JPH09157381A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JPH09157381A
JPH09157381A JP32183995A JP32183995A JPH09157381A JP H09157381 A JPH09157381 A JP H09157381A JP 32183995 A JP32183995 A JP 32183995A JP 32183995 A JP32183995 A JP 32183995A JP H09157381 A JPH09157381 A JP H09157381A
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oligomer
solvent
polycarbonate
spherical
bis
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JP32183995A
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English (en)
Inventor
Akihiro Shishikura
昭弘 宍倉
Noriyuki Hisanishi
律行 久西
Masahiro Takahashi
正浩 高橋
Seiji Takahashi
誠二 高橋
Hiroaki Mogi
広明 茂木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡略化された結晶化処理により製造可能で、ハ
ンドリングも容易なオリゴマーの粉粒体を原料に用い、
一層の処理時間の短縮化をも可能とする固相重合方法に
よるポリカーボネートの製造方法を提供する。 【解決手段】 Wadell の球形度が0.7 〜1.0 である結晶
化した球状ポリカーボネートオリゴマーを膨潤溶媒ガス
を含む雰囲気下で固相重合することを特徴とするポリカ
ーボネートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリカーボネートの
製造方法、更に詳しくは真球度の高い球状ポリカーボネ
ートオリゴマーを用いて固相重合により、高品質のポリ
カーボネートを安定して効率よく製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【背景の技術】現在、ポリカーボネートの製造法の主流
はホスゲンおよびビスフェノールAを原料に使用し、メ
チレンクロライドを反応溶媒とする界面重縮合法であ
る。しかし、この界面重縮合法では毒性のつよいホスゲ
ンを使用することのほか、環境規制で大きな制約を受け
る可能性の高くなっているハロゲン系溶媒の一種である
メチレンクロライドを使用することから、これに変わる
新しい技術の開発が模索されている。
【0003】最近、提案されている方法には溶融エステ
ル交換法と固相重合法がある。溶融エステル交換法はジ
ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物を無溶媒下
で、エステル交換反応による重合を進める方法であり、
固相重合法はオリゴマーを固相に保持しつつ加熱重合を
進める方法である。これらの新技術により、安定して品
質のすぐれたポリカーボネートが得られることが期待さ
れる。
【0004】固相重合法では、先ず、アモルファス状の
原料ポリカーボネートオリゴマーを溶媒処理や加熱処理
によりオリゴマーの結晶化度を0.5%(融点120〜
130℃)から約20%(融点190〜210℃)に高
めてから、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素など
の不活性ガスの流通下で約200℃近辺で固相重合して
高分子量化する方法が開示されている(特開昭63−2
23035号公報、特開昭64−16826号公報、特
開昭64−38433号公報)。
【0005】固相反応を高温化して重合時間を短縮化す
るためには、固相重合前にオリゴマーの融点を高める結
晶化処理が必要である。上記した従来の固相重合法で
は、この結晶化処理を行うためにアセトン等の溶媒を大
量に使用し、原料オリゴマーを約40〜50℃で1〜3
時間加熱し続けた後、溶媒の除去乾燥、粉砕及び予備加
熱が必要とされている。
【0006】従って、エネルギーロスと共に、装置にか
かる負荷が大きく、また、粉体を取り扱う工程が増え、
トラブルが発生しやすい問題点があった。更に、オリゴ
マーを不活性ガス流通下の固相重合で高分子量化するに
要する反応時間は8〜20時間と長く、この時間短縮化
も大きな課題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点よ
り、簡略化された結晶化処理により製造可能でハンドリ
ングも容易なオリゴマーの粉粒体(造粒品)を原料に用
い、一層の処理時間の短縮化も可能とする固相重合方法
によるポリカーボネートの製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、原料オリゴマー粉粒体として本出願人が特開平
6−228299号公報で開示した球状オリゴマーを用
い、これを膨潤溶媒ガス流通下に固相重合させることに
より、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完
成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ
る。 (1) Wadell の球形度が0.7 〜1.0 である結晶化した
球状ポリカーボネートオリゴマーを膨潤溶媒ガスを含む
雰囲気下で固相重合することを特徴とするポリカーボネ
ートの製造方法。 (2)球状ポリカーボネートオリゴマーの平均粒径が0.
