JPH09227385A - 眼手術用補助剤 - Google Patents

眼手術用補助剤

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JPH09227385A
JPH09227385A JP4249196A JP4249196A JPH09227385A JP H09227385 A JPH09227385 A JP H09227385A JP 4249196 A JP4249196 A JP 4249196A JP 4249196 A JP4249196 A JP 4249196A JP H09227385 A JPH09227385 A JP H09227385A
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JP
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viscosity
aqueous solution
hyaluronic acid
acid
salt
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JP4249196A
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Taiji Tajiri
大治 田尻
Fumio Saito
文郎 斎藤
Eri Ishikawa
恵理 石川
Yasuyuki Takahashi
靖侑 高橋
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OFUTEKUSU KK
Original Assignee
OFUTEKUSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温および加熱下で比較的安定な、白内障手
術、眼内レンズ移植手術、緑内障手術および全層角膜移
植手術等の眼手術用に好適な補助剤を提供すること。 【解決手段】 (A)ヒアルロン酸および/またはヒア
ルロン酸塩、および(B)ポリカルボン酸およびその
塩、ポリオール、糖質並びにアミノ酸およびその塩より
なる群から選ばれる少なくとも1種の粘度安定化剤を含
有してなり、且つ37℃における粘度が2,000セン
チポアズ以上20,000センチポアズ未満である水溶
液からなる眼手術用補助剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白内障手術、眼内
レンズ移植手術、緑内障手術および全層角膜移植手術等
の眼手術用補助剤に関する。さらに詳しくは、室温およ
び加熱下で比較的安定な眼手術用補助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢者層の増加に伴い様々な眼疾
病患者が増えており、それらの有効な薬物治療法と簡便
且つ安全な手術法の開発は、今後ともますます重要な位
置づけとなる。その中でも白内障手術、眼内レンズ挿入
術および緑内障手術の新しい手術様式の開発は、年々目
覚ましい進歩を遂げており、患者にとって福音となって
いる。白内障手術では、混濁した水晶体の破砕・摘出に
超音波乳化吸引術等の術式を用いることにより手術の簡
便化、切開部位の縮小化、眼内レンズの改良およびその
挿入術の進歩とともに術後経過が改善され、その結果、
日帰り手術も可能となった。
【0003】上記の手術を円滑且つ安全に実施するため
には、手術用補助剤として用いられる粘弾性物質が重要
な役割を果たす。すなわち、手術時に該手術用補助剤を
切開部位より眼内に注入することにより、前房および
後房の空間保持、機械的外傷からの組織および内皮細
胞の保護、手術器具および眼内レンズの容易な挿入、
出血を最小限に抑える、等の効果が得られる。これら
の手術用補助剤の主成分としては、ヒアルロン酸または
その塩、コンドロイチン硫酸またはその塩、メチルセル
ロース等が現在臨床上使用されている。その中で、ヒア
ルロン酸ナトリウムの水溶液は、眼内空間保持に必要な
高い粘弾性をもち、並びに生体安全性を有することか
