JP3021795B2 - シランカップリング剤および積層板用ガラス繊維製品 - Google Patents

シランカップリング剤および積層板用ガラス繊維製品

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JP3021795B2 JP3157160A JP15716091A JP3021795B2 JP 3021795 B2 JP3021795 B2 JP 3021795B2 JP 3157160 A JP3157160 A JP 3157160A JP 15716091 A JP15716091 A JP 15716091A JP 3021795 B2 JP3021795 B2 JP 3021795B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シランカップリング
剤、およびこのシランカップリング剤で処理した積層板
用ガラス繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板は各方面で多用されている
が、近年コンピューター関係および通信機関係などで益
々その重要性を増している。プリント基板の中でも、そ
の性能の点から、ガラス繊維製品を補強材とするものが
主流となりつつあり、その中でもガラス繊維織物を補強
材とするものが中心となってきている。
【0003】このようにして製造されたプリント基板
は、銅箔回路を形成したプリント配線板となり、さらに
IC、LSI等のチップ部品を実装して、コンピュータ
ー、通信機等に使用される。
【0004】プリント基板にチップ部品を実装する場
合、従来はスルーホール部分にチップの足を挿入し、溶
融半田にディップし、半田によるチップの固定を行って
いた。しかし、チップの高集積化に伴い、表面実装技術
が行われるようになると、チップの固定が溶融半田にデ
ィップする方法から、半田ペーストによる点付け法に変
わりつつある。半田ペースト法の場合には、瞬間的に半
田ペーストを溶融してチップを接着固定する必要がある
ため、溶融半田にディップする方法よりも、さらに高温
での加熱が遠赤外線照射により行われる。この加熱によ
りプリント基板自体にも熱衝撃が加わることになり、そ
の結果ミーズリングと呼ばれる基材織物のタテ糸とヨコ
糸の交点部分に小さな剥離現象が起こる場合のあること
が確認されている。この様な剥離現象が起こると、スル
ーホールメッキ時に、メッキ液がこの剥離部分に浸み込
み、その結果、不必要な部分での回路導通が起こってし
まう。またスルーホール内壁の粗さにも影響する。
【0005】このプリント基板のうち不飽和ポリエステ
ル樹脂をマトリックス樹脂としたプリント基板用の積層
板が最近著しく伸長しており、このプリント基板用の積
層板についても配線工程時に溶融半田に浸漬されるため
に強い耐熱性が必要とされる。
【0006】耐熱性を改良するためにシランカップリン
グ剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ランにより補強材を予備処理し、マトリックス樹脂との
複合材料を作製する試みがなされているが、シラン化合
物自体の耐熱性が充分でないため複合材料の耐熱性は充
分ではなかった。
【0007】さらにN−(ビニルベンジル)−β−アミ
ノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩
酸塩により補強材を予備処理することも試みられている
が、このシラン化合物のアミノ基の部分の耐熱性が悪い
ため充分な効果は得られていない。
【0008】
【発明の目的】従って本発明の第1の目的は、それ自体
耐熱性に優れ、補強材であるガラス繊維製品を表面処理
した場合に耐熱性に優れた積層板を与えることができる
新規シランカップリング剤を提供することにある。
【0009】また本発明の第2の目的は、第1の目的を
達成するシランカップリング剤で処理されることによ
り、耐熱性に優れた積層板を与えることができる新規積
層板用ガラス繊維製品を提供することにある。
【0010】
【目的を達成するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、ケイ素原子に加水分解性基が結合された
シリルアルキル基とともに活性の異なる2種のラジカル
重合性不飽和基[ビニルベンジル基および(メタ)アク
リロイル基]を有し、これらが窒素原子に結合されてい
るモノアミン化合物およびポリアミン化合物並びにこれ
らの塩からなるシランカップリング剤が前記第1の目的
を達成することを見い出した。
【0011】すなわち、本発明の第1の目的を達成する
シランカップリング剤は、1個の窒素原子を分子内に有
し、下記(a)、(b)および(c)で示される基のそ
れぞれ1個が上記1個の窒素原子に結合されたモノアミ
ン化合物またはその塩からなることを特徴とする。 (a)ケイ素原子に加水分解性基が結合されたシリルア