2 〜3mm である上記(1)記載のポリカーボネートの製
造方法。 (3)膨潤溶媒ガスと貧溶媒ガスを含む雰囲気下で固相
重合する上記(1)又は(2)のいずれかに記載された
ポリカーボネートの製造方法。 (4)膨潤溶媒ガスと不活性ガスを含む雰囲気下で固相
重合する上記(1)又は(2)のいずれかに記載された
ポリカーボネートの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を
(A)オリゴマー製造工程、(B)オリゴマーの造粒工
程、(C)高分子量化工程の順序で詳細に説明する。 (A)オリゴマー製造工程 固相重合用の原料ポリカーボネートオリゴマーは公知の
方法で、例えば界面重合法、溶融エステル交換法などで
合成することができる。
【0011】しかし、固相重合ではオリゴマーの一方の
末端を構成するアリール炭酸エステル基やアルキル炭酸
エステル基等の炭酸エステル基と他方の末端を構成する
ヒドロキシ基とのエステル交換反応を主反応とする縮合
反応であるから、オリゴマーの末端基の構成割合すなわ
ち前者と後者の割合(モル比)は通常、0.1〜5:1
で、好ましくは0.5〜2:1で、更に好ましくは0.
8〜1.4:1であるものが反応効率の面でよい。
【0012】こうした末端基の構成割合が一定のオリゴ
マーを界面重合法で製造するとすれば、例えばフェノー
ル末端のカーボネートオリゴマーと水酸基末端のカーボ
ネートオリゴマーとを別々に製造したものをブレンドす
る等、両末端基の割合を重合後調整して使用しなければ
ならない。こうした重合後の調整が不要で、両末端基の
調整が容易な溶融エステル交換法が適した製造法であ
る。
【0013】そこで、溶融エステル交換法によるオリゴ
マーの製造方法について以下、詳細に説明する。原料と
しては芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合
物との組み合わせが通常、最もよく用いられる。このう
ち、芳香族ジヒドロキシ化合物としては例えば、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタ
ン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA:B
PA);2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1
−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
1−メチルフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)ブタン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−
ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン;1,1
−ビス(2−t−アミ1 −4−ヒドロキシ−5−メチル
フェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン;2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;1,1−
(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−フェニル
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメ
チルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)
シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル;ビス(4,−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)エーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテ
ル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド
などのビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス
(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;
ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−
フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビ
ス(ヒドロキシアリール)スルホン類、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−2、
2’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−
3、3’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキ
シ−3、3’−ジシクロヘキシルビフェニル;3、3’
