JPH09194495A - グルコピラノース誘導体の塩 - Google Patents

グルコピラノース誘導体の塩

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JPH09194495A
JPH09194495A JP9047034A JP4703497A JPH09194495A JP H09194495 A JPH09194495 A JP H09194495A JP 9047034 A JP9047034 A JP 9047034A JP 4703497 A JP4703497 A JP 4703497A JP H09194495 A JPH09194495 A JP H09194495A
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信介 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 グルコピラノース誘導体の塩(I)及びその
塩の溶液。溶液に使用する溶媒は、精製水、エタノー
ル、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール
及びポリエチレングリコールからなるグループより選ば
れる単独溶媒または2種類以上の混合溶媒、あるいは精
製水または注射用蒸留水とポリソルベート80からなる
混合溶媒である。 【化1】 【効果】 上記塩(I)は医薬品としての充分な薬理活
性(リピッドA様作用)を有し、しかも投与する際に用
いる溶媒に対する溶解性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特開昭63-179885
号明細書に記載された発明の選択発明に関する。さらに
詳しくは、リピッドA様作用を有する式(I)
【0002】
【化4】
【0003】(式中、R2は式
【0004】
【化5】
【0005】を表わし、R3は式
【0006】
【化6】
【0007】を表わし、Y+はトリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアンモニウムイオンを表わす。)で示される
新規なグルコピラノース誘導体の塩に関する。
【0008】
【発明の背景】コレラ菌、サルモネラ菌、大腸菌等のグ
ラム陰性菌は、その細胞壁の最外層にリポポリサッカラ
イド(以下、LPSと略す。)と呼ばれる物質を有して
おり、これがエンドトキシンショックを引き起こすとさ
れている。
【0009】LPSは、いわゆるエンドトキシンの名称
の所以である致死毒性を有する他、多様な生物活性を示
すことが知られている。例えば、発熱作用、出血作用と
いった作用の他に、その宿主防禦機構である免疫を賦活
する作用(マクロファージ活性化作用、B細胞幼若化作
用、非特異的な抗体産生作用、細胞性免疫賦活作用等)
や、抗腫瘍作用(インターフェロン誘導作用、TNF
(Tumor necrosis factor)誘導作用等)を有してい
る。特に免疫賦活については、抗原に限定されない非特
異的免疫剤として有効であり、また抗腫瘍作用について
も、TNF誘導作用により特異的にガン細胞のみ出血壊
死させる特性を有しており、抗ガン剤として有望な物質
である。
【0010】また、インターロイキン−1産生活性また
はインターフェロン産生活性は、単に免疫賦活剤となる
だけでなく、ナチュラルキラー活性を亢進させることに
より抗腫瘍剤として有用である。このLPSの活性中心
はリビッドAと呼ばれる二糖アミンであることが知られ
ており、これらの誘導体についての特許出願も多く行な
われている。
【0011】
【従来の技術】上記目的を達成する化合物群として、一
般式(A)
【0012】
【化7】
【0013】(式中、Raは水素原子、水酸基または炭
素数1〜4のアルコキシ基を表わし、R1aは単結合また
は炭素数2〜20のオキシカルボニルアルキル基を表わ
し、R2aおよびR6aは、それぞれ独立して水素原子また
は一般式
【0014】
【化8】
【0015】(各式中、R10aは水素原子、炭素数1〜
7のアルキルまたはアルコキシ基、またはハロゲン原子
を表わし、mは1、2または3を表わす。)で示される
基を表わし、R3aは炭素数1〜20のアルキレン基を表
わし、R4aは水素原子または一般式
【0016】
【化9】
【0017】(各式中、R11aは水素原子、炭素数1〜
7のアルキルまたはアルコキシ基、またはハロゲン原子
を表わし、nは1、2または3を表わす。)で示される
基を表わし、R5aは炭素数2〜20のオキシカルボニル
アルキル基を表わし、R7aは水素原子または水酸基を表
わす。但し、R2a、R4a、R6aは同時に水素原子を表わ
さない。)で示される化合物およびその塩が提案されて
いる(特開昭63-179885号)。この明細書の中で、実施
例1(c)には、式(Aa)
【0018】
【化10】
【0019】(式中、R2は式
【0020】
【化11】 を表わし、R3は式
【0021】
【化12】 を表わす。)で示される2−デオキシ−2−[(3S)
−(9−フェニルノナノイルオキシ)テトラデカノイ
ル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナノイル)−4
−O−スルホ−D−グルコピラノースの具体的開示があ
る。
【0022】また、特開昭63-179885号明細書には、式
(Aa)で示される医薬品が下記の反応工程式1によっ
て製造されることが開示されている。
【0023】
【化13】
【0024】(工程式中、R1は式
【0025】
【化14】
【0026】で示される基を表わし、φはフェニル基を
表わし、TBDMSはt−ブチルジメチルシリル基を表
わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。) また、式1aで示される化合物は、式8a
【0027】
【化15】
【0028】で示される化合物(市販されている)か
ら、公知の方法により9工程で製造される(Agric. Bio
l. Chem., 48(1), 254, (1984)参照)。
【0029】
【従来技術の課題】式(Aa)で示されるグルコピラノ
ース誘導体は、医薬品として使用するに充分な薬理活性