ルキル基 (b)ビニルベンジル基 (c)(メタ)アクリロイル基 また本発明の第1の目的を達成する他のシランカップリ
ング剤は、2価の有機基によって連結された複数個の窒
素原子を分子内に有し、下記(a)、(b)、(c)お
よび(d)で示される基が上記複数個の窒素原子に結合
されており、結合された基(a)、(b)、(c)、
(d)の数をna、nb、nc、ndとそれぞれ表示したと
きにna≧1、nb≧1、nc≧1、nd≧0であるポリア
ミン化合物またはその塩からなることを特徴とする。 (a)ケイ素原子に加水分解性基が結合されたシリルア
ルキル基 (b)ビニルベンジル基 (c)(メタ)アクリロイル基 (d)水素基 また本発明者らは、上記モノアミン化合物、ポリアミン
化合物またはこれらの塩からなるシランカップリング剤
の少なくとも1種で処理された積層板用ガラス繊維製品
が、前記第2の目的を達成することを見い出した。
【0012】以下、本発明のシランカップリング剤およ
び積層板用ガラス繊維製品を順次説明する。本発明のシ
ランカップリング剤は、アミノシラン化合物にハロメチ
ルスチレン及び(メタ)アクリル酸ハライド(すなわ
ち、アクリル酸ハライドおよびメタクリル酸ハライド)
を反応させることによって得られる。
【0013】アミノシラン化合物としては、加水分解性
基(アルコキシ基、アシロキシ基など)がケイ素原子に
結合され、このケイ素原子が2価の有機基を介して末端
アミノ基に連結されているアミノシラン化合物を用いる
のが好ましい。
【0014】このようなアミノシラン化合物としては、
以下のものがあげられる。 (i)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ア
ミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン、3−アミノブチルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−
アミノプロピルジメチルメトキシシランなどの末端に1
個のアミノ基のみを有するモノアミノ−シラン化合物 (ii)N−2−アミノエチルアミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−2−アミノエチルアミノプロピルメ
チルジエトキシシラン、N−2−アミノエチルアミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−2−アミノエチルアミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−2−アミノエチル
アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−2−アミ
ノエチルアミノプロピルジメチルエトキシシラン、N−
トリメトキシシリルプロピルジアミノプロパン、N−ト
リメトキシシリルプロピルジアミノヘキサン、N−トリ
メトキシシリルプロピルフェニレンジアミン、N−トリ
メトキシシリルプロピルジアミノビフェニル、N−トリ
メトキシシリルプロピルジアミノジフェニルメタン、
(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシ
シラン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]
−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N′−
ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレン
ジアミン、N,N′−ビス[3−(トリメトキシシリ
ル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′−ビス[3
−(トリメトキシシリル)プロピル]ジアミノプロパ
ン、N,N′−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロ
ピル]ジアミノヘキサン、N−トリメトキシシリルプロ
ピルジエチレントリアミン、N,N′−ビス[3−(ト
リメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミンな
どの、末端に1個のアミノ基を有し、この末端アミノ基
とケイ素原子とを連結する2価の有機基に1個以上のア
ミノ基を有するポリアミノ−シラン化合物出発物質とし
て、上記(i)のモノアミノ−シラン化合物を用いた場
合には、本発明のモノアミン化合物からなるシランカッ
プリング剤が得られ、上記(ii)のポリアミノ−シラン化
合物を用いた場合には、本発明のポリアミン化合物から
なるシランカップリング剤が得られる。
【0015】上記アミノシラン化合物は、ハロアルキル
アルコキシシランとアミンとの脱ハロゲン化水素反応、
不飽和二重結合を持つアミノ化合物とアルコキシシラン
とのヒドロシリル化反応等、公知の方法で得ることがで
きる。
【0016】上記アミノシラン化合物との反応に供せら
