JPH09217231A - ポリエステル系複合繊維 - Google Patents
ポリエステル系複合繊維Info
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- JPH09217231A JPH09217231A JP1756796A JP1756796A JPH09217231A JP H09217231 A JPH09217231 A JP H09217231A JP 1756796 A JP1756796 A JP 1756796A JP 1756796 A JP1756796 A JP 1756796A JP H09217231 A JPH09217231 A JP H09217231A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 鞘芯構造のポリエステル系複合繊維であ
って、鞘部は平均分子量500〜4000のポリエチレ
ングリコ−ルが特定量と、必要に応じて特定量のアジピ
ン酸が共重合されたポリエチレンテレフタレ−ト系共重
合体、芯部は平均分子量4000〜20000のポリエ
チレングリコ−ルが特定量共重合されたポリエチレンテ
フタレ−ト系共重合体からなる制電剤を含み、制電剤の
繊維全体に占める割合が0.1〜10重量%である。 【効果】 本発明の繊維は、ポリエステル繊維と染色性
の異なる繊維、例えばセルロ−ス繊維と一段一浴染色が
でき、かつ静電気が発生しない。
って、鞘部は平均分子量500〜4000のポリエチレ
ングリコ−ルが特定量と、必要に応じて特定量のアジピ
ン酸が共重合されたポリエチレンテレフタレ−ト系共重
合体、芯部は平均分子量4000〜20000のポリエ
チレングリコ−ルが特定量共重合されたポリエチレンテ
フタレ−ト系共重合体からなる制電剤を含み、制電剤の
繊維全体に占める割合が0.1〜10重量%である。 【効果】 本発明の繊維は、ポリエステル繊維と染色性
の異なる繊維、例えばセルロ−ス繊維と一段一浴染色が
でき、かつ静電気が発生しない。
Description
【0001】
【産業上の利用技術分野】本発明はポリエステル系複合
繊維に関するものである。更に詳しくは、鞘部が常圧可
染性ポリエステル系重合体、芯部がポリエステル系重合
体からなる制電剤またはこの制電剤を含有したポリエス
テル系重合体からなる、常圧可染性と制電性を兼ね備え
たポリエステル系複合繊維に関するものである。
繊維に関するものである。更に詳しくは、鞘部が常圧可
染性ポリエステル系重合体、芯部がポリエステル系重合
体からなる制電剤またはこの制電剤を含有したポリエス
テル系重合体からなる、常圧可染性と制電性を兼ね備え
たポリエステル系複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、衣料用繊維に要求される性能は多岐
にわたり、単独の繊維のみでは、その要求を満たすこと
が困難になりつつある。このような状況下で、複合化素
材への期待が非常に高まっている。ポリエステル系繊維
の場合も、種々の繊維素材、例えば、セルロース繊維等
との複合化が行われている。
にわたり、単独の繊維のみでは、その要求を満たすこと
が困難になりつつある。このような状況下で、複合化素
材への期待が非常に高まっている。ポリエステル系繊維
の場合も、種々の繊維素材、例えば、セルロース繊維等
との複合化が行われている。
【0003】ポリエステル系繊維の染色には、通常、分
散染料が用いられる。一方、セルロース繊維の染色には
直接染料または反応染料が用いられる。特に、近年、堅
牢性の向上を狙って反応染料を使う場合が増加してい
る。ポリエステル系繊維とセルロース繊維からなる混合
布帛を染色する場合、各繊維に用いる染料が異なるの
で、別々の染浴を用いる二段二浴染色法が主流である。
もし、2種の染料を一つの染浴に加えて染色を行う一浴
法ができれば、染色コストの低減、操作性の観点から有
効な方法であると考えられる。しかし、通常のポリエス
テル系繊維の染色に用いる分散染料の染色温度は110
℃以上、通常は、130℃付近である。このような温度
で、前述の混合布帛を一浴染色しようとすると、反応染
料が熱分解を起こし、ポリエステル系繊維とセルロース
繊維は同色に染まらない。
散染料が用いられる。一方、セルロース繊維の染色には
直接染料または反応染料が用いられる。特に、近年、堅
牢性の向上を狙って反応染料を使う場合が増加してい
る。ポリエステル系繊維とセルロース繊維からなる混合
布帛を染色する場合、各繊維に用いる染料が異なるの
で、別々の染浴を用いる二段二浴染色法が主流である。
もし、2種の染料を一つの染浴に加えて染色を行う一浴
法ができれば、染色コストの低減、操作性の観点から有
効な方法であると考えられる。しかし、通常のポリエス
テル系繊維の染色に用いる分散染料の染色温度は110
℃以上、通常は、130℃付近である。このような温度
で、前述の混合布帛を一浴染色しようとすると、反応染
料が熱分解を起こし、ポリエステル系繊維とセルロース
繊維は同色に染まらない。
【0004】このように公知のポリエステル系繊維とセ
ルロース繊維混用布帛は、各々の繊維の染色温度に大き
な開きがあるために、一段一浴染色は行うことが困難で
あった。また、セルロース繊維との混用において、セル
ロース繊維の混用比率が低い場合には、制電性が要求さ
れる場合がある。セルロース繊維の制電性は高いが、通
常のポリエステル系繊維は制電性に乏しい。従って、セ
ルロース繊維の混用比率が低くなると帯電し、特に、冬
期に見られるパチパチという放電音や身体へのまとわり
つきなど不快感を与える。
ルロース繊維混用布帛は、各々の繊維の染色温度に大き
な開きがあるために、一段一浴染色は行うことが困難で
あった。また、セルロース繊維との混用において、セル
ロース繊維の混用比率が低い場合には、制電性が要求さ
れる場合がある。セルロース繊維の制電性は高いが、通
常のポリエステル系繊維は制電性に乏しい。従って、セ
ルロース繊維の混用比率が低くなると帯電し、特に、冬
期に見られるパチパチという放電音や身体へのまとわり
つきなど不快感を与える。
【0005】もし、常圧可染性の制電性繊維が開発され
れば、染色プロセスを簡素化でき、しかも、制電性を要
求される用途へ利用可能となるが、これまでにそのよう
な繊維は知られていなかった。ポリエステル系繊維の分
散染料による染色性を改善する技術としては、ポリマー
の変成によって、ポリエステル系繊維の分散染料による
染色時の染色温度を低める検討がされてきた。セルロー
ス繊維との混合布帛として一浴染色が可能となるポリエ
ステル系繊維に要求される染色温度は98℃以下、一般
的には95℃以下である。
れば、染色プロセスを簡素化でき、しかも、制電性を要
求される用途へ利用可能となるが、これまでにそのよう
な繊維は知られていなかった。ポリエステル系繊維の分
散染料による染色性を改善する技術としては、ポリマー
の変成によって、ポリエステル系繊維の分散染料による
染色時の染色温度を低める検討がされてきた。セルロー
ス繊維との混合布帛として一浴染色が可能となるポリエ
ステル系繊維に要求される染色温度は98℃以下、一般
的には95℃以下である。
【0006】ポリマーの変成によって染色性を向上させ
る方法としては、種々の共重合ポリエステルを用いる方
法が知られている(特公昭60−15725号公報、特
開昭58−120815号公報、特開昭59−1998
14号公報、特開昭51−130320号公報、特開平
5−98512号公報、特開昭51−133529号公
報等)また、種々の共重合成分を導入したポリエステル
を用いた易染性の繊維の中でポリオキシエチレングリコ
ールやアジピン酸を共重合させる技術がすでに知られて
いる。しかしながら、これらの繊維はいずれも制電性が
ない。
る方法としては、種々の共重合ポリエステルを用いる方
法が知られている(特公昭60−15725号公報、特
開昭58−120815号公報、特開昭59−1998
14号公報、特開昭51−130320号公報、特開平
5−98512号公報、特開昭51−133529号公