−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の
ジヒドロキシビフェニル類などが挙げられる。
【0014】本発明に用いる芳香族ジヒドロキシ化合物
としては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これ
らの中でも品質の安定性や供給の安定性に勝るビスフェ
ノールAを好適に用いることができる。一方、炭酸ジエ
ステル化合物としては炭酸ジアリール化合物、炭酸ジア
ルキル化合物、炭酸アルキルアリール化合物等がある。
炭酸ジアリール化合物としては、例えば、ジフェニルカ
ーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェ
ニル)カーボネート,ビス(m−クレジル)カーボネー
ト,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニル)カー
ボネート,ビスフェノールAビスフェニルカーボネート
等が挙げられる。
【0015】また、炭酸ジアルキル化合物としては、例
えば、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,
ジブチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネー
ト,ビスフェノールAビスメチルカーボネート等が挙げ
られる。そして、炭酸アルキルアリール化合物として
は、例えば、メチルフェニルカーボネート,エチルフェ
ニルカーボネート,ブチルフェニルカーボネート,シク
ロヘキシルフェニルカーボネート,ビスフェノールAメ
チルフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0016】本発明において、炭酸ジエステル化合物と
しては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これら
の中では、ジフェニルカーボネートを用いるのが好まし
い。上記の原料芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テル化合物を重合反応装置に供するにあたり、芳香族ジ
ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物を同一または
別々に溶融してから反応装置に供給するかまたは溶融さ
せた芳香族ジヒドロキシ化合物に炭酸ジエステル化合物
の粉末を加えて溶融させたものを供給する。
【0017】さらに、未反応の炭酸ジエステル化合物類
の流出が温度および圧力に密接に関係しているため、反
応器の温度および圧力条件を制御するためにフェノー
ル、ケトン類等副生物の流出速度やオリゴマー粘度から
反応進行度を演算し、フィードバックコントロールする
ことが好ましい。また、流出フェノール等の回収効率を
上昇させるために、反応器とコンデンサーの間に充填塔
や蒸留塔を設けることにより炭酸ジエステル化合物類の
流出を減少させることが可能である。
【0018】ここで用いる重合反応装置は公知の重合反
応器のいずれでも良く、例えばジャケット付きで攪拌機
のついた縦型反応器や横型反応器が好適である。反応工
程は一段でもよいし、多段で進めてもよく、その方式に
あわせて反応器を一基以上、直列または並列に配置して
おこなう。溶融エステル交換反応でのオリゴマー製造工
程では反応条件として温度は100〜300℃、好まし
は150〜280℃で、圧力は1Torr〜5Kg/cm2G 、好
ましくは10Torr〜2Kg/cm2G を設定する。
【0019】反応温度が低すぎるとエステル交換反応が
進行せず、反応温度が高いと原料のジフェニルカーボネ
ート等炭酸ジエステル化合物が副生するフェノール等と
共に反応系外に逃散するので好ましくない。また、反応
圧力が高いと副生フェノール等が系外に流出しがたくな
り、縮合反応が進行しなくなる。
【0020】逆に反応圧力が低すぎると原料であるジフ
ェニールカーボネート等炭酸ジエステル化合物が系外に
逃散し、反応系内の原料組成に変動が生じるので好まし
くない。さらに、製造はバッチまたは連続法、またはこ
れらを併用した方法の何れでもよく、均一なオリゴマー
を作る上では連続法が好ましい。
【0021】必要により、重合触媒が用いられる。通
常、用いられるエステル交換触媒としては例えば、アル
カリ金属化合物(例えば、水酸化リチウム,水酸化ナト
リウム,水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属化合
物、アミン類,四級アンモニウム塩類等の含窒素塩基性
化合物あるいは硼素化合物等が挙げられる。
【0022】併用する場合、これらの中では、特に、含
窒素塩基性化合物が、塩基性を示し、反応系中に比較的
残留しない特徴を有するので好ましく用いられる。上記
含窒素塩基性化合物としては具体的にトリヘキシルアミ
ン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルピリジンが好
ましく用いられる。
【0023】また、硼素化合物としては例えば、硼酸,