れるハロメチルスチレンとしては、塩化メチルスチレ
ン、臭化メチルスチレン、ヨウ化メチルスチレン等があ
げられるが、実用上塩化メチルスチレンが好都合であ
る。
【0017】また(メタ)アクリル酸ハライドとして
は、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド
が、実用上好都合である。
【0018】反応は、原料に対して不活性な有機溶媒中
で行うことができる。この様な溶媒としては、例えばジ
オキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル等のエーテル類、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類が使用できる。これらの溶媒は乾
燥した状態で使用することが望ましい。水分の含有量が
多い場合には、原料及び生成物のアルコキシ基が加水分
解を受け、縮合物が生成し目的物の収率が低下する。
【0019】優れたカップリング剤を得るためには、原
料の転化率が100%となるように反応を十二分に完結
させることが肝要であるが、この反応ではハロゲン化水
素が副生するため必要に応じ脱ハロゲン化水素剤を用い
て反応を行うことは何等さしつかえはない。これらの脱
ハロゲン化水素剤としては原料のアミノシラン化合物、
ハロメチルスチレン及び(メタ)アクリル酸ハライドに
対して不活性な塩基性物質が好ましい。この塩基性物質
としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、トリ
ブチルアミン等のアミン類があげられる。このアミンの
添加量は、通常ハロメチルスチレン及び(メタ)アクリ
ル酸ハライドに対して0.8〜10.0当量用いられ
る。
【0020】なお、この反応を行う際、ビニル基の重合
を防ぐために、重合禁止剤、例えばp−ベンゾキノン、
t−ブチルカテコール等を添加することも可能である。
【0021】反応温度や反応時間は、用いる原料や溶媒
により影響を受けるため、特に限定はしないが、ハロメ
チルスチレン及び(メタ)アクリル酸ハライドの不飽和
結合の安定性から、あまり高温では好ましくなく、通常
0〜120℃の範囲で、0.5〜10時間で反応が完結
するように条件設定が行われる。
【0022】反応方法は通常の方法、たとえば、アミノ
シラン化合物と有機溶媒、脱ハロゲン化水素剤及び重合
禁止剤の混合物を撹拌しながら、所定の温度に加熱また
は冷却しておき、ここにハロメチルスチレン及び(メ
タ)アクリル酸ハライドを滴下する方法により実施され
る。その後、必要に応じて、ハロゲン化水素塩や、有機
溶媒、過剰の脱ハロゲン化水素剤等をろ過や蒸留により
除くことも可能である。ハロメチルスチレンと(メタ)
アクリル酸ハライドは、どちらを先にアミノシラン化合
物と反応させることも可能であるが、一般的に、より反
応性の低いハロメチルスチレンを先にアミノシラン化合
物と反応させた後、より反応性の高い(メタ)アクリル
酸ハライドを反応させる方法が有利である。
【0023】得られたモノアミン化合物からなる本発明
のシランカップリング剤は出発原料のモノアミノ−シラ
ン化合物に由来する(a)ケイ素原子に加水分解基が
されたシリルアルキル基と、出発原料のハロメチルス
チレンに由来する(b)ビニルベンジル基と、出発原料
の(メタ)アクリル酸ハライドに由来する(c)(メ
タ)アクリロイル基とを有し、これらの各1個が、出発
原料のモノアミノ−シラン化合物中のアミノ基に由来す
る1個の窒素原子に結合されたモノアミン化合物であ
る。
【0024】またポリアミン化合物からなる本発明のシ
ランカップリング剤は、出発原料のポリアミノ−シラン
化合物に由来する(a)ケイ素原子に加水分解基が結合
されたシリルアルキル基と、出発原料のハロメチルスチ
レンに由来する(b)ビニルベンジル基と、出発原料の
(メタ)アクリル酸ハライドに由来する(c)(メタ)
アクリロイル基と、出発原料のポリアミノ−シラン化合
物中のアミノ基に由来する(d)水素基とを有し、これ
らが出発原料のポリアミノ−シラン化合物中の複数のア
ミノ基に由来する複数の窒素原子に結合されており、
された基(a)、(b)、(c)、(d)の数を
a、nb、nc、ndとそれぞれ表示したときにna
1、nb≧1、nc≧1、nd≧0であるポリアミン化合
物である。
【0025】本発明のシランカップリング剤は上記モノ
アミン化合物またはポリアミン化合物の酸塩であっても
よい。酸塩とは有機酸または無機酸の塩であり、有機酸
塩としては酢酸、プロピオン酸等の脂肪族酸、安息香酸
等の芳香族酸等の任意の酸の塩とすることができ、無機
酸塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の任意の酸の
塩とすることができる。酸塩は、例えばモノアミン化合
物またはポリアミン化合物を、対応する酸で中和すれば
容易に製造できる。
【0026】本発明のシランカップリング剤は、それ自
体耐熱性に優れ後記するように補強材であるガラス繊維