ら、該粘弾性製剤の主成分として特に利用される。
【0004】ヒアルロン酸ナトリウムの化学構造は、グ
ルクロン酸ナトリウムとN−アセチルグルコサンがβ1
→3およびβ1→4結合の反復単位をもつ高分子多糖類
である。本物質は、哺乳動物の軟骨、関節等の結合組
織、眼の硝子体、鶏冠等に分布している。また近年、ス
トレプトコッカス属等の微生物生産により本物質を入手
することができる。天然のヒアルロン酸ナトリウムは、
生体中に存在するとき、その平均分子量は800万〜1
300万であるといわれ、その単離・精製中に次々と低
分子化をうけるので、その分子量範囲が通常2万〜40
0万の製品が入手可能となる。
【0005】眼科手術用として現在臨床上使用されてい
る本物質の分子量範囲は、高分子量(190万〜390
万)、中分子量(150万〜210万)および低分子量
(60万〜120万)の3つに大別される。臨床評価
は、これらの分子量の違いによりそれぞれ長所と短所と
を併せもつ。これらのうち、低分子量または中分子量ヒ
アルロン酸ナトリウムから構成される中粘性製剤は、対
応する高分子量からなる高粘性製剤と比較して、術後の
眼圧上昇および炎症の軽減、回復の速さ、内皮細胞減少
率が低いこと等の優れた点が多い。一方、該中粘性製剤
の欠点は、眼内空間形成力および使用済みの製剤の眼内
からの吸引除去性は劣ることにあるといわれている(Su
rv. Ophthalmol., 34巻 268頁 1990年およ
眼科手術6巻 459頁 1993年参照)。
【0006】粉末状の本物質は、上記の使用目的に用い
られるとき、生理食塩水、リン酸系、硼酸系およびトリ
ス緩衝液に溶解しなけらばならない。しかしながら、か
ような水溶液状態のヒアルロン酸は、室温下では徐々
に、また加熱条件下では急速に低分子化され、それに伴
って粘性率(または極限粘度)も低下する。そのために
ほとんどの該市場品は、長期間冷暗所で保存しなければ
ならず、商品流通時の手間と流通コスト等無視できない
ものとなる。また、製剤過程で重要な加熱減菌操作も間
歇減菌法等煩雑であり、該主成分の低分子化を防ぐため
に多くの注意が必要となる。
【0007】ヒアルロン酸ナトリウム水溶液の安定化法
に関しては、フェノール性水酸基を有する化合物を共存
させる方法(特開平1−113401号公報参照)、ポ
リアミノ酸、ポリアクリル酸のような高分子を添加する
方法(特開昭57−185208号公報参照)が知られ
ているが、該製剤の粘性率が100センチポアズ(cp
s)未満と低く、安定性、粘性率ともに満足し得る結果
が得られていなかった。さらに、他の粘度安定化剤とし
て、多価アルコール、単糖および糖アルコールをヒアル
ロン酸水溶液に添加し、化粧料および化粧用ローション
に適用することが知られている(特開昭55−1537
11号公報および特開昭61−180705号公報参
照)。
【0008】また、多価アルコール、糖アルコール、グ
ルコースおよびマンノースよりなる群から選ばれる非電
解質とヒアルロン酸塩を含有し且つ2万〜20万センチ
ポアズの高粘性水溶液製剤も知られている(特公平1−
22248号公報参照)。この製剤は、同公報に記載さ
れているとおり、高粘性製剤とすることによって、前眼
部手術時において、組織表面の損傷を防ぎ、縫合等の手
技を安全且つ確実に実施しまた術後の癒着を防ぐことに
ある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、眼手
術用補助剤を提供することにある。本発明の他の目的
は、ヒアルロン酸水溶液の安定な中粘性製剤からなる眼
手術用補助剤を提供することにある。本発明のさらに他
の目的は、室温で長期間に亘る保存安定性に優れ、また
通常の加熱減菌条件下でも低粘化することを防止し得る
眼手術用補助剤を提供することにある。本発明のさらに
他の目的は、増粘剤(粘度安定化剤)を含有せしめるこ
とにより、比較的低い眼内空間形成力を増強せしめ、そ
して低分子量ヒアルロン酸製剤の眼科臨床上の長所を生
かした眼手術用補助剤を提供することにある。本発明の
さらに他の目的および利点は以下の説明から明らかにな
ろう。