を有するにもかかわらず、注射用溶媒に対する溶解性が
著しく悪いという欠点を有しており、そのため医薬品と
して開発を進めることが困難であった。さらに、反応工
程式1にも示されるように、従来の工程ではその原料
に糖としては一般的でないβ−D−グルコピラノシド
を用いているために、出発物質8aから原料1aを得る
までに9工程を要し、そのため製造コストもかかってい
た。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、式(A
a)で示されるグルコピラノース誘導体の溶解性の改善
と製造コストの軽減を目的とし、研究を続けた。その結
果、式(Aa)で示される化合物は、実はフリーの酸と
して得られておらず、金属の混合塩として得られていた
ことが判明した。その金属成分は、カルシウム、ナトリ
ウムおよびマグネシウムであり、最終生成物は式(A
a)で示される化合物ではなく、式(B)
【0031】
【化16】
【0032】(式中、Z+はカルシウムイオン、ナトリ
ウムイオンおよびマグネシウムイオンの混合物を表わ
し、他の記号は前記と同じ意味を表わす。)で示される
化合物であった。これらの金属は精製のためのシリカゲ
ル中の不純物に由来することが、後になって確かめられ
た。本発明者らは、溶媒に対する溶解性を向上させるた
め、種々の塩の合成を試みた。
【0033】その結果、式(Aa)で示される化合物の
塩のうち、そのトリス塩(トリス(ヒドロキシメチル)
メチルアミン塩)が式(B)で示される混合塩(特開昭
63-179885号記載の方法により製造したもの)や式(A
a)で示される化合物のカルシウム塩と比較し、著しく
投与用の溶媒に対する溶解性が向上することを見出し、
本発明を完成した。式(I)で示されるグルコピラノー
ス誘導体のトリス塩に関する具体的な合成例は、特開昭
63-179885号明細書には記載されておらず、今回初めて
合成された新規な物質である。さらにこのトリス塩が他
の塩に比べて著しく優れた溶解性を有していることは全
く予想されず、今回初めてわかったことである。
【0034】また、糖として一般的であるα−D−グル
コピラノシドを原料に用いて、工業的に有用な製造方法
について検討を重ねた結果、下記反応工程式2に示され
る工程により、工程が短縮され(反応工程式2の中の式
(VI)の化合物は反応工程式1の中の化合物6aに相当
するので1工程短縮されたことになる。)、コストが軽
減されることも見出された。
【0035】
【化17】
【0036】(反応工程式中、R4はt−ブチルジメチ
ルシリル基、トリメチルシリル基等、酸性条件下で脱離
する水酸基の保護基を表わし、他の記号は前記と同じ意
味を表わす。) 式(III)で示される反応工程式2の原料化合物は、式
(VII)
【0037】
【化18】
【0038】で示される化合物(市販されている)から
公知の方法により、3工程で製造することができるので
(Liebigs Ann. Chem., 37 (1986) 参照)、ここにおい
ても大幅に工程数を短縮することができ、コスト軽減に
つながる。ここで示される式(II)の中間体は、特開昭
63-179885号明細書にも開示がなく、全く新規な化合物
である。
【0039】
【発明の構成】本発明は、式(I)
【0040】
【化19】
【0041】(式中、R2は式
【0042】
【化20】
【0043】を表わし、R3は式
【0044】
【化21】
【0045】を表わし、Y+はトリス(ヒドロキシメチ
ル)メチルアンモニウムイオンを表わす。)で示される
新規なグルコピラノース誘導体の塩に関する。また、本
発明は、上記式(I)で示されるグルコピラノース誘導
体の塩を、溶媒として精製水、エタノール、注射用蒸留
水、生理食塩水、プロピレングリコールおよびポリエチ
レングリコールからなるグループより選ばれる単独溶媒
または2種類以上の混合溶媒、あるいは精製水または注
射用蒸留水とポリソルベート80からなる混合溶媒、好
ましくは精製水または注射用蒸留水、およびエタノール
からなる混合溶媒に溶解させた溶液に関する。式中、波
線は、α−配置、β−配置またはこれらの混合物を表わ
す。
【0046】
【本発明化合物の製造方法】式(I)で示される本発明
化合物は、例えば以下の方法により製造することができ
る。 1)化合物(VI)を(i)硫酸化反応に付し、(ii)所望に
より塩交換を行ない、(iii)水酸基の保護基を除去し、
(iv)塩交換反応を行なう方法、 2)精製された混合塩である式(B)の化合物をイオン
交換樹脂を用いて塩交換を行なう方法、または 3)精製された混合塩である式(B)の化合物を一度す
べてカルシウム塩に変換した後、イオン交換樹脂により
塩交換を行なう方法。
【0047】1)の方法は、例えば以下の反応工程式3
に従って行なわれる。
【0048】
【化22】
【0049】(反応工程式中、X+は、ピリジウムイオ
ン、トリエチルアンモニウムイオン、ジメチルアニリウ
ムイオンまたはジメチルアミノピリジリニウムイオンを
表わし、その他の記号は前記と同じ意味を表わす。)
【0050】各反応を簡単に説明すると、工程(i)は硫
酸化反応であり、例えば、不活性有機溶媒[ハロゲン化
炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、
1,1,2,2−テトラクロロエチレン、パークロロエ
チレン、クロロベンゼン等)、エーテル系(テトラヒド
ロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジメトキ
シエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ビフェニルエーテル、メチルエチルエーテル等)、
ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミ
ン系(トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン
等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン、フェ
ニルメチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル
等)、アミド系(ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン等)、酢酸
エチルまたはそれらの2以上の混合溶媒等]中、または
溶媒を用いないで、三級アミン(ピリジン、トリエチル
アミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン
等)の存在下、三酸化イオウ−ピリジン錯体、三酸化イ
オウ−トリメチルアミン錯体等の硫酸化剤を用いて、0
〜70℃の温度で行なわれる。
【0051】工程(ii)および(iv)は、塩交換の反応であ
り、例えば、不活性な有機溶媒[ハロゲン化炭化水素系
(前記と同じ)、炭化水素系(ペンタン、ヘキサン、イ
ソオクタン、シクロヘキサン等)、ベンゼン系(前記と
同じ)、エーテル系(前記と同じ)、アルコール系(メ
タノール、エタノール、イソプロパノール等)、ケトン
系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、酢酸エ
チルまたはこれらの2以上の混合溶媒等]中に溶かした
化合物を、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンを
含む水溶液で処理することにより行なわれる。あるいは
後述するイオン交換樹脂を用いてもよい。
【0052】工程(iii)は、水酸基の保護基を除去する
反応であり、例えば、水と混和しうる有機溶媒[エーテ
ル系(前記と同じ)、アルコール系(前記と同じ)、ケ
トン系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、ス
ルホキシド系(ジメチルスルホキシド等)、アミド系
(前記と同じ)またはこれらの2以上の混合溶媒等]
中、水の存在下、有機酸(酢酸、p−トルエンスルホン
酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸等)または無機酸(塩
酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等)またはこれらの混合
物を用いて、0〜90℃の温度で行なわれる。
【0053】得られた化合物(I)は、所望により精製
の工程を含めてもよく、例えば再結晶または逆相カラム
クロマトグラフィ、イオン交換樹脂等による方法が用い
られる。式(VI)で示される化合物は、特開昭63-17988
5号明細書中に記載された方法、または前記の反応工程
式2に記載の方法により製造することができる。
【0054】2)式(B)で示される混合塩(カルシウ
ム、ナトリウム、マグネシウムの混合塩)をイオン交換
樹脂で塩交換する方法は、例えば、中性の陽イオン交換
樹脂(−SO3Na型等)または酸性の陽イオン交換樹
脂(−SO3H型等)を、相当するイオンを含む水溶液
(トリス水溶液)で処理したものを用いて、式(B)で
示される混合塩(特開昭63-179885号明細書記載の方法
で得られるか、または化合物(VI)を(i)硫酸化→(ii)
塩交換→(iii)通常のシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーによる精製によっても得られる)を処理することに
より行なわれる。
【0055】3)式(B)で示される混合塩(カルシウ
ム、ナトリウム、マグネシウムの混合塩)を一度カルシ
ウム塩に変換し、陽イオン交換樹脂で塩交換をする方法
は、例えば、シリカゲルをカルシウム含有水溶液(塩化
カルシウム水溶液等)で処理し、これを用いて式(B)
で示される混合塩(特開昭63-179885号明細書記載の方
法で得られるか、または化合物(VI)を(i)硫酸化→(i
i)塩交換→(iii)通常のシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーによる精製によっても得られる)を処理し、カル
シウム塩として得た後、2)に記載の陽イオン交換樹脂
を用いて処理することにより行なわれる。これらの操作
の後、さらに再結晶法、逆相カラムクロマトグラフィ等
の精製を組合せてもよい。
【0056】次に反応工程式2の各反応を説明すると、
工程(d)は水酸基への保護基(t−ブチルジメチルシ
リル基)の導入反応であり、例えば不活性有機溶媒[ハ
ロゲン化炭化水素系(前記と同じ)、エーテル系(前記
と同じ)、炭化水素系(前記と同じ)、アミン系(前記
と同じ)、スルホキシド系(前記と同じ)、ケトン系
(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、アミド系
(ヘキサメチルホスフォルアミド等)、酢酸エチルまた
はそれらの2以上の混合溶媒等]中、塩基(ピリジン、
トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノ
ピリジン等)の存在下、t−ブチルジメチルシリルハラ
イドを用いて、−10〜60℃で行なわれる。
【0057】工程(c)の水素添加反応は公知であり、
例えば不活性溶媒[エーテル系(前記と同じ)、アルコ
ール系(前記と同じ)、ベンゼン系(前記と同じ)、ケ
トン系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、ア
ミド系(前記と同じ)、水、酢酸エチル、酢酸、または
それらの2以上の混合溶媒等]中、水素化触媒(パラジ
ウム−炭素、パラジウム黒、パラジウム、水酸化パラジ
ウム、二酸化白金、ニッケル、ラネ−ニッケル等)の存
在下、無機酸(塩酸、硫酸、次亜塩素酸、ホウ酸、テト
ラフルオロホウ酸等)または有機酸(酢酸、p−トルエ
ンスルホン酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸等)
の存在下または非存在下、常圧または加圧下の水素雰囲
気下、0〜200℃の温度で行なわれる。酸を用いる場
合は、その塩を同時に用いてもよい。
【0058】工程(b)のO−アシル化反応は公知であ
り、例えば、(1) 酸ハライドを用いる方法、(2) 混合酸
無水物を用いる方法、(3) ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(DCC)、向山試薬等の縮合剤を用いる方法等が
挙げられる。
【0059】これらの方法を具体的に説明すると、(1)