報等)また、種々の共重合成分を導入したポリエステル
を用いた易染性の繊維の中でポリオキシエチレングリコ
ールやアジピン酸を共重合させる技術がすでに知られて
いる。しかしながら、これらの繊維はいずれも制電性が
ない。
【0007】また、制電性ポリエステル系繊維として
は、ブロックアルキレンエーテルアミドを制電剤として
用いたポリエステル系繊維(例えば、特公昭44−16
178号公報、特公昭46−7213号公報、特開昭6
1−28016号公報)、ブロックアルキレンエーテル
アミドやブロックポリアルキレンエーテルエステルをポ
リエステル中に分散させて得られた繊維(例えば、特公
昭48−10380号公報、特開昭50−107206
号公報)等が知られているが、いずれも常圧可染性はな
い。
は、ブロックアルキレンエーテルアミドを制電剤として
用いたポリエステル系繊維(例えば、特公昭44−16
178号公報、特公昭46−7213号公報、特開昭6
1−28016号公報)、ブロックアルキレンエーテル
アミドやブロックポリアルキレンエーテルエステルをポ
リエステル中に分散させて得られた繊維(例えば、特公
昭48−10380号公報、特開昭50−107206
号公報)等が知られているが、いずれも常圧可染性はな
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は改質ポリエチ
レンテレフタレート系重合体と、特定の制電剤を用いる
ことにより、従来のポリエステル系繊維よりも格段に優
れた常圧分散染料可染性と制電性を有するポリエステル
系繊維を提供するものである。
レンテレフタレート系重合体と、特定の制電剤を用いる
ことにより、従来のポリエステル系繊維よりも格段に優
れた常圧分散染料可染性と制電性を有するポリエステル
系繊維を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
行った結果、ある極めて限られた共重合比率のポリエチ
レングリコールやアジピン酸とを共重合せしめたポリエ
チレンテレフタレート系重合体を用い、更に、繊維構造
形成段階で、制電剤を芯部に導入した繊維が、上記の課
題を解決できる可能性を見い出し、更に、検討を重ねた
結果、本発明に到達した。
行った結果、ある極めて限られた共重合比率のポリエチ
レングリコールやアジピン酸とを共重合せしめたポリエ
チレンテレフタレート系重合体を用い、更に、繊維構造
形成段階で、制電剤を芯部に導入した繊維が、上記の課
題を解決できる可能性を見い出し、更に、検討を重ねた
結果、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明は、鞘芯構造の複合繊維
において、鞘部は平均分子量500〜4000のポリエ
チレングリコールが1.5〜8重量%、アジピン酸が9
〜0重量%共重合され、更に、6≦(ポリエチレングリ
コールの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満足す
るポリエチレンテレフタレート系共重合体からなり、芯
部は平均分子量4000〜20000のポリエチレング
リコールが10〜80重量%共重合されたポリエチレン
テレフタレート系共重合体からなる制電剤、あるいは、
この制電剤が分散した繊維形成能のあるポリエステル系
重合体からなり、制電剤の繊維全体に占める割合が0.
1〜10重量%であることを特徴とするポリエステル系
複合繊維である。
において、鞘部は平均分子量500〜4000のポリエ
チレングリコールが1.5〜8重量%、アジピン酸が9
〜0重量%共重合され、更に、6≦(ポリエチレングリ
コールの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満足す
るポリエチレンテレフタレート系共重合体からなり、芯
部は平均分子量4000〜20000のポリエチレング
リコールが10〜80重量%共重合されたポリエチレン
テレフタレート系共重合体からなる制電剤、あるいは、
この制電剤が分散した繊維形成能のあるポリエステル系
重合体からなり、制電剤の繊維全体に占める割合が0.
1〜10重量%であることを特徴とするポリエステル系
複合繊維である。
【0011】本発明のポリエステル系複合繊維の鞘部を
構成するポリマーは、平均分子量500〜4000のポ
リエチレングリコールが1.5〜8重量%、アジピン酸
が9〜0重量%共重合され、更に、6≦(ポリエチレン
グリコールの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満
足するポリエチレンテレフタレート系共重合体である。
この組成を満たすことで、少なくとも98℃以下で、あ
らゆる種類の分散染料に対し十分な染色性を示す。
構成するポリマーは、平均分子量500〜4000のポ
リエチレングリコールが1.5〜8重量%、アジピン酸
が9〜0重量%共重合され、更に、6≦(ポリエチレン
グリコールの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満
足するポリエチレンテレフタレート系共重合体である。
この組成を満たすことで、少なくとも98℃以下で、あ
らゆる種類の分散染料に対し十分な染色性を示す。
【0012】共重合成分に用いるポリエチレングリコー
ルは、染色性を高めるのに極めて有効である。平均分子
量が500未満の場合には、かなり低分子量のポリエチ
レングリコールが含まれるために、高真空下での重合時
に減圧留去され、得られたポリマーに含まれるポリエチ
レングリコール量が一定とならない。従って、原糸の強
伸度特性、染色性、熱特性等が均一にならず、製品とし
て特性のばらついたものとなってしまう。一方、平均分
子量が4000を越える場合には、ポリマー内に共重合
されない高分子量のポリエチレングリコールが多くなる
ため、染色性、耐光性、ドライクリーニング堅牢性の低
下が起こる。
ルは、染色性を高めるのに極めて有効である。平均分子
量が500未満の場合には、かなり低分子量のポリエチ
レングリコールが含まれるために、高真空下での重合時
に減圧留去され、得られたポリマーに含まれるポリエチ
レングリコール量が一定とならない。従って、原糸の強
伸度特性、染色性、熱特性等が均一にならず、製品とし
て特性のばらついたものとなってしまう。一方、平均分
子量が4000を越える場合には、ポリマー内に共重合
されない高分子量のポリエチレングリコールが多くなる
ため、染色性、耐光性、ドライクリーニング堅牢性の低
下が起こる。
【0013】共重合成分として用いるアジピン酸は、繊
維の非晶構造の適当な乱れを起こすために染色性の向上
に寄与する。もちろん、非晶構造の乱れを起こさせて染
色性を高める共重合モノマーとしては、アジピン酸(炭
素数6)以外の脂肪族ジカルボン酸成分も有効である。
しかしながら、炭素数が5以下の脂肪族ジカルボン酸で
は、ポリマーの熱安定性が低くなり、白度の低下が生じ
る。ちなみに、熱安定性の低下は、カルボキシル基に隣
接するメチレン基のモル数に比例するので、このような
結果が生じる。一方、炭素数が7以上の脂肪族ジカルボ
ン酸成分を用いると、非晶部分の乱れが大きくなりすぎ
るために、堅牢性、特に、ドライクリーニング堅牢性、
洗濯堅牢性が著しく低下する。ところが、アジピン酸を
用いた場合には、これらの問題点が特異的に小さいこと
が判明した。このように、アジピン酸は非常に限られ
た、狭い範囲から選択された、極めて優れた共重合成分
である。この理由については定かではないが、以下のよ
うに推定できる。すなわち、アジピン酸は4個のメチレ
ン基を有しているが、この長さはテレフタル酸のベンゼ
ン環の長さにほぼ相当する。従って、本発明のポリエス
テル系複合繊維は、屈曲性基によって非晶部の構造は乱
されるものの、その程度が必要最小限に留まるために、
熱特性などがポリエチレンテレフタレート繊維に最も近
い改質ポリエステル系複合繊維となる。
維の非晶構造の適当な乱れを起こすために染色性の向上
に寄与する。もちろん、非晶構造の乱れを起こさせて染
色性を高める共重合モノマーとしては、アジピン酸(炭
