JP3092076B2 - 冷水易溶性フイルム - Google Patents
冷水易溶性フイルムInfo
- Publication number
- JP3092076B2 JP3092076B2 JP19578891A JP19578891A JP3092076B2 JP 3092076 B2 JP3092076 B2 JP 3092076B2 JP 19578891 A JP19578891 A JP 19578891A JP 19578891 A JP19578891 A JP 19578891A JP 3092076 B2 JP3092076 B2 JP 3092076B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- water
- copolymer
- cold water
- saponified
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,アルカリ性物質または
酸性物質のいずれと長期間接触しても冷水易溶性が損な
われることがなく,また,製造上の問題の少ない冷水易
溶性フイルムに関するものである。
酸性物質のいずれと長期間接触しても冷水易溶性が損な
われることがなく,また,製造上の問題の少ない冷水易
溶性フイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,水溶性フイルムは,包装用途に広
く使用されている。例えば,人体に有害であったり,人
体に触れるとその除去が困難であったり,また,使用時
に正確に計量する必要があってその取り扱いが難しいよ
うな物質で,水溶性または水分散性で乾燥状態にある物
質は水溶性フイルムで包装して使用に供されている。水
溶性フイルムで包装して使用に供されている物質として
は,洗濯用洗剤,殺虫剤,除草剤,防カビ剤,漂白剤,
浴用剤,顔料,染料等の工業用薬品等があげられる。水
溶性フイルムで包装して使用する場合,所定量を水溶性
フイルムで包装し,使用時に開封せずにそのまま水中に
投入したとき,短時間で包装用のフイルムが溶解し,中
の物質が水に溶解または分解することが必要である。従
って,包装用に使用されるフイルムは,冷水易溶性であ
ることが要求される。
く使用されている。例えば,人体に有害であったり,人
体に触れるとその除去が困難であったり,また,使用時
に正確に計量する必要があってその取り扱いが難しいよ
うな物質で,水溶性または水分散性で乾燥状態にある物
質は水溶性フイルムで包装して使用に供されている。水
溶性フイルムで包装して使用に供されている物質として
は,洗濯用洗剤,殺虫剤,除草剤,防カビ剤,漂白剤,
浴用剤,顔料,染料等の工業用薬品等があげられる。水
溶性フイルムで包装して使用する場合,所定量を水溶性
フイルムで包装し,使用時に開封せずにそのまま水中に
投入したとき,短時間で包装用のフイルムが溶解し,中
の物質が水に溶解または分解することが必要である。従
って,包装用に使用されるフイルムは,冷水易溶性であ
ることが要求される。
【0003】従来,ポリビニルアルコール(以下PVA
と略記する。)がそのような水溶性フイルムの形成物質
として使用されている。しかし,完全鹸化タイプのPV
Aは冷水では溶解が困難であるので,部分鹸化タイプの
PVAが使用されている。部分鹸化タイプのPVAは,
冷水易溶性ではあるが,アルカリ性物質と接触するとア
ルカリによって鹸化反応が進行し,その結果,冷水では
溶解が困難になってしまうという問題があった。
と略記する。)がそのような水溶性フイルムの形成物質
として使用されている。しかし,完全鹸化タイプのPV
Aは冷水では溶解が困難であるので,部分鹸化タイプの
PVAが使用されている。部分鹸化タイプのPVAは,
冷水易溶性ではあるが,アルカリ性物質と接触するとア
ルカリによって鹸化反応が進行し,その結果,冷水では
溶解が困難になってしまうという問題があった。
【0004】このような問題を解決するものとして,カ
ルボキシ変性PVAからなるフイルムが「水溶性高分子
の応用と市場」,第266〜277頁,(シーエムシー
発行)に,アリルエステルと酢酸ビニルの共重合体の鹸
化物からなるフイルムが特開昭62−179550号公