【0010】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意安定化剤の探索を行った結果、ヒアル
ロン酸またはその塩を含有する水溶液に、特定のポリカ
ルボン酸、ポリオール、糖質およびアミノ酸を添加する
ことにより、水溶液の低粘化が抑えられ、長期室温並び
に加熱下での粘度安定性を発揮することを見出だし、さ
らに該安定化剤は増粘効果を併せもつので、低分子量ヒ
アルロン酸水溶液の増粘化製剤を調製し、本発明を完成
した。
【0011】すなわち、本発明によれば、本発明の上記
目的および利点は、(A)ヒアルロン酸および/または
ヒアルロン酸塩、および(B)ポリカルボン酸およびそ
の塩、ポリオール、糖質並びにアミノ酸およびその塩よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種の粘度安定化剤を
含有してなり、且つ37℃における粘度が2,000セ
ンチポアズ以上20,000センチポアズ未満である水
溶液からなることを特徴とする眼手術用補助剤によって
達成される。
【0012】本発明によって用いられるヒアルロン酸と
しては、数平均分子量が60万〜390万の範囲にある
ものが好ましい。また、ヒアルロン酸の塩類としてはナ
トリウム塩、カリウム塩、塩基性アミノ酸塩等が用いら
れる。そのうち、眼科手術用として使用する製剤につい
ては、硝子体組成や房水の塩組成を考慮するとナトリウ
ム塩が特に好ましい。本発明の水溶液製剤におけるヒア
ルロン酸およびその塩の濃度は、用途目的の粘性率に応
じて適宜決定されるが、好ましくは0.5〜5.0重量%
の範囲にある。
【0013】本発明において用いられる粘度安定化剤
は、ポリカルボン酸およびその塩、ポリオール、糖質並
びにアミノ酸およびその塩である。これらは単独である
いは2種以上で併用することができる。これらの粘度安
定化剤は、水溶性であり、本発明の水溶液の安定化およ
び増粘化に寄与する。本発明において、経時的粘度安定
性試験は、粘性率または極限粘度の測定により評価し
た。
【0014】ポリカルボン酸およびその塩としては、ク
エン酸ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーが好
ましく用いられる。これらは単独であるいは併用するこ
とができる。ポリカルボン酸およびその塩は、好ましく
は0.05〜1.0重量%の濃度で用いられる。
【0015】ポリオールとしては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン、ポリビニルア
ルコールおよびポリエチレングリコールが好ましく用い
られる。 これらは単独であるいは2種以上併用するこ
とができる。ポリオールは好ましくは0.5〜10.0重
量%、より好ましくは1.0〜2.5重量%となる濃度で
用いられる。
【0016】糖質としては、ソルビトール、トレハロー
ス、シュクロース、カルボキシメチルセルロースおよび
β−シクロデキストリンが好ましく用いられる。これら
は単独であるいは2種以上併用することができる。糖質
は好ましくは0.05〜5.0重量%となる濃度で用いら
れる。
【0017】アミノ酸としては、ヒスチジン、アルギニ
ンおよびアスパラギン酸ナトリウムが好ましく用いられ
る。これらは単独であるいは2種以上併用することがで
きる。アミノ酸は0.05〜1.0重量%となる濃度で用
いられる。
【0018】本発明の水溶液は、ヒアルロン酸および/
またはヒアルロン酸ナトリウム(A)および粘度安定化
剤(B)を水系触媒中に溶解することにより調製され
る。水系媒体としては、精製水、等張化剤を溶解した水
溶液あるいは緩衝剤を溶解した水溶液が好ましく用いら
れる。等張化剤や緩衝剤は好ましくは2重量%以下で精
製水に溶解して調製される。
【0019】等張化剤としては、塩化ナトリウムおよび
塩化カリウムが好ましい。緩衝剤としては、例えばリン
酸2水素ナトリウムおよびリン酸1水素ナトリウムの如
きリン酸系緩衝剤、硼砂および硼酸の如き硼酸系緩衝剤
並びにトリスアミノメタンと希塩酸およびトリスマレー
トと希カセイソーダ液の如きトリス緩衝剤が好ましい。
