JPH09227633A - エチレン−ビニルアルコール共重合体変性物、その製造方法、前記変性物を含有する水溶性フィルム、水溶性包装材料及び水溶性ホットメルト接着剤 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体変性物、その製造方法、前記変性物を含有する水溶性フィルム、水溶性包装材料及び水溶性ホットメルト接着剤

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JPH09227633A
JPH09227633A JP8035991A JP3599196A JPH09227633A JP H09227633 A JPH09227633 A JP H09227633A JP 8035991 A JP8035991 A JP 8035991A JP 3599196 A JP3599196 A JP 3599196A JP H09227633 A JPH09227633 A JP H09227633A
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vinyl alcohol
alcohol copolymer
ethylene
mol
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JP8035991A
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Hiroshi Nishiguchi
宏 西口
Toshio Watanabe
敏雄 渡辺
Akira Kitada
明 北田
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性、特には冷水にも速く溶けるという特
性を具備し、かつ熱可塑性であるという特性を併せ持
ち、水溶性フィルムや接着剤に好適に使用し得る樹脂
(共重合体変性物)を提供すること。 【解決手段】下記構造単位(I)、(II)および(I
II)からなり、 【化1】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
が40〜77モル%、(III)の含有量が3〜40モ
ル%であり、230℃における溶融粘度が1,000〜
30,000ポイズであるエチレン−ビニルアルコール
共重合体変性物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン−ビニル
アルコール共重合体変性物、その製造方法、前記変性物
の利用に関し、詳しくは、水溶性のエチレン−ビニルア
ルコール共重合体変性物、その製造方法、前記変性物を
含有する水溶性フィルム、水溶性包装材料及び水溶性ホ
ットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】水溶性樹
脂としては、ベースにポリビニルアルコールを用いてカ
ルバモイルエチル化した変性ポリビニルアルコール、あ
るいはそれを部分加水分解して得られるカルボキシエチ
ル化ポリビニルアルコール、さらにはイタコン酸やマレ
イン酸と酢酸ビニルを共重合した後けん化して得られる
共重合変性ポリビニルアルコール等が公知である。
【0003】これらは、ポリビニルアルコールにはない
冷水可溶性を呈するものの、熱可塑性ではないため溶融
成形することはできなかった。したがって、フィルム化
する場合においては、一旦水などの適当な溶媒に溶解す
る必要があった。また、接着剤に用いる場合においても
同様、水などの適当な溶媒に溶解する必要があった。こ
のため、接着速度が遅く、被接着物にも制限があった
(接着剤としての適用範囲があった)。
【0004】一方、熱可塑性樹脂であるエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体あるいはエチレン−酢酸ビニル共
重合体等は、フィルムや接着剤として用いたとき、ポリ
ビニルアルコール系と同等もしくはそれ以上の物性(密
着性やガスバリヤー性など)を有するが、水溶性でない
ため当然のことながら水溶性が求められる用途には用い
ることはできなかった。
【0005】なお、ポリエチレングリコール等には水溶
性と熱可塑性の両方の性質を有するものがあるが、これ
を用いて得たフィルムや接着剤は、物性的に求めている
ものがポリビニルアルコールとは大きく異なっていた。
【0006】[発明の目的]本発明は上記の実情に鑑み
てなされたものであり、その目的は、水溶性、特には冷
水にも速く溶けるという特性を具備し、かつ熱可塑性で
あるという特性を併せ持ち、水溶性フィルムや接着剤に
好適に使用し得る樹脂(共重合体変性物)、その製造方
法、及びその利用方法を提供することにある。
【0007】なお、上記2つの特性を有する樹脂を用い
ることにより、溶融成形によりフィルムや成形品を容易
に製造することができ、なおかつ当該フィルムや成形品
を農薬や洗剤の包装材料等、水速溶性(水に速く溶ける
性質。以下同様)が求められる用途に使用することがで
きる。また、水不溶性のホットメルト接着剤を製本等に
用いた場合、古紙回収時に剥離した接着剤がストレーナ
ーの目詰りを引き起こす問題が生じるが、接着剤が水速
溶性であればこのような問題は起こらない。また、冷水
速溶性であればなおさらである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体変性物は、下記構造単位
(I)、(II)および(III)からなり、
【化4】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
が40〜77モル%、(III)の含有量が3〜40モ
ル%であり、230℃における溶融粘度が1,000〜