素数6)以外の脂肪族ジカルボン酸成分も有効である。
しかしながら、炭素数が5以下の脂肪族ジカルボン酸で
は、ポリマーの熱安定性が低くなり、白度の低下が生じ
る。ちなみに、熱安定性の低下は、カルボキシル基に隣
接するメチレン基のモル数に比例するので、このような
結果が生じる。一方、炭素数が7以上の脂肪族ジカルボ
ン酸成分を用いると、非晶部分の乱れが大きくなりすぎ
るために、堅牢性、特に、ドライクリーニング堅牢性、
洗濯堅牢性が著しく低下する。ところが、アジピン酸を
用いた場合には、これらの問題点が特異的に小さいこと
が判明した。このように、アジピン酸は非常に限られ
た、狭い範囲から選択された、極めて優れた共重合成分
である。この理由については定かではないが、以下のよ
うに推定できる。すなわち、アジピン酸は4個のメチレ
ン基を有しているが、この長さはテレフタル酸のベンゼ
ン環の長さにほぼ相当する。従って、本発明のポリエス
テル系複合繊維は、屈曲性基によって非晶部の構造は乱
されるものの、その程度が必要最小限に留まるために、
熱特性などがポリエチレンテレフタレート繊維に最も近
い改質ポリエステル系複合繊維となる。
【0014】分散染料を用いて、少なくとも98℃以下
での充分な染色性を確保するには、鞘部のポリエチレン
グリコールの割合が、少なくとも1.5〜8重量%であ
る必要がある。ポリエチレングリコールの割合が1.5
重量%未満では染色性が悪くなる。8重量%を超える場
合には、耐光堅牢性が著しく悪くなるほか、ポリマーの
重合段階での着色が起こったり、高真空重合において、
突沸や泡立ち現象が顕著となり、重合しにくいポリマー
となる。染色性、堅牢性と重合性のバランスが最もよい
割合は、2〜4.5重量%である。鞘部にアジピン酸を
共重合すると、染色性が一層向上する。アジピン酸の最
適な割合は、ポリエチレングリコールの量により異なる
が、9〜0重量%である必要がある。9重量%を超える
場合には、ドライクリーニング堅牢性、耐熱性が低下
し、しかも、紡糸性の劣る繊維しか得られない。好適な
範囲は、8〜6.5重量%である。更に、染色性、堅牢
性を兼ね備えるためには、6≦(ポリエチレングリコー
ルの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満足する必
要がある。(ポリエチレングリコールの重量%+アジピ
ン酸の重量%)を以下、R値と略記することにする。R
値が6未満の場合には染色性が不足し、15を越える場
合には、染色性は高いものの堅牢性が悪くなる。染色
性、堅牢性、紡糸安定性、経済性を考慮すると、R値
は、8〜12.5が特に好ましい。ただし、以上の好ま
しい条件を満足する組成を選択した場合でも、アジピン
酸の重量%/ポリエチレングリコールの重量%の値が大
きくなるほど、風合いが堅くなる傾向がある。風合いを
よくするためには、この値は4以下が好ましく、より好
ましくは3以下である。
での充分な染色性を確保するには、鞘部のポリエチレン
グリコールの割合が、少なくとも1.5〜8重量%であ
る必要がある。ポリエチレングリコールの割合が1.5
重量%未満では染色性が悪くなる。8重量%を超える場
合には、耐光堅牢性が著しく悪くなるほか、ポリマーの
重合段階での着色が起こったり、高真空重合において、
突沸や泡立ち現象が顕著となり、重合しにくいポリマー
となる。染色性、堅牢性と重合性のバランスが最もよい
割合は、2〜4.5重量%である。鞘部にアジピン酸を
共重合すると、染色性が一層向上する。アジピン酸の最
適な割合は、ポリエチレングリコールの量により異なる
が、9〜0重量%である必要がある。9重量%を超える
場合には、ドライクリーニング堅牢性、耐熱性が低下
し、しかも、紡糸性の劣る繊維しか得られない。好適な
範囲は、8〜6.5重量%である。更に、染色性、堅牢
性を兼ね備えるためには、6≦(ポリエチレングリコー
ルの重量%+アジピン酸の重量%)≦15を満足する必
要がある。(ポリエチレングリコールの重量%+アジピ
ン酸の重量%)を以下、R値と略記することにする。R
値が6未満の場合には染色性が不足し、15を越える場
合には、染色性は高いものの堅牢性が悪くなる。染色
性、堅牢性、紡糸安定性、経済性を考慮すると、R値
は、8〜12.5が特に好ましい。ただし、以上の好ま
しい条件を満足する組成を選択した場合でも、アジピン
酸の重量%/ポリエチレングリコールの重量%の値が大
きくなるほど、風合いが堅くなる傾向がある。風合いを
よくするためには、この値は4以下が好ましく、より好
ましくは3以下である。
【0015】芯部は、平均分子量4000〜20000
のポリエチレングリコールを10〜80重量%共重合し
たポリエチレンテレフタレート系共重合体からなる制電
剤、あるいは、この制電剤が分散した繊維形成能のある
ポリエステル系重合体である。この芯部が繊維の制電性
を発現する上で極めて必要なものである。制電剤は、平
均分子量4000〜20000のポリエチレングリコー
ルを10〜80重量%共重合したポリエチレンテレフタ
レート系重合体である。平均分子量が4000未満の場
合には、制電効果が小さく、平均分子量が20000よ
りも大きい場合には制電剤の熱安定性が悪くなり、紡糸
安定性が悪いものとなる。ポリエチレングリコ−ルの共
重合比率は10〜80重量%である。この比率が10重
量%未満の場合には、制電効果が小さく、80重量%よ
りも大きい場合には制電剤の熱安定性が悪くなり、紡糸
安定性が悪いものとなる。好ましい平均分子量、共重合
比率は、制電効果、熱安定性の兼ね合いから決定され、
平均分子量としては5000〜10000で、共重合比
率が15〜35重量%が好ましい。また、制電性、紡糸
性を高める観点から、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、5−カリウムイソフタル酸、5−リチウムスルホイ
ソフタル酸、3−ナトリウムテレフタル酸等の金属スル
ホフタル酸を更に共重合することは極めて好ましく、そ
の共重合比率としては、0.5〜3重量%が好ましく、
より好ましくは、0.7〜1.5重量%である。また、
同じ理由から、公知の非イオン性、イオン性の界面活性
剤から構成された制電助剤、アルキルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を0.
1〜5重量%含有させてもよい。
のポリエチレングリコールを10〜80重量%共重合し
たポリエチレンテレフタレート系共重合体からなる制電
剤、あるいは、この制電剤が分散した繊維形成能のある
ポリエステル系重合体である。この芯部が繊維の制電性
を発現する上で極めて必要なものである。制電剤は、平
均分子量4000〜20000のポリエチレングリコー
ルを10〜80重量%共重合したポリエチレンテレフタ
レート系重合体である。平均分子量が4000未満の場
合には、制電効果が小さく、平均分子量が20000よ
りも大きい場合には制電剤の熱安定性が悪くなり、紡糸
安定性が悪いものとなる。ポリエチレングリコ−ルの共
重合比率は10〜80重量%である。この比率が10重
量%未満の場合には、制電効果が小さく、80重量%よ
りも大きい場合には制電剤の熱安定性が悪くなり、紡糸
安定性が悪いものとなる。好ましい平均分子量、共重合
比率は、制電効果、熱安定性の兼ね合いから決定され、
平均分子量としては5000〜10000で、共重合比
率が15〜35重量%が好ましい。また、制電性、紡糸
性を高める観点から、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、5−カリウムイソフタル酸、5−リチウムスルホイ
ソフタル酸、3−ナトリウムテレフタル酸等の金属スル
ホフタル酸を更に共重合することは極めて好ましく、そ
の共重合比率としては、0.5〜3重量%が好ましく、
より好ましくは、0.7〜1.5重量%である。また、
同じ理由から、公知の非イオン性、イオン性の界面活性
剤から構成された制電助剤、アルキルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を0.