製品を表面処理した場合に耐熱性に優れた積層板を与え
ることができる。
【0027】また、本発明のシランカップリング剤は、
公知のシランカップリング剤と混合して使用することも
可能である。公知のシランカップリング剤としては、前
述のアミノシラン化合物のほかに、3−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシランのようなエポキシシラン類、
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのよう
なアクリルシラン類、3−クロロプロピルトリメトキシ
シランのようなクロロシラン類、3−メルカプトプロピ
ルトリメトキシシランのようなメルカプトシラン類、ビ
ニルトリメトキシシランのようなビニルシラン類等があ
げられる。
【0028】次にこのシラン化合物を用いて複合材料の
補強材であるガラス繊維製品を処理して積層板用ガラス
繊維製品を得る方法について説明する。ガラス繊維製品
としては、例えば従来公知のガラス繊維例えば、アルカ
リガラス、無アルカリガラス、低誘電ガラス、高弾性ガ
ラス、電気用のEガラスなどを紡糸したガラスフィラメ
ントを集束したストランド(ガラス糸)、不織のガラス
マット、ガラスペーパー、さらにヤーンを織ったガラス
クロス、ガラステープを挙げることができる。本発明に
おけるガラス繊維製品は広義に解釈するものとし、マイ
カ製品をも包含する。マイカ製品としては例えば薄片を
抄造した軟質の集成マイカシート、またはこれらの焼成
品を挙げることができる。
【0029】このシラン化合物によるガラス繊維製品
(補強材)の処理はこのものを適当な溶剤で希釈した処
理液を用いて行う。溶剤としては水、または0.5〜
5.0重量%の酢酸水溶液、5〜99%の含水アルコー
ル溶液、または酢酸を含む含水アルコール溶液などを挙
げることができる。またこれら溶媒にポリオキシエチレ
ン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステルなどの乳化剤を添加してもよい。さらに
は、この処理液に必要に応じて、染料、顔料、帯電防止
剤、潤滑剤などを添加することもできる。溶媒中のシラ
ン化合物の濃度は0.1〜5.0重量%、好ましくは
0.2〜1.0重量%とする。
【0030】この処理液による補強材の処理は、補強材
を処理液に浸漬して行えばよいが、場合によっては、補
強材中の処理液の溶液保持率をスクイズロールなどを用
いて一定にしてもよく、マイカシートなどについてはこ
の処理液をスプレー塗布するようにしてもよい。この処
理後、60〜150℃で乾燥して溶媒を除去すると同時
に補強材とシラン化合物のシラノール基を反応させる。
【0031】本発明の表面処理剤のガラス繊維製品に対
する付着量は0.001〜0.4重量%、好ましくは
0.01〜0.3重量%である。
【0032】このようにして得られた積層板用ガラス繊
維製品は、耐熱性を有するシランカップリング剤で処理
されているため、不飽和ポリエステル樹脂などをマトリ
ックス樹脂として積層板を製造した場合に、この積層板
に優れた耐熱性を付与できる。
【0033】
【実施例】本発明をさらに具体的に説明するために、以
下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。なお、実施例中の部はいずれも重
量部を表すものとする。
【0034】実施例1 還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を備えた4つ
口フラスコに、N−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン150部と、トルエン253部を
仕込み、窒素シール下、撹拌しながら65℃で、クロロ
メチルスチレン103部を1時間で滴下、さらに65℃
で5時間反応させた。
【0035】次に、ナトリウムメチラート(28%、メ
タノール溶液)130部を30分かけて滴下したとこ
ろ、塩化ナトリウムと思われる白い結晶が沈澱した。室
温まで冷却した後、結晶をろ過して除き、ロータリーエ
バポレーターでメタノール及びトルエンを除去し、中間
反応物Aを得た。中間反応物Aは、塩素分析の結果か
ら、クロロメチルスチレンが、98%以上反応している
ことがわかった。
【0036】中間反応物A110部とトルエン144部
を、還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を備えた
4つ口フラスコに仕込み、メタクリル酸クロライド(メ
タクリロイルクロライド)34部を窒素シール下、氷冷
しながら30分かけて滴下し、その後、氷冷下で2時
間、40℃に昇温して3時間反応させた。
【0037】得られた反応液から、トルエンをロータリ
ーエバポレーターで除去した液体について、赤外吸収ス
ペクトル、核磁気共鳴スペクトルの測定を行った。その
結果を表1に示す。得られた化合物は、上記測定結果か
