JPH09207432A - インクジェット用記録材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録適性に優れると共に、自
然光による褪色がなく、バックライト等を用いた表色看
板等のディスプレイ材料として好適なインクジェット用
記録材料の提供。 【解決手段】 透明な基材の少なくとも一方の面上に、
白色のインク受理層を形成してなるインクジェット用記
録材料において、前記白色インク受理層が、合成樹脂
と、粒径が１μｍ以下でＪＩＳ−Ｋ５１０１─１９号規
格による吸油量が１００ｍｌ／１００ｇ以下の顔料とか
らなると共に、透過光による光学濃度が０．２以上の記
録材料であって、前記合成樹脂と顔料との混合比率が重
量比で４０／６０〜１５／８５であることを特徴とする
インクジェット用記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット用記
録材料に関し、特に、バックライトを通し、表色看板等
に用いられるディスプレイに使用するのに好適なインク
ジェット用記録材料に関する。

【０００２】

【従来の技術】表色看板等のディスプレイは、当初銀塩
写真法によるディスプレイ画像フィルムを透明板と不透
明板の間に挟んで作製された。しかしながら、この場合
には、銀塩画像の褪色が著しく、長期の使用には適さな
い。そこで、近年においては、白色支持体上に耐光性イ
ンクを用いて印刷を施した後、印刷面上に透明なシート
や板を配して画像を保護したり、透明支持体上に、逆像
を形成する如く、耐光性インクを用いて画像を形成させ
た後、全面に白色インクを塗布して不透明化し、白色イ
ンク側からバックライトをあてて、透明支持体側から見
るようにすることが行われている。

【０００３】しかしながら、このような印刷をオフセッ
トやスクリーン印刷で行う場合には、大画像のものを作
製し難いという欠点がある。これに対し、インクジェッ
ト方式は大型の印刷を行い易いという利点がある。しか
しながら、このような使用に適した記録材料は未だ知ら
れていない。即ち、透明なプラスチックシート支持体上
に多孔質のインク受理層を形成させたＯＨＰフィルムは
知られているが、屋外使用に可能な耐光性が十分でない
上、これを看板に応用するためには、画像記録シート
を、シワが寄らないように、不透明な白色板に貼着する
必要があるので、煩雑である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
表色看板等に用いられるディスプレイに使用できるイン
クジェット用記録材料について鋭意検討した結果、合成
樹脂と特定の顔料とを一定の混合比率で調合し、これを
白色のインク受理層として透明基材上に設けた場合に
は、インクジェット記録特性が良好となり、特に、３６
０ｎｍの波長における吸光度を１以上とした場合には、
屋外で使用するディスプレイ材料として好適となること
を見い出し、本発明に到達した。従って、本発明の目的
は、インクジェット記録適性に優れると共に、自然光に
よる褪色がなく、バックライト等を用いた表色看板等の
ディスプレイ材料として好適なインクジェット用記録材
料を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
透明な基材の少なくとも一方の面上に、白色のインク受
理層を形成してなるインクジェット用記録材料におい
て、前記白色インク受理層が、合成樹脂と、粒径が１μ
ｍ以下でＪＩＳ−Ｋ５１０１−１９号規格による吸油量
が１００ｍｌ／１００ｇ以下の顔料とからなると共に、
透過光による光学濃度が０．２以上の記録材料であっ
て、前記合成樹脂と顔料との混合比率が重量比で４０／
６０〜１５／８５であることを特徴とするインクジェッ
ト用記録材料によって達成された。

【０００６】本発明における透明な基材は、透明なプラ
スチックシート等の中から適宜選択して使用することが
できる。本発明の基材として使用する透明なプラスチッ
クシートとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレート、セルローストリアセテート、及び、ポリカ
ーボネート等を挙げることができる。また、本発明にお
いては、強度、寸法安定性、耐熱性及びコスト等の観点
から、特に２軸延伸されたポリエチレンテレフタレート
シートを用いることが好ましい。斯る透明なプラスチッ
クシートの厚みは特に限定されるものではないが、１０
０〜２５０μｍであることが好ましい。