報に,2−ピロリドン環含有PVAからなるフイルムが
が特開平2−124945号公報にそれぞれ開示されて
いる。
ルボキシ変性PVAからなるフイルムが「水溶性高分子
の応用と市場」,第266〜277頁,(シーエムシー
発行)に,アリルエステルと酢酸ビニルの共重合体の鹸
化物からなるフイルムが特開昭62−179550号公
報に,2−ピロリドン環含有PVAからなるフイルムが
が特開平2−124945号公報にそれぞれ開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,カルボ
キシ変性PVAからなるフイルムは,アルカリ性の物質
と接触しても冷水易溶性は損なわれないが,酸性物質と
接触すると冷水易溶性が損なわれてしまうという問題が
ある。アリルエステルと酢酸ビニルの共重合体の鹸化物
からなるフイルムおよび2−ピロリドン環含有PVAか
らなるフイルムは,アリルエステルまたは2−ピロリド
ン環含有モノマーとビニルエステルとの共重合性があま
りよくないので,共重合する際にアリルエステルまたは
2−ピロリドン環含有モノマーを多量に用いる必要があ
ったり,また,重合後残存するアリルエステルとビニル
エステルとを蒸留により分離することが容易でない等の
製造上の問題があった。
キシ変性PVAからなるフイルムは,アルカリ性の物質
と接触しても冷水易溶性は損なわれないが,酸性物質と
接触すると冷水易溶性が損なわれてしまうという問題が
ある。アリルエステルと酢酸ビニルの共重合体の鹸化物
からなるフイルムおよび2−ピロリドン環含有PVAか
らなるフイルムは,アリルエステルまたは2−ピロリド
ン環含有モノマーとビニルエステルとの共重合性があま
りよくないので,共重合する際にアリルエステルまたは
2−ピロリドン環含有モノマーを多量に用いる必要があ
ったり,また,重合後残存するアリルエステルとビニル
エステルとを蒸留により分離することが容易でない等の
製造上の問題があった。
【0006】そこで,本発明の課題は,アルカリ性物質
または酸性物質のいずれと長期間接触しても冷水易溶性
が損なわれることがなく,また,製造上の問題の少ない
冷水易溶性フイルムを提供することにある。
または酸性物質のいずれと長期間接触しても冷水易溶性
が損なわれることがなく,また,製造上の問題の少ない
冷水易溶性フイルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果,ジアセトンアクリルア
ミドとビニルエステルとの共重合体の鹸化物において,
共重合体の構成単位と鹸化度を特定すると上記課題が解
決できるという知見を得,本発明に至った。
を解決すべく鋭意研究した結果,ジアセトンアクリルア
ミドとビニルエステルとの共重合体の鹸化物において,
共重合体の構成単位と鹸化度を特定すると上記課題が解
決できるという知見を得,本発明に至った。
【0008】すなわち,本発明の要旨は,ビニルエステ
ルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体の鹸化物よ
りなるフイルムであって,前記共重合体の鹸化物におい
て,共重合体の構成単位でビニルエステルが70〜99
モル%,ジアセトンアクリルアミドが1〜30モル%で
あり,鹸化度が50モル%以上であることを特徴とする
冷水易溶性フイルムである。
ルとジアセトンアクリルアミドとの共重合体の鹸化物よ
りなるフイルムであって,前記共重合体の鹸化物におい
て,共重合体の構成単位でビニルエステルが70〜99
モル%,ジアセトンアクリルアミドが1〜30モル%で
あり,鹸化度が50モル%以上であることを特徴とする
冷水易溶性フイルムである。
【0009】以下に本発明をさらに詳細に説明する。な
お,本発明において冷水とは−10〜40℃の水をい
う。本発明の冷水易溶性フイルムは,ビニルエステルと
ジアセトンアクリルアミドとの共重合体の鹸化物よりな
るフイルムであって,前記共重合体の構成成分であるビ
ニルエステルとしては,蟻酸ビニル,酢酸ビニル,プロ
ピオン酸ビニル,ピバリン酸ビニル,バーサチツク酸ビ
ニル等が挙げられ,中でも酢酸ビニルが工業的に最も好
ましい。
お,本発明において冷水とは−10〜40℃の水をい
う。本発明の冷水易溶性フイルムは,ビニルエステルと