酸ハライドを用いる方法は、式 HOOC−C8 16−φ で示されるカルボン酸を不活性有機溶媒[ハロゲン化炭
化水素系(前記と同じ)、エーテル系(前記と同じ)、
ベンゼン系(前記と同じ)、アミン系(前記と同じ)、
ケトン系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、
アミド系(前記と同じ)、酢酸エチルまたはそれらの2
以上の混合溶媒等]中、ハロゲン化剤(オキサリルクロ
ライド、チオニルクロライド等)と−20℃〜還流温度
で反応させ、得られた酸ハライドを三級アミン(ピリジ
ン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルア
ミノピリジン等)の存在下、式(IV)で示される化合物
と不活性有機溶媒[ハロゲン化炭化水素系(前記と同
じ)、エーテル系(前記と同じ)、アミン系(前記と同
じ)、ケトン系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同
じ)、アミド系(前記と同じ)またはそれらの2以上の
混合溶媒等]中、0〜40℃で反応させることにより行
なわれる。
【0060】(2) 混合酸無水物を用いる方法は、例え
ば、式 HOOC−C8 16−φ で示されるカルボン酸を不活性有機溶媒[ハロゲン化炭
化水素系(前記と同じ)、エーテル系(前記と同じ)、
ベンゼン系(前記と同じ)、アミン系(前記と同じ)、
ケトン系(前記と同じ)、ニトリル系(前記と同じ)、
アミド系(前記と同じ)、酢酸エチルまたはそれらの2
以上の混合溶媒等]中、三級アミン(前記と同じ)の存
在下、酸ハライド(ピバロイルクロライド、トシルクロ
ライド、メシルクロライド等)または酸誘導体(クロロ
ギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と0〜40℃で
反応させ、これにさらに式(IV)で示される化合物を加え
て同温度で反応させることにより行なわれる。
【0061】(3) DCC、向山試薬等の縮合剤を用いる
方法は、例えば、式 HOOC−C8 16−φ で示されるカルボン酸と式(IV)で示される化合物を不活
性有機溶媒[ハロゲン化炭化水素系(前記と同じ)、エ
ーテル系(前記と同じ)、ベンゼン系(前記と同じ)、
アミン系(前記と同じ)、ケトン系(前記と同じ)、ニ
トリル系(前記と同じ)、アミド系(前記と同じ)、酢
酸エチル、またはそれらの2以上の混合溶媒等]中、三
級アミン(前記と同じ)の存在下または非存在下、縮合
剤[DCC、向山試薬(ヨウ化 2−クロロ−1−メチ
ルピリジニウム、ヨウ化 2−ヨード−1−メチルピリ
ジニウム等)、N,N,N′,N′−テトラメチルクロ
ロホルムアミジニウムクロライド、1,3−ジメチル−
2−クロロイミダゾリニウムクロライド等)]を用い
て、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
【0062】工程(a)のN−アシル化反応は公知であ
り、例えば、(1) 混合酸無水物を用いる方法、(2) DC
C、向山試薬等の縮合剤を用いる方法等が挙げられる。
これらの方法は、前記のO−アシル化反応に記載された
方法と同様の操作により行なわれる。また、各反応は必
要により不活性ガス(アルゴン、窒素等)雰囲気下で行
なわれる。
【0063】各反応の生成物は、工程ごとに単離、洗
浄、乾燥、精製を行ない次の反応に供してもよいし、ま
たそれらの操作をまったく行なわないか、あるいは適当
な段階で中止し、次の工程に進んでもよい。各反応にお
ける反応生成物は、通常の精製手段、例えば常圧下また
は減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネ
シウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロ
マトグラフィー、カラムクロマトグラフィーおよびイオ
ン交換樹脂、逆相クロマトグラフィー、洗浄、再結晶等
の方法により精製することができる。
【0064】
【発明の効果】本発明における式(I)で示されるグル
コピラノース誘導体の塩は、式(B)で示される混合塩
と同等の薬理活性を示し、しかも医薬品として投与する
際に用いる溶媒、具体的には、精製水、エタノール、注
射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコールおよび
ポリエチレングリコールからなるグループより選ばれる
単独溶媒または2種類以上の混合溶媒、あるいは精製水
または注射用蒸留水とポリソルベート80からなる混合
溶媒に対する溶解性が著しく向上する。一例として、表
1に実際の投与時の溶解剤になると考えられる水−エタ
ノール(1:1)の混合溶媒に対する溶解度を示す。
【0065】
【表1】 表1:溶解性(25℃) 化合物 溶解度(mg/ml) 本発明トリス塩(実施例1) >270 混合塩(式(B)) 1.5 (特開昭63-179885号実施例1(c))
【0066】表1に示されるように、本発明化合物は式
(B)で示される混合塩に対し、180倍以上溶解度が
向上している。また、医薬品として有用な式(I)で示
される化合物を製造するにあたり、式(II)で示される化
合物を中間体として用いる製造方法は、従来法に比べて
以下の点ですぐれた工業的製造方法である。
【0067】i) 原料に式(III)で示されるα−グ
ルコピラノシドを用いることができ、全体の工程数を大
巾に減少させることができる。 ii) 式(III)および式(IV)で示される化合物は、
再結晶により精製が可能であり、工業的に不利なカラム
クロマトグラフィーによる精製工程を減らすことができ
る。 iii) 式(V)で示される化合物から式(II)で示され
る化合物に至る工程で保護基であるベンジリデン基とベ
ンジル基を一度に除去できるため、従来の工程を1工程
減少させることができる。
【0068】
【医薬品への適用】一般式(I)で示される本発明化合
物を免疫欠陥または腫瘍の治療に用いるには、通常、全
身的または局所的に、経口または非経口の形で投与され
る。投与量は、年令、体重、症状、治療効果、投与方
法、処理時間等により異なる。通常、成人一人あたり、
一回につき、5mgから5,000mgの範囲で、一日一回