30,000ポイズのものである。
【0009】請求項2に記載のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体変性物は、下記構造単位(I)、(II)
および(IV)からなり、
【化5】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
が40〜77モル%、(IV)の含有量が3〜40モル
%であり、230℃における溶融粘度が1,000〜3
0,000ポイズのものである。
【0010】請求項3に記載のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体変性物は、下記構造単位(I)、(I
I)、(III)および(IV)からなり、
【化6】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
が40〜77モル%、(III)の含有量が0.1〜3
9.9モル%、(IV)の含有量が0.1〜39.9モ
ル%であって、かつ(III)と(IV)の合計含有量
が3〜40モル%であり、230℃における溶融粘度が
1,000〜30,000ポイズのものである。
【0011】請求項4に記載のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体変性物の製造方法は、固形のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体に対し、液状の(メタ)アクリ
ル系化合物を固液反応条件下でマイケル付加反応させる
ことを特徴とする。
【0012】請求項5に記載の水溶性フィルムは、請求
項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアル
コール共重合体変性物を含有してなるものである。
【0013】請求項6に記載の水溶性包装材料は、請求
項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアル
コール共重合体変性物を含有してなるものである。
【0014】請求項7記載の水溶性ホットメルト接着剤
は、請求項1〜3のいずれか1項記載のエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体変性物を含有してなるものであ
る。
【0015】なお、ここでいう「固−液反応条件」と
は、固体種のエチレン−ビニルアルコール共重合体に対
し、液状の(メタ)アクリル系化合物(あるいは(メ
タ)アクリル系化合物溶解液)とを反応させてエチレン
−ビニルアルコール共重合体変性物を製造するにおい
て、前記した固体種のエチレン−ビニルアルコール共重
合体を、反応を通して前記(メタ)アクリル系化合物に
溶解させることなく(溶解しても極僅か)、固形の状態
(粉末の状態)を維持したまま、前記(メタ)アクリル
系化合物との化学反応を進行させ、当該エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体を変性させる条件のことをいう。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体変性物はエチレンと酢酸ビニルの共重合物
をけん化して得られるエチレン−ビニルアルコール共重
合体に(メタ)アクリル系化合物をマイケル付加反応さ
せることにより得られる。また、必要に応じ、このマイ
ケル付加変性物を加水分解することにより、目的化合物
を得ることができる。このときの(メタ)アクリル系化
合物としてはアクリロニトリルやアクリルアミド等が挙
げられ、これらのマイケル付加変性物を加水分解するこ
とにより、カルバモイルアルキル化あるいはカルボキシ
アルキル化エチレン−ビニルアルコール共重合体を得る
ことができる。
【0017】反応原料に用いるエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体のエチレン含有率は20〜55モル%が好
ましく、25〜40モル%が更に好ましい。エチレン含
有率が20モル%未満だと最終製品の融点が200℃以
上になり、溶融成形時に品質劣化を招くおそれがある。
また、エチレン含有率が55モル%を超えると水溶性の
樹脂が得られにくくなる。けん化度については特に限定
はないが、80%以上が好ましく、特に触媒に強アルカ
リを用いる場合は90%以上のけん化物が好ましい。こ
れは触媒のアルカリがけん化により消費されるのを防ぐ
ためと、けん化により生じる副生成物(酢酸塩)の量を
抑えるためである。
【0018】さらに、上記エチレン−ビニルアルコール
共重合体の他に、変性率が0.5〜10モル%のカルボ
キシ変性、スルホン基変性、カチオン基変性およびシリ
ル基変性等の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体
を原料として用いることもできる。
【0019】反応に用いることができる(メタ)アクリ
ル系化合物としては、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリロニトリ
ル等が挙げられ、反応性の点でアクリルアミド、アクリ
ロニトリルが好ましい。
【0020】反応の方法としてはアルカリ触媒存在下で
反応させることが必要条件であるが、固形のエチレン−
ビニルアルコール共重合体をそのままの状態か、あるい
は前記共重合体が不溶性を示す溶媒に懸濁させた状態
で、液状の(メタ)アクリル系化合物と接触させる固−
液反応を採用する方が経済的かつ効率的に好ましい。
【0021】すなわち、次のような方法を採ることが好
ましい。配合の手順としては、まず粉末のエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体に、NaOH、KOH、トリエ