ジアセトンアクリルアミドとの共重合体の鹸化物よりな
るフイルムであって,前記共重合体の構成成分であるビ
ニルエステルとしては,蟻酸ビニル,酢酸ビニル,プロ
ピオン酸ビニル,ピバリン酸ビニル,バーサチツク酸ビ
ニル等が挙げられ,中でも酢酸ビニルが工業的に最も好
ましい。
【0010】ジアセトンアクリルアミドとビニルエステ
ルとの共重合方法としては,ビニルエステル系重合体の
製造法において従来より公知のバルク重合,溶液重合,
エマルジヨン重合,懸濁重合等の各種の重合方法を用い
ることができ,中でもメタノールを溶剤として用いる溶
液重合が工業的に好ましい。
ルとの共重合方法としては,ビニルエステル系重合体の
製造法において従来より公知のバルク重合,溶液重合,
エマルジヨン重合,懸濁重合等の各種の重合方法を用い
ることができ,中でもメタノールを溶剤として用いる溶
液重合が工業的に好ましい。
【0011】ビニルエステルとジアセトンアクリルアミ
ドとの共重合体の構成単位で,ビニルエステルは70〜
99モル%であり,ジアセトンアクリルアミドは1〜3
0モル%,好ましくは,2〜15モル%である。ジアセ
トンアクリルアミドが1%モル未満(ビニルエステルが
99モル%を超える)では,鹸化物の冷水易溶性が劣っ
たり,アルカリ性物質または酸性物質と長期接触した
際,冷水易溶性が損なわれたりする。一方,30モル%
を超える(ビニルエステルが70モル%未満)と,フイ
ルムの強度が低下して軟質化しすぎたりして,包装用フ
イルムとして適当でなくなる。また,共重合体の重合度
としては特に限定されないが,300〜3000のもの
が好ましい。共重合体の重合度が300未満ではフイル
ムの強度が小さすぎる傾向にあり,3000を超えると
冷水溶解速度が劣る傾向にある。
ドとの共重合体の構成単位で,ビニルエステルは70〜
99モル%であり,ジアセトンアクリルアミドは1〜3
0モル%,好ましくは,2〜15モル%である。ジアセ
トンアクリルアミドが1%モル未満(ビニルエステルが
99モル%を超える)では,鹸化物の冷水易溶性が劣っ
たり,アルカリ性物質または酸性物質と長期接触した
際,冷水易溶性が損なわれたりする。一方,30モル%
を超える(ビニルエステルが70モル%未満)と,フイ
ルムの強度が低下して軟質化しすぎたりして,包装用フ
イルムとして適当でなくなる。また,共重合体の重合度
としては特に限定されないが,300〜3000のもの
が好ましい。共重合体の重合度が300未満ではフイル
ムの強度が小さすぎる傾向にあり,3000を超えると
冷水溶解速度が劣る傾向にある。
【0012】ジアセトンアクリルアミドとビニルエステ
ルとの共重合体の鹸化方法としては,従来より公知であ
るアルカリ鹸化および酸鹸化を適用することができ,中
でも,メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アル
コール分解する方法が好ましい。
ルとの共重合体の鹸化方法としては,従来より公知であ
るアルカリ鹸化および酸鹸化を適用することができ,中
でも,メタノール中で水酸化アルカリを使用して加アル
コール分解する方法が好ましい。
【0013】ジアセトンアクリルアミドとビニルエステ
ルとの共重合体の鹸化物の鹸化度としては,50モル%
以上であることが必要であり,好ましくは85モル%以
上である。鹸化度が50モル%未満では,冷水易溶性が
損なわれたり,軟質化しすぎたりして,冷水易溶性の包
装フイルムとして適さない。
ルとの共重合体の鹸化物の鹸化度としては,50モル%
以上であることが必要であり,好ましくは85モル%以
上である。鹸化度が50モル%未満では,冷水易溶性が
損なわれたり,軟質化しすぎたりして,冷水易溶性の包
装フイルムとして適さない。
【0014】上記のごとくして得られたジアセトンアク
リルアミドとビニルエステルとの共重合体の鹸化物を,
従来より公知の方法で精製して乾燥し,必要に応じて粉
砕することにより,冷水易溶性ポリマーが得られる。
リルアミドとビニルエステルとの共重合体の鹸化物を,
従来より公知の方法で精製して乾燥し,必要に応じて粉
砕することにより,冷水易溶性ポリマーが得られる。
【0015】また,前記ジアセトンアクリルアミドとビ