ら、下記平均構造を持つことが判明した。
【0038】
【化1】
【0039】実施例2 実施例1と同じ装置に、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン125部、トリエチルアミン286部及びトル
エン389部を仕込み、窒素シール下、撹拌しながら6
5℃で、クロロメチルスチレン86部を1時間で滴下、
さらに65℃で20時間反応させた。
【0040】次に、メタクリル酸クロライド(メタクリ
ロイルクロライド)59部を窒素シール下、氷冷しなが
ら30分かけて滴下し、その後、氷冷下で2時間、40
℃に昇温して3時間反応させた。
【0041】得られた反応液から、トリエチルアミン塩
酸塩をろ過して除き、さらにろ液からトリエチルアミン
及びトルエンをロータリーエバポレーターで除去した液
体について、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクト
ルの測定を行った。その結果を表1に示す。得られた化
合物は、上記測定結果から、下記平均構造を持つことが
判明した。
【0042】
【化2】
【0043】実施例3 実施例1と同じ装置に、N,N′−ビス(トリメトキシ
シリルプロピル)エチレンジアミン250部、トリエチ
ルアミン329部及びトルエン713部を仕込み、窒素
シール下、撹拌しながら65℃で、クロロメチルスチレ
ン99部を1時間で滴下、さらに65℃で20時間反応
させた。
【0044】次に、メタクリル酸クロライド(メタクリ
ロイルクロライド)59部を窒素シール下、氷冷しなが
ら30分かけて滴下し、その後、氷冷下で2時間、40
℃に昇温して3時間反応させた。
【0045】得られた反応液から、トリエチルアミン塩
酸塩をろ過して除き、さらにろ液からトリエチルアミン
及びトルエンをロータリーエバポレーターで除去した液
体について、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクト
ルの測定を行った。その結果を表1に示す。得られた化
合物は、上記測定結果から、下記平均構造を持つことが
判明した。
【0046】
【化3】
【0047】
【表1】
【0048】実施例4 実施例1のシラン化合物を、酢酸2.0重量%を含んだ
蒸留水中に1.0重量%溶解させた。この溶液にガラス
クロス(WEA−18W、日東紡績(株)製)を浸漬
し、ピックアップ量30%にスクイズロールで絞液し、
これを110℃で5分間乾燥させた。同シラン化合物の
ガラスクロスに対する付着量は0.07重量%であっ
た。
【0049】一方不飽和ポリエステル樹脂100重量
部、スチレンモノマー40重量部、クメンハイドロパー
オキサイド1重量部を混合してワニスを調合した。前記
シラン化合物で処理したガラスクロス2枚の間に4枚の
ガラスペーパー(EPM−4050、日本バイリーン
(株)製)をはさみ、上記ワニスを含浸した。このもの
を、さらに厚み35μm の2枚の銅箔ではさみ、2分間
脱泡してから150℃で1時間加熱して、1.6mmの積
層板を得た。
【0050】実施例5−6 実施例4において、実施例1のシラン化合物を、実施例
2、3のシラン化合物にそれぞれかえたほかは実施例4
と同様にしてガラスクロスを処理した。シラン化合物の
ガラスクロスに対する付着量はいずれも0.07重量%
であった。次に実施例4と同様にしてそれぞれ1.6mm
の積層板を作製した。
【0051】比較例1 実施例4において、実施例1のシラン化合物にかえてγ
−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを用
い、このものを、酢酸0.1重量%を含んだ蒸留水に、
濃度0.4%となるように溶解したほかは、実施例4と
同様にしてガラスクロスを処理した。シラン化合物のガ
ラスクロスに対する付着量は0.08重量%であった。
次に実施例4と同様にして1.6mmの積層板を作製し
た。
【0052】比較例2 実施例4において、実施例1のシラン化合物にかえてN
(ビニルベンジル)−β−アミノエチル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシランを用い、このものを、酢酸
2.0重量%を含んだ蒸留水に、濃度1.0%となるよ
うに溶解したほかは、実施例4と同様にしてガラスクロ
スを処理した。シラン化合物のガラスクロスに対する付
着量は0.07重量%であった。次に実施例4と同様に
して1.6mmの積層板を作製した。
【0053】溶解性試験 実施例1〜3のシラン化合物、および比較例1〜2で使
用したシラン化合物について、酢酸水溶液中での溶解性
試験を行った。すなわち酢酸10gを1000gの水に
溶解した溶液に上記シラン化合物10gを加え室温での
溶解性を観察し、下記の基準で評価した。 ○:透明 △:やや白濁 ×:白濁 その結果、実施例1〜3のシラン化合物および比較例1
で使用したシラン化合物は評価が○(透明)であり、溶
解性に優れていたが、比較例2で使用したシラン化合物