チルアミン等のアルカリ触媒を添加し、次いで液状の
(メタ)アクリル系化合物を添加する。本発明の添加順
序はこれに限らないが、できるだけ均一に添加すること
が望ましい。この場合、エチレン−ビニルアルコール共
重合体の高速撹拌下に薬剤を添加したり、薬剤を噴霧添
加する方法等も反応を均一に行なう上で望ましい。反応
に使用する触媒の量としては、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体に対し0.5〜100モル%、(メタ)ア
クリル系化合物の量としては1〜200モル%の範囲が
好適である。
【0022】これらを横形ブレンダー等でエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体の粉末形態を維持しつつ撹拌
し、30分〜10時間反応を行なう。反応を行なうため
の適当な温度は5〜90℃の範囲であり、好ましくは2
0〜70℃の範囲である。
【0023】このとき、アクリルアミド等元来固体のも
のについては、水等の溶媒に溶解して用いることができ
る。エチレン−ビニルアルコール共重合体が不溶性を示
す溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼン
等が用いられるが、中でもイソプロピルアルコール、メ
チルエチルケトンが好ましい。
【0024】最終的に得られた生成物はそのまま乾燥す
るか(乾燥方法は従来公知の方法を使用することができ
る)、あるいは変性エチレン−ビニルアルコール共重合
体生成物1重量部(以下「部」という)に対し1〜5部
といった少量のメタノールやイソプロピルアルコール等
で精製した後乾燥することで容易に粉末品(平均粒径1
50〜1,000μm)を得ることができる。
【0025】このように、反応後容易に粉末品を得るた
めには、反応を通して、反応系の水分量を0〜70重量
%にすることが必要であり、好ましくは0〜50重量%
以下である。反応系の水分量が70重量%を超えると粉
末化が困難となるばかりでなく反応率も上がりにくい。
さらに、水分量が70重量%を超えると、反応を通して
エチレン−ビニルアルコール共重合体が粉末状態を維持
することが困難となる。反応系の水分量が0重量%に近
いほど、より粉末品のを得易く、より高い反応率が期待
できる。
【0026】なお、反応系の水分量を0重量%とする場
合、(メタ)アクリル系化合物を水以外の溶媒を用いて
溶解する。また、触媒も、これが固形である場合でも液
状である場合でも、そのまま使用するか、あるいは、水
以外の溶媒に溶解または希釈して用いる。
【0027】さらに、反応をより均一に行なう目的で
(すなわち、反応系内の反応の偏りを防ぐという目的
で)、エチレン−ビニルアルコール共重合体不溶性溶媒
を添加することもできる。エチレン−ビニルアルコール
共重合体不溶性溶媒とは、エチレン−ビニルアルコール
共重合体を溶解せず該溶媒中に分散させ、エチレン−ビ
ニルアルコール共重合体のスラリー(懸濁液)を形成さ
せる溶媒をいい、具体的には、メタノール、イソプロピ
ルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン等が上げ
られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体不溶性溶
媒を添加することにより、反応中においてエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(既に変性されているものも含
め)が、団子状(塊状)になるのを防ぐという効果も発
揮する。
【0028】エチレン−ビニルアルコール共重合体不溶
性溶媒の添加量としてはエチレン−ビニルアルコール共
重合体1部に対し0.1〜5部が適当であり、これ以下
だと均一化への寄与が小さく、またこれ以上になるとス
ラリー状となりにくい。
【0029】反応の触媒あるいは必要に応じ実施する加
水分解に用いるアルカリとしては、NaOH、KOH、
LiOH、トリエチルアミン等が好適である。
【0030】本目的である、水溶性で熱可塑性のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体変性物を得るための変性
率としては、3〜40モル%が好ましく、7〜30モル
%が更に好ましい。変性率が3モル%未満だと十分な水
溶性が得られにくい。一方、変性率が40モル%を超え
ても、水溶性に与える影響は小さく、製造コストが高く
つく等の問題が生ずる。
【0031】また、重合度と相関のある溶融粘度につい
ては230℃において1,000〜30,000ポイズ
が好ましく、5,000〜20,000ポイズが更に好
ましい。230℃における溶融粘度が1,000ポイズ
未満のものは、フィルム強度や接着性に十分な性能が得
られない可能性があり、また、30,000ポイズを超
えるものは、溶融成形時の粘度が高くなり過ぎて成形し
にくくなる。本発明における溶融粘度は全て50kgの
荷重をかけ、1mmφ×10mmノズルにて測定した。
【0032】種々の形態の最終製品を得るためには、マ
イケル付加反応における反応液の濃度を変化させればよ
く、例えば粉末形態を目標とする場合は、乾燥を容易に
するため、固−液反応系あるいは懸濁系で反応を行うこ
とが望ましい。
【0033】このようにして得られたエチレン−ビニル
アルコール共重合体変性物の変性率は、H−NMRや
IRにより求めることができる。これを後述する実施例
2で得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体変性
物の例を用いて説明する。
【0034】図1はH−NMRスペクトルのチャート