ニルエステルとの共重合体は,ビニルエステルおよび/
またはジアセトンアクリルアミドと共重合可能なモノマ
ー,例えば,クロトン酸,(メタ)アクリル酸等の不飽
和モノカルボン酸およびそのエステル類,マレイン酸,
イタコン酸,フマール酸等の不飽和ジカルボン酸および
その無水物,モノアルキルエステル,アルカリ金属塩,
ジアセトンアクリルアミド以外のアミド基含有モノマ
ー,アルキルビニルエーテル類,ビニルピロリドン類等
を本発明の効果を損なわない範囲で共重合したものであ
ってもよい。
ニルエステルとの共重合体は,ビニルエステルおよび/
またはジアセトンアクリルアミドと共重合可能なモノマ
ー,例えば,クロトン酸,(メタ)アクリル酸等の不飽
和モノカルボン酸およびそのエステル類,マレイン酸,
イタコン酸,フマール酸等の不飽和ジカルボン酸および
その無水物,モノアルキルエステル,アルカリ金属塩,
ジアセトンアクリルアミド以外のアミド基含有モノマ
ー,アルキルビニルエーテル類,ビニルピロリドン類等
を本発明の効果を損なわない範囲で共重合したものであ
ってもよい。
【0016】フイルムの形成方法としては,流延法,押
出法等,公知の方法を適宜用いることができる。また,
フイルムの厚みは使用目的にあわせて任意に設定すれば
よいが,10〜200μmとするのが好ましい。さら
に,フイルムの形成に際しては,必要に応じて水溶性ポ
リマーに対する可塑剤を添加してもよい。好ましい可塑
剤としては,例えば,グリセリン,ジエチレングリコー
ル,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコー
ル,ポリグリセロール,トリエタノールアミン,トリエ
タノールアミンアセテート等が挙げられる。
出法等,公知の方法を適宜用いることができる。また,
フイルムの厚みは使用目的にあわせて任意に設定すれば
よいが,10〜200μmとするのが好ましい。さら
に,フイルムの形成に際しては,必要に応じて水溶性ポ
リマーに対する可塑剤を添加してもよい。好ましい可塑
剤としては,例えば,グリセリン,ジエチレングリコー
ル,トリエチレングリコール,ポリエチレングリコー
ル,ポリグリセロール,トリエタノールアミン,トリエ
タノールアミンアセテート等が挙げられる。
【0017】また,本発明の冷水易溶性フイルムは,本
発明の効果が損なわれない範囲で,例えば,PVA,デ
ンプン類,セルロース誘導体,ポリアクリル酸またはそ
のアルカリ金属塩等の水溶性高分子,水溶性乳化物,懸
濁物あるいはクレー,酸化チタン等の顔料を含有したも
のであっても差し支えない。
発明の効果が損なわれない範囲で,例えば,PVA,デ
ンプン類,セルロース誘導体,ポリアクリル酸またはそ
のアルカリ金属塩等の水溶性高分子,水溶性乳化物,懸
濁物あるいはクレー,酸化チタン等の顔料を含有したも
のであっても差し支えない。
【0018】本発明の冷水易溶性フイルムは,アルカリ
性の物質や酸性の物質と接触してもその冷水易溶性が損
なわれることがない。したがって,このような性質を有
し,人体に有害であったり,人体に触れるとその除去が
困難であったり,使用時に正確に計量する必要があって
その取り扱いが難しいような物質の包装に適している。
そして,包装物は,長期間経過しても使用時に水中にそ
のまま投入するとただちにフイルムが溶解して内容物が
溶解または分散する。すなわち,本発明の冷水易溶性フ
イルムは,直投タイプの包装物用フイルムとして好適に
用いられる。
性の物質や酸性の物質と接触してもその冷水易溶性が損
なわれることがない。したがって,このような性質を有
し,人体に有害であったり,人体に触れるとその除去が
困難であったり,使用時に正確に計量する必要があって
その取り扱いが難しいような物質の包装に適している。
そして,包装物は,長期間経過しても使用時に水中にそ
のまま投入するとただちにフイルムが溶解して内容物が
溶解または分散する。すなわち,本発明の冷水易溶性フ
イルムは,直投タイプの包装物用フイルムとして好適に
用いられる。
【0019】
【実施例】次に,実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。なお,例中の「部」および「%」は,特に
指定しない限り,「重量部」および「重量%」を示す。