本発明の水溶液のpH範囲はpH6〜8であることが好
ましく、pH6以下の酸性またはpH8以上のアルカリ
性領域では加水分解により、低粘化が大きく生じるので
避けるべきである。また、本発明の水溶液の浸透圧は、
等張化剤の濃度を調整して、生理食塩水を1とした場
合、その浸透圧比が0.7〜1.3の範囲に収まるようす
るのが好ましい。
【0020】本発明によれば、かように得られた安定化
製剤の経時的安定性試験を行った結果、粘性率(または
極限粘度)の初期値を100%とすると、40℃で3カ
月の保存では90%以上の粘度保持率を示し、安定化剤
無しの比較例の粘度低下と比較して顕著に安定性を確得
できることから(表5、表6)、室温にて長期間保存可
能となった。また、該製剤の100℃、20分における
高温試験においても同様に90%以上の粘度保持率を示
したことにより、1段階加熱減菌が可能となった。
【0021】本発明の水溶液の粘度範囲は、白内障手
術、眼内レンズ移植手術、緑内障手術および全層角膜移
植手術時に用いられる補助剤の至適温度である37℃に
おいて2,000以上20,000cps未満(極限粘度
約16〜35dl/g未満)である。ヒアルロン酸の分
子量およびその濃度、増粘剤(粘度安定化剤)の種類お
よびその濃度を適宜選択することにより、望みの粘度製
剤を容易に調製することができる。
【0022】例として、下記表1に示すように、平均分
子量100万のヒアルロン酸ナトリウムの1.0重量%
濃度の平均粘性率は、増粘剤無しの熱処理前が3100
cpsであるのに対し、この溶液に増粘化剤としてプロ
ピレングリコールを2.0重量%加えることにより、熱
処理前4200cpsに粘性率を増加させることができ
た。他のポリカルボン酸、ポリオール、糖質およびアミ
ノ酸も同様に増粘効果を示した。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 プロピレングリコールを0、0.5、1、2、3、4重
量%添加した生理的リン酸緩衝液にヒアルロン酸ナトリ
ウム塩(分子量100万)を1重量%溶解し、それぞれ
の溶液を回転粘度計を用いて、剪段速度4/secで測
定した。その結果を図1に表す。図1に見られるように
プロピレングリコールを添加することでヒアルロン酸ナ
トリウム塩水溶液が増粘化することが明らかである。
【0024】実施例2および比較例1 プロピレングリコールを2重量%添加した生理的リン酸
緩衝液にヒアルロン酸ナトリウム塩(分子量100万)
を1重量%溶解後、100℃で熱処理をし、熱処理前、
10分間熱処理後、20分間熱処理後の粘度を回転粘度
計を用いて、剪段速度4/secで測定した。測定値と
熱処理前の粘度を100%としたときの粘度保持率を表
1に示す。なお、対照としてプロピレングリコールを添
加しないものについて、同様に測定を行った。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果からも、プロピレングリコール
を添加することにより、ヒアルロン酸ナトリウム塩水溶
液の粘度低下を抑制できることがわかる。
【0027】実施例3および比較例2 カルボキシビニルポリマーを0.075重量%添加した
生理的リン酸緩衝液にヒアルロン酸ナトリウム塩(分子
量100万)を1重量%溶解後、100℃で熱処理を
し、熱処理前、10分間熱処理後、20分間熱処理後の
粘度を回転粘度計を用いて剪段速度4/secで測定し
た。測定値と熱処理前の粘度を100%としたときの粘
度保持率を表2および図2に示す。なお、対照としてカ
ルボキシビニルポリマーを添加しないものについて、同
様に測定を行った。
【0028】
【表2】
【0029】表2および図2の結果からも、カルボキシ
ビニルポリマーを添加することにより、ヒアルロン酸ナ
トリウム塩水溶液の粘度低下の抑制および増粘化ができ
ることがわかる。
【0030】実施例4および比較例3 トレハロースを1重量%添加した生理的リン酸緩衝液に
ヒアルロン酸ナトリウム塩(分子量100万)を1重量
%溶解後、100℃で熱処理をし、熱処理前、10分間
熱処理後、20分間熱処理後の粘度を回転粘度計を用い
て剪段速度4/secで測定した。測定値と熱処理前の
粘度を100%としたときの粘度保持率を表3に示す。
なお、対照としてトレハロースを添加しないものについ
て、同様に測定を行った。
【0031】
【表3】
【0032】表3の結果からも、トレハロースを添加す
ることにより、ヒアルロン酸ナトリウム塩水溶液の粘度
低下を抑制できることがわかる。
【0033】実施例5および比較例4 カルボキシメチルセルロース0.3重量%添加した生理
的リン酸緩衝液にヒアルロン酸ナトリウム塩(分子量1
00万)を1重量%溶解後、100℃で熱処理をし、熱
処理前、10分間熱処理後、20分間熱処理後の粘度を
回転粘度計を用いて剪段速度4/secで測定した。測
定値と熱処理前の粘度を100%としたときの粘度保持
率を表4に示す。なお、対照としてカルボキシメチルセ
ルロースを添加しないものについて、同様に測定を行っ
た。
【0034】
【表4】
【0035】表4の結果からも、カルボキシメチルセル
ロースを添加することにより、ヒアルロン酸ナトリウム
塩水溶液の粘度低下を抑制できることがわかる。
【0036】実施例6および比較例5 プロピレングリコールを2重量%添加した生理的リン酸
緩衝液にヒアルロン酸ナトリウム塩(分子量100万)
を1重量%溶解し、100℃、20分間加熱処理後、4
0℃・75%相対湿度下にて保存し、保存直後、保存1
ケ月後、保存3ケ月後の粘度を回転粘度計を用いて剪段
速度4/secで測定した。測定値と保存直後の粘度を
100%としたときの粘度保持率を表5に示す。なお、
対照としてプロピレングリコールを添加しないものにつ
いて、同様に測定を行った。
【0037】
【表5】
【0038】表5の結果からも、プロピレングリコール
を添加することにより、ヒアルロン酸ナトリウム塩水溶
液の粘度低下を抑制できることがわかる。
【0039】実施例7および比較例6 プロピレングリコールを2重量%添加した生理的リン酸
緩衝液にヒアルロン酸ナトリウム塩(分子量225万)
を1重量%溶解し、100℃、20分間加熱処理後、4
0℃・75%相対湿度下にて保存し、保存直後、保存1
ケ月後、保存3ケ月後の極限粘度を測定し、測定値と保
存直後の粘度を100%としたときの粘度保持率を表6
と図3に示す。なお、対照としてプロピレングリコール
を添加しないものについて、同様に測定を行った。
【0040】
【表6】
【0041】表6および図3にみられるように、プロピ
レングリコールを添加することにより、ヒアルロン酸ナ
トリウム塩水溶液のヒアルロン酸の低分子化を抑制でき
ることがわかる。
【0042】
【発明の効果】本発明は、ヒアルロン酸および/その塩
の水溶液に粘度安定化剤である特定のポリカルボン酸お
よびその塩、ポリオール、糖質およびアミノ酸を添加す
ることにより、比較的安定な中粘性ヒアルロン酸製剤が
調製でき、従って、該製品の室温下長期安定保存並びに
1段階加熱減菌が可能となった。また、該安定化剤は増
粘効果を併せもち、低粘性製剤を増粘化できたことによ
り、該製剤の眼内空間形成力を増強できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒアルロン酸ナトリウム水溶液のプロピレング
リコール含有率と粘度との関係を示している。
【図2】本発明の実施例の水溶液および比較水溶液の熱
処理時間と粘度との関係を示している。
【図3】本発明の実施例の水溶液および比較水溶液の経
時時間と粘度との関係を示している。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】ヒアルロン酸ナトリウムの化学構造は、グ
ルクロン酸ナトリウムとN−アセチルグルコサミンがβ
1→3およびβ1→4結合の反復単位をもつ高分子多糖
類である。本物質は、哺乳動物の軟骨、関節等の結合組
織、眼の硝子体、鶏冠等に分布している。また近年、ス
トレプトコッカス属等の微生物生産により本物質を入手
することができる。天然のヒアルロン酸ナトリウムは、
生体中に存在するとき、その平均分子量は800万〜1
300万であるといわれ、その単離・精製中に次々と低
分子化をうけるので、その分子量範囲が通常2万〜40