1〜5重量%含有させてもよい。
【0016】芯部は本発明で規定された制電剤のみ、あ
るいは、この制電剤を繊維形成能のあるポリエステル中
に分散させたものである。ここで、繊維形成能のあるポ
リエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、あるいは、それらが主たる成分となる共重合ポリエ
ステルである。もちろん、本発明の鞘部に用いる常圧可
染性ポリエステルを用いてもよい。
るいは、この制電剤を繊維形成能のあるポリエステル中
に分散させたものである。ここで、繊維形成能のあるポ
リエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、あるいは、それらが主たる成分となる共重合ポリエ
ステルである。もちろん、本発明の鞘部に用いる常圧可
染性ポリエステルを用いてもよい。
【0017】本発明のポリエステル系複合繊維におい
て、鞘部、芯部のいずれのポリマーにおいても10重量
%以内の範囲で、好ましくは5重量%以内の範囲で他の
ジオール、オキシカルボン酸などのポリエステル形成能
のある共重合成分を含有させてもよい。ただし、この場
合、実用上障害をきたすような堅牢性の低下が起こらな
いように共重合成分を選択することが好ましい。更に、
各種の添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、
整色剤、難燃剤、制電助剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを必要に
応じて共重合、または混合してもよい。
て、鞘部、芯部のいずれのポリマーにおいても10重量
%以内の範囲で、好ましくは5重量%以内の範囲で他の
ジオール、オキシカルボン酸などのポリエステル形成能
のある共重合成分を含有させてもよい。ただし、この場
合、実用上障害をきたすような堅牢性の低下が起こらな
いように共重合成分を選択することが好ましい。更に、
各種の添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、
整色剤、難燃剤、制電助剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤などを必要に
応じて共重合、または混合してもよい。
【0018】本発明を構成する鞘部、芯部のポリエステ
ル系重合体、制電剤は、公知の方法で製造することがで
きる。例えば、ポリエチレンテレフタレートの製造工程
において、重縮合が完結する以前の任意の段階で、ポリ
エチレングリコール、アジピン酸またはそのモノメチル
エステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ビス
(オキシエチル)エステルなどの低級アルキルエステル
を、反応系に添加し共重合することによって製造でき
る。その際、これらの共重合成分は、そのまま、あるい
は、エチレングリコールなどの適当な溶剤に分散、溶
解、または加熱処理してから添加することができる。
ル系重合体、制電剤は、公知の方法で製造することがで
きる。例えば、ポリエチレンテレフタレートの製造工程
において、重縮合が完結する以前の任意の段階で、ポリ
エチレングリコール、アジピン酸またはそのモノメチル
エステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ビス
(オキシエチル)エステルなどの低級アルキルエステル
を、反応系に添加し共重合することによって製造でき
る。その際、これらの共重合成分は、そのまま、あるい
は、エチレングリコールなどの適当な溶剤に分散、溶
解、または加熱処理してから添加することができる。
【0019】本発明のポリエステル系複合繊維は、制電
剤が芯部のみに存在し、しかも、制電剤が鞘部の常圧可
染糸や芯部の繊維形成能のあるポリエステルと分子オー
ダーで交じり合うことなく、一定の大きさをもって独立
に存在するために高い制電性を示す。更に、耐光性、耐
加水分解性、耐溶剤性、洗濯堅牢性が低い制電剤が、繊
維表面に出ることがないので、これらの欠点が顕在化す
ることなく、高度の制電性を発現することができる。芯
部が制電剤のみの場合に比べて、制電剤を繊維形成能の
あるポリエステル中に分散させる方が原糸コストが小さ
くなり、更に、長期紡糸安定性がよくなり、紡糸収率が
高くなるので、より好ましい。
剤が芯部のみに存在し、しかも、制電剤が鞘部の常圧可
染糸や芯部の繊維形成能のあるポリエステルと分子オー
ダーで交じり合うことなく、一定の大きさをもって独立
に存在するために高い制電性を示す。更に、耐光性、耐
加水分解性、耐溶剤性、洗濯堅牢性が低い制電剤が、繊
維表面に出ることがないので、これらの欠点が顕在化す
ることなく、高度の制電性を発現することができる。芯
部が制電剤のみの場合に比べて、制電剤を繊維形成能の
あるポリエステル中に分散させる方が原糸コストが小さ
くなり、更に、長期紡糸安定性がよくなり、紡糸収率が
高くなるので、より好ましい。
【0020】制電剤が繊維形成能のあるポリエステル中
に分散する場合、その分散形式については特に制限はな
いが、繊維断面図で表した場合、代表例として図1、図
2が挙げられる。図1は並列型、木目型、放射型、多芯
型、モザイク型、海島型、星雲型である。図1は芯部が
丸形の場合を例示しているが、もちろん、三角、星形等
の異形であってもよい。これらの構造の中で制電性を最
も高める構造としては、制電剤が糸長方向にすじ状分散
して存在するものがよい。すじの長さについても特に制
限はないが、長ければ長い方が制電性発現にはよい。一
般的には、0.01μm以上あればよい。更に、好まし
くは、図2に示すように繊維形成性ポリエステルと制電
剤が3層以上積層した構造を有し、かつ、糸長方向にす
じ状分散しているものである。この場合に、最も少ない
制電剤量で高い制電性を発現することが可能となる。
に分散する場合、その分散形式については特に制限はな
いが、繊維断面図で表した場合、代表例として図1、図
2が挙げられる。図1は並列型、木目型、放射型、多芯
型、モザイク型、海島型、星雲型である。図1は芯部が
丸形の場合を例示しているが、もちろん、三角、星形等
の異形であってもよい。これらの構造の中で制電性を最
も高める構造としては、制電剤が糸長方向にすじ状分散
して存在するものがよい。すじの長さについても特に制
限はないが、長ければ長い方が制電性発現にはよい。一
般的には、0.01μm以上あればよい。更に、好まし
くは、図2に示すように繊維形成性ポリエステルと制電
剤が3層以上積層した構造を有し、かつ、糸長方向にす
じ状分散しているものである。この場合に、最も少ない
制電剤量で高い制電性を発現することが可能となる。
【0021】本発明のポリエステル系複合繊維におい
て、制電剤の繊維中に占める割合は0.1〜10重量%
である。0.1重量%未満の場合には十分な制電性が発
現されず、10重量%を越える場合には紡糸性、紡糸収
率が悪くなる。好ましくは1〜7重量%、更に好ましく
は3〜7重量%である。本発明のポリエステル系複合繊
維において、芯部の繊維全体に占める割合については、
用いる制電剤の量を考慮して任意に決定できる。一般的
には芯部の含有率は全繊維に対して、0.1〜90重量
%である。芯部が制電剤のみからなる場合、芯部の占め
る割合は、0.1〜10重量%が好ましい。制電剤が繊
維形成能のあるポリエステル中に分散する場合、制電剤
の繊維中に占める割合が0.1〜10重量%になるよう
に芯部の割合を決めればよい。この場合、芯部の占める
割合は20〜90重量%が好ましい。
て、制電剤の繊維中に占める割合は0.1〜10重量%
である。0.1重量%未満の場合には十分な制電性が発
現されず、10重量%を越える場合には紡糸性、紡糸収
率が悪くなる。好ましくは1〜7重量%、更に好ましく
は3〜7重量%である。本発明のポリエステル系複合繊
維において、芯部の繊維全体に占める割合については、
用いる制電剤の量を考慮して任意に決定できる。一般的
には芯部の含有率は全繊維に対して、0.1〜90重量
%である。芯部が制電剤のみからなる場合、芯部の占め
る割合は、0.1〜10重量%が好ましい。制電剤が繊
