を使
用して測定したところ、2.64cStであった。
【0034】(2)ガラス繊維織物のシランカップリン
グ剤処理および積層板の製造 ガラス繊維製品として、日東紡績(株)製ガラス繊維織
物WEA−18Wを使用した。一方、(1)で製造した
シランカップリング剤を、蒸留水中に1.0wt%溶解
させ、酢酸でpH4に調整して得た浴中に、上記ガラス
繊維織物を浸漬させ、ピックアップ量を30wt%にス
クイーズロールで絞液し、これを110℃で5分間乾燥
した。得られたシランカップリング剤処理ガラス織物の
表、裏1枚ずつを、ガラスペーパーである日本バイリー
ン(株)EPM−4050を間にはさみ、不飽和ポリエ
ステル樹脂ワニス(不飽和ポリエステル100重量部+
スチレンモノマー40重量部+クメンハイドロパーオキ
サイド1重量部)を含浸させ両表面層に35μmの銅箔
を重ね、2分間脱泡して150℃1時間加熱して、1.
6mmの積層板を得た。さらに全面エッチングによって
銅箔を除去後、水洗、風乾したものについて、次の試験
を行った。
【0035】(1)ポリエステル樹脂の含浸性 目視によりポリエステル樹脂の含浸性の良否を判定し
た。 ◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:不良 (2)半田耐熱性 煮沸1,2,3時間の前処理を行ない、その後260℃
の半田浴に20秒間それぞれ浸漬し、フクレの有
(×)、無(○)を調べた。 (3)ミーズリング特性 250℃、270℃、300℃にそれぞれ加熱した直径
2mmの半田ごてを10秒間、100g荷重をかけて押
し当て、ミーズリングの有(×)、無(○)を調べた。
なお、得られたシランカップリングの溶解性試験も以下
のようにして行なった。 (4)溶解性試験 処理液調合時の溶解状態を観察し、完全に透明なものを
◎、やや白濁するものを○、白濁し沈殿するものを×で
表示した。結果を表1に示す。
【0036】実施例2 実施例1と同様に、冷却器、撹拌器、滴下ロート、温度
計を取り付けた2リットルのセパラブルフラスコにN−
β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ランを222.1g(1.0モル)仕込み、これを50
−60℃に加熱した後、滴下ロートよりクロロメチルス
チレンを最終的に152.5g(1.0モル)となるよ
うにゆっくりと滴下した。
【0037】滴下終了後、より緩やかにセパルプルフラ
スコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−
60℃に維持し続けた。
【0038】さらにメタノール714.9gを加え40
重量%のメタノール溶液とした。
【0039】上記生成物(塩酸塩)を遊離化するため
に、このうち200gをとり、ナトリウムメチラートを
41.18g(上記生成物1モルに対して1モルに相
当)加えて撹拌を行った。12時間撹拌後、沈殿物を濾
過により取り除き、上澄み液をとった。
【0040】得られた上澄み液、すなわちN−β−(N
−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシランに無水酢酸を最終的に12.08g
(シラン化合物1モルに対して1.0モル)となるよう
にゆっくりと滴下した。
【0041】滴下終了後、より緩やかにセパラブルフラ
スコ内の原料を撹拌しながら加熱し、加熱温度を50−
60℃に維持し続けた。
【0042】無水酢酸の代表的吸収帯である1830c
m−1のピークが消失していることから、 N−β−
(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシランと無水酢酸との反応が確認でき
た。シラン化合物と無水酢酸との反応により得られたシ
ランカップリング剤の粘度は、2.47cStであっ
た。
【0043】実施例1と同様に、このシランカップリン
グ剤でガラス繊維織物を処理し、積層板を成形し評価を
行った。結果を表1に示す。
【0044】実施例3 無水酢酸を最終的に24.16g(シラン化合物1モル
に対して2.0モル)用いた以外は実施例1と同様に行
った。
【0045】無水酢酸の代表的吸収帯である1830c
m−1のピークが消失していることから、 N−β−
(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシランと無水酢酸との反応が確認でき
た。シラン化合物と無水酢酸との反応により得られたシ
ランカップリング剤の粘度は、2.46cStであっ
た。
【0046】実施例1と同様にガラス繊維織物を処理
し、積層板を成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】実施例4 無水酢酸を最終的に51g(シラン化合物1モルに対し
て0.5モル)用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0048】無水酢酸の代表的吸収帯である1830c
m−1のピークが消滅していることから、N−β−(N
−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン塩と無水酢酸との反応が確認でき
た。得られたシランカップリング剤の粘度は、2.45
cStであった。
【0049】実施例1と同様に、ガラス繊維織物を処理
し、積層板を成形し評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】比較例1 シランカップリング剤として、公知のシランカップリン
グ剤であるγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランを用い、これを蒸留水中に0.7wt%溶解させ、
酢酸でpH4に調整して処理浴を得た。この処理浴に、
実施例1で用いたと同一のガラス繊維織物を浸漬して実
施例1と同様にシランカップリング処理した後、実施例
1と同様に積層板を得た。得られた積層板の評価結果を
表1に示す。
【0051】比較例2 シランカップリング剤として、公知のシランカップリン
グ剤であり、実施例において本発明のシランカップリン
グ剤の原料として用いたN−(ビニルベンジル)−β−
アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
塩酸塩を用い、これを蒸留水中に1.0wt%溶解さ
せ、酢酸でpH4に調整して処理浴を得た。この処理浴
に、実施例1で用いたと同一のガラス繊維織物を浸漬し
て実施例1と同様にシランカップリング処理した後、実
施例1と同様に積層板を得た。得られた積層板の評価結