図である。2.45ppmのピークはカルボキシル基に
隣接する炭素に結合しているプロトンを示す。2.53
ppmのピークはアミド基に隣接する炭素に結合してい
るプロトンを示す。ここで1.4〜1.8ppmにある
エチレン−ビニルアルコール共重合体メチレンプロトン
との積分比の対比から、変性率を求めることができる。
このエチレン−ビニルアルコール共重合体変性物のカル
ボキシエチル化率は6.4モル%で、カルバモイルエチ
ル化率は0.83モル%である。
【0035】図2はIRスペクトルのチャート図であ
る。1,570cm−1がカルボキシエチル化したカル
ボキシル基の吸収で、1,660cm−1がカルバモイ
ルエチル化したアミド基の吸収である。
【0036】本発明のエチレン−ビニルアルコール共重
合体変性物は、ベースとなるエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体の特性(例えば、熱可塑性であるという性
質)に加え、水溶性であるという大きな特徴を有する。
したがって、従来のエチレン−ビニルアルコール共重合
体の用途に加え、水溶性フィルム、水溶性包装材料、水
溶性ホットメルト接着剤等の用途に利用できる。さら
に、ポリビニルアルコールにはない熱可塑性を有するこ
とから、一般的な熱可塑性樹脂ペレットの成形で行われ
る射出成形やブロー成形等の溶融成形法によって容易に
水溶性成形品が得られる。
【0037】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0038】実施例1 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率38モ
ル%)の粉末380g、48%−NaOH42gおよび
50%−アクリルアミド水溶液142gを加え、20℃
で5時間撹拌した。得られた生成物をメタノール1,5
00gで精製した後乾燥し、白色の粉末410gを得
た。
【0039】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルバモイルエチル化度(変性率)は8.2モル
%、カルボキシエチル化度は0モル%、反応率は82%
であった。なお、このものの230℃における溶融粘度
は4,800ポイズであった。
【0040】実施例2 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率29モ
ル%)の粉末390g、48%−NaOH42gおよび
50%−アクリルアミド水溶液142gを加え、20℃
で3時間撹拌後、48%−NaOH42gを加え、70
℃で3時間加水分解を行った。得られた生成物を直接乾
燥し、白色の粉末460gを得た。
【0041】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルバモイルエチル化度は0.83モル%、カル
ボキシエチル化度は6.4モル%(トータル変性率は
7.2モル%)反応率は72%であった(図1)。図2
にはIRスペクトルを示す。なお、このものの230℃
における溶融粘度は4,700ポイズであった。
【0042】実施例3 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率29モ
ル%)の粉末390g、48%−NaOH42g、アク
リロニトリル265gおよびイソプロピルアルコール8
00gを加え、20℃で3時間撹拌後、48%−NaO
H42gを加え、70℃で3時間加水分解を行った。得
られた生成物をメタノール900gで精製した後乾燥
し、白色の粉末590gを得た。
【0043】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルボキシエチル化度は40モル%、カルバモイ
ルエチル化度は0モル%、反応率は90%であった。な
お、このものの230℃における溶融粘度は21,00
0ポイズであった。
【0044】実施例4 1リットル容のセパラブルフラスコに、けん化度90モ
ル%(アセチル基含有率10モル%)のエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体(エチレン含有率20モル%)の
粉末45g、48%−NaOH8.0g、アクリルアミ
ド21gおよびメチルエチルケトン500gを加え、4
0℃で5時間撹拌した。次いで、48%−NaOH20
gを加え、70℃で3時間加水分解した。得られた生成
物を濾過した後乾燥し、白色の粉末51gを得た。
【0045】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルボキシエチル化度は21モル%、カルバモイ
ルエチル化度は0モル%、反応率は70%であった。な
お、このものの230℃における溶融粘度は30,00
0ポイズであった。
【0046】比較例1 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有率29モ
ル%)の粉末390g、48%−NaOH42gおよび
50%−アクリルアミド水溶液43gを加え、40℃で
1時間撹拌後、48%−NaOH42gを加え、70℃
で2時間加水分解を行った。得られた生成物を直接乾燥
し、白色の粉末410gを得た。
【0047】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルボキシエチル化度は1.4モル%であった。
なお、このものの230℃における溶融粘度は18,0
00ポイズであった。
【0048】比較例2 4リットル容の横形ブレンダーに、完全けん化で重合度
が1,700のポリビニルアルコール440g、30%
−NaOH400gおよび50%−アクリル酸水溶液4
