JP3184836B2

JP3184836B2 - インクジェット記録用シート

Info

Publication number: JP3184836B2
Application number: JP10642991A
Authority: JP
Inventors: 実曽根; 和男佐藤
Original assignee: Nisshinbo Holdings Inc; Nisshinbo Industries Inc
Current assignee: Nisshinbo Holdings Inc
Priority date: 1990-08-03
Filing date: 1991-04-12
Publication date: 2001-07-09
Anticipated expiration: 2016-07-09
Also published as: US5194317A; JPH04235086A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水性インク，油性イン
ク等の微小液滴をノズルから噴射してモノクロ，フルカ
ラー画像を高速に印画するインクジェットプリンターの
記録用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】記録方式には、熱溶融方式，昇華方式，
電子写真方式，インクジェット方式等があるが、記録時
の音の静かさ，高速印画性，カラー記録の容易性,大型
画像の記録適性等から、近時、インクジェット記録方式
が普及しつつある。

【０００３】而して、インクジェット記録用シートに要
求される品質としては、インクの吸収性に優れ、に
じみ等が発生しないこと平滑性，光沢性に優れてい
ることシート及び画像に耐水性があり、水分が付着
しても画像ににじみや流れ出しがないこと多量のイ
ンクを吸収してもシートに弛みを生じないこと画像
の発色濃度，鮮明性に優れていること等があり、従来、
上記の品質を満足させるために種々の改良技術が開発さ
れてきた。

【０００４】而して、従来のインクジェット記録物は、
これを屋外等でバックライト方式で展示しようとする場
合等、未加工，未処理の状態のままでは、前記の耐水
性を満足させ得るものはないため、従来は印画表面をプ
ラスチックフィルムでラミネートしたり、表面に耐水化
コーティング等の処理を施して使用したり、前記の発
色濃度，鮮明性を向上させる目的で、画像裏面に高度な
不透明性を有する別な支持体、例えば紙などを密着させ
るなど、手数が掛からざるを得ないという問題点があっ
た。尚、このときの不透明度は60％以上好ましくは80％
以上である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、屋外等でバックライト方式で展示
しようとする場合等において、従来のように耐水性に劣
るインク定着層側を表示面としてその表面に面倒な耐水
化コーティング等の処理をするのではなく、耐水性に優
れる基材側を表示面にしてこの基材側からインク定着層
に印画した画像を見るようにすると共に、基材側から画
像を見るようにしたときでも従来と同様に画像を明確に
見ることができるようにするため、画像（インク）の定
着位置をインク定着層中における基材との境界面により
近い側に位置付けるようにし、かつ、従来のインク定着
層側を表示面としたときのように画像の発色濃度，鮮明
性を向上させる目的で、基材裏面側に高度な不透明性を
有する紙などの別な支持体を密着させるなどすることな
く、バックライトを好適に光散乱させて画像裏面側の不
透明度を高めることができるようにしたバックライト方
式用のインクジェット記録用シートを提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決することを目的としてなされたもので、その構成
は、透明プラスチックフィルムから成る基材上に、顔料
をバインダーにより固定させたインク定着層を設けて成
り、インク定着層に形成された画像を基材側から見るイ
ンクジェット記録用シートにおいて、インク定着層の顔
料がポリスチレン又はその共重合体の中空ビーズである
ことを特徴とするものである。

【０００７】また、上記の課題を解決することを目的と
してなされた本願発明の他の構成は、透明プラスチック
フィルムから成る基材上に、顔料をバインダーにより固
定させたインク定着層を設けて成り、インク定着層に形
成された画像を基材側から見るインクジェット記録用シ
ートにおいて、インク定着層の顔料が粒子径４〜100μ
ｍのポリスチレン又はその共重合体の非中空ビーズであ
ることを特徴とするものである。