に説明する。なお,例中の「部」および「%」は,特に
指定しない限り,「重量部」および「重量%」を示す。
【0020】水溶性ポリマーの合成例 攪拌機,温度計,滴下ロートおよび還流冷却器を付した
フラスコ中に,酢酸ビニル1000部,ジアセトンアク
リルアミド10部およびメタノール250部を仕込み,
系内の窒素置換を行った後,内温を60℃まで昇温し
た。この系に2,2'−アゾイソブチロニトリル1部をメタ
ノール50部に溶解した溶液を添加し,重合を開始し
た。重合開始後5時間かけて,ジアセトンアクリルアミ
ド20部をメタノール50部に溶解した溶液を一定速度
で滴下し,6時間で重合を停止した。重合停止時の系内
の固形分濃度は52%であり,酢酸ビニルの重合収率は
69%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気
を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し,ジアセトン
アクリルアミド共重合成分を含有する酢酸ビニル系重合
体の50%メタノール溶液を得た。このものの500部
にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメ
タノール溶液10部とを加えてよく混合し,40℃で鹸
化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し,メタノー
ルでよく洗浄した後乾燥して,ジアセトンアクリルアミ
ドと酢酸ビニルとの共重合体鹸化物を得た(以下,これ
を共重合体鹸化物〔A〕と称する)。
フラスコ中に,酢酸ビニル1000部,ジアセトンアク
リルアミド10部およびメタノール250部を仕込み,
系内の窒素置換を行った後,内温を60℃まで昇温し
た。この系に2,2'−アゾイソブチロニトリル1部をメタ
ノール50部に溶解した溶液を添加し,重合を開始し
た。重合開始後5時間かけて,ジアセトンアクリルアミ
ド20部をメタノール50部に溶解した溶液を一定速度
で滴下し,6時間で重合を停止した。重合停止時の系内
の固形分濃度は52%であり,酢酸ビニルの重合収率は
69%であった。得られた反応混合物にメタノール蒸気
を加えながら残存する酢酸ビニルを留出し,ジアセトン
アクリルアミド共重合成分を含有する酢酸ビニル系重合
体の50%メタノール溶液を得た。このものの500部
にメタノール50部と水酸化ナトリウムの濃度4%のメ
タノール溶液10部とを加えてよく混合し,40℃で鹸
化反応を行った。得られたゲル状物を粉砕し,メタノー
ルでよく洗浄した後乾燥して,ジアセトンアクリルアミ
ドと酢酸ビニルとの共重合体鹸化物を得た(以下,これ
を共重合体鹸化物〔A〕と称する)。
【0021】共重合体鹸化物〔A〕の揮発分は0.1%以
下であり,また,元素分析測定により,共重合体鹸化物
〔A〕のジアセトンアクリルアミド共重合成分の含有率
は2.9モル%であることが判明した。共重合体鹸化物
〔A〕の鹸化度は86モル%,重合度は1600であっ
た。
下であり,また,元素分析測定により,共重合体鹸化物
〔A〕のジアセトンアクリルアミド共重合成分の含有率
は2.9モル%であることが判明した。共重合体鹸化物
〔A〕の鹸化度は86モル%,重合度は1600であっ
た。
【0022】前記の方法に準じて酢酸ビニルとジアセト
ンアクリルアミドとを共重合して得られた共重合体を鹸
化して,共重合体の構成単位の異なる9種類の共重合体
鹸化物〔B〕,〔C〕,〔D〕,〔E〕,〔F〕,
〔G〕,〔H〕,〔I〕および〔J〕を得た。これらの
共重合体鹸化物についてのデータを共重合体鹸化物
〔A〕のデータと併せて表1に示す。
ンアクリルアミドとを共重合して得られた共重合体を鹸
化して,共重合体の構成単位の異なる9種類の共重合体
鹸化物〔B〕,〔C〕,〔D〕,〔E〕,〔F〕,
〔G〕,〔H〕,〔I〕および〔J〕を得た。これらの
共重合体鹸化物についてのデータを共重合体鹸化物
〔A〕のデータと併せて表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例1〜6 水溶性ポリマーの合成例で得た共重合体鹸化物〔A〕,
〔C〕,〔D〕,〔E〕,〔H〕および〔J〕の粉末を