維形成能のあるポリエステル中に分散する場合、制電剤
の繊維中に占める割合が0.1〜10重量%になるよう
に芯部の割合を決めればよい。この場合、芯部の占める
割合は20〜90重量%が好ましい。
【0022】本発明のポリエステル系複合繊維におい
て、98℃で染色した時の深色度であるK/Sは20以
上が好ましい。染色性の評価に用いた染料は大きな分子
構造を有しているので、この染料を用いて、高い染色性
が得られるならば、どのような種類の分散染料を用いて
もK/Sが20以上の高い染色性が確保できる。従っ
て、95℃で染色をした場合、K/Sが20以上ならば
通常のポリエステル系繊維を130℃染色した時の同等
の発色性が発現されたものと考えることができる。
て、98℃で染色した時の深色度であるK/Sは20以
上が好ましい。染色性の評価に用いた染料は大きな分子
構造を有しているので、この染料を用いて、高い染色性
が得られるならば、どのような種類の分散染料を用いて
もK/Sが20以上の高い染色性が確保できる。従っ
て、95℃で染色をした場合、K/Sが20以上ならば
通常のポリエステル系繊維を130℃染色した時の同等
の発色性が発現されたものと考えることができる。
【0023】こうして染色された染色物が高い堅牢性を
示すためには、ドライクリーニング堅牢性が3級以上で
あることが望ましい。本発明でのドライクリーニング堅
牢性は、液汚染性を評価するものである。なお、堅牢性
の評価項目としては、水堅牢性、洗濯堅牢性、昇華堅牢
性、摩擦堅牢性等多岐に渡るが、本発明者らの検討によ
れば、ドライクリーニング堅牢性が3級以上あれば、本
発明のポリエステル系複合繊維においては耐光堅牢性を
除く、残りの堅牢性はすべて工業的に問題のないレベル
であることがわかっている。従って、ドライクリーニン
グ堅牢性は、本発明のポリエステル系複合繊維の染色堅
牢性全体を示す指標となる。また、アウターに使用可能
であるためには、本発明の染色条件で3−4級以上、好
ましくは4級以上の耐光堅牢性を示すことが望ましい。
示すためには、ドライクリーニング堅牢性が3級以上で
あることが望ましい。本発明でのドライクリーニング堅
牢性は、液汚染性を評価するものである。なお、堅牢性
の評価項目としては、水堅牢性、洗濯堅牢性、昇華堅牢
性、摩擦堅牢性等多岐に渡るが、本発明者らの検討によ
れば、ドライクリーニング堅牢性が3級以上あれば、本
発明のポリエステル系複合繊維においては耐光堅牢性を
除く、残りの堅牢性はすべて工業的に問題のないレベル
であることがわかっている。従って、ドライクリーニン
グ堅牢性は、本発明のポリエステル系複合繊維の染色堅
牢性全体を示す指標となる。また、アウターに使用可能
であるためには、本発明の染色条件で3−4級以上、好
ましくは4級以上の耐光堅牢性を示すことが望ましい。
【0024】本発明のポリエステル系複合繊維におい
て、達成されるべき必要な制電性は摩擦帯電圧と半減期
から知ることができる。衣料用に用いる際に必要な摩擦
帯電圧は、その値が小さければ小さい程よいが、一般的
には2000V以下、好ましくは1500V以下であ
る。また、半減期も、その値が小さければ小さい程よい
が、一般的には20秒以下、好ましくは15秒以下であ
る。
て、達成されるべき必要な制電性は摩擦帯電圧と半減期
から知ることができる。衣料用に用いる際に必要な摩擦
帯電圧は、その値が小さければ小さい程よいが、一般的
には2000V以下、好ましくは1500V以下であ
る。また、半減期も、その値が小さければ小さい程よい
が、一般的には20秒以下、好ましくは15秒以下であ
る。
【0025】紡糸に当たっては、常圧可染性ポリマーと
制電剤の2種のポリエステルを使うため、所望の断面構
造を作るのに適した紡口パックを選択する必要がある
が、これらは公知の技術を用いることができる。以下、
紡口パックについて、概略図を以てその一例を示す。芯
部が制電剤のみで構成される場合には、例えば図3のよ
うな紡口パックを用いればよい。図3において、常圧可
染性ポリマーをAから、制電剤をBから各々濾過部を通
過した後、水平流路1を通ってキャピラリー2に導入
し、紡口3より流出させてフィラメント群として吐出成
形することによって、本発明が目的とする鞘芯構造を得
ることができる。また、Bから、制電剤と繊維形成性ポ
リエステルとの混合物を流すと、制電剤が糸長方向にす
じ状分散した繊維を作ることも可能である。また、制電
剤が糸長方向にすじ状分散して存在し、しかも、その断
面構造において、繊維形成性ポリエステルと制電剤が3
層以上積層した構造を有する繊維を作る場合は、例え
ば、図4のような紡口パックを用いればよい。すなわ
ち、繊維形成能のあるポリエステルと制電剤を別々に
C、Dから導入し、各々濾過部を通過した後、静的混練
素子4によって混練する。この静的混練素子によって繊
維形成能のあるポリエステルと制電剤は、3層以上の層
に分離される。静的混練素子1で多層に積層された後、
水平流路1を通ってキャピラリー2に入り、紡口3より
流出されてフィラメント群として吐出成形される。
制電剤の2種のポリエステルを使うため、所望の断面構
造を作るのに適した紡口パックを選択する必要がある
が、これらは公知の技術を用いることができる。以下、
紡口パックについて、概略図を以てその一例を示す。芯
部が制電剤のみで構成される場合には、例えば図3のよ
うな紡口パックを用いればよい。図3において、常圧可
染性ポリマーをAから、制電剤をBから各々濾過部を通
過した後、水平流路1を通ってキャピラリー2に導入
し、紡口3より流出させてフィラメント群として吐出成
形することによって、本発明が目的とする鞘芯構造を得
ることができる。また、Bから、制電剤と繊維形成性ポ
リエステルとの混合物を流すと、制電剤が糸長方向にす
じ状分散した繊維を作ることも可能である。また、制電
剤が糸長方向にすじ状分散して存在し、しかも、その断
面構造において、繊維形成性ポリエステルと制電剤が3
層以上積層した構造を有する繊維を作る場合は、例え
ば、図4のような紡口パックを用いればよい。すなわ
ち、繊維形成能のあるポリエステルと制電剤を別々に
C、Dから導入し、各々濾過部を通過した後、静的混練
素子4によって混練する。この静的混練素子によって繊
維形成能のあるポリエステルと制電剤は、3層以上の層
に分離される。静的混練素子1で多層に積層された後、
水平流路1を通ってキャピラリー2に入り、紡口3より
流出されてフィラメント群として吐出成形される。
【0026】どのタイプの紡口パックを用いた場合で
も、吐出されたフィラメント群は、巻き取り速度100
0〜2000m/min程度で一度未延伸糸として巻き
取り、2〜3.5倍程度、延伸する通常法、あるいは、
紡糸−延伸工程を直結した直延法で巻き取ることができ
る。勿論、2000m/min以上の巻き取り速度で紡
糸することも可能である。紡糸条件としては、特に限定
されるものはなく、公知の条件で紡糸することが可能で
ある。
も、吐出されたフィラメント群は、巻き取り速度100
0〜2000m/min程度で一度未延伸糸として巻き
取り、2〜3.5倍程度、延伸する通常法、あるいは、
紡糸−延伸工程を直結した直延法で巻き取ることができ
る。勿論、2000m/min以上の巻き取り速度で紡
糸することも可能である。紡糸条件としては、特に限定
されるものはなく、公知の条件で紡糸することが可能で
ある。
【0027】紡糸に用いる静的混練素子は、例えば、ケ
ニックス社製「スタティックミキサー」、東レエンジニ
アリング社製「ミキシングユニット」、スルーザー社製
「ミキシングエレメント」等、公知のものが用いられ
る。静的混練素子の数によって層の数は決まるが、通常
2枚以上、好ましくは4〜16枚である。
ニックス社製「スタティックミキサー」、東レエンジニ
アリング社製「ミキシングユニット」、スルーザー社製
「ミキシングエレメント」等、公知のものが用いられ
る。静的混練素子の数によって層の数は決まるが、通常
2枚以上、好ましくは4〜16枚である。
【0028】
【発明の効果】本発明のポリエステル系複合繊維は、通
常のポリエステル系繊維の染色温度では、染色が困難な
繊維と混用でき、しかも、一段一浴染色できるという利
点を持っている。更には、高い制電性を有しているの