【０００７】本発明のインク受理層に使用する合成樹脂
は、耐水性、インク吸収性及びインク乾燥性に優れた樹
脂であることが必要である。このような樹脂としては、
重合度が５００〜２，５００のポリビニルアルコールを
アルデヒド原料と反応させてなるポリビニルアセタール
樹脂を始め、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、スチレン／アクリル樹脂、及
び、エチレン／ビニルアセテート樹脂等を用いることが
できる。ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は
５〜３０モル％であることが好ましく、特に芳香族系ポ
リビニルアセタール樹脂が好ましい。これ等の樹脂は単
独で用いても、２種以上を併用しても良い。

【０００８】本発明のインク受理層に使用する顔料は、
非画像部の隠蔽性とインク透過性、及び記録画像の視認
性に優れるインクジェット用記録材料を得るための重要
な構成部分であり、従って、用いる顔料はＪＩＳ−Ｋ５
１０１−１９号規格による吸油量が１００ｍｌ／１００
ｇ以下で、粒子径が１．０μｍ以下であることが必要で
ある。

【０００９】吸油量が１００ｍｌ／１００ｇを越える
と、顔料のインク定着性が樹脂のインク定着性より優れ
るため、画像記録後の経時で、インクの染みだしによる
滲み現象に起因する画像濃度の低下を招き易いという問
題が生じる。また、顔料の粒子径が１μｍを越える場合
には、インク受理層の塗工量を多くしないと、透過光に
よる光学濃度が０．２以上の隠蔽性を付与させることが
できないため、非画像部の隠蔽性が不十分となり、記録
画像の視認性が悪くなるという問題が生じる。

【００１０】本発明で使用することのできる顔料として
は、シリカ、石英、炭酸カルシウム、酸化チタン、アル
ミナ等の金属粉末或いは金属酸化物等の無機顔料或いは
スチレン／アクリル、アクリル、ポリエステル、塩化ビ
ニル、繊維素、シリコーン、フッ素、ベンゾグアナミン
或いはメラミンのホルムアルデヒド縮合物等の有機顔料
等がある。特に顔料分散性及び耐薬品性に優れる酸化チ
タン、シリカ、ベンゾグアナミン或いはメラミンのホル
ムアルデヒド縮合物等が好ましい。

【００１１】記録画像の視認性を良好とするために、本
発明においては、インク受理層の樹脂と顔料との混合比
率が、重量比で４０／６０〜１５／８５であることが必
要である。樹脂の混合比率が４０％を越えると、非画像
部の隠蔽性が低下し、記録画像の視認性が悪くなる上、
記録画像に濃度ムラが発生し易くなる。また、樹脂の混
合比率が１５％未満では、記録された画像と画像の境界
部に境界滲みが発生し易くなる上、インク乾燥性が不十
分となる。

【００１２】本発明のインク受理層には、非画像部の色
調コントロールを目的として蛍光増白剤を添加したり、
記録画像の自然光による褪色防止を目的として紫外線吸
収剤を添加したり、或いは、インク受理層の塗工性向上
を目的としてレベリング剤や濡れ向上剤等の公知の添加
剤を添加することも可能である。

【００１３】本発明のインクジェット用記録材料を、バ
ックライト等によって表色し、看板等として室外で使用
する場合には、特に３６０ｎｍの波長における吸光度が
１以上であることが必要である。上記吸光度が１未満で
は、屋外で使用した場合に、短期に記録画像の褪色が進
行し、視認性が低下する。

【００１４】本発明においては、インク受理層と反対側
の基材表面に、必要に応じて、インクジェットプリンタ
ー等により画像記録する際の自動給紙性を向上させたり
帯電防止を目的として、バックコート層を設けても良
い。この場合、自然光による記録画像の画像褪色を防止
することを目的として、バックコート層中に紫外線吸収
剤を含有させることもできる。また、紫外線吸収剤が内
添された透明なプラスチックシートを使用することも可
能である。

【００１５】尚、紫外線吸収剤を含有させた接着層を、
透明な基材とインク受理層間に設けることもできる。本
発明におけるインク受理層は、例えば、マイヤバーコー
ト、ロールコート、コンマコート、リップコート、エア
ナイコート、グラビアコート、カーテンコート等の公知
の塗工方法によって容易に設けることができる。