【０００８】即ち、本発明の発明者は、上記の課題を解
決するため、鋭意研究の結果、透明プラスチックフィル
ムから成る基材の上に、多孔性インク定着層を設け、該
インク定着層上にインクジェットプリンターで印画後、
インクを上記基材とインク定着層との界面まで速やかに
到達せしめ、基材側から画像を見るに際し、インクのに
じみ，流れ出し等の不具合がなく、発色濃度を高くする
には、適度の透明性があり、屈折率が1.59〜1.60と高
く、それ自体インクの吸収性を有しないポリスチレンビ
ーズ又はその共重合体ビーズの中空ビーズ、又は、粒子
径４〜100μｍのポリスチレン又はその共重合体の非中
空ビーズが有効に作用することを知得し、本発明を完成
したのである。

【０００９】以下、本発明について詳述する。本発明の
記録用シートは以下のようにして得られる。基材として
の透明プラスチックフィルムは、透明な熱可塑性樹脂フ
ィルムやポリビニルアルコールのフィルム，セルロース
誘導体のフィルム及びこれらの延伸フィルム等が用いら
れる。

【００１０】熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチ
レンテレフタレート，ポリプロピレン，ポリスチレン，
ポリ塩化ビニル，ポリメチルメタクリレート，ポリエチ
レン，ポリカーボネート等のフィルム及びこれらの樹脂
表面とインク定着層の接着を改善するための下引層を施
したフィルムやコロナ放電加工等を施したフィルムが用
いられる。

【００１１】次に、前記基材上に顔料をバインダーで固
定してインク定着層を形成するわけであるが、バインダ
ーとしては、例えば酸化澱粉，エステル化澱粉等の澱粉
類、カルボキシメチルセルロース，ヒドロキシエチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、カゼイン，ゼラチン，
大豆蛋白，ポリビニルアルコール及びその誘導体、スチ
レン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブ
タジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、
アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体
又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテッ
クス等が使用できる。

【００１２】また、顔料として用いられるポリスチレン
ビーズは、その単体としての形状は完全球状のものが優
れた透明性を有しているので好ましく、このものをイン
ク定着層に適用すると、ビーズ間に気泡を生じて適度な
不透明性を有する層が得られ、架橋タイプ，無架橋タイ
プいずれのものも使用できる。架橋タイプのものは架橋
度合が５〜80％のものが使用できるが、好ましくは40〜
50％のものがよい。粒子径は４μｍ〜100μｍまで使用
できるが、シートの平滑性，インクの浸透性等を考慮す
ると、20μｍ以下のものが好ましい。また、ポリスチレ
ン又はその共重合体の中空ビーズは、樹脂自体は透明で
あるが、その中空体のために、樹脂層と内側の空気とに
より光散乱が起こり、不透明度，白色度を向上させるの
に好ましく、その単体としての形状は完全球状のもの
が、それ自体はインク吸収性がないことにより、バイン
ダー樹脂中にインクが良好に浸透するために好ましい。
この場合、ビーズが中空であるための不透明度にビーズ
間に生じる気泡による不透明度が加わり、画像としては
より鮮明なものが得られる。粒子径は、0.1μｍ〜100μ
ｍまで使用できるが、シートの平滑性，インクの浸透性
を考慮すると、20μｍ以下のものが好ましい。

【００１３】尚、スチレン−マレイン酸エステル共重合
体及びその中空ビーズも、上記と同様に使用できる。

【００１４】更に、ビーズ自体を多孔質状にしたものも
使用できるが、これはシリカ，炭酸カルシウム，珪藻土
等の無機顔料同様、そのもの自体にインク吸収性があ
り、インク定着層表面のインクを基材とインク定着層と
の界面に速やかに到達せしめるという目的と、基材側か
ら見た場合に優れた発色濃度を与えるという目的には効
果的でなく、従って、これを使用するのはあまり好まし
くない。