で、本発明のポリエステル系複合繊維の混用率が高い場
合でも、静電気に基づくまとわりつき、放電等の問題点
がでない。
常のポリエステル系繊維の染色温度では、染色が困難な
繊維と混用でき、しかも、一段一浴染色できるという利
点を持っている。更には、高い制電性を有しているの
で、本発明のポリエステル系複合繊維の混用率が高い場
合でも、静電気に基づくまとわりつき、放電等の問題点
がでない。
【0029】本発明のポリエステル系複合繊維は、上記
の利点を活かし、混用率の低い用途から高い用途まで、
セルロース繊維との混用が可能のほか、絹、ウールとい
った天然繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等の
耐熱温度の低い繊維との混用に特に有用である。もちろ
ん、単独使用でも高度の機能を発揮することができる。
の利点を活かし、混用率の低い用途から高い用途まで、
セルロース繊維との混用が可能のほか、絹、ウールとい
った天然繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等の
耐熱温度の低い繊維との混用に特に有用である。もちろ
ん、単独使用でも高度の機能を発揮することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。な
お、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。 (1)ポリマーの還元粘度(ηsp/C) o−クロロフェノールを溶媒として、ポリマー濃度1.
0%、35℃にて測定した。 (2)強度、伸度 オリエンテック社製テンシロンを用い、糸長20cm、
引張り速度20cm/minの条件で測定した。 (3)ポリエステル系複合繊維の吸尽率、深色度(K/
S)測定(染色性の評価) 試料はポリエステル系複合繊維の一口編地を用い、スコ
アロール400を2g/で含む温水を用いて、70℃、
20分間精練処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次
いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒の熱セ
ットを行ったものを使用した。吸尽率は、40℃から9
5℃に昇温後、更にそのまま1時間保持した後の吸尽率
で評価した。染料は、カヤロンポリエステルブルー3R
SF(日本化薬社製)を使用し、6%owf、浴比1:
50で染色した。分散剤はニッカサンソルト7000
(日華化学社製)を0.5g/リットル使用し、酢酸
0.25ml/リットルと酢酸ナトリウム1g/リット
ルを加え、pHを5に調整した。
明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。な
お、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。 (1)ポリマーの還元粘度(ηsp/C) o−クロロフェノールを溶媒として、ポリマー濃度1.
0%、35℃にて測定した。 (2)強度、伸度 オリエンテック社製テンシロンを用い、糸長20cm、
引張り速度20cm/minの条件で測定した。 (3)ポリエステル系複合繊維の吸尽率、深色度(K/
S)測定(染色性の評価) 試料はポリエステル系複合繊維の一口編地を用い、スコ
アロール400を2g/で含む温水を用いて、70℃、
20分間精練処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次
いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒の熱セ
ットを行ったものを使用した。吸尽率は、40℃から9
5℃に昇温後、更にそのまま1時間保持した後の吸尽率
で評価した。染料は、カヤロンポリエステルブルー3R
SF(日本化薬社製)を使用し、6%owf、浴比1:
50で染色した。分散剤はニッカサンソルト7000
(日華化学社製)を0.5g/リットル使用し、酢酸
0.25ml/リットルと酢酸ナトリウム1g/リット
ルを加え、pHを5に調整した。
【0031】吸尽率は、染料原液の吸光度A、染色後の
染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入
にて求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 吸尽率=(A−a)/A×100 (%) どの程度濃色に染まったかを表す深色度は、K/Sを用
いて評価した。この値は、染色後のサンプル布の分光反
射率Rを測定し、以下に示すクベルカ−ムンク(Kub
elka−Munk)の式から求めた。この値が大きい
程、深色効果が大きいこと、すなわち、よく発色されて
いることを示す。Rは、当該染料の最大吸収波長である
580nmでの値を採用した。
染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入
にて求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 吸尽率=(A−a)/A×100 (%) どの程度濃色に染まったかを表す深色度は、K/Sを用
いて評価した。この値は、染色後のサンプル布の分光反
射率Rを測定し、以下に示すクベルカ−ムンク(Kub
elka−Munk)の式から求めた。この値が大きい
程、深色効果が大きいこと、すなわち、よく発色されて
いることを示す。Rは、当該染料の最大吸収波長である
580nmでの値を採用した。
【0032】K/S=(1−R)2/2R (4)染色堅牢性 各種の染色堅牢性は、JIS法に従って評価した。例え
ば、ドライクリーニング堅牢性は、JIS−L−086
0、耐光堅牢性は、JIS−L−0842に従った。 (5)制電性 摩擦帯電圧は、JIS−L−1094のB法、半減期
は、JIS−L−1094のA法に従った。
ば、ドライクリーニング堅牢性は、JIS−L−086
0、耐光堅牢性は、JIS−L−0842に従った。 (5)制電性 摩擦帯電圧は、JIS−L−1094のB法、半減期
は、JIS−L−1094のA法に従った。
【0033】
【実施例1】テレフタル酸ジメチル20部、エチレング
リコール14.7部、アジピン酸ジメチル(以下、DM
Aと略記する)1.52部、エステル交換触媒として、
酢酸マンガン4水和塩0.01部を仕込み、150℃か
ら240℃に徐々に加熱し、3時間を要してメタノール
を留出しつつエステル交換反応を行った。ついで、平均
分子量1000のポリエチレングリコール(以下、PE
G1000と略記する)0.44部、安定剤として、ト
リメチルフォスフェート0.016部および重縮合触媒
として三酸化アンチモン0.01部、艶消し剤として二
酸化チタン0.1部を添加し、50分かけて前重合を行
った。更に徐々に減圧していき、最終的には0.5To
rrで、275℃、2時間40分反応を行い、ηsp/
c=0.87の改質ポリエステルをチップ形態で得た。
こうして得られたポリマーの組成は、1H−NMRの分
析によりPEG1000、2wt%、DMA7重量%で
あった。
リコール14.7部、アジピン酸ジメチル(以下、DM
Aと略記する)1.52部、エステル交換触媒として、
酢酸マンガン4水和塩0.01部を仕込み、150℃か
ら240℃に徐々に加熱し、3時間を要してメタノール
を留出しつつエステル交換反応を行った。ついで、平均
分子量1000のポリエチレングリコール(以下、PE
G1000と略記する)0.44部、安定剤として、ト
リメチルフォスフェート0.016部および重縮合触媒
として三酸化アンチモン0.01部、艶消し剤として二
酸化チタン0.1部を添加し、50分かけて前重合を行
った。更に徐々に減圧していき、最終的には0.5To
rrで、275℃、2時間40分反応を行い、ηsp/
c=0.87の改質ポリエステルをチップ形態で得た。
こうして得られたポリマーの組成は、1H−NMRの分
析によりPEG1000、2wt%、DMA7重量%で
あった。
【0034】同様にして、制電剤として用いる平均分子
量6000のポリエチレングリコールを25重量%共重