から数回経口投与されるか、または成人一人あたり、一
回につき500μgから500mgの範囲で、一日一回
から数回非経口投与(好ましくはi.v.)される。
【0069】もちろん前記したように、投与量は種々の
条件により変動するので、上記投与量よりも少ない量で
十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場
合もある。経口投与のための固体組成物には、錠剤、丸
剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。
【0070】このような固体組成物においては、ひとつ
またはそれ以上の活性物質が、少なくともひとつの不活
性な希釈剤、例えばラクトース、マンニトール、グルコ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロー
ス、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アル
ミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従
って、不活性な希釈剤以外の添加物、例えばステアリン
酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グルコール酸カ
ルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化
剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補
助剤を含有していてもよい。錠剤または丸剤は必要によ
り白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの胃
溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい
し、また2以上の層で被膜してもよい。さらにゼラチン
のような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
【0071】経口投与のための液体組成物は、薬剤的に
許容される溶液剤、乳濁剤、シロップ剤、エリキシル剤
等を含み,一般的に用いられる不活性な希釈剤(精製
水、エタノール)を含んでいてもよい。この組成物は不
活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘
味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
経口投与のためのその他の組成物としては、ひとつまた
はそれ以上の活性物質を含み、それ自体公知の方法によ
り処方されるスプレー剤が含まれる。
【0072】本発明による非経口投与のために注射剤と
しては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳
濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例え
ば、注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶
性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、オリーブ油、エタノ
ール、ポリソルベート80等がある。このような組成物
は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤
(例えば、ラクトース)、溶解補助剤(例えば、アルギ
ニン、グルタミン酸、アスパラギン酸のようなアミノ
酸)のような補助剤を含んでいてもよい。これらは、例
えばバクテリア保留フィルターを通すろ過、殺菌剤の配
合または照射によって無菌化される。これらはまた無菌
の固体組成物を製造し、例えば凍結乾燥品の使用前に無
菌化水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用すること
もできる。
【0073】非経口投与のためのその他の組成物として
は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法によ
り処方される外用溶液、軟膏、塗布剤、坐剤、およびペ
ッサリー等が含まれる。
【0074】
【実施例】以下、参考例および実施例により本発明を詳
述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
クロマトグラフィーによる分離の箇所に示されているカ
ッコ内の溶媒は使用した溶出溶媒または展開溶媒を示
し、割合は体積比を表わす。特別な記載がない場合は、
NMRは重クロロホルム(CDCl3)溶液中で測定し
ている。また、化学式中の記号は前記と同じ意味を表わ
す。
【0075】参考例1 ベンジル 2−((3S)−ヒドロキシテトラデカノイ
ル)アミノ−4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ
−α−D−グルコピラノシドの合成
【0076】
【化23】
【0077】アルゴン雰囲気下、(3S)−ヒドロキシ
ミリスチン酸(50g)をテトラヒドロフラン(TH
F)(500ml)に溶解した。これにトリエチルアミ
ン(29.3ml)を加え、温度を10℃以下に保ちなが
ら、ピバロイルクロライド(19.5ml)を徐々に加え
た。同温度で30分間撹拌し、ベンジル 2−アミノ−
4,6−O−ベンジリデン−2−デオキシ−α−D−グ
ルコピラノシド(50g)をTHF(500ml)およ
びヘキサメチルホスホルアミド(40ml)の混合液に
溶解したものを、温度を20℃以下に保ちながら一度に
加えた。反応液を室温で4時間撹拌し、生成した固形物
をろ過により除去した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残
留物をアセトニトリル(800ml)に溶解し、再結晶
により精製し、下記物性値を有する標題化合物(78.1
g)を得た。収率95%。
【0078】融点:168〜169℃; TLC:Rf 0.5(塩化メチレン:メタノール=10:
1); NMR:δ 7.25(m,2H), 7.20(m,8H), 6.20(d,1H), 5.