水に溶解し,10%水溶液を調製した。この水溶液を,
表面が平滑で水平なポリエステル板上にアプリケーター
を使用して流延し,乾燥して,透明で均一なフイルムを
得た。得られたフイルムの厚みは約30μmであった。
得られたフイルムで5×5cmの大きさの袋を作り,この
中に洗濯用洗剤(商品名「ザブ」:花王製)20gを入
れ,ヒートシールした。また,炭酸ソーダ塩粉末,硫酸
アンモニウム塩粉末あるいは除草剤(商品名「キタジン
P」:クミアイ化学製)についても同様にして,これら
薬剤を封入した袋体を得た。これらを放置し,6ヶ月後
および1年後に袋体から1×1cmのフイルムを切り取
り,20℃の水中に浸漬して,フイルムが完全に溶解す
るまでに要する時間(溶解所要時間)を測定した。その
結果を表2に示す。表2から明らかなように,いずれも
冷水溶解性を保持していた。
〔C〕,〔D〕,〔E〕,〔H〕および〔J〕の粉末を
水に溶解し,10%水溶液を調製した。この水溶液を,
表面が平滑で水平なポリエステル板上にアプリケーター
を使用して流延し,乾燥して,透明で均一なフイルムを
得た。得られたフイルムの厚みは約30μmであった。
得られたフイルムで5×5cmの大きさの袋を作り,この
中に洗濯用洗剤(商品名「ザブ」:花王製)20gを入
れ,ヒートシールした。また,炭酸ソーダ塩粉末,硫酸
アンモニウム塩粉末あるいは除草剤(商品名「キタジン
P」:クミアイ化学製)についても同様にして,これら
薬剤を封入した袋体を得た。これらを放置し,6ヶ月後
および1年後に袋体から1×1cmのフイルムを切り取
り,20℃の水中に浸漬して,フイルムが完全に溶解す
るまでに要する時間(溶解所要時間)を測定した。その
結果を表2に示す。表2から明らかなように,いずれも
冷水溶解性を保持していた。
【0025】
【表2】
【0026】実施例7,8 水溶性ポリマーの合成例で得た共重合体鹸化物〔A〕お
よび〔D〕の粉末と,これに対して10%のグリセリン
とを水に溶解し,12%の水溶液を調製した。この水溶
液を用いて実施例と同様な方法で厚さ約33μmのフイ
ルム作り,実施例1と同様にして薬剤によるフイルムの
水溶性の変化を測定した。その結果を表2に示す。な
お,フイルムの厚みは約33μmであった。表2から明
らかなように,いずれも冷水溶解性を保持していた。
よび〔D〕の粉末と,これに対して10%のグリセリン
とを水に溶解し,12%の水溶液を調製した。この水溶
液を用いて実施例と同様な方法で厚さ約33μmのフイ
ルム作り,実施例1と同様にして薬剤によるフイルムの
水溶性の変化を測定した。その結果を表2に示す。な
お,フイルムの厚みは約33μmであった。表2から明
らかなように,いずれも冷水溶解性を保持していた。
【0027】比較例1〜4 水溶性ポリマーの合成例で得た共重合体鹸化物〔G〕の
粉末を実施例1と同様にして10%水溶液を調製し,フ
イルム(フイルムの厚みは約29μm)を作り,薬剤に
よるフイルムの水溶性の変化を測定した。その結果を表
2に示す(比較例1)。また,共重合体鹸化物〔B〕
は,水に一部溶解するが,大部分は膨潤するのみであ
り,フイルムを作ることができなかった(比較例2)。
共重合体鹸化物〔F〕より作ったフイルムは,軟質であ
り,フイルム同士でのブロツキング性が激しく,袋状に
することが困難であった(比較例3)。共重合体鹸化物
〔I〕より作ったフイルムは,軟質かつフイルムの強度
が小さく,袋状にすることが困難であった(比較例
4)。
粉末を実施例1と同様にして10%水溶液を調製し,フ
イルム(フイルムの厚みは約29μm)を作り,薬剤に
よるフイルムの水溶性の変化を測定した。その結果を表
2に示す(比較例1)。また,共重合体鹸化物〔B〕
は,水に一部溶解するが,大部分は膨潤するのみであ
り,フイルムを作ることができなかった(比較例2)。
共重合体鹸化物〔F〕より作ったフイルムは,軟質であ
り,フイルム同士でのブロツキング性が激しく,袋状に
することが困難であった(比較例3)。共重合体鹸化物
〔I〕より作ったフイルムは,軟質かつフイルムの強度
が小さく,袋状にすることが困難であった(比較例
4)。
【0028】比較例5 水溶性ポリマーの合成例で得た共重合体鹸化物〔A〕の