合したポリエチレンテレフタレートを得た。得られた2
種のポリマーチップを130℃で、100ml/min
の窒素気流下、20時間乾燥させた。図3で示された紡
口パックを用い、Aから常圧可染ポリマー、Bから制電
剤をギアポンプを介して流し、36個の一重配列の紡口
を用い、紡糸温度270℃、紡糸速度1500m/mi
nで未延伸糸を作成した。次いで、得られた未延伸糸を
ホットロール80℃、ホットプレート160℃、延伸倍
率2.4倍、延伸速度800m/minで延撚を行い、
50デニール/60フィラメントの延伸糸を得た。得ら
れた繊維の芯部の割合(制電剤の割合)は5重量%であ
った。また、強度は4.8g/d、伸度は35%であっ
た。
量6000のポリエチレングリコールを25重量%共重
合したポリエチレンテレフタレートを得た。得られた2
種のポリマーチップを130℃で、100ml/min
の窒素気流下、20時間乾燥させた。図3で示された紡
口パックを用い、Aから常圧可染ポリマー、Bから制電
剤をギアポンプを介して流し、36個の一重配列の紡口
を用い、紡糸温度270℃、紡糸速度1500m/mi
nで未延伸糸を作成した。次いで、得られた未延伸糸を
ホットロール80℃、ホットプレート160℃、延伸倍
率2.4倍、延伸速度800m/minで延撚を行い、
50デニール/60フィラメントの延伸糸を得た。得ら
れた繊維の芯部の割合(制電剤の割合)は5重量%であ
った。また、強度は4.8g/d、伸度は35%であっ
た。
【0035】本発明のポリエステル系複合繊維の染色性
は、通常法で紡糸されたポリエチレンテレフタレート繊
維(Tmax:136℃)の分散染料による130℃、
60分の染色性と比較することで評価できる。この場
合、K/Sで比較するのが、直接色の濃さの比較ができ
るのでよい。ちなみに、通常法によるポリエチレンテレ
フタレート繊維の130℃、60分染色におけるK/S
は21.4であった。
は、通常法で紡糸されたポリエチレンテレフタレート繊
維(Tmax:136℃)の分散染料による130℃、
60分の染色性と比較することで評価できる。この場
合、K/Sで比較するのが、直接色の濃さの比較ができ
るのでよい。ちなみに、通常法によるポリエチレンテレ
フタレート繊維の130℃、60分染色におけるK/S
は21.4であった。
【0036】本実施例で得られたポリエステル系複合繊
維の98℃、60分における分散染料の吸尽率は82%
であり、K/Sは22.0であった。この結果は、本実
施例の95℃、60分における染色性が、通常法による
ポリエチレンテレフタレート繊維の130℃、60分の
染色性と同等であることを示すものである。染色後の筒
編み地のドライクリニング堅牢性では、染色物の退色も
認められず、液汚染は4級であった。また、耐光堅牢性
は4級であった。
維の98℃、60分における分散染料の吸尽率は82%
であり、K/Sは22.0であった。この結果は、本実
施例の95℃、60分における染色性が、通常法による
ポリエチレンテレフタレート繊維の130℃、60分の
染色性と同等であることを示すものである。染色後の筒
編み地のドライクリニング堅牢性では、染色物の退色も
認められず、液汚染は4級であった。また、耐光堅牢性
は4級であった。
【0037】また、摩擦帯電圧は1500V、半減期は
7.3秒と良好であった。
7.3秒と良好であった。
【0038】
【実施例2〜5】実施例1と同様の方法で共重合組成、
制電剤量をいろいろ変化させて、重合・紡糸実験を行っ
た。その結果を表1にまとめた。いずれの改質ポリエス
テル系複合繊維についても良好な染色性、堅牢性、制電
性を示した。
制電剤量をいろいろ変化させて、重合・紡糸実験を行っ
た。その結果を表1にまとめた。いずれの改質ポリエス
テル系複合繊維についても良好な染色性、堅牢性、制電
性を示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【比較例1】PEG1000を4重量%、DMAを7重
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体、
PEG1000のみを8重量%共重合したポリエチレン
テレフタレート系重合体、PEG4000のみを8重量
%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体をそ
れぞれ単独で紡糸し、50デニ−ル/36フィラメント
の断面が丸型均一構造の繊維を作成した。摩擦帯電圧を
評価したところ、順に4700V、4800V、420
0Vであった。この値は、ポリエチレンテレフタレート
の摩擦帯電圧5600Vよりも低いが、実用的には制電
性はない。
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体、
PEG1000のみを8重量%共重合したポリエチレン
テレフタレート系重合体、PEG4000のみを8重量
%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体をそ
れぞれ単独で紡糸し、50デニ−ル/36フィラメント
の断面が丸型均一構造の繊維を作成した。摩擦帯電圧を
評価したところ、順に4700V、4800V、420
0Vであった。この値は、ポリエチレンテレフタレート
の摩擦帯電圧5600Vよりも低いが、実用的には制電
性はない。
【0041】
【比較例2〜5】表1の構造を有する共重合ポリエステ
ルを実施例1と同様に重合して、その繊維を作成した。
本発明の共重合組成からはずれるものは、染色性または
堅牢性が悪く、実用に耐えない。
ルを実施例1と同様に重合して、その繊維を作成した。
本発明の共重合組成からはずれるものは、染色性または
堅牢性が悪く、実用に耐えない。
【0042】
【実施例6】PEG3000を4重量%、DMAを8重
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体を
常圧可染性ポリマー、PEG6000を30重量%、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸を1重量%共重合した
ポリエチレンテレフタレート系重合体を制電剤として用
い、この常圧可染性ポリマーと制電剤を乾燥後、チップ
ブレンドし、図3で示された紡口パックを用いて、Aか
ら常圧可染ポリマー、Bからこのブレンドチップをでき
るだけ混練しないようにギアポンプを介して流し、36
個の一重配列の紡口を用い、紡糸温度270℃、紡糸速
度1500m/minで未延伸糸を作成した。ギアポン
プの流量、チップブレンド比を調整して、制電剤の量が
繊維に対して5重量%になるようにした。得られた未延
伸糸をホットロール80℃、ホットプレート160℃、
延伸倍率2.4倍、延伸速度800m/minで延撚を
行い、50デニール/60フィラメントの延伸糸を得
た。
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体を
常圧可染性ポリマー、PEG6000を30重量%、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸を1重量%共重合した
ポリエチレンテレフタレート系重合体を制電剤として用
い、この常圧可染性ポリマーと制電剤を乾燥後、チップ
ブレンドし、図3で示された紡口パックを用いて、Aか
ら常圧可染ポリマー、Bからこのブレンドチップをでき
るだけ混練しないようにギアポンプを介して流し、36
個の一重配列の紡口を用い、紡糸温度270℃、紡糸速
度1500m/minで未延伸糸を作成した。ギアポン
プの流量、チップブレンド比を調整して、制電剤の量が
繊維に対して5重量%になるようにした。得られた未延
伸糸をホットロール80℃、ホットプレート160℃、
延伸倍率2.4倍、延伸速度800m/minで延撚を
行い、50デニール/60フィラメントの延伸糸を得
た。
【0043】得られた繊維の断面を顕微鏡観察したとこ
ろ、芯部は図1の海島型(制電剤が島となる)であっ
た。また、繊維を糸長方向に切断し、切断面を観察した
ところ、制電剤はすじ状に分散していた。得られた繊維
を98℃で染色したところ、吸尽率は91%、K/Sは
22.5であった。また、ドライクリーニング堅牢性、
耐光堅牢性は共に、3級であった。
ろ、芯部は図1の海島型(制電剤が島となる)であっ
た。また、繊維を糸長方向に切断し、切断面を観察した
ところ、制電剤はすじ状に分散していた。得られた繊維
を98℃で染色したところ、吸尽率は91%、K/Sは
22.5であった。また、ドライクリーニング堅牢性、
耐光堅牢性は共に、3級であった。
【0044】また、摩擦帯電圧は1200V、半減期は
6.3秒と良好であった。
6.3秒と良好であった。
【0045】
【実施例7】PEG1000を4重量%、DMAを8重
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体を
常圧可染性ポリマー、PEG6000を25重量%共重
合したポリエチレンテレフタレート系重合体を制電剤と
して用い、図4で示された紡口パックを用いて、Cから
常圧可染ポリマー、Dから制電剤をギアポンプを介して
流し、36個の一重配列の紡口を用い、紡糸温度270
℃、紡糸速度1500m/minで未延伸糸を作成し
た。なお、静的混練素子は8枚用い、ギアポンプの流量
を調整して、制電剤の量が繊維に対して3重量%になる
ようにした。得られた未延伸糸をホットロール80℃、
ホットプレート160℃、延伸倍率2.4倍、延伸速度
800m/minで延撚を行い、50デニール/60フ
ィラメントの延伸糸を得た。
量%共重合したポリエチレンテレフタレート系重合体を
常圧可染性ポリマー、PEG6000を25重量%共重
合したポリエチレンテレフタレート系重合体を制電剤と
して用い、図4で示された紡口パックを用いて、Cから
常圧可染ポリマー、Dから制電剤をギアポンプを介して
流し、36個の一重配列の紡口を用い、紡糸温度270
℃、紡糸速度1500m/minで未延伸糸を作成し
た。なお、静的混練素子は8枚用い、ギアポンプの流量
を調整して、制電剤の量が繊維に対して3重量%になる
ようにした。得られた未延伸糸をホットロール80℃、
ホットプレート160℃、延伸倍率2.4倍、延伸速度
800m/minで延撚を行い、50デニール/60フ
ィラメントの延伸糸を得た。
【0046】得られた繊維の断面を顕微鏡観察したとこ
ろ、芯部は図2のように少なくとも6層は確認できる層
状であった。また、繊維を糸長方向に切断し、切断面を
観察したところ、制電剤はすじ状に分散していた。得ら
れた繊維を98℃で染色したところ、吸尽率は92%、
K/Sは22.5であった。また、ドライクリーニング
堅牢性、耐光堅牢性は共に、3〜4級であった。
ろ、芯部は図2のように少なくとも6層は確認できる層
状であった。また、繊維を糸長方向に切断し、切断面を
観察したところ、制電剤はすじ状に分散していた。得ら
れた繊維を98℃で染色したところ、吸尽率は92%、
K/Sは22.5であった。また、ドライクリーニング
堅牢性、耐光堅牢性は共に、3〜4級であった。
【0047】また、摩擦帯電圧は1800V、半減期は
18秒と良好であった。実施例2と比較すると理解でき
るが、制電剤を層状かつ糸長方向にすじ状分散させる
と、芯部が制電剤のみの場合と同等の制電性をより少な
い制電剤量で達成できる。
18秒と良好であった。実施例2と比較すると理解でき
るが、制電剤を層状かつ糸長方向にすじ状分散させる
と、芯部が制電剤のみの場合と同等の制電性をより少な
い制電剤量で達成できる。
【0048】
【0049】
【図1】本発明のポリエステル系複合繊維の芯部におけ
る制電剤の分散例を示す模式図。
る制電剤の分散例を示す模式図。
【0050】
【図2】本発明のポリエステル系複合繊維の芯部におけ
る制電剤の他の分散例を示す模式図。
る制電剤の他の分散例を示す模式図。
【0051】
【図3】本発明のポリエステル系複合繊維を製造する際
に用いる紡口パックの一例を示す図。
に用いる紡口パックの一例を示す図。
【0052】
【図4】本発明のポリエステル系複合繊維を製造する際
に用いる紡口パックの他の例を示す図。
に用いる紡口パックの他の例を示す図。
【0053】
1・・・水平流路 2・・・キャピラリー 3・・・紡口 4・・・静的混練素子 A〜D・・・ポリマーの入り口
Claims (3)
- 【請求項1】鞘芯構造の複合繊維において、鞘部は平均
分子量500〜4000のポリエチレングリコールが
1.5〜8重量%、アジピン酸が9〜0重量%共重合さ
れ、更に、6≦(ポリエチレングリコールの重量%+ア
ジピン酸の重量%)≦15を満足するポリエチレンテレ
フタレート系共重合体からなり、芯部は平均分子量40
00〜20000のポリエチレングリコールが10〜8
0重量%共重合されたポリエチレンテレフタレート系共
重合体からなる制電剤、あるいはこの制電剤が分散した
繊維形成能のあるポリエステル系重合体からなり、制電
剤の繊維全体に占める割合が0.1〜10重量%である
ことを特徴とするポリエステル系複合繊維。 - 【請求項2】制電剤が糸長方向にすじ状分散して存在す
る請求項1記載のポリエステル系複合繊維。 - 【請求項3】複合繊維の断面において、芯部は繊維形成
性ポリエステル系重合体と制電剤が3層以上積層した構
造を有する請求項1記載のポリエステル系複合繊維。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1756796A JPH09217231A (ja) | 1996-02-02 | 1996-02-02 | ポリエステル系複合繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1756796A JPH09217231A (ja) | 1996-02-02 | 1996-02-02 | ポリエステル系複合繊維 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09217231A true JPH09217231A (ja) | 1997-08-19 |
Family
ID=11947502
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1756796A Withdrawn JPH09217231A (ja) | 1996-02-02 | 1996-02-02 | ポリエステル系複合繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09217231A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100702536B1 (ko) * | 2001-12-26 | 2007-04-02 | 주식회사 코오롱 | 열가소성 심초형 복합섬유 및 이로 이루어지는 부직포 |
WO2014050652A1 (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-03 | 東レ株式会社 | 共重合ポリエステルおよびそれからなるポリエステル繊維 |
CN114318584A (zh) * | 2021-11-29 | 2022-04-12 | 安徽元琛环保科技股份有限公司 | 一种抗静电双组分纤维及其制备方法 |
-
1996
- 1996-02-02 JP JP1756796A patent/JPH09217231A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100702536B1 (ko) * | 2001-12-26 | 2007-04-02 | 주식회사 코오롱 | 열가소성 심초형 복합섬유 및 이로 이루어지는 부직포 |
WO2014050652A1 (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-03 | 東レ株式会社 | 共重合ポリエステルおよびそれからなるポリエステル繊維 |
CN114318584A (zh) * | 2021-11-29 | 2022-04-12 | 安徽元琛环保科技股份有限公司 | 一种抗静电双组分纤维及其制备方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030506 |