26gを加え、20℃で4時間撹拌した。得られた生成
物をメタノール1,800gで精製した後乾燥し、白色
の粉末600gを得た。
【0049】得られた粉末をH−NMRで分析したと
ころ、カルボキシエチル化度は19モル%であった。な
お、このものは230℃において溶融しなかった。
【0050】実施例5〜8、比較例3〜7(水溶性フィ
ルムとしての評価) 各々厚さ20μmで1cm四方のフィルムを調製し、水
に対する溶解速度を測定した。結果を下記[表1]に示
す。
【0051】
【表1】
【0052】実施例9〜12、比較例8〜12(ホット
メルト接着剤としての評価) 1.接着剤の調製 融点測定を実施し、ホットメルト性の有無を調べた。ホ
ットメルト性が有るものについては溶融し、無いものに
ついては25%水溶液を調製し、それぞれ接着剤とし
た。
【0053】2.接着性の評価 クラフト紙を30mm×30mmに裁断し、バーコーダ
ーを用いて固形分として全て等しくなるように接着剤を
塗布した。直ちに同じ大きさのクラフト紙を重ね合わせ
て接着させた。荷重25kg、引張速度20cm/mi
nで180℃における接着強度を求めた。
【0054】3.除去性の評価 固形分50gの接着剤を2リットルの水(25℃)に投
入し、ホモディスパーで5,000rpmで30分撹拌
した。次いで42メッシュで濾過し、目詰りの状態を評
価した。 ◎:目詰りなし ○:少し目詰りあり △:目詰りあり ×:目詰り非常に多い 評価結果を下記[表2]に示した。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】本発明のエチレン−ビニルアルコール共
重合体変性物は、ベースとなるエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体のフィルムや接着剤としての特性に加え、
水に速く溶けるという大きな特徴を有する。したがっ
て、従来のエチレン−ビニルアルコール共重合体の用途
に加え、水溶性フィルム、水溶性包装材料、水溶性ホッ
トメルト接着剤等の用途に利用できる。さらに、一般の
ポリビニルアルコールにはない熱可塑性を有することか
ら、一般的な熱可塑性樹脂ペレットの成形で行われる射
出やブロー等の溶融成形法で容易に水溶性の成形品が得
られる。つまり、本発明のエチレン−ビニルアルコール
共重合体変性物は、熱可塑性はないが水溶性を有するポ
リビニルアルコールや変性ポリビニルアルコールと、水
溶性ではないが熱可塑性を有するエチレン−ビニルアル
コール共重合体の双方の特徴を合わせ持つものであり、
フィルム特性や接着性に優れた熱可塑性水溶性樹脂であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体変性物のH−NMRスペクトル図である。
【図2】実施例2で得られたエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体変性物のIRスペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 210:02 216:14)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造単位(I)、(II)および
    (III)からなり、 【化1】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
    が40〜77モル%、(III)の含有量が3〜40モ
    ル%であり、230℃における溶融粘度が1,000〜
    30,000ポイズであるエチレン−ビニルアルコール
    共重合体変性物。
  2. 【請求項2】 下記構造単位(I)、(II)および
    (IV)からなり、 【化2】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
    が40〜77モル%、(IV)の含有量が3〜40モル
    %であり、230℃における溶融粘度が1,000〜3
    0,000ポイズであるエチレン−ビニルアルコール共
    重合体変性物。
  3. 【請求項3】 下記構造単位(I)、(II)、(II
    I)および(IV)からなり、 【化3】 (I)の含有量が20〜55モル%、(II)の含有量
    が40〜77モル%、(III)の含有量が0.1〜3
    9.9モル%、(IV)の含有量が0.1〜39.9モ
    ル%であり、かつ(III)と(IV)の合計含有量が
    3〜40モル%であり、230℃における溶融粘度が
    1,000〜30,000ポイズであるエチレン−ビニ
    ルアルコール共重合体変性物。
  4. 【請求項4】 固形のエチレン−ビニルアルコール共重
    合体に対し、液状の(メタ)アクリル系化合物を固液反
    応条件下でマイケル付加反応させることを特徴とするエ
    チレン−ビニルアルコール共重合体変性物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエ
    チレン−ビニルアルコール共重合体変性物を含有してな
    る水溶性フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエ
    チレン−ビニルアルコール共重合体変性物を含有してな
    る水溶性包装材料。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエ
    チレン−ビニルアルコール共重合体変性物を含有してな
    る水溶性ホットメルト接着剤。
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