0万の製品が入手可能となる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】粉末状の本物質は、上記の使用目的に用い
られるとき、生理食塩水、リン酸系、硼酸系およびトリ
ス緩衝液に溶解しなければならない。しかしながら、か
ような水溶液状態のヒアルロン酸は、室温下では徐々
に、また加熱条件下では急速に低分子化され、それに伴
って粘性率(または極限粘度)も低下する。そのために
ほとんどの該市場品は、長期間冷暗所で保存しなければ
ならず、商品流通時の手間と流通コスト等無視できない
ものとなる。また、製剤過程で重要な加熱減菌操作も間
歇減菌法等煩雑であり、該主成分の低分子化を防ぐため
に多くの注意が必要となる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意安定化剤の探索を行った結果、ヒアル
ロン酸またはその塩を含有する水溶液に、特定のポリカ
ルボン酸、ポリオール、糖質およびアミノ酸の少なくと
も1種を添加することにより、水溶液の低粘化が抑えら
れ、長期室温並びに加熱下での粘度安定性を発揮するこ
とを見出し、さらに該安定化剤は増粘効果を併せもつの
で、ヒアルロン酸水溶液の増粘化製剤を調製し、本発明
を完成した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本発明の水溶液は、ヒアルロン酸および/
またはヒアルロン酸ナトリウム(A)および粘度安定化
剤(B)を水系媒体中に溶解することにより調製され
る。水系媒体としては、精製水、等張化剤を溶解した水
溶液あるいは緩衝剤を溶解した水溶液が好ましく用いら
れる。等張化剤や緩衝剤は好ましくは2重量%以下で精
製水に溶解して調製される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/26 A61K 47/26 J 47/32 47/32 J (72)発明者 高橋 靖侑 神奈川県相模原市下溝410−6

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ヒアルロン酸および/またはヒア
    ルロン酸塩、および(B)ポリカルボン酸およびその
    塩、ポリオール、糖質並びにアミノ酸およびその塩より
    なる群から選ばれる少なくとも1種の粘度安定化剤を含
    有してなり、且つ37℃における粘度が2,000セン
    チポアズ以上20,000センチポアズ未満である水溶
    液からなることを特徴とする眼手術用補助剤。
  2. 【請求項2】 ポリカルボン酸およびその塩がクエン酸
    ナトリウムおよびカルボキシビニルポリマーよりなる群
    から選ばれる請求項1記載の眼手術用補助剤。
  3. 【請求項3】 ポリオールがエチレングリコール、プロ
    ピレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール
    およびポリエチレングリコールよりなる群から選ばれる
    請求項1記載の眼手術用補助剤。
  4. 【請求項4】 糖質がソルビトール、トレハロース、シ
    ュクロース、カルボキシメチルセルロースおよびβ−シ
    クロデキストリンよりなる群から選ばれる請求項1記載
    の眼手術用補助剤。
  5. 【請求項5】 アミノ酸がヒスチジン、アルギニンおよ
    びアルパラギン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる請
    求項1記載の眼手術用補助剤。
JP4249196A 1996-02-29 1996-02-29 眼手術用補助剤 Withdrawn JPH09227385A (ja)

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JP4249196A JPH09227385A (ja) 1996-02-29 1996-02-29 眼手術用補助剤

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