果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1より、実施例1〜4においてはポリエ
ステル樹脂の含浸性、ポリエステル樹脂積層板の半田耐
熱性、ミーズリング特性が優れていることが明らかであ
る。また実施例1〜4で得られたシランカップリング剤
の溶解性も優れており、特に実施例1のものの溶解性が
優れていた。これに対して比較例1ではポリエステル樹
脂積層板の半田耐熱性、ミーズリング特性、溶解性が劣
り、比較例2ではポリステル樹脂の含浸性、ミーズリン
グ特性、溶解性が劣っていた。
【0054】実施例5 実施例1で得られたシランカップリング剤処理ガラス繊
維織物を下記のNEMA規格に準拠したFR−4組成の
エポキシ樹脂を用いてプリプレグとした。エポキシ樹脂
の組成(FR−4)は次のとおりである。
【0055】 臭素化エポキシ樹脂[エピコート5046−B−8; 油化シェルエポキシ(株)製] …100重量部 ノボラック型エポキシ樹脂[エピコート154; 油化シェルエポキシ(株)製] … 20重量部 ジシアンジアミド … 4重量部 2−エチル−4−メチルイミダゾール …0.2重量部 メチルエチルケトン … 15重量部 ジメチルホルムアミド … 30重量部
【0056】このプリプレグを8枚積層して両面に18
μm厚の銅箔を当て、170℃、30kgf/cm2
90分加熱加圧して、1.5mm厚さの銅張り積層板と
した。銅張り積層板は、エッチングにより銅箔を除去
し、4cm四方に切り出して試験片とした。得られた試
験片について次の試験を行なった。
【0057】(1)エポキシ樹脂の含浸性 エポキシ樹脂のガラス繊維織物への含浸性を目視により
評価し、極めて良好なものを◎、良好なものを○、普通
のものを△、不良のものを×で表示した。 (2)エポキシ樹脂積層板の半田耐熱性 積層板を133℃に設定されたプレッシャークッカーに
入れ、次に260℃の半田溶解物に20秒間漬けた。積
層板を引き上げデラミネーションを調べた。なお、積層
板をプレッシャークッカーに入れた時間は、120分、
135分、150分とし、各時間ごとに調べた枚数は3
枚とした。デラミネーションの状態は、ふくれ無しを○
で、ふくれ有りを×で表示した。 (3)吸水率 積層板を133℃に設定されたプレッシャークッカーに
入れ、135分処理した後で吸水率の測定を行った。吸
水率の計算は下記の式による。 吸水率(%)={(吸水後の重量−(吸水前の重量)}
/(吸水前の重量)×100 またシランカップリング剤の溶解性試験も以下のように
して行なった。 (4)溶解性試験 処理液調合時の溶解状態を観察し、完全に透明なものを
◎、やや白濁するものを○、白濁し沈殿するものを×で
表示した。結果を表2に示す。
【0058】実施例6〜7 実施例2および4で得られたシランカップリング剤処理
ガラス繊維織物を実施例5と同様に処理してエポキシ樹
脂含浸積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を
表2に示す。
【0059】比較例3 比較例2で得られた公知のシランカップリング剤処理ガ
ラス繊維織物を実施例5と同様に処理してエポキシ樹脂
積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を表2に
示す。
【0060】比較例4 シランカップリング剤として、公知のγ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランを用い、これを蒸留水中に
0.7wt%溶解させ、酢酸でpHを調整した浴中に実
施例1と同様にガラス繊維織物を浸漬して、公知のシラ
ンカップリング剤処理ガラス繊維織物を得た。
【0061】得られた公知のシランカップリング剤処理
ガラス繊維織物を以下実施例5と同様に処理してエポキ
シ樹脂積層板を得、実施例5と同様に評価した。結果を
表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2より実施例5〜7においてエポキシ樹
脂の含浸性やエポキシ樹脂積層板の半田耐熱性、耐水性
が比較例3、4と比較して優れていることが判る。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明のシランカップリ
ング剤はポリエステル樹脂だけでなくエポキシ樹脂に対
しても効果を有し、本発明のシランカップリング剤で処
理されたガラス繊維製品は、ポリエステル樹脂やエポキ
シ樹脂の含浸性に優れ、またこのガラス繊維製品を補強
材とすることにより、半田耐熱性やミーズリング性など
の耐熱特性及び耐水性の優れた積層板を得ることができ
る。更に、本発明のシランカップリング剤は水に対する
溶解性に優れているためシランカップリング剤による処
理を工業的に円滑に実施することができる利点も有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】シラン化合物の塩と無水酢酸との反応物である
シランカップリング剤のIRチャート
【図2】原料であるシラン化合物の塩のIRチャート
【図3】無水酢酸のIRチャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/08 C08J 5/08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の末端にビニルベンジル基、他方の
    末端にトリアルコキシシリル基を有し、これら両末端基
    の間に含窒素アルキレン基を有するシラン化合物または
    その塩(A)と酸無水物(B)との反応物からなること
    を特徴とするシランカップリング剤。
  2. 【請求項2】 シラン化合物またはその塩(A)が、一
    般式(I) 【化1】 [式中、 Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、 mはビニルベンジル基の数を示し、1または2の整数で
    あり、 xは窒素原子上の水素の数を示し、mが1のとき、xは
    1であり、mが2のとき、xは零であり、 nは基 【化2】 の数を示し、1〜2の整数である。]で示されるシラン
    化合物またはそのハロゲン化水素塩である、請求項1に
    記載のシランカップリング剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のシランカップ
    リング剤で処理された積層板用ガラス繊維製品。
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