は、評価が△(やや白濁)であり、溶解性に劣ってい
た。
【0054】性能試験 上記実施例4〜6および比較1〜2で製造した積層板を
全面エッチングして銅箔を除去した積層板について行っ
た半田耐熱性、ミーズリング特性試験の結果、および樹
脂の含浸性を表2に示す。試験方法は次の通りである。 (1)半田耐熱性試験 積層板を沸騰水中で、1時間、2時間、3時間それぞれ
煮沸した後、260℃の半田浴にそれぞれ20秒間浸漬
し、フクレの有無を調べた。 ○:フクレ無し ×:フクレ有り (2)ミーズリング特性試験 250℃、270℃、300℃にそれぞれ加熱した直径
2mmの半田ごてを10秒間、100gの荷重をかけて積
層板に押し当て、ミーズリングの有無を調べた。 ○:ミーズリング無し ×:ミーズリング有り (3)樹脂の含浸性 (a)積層板の製造時において、不飽和ポリエステル樹
脂ワニスのガラスクロスへの含浸性の良否を目視により
観察した。 ◎:極めて良好 ○:良好 △:普通 ×:不良 (b)積層板の外観を目視により観察した。 ◎:非常に透明感がある。 ○:ほぼ透明である。 △:クロスのヨコ糸が少し白化している。 ×:クロスのタテ、ヨコ糸が白化している。
【0055】これらの結果をまとめて表2に示す。 表 2 実施例 比較例 4 5 6 1 2 半田耐熱性 煮沸1時間 ○ ○ ○ ○ ○ 煮沸2時間 ○ ○ ○ × ○ 煮沸3時間 ○ ○ ○ × × ミーズリング 250℃ ○ ○ ○ × ○ 特性 270℃ ○ ○ ○ × × 300℃ ○ △ × × × 樹脂の含浸性 (a) 処理ガラス ◎ ◎ ◎ ○ △ クロス (b) 積層板 ◎ ◎ ◎ ○ × 表2より、本発明のシランカップリング剤を用いて得ら
れた実施例4〜6の積層板は、半田耐熱性、ミーズリン
グ特性および樹脂の含浸性の全てにおいて満足すべき結
果を与えた。これに対して比較例1および2の積層板
は、これらの諸特性のいずれにおいても実施例4〜6の
積層板よりも劣っていた。
【0056】
【発明の効果】本発明のシランカップリング剤は酢酸水
溶液などの溶液へ容易に溶解するので作業性に優れてい
る。また本発明のシランカップリング剤で処理したガラ
ス繊維を用いた複合材料は半田耐熱性に優れている。し
たがって表面実装技術における要請に応えたプリント基
板を提供することが可能になる。また本発明のシランカ
ップリング剤を用いると、補強材であるガラス繊維製品
とマトリックス樹脂が、高温時においても強固な結合を
確保する。したがって、両者よりなる複合材料、例えば
プリント基板においては、補強材がマトリックス樹脂か
ら剥離するミーズリングを防止することができる。更に
本発明のシランカップリング剤で処理したガラス繊維製
品は樹脂への含浸性に優れているので作業性が改善され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D06M 13/513 H05K 1/03 610G H05K 1/03 610 C03C 25/02 N (72)発明者 澤井 俊哉 神奈川県横浜市金沢区乙舳町10−3 (72)発明者 大竹 伸昌 神奈川県横浜市金沢区乙舳町10−2 (72)発明者 垣内 秀明 埼玉県北葛飾郡庄和町大字米島358番地 49 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 7/18 B32B 17/02 C03C 25/10 C08J 5/08 C08K 9/06 D06M 13/513 H05K 1/03 610 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個の窒素原子を分子内に有し、下記
    (a)、(b)および(c)で示される基のそれぞれ1
    個が上記1個の窒素原子に結合されたモノアミン化合物
    またはその塩からなることを特徴とするシランカップリ
    ング剤。 (a)ケイ素原子に加水分解性基が結合されたシリルア
    ルキル基 (b)ビニルベンジル基 (c)(メタ)アクリロイル基
  2. 【請求項2】 2価の有機基によって連結された複数個
    の窒素原子を分子内に有し、下記(a)、(b)、
    (c)および(d)で示される基が上記複数個の窒素原
    子に結合されており、結合された基(a)、(b)、
    (c)、(d)の数をna、nb、nc、ndとそれぞれ表
    示したときにna≧1、nb≧1、nc≧1、nd≧0であ
    るポリアミン化合物またはその塩からなることを特徴と
    するシランカップリング剤。 (a)ケイ素原子に加水分解性基が結合されたシリルア
    ルキル基 (b)ビニルベンジル基 (c)(メタ)アクリロイル基 (d)水素基
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のシランカップ
    リング剤で処理された積層板用ガラス繊維製品。
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