3(s,1H), 4.95(d,1H),4.75(d,1H), 4.5(d,1H), 4.15(m,
2H), 3.75(m,5H), 3.2(br,1H), 3.1(br,1H),2.3(m,2H),
0.9(t,3H)。
【0079】参考例2 ベンジル 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイル
オキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フ
ェニルノナノイル)−4,6−O−ベンジリデン−2−
デオキシ−α−D−グルコピラノシドの合成
【0080】
【化24】
【0081】アルゴン雰囲気下、参考例1で製造した化
合物(78.1g)および9−フェニルノナン酸(68.5g)
を塩化メチレン(700ml)に溶解した。この溶液に
ヨウ化 2−クロロ−1−メチルピリジニウム(85.0
g)、ジメチルアミノピリジン(16.2g)およびトリエ
チルアミン(83.3ml)を10℃で順次加えた後、室温
で一夜撹拌した。反応終了後、メタノール(3ml)を
加えて、20分間撹拌し、その後、減圧濃縮した。残留
物を酢酸エチル(500ml)に溶解し、水洗し、硫酸
マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残留物をイソプ
ロパノール(700ml)に溶解し、再結晶により精製
し、下記の物性値を有する標題化合物(72.5g)を得
た。収率55%。
【0082】融点:74〜75℃; TLC:Rf 0.59 (ヘキサン:酢酸エチル=3:
1); NMR:δ 7.4〜7.0(m,20H), 6.1(d,1H), 5.5(s,1H),
5.35(t,1H), 5.15(br,1H), 4.95(d,1H), 4.75(d,1H),
4.5(d,1H), 4.3(m,2H), 3.8(m,3H), 2.6(m,4H), 2.3(m,
6H), 0.9(t,3H)。
【0083】参考例2(a) ベンジル 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイル
オキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フ
ェニルノナノイル)−4,6−O−ベンジリデン−2−
デオキシ−α−D−グルコピラノシドの合成
【0084】
【化25】
【0085】アルゴン雰囲気下、N,N,N′,N′−
テトラメチル尿素(1394mg)の塩化メチレン(4m
l)溶液にオキサリルクロライド(0.52ml)を加え、
65℃で2時間撹拌した後、室温に戻した。この溶液に
9−フェニルノナン酸(515mg)を加え、さらにピ
リジン(1.6ml)、アセトニトリル(20ml)およ
び参考例1で製造した化合物(583mg)を加えた。
反応液を室温で一夜撹拌した。反応終了後、反応液を減
圧濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、水、炭酸水素
ナトリウム水溶液で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾
燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=1:2)で精
製し、下記の物性値を有する標題化合物(660mg)
を得た。収率65.0%。 TLC:Rf 0.78 (塩化メチレン:エタノール=5
0:1)。
【0086】参考例2(b) ベンジル 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイル
オキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フ
ェニルノナノイル)−4,6−O−ベンジリデン−2−
デオキシ−α−D−グルコピラノシドの合成
【0087】
【化26】
【0088】アルゴン雰囲気下、参考例1で製造した化
合物(1.89g)、9−フェニルノナン酸(1.60g)およ
び1,3−ジメチル−2−クロロイミダゾリニウムクロ
ライド(1.65g)を塩化メチレン(15ml)に溶解し
た。この溶液に室温でピリジン(1.54ml)を5分かけ
て滴下した。反応液を一夜室温で撹拌した。反応終了
後、ヘキサンを加えて、炭酸水素ナトリウム水溶液、水
および硫酸銅水溶液で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥し、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(塩化メチレン:酢酸エチル=20:
1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(2.72
g)を得た。収率82.4%。 TLC:Rf 0.84 (塩化メチレン:エタノール=5
0:1)。
【0089】参考例3 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイルオキシ)テ
トラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナ
ノイル)−2−デオキシ−D−グルコピラノシドの合成
【0090】
【化27】
【0091】参考例2、2(a)または2(b)で製造
した化合物(20.3g)、テトラフルオロホウ酸ナトリウ
ム(9.88g)、テトラフルオロホウ酸水溶液(42%,
2.8ml)、パラジウム−炭素(6g)およびジメトキ
シエタン(100ml)の混合物を水素気流中、常圧常
温で15時間反応させた。反応終了後、ろ過により触媒