代わりに鹸化度85モル%,重合度1200のPVAを
使用した以外は,実施例1と同様にしてフイルムを作
り,薬剤によるフイルムの水溶性の変化を測定し,その
結果を表2に示す。なお,フイルムの厚みは約30μm
であった。6ヶ月後では,冷水に溶解することが困難に
なっていた。 比較例1〜5における結果を表3に示す。
代わりに鹸化度85モル%,重合度1200のPVAを
使用した以外は,実施例1と同様にしてフイルムを作
り,薬剤によるフイルムの水溶性の変化を測定し,その
結果を表2に示す。なお,フイルムの厚みは約30μm
であった。6ヶ月後では,冷水に溶解することが困難に
なっていた。 比較例1〜5における結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】以上のように構成されているので,本発
明の冷水易溶性フイルムは,アルカリ性の物質や酸性の
物質と接触してもその冷水易溶性が損なわれることがな
い。また,その製造工程において,ジアセトンアクリル
アミドはビニルエステルと共重合性がよいので,ジアセ
トンアクリルアミドモノマーを多量に用いなくてもよ
く,重合後の共重合体の精製分離が容易であり,製造上
の問題が少ない。
明の冷水易溶性フイルムは,アルカリ性の物質や酸性の
物質と接触してもその冷水易溶性が損なわれることがな
い。また,その製造工程において,ジアセトンアクリル
アミドはビニルエステルと共重合性がよいので,ジアセ
トンアクリルアミドモノマーを多量に用いなくてもよ
く,重合後の共重合体の精製分離が容易であり,製造上
の問題が少ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 CA(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 ビニルエステルとジアセトンアクリルア
ミドとの共重合体の鹸化物よりなるフイルムであって,
前記共重合体の鹸化物において,共重合体の構成単位で
ビニルエステルが70〜99モル%,ジアセトンアクリ
ルアミドが1〜30モル%であり,鹸化度が50モル%
以上であることを特徴とする冷水易溶性フイルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19578891A JP3092076B2 (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 冷水易溶性フイルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19578891A JP3092076B2 (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 冷水易溶性フイルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0517597A JPH0517597A (ja) | 1993-01-26 |
JP3092076B2 true JP3092076B2 (ja) | 2000-09-25 |
Family
ID=16346987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19578891A Expired - Lifetime JP3092076B2 (ja) | 1991-07-10 | 1991-07-10 | 冷水易溶性フイルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3092076B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE60201142T2 (de) | 2001-04-20 | 2005-10-20 | Kuraray Co., Ltd., Kurashiki | Wasserlösliche Folie und Verpackung, welche dieselbe verwendet |
JP4675531B2 (ja) * | 2001-09-28 | 2011-04-27 | 株式会社クラレ | アルカリ性物質包装用水溶性フィルム |
