JPH09171908A - 半導体磁器組成物とその製造方法 - Google Patents
半導体磁器組成物とその製造方法Info
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- JPH09171908A JPH09171908A JP7330253A JP33025395A JPH09171908A JP H09171908 A JPH09171908 A JP H09171908A JP 7330253 A JP7330253 A JP 7330253A JP 33025395 A JP33025395 A JP 33025395A JP H09171908 A JPH09171908 A JP H09171908A
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- mol
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来においては、急峻ノイズ等の繰り返しに
も変質が生じない、安定な絶縁層が形成された半導体磁
器組成物で、電気的特性の優れたものを得ることができ
なかった。 【解決手段】 (Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti
1-Z αZ )b O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及び
Vから選ばれた元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<
X≦0.25、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦
0.010の範囲内の値で、かつa及びbは、0.99
0≦a/b<1.000の関係を満たす値)で示される
組成を有し、結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnと
のうち少なくとも1種、及びBとBiとのうち少なくと
も1種、及びNa、O、Tiが偏析している半導体磁器
組成物を使用してバリスタ素子を製造する。
も変質が生じない、安定な絶縁層が形成された半導体磁
器組成物で、電気的特性の優れたものを得ることができ
なかった。 【解決手段】 (Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti
1-Z αZ )b O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及び
Vから選ばれた元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<
X≦0.25、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦
0.010の範囲内の値で、かつa及びbは、0.99
0≦a/b<1.000の関係を満たす値)で示される
組成を有し、結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnと
のうち少なくとも1種、及びBとBiとのうち少なくと
も1種、及びNa、O、Tiが偏析している半導体磁器
組成物を使用してバリスタ素子を製造する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体磁器組成物と
その製造方法に関し、より詳細には各種通信機器や事務
・音響機器等に搭載される電気・電子回路等において、
ノイズ吸収部品として利用される電流電圧非直線性粒界
絶縁型の半導体磁器素子を構成する半導体磁器組成物と
その製造方法に関する。
その製造方法に関し、より詳細には各種通信機器や事務
・音響機器等に搭載される電気・電子回路等において、
ノイズ吸収部品として利用される電流電圧非直線性粒界
絶縁型の半導体磁器素子を構成する半導体磁器組成物と
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粒界絶縁型半導体磁器は半導体化した磁
器焼結体(セラミックス)の結晶粒界に比較的低融点の
金属酸化物などが熱拡散し、前記結晶粒界に酸化物絶縁
層が形成されたものであり、この粒界部絶縁化により得
られる粒界絶縁型半導体磁器は容量素子として用いられ
る。また前記半導体磁器の粒界絶縁層は、一般に数nm
と薄いことから、粒界絶縁型半導体磁器からなる容量素
子は、他の材料の磁器からなる容量素子と比較した場
合、より小型で大きな静電容量(C)が得られるという
利点を有する。
器焼結体(セラミックス)の結晶粒界に比較的低融点の
金属酸化物などが熱拡散し、前記結晶粒界に酸化物絶縁
層が形成されたものであり、この粒界部絶縁化により得
られる粒界絶縁型半導体磁器は容量素子として用いられ
る。また前記半導体磁器の粒界絶縁層は、一般に数nm
と薄いことから、粒界絶縁型半導体磁器からなる容量素
子は、他の材料の磁器からなる容量素子と比較した場
合、より小型で大きな静電容量(C)が得られるという
利点を有する。
【0003】特に、チタン酸ストロンチウム(SrTi
O3 )を主成分とした半導体磁器素子は、前記金属酸化
物等の熱拡散による粒界絶縁型構造をとり易いこと、電
気的特性が温度や周波数に対して安定していること、誘
電損失(DF)が小さいこと等の種々の利点を有し、近
年の電子機器・回路等の高周波化や各種の用途環境に対
する高信頼化の要求にも対応し易い。このため、セラミ
ックス電子部品メーカー各社ともチタン酸ストロンチウ
ムを主成分とした容量素子の高機能化、高付加価値化を
図るべく研究開発を進めている。
O3 )を主成分とした半導体磁器素子は、前記金属酸化
物等の熱拡散による粒界絶縁型構造をとり易いこと、電
気的特性が温度や周波数に対して安定していること、誘
電損失(DF)が小さいこと等の種々の利点を有し、近
年の電子機器・回路等の高周波化や各種の用途環境に対
する高信頼化の要求にも対応し易い。このため、セラミ
ックス電子部品メーカー各社ともチタン酸ストロンチウ
ムを主成分とした容量素子の高機能化、高付加価値化を
図るべく研究開発を進めている。
【0004】このような研究開発の成果を示す公知例と
して、例えばチタン酸ストロンチウムを主成分とした半
導体磁器の結晶粒界にBi、Pb、B、Cu、Al等の
金属酸化物を熱拡散させて高い誘電率を有する粒界絶縁
型半導体磁器を製造した例(特公昭62−42368号
公報)、チタン酸カルシウムをチタン酸ストロンチウム
と固溶させた半導体磁器の結晶粒界にアルカリ金属を熱
拡散させ、バリスタ機能を付与した粒界絶縁型半導体磁
器を製造した例(特開昭58−91602号公報)等が
挙げられる。
して、例えばチタン酸ストロンチウムを主成分とした半
導体磁器の結晶粒界にBi、Pb、B、Cu、Al等の
金属酸化物を熱拡散させて高い誘電率を有する粒界絶縁
型半導体磁器を製造した例(特公昭62−42368号
公報)、チタン酸カルシウムをチタン酸ストロンチウム
と固溶させた半導体磁器の結晶粒界にアルカリ金属を熱
拡散させ、バリスタ機能を付与した粒界絶縁型半導体磁
器を製造した例(特開昭58−91602号公報)等が
挙げられる。
【0005】最近では、チタン酸ストロンチウムを主成
分とし、バリスタ機能を有する粒界絶縁型半導体磁器
は、これまでの主な用途先であった低周波アナログ回路
以外に、電源用ノイズフィルタ、半導体デバイスのノイ
ズ吸収素子等にもその用途が広がっている。このような
用途の代表例として容量性バリスタが挙げられる。この
容量性バリスタは複合機能素子であり、通常はコンデン
サとして機能するが、数kVに及ぶ外来サージや急峻ス
イッチングノイズが回路内に発生した際にはバリスタと
して機能し、前記外来サージ等を吸収し、未然に回路素
子(各種IC、LSI等)の誤動作や絶縁破壊を防止す
る。チタン酸ストロンチウムを主成分とした容量性バリ
スタは、従来から使用されているZnO系バリスタに電
流電圧非直線性、サージ耐量では及ばないものの、前記
ZnO系バリスタに比べて大きな比誘電率を示し、コン
デンサとしての機能に優れるという利点を有している。
容量性バリスタは被保護回路や被保護素子に対して通常
並列接続され、吸収した電気的エネルギーを、熱的エネ
ルギーに変換して系外に放散する。
分とし、バリスタ機能を有する粒界絶縁型半導体磁器
は、これまでの主な用途先であった低周波アナログ回路
以外に、電源用ノイズフィルタ、半導体デバイスのノイ
ズ吸収素子等にもその用途が広がっている。このような
用途の代表例として容量性バリスタが挙げられる。この
容量性バリスタは複合機能素子であり、通常はコンデン
サとして機能するが、数kVに及ぶ外来サージや急峻ス
イッチングノイズが回路内に発生した際にはバリスタと
して機能し、前記外来サージ等を吸収し、未然に回路素
子(各種IC、LSI等)の誤動作や絶縁破壊を防止す
る。チタン酸ストロンチウムを主成分とした容量性バリ
スタは、従来から使用されているZnO系バリスタに電
流電圧非直線性、サージ耐量では及ばないものの、前記
ZnO系バリスタに比べて大きな比誘電率を示し、コン
デンサとしての機能に優れるという利点を有している。
容量性バリスタは被保護回路や被保護素子に対して通常
並列接続され、吸収した電気的エネルギーを、熱的エネ
ルギーに変換して系外に放散する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】容量性バリスタに要求
される電気的特性を以下に示す。 立ち上がりが急峻なノイズを吸収できるように、静電
容量(C)が十分に大きいこと。 保護素子の定格電圧に合わせて、バリスタ電圧(V
1mA )の制御が一定範囲内で自在に行えること。 立ち上がりが急峻なノイズに対する応答性を早めるべ
く、電流電圧非直線係数(α)が十分に大きいこと。 電流電圧特性(I−Vカーブ)の再現性に優れ、急峻
ノイズ吸収後においても、バリスタ電圧(V1mA )と電
流電圧非直線係数(α)との変化率が小さいこと。
される電気的特性を以下に示す。 立ち上がりが急峻なノイズを吸収できるように、静電
容量(C)が十分に大きいこと。 保護素子の定格電圧に合わせて、バリスタ電圧(V
1mA )の制御が一定範囲内で自在に行えること。 立ち上がりが急峻なノイズに対する応答性を早めるべ
く、電流電圧非直線係数(α)が十分に大きいこと。 電流電圧特性(I−Vカーブ)の再現性に優れ、急峻
ノイズ吸収後においても、バリスタ電圧(V1mA )と電
流電圧非直線係数(α)との変化率が小さいこと。
【0007】〜に示した特性に対しては、前記公報
に記載された発明等、従来より種々の提案がなされてお
り、ほぼ満足する技術が開発されている。しかし、に
示した特性に関しては、種々の提案がなされているもの
の、バリスタ電圧(V1mA )と電流電圧非直線係数
(α)との変化率を十分に小さくすることができず、依
然課題として残っている。
に記載された発明等、従来より種々の提案がなされてお
り、ほぼ満足する技術が開発されている。しかし、に
示した特性に関しては、種々の提案がなされているもの
の、バリスタ電圧(V1mA )と電流電圧非直線係数
(α)との変化率を十分に小さくすることができず、依
然課題として残っている。
【0008】外来高電圧サージ(雷サージ)や急峻スイ
ッチングノイズを吸収した後に、バリスタ電圧(V
1mA )や電流電圧非直線係数(α)が変化する原因とし
て、焼結体(セラミックス)と電極間に存在する電極界
面絶縁層の存在が挙げられる。すなわち、急峻スイッチ
ングノイズ等を吸収すると、この電極界面絶縁層の破
壊、あるいは変質が生じ、これにより素子の電流電圧特
性(I−Vカーブ)に変化が生じて、バリスタ電圧(V
1mA )や電流電圧非直線係数(α)が変化すると考えら
れる。
ッチングノイズを吸収した後に、バリスタ電圧(V
1mA )や電流電圧非直線係数(α)が変化する原因とし
て、焼結体(セラミックス)と電極間に存在する電極界
面絶縁層の存在が挙げられる。すなわち、急峻スイッチ
ングノイズ等を吸収すると、この電極界面絶縁層の破
壊、あるいは変質が生じ、これにより素子の電流電圧特
性(I−Vカーブ)に変化が生じて、バリスタ電圧(V
1mA )や電流電圧非直線係数(α)が変化すると考えら
れる。
【0009】前記電極界面絶縁層の破壊等による電気的
特性の変化を抑制するには次の方法が有効である。
特性の変化を抑制するには次の方法が有効である。
【0010】(a) 回路実装前に容量性バリスタ素子に
熱処理を施すことにより、電極界面絶縁層を改質する。 (b) 回路実装前に容量性バリスタ素子に意図的にサー
ジ等を印加し、予め電極界面絶縁層を破壊しておく。 (c) 急峻ノイズ等の繰り返しにも変質を生じない、安
定な絶縁層を形成する。 従来は(a) 、(b) の方法を併用するか、又は印加するサ
ージの特性をコントロールすることによる(b) の方法の
みを行っていた。すなわち、特公平5−57724号公
報には、5kVのサージ電圧を印加することにより電極
界面絶縁層を破壊し、バリスタ電圧(V1mA )の変化を
約4%以下に抑制する方法が開示されている。前記公報
によれば、数100Vのサージ電圧を数十回印加した上
でさらに熱処理を必要とする従来技術に比べ、サージの
印加のみでバリスタ電圧(V1mA)の変化を抑制するこ
とができるので、バリスタの製造工程を著しく簡略化で
きるとの記載がなされている。
熱処理を施すことにより、電極界面絶縁層を改質する。 (b) 回路実装前に容量性バリスタ素子に意図的にサー
ジ等を印加し、予め電極界面絶縁層を破壊しておく。 (c) 急峻ノイズ等の繰り返しにも変質を生じない、安
定な絶縁層を形成する。 従来は(a) 、(b) の方法を併用するか、又は印加するサ
ージの特性をコントロールすることによる(b) の方法の
みを行っていた。すなわち、特公平5−57724号公
報には、5kVのサージ電圧を印加することにより電極
界面絶縁層を破壊し、バリスタ電圧(V1mA )の変化を
約4%以下に抑制する方法が開示されている。前記公報
によれば、数100Vのサージ電圧を数十回印加した上
でさらに熱処理を必要とする従来技術に比べ、サージの
印加のみでバリスタ電圧(V1mA)の変化を抑制するこ
とができるので、バリスタの製造工程を著しく簡略化で
きるとの記載がなされている。
【0011】しかしながら前記方法においても、サージ
を印加する工程は依然として存在するため、製造コスト
の削減が困難であるという課題があった。
を印加する工程は依然として存在するため、製造コスト
の削減が困難であるという課題があった。
【0012】一方、特開平7−267728号公報に
は、(Sr1-X-Y CaX MgY )a (Ti1-Z NbZ )
b O3 (式中、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.
25、0≦Y≦0.03、0.001≦Z≦0.010
の範囲内の値で、かつaとbとは、0.990≦a/b
<1.000の関係を満たす値)で示される組成を有
し、結晶粒界層にNa、Ti、及びBとBiのうち少な
くとも1種、さらにMgとPbのうちの少なくとも1種
を含む成分が偏析している半導体磁器組成物が提案され
ており、前記半導体磁器組成物はバリスタ電圧の変化率
(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)
が3%以下と小さい。
は、(Sr1-X-Y CaX MgY )a (Ti1-Z NbZ )
b O3 (式中、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.
25、0≦Y≦0.03、0.001≦Z≦0.010
の範囲内の値で、かつaとbとは、0.990≦a/b
<1.000の関係を満たす値)で示される組成を有
し、結晶粒界層にNa、Ti、及びBとBiのうち少な
くとも1種、さらにMgとPbのうちの少なくとも1種
を含む成分が偏析している半導体磁器組成物が提案され
ており、前記半導体磁器組成物はバリスタ電圧の変化率
(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)
が3%以下と小さい。
【0013】しかし、前記半導体磁器組成物は、Mgを
主成分として含むため、1520℃以上で焼成しなけれ
ばならないという課題があった。
主成分として含むため、1520℃以上で焼成しなけれ
ばならないという課題があった。
【0014】
【課題を解決するための手段及びその効果】本発明者は
上記課題に鑑み、電極界面絶縁層の如何なる後処理も必
要とせず、電流電圧特性の再現性に優れ、バリスタ素子
としての性能に優れるSrTiO3系粒界絶縁型の半導
体磁器組成物及びその製造方法を提供することを目的と
して検討を行った結果、セラミックス結晶粒内と粒界層
の化学組成を精密に制御することにより、急峻なノイズ
等の繰り返しに対しても十分安定な絶縁層を電極界面に
形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題に鑑み、電極界面絶縁層の如何なる後処理も必
要とせず、電流電圧特性の再現性に優れ、バリスタ素子
としての性能に優れるSrTiO3系粒界絶縁型の半導
体磁器組成物及びその製造方法を提供することを目的と
して検討を行った結果、セラミックス結晶粒内と粒界層
の化学組成を精密に制御することにより、急峻なノイズ
等の繰り返しに対しても十分安定な絶縁層を電極界面に
形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち本発明に係る半導体磁器組成物
は、(Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )b
O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ばれ
た元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.2
5、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の
範囲内の値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<
1.000の関係を満たす値)で示される組成を有し、
結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnとのうち少なく
とも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1種、及び
Na、O、Tiが偏析していることを特徴としている。
は、(Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )b
O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ばれ
た元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.2
5、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の
範囲内の値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<
1.000の関係を満たす値)で示される組成を有し、
結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnとのうち少なく
とも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1種、及び
Na、O、Tiが偏析していることを特徴としている。
【0016】上記半導体磁器組成物により構成されたバ
リスタ素子は、優れた誘電特性とバリスタ特性(バリス
タ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数(α))とを兼
ね備えているばかりでなく、急峻ノイズ等の繰り返し印
加に対しても十分安定な絶縁層が電極界面に形成されて
おり、従って前記急峻ノイズ印加後においてもバリスタ
特性(バリスタ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数
(α))の再現性に優れる。また、サージ等を印加する
必要がないので、前記素子の製造工程を簡略化すること
ができ、汎用性が高く、信頼性に優れたバリスタ素子を
より安価に提供することができる。
リスタ素子は、優れた誘電特性とバリスタ特性(バリス
タ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数(α))とを兼
ね備えているばかりでなく、急峻ノイズ等の繰り返し印
加に対しても十分安定な絶縁層が電極界面に形成されて
おり、従って前記急峻ノイズ印加後においてもバリスタ
特性(バリスタ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数
(α))の再現性に優れる。また、サージ等を印加する
必要がないので、前記素子の製造工程を簡略化すること
ができ、汎用性が高く、信頼性に優れたバリスタ素子を
より安価に提供することができる。
【0017】上記化学組成式において、XはAサイトの
Srに対するCaの置換量を示し、Xが0であると絶縁
性の劣化が生じ、サージを印加すると絶縁破壊し易くな
る傾向が生じ、他方Xが0.25を超えると、静電容量
(C)が小さくなりすぎる傾向が生じる。YはAサイト
のSrに対するPbの置換量を示し、Yが0であるとバ
リスタ電圧の変化率(ΔV1mA )が大きくなりすぎる傾
向が生じ、他方Yが0.10を超えると誘電損失(D
F)が大きくなりすぎる傾向が生じる。また、ZはBサ
イトのTiに対するNb、Sb、Ta、及びVから選ば
れた元素の置換量を示し、Zが0.001未満では絶縁
耐圧が低下してサージを印加すると絶縁破壊し易くなる
傾向が生じ、他方Zが0.010を超えると焼成後に割
れを生じることがあり、素子の機械的強度を保持できな
い。a/bは(Sr+Ca+Pb)/(Ti+Nb等)
のモル比を示すが、このa/bが0.990未満である
と静電容量(C)が小さくなりすぎる傾向が生じ、他方
a/bが1.000以上になると絶縁耐圧が低下してサ
ージを印加すると絶縁破壊し易くなる傾向が生ずる。
Srに対するCaの置換量を示し、Xが0であると絶縁
性の劣化が生じ、サージを印加すると絶縁破壊し易くな
る傾向が生じ、他方Xが0.25を超えると、静電容量
(C)が小さくなりすぎる傾向が生じる。YはAサイト
のSrに対するPbの置換量を示し、Yが0であるとバ
リスタ電圧の変化率(ΔV1mA )が大きくなりすぎる傾
向が生じ、他方Yが0.10を超えると誘電損失(D
F)が大きくなりすぎる傾向が生じる。また、ZはBサ
イトのTiに対するNb、Sb、Ta、及びVから選ば
れた元素の置換量を示し、Zが0.001未満では絶縁
耐圧が低下してサージを印加すると絶縁破壊し易くなる
傾向が生じ、他方Zが0.010を超えると焼成後に割
れを生じることがあり、素子の機械的強度を保持できな
い。a/bは(Sr+Ca+Pb)/(Ti+Nb等)
のモル比を示すが、このa/bが0.990未満である
と静電容量(C)が小さくなりすぎる傾向が生じ、他方
a/bが1.000以上になると絶縁耐圧が低下してサ
ージを印加すると絶縁破壊し易くなる傾向が生ずる。
【0018】本発明に係る半導体磁器組成物の製造方法
は、チタン酸ストロンチウム系原料混合物100重量部
に、AgOを0.05重量部以上0.15重量部以下の
範囲内で混合し、焼結させ、次に得られた焼結体に対
し、Na2 Ti3 O7 が55mol%以上84mol%
以下と、B2 O3 とBi2 O3 とのうち少なくとも1種
が15mol%以上40mol%以下と、Cr2 O3 と
CuOとMnO2 とのうち少なくとも1種が1mol%
以上5mol%以下とからなる混合物を塗布し、熱拡散
させることを特徴としている。
は、チタン酸ストロンチウム系原料混合物100重量部
に、AgOを0.05重量部以上0.15重量部以下の
範囲内で混合し、焼結させ、次に得られた焼結体に対
し、Na2 Ti3 O7 が55mol%以上84mol%
以下と、B2 O3 とBi2 O3 とのうち少なくとも1種
が15mol%以上40mol%以下と、Cr2 O3 と
CuOとMnO2 とのうち少なくとも1種が1mol%
以上5mol%以下とからなる混合物を塗布し、熱拡散
させることを特徴としている。
【0019】上記半導体磁器組成物の製造方法によれ
ば、急峻ノイズ等の繰り返し印加に対しても十分安定な
絶縁層を電極界面に形成することができ、前記半導体磁
器組成物を用いてバリスタ素子を作製すると、優れた誘
電特性とバリスタ特性(バリスタ電圧(V1mA )、電流
電圧非直線係数(α))とを兼ね備えたものを製造する
ことができる。前記バリスタ素子の製造工程においては
サージを印加する必要がなく、従って前記半導体磁器組
成物を用いることにより、汎用性が高く、信頼性に優れ
たバリスタ素子をより安価に提供することができる。
ば、急峻ノイズ等の繰り返し印加に対しても十分安定な
絶縁層を電極界面に形成することができ、前記半導体磁
器組成物を用いてバリスタ素子を作製すると、優れた誘
電特性とバリスタ特性(バリスタ電圧(V1mA )、電流
電圧非直線係数(α))とを兼ね備えたものを製造する
ことができる。前記バリスタ素子の製造工程においては
サージを印加する必要がなく、従って前記半導体磁器組
成物を用いることにより、汎用性が高く、信頼性に優れ
たバリスタ素子をより安価に提供することができる。
【0020】焼成前に前記組成式で表されるチタン酸ス
トロンチウム系原料混合物100重量部に添加するAg
Oの量が0.05重量部未満であると、焼結体にAg電
極を形成する際、半導体磁器への電極Agの拡散が抑制
されず、サージを印加すると、バリスタ電圧(V1mA )
等が変化し易い傾向が生じ、他方、AgOの添加量が
0.15重量部を超えると、半導体磁器の内部に存在す
るAg量が多くなり、結晶粒界に絶縁層が形成されにく
くなり、静電容量(C)が小さくなりすぎる傾向が生じ
る。
トロンチウム系原料混合物100重量部に添加するAg
Oの量が0.05重量部未満であると、焼結体にAg電
極を形成する際、半導体磁器への電極Agの拡散が抑制
されず、サージを印加すると、バリスタ電圧(V1mA )
等が変化し易い傾向が生じ、他方、AgOの添加量が
0.15重量部を超えると、半導体磁器の内部に存在す
るAg量が多くなり、結晶粒界に絶縁層が形成されにく
くなり、静電容量(C)が小さくなりすぎる傾向が生じ
る。
【0021】前記塗布組成物(絶縁化剤)中のNa2 T
i3 O7 の割合が55mol%未満ではバリスタ機能が
発現しない傾向が生じ、他方Na2 Ti3 O7 の割合が
84mol%を超えると、バリスタ電圧の変化率(ΔV
1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)が大き
くなりすぎる傾向が生じる。前記塗布組成物中のB2O3
とBi2 O3 とのうちの少なくとも1種の割合が15
mol%未満では、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )
及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)が大きくなり
すぎる傾向が生じ、他方B2 O3 とBi2 O3 とのうち
の少なくとも1種の割合が40mol%を超えるとバリ
スタ機能が発現しなくなる傾向が生じる。前記塗布組成
物中のCr2 O3 とCuOとMnO2 とのうち少なくと
も1種の割合が1mol%未満ではバリスタ電圧の変化
率(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δ
α)が大きくなりすぎる傾向が生じ、他方Cr2 O3 と
CuOとMnO2 とのうち少なくとも1種の割合が5m
ol%を超えるとバリスタ機能が発現しなくなる傾向が
生じる。
i3 O7 の割合が55mol%未満ではバリスタ機能が
発現しない傾向が生じ、他方Na2 Ti3 O7 の割合が
84mol%を超えると、バリスタ電圧の変化率(ΔV
1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)が大き
くなりすぎる傾向が生じる。前記塗布組成物中のB2O3
とBi2 O3 とのうちの少なくとも1種の割合が15
mol%未満では、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )
及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)が大きくなり
すぎる傾向が生じ、他方B2 O3 とBi2 O3 とのうち
の少なくとも1種の割合が40mol%を超えるとバリ
スタ機能が発現しなくなる傾向が生じる。前記塗布組成
物中のCr2 O3 とCuOとMnO2 とのうち少なくと
も1種の割合が1mol%未満ではバリスタ電圧の変化
率(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δ
α)が大きくなりすぎる傾向が生じ、他方Cr2 O3 と
CuOとMnO2 とのうち少なくとも1種の割合が5m
ol%を超えるとバリスタ機能が発現しなくなる傾向が
生じる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る半導体磁器組
成物とその製造方法の実施の形態を説明する。まず、実
施の形態に係る半導体磁器組成物の製造方法を説明す
る。
成物とその製造方法の実施の形態を説明する。まず、実
施の形態に係る半導体磁器組成物の製造方法を説明す
る。
【0023】セラミックス合成のための出発原料とし
て、SrCO3 、CaCO3 、Pb3O4 、及びTiO2
、ならびにNb、Sb、Ta、及びVの各酸化物から
選ばれた1種の粉末を、製造される磁器組成物が(Sr
1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )b O3 (式
中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ばれた元素
で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.25、0<
Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の範囲内の
値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<1.00
0の関係を満たす値)で示される組成割合となるように
正確に秤量してポットミル等の混合を行う容器内に投入
し、さらに前記粉末の合計100重量部に対しAgO粉
末を0.05〜0.15重量部の割合になるように秤量
して投入する。出発原料となる前記元素を含む化合物の
種類は、前記したものに限定されず、別の実施の形態に
おいては上記した以外の組み合わせで酸化物や炭酸塩を
使用してもよい。
て、SrCO3 、CaCO3 、Pb3O4 、及びTiO2
、ならびにNb、Sb、Ta、及びVの各酸化物から
選ばれた1種の粉末を、製造される磁器組成物が(Sr
1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )b O3 (式
中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ばれた元素
で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.25、0<
Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の範囲内の
値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<1.00
0の関係を満たす値)で示される組成割合となるように
正確に秤量してポットミル等の混合を行う容器内に投入
し、さらに前記粉末の合計100重量部に対しAgO粉
末を0.05〜0.15重量部の割合になるように秤量
して投入する。出発原料となる前記元素を含む化合物の
種類は、前記したものに限定されず、別の実施の形態に
おいては上記した以外の組み合わせで酸化物や炭酸塩を
使用してもよい。
【0024】次に、前記ポットミル等に適量の玉石、分
散剤、及び純水を入れ、24時間程度湿式混合を行う。
次に、前記工程により混合されたスラリ状の原料を脱水
乾燥させた後軽く解砕し、解砕された粉末を、大気中1
150〜1180℃程度の温度で、2.0〜6.0時間
仮焼合成する。通常、この仮焼合成の後、所定の組成を
有する固溶体が合成されていることを、X線回折や誘導
結合プラズマ(ICP)発光分析法等の組成分析等で確
認する。
散剤、及び純水を入れ、24時間程度湿式混合を行う。
次に、前記工程により混合されたスラリ状の原料を脱水
乾燥させた後軽く解砕し、解砕された粉末を、大気中1
150〜1180℃程度の温度で、2.0〜6.0時間
仮焼合成する。通常、この仮焼合成の後、所定の組成を
有する固溶体が合成されていることを、X線回折や誘導
結合プラズマ(ICP)発光分析法等の組成分析等で確
認する。
【0025】次に、前記工程で仮焼合成された小塊状の
粉末を解砕し、さらに焼結助剤として微量のCuOとS
iO2 を添加し、再度湿式混合を行う。前記湿式混合が
完了した後、スラリ状の仮焼原料を脱水、乾燥させた後
解砕し、さらに1.0μm前後の均一粒径を有する粉末
に整粒する。この整粒された粉末にPVA(ポリビニル
アルコール)等の有機バインダーを添加し、加圧成形に
より所定の形状のバリスタ素子用成形体を作製する。仮
焼合成後の粉末にバインダ、溶剤等を添加した後、スプ
レードライヤ等により造粒を行い、この後造粒粉末を静
水圧プレス等により加圧成形してもよい。
粉末を解砕し、さらに焼結助剤として微量のCuOとS
iO2 を添加し、再度湿式混合を行う。前記湿式混合が
完了した後、スラリ状の仮焼原料を脱水、乾燥させた後
解砕し、さらに1.0μm前後の均一粒径を有する粉末
に整粒する。この整粒された粉末にPVA(ポリビニル
アルコール)等の有機バインダーを添加し、加圧成形に
より所定の形状のバリスタ素子用成形体を作製する。仮
焼合成後の粉末にバインダ、溶剤等を添加した後、スプ
レードライヤ等により造粒を行い、この後造粒粉末を静
水圧プレス等により加圧成形してもよい。
【0026】前記工程により作製された成形体を約10
00℃で熱処理して脱脂し、脱脂した成形体を、例えば
ジルコニア製の焼成ルツボに充填し、水素濃度が1〜2
0vol%、窒素濃度が80〜99vol%の還元雰囲
気中、1420〜1550℃で、4.0〜8.0時間焼
成し、セラミックスの焼結と半導体化とを進める。
00℃で熱処理して脱脂し、脱脂した成形体を、例えば
ジルコニア製の焼成ルツボに充填し、水素濃度が1〜2
0vol%、窒素濃度が80〜99vol%の還元雰囲
気中、1420〜1550℃で、4.0〜8.0時間焼
成し、セラミックスの焼結と半導体化とを進める。
【0027】次に、得られた焼結体を有機溶剤及び熱水
中で十分洗浄した後、セラミック結晶粒界を絶縁化する
ため、Na2 Ti3 O7 が55mol%以上84mol
%以下、B2 O3 とBi2 O3 とのうち少なくとも1種
が15mol%以上40mol%以下、及びCr2 O3
とCuOとMnO2 とのうち少なくとも1種が1mol
%以上5mol%以下の組成物と有機ビヒクル材とをあ
わせて混練することによりペースト状の絶縁化剤を調製
し、この絶縁化剤を焼結体表面に塗布する。絶縁化剤の
塗布量は、焼結体1g当たりに換算して20〜50mg
程度の割合でよい。次に、このペーストが塗布された焼
結体を大気中、1050〜1350℃で、1.0〜4.
0時間焼成することにより粒界層を絶縁化する。
中で十分洗浄した後、セラミック結晶粒界を絶縁化する
ため、Na2 Ti3 O7 が55mol%以上84mol
%以下、B2 O3 とBi2 O3 とのうち少なくとも1種
が15mol%以上40mol%以下、及びCr2 O3
とCuOとMnO2 とのうち少なくとも1種が1mol
%以上5mol%以下の組成物と有機ビヒクル材とをあ
わせて混練することによりペースト状の絶縁化剤を調製
し、この絶縁化剤を焼結体表面に塗布する。絶縁化剤の
塗布量は、焼結体1g当たりに換算して20〜50mg
程度の割合でよい。次に、このペーストが塗布された焼
結体を大気中、1050〜1350℃で、1.0〜4.
0時間焼成することにより粒界層を絶縁化する。
【0028】上記方法により製造された半導体磁器組成
物は、(Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )
b O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ば
れた元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.2
5、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の
範囲内の値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<
1.000の関係を満たす値)で示される組成を有し、
結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnとのうち少なく
とも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1種、及び
Na、O、Tiが偏析している。
物は、(Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti1-Z αZ )
b O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及びVから選ば
れた元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<X≦0.2
5、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦0.010の
範囲内の値で、かつa及びbは、0.990≦a/b<
1.000の関係を満たす値)で示される組成を有し、
結晶粒界層にさらに、CrとCuとMnとのうち少なく
とも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1種、及び
Na、O、Tiが偏析している。
【0029】すなわち、前記半導体磁器組成物中には、
平均粒径30μm程度の大きさを有する結晶粒子が形成
され、前記結晶粒子は(Sr1-X-Y CaX PbY )a
(Ti1-Z αZ )b O3 (式中、αはNb、Sb、T
a、及びVから選ばれた元素で、X、Y及びZは、それ
ぞれ0<X≦0.25、0<Y≦0.10、0.001
≦Z≦0.010の範囲内の値で、かつa及びbは、
0.990≦a/b<1.000の関係を満たす値)で
示される組成を有し、半導体化されている。一方、前記
結晶粒子の間には、半導体化かつ焼結した後に絶縁化剤
を塗布、焼成することによりCrとCuとMnとのうち
少なくとも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1
種、及びNa、O、Tiを含む結晶粒界層(絶縁層)が
形成されている。このため、前記半導体磁器組成物は大
きな絶縁抵抗を示すと同時に、見かけの比誘電率も大き
い。
平均粒径30μm程度の大きさを有する結晶粒子が形成
され、前記結晶粒子は(Sr1-X-Y CaX PbY )a
(Ti1-Z αZ )b O3 (式中、αはNb、Sb、T
a、及びVから選ばれた元素で、X、Y及びZは、それ
ぞれ0<X≦0.25、0<Y≦0.10、0.001
≦Z≦0.010の範囲内の値で、かつa及びbは、
0.990≦a/b<1.000の関係を満たす値)で
示される組成を有し、半導体化されている。一方、前記
結晶粒子の間には、半導体化かつ焼結した後に絶縁化剤
を塗布、焼成することによりCrとCuとMnとのうち
少なくとも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1
種、及びNa、O、Tiを含む結晶粒界層(絶縁層)が
形成されている。このため、前記半導体磁器組成物は大
きな絶縁抵抗を示すと同時に、見かけの比誘電率も大き
い。
【0030】前記工程により粒界層が絶縁化された半導
体磁器組成物を例えば円板形状に成形し、その両面に電
極用Agペーストを印刷し、約600〜820℃で焼き
付けることによりバリスタ素子とする。前記半導体磁器
組成物中にはAgOが微量含まれているため、前記電極
形成の際にAgが半導体磁器組成物中に拡散しにくいた
め、粒界層の絶縁破壊の原因となるピンホール形成が起
こりにくく、サージに対しても安定な絶縁層が電極界面
に形成される。
体磁器組成物を例えば円板形状に成形し、その両面に電
極用Agペーストを印刷し、約600〜820℃で焼き
付けることによりバリスタ素子とする。前記半導体磁器
組成物中にはAgOが微量含まれているため、前記電極
形成の際にAgが半導体磁器組成物中に拡散しにくいた
め、粒界層の絶縁破壊の原因となるピンホール形成が起
こりにくく、サージに対しても安定な絶縁層が電極界面
に形成される。
【0031】実施の形態に係る半導体磁器組成物を用い
て作製されるバリスタ素子は、バリスタ電圧の変化率
(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)
が3%以下、誘電損失(DF)が1.5%以下、バリス
タ電圧(V1mA )が25V以下、電流電圧非直線係数
(α)が10以上となり、また前記バリスタ素子を構成
する半導体磁器組成物の形状を直径6mm、厚み700
μmの円板形状体としたときの静電容量(C)は25n
F以上となる。
て作製されるバリスタ素子は、バリスタ電圧の変化率
(ΔV1mA )及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)
が3%以下、誘電損失(DF)が1.5%以下、バリス
タ電圧(V1mA )が25V以下、電流電圧非直線係数
(α)が10以上となり、また前記バリスタ素子を構成
する半導体磁器組成物の形状を直径6mm、厚み700
μmの円板形状体としたときの静電容量(C)は25n
F以上となる。
【0032】なお、前記電気特性の評価方法は以下の通
りである。すなわち、静電容量(C)と誘電損失(D
F)はインピーダンスアナライザ(例えば、YHP製
4192A)を用い、周波数lKHz、測定電圧1V、
測定温度20℃の条件で測定を行う。バリスタ電圧(V
1mA )はサンプル素子に直流電圧を0〜150Vまで直
流定電圧電源装置(例えば、YHP製 4140B)を
用いて連続印加し、素子に1mAの電流が流れたときの
端子間電圧(V1mA )で表示する。電流電圧非直線係数
(α)は、10mAの電流が流れたときの端子間電圧
(V10mA)を測定し、下記の数1式から算出する。
りである。すなわち、静電容量(C)と誘電損失(D
F)はインピーダンスアナライザ(例えば、YHP製
4192A)を用い、周波数lKHz、測定電圧1V、
測定温度20℃の条件で測定を行う。バリスタ電圧(V
1mA )はサンプル素子に直流電圧を0〜150Vまで直
流定電圧電源装置(例えば、YHP製 4140B)を
用いて連続印加し、素子に1mAの電流が流れたときの
端子間電圧(V1mA )で表示する。電流電圧非直線係数
(α)は、10mAの電流が流れたときの端子間電圧
(V10mA)を測定し、下記の数1式から算出する。
【0033】
【数1】α=1/log(V10mA/V1mA ) バリスタ電圧(V1mA )と電流電圧非直線係数(α)を
測定後、端子間にサージ(8×20μsecの波形、3
000A/cm2 )を1分間隔で5回印加し、再度バリ
スタ電圧(V1mA )と電流電圧非直線係数(α)を測定
し、サージを印加した前後に於ける両値の変化率を求め
る。
測定後、端子間にサージ(8×20μsecの波形、3
000A/cm2 )を1分間隔で5回印加し、再度バリ
スタ電圧(V1mA )と電流電圧非直線係数(α)を測定
し、サージを印加した前後に於ける両値の変化率を求め
る。
【0034】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る半導体磁器組
成物とその製造方法の実施例を説明する。実施例に係る
半導体磁器組成物の製造条件は以下の通りである。
成物とその製造方法の実施例を説明する。実施例に係る
半導体磁器組成物の製造条件は以下の通りである。
【0035】(1) 実施例 原料化合物:SrCO3 、CaCO3 、Pb3 O4 、TiO2 、Nb2 O5 、 Sb2 O5 、Ta2 O5 、V2 O5 、AgO 原料粉末の平均粒径:1.5μm 原料粉末の混合組成:実施の形態に係る半導体磁器組成物を表わす組成式中の X、Y、Z、a/b及び前記半導体磁器組成物100重 量部に対するAgOの割合(重量部)で示す(表1及び 表2)。 仮焼合成の温度:1150℃、時間:2.0時間、雰囲気:空気 成形体の直径:8mm、成形体の厚み:850μm 焼成温度:1480℃、時間:4.0時間、雰囲気:H2 :10vol%、 N2 :90vol% 絶縁化剤の添加量:各化合物の割合(mol%)で示す(表1及び表2)。 粒界絶縁化の温度:1200℃、時間:2.0時間、雰囲気:空気 粒界絶縁化工程を経た後、加工が施された焼結体の直径:6mm 厚み:700μm 電極用Agペーストの焼き付け温度:800℃、時間:10分、 雰囲気:空気 製造したバリスタ素子:各実施例につき30個 電気的特性値:30個のサンプルの平均値 (2) 比較例 原料粉末の混合組成:実施の形態に係る半導体磁器組成
物を表わす組成式中のX、Y、Z、a/b及び前記半導
体磁器組成物100重量部に対するAgOの割合(重量
部)で示す(表1及び表2)。但し、比較例の場合、
X、Y、Z、a/b、AgO割合が、前記半導体磁器組
成物の組成式の範囲をはずれている。 その他の条件:実施例の場合と同様 (3) 実施例及び比較例の結果 上記した実施例及び比較例に係る半導体磁器組成物の主
成分の組成、絶縁化剤組成、得られた粒界絶縁型半導体
磁器組成物の電気的特性の測定結果を下記の表1〜2に
示している。なお、比較例に係る半導体磁器組成物につ
いては、表1〜2の備考欄に*印を付して区別してい
る。
物を表わす組成式中のX、Y、Z、a/b及び前記半導
体磁器組成物100重量部に対するAgOの割合(重量
部)で示す(表1及び表2)。但し、比較例の場合、
X、Y、Z、a/b、AgO割合が、前記半導体磁器組
成物の組成式の範囲をはずれている。 その他の条件:実施例の場合と同様 (3) 実施例及び比較例の結果 上記した実施例及び比較例に係る半導体磁器組成物の主
成分の組成、絶縁化剤組成、得られた粒界絶縁型半導体
磁器組成物の電気的特性の測定結果を下記の表1〜2に
示している。なお、比較例に係る半導体磁器組成物につ
いては、表1〜2の備考欄に*印を付して区別してい
る。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記表1〜2の結果より明らかなように、
実施例に係る半導体磁器組成物を用いた容量性バリスタ
素子は、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )及び電流電
圧非直線係数の変化率(Δα)が3%以下と従来にない
優れた特性を有している。なお、表1〜2には示してい
ないが、実施例に係る半導体磁器組成物を用いた容量性
バリスタ素子は、いずれも静電容量(C)が25nF以
上、誘電損失(DF)が1.5%以下、バリスタ電圧
(V1mA )が25V以下、電流電圧非直線係数(α)が
10以上と、従来素子にない優れた特性を示した。上記
電気的特性は、誘電特性とバリスタ特性の両立ばかりで
なく、急峻ノイズ印加後においてもバリスタ特性の良好
な再現性が得られることを示しており、電子部品のノイ
ズ除去等の目的で回路に実装することができる材料とし
て最適であり、他の半導体磁器組成物に対して十分差別
化を図れるものである。
実施例に係る半導体磁器組成物を用いた容量性バリスタ
素子は、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )及び電流電
圧非直線係数の変化率(Δα)が3%以下と従来にない
優れた特性を有している。なお、表1〜2には示してい
ないが、実施例に係る半導体磁器組成物を用いた容量性
バリスタ素子は、いずれも静電容量(C)が25nF以
上、誘電損失(DF)が1.5%以下、バリスタ電圧
(V1mA )が25V以下、電流電圧非直線係数(α)が
10以上と、従来素子にない優れた特性を示した。上記
電気的特性は、誘電特性とバリスタ特性の両立ばかりで
なく、急峻ノイズ印加後においてもバリスタ特性の良好
な再現性が得られることを示しており、電子部品のノイ
ズ除去等の目的で回路に実装することができる材料とし
て最適であり、他の半導体磁器組成物に対して十分差別
化を図れるものである。
【0039】一方、備考欄に*印で示した比較例に相当
する半導体磁器組成物を用いた素子は、バリスタ電圧の
変化率(ΔV1mA )並びに電流電圧非直線係数の変化率
(Δα)のいずれか、又は両者あるいは誘電特性(C,
DF値)等が劣化する等、要求される電気的特性を十分
に満足し得ないものである。
する半導体磁器組成物を用いた素子は、バリスタ電圧の
変化率(ΔV1mA )並びに電流電圧非直線係数の変化率
(Δα)のいずれか、又は両者あるいは誘電特性(C,
DF値)等が劣化する等、要求される電気的特性を十分
に満足し得ないものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 (Sr1-X-Y CaX PbY )a (Ti
1-Z αZ )b O3 (式中、αはNb、Sb、Ta、及び
Vから選ばれた元素で、X、Y及びZは、それぞれ0<
X≦0.25、0<Y≦0.10、0.001≦Z≦
0.010の範囲内の値で、かつa及びbは、0.99
0≦a/b<1.000の関係を満たす値)で示される
組成を有し、結晶粒界層に、CrとCuとMnとのうち
少なくとも1種、及びBとBiとのうち少なくとも1
種、及びNa、O、Tiが偏析していることを特徴とす
る半導体磁器組成物。 - 【請求項2】 チタン酸ストロンチウム系原料混合物1
00重量部に、AgOを0.05重量部以上0.15重
量部以下の範囲内で混合し、焼結させ、次に得られた焼
結体に、Na2 Ti3 O7 が55mol%以上84mo
l%以下と、B2 O3 とBi2 O3 とのうち少なくとも
1種が15mol%以上40mol%以下と、Cr2 O
3 とCuOとMnO2 とのうち少なくとも1種が1mo
l%以上5mol%以下とからなる混合物を塗布し、熱
拡散させることを特徴とする半導体磁器組成物の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7330253A JPH09171908A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | 半導体磁器組成物とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7330253A JPH09171908A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | 半導体磁器組成物とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09171908A true JPH09171908A (ja) | 1997-06-30 |
Family
ID=18230580
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7330253A Pending JPH09171908A (ja) | 1995-12-19 | 1995-12-19 | 半導体磁器組成物とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09171908A (ja) |
-
1995
- 1995-12-19 JP JP7330253A patent/JPH09171908A/ja active Pending
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