を除去した。触媒を酢酸エチルで洗浄し、ろ液と合わ
せ、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.75M,50ml)を
徐々に加えた。混合液に酢酸エチル(100ml)を加
え、分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減
圧濃縮し、標題化合物の粗生成物(1.61g)を得た。
【0092】参考例3(a) 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイルオキシ)テ
トラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナ
ノイル)−2−デオキシ−D−グルコピラノシドの合成
【0093】
【化28】
【0094】参考例2で製造した化合物(623.7g)を
ジオキサン(1.8リットル)に溶解し、テトラフルオロ
ホウ酸ナトリウム(301.4g)、テトラフルオロホウ酸
水溶液(42%,87ml)およびパラジウム−炭素
(187g)を加えた。混合物を水素気流中で常圧、常
温下、一夜反応させた。反応後、炭酸水素ナトリウム水
溶液(2M,600ml)を加え、撹拌した。反応液を
セライト上でろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残留物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メ
タノール=30:1)で精製し、下記の物性値を有する
標題化合物(349g)を得た。収率66.5%。
【0095】TLC:Rf 0.28 (塩化メチレン:エタ
ノール=20:1); NMR(CDCl3+CD3OD):δ 7.25〜7.0(m,10
H), 6.5(d,1H), 5.1(m,3H), 4.0 〜3.3(m,7H), 2.5(t,4
H), 2.3(m,6H), 0.8(t,3H)。
【0096】参考例4 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイルオキシ)テ
トラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナ
ノイル)−6−O−t−ブチルジメチルシリル−2−デ
オキシ−D−グルコピラノースの合成
【0097】
【化29】
【0098】アルゴン雰囲気下、参考例3または3
(a)で製造した化合物(274.2g)をピリジン(1.6リ
ットル)に溶解した。反応溶液にt−ブチルジメチルシ
リルクロライド(59.1g)およびジメチルアミノピリジ
ン(16g)を加え、室温で3時間反応させた。反応終
了後メタノール(40ml)を加え、減圧濃縮した。残
留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホ
ルム:メタノール=50:1)で精製し、下記の物性値
を有する標題化合物(307g)を得た。収率98.5%。
【0099】TLC:Rf 0.51 (塩化メチレン:エタ
ノール=20:1); NMR:δ 7.25〜7.0(m,10H), 6.1(d,1H), 5.1(m,3
H), 2.6(t,4H), 2.3(m,6H), 0.9(m,12H), 0.1(s,6H)。
【0100】参考例5 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイルオキシ)テ
トラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナ
ノイル)−4−O−スルホ−6−O−t−ブチルジメチ
ルシリル−2−デオキシ−D−グルコピラノース ナト
リウム塩の合成
【0101】
【化30】
【0102】アルゴン雰囲気下、参考例4で製造した化
合物(265.2g)をピリジン(1.4リットル)に溶解し
た。この溶液に、室温で三酸化イオウ−ピリジン錯体
(75.3g)を加え、1時間撹拌した。反応終了後、エタ
ノール(150ml)を加え、30分間撹拌した。反応
溶液を減圧濃縮し、得られた残留物を酢酸エチル(3リ
ットル)に溶解した。溶液を5%酢酸ナトリウム水溶液
で塩交換し、減圧濃縮し、下記物性値を有する標題化合
物を得た。 TLC:Rf 0.05 (塩化メチレン:エタノール=2
0:1)。
【0103】参考例5(a) 2−[(3S)−(9−フェニルノナノイルオキシ)テ
トラデカノイル]アミノ−3−O−(9−フェニルノナ
ノイル)−4−O−スルホ−6−O−t−ブチルジメチ
ルシリル−2−デオキシ−D−グルコピラノース ナト
リウム塩の合成
【0104】
【化31】
【0105】アルゴン雰囲気下、参考例4で製造した化
合物(500mg)をピリジン(6ml)に溶解した。
この溶液に、三酸化イオウ−トリメチルアミン錯体(3
30mg)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応終了
後、反応液にエタノール(0.4ml)を加え、10分間
撹拌した。反応終了後、溶液を減圧濃縮し、残留物を酢
酸エチルに溶解し、酢酸ナトリウム水溶液で2回塩交換
した。有機層を減圧濃縮し、下記の物性値を有する標題
化合物(粗生成物,184mg)を得た。 TLC:Rf 0.08 (塩化メチレン:エタノール=2
0:1)。
【0106】参考例6 2−デオキシ−2−[(3S)−(9−フェニルノナノ
イルオキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9
−フェニルノナノイル)−4−O−スルホ−D−グルコ