JP4772238B2 (ja) * | 2001-09-28 | 2011-09-14 | 株式会社クラレ | 塩素含有化合物包装用水溶性フィルム |
JP6254816B2 (ja) * | 2013-10-18 | 2017-12-27 | 日本酢ビ・ポバール株式会社 | ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法およびそれにより得られたポリビニルアルコール系樹脂 |
-
1991
- 1991-07-10 JP JP19578891A patent/JP3092076B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0517597A (ja) | 1993-01-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5070126A (en) | Films easily soluble in cold water | |
JP6073993B2 (ja) | 水性分散液および溶融押出成形品に使用するビニルアルコールコポリマー | |
US7642226B2 (en) | Polyvinyl alcohol copolymer film for packaging liquid products and having an improved shelf-life | |
US5102950A (en) | Water soluble film | |
JPS6031844B2 (ja) | カルボキシル基変性ポリビニルアルコ−ルの製造法 | |
JP3609898B2 (ja) | 薬剤包装用水溶性フィルム | |
JP3609894B2 (ja) | ホウ酸系物質包装用フィルム | |
JP2005089655A (ja) | ポリビニルアルコール系樹脂およびフィルム | |
JP4095595B2 (ja) | フィルム | |
JPH09272773A (ja) | 水溶性のフィルム | |
JP2001247625A (ja) | ビニルアルコール系重合体およびこれを使用した冷水易溶性フィルム | |
JPH0627205B2 (ja) | アルカリ性物質包装用のポリビニルアルコ−ルフイルム | |
CA2205889C (en) | Polyvinyl alcohol powder | |
JP3092076B2 (ja) | 冷水易溶性フイルム | |
JPS62295962A (ja) | 水膨潤性組成物及びその製法 | |
US5019609A (en) | Films easily soluble in cold water | |
EP0444230B1 (en) | Cold water soluble film | |
JP2001220411A (ja) | ビニルアルコール系重合体およびこれを使用した冷水易溶性フィルム | |
JPH03124734A (ja) | 水溶性フイルム | |
JPS62179550A (ja) | 冷水易溶性フイルム | |
JPH11236419A (ja) | 変性ポリビニルアルコール、それを使用したフィルム、及びその製法 | |
JP3091366B2 (ja) | アセチルサリチル酸ビニル−ビニルアルコール系共重合体 | |
JPH0977947A (ja) | 冷水易溶性フィルム | |
JPS5837013A (ja) | 酢酸ビニル重合体ラテツクスの製造方法 | |
JP2000297159A (ja) | 冷水易溶性フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090728 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 10 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100728 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728 Year of fee payment: 11 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |