JPH06204005A - 半導体磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

半導体磁器組成物及びその製造方法

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JPH06204005A
JPH06204005A JP50A JP75893A JPH06204005A JP H06204005 A JPH06204005 A JP H06204005A JP 50 A JP50 A JP 50A JP 75893 A JP75893 A JP 75893A JP H06204005 A JPH06204005 A JP H06204005A
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JP
Japan
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varistor
voltage
mol
composition
composite material
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JP50A
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English (en)
Inventor
Takahiro Takada
隆裕 高田
Osamu Kanda
修 神田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 結晶粒内が Sr1-x-yCaxMgyTizNbuCuwO3 (式
中、x、y、z、u及びwはそれぞれ、0.001 ≦x≦0.
500 、0.001 ≦y≦0.300 、0.9900<z<1.3000、0.00
01≦u≦0.0200、0.0001≦w≦0.0200の範囲の値で、か
つ、z+uの値がz+u>1.0000の範囲の値)で示され
る組成を有し、結晶粒界層近傍にさらにアルカリ金属が
含まれている半導体磁器組成物。 【効果】 容量性バリスタに要求される大きい電圧非直
線係数α、低いバリスタ電圧、大きい絶縁抵抗、大きい
比誘電率及び小さい誘電損失の5つ条件を満足する半導
体磁器組成物及びその製造方法を提供し、その組成物か
ら製作された容量性バリスタは、高周波に対応した電気
・電子機器等に搭載される電気回路に使用することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体磁器組成物及びそ
の製造方法、より詳細には電子機器等において発生する
ノイズ、パルス、静電気等から電子部品及び電気回路を
保護するために利用される容量性バリスタを構成するた
めの半導体磁器組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ及びOA機器等の情
報処理装置の普及にともない、これらデジタル機器が発
生するノイズによるIC、トランジスタ等の半導体部品
等の誤動作が問題となっている。また、半導体部品はサ
ージ、パルス、静電気等の高電圧で破壊され易いという
欠点があるので、電子回路バリスタ素子を組み込んで各
々の部品を保護することが行なわれている。
【0003】バリスタとは印加電圧により抵抗値が非直
線的に変化する機能素子であり、その電圧−電流特性
は、
【0004】
【数1】
【0005】で表わされる。ここでIは素子を流れる電
流値、Kはバリスタ固有係数、Vはバリスタ素子両端に
かかる電圧値、αは非直線性を示す係数(電圧非直線係
数)である。
【0006】バリスタの評価は電圧非直線係数αで表わ
せられ、電圧非直線係数αが大きければ、それに伴いバ
リスタ効果も大きくなる。SiC系バリスタの電圧非直
線係数αは3から7、ZnO系バリスタの電圧非直線係
数αは50から100にもなる。しかし、SiC、Zn
O系等の従来のバリスタは静電容量が低いために、高周
波成分を持つノイズを殆ど吸収することができなかっ
た。他方、セラミックコンデンサの静電容量は、ZnO
系バリスタの10倍から20倍程度と高く、このため前
記ノイズ等の吸収、除去に利用されている。逆に高電圧
には弱くサージ等により破壊されるという欠点を有して
いた。そこでZnO系バリスタとコンデンサを組み合わ
せて並列回路を構成し、コンデンサに高周波ノイズを吸
収させる一方バリスタで高電圧を吸収、除去することが
行われていたが、これは電子機器の小型化に反し、実装
面で非常に不利であった。そこで、1つの素子でコンデ
ンサ特性及びバリスタ特性の両機能を有する複合機能素
子として容量性バリスタが開発され、実用化されてい
る。容量性バリスタにはSrTiO3 系(特開昭56−
36103号公報)、Sr1-x Bax TiO3 系(特開
昭59−92503号公報)等がある。これらの容量性
バリスタは、Srを主成分とし、副成分として半導体化
剤であるNb、Y、W、Ta、Dy等、電圧非直線係数
改善剤としてCu、Co、Mn、Ni、V等、焼結助剤
であるSi、Al、B等を組み合わせて添加したものを
還元雰囲気中で焼成して磁器焼結体を得た後、この磁器
焼結体の結晶粒界に絶縁層を形成するために拡散物質と
してNa化合物とB23 、Sb23 、Bi23
TiO2 、MoO3 、WO3 等が用いられている(特開
昭61−131501号公報)。また、半導体磁器コン
デンサはSr1-x Cax TiO3 にNbあるいはMnを
添加し、結晶粒界にBi、Cu、Naを拡散させた組成
物がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
SrTiO3 系容量性バリスタは、バリスタ特性とコン
デンサ特性の両方の機能を持つ複合機能素子であり、か
つ小型であるという特徴をもつため、IC及びLSI等
が組み込まれる小型電子機器の保護に適している。しか
し、近年の半導体部品は動作電圧が低くなったと同時に
従来の半導体部品では破壊されなかった比較的低電圧の
パルス、静電気等で破壊されることがあり、そのような
半導体部品を有する高周波電子回路を保護する容量性バ
リスタとしては、より大きい電圧非直線係数α、低いバ
リスタ電圧及び大きい絶縁抵抗を有し、かつコンデンサ
として大きい比誘電率、小さい誘電損失を有するものが
望まれている。
【0008】これまで、大きい比誘電率でかつ低いバリ
スタ電圧特性を得るためには、素体の肉厚を薄くする
か、あるいは結晶粒径を大きくするかのいずれかの方法
がとられていた。しかし、素体の肉厚を薄くする方法で
は強度が低下し、さらに絶縁抵抗が低下して素子が電気
的に破壊され易くなるために限界がある。また、結晶粒
径を大きくする方法では焼成時に異常粒が成長して均一
な結晶粒径が得られないので、電圧非直線係数αが低下
し、素子が電気的に破壊され易くなるという課題があっ
た。
【0009】本発明は上記した課題に鑑みなされたもの
であって、低電圧で動作する半導体部品を搭載した高周
波電子・電子機器等に使用する容量性バリスタに要求さ
れる、大きい電圧非直線係数α、低いバリスタ電圧、大
きい絶縁抵抗、大きい比誘電率及び小さい誘電損失の5
つの条件を満足する容量性バリスタ用半導体磁器組成物
及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に鋭意研究した結果、ABO3 で示されるペロブスカイ
ト型の結晶構造を有する半導体磁器は、非化学量論組成
比([A]/[B]比)の極僅かな変動により電圧非直
線係数α、バリスタ電圧、絶縁抵抗、比誘電率及び誘電
損失が変化するという知見が得られた。本発明は上記目
的を達成するために、前記知見に基づいてなされた発明
であって、課題を解決するために本発明に係る半導体磁
器組成物は、結晶粒内が Sr1-x-yCaxMgyTizNbuCuwO3
(式中、x、y、z、u及びwはそれぞれ、0.001 ≦x
≦0.500 、0.001 ≦y≦0.300 、0.9900<z<1.3000、
0.0001≦u≦0.0200、0.0001≦w≦0.0200の範囲の値
で、かつ、z+uの値がz+u>1.0000の範囲の値)で
示される組成を有し、結晶粒界層近傍にさらにアルカリ
金属が含まれていることを特徴としている。
【0011】また、上記の半導体磁器組成物の製造方法
においては、SrCO3 、CaCO3 及びMgCO3 の合計量が10
0.00mol%に対して、TiO2を99.00〜13
0.00mol%、Nb2O5 を0.01mol%〜2.0
0mol%の範囲内の量で、かつ前記TiO2と前記Nb2O5
の合計が100mol%を超える量とCuO を0.01m
ol%〜2.00mol%の量の比で混合して半導体化
焼成を行い、焼成後の焼結体にアルカリ金属が含まれて
いる金属酸化物を塗布し、粒界絶縁化焼成することを特
徴としている。
【0012】
【作用】半導体磁器組成物は、還元雰囲気中における半
導体化焼成工程で結晶粒内が半導体化され、かつ結晶粒
の成長が行われ、粒界絶縁化焼成工程で結晶粒内への金
属酸化物の熱拡散及び結晶粒界の形成が同時に行われ
て、粒界層を形成する。
【0013】一般に、還元雰囲気焼成により得られる半
導体磁器は、異常粒成長が生じ易く混粒組織になりやす
いので電流の流れる方向の結晶粒界数が場所によって異
なる傾向があり、各結晶粒界層の厚みや組成分布にばら
つきを生じ易い。そこで、主成分の磁器材料と粒界絶縁
化のための金属酸化物を組み合わせることによって、大
きい電圧非直線係数α、低いバリスタ電圧、大きい絶縁
抵抗、大きい比誘電率及び小さい誘電損失の5つの条件
を満足する容量性バリスタ用半導体磁器組成物を実現し
た。
【0014】各成分を請求範囲のように限定したのは、
Sr1-x-yCaxMgyTizNbuCuwO3 のxの値が、0.001 ≦x≦
0.500 の範囲外では、誘電損失が大きくなる。一方、y
の値が、0.001 未満では、絶縁抵抗が小さくなり、yの
値が0.300 を超えると比誘電率が小さくなる。zの値が
0.9900以下では比誘電率が小さくなり、zの値が1.3000
以上では絶縁抵抗と電圧非直線係数が小さくなる。wの
値が0.0001未満では比誘電率が小さく、wが0.020 を超
えると絶縁抵抗が小さくなる。uの値が0.0010未満では
半導体化せず、バリスタ電圧が大きくなり、uの値が0.
0200を超えると絶縁抵抗が小さくなる。また、z+uの
値を限定したのは、z+uの値が1.0000以下では誘電損
失が大きく、絶縁抵抗が小さくなるからである。さら
に、アルカリ金属は粒内に拡散して高抵抗の拡散層を形
成し、電圧非直線係数αの改善に寄与する。
【0015】
【実施例】以下、本発明に係る半導体磁器組成物及びそ
の製造方法の実施例を説明する。
【0016】まず、セラミックス合成のための原料とし
てSrCO3、 CaCO3、 MgCO3、 TiO2、Nb2O5、CuO を下記の
表1に示した割合で調合を行う。また、SiO2またはAl2O
3から選ばれた1種または2種を適当量加える。調合は
各原料を正確に秤量し、適量の玉石、分散剤、純水とと
もにポットミル内で24時間混合を行う。混合されたス
ラリー状の原料を脱水乾燥させ、解砕する。この解砕粉
を例えばジルコニア製の焼成ルツボ内に移し、1100
℃で仮焼合成を行う。所定の固溶体が合成されているこ
とをX線解析、組成分析等で確認した。
【0017】次に仮焼合成粉を解砕し、1.0μm前後
の均一粉に整粒する。この粉末に有機バインダー等を添
加して直径10mm,厚み500μmの円板形状に加圧成
形し、1000℃で脱脂する。この脱脂体を例えばアル
ミナ製の焼成ルツボに充てんし、還元雰囲気中で半導体
化焼成し、半導体化した焼結体を得る。半導体化焼成
は、水素1〜15%、窒素85〜99%の混合ガス雰囲
気中で1380〜1550℃の温度範囲内で2.0〜
8.0時間焼成する。次に得られた焼結体を有機溶剤、
熱水中で十分洗浄した後、表面に粒界絶縁化のための金
属酸化物ペーストを塗布し、乾燥する。ここで、金属酸
化物ペーストは、例えばNa2CO3またはBi2O3とNa2CO3
含む組成物を混練ペースト状にしたものを使用し、その
塗布量は焼結体1gあたり20〜100mg程度とす
る。金属酸化物ペーストが塗布された焼結体を大気中に
て950〜1300℃の温度範囲内で0.5〜4.0時
間焼成し、焼結体の粒界が絶縁化され半導体磁器組成物
を得る。NaまたはBi及びNaが拡散されていることをEP
MA等で確認した。
【0018】さらに、前記半導体磁器組成物の特性を調
べるために、その両面に銀ペーストを塗布し、800℃
の温度で焼き付けを行ない、電極を形成して素子を完成
する。
【0019】完成した半導体磁器組成物の評価は、次の
ように行なった。
【0020】電気的特性は、見かけの比誘電率εapp
誘電損失DF(%)をインピ−ダンスアナライザで,絶
縁抵抗IR(Ω)は直流定電圧電源を用いて評価した。
見かけの比誘電率εapp はAC1kHz、印加電圧 1V
で測定した静電容量の値と素子の寸法から算出した値で
ある。誘電損失DF(%)は、AC1kHz、印加電圧
1Vで測定した値である。また、絶縁抵抗IR(Ω)は
半導体磁器組成物の両面の電極間に直流電圧25Vを印加
し、1分間に流れる電流を測定し、その値から算出した
値である。電圧非直線係数α及びバリスタ電圧V1mA
1Vから100Vまで5V毎に1秒間電圧を印加したと
きの電流値を測定して作成した電流−電圧曲線から求め
た。
【0021】
【表1】
【0022】
【表1の2】
【0023】
【表1の3】
【0024】
【表1の4】
【0025】
【表1の5】
【0026】
【表1の6】
【0027】
【表1の7】
【0028】
【表1の8】
【0029】上記表1の電気的特性のデータは、同一ロ
ットから半導体磁器組成物を無作為に100個取り出
し、それらの平均値を示している。表1から明らかなよ
うに、本発明に係る半導体磁器組成物及びその製造方法
によれば、見かけの比誘電率εapp が1.0×104
上で、かつ、絶縁抵抗IRが直流25V定格の場合1.
0×106 Ω以上、さらに、誘電損失DFの値も1.5
%以下であるのでコンデンサとして機能を満たしている
ことが確認できた。
【0030】また、バリスタ特性は、電圧非直線係数α
が15以上であり、バリスタ電圧V1mA は100V以下
であった。また、絶縁耐圧はDC200V以上であっ
た。尚、上記した実施例では金属酸化物としてNa2CO3
たはBi2O3 とNa2CO3を含む組成物を混練ぺースト状にし
た金属酸化物ペーストを使用したが、表1のように他の
アルカリ金属(K、Li等)が含まれている化合物また
は混合物を含む金属酸化物であればよい。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る半導体
磁器組成物にあっては、結晶粒内が Sr1-x-yCaxMgyTizN
buCuwO3 (式中、x、y、z、u及びwはそれぞれ、0.
001 ≦x≦0.500 、0.001 ≦y≦0.300 、0.9900<z<
1.3000、0.0001≦u≦0.0200、0.0001≦w≦0.0200の範
囲の値で、かつ、z+uの値がz+u>1.0000の範囲の
値)で示される組成を有し、結晶粒界層近傍にさらにア
ルカリ金属が含まれているので、大きい電圧非直線係数
α、低いバリスタ電圧、大きい絶縁抵抗、大きい比誘電
率及び小さい誘電損失の5つ条件を満足する容量性バリ
スタ用半導体磁器組成物が得られる。
【0032】また、上記記載の半導体磁器組成物の製造
方法において、SrCO3 、CaCO3 及びMgCO3 の合計量が1
00.00mol%に対して、TiO2を99.00〜13
0.00mol%、Nb2O5 を0.01mol%〜2.0
0mol%の範囲内の量で、かつ前記TiO2と前記Nb2O5
の合計が100mol%を超える量とCuO を0.01m
ol%〜2.00mol%の量の比で混合して半導体化
焼成を行い、焼成後の焼結体にアルカリ金属が含まれて
いる金属酸化物を塗布し、粒界絶縁化焼成するので、従
来プロセスを損なうことなく、コンデンサ特性とバリス
タ特性との双方に優れた半導体磁器組成物を製造するこ
とができる。
【0033】従って、本発明は容量性バリスタに要求さ
れる大きい電圧非直線係数α、低いバリスタ電圧、大き
い絶縁抵抗、大きい比誘電率及び小さい誘電損失の5つ
の条件を満足する半導体磁器組成物及びその製造方法を
提供し、その組成物から製作された容量性バリスタは、
高周波に対応した電気・電子機器等に搭載される電気回
路に使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶粒内が Sr1-x-yCaxMgyTizNbuCuwO3
    (式中、x、y、z、u及びwはそれぞれ、0.001 ≦x
    ≦0.500 、0.001 ≦y≦0.300 、0.9900<z<1.3000、
    0.0001≦u≦0.0200、0.0001≦w≦0.0200の範囲の値
    で、かつ、z+uの値がz+u>1.0000の範囲の値)で
    示される組成を有し、結晶粒界層近傍にさらにアルカリ
    金属が含まれていることを特徴とする半導体磁器組成
    物。
  2. 【請求項2】 SrCO3 、CaCO3 及びMgCO3 の合計量が1
    00.00mol%に対して、TiO2を99.00〜13
    0.00mol%、Nb2O5 を0.01mol%〜2.0
    0mol%の範囲内の量で、かつ前記TiO2と前記Nb2O5
    の合計が100mol%を超える量とCuO を0.01m
    ol%〜2.00mol%の量の比で混合して半導体化
    焼成を行い、焼成後の焼結体にアルカリ金属が含まれて
    いる金属酸化物を塗布し、粒界絶縁化焼成することを特
    徴とする請求項1記載の半導体磁器組成物の製造方法。
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