ピラノースのカルシウム・ナトリウム・マグネシウムの
混合塩の合成
【0107】
【化32】
【0108】参考例5で製造した化合物(1042g)をエ
タノール(3リットル)に溶解し、酢酸(3リットル)
および水(1リットル)を加え、室温で18時間撹拌し
た。反応終了後、反応液を減圧濃縮した。この溶液に飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中性とした後、ク
ロロホルム−メタノール(1:1)(14リットル)で
抽出した。抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1回
目 酢酸エチル:メタノール:水=100:10:1、
2回目 クロロホルム:メタノール:水=100:1
0:0.5 →100:20:1)で精製し、下記の物性値
を有する標題混合塩(568g)を得た。 TLC:Rf 0.21 (酢酸エチル:メタノール:水=1
00:10:1)。
【0109】参考例7 2−デオキシ−2−[(3S)−(9−フェニルノナノ
イルオキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9
−フェニルノナノイル)−4−O−スルホ−D−グルコ
ピラノース カルシウム塩の合成
【0110】
【化33】
【0111】シリカゲル(2kg)を15%塩化カルシ
ウム水溶液(10リットル)と室温で3時間半撹拌し、
水洗した。このゲルを10%塩化カルシウム水溶液(1
5リットル)と室温で一夜撹拌し、水洗した。このゲル
をさらに10%塩化カルシウム水溶液(15リットル)
と室温で8時間撹拌した後水洗した。このゲルをカラム
に充填し、10%塩化カルシウム水溶液(15リット
ル)を流し、水、エタノール、ヘキサンで順次洗浄し
た。ゲルを遠心分離し、1日風乾し、105℃で42時
間乾燥後、五酸化リン上で4時間乾燥した。
【0112】参考例6で製造した混合塩(0.7g)を上
記のゲル(140ml)を充填したカラム上に置き、ク
ロロホルム−メタノールの混合液(30:1→20:1
→10:1)を流した。溶出液を濃縮し、得られた残留
物をエタノール−水(4ml:30ml)の混合液に懸
濁し、凍結乾燥し、さらに五酸化リン上で乾燥し、標題
化合物(0.58g)を得た。
【0113】実施例1 2−デオキシ−2−[(3S)−(9−フェニルノナノ
イルオキシ)テトラデカノイル]アミノ−3−O−(9
−フェニルノナノイル)−4−O−スルホ−D−グルコ
ピラノース トリス(ヒドロキシメチル)メチルアンモ
ニウム塩の合成
【0114】
【化34】
【0115】陽イオン交換樹脂(−SO3H型)100
mlを水およびエタノールで洗浄し、10%トリス(ヒ
ドロキシメチル)アミノメタン水溶液(500ml)を
流した。中性になるまで水で洗浄し、メタノールで置換
した。参考例7で製造したカルシウム塩(1.1g)をカ
ラム上に置き、メタノールで溶出した。溶出液を減圧濃
縮し、残留物を再度上記操作を行ない、得られた残留物
をエタノール(4ml)に溶解し、水(20ml)を加
えた後、凍結乾燥し、下記物性値を有する標題化合物
(1.11g)を得た。
【0116】FAB−Mass:1160(M+Tris
H)+; IR(KBr):ν 3361, 2927, 2854, 1734, 1656,
1542, 1497, 1467, 1256, 1126, 1054, 995, 821, 748,
698, 602cm-1; NMR(CDCl3 +CD3 OD溶液):δ 7.35-7.1
(m,10H), 5.3(dd,1H),5.1(m,2H), 4.4(t,1H), 4.1(dd,1
H), 3.7(s,6H), 2.6(t,4H), 2.35(m,6H), 0.9(t,3H)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R2は式 【化2】 で示される基を表わし、R3は式 【化3】 で示される基を表わし、Y+はトリス(ヒドロキシメチ
    ル)メチルアンモニウムイオンを表わす。)で示される
    グルコピラノース誘導体の塩。
  2. 【請求項2】 溶媒が、精製水、エタノール、注射用蒸
    留水、生理食塩水、プロピレングリコールおよびポリエ
    チレングリコールからなるグループより選ばれる単独溶
    媒または2種類以上の混合溶媒、あるいは精製水または
    注射用蒸留水とポリソルベート80からなる混合溶媒で
    ある、請求項1に記載のグルコピラノース誘導体の塩の
    溶液。
  3. 【請求項3】 溶媒が、精製水または注射用蒸留水、お
    よびエタノールからなる混合溶媒である請求項2に記載
    の溶液。
  4. 【請求項4】 溶媒が、精製水または注射用蒸留水、お
    よびエタノール(1:1)からなる混合溶媒であり、グ
    ルコピラノース誘導体の塩の溶液の濃度が270mg/
    ml以下であることを特徴とする請求項2または3に記
    載の溶液。
  5. 【請求項5】 溶媒が、精製水または注射用蒸留水、お
    よびエタノール(1:1)からなる混合溶媒であり、グ
    ルコピラノース誘導体の塩の溶液の濃度が1.5mg/m
    lを超え、270mg/ml以下であることを特徴とす
    る請求項2、3または4に記載の溶液。
JP9047034A 1992-01-31 1997-02-14 グルコピラノース誘導体の塩 Expired - Fee Related JP2906228B2 (ja)

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