【００１６】

【発明実施の形態】本発明のインクジェット記録材料
は、透明な基材の一方の表面に、必要に応じて接着層を
設けた後、少なくとも、合成樹脂と、粒径が１μｍ以下
でＪＩＳ−Ｋ５１０１−１９号規格による吸油量が１０
０ｍｌ／１００ｇ以下の顔料とを、前者と後者の重量比
が４０／６０〜１５／８５となるように含有し、必要に
応じて紫外線吸収剤等の添加剤を更に含有する塗布液
を、乾燥後の記録材料の透過光による光学濃度が０．２
以上となるように塗布・乾燥することによって基材表面
に白色のインク受理層を形成させ、容易に得ることがで
きる。得られた記録材料のインク受理層にインクジェッ
ト記録した記録物は、ＯＨＰ用のみならずディスプレイ
用としても使用することができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明のインクジェット用記録材料は、
記録画像のインク乾燥性、記録画像の画像品質（特に、
濃度ムラ、滲み発生のないこと）及び記録画像の褪色防
止性を十分に有するので、バックライトを通した表色看
板等のディスプレイ材料としての適性が十分であり、こ
れによってインクジェット記録方法の用途を拡大するこ
とができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
又、特に断らない限り、以下に記載する「％」及び
「部」は「重量％」及び「重量部」を意味する。

【００１９】実施例１．紫外線吸収剤が内添された、吸
光度が２．５で厚みが１００μｍの透明なポリエチレン
テレフタレートシートの片面に、下記のように調製され
たインク受理層成分を、乾燥塗膜の厚みが１０μｍとな
るように塗布・乾燥して、インクジェット用記録材料を
作製した。

【００２０】インク受理層成分の調製：ポリビニルアル
コール（ＰＶＡ−２２０：株式会社クラレ製の商品名）
４部、有機顔料（エポスターＳ：日本触媒化学工業株式
会社製の商品名、吸油量は８０ｍｌ／１００ｇ、粒径は
０．３μｍ）６部、水６０部、メタノール３０部。

【００２１】実施例２．インク受理層中のポリビニルア
ルコールと有機顔料の混合比率を１５／８５とした他
は、実施例１と全く同様にしてインクジェット用記録材
料を作製した。

【００２２】実施例３．支持体として、吸光度が０．０
６で厚みが１００μｍの透明なプラスチックシートを用
いると共に、インク受理層に紫外線吸収剤（バイオゾル
ブ１１１：共同薬品株式会社製の商品名）２．５部を添
加した他は、実施例１と全く同様にしてインクジェット
用記録材料を作製した。

【００２３】実施例４．支持体として、吸光度が０．０
６で厚みが１００μｍの透明なプラスチックシートの記
録面と反対側の面に、下記のように調製された紫外線吸
収性を有するバックコート層を、乾燥塗膜の厚みが５μ
ｍとなるように形成させた支持体を用いた他は、実施例
１と全く同様にしてインクジェット用記録材料を作製し
た。

【００２４】バックコート層成分の調製：ポリエステル
樹脂（バイロン２０ＳＳ：東洋紡株式会社製の商品名）
１１部、紫外線吸収剤（チヌビン１０９：チバガイギ株
式会社製の商品名）３部、シリカ（サイリシア４４５：
富士シリシア化学株式会社製の商品名、粒径は３．５μ
ｍ）１部、トルエン５０部、メチルエチルケトン３５
部。

【００２５】比較例１．インク受理層中のポリビニルア
ルコールと有機顔料との混合比率を５０／５０とした他
は、実施例１と全く同様にしてインクジェット用記録材
料を作製した。

【００２６】比較例２．インク受理層中のポリビニルア
ルコールと有機顔料との混合比率を１０／９０とした他
は、実施例１と全く同様にしてインクジェット用記録材
料を作製した。

【００２７】比較例３．インク受理層に使用した有機顔
料を、粒子径が２μｍの有機顔料（エポスタ−ＭＳ：日
本触媒化学工業株式会社製の商品名、吸油量は９７ｍｌ
／１００ｇ）に変えた他は、実施例１と全く同様にして
インクジェット用記録材料を作製した。

【００２８】比較例４．支持体として吸光度が０．０６
で厚みが１００μｍの透明なプラスチックシートを使用
した他は、実施例１と全く同様にしてインクジェット用
記録材料を作製した。

【００２９】比較例５．インク受理層に使用した有機顔
料を、粒子径が２．５μｍで吸油量が２００ｍｌ／１０
０ｇの有機顔料（サイリシア４３１：富士シリシア化学
株式会社製の商品名）に変えた他は、実施例１と全く同
様にしてインクジェット用記録材料を作製した。

【００３０】実施例と比較例から得られた各インクジェ
ット用被記録材料について、テストパターンを用いて、
下記の方法によりインク透過性、インク乾燥性、境界滲
み、濃度ムラ、画像濃度、視認性及び画像の褪色性の評
価を行った。その結果は表１に示した通りである。

【００３１】１．インクの透過性：記録画像をインク受
理層の反対面から目視し、ブラック部のインクの染着度
合いを評価した。記録材料の白さが残らずインクで完全
に染色されているものを○（良好）、インクを吸収しき
れずインク受理層の白さが残るものを×（悪い）とし、
その中間のものを△とした。

【００３２】２．インクの乾燥性：混合色であるグリー
ンのベタ印字部において、記録画像の経時による、上質
紙へのインクの転移の有無を評価した。２分未満で紙へ
の転移が無くなるものを○（良好）、２〜５分で転移が
無くなるものを△とし、転移が無くなるのに５分以上か
かるものを×とした（悪い）とした。

【００３３】３．境界滲み：記録画像の混合色それぞれ
のベタ部において、鮮明に境界線を確認できるものを○
（良好）、色が混合され境界線が確認できないものを×
とし、その中間のものを△とした。

【００３４】４．濃度ムラ：記録画像の濃淡ムラを目視
で評価した。濃淡ムラが認められないものを○（良
好）、濃淡が大きなのを×（悪い）とし、その中間のも
のを△とした。

【００３５】５．画像濃度：記録画像の画像濃度を、マ
クベス社製のマクベス透過濃度計ＴＲ９２４を用いて、
ブラック色のベタ部透過濃度を測定した。目標値は１．
５である。

【００３６】６．視認性：記録画像をＯＨＰで投影し、
目視により記録画像の見易さを評価した。記録画像の見
易いものを○（良好）、記録画像の画像濃度が低く見難
いものを×（悪い）とし、その中間のものを△とした。

【００３７】７．記録画像の褪色性：ブラック色のベタ
記録画像を、ロングライフフェードメーターＦＡＬ−３
（スガ試験機株式会社製の商品名）を用いてカーボンア
ークで２４時間照射し、照射前後における記録画像の透
過濃度低下率（％）を、下記の式によって計算した。 透過濃度低下率（％）＝（照射前の透過濃度−照射後の
透過濃度）／照射前の透過濃度×１００ 尚、その目標値は２０％以下である。

【００３８】

【表１】

【００３９】表１から、実施例のインクジェット用記録
材料は、記録画像品質、インク乾燥性及び画像濃度が高
く、投影画像の視認性に優れたインクジェット用記録材
料であるのに対し、比較例のものは、いずれのものも、
各性能のうちの少なくとも１つの性能が目標に達しない
ことが明らかであり、これによって本発明の有効性が実
証された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 正秀 埼玉県東松山市東平1551番地 日本製紙株 式会社画像工学センター内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透明な基材の少なくとも一方の面上に、
   白色のインク受理層を形成してなるインクジェット用記
   録材料において、前記白色インク受理層が、合成樹脂
   と、粒径が１μｍ以下でＪＩＳ−Ｋ５１０１−１９号規
   格による吸油量が１００ｍｌ／１００ｇ以下の顔料とか
   らなると共に、透過光による光学濃度が０．２以上の記
   録材料であって、前記合成樹脂と顔料との混合比率が重
   量比で４０／６０〜１５／８５であることを特徴とする
   インクジェット用記録材料。
2. 【請求項２】 ３６０ｎｍ波長における吸光度が１以上
   である、請求項１に記載されたインクジェット用記録材
   料。
3. 【請求項３】 透明な基材がプラスチックシートであ
   る、請求項１又は２に記載されたインクジェット用記録
   材料。