【００１５】一方、ポリスチレンビーズが中空体でない
場合、屈折率について、種々のプラスチックビーズを考
慮してみると、ポリエチレン（1.51）、尿素樹脂（1.54
〜1.56）、ポリエステル（1.52〜1.57）、塩化ビニル
（1.54〜1.55）、酢酸ビニル（1.45〜1.47）、ポリビニ
ルアルコール（1.49〜1.58）、メチルメタアクリル酸
（1.49）、ナイロン（1.53）であるのに対し、ポリスチ
レンは1.59〜1.60と高い値を示すもので、このことが優
れた発色濃度を与える大きな原因となる。また、ポリス
チレンの場合は、樹脂自体が優れた透明性を有し、製法
上の問題でも懸濁重合技術を利用して容易に完全球状に
作り上げることができ、粒子径のコントロールも多彩に
できるので、前記ポリスチレンビーズを使用することが
本発明の目的を達成のに最適であるということが出来
る。メチルメタアクリル酸も完全球状で透明な粒子を作
れるが、その屈折率がポリスチレンより低いために、印
画後、基材側から測定したＯＤ（光学濃度）値もポリス
チレンより低い値を示すので、好ましくない。また、中
空体ビーズはそれ自体が内側の空気界面とにより光散乱
が起こるので、シートとしては充分な不透明性を有し、
それが優れた発色濃度，鮮明性を与える原因となる。

【００１６】而して、上述したバインダー中にポリスチ
レンビーズを分散させたものを塗工液とし、公知の方法
で透明プラスチックフィルム基材上に塗工して乾燥させ
れば、本発明の記録用シートが得られるわけであるが、
必要に応じて帯電防止処理を施しても良い。

【００１７】

【発明の効果】上記のようにして得られた本発明インク
ジェット記録用シートは、そのインク定着層が球状ポリ
スチレンビーズで充填された多孔質構造で、インク浸透
性に優れ、しかもインクの浸透過程において、インクが
上記ビーズ中に吸収されることがないため、基材側から
見た時に優れた発色性を示す。

【００１８】また、本発明に用いるポリスチレンビーズ
により形成される多孔質構造は優れたインク浸透性と定
着性を有するため、従来技術に見られるインク透過層と
インク定着層とを設けるというような多層構造にする必
要はなく、一層構造でも充分上記の効果を発揮すること
ができる。

【００１９】一方、本発明記録用シートは、基材側から
見る構成になっているため、観察される印画面はプラス
チックの持つ優れた光沢をそのまま表現し、しかも耐水
性，耐擦性の優れたものとなる。更に、本発明で使用す
るポリスチレンビーズは、その単体が優れた透明性を有
しているため、シート全体はバックライト方式で使用す
る光を適度に透過する不透明性を有することになり、バ
ックライト方式に使用する記録用シートとしては最適な
ものとなる。

【００２０】更に、ライトを使用しなくても、上記品質
を損なわずに観察することが可能である。

【００２１】

【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。実施例１ポリビニルアルコールの６％水溶液120重量部(以下、部
と記す）に平均粒径８μｍの球状ポリスチレンビーズ
（SB-8、無架橋タイプ、屈折率1.59、積水化成品工業
製）を50部加え、ポットミルで24時間分散し、増粘剤等
を添加して塗液とした。このものを透明下引層を設けた
厚さ100μｍの透明ポリエステルフィルムの表面に３mil
のアプリケーターを用いて塗工し、90℃の定温乾燥器中
で３分間乾燥して記録用シートを得た。このものの表層
厚みは30μｍであり、電子顕微鏡で観察したところ、ポ
リスチレンの球状粒子が充填されて成る多孔質構造が観
察された。

【００２２】上記のようにして得られた記録用シートの
表層に、インクジェットプリンター（三洋電機製、CJ-5
700A）で、イエロー，マゼンダ，シアン，ブラックのフ
ルベタカラーバーを印画し、基材側から観察したとこ
ろ、インクのにじみや流れ出しがなく、発色濃度が高
く、且つポリエステルフィルムの優れた光沢性を有する
鮮明な画像が観察された。また、ブラックのフルベタ部
分のＯＤ値を基材側から測定したところ、1.71と高い値
を示した。市販されている一般のインクジェット用紙に
同条件でプリントを行ない、ブラックのフルベタ部分の
ＯＤ値を測定したところ、前記値は1.48であった。ま
た、インク定着層側から蛍光灯により光を発して基材側
から観察したところ、適度の透過光と共に鮮やかな画像
が観察された。

【００２３】実施例２ポリビニルアルコールの６％水溶液120部に平均粒径８
μｍの球状ポリスチレンビーズ(SBX-8、架橋タイプ、架
橋度合50％、屈折率1.60、積水化成品工業製）45部を加
え、ポットミルで24時間分散し、増粘剤等を添加して塗
液とした。このものを透明下引層を設けた厚さ50μｍの
透明ポリプロピレンフィルムの表面に３milのアプリケ
ーターを用いて塗工し、90℃の定温乾燥器中で３分間乾
燥して記録用シートを得た。このものの表層厚みは32μ
ｍであり、電子顕微鏡で観察したところ、ポリスチレン
の球状粒子が充填されて成る多孔質構造が観察された。

【００２４】上記のようにして得られた記録用シートの
表層に、実施例１と同様、同条件でプリントし、基材側
から見たところ、上記実施例１と同様の鮮明な画像が観
察された。また、ブラックのフルベタ部分のＯＤ値を基
材側から測定したところ、1.70と高い値を示した。

【００２５】比較例１ポリビニルアルコールの６％水溶液120部に平均粒径８
μｍの球状ポリメタクリル酸メチル（MB-8、無架橋タイ
プ、屈折率1.49、積水化成品工業製）を50部加え、ポッ
トミルで24時間分散し、その他増粘剤等を実施例１と同
様に添加して塗液とした。そして、実施例１と同条件で
記録用シートを作製し、プリントを行ない、ブラックの
フルベタ部分のＯＤ値を基材側から測定したところ、1.
56であった。

【００２６】実施例３変性ポリエステル樹脂（NT-3、溶液、高松油脂社製）40
部に、平均粒径12μｍの球状ポリスチレンビーズ（SBX-
12、架橋タイプ、架橋度合50％、屈折率1.60、積水化成
品工業社製）５部、平均外径0.55μｍ、平均内径0.3μ
ｍのアクリル−スチレン共重合体の中空球体ビーズ（ロ
ーペイクOP-84J、エマルジョン、固形分42.5％、ROHM A
ND HAAS社製）10部を加え、ポットミルで24時間分散
し、増粘剤等を添加して塗液とした。このものを厚さ50
μｍの透明ポリプロピレンフィルムの表面に３milのア
プリケーターを用いて塗工し、90℃の定温乾燥機中で３
分間乾燥して、記録用シートを得た。このものの表層厚
みは29μｍであり、電子顕微鏡で観察したところ、ポリ
スチレンの球状粒子とアクリルースチレン共重合体の中
空体ビーズが充填されて成る多孔質構造が観察された。

【００２７】上記の記録用シートの表層に、実施例１と
同様、同条件でプリントし、基材側から見たところ、実
施例１と同様の鮮明な画像が観察された。また、上記記
録用シートの不透明度を測定したところ、86.7％という
値を示した。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献特開昭57−135190（ＪＰ，Ａ) 特開昭56−130391（ＪＰ，Ａ) 特開平１−302266（ＪＰ，Ａ) 特開平３−219992（ＪＰ，Ａ) 特開平４−41289（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 5/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】透明プラスチックフィルムから成る基材
上に、顔料をバインダーにより固定させたインク定着層
を設けて成り、インク定着層に形成された画像を基材側
から見るインクジェット記録用シートにおいて、インク
定着層の顔料がポリスチレン又はその共重合体の中空ビ
ーズであることを特徴とするインクジェット記録用シー
ト。
【請求項２】インク定着層が一層構造から成ることを
特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録用シー
ト。
【請求項３】透明プラスチックフィルムから成る基材
上に、顔料をバインダーにより固定させたインク定着層
を設けて成り、インク定着層に形成された画像を基材側
から見るインクジェット記録用シートにおいて、インク
定着層の顔料が粒子径４〜100μｍのポリスチレン又は
その共重合体の非中空ビーズであることを特徴とするイ
ンクジェット記録用シート。
【請求項４】インク定着層が一層構造から成ることを
特徴とする請求項３に記載のインクジェット記録用シー
ト。