硼酸トリメチル,硼酸トリエチル,硼酸トリブチル,硼
酸トリヘプチル,硼酸トリフェニル,硼酸トリナフチル
等が挙げられる。前記触媒の添加量としては、原料芳香
族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、1×10-1〜1
-8 モル/モル、好ましくは1×10-2 〜10-7
モル/モルである。
【0024】この触媒の添加量が1×10-8 モル/モ
ル未満では、触媒効果が発現されない恐れがある。ま
た、1×10-1 モル/モルを超えると、最終製品であ
るポリカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解
性の低下を招く恐れがあり、また、コストアップに繋が
り、これを超えてまで添加することはない。
【0025】本発明の固相重合に原料として使用するポ
リカーボネートオリゴマーは粘度平均分子量が1000
〜30000、さらには4000〜15000のものが
好適に用いられる。分子量が低いと融点が低下し、固相
重合の重合温度の上限を低下させることになり、反応速
度の低下をまねく結果となる。また一方、分子量が30
000以上ではポリカーボネートの一般用途として充分
な分子量であり、固相重合法で更に分子量をあげる必要
性に乏しい。上記に述べた方法で合成されたオリゴマー
はその後、造粒されて粉粒体にされる。
【0026】(B)オリゴマーの造粒工程 前記のようにして得られたオリゴマーは、固相重合によ
る高分子量化工程に供する前に、Wadellの球形度が通
常、0.7〜1.0である結晶化した球状体に造粒され
る。より好ましくは0.8〜0.9である。この球状オ
リゴマーの製造は本出願人の特開平6−228299号
公報に開示されているように、予め攪拌されているオリ
ゴマー粉体が存在する造粒容器にオリゴマーの有機溶媒
溶液を供給し、該有機溶媒溶液を前記オリゴマー粉体と
接触させながら有機溶媒を蒸発させ、球状オリゴマーに
造粒することにより行うことがきる。
【0027】そのためには先ず、オリゴマーを界面法の
場合はメチレンクロライド溶液のまま、そしてエステル
交換法で製造された場合にはメチレンクロライド等のハ
ロゲン系溶媒、若くは次工程で使用される膨潤溶媒であ
るベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素
化合物に溶解してポリカーボネートオリゴマー(PCオ
リゴマー)の有機溶媒溶液とする必要がある。
【0028】PCオリゴマー溶液の濃度は通常、5〜7
5wt%の範囲で調製する。好ましくは、10〜70wt%
である。濃度がこの範囲より薄い場合には造粒時に大量
の溶媒を留去する必要があり、逆に濃度が濃すぎる場合
には溶液粘度が上昇し、造粒容器への溶液供給が難しく
なる。PCオリゴマーの有機溶媒溶液から球状PCオリ
ゴマーを得るには、先ず、造粒容器に既製のPCオリゴ
マー粉体を仕込み、攪拌した状態にしておき、そこへP
Cオリゴマーの有機溶媒溶液を供給する。造粒容器に供
給された有機溶媒溶液は、攪拌されているPCオリゴマ
ー粉体と接触しながら、粉体上で有機溶媒を蒸発させ、
引続き攪拌混合することによって、造粒され、結晶化し
た真球状に近い球状PCオリゴマーを得ることができ
る。造粒容器内で造粒された球状PCオリゴマーは、適
宜手段によって、造粒容器から取り出され、次工程の高
分子量化工程に供される。
【0029】この造粒化工程で、粒状化に先立つて造粒
容器内に予め仕込み、攪拌状態にさせておくPCオリゴ
マー粉体は、従来既知の方法で得ることができるものを
使用することができる。例えば、ニーダー等を用いて、
濃縮粉砕したものも使用可能である。ここで、造粒化が
進行し、造粒容器から球状PCオリゴマーを取り出すに
つれ、造粒された球状PCオリゴマーが、予め攪拌状態
にあったPCオリゴマー粉体に取って替わり、同様に機
能し、連続的に球状PCオリゴマーを製造することがで
きる。
【0030】造粒容器内に予め仕込むPCオリゴマー粉
体の粒径は、特に制限されないが、通常、0.2 〜3 mm
程度に揃えておくのが望ましい。更に好ましくは0.5 〜
2 mmである。粒径がこれ以上あるいは以下になると、凝
集体を生成し易くなるので好ましくない。平均粒径の測
定方法はふるわけ法(JISZ8801 1953)に
より、測定した粒径分布より求められる平均値である。
また、その仕込み量は、特に制限はないが、少なくとも
攪拌羽根を運転したときにPCオリゴマー粉体が流動
し、均一に攪拌できる量が望ましい。
【0031】そして、造粒容器に供給されるPCオリゴ
マーの有機溶媒溶液の供給量は、造粒容器内で予め攪拌
されて均一に存在しているPCオリゴマー粉体の保持量
に対して、毎時500重量%以下で、好ましくは毎時3
00重量%以下である。この供給量が少ないと生産性が
低下し、また、供給量が多くなると、得られる球状PC
オリゴマー中の残存溶媒量が増大するので好ましくな
い。
【0032】PCオリゴマーの有機溶媒溶液を造粒容器
へ供給する方法は、特に制限はなく、攪拌されているP
Cオリゴマー粉体に対して、PCオリゴマーの有機溶媒
溶液を滴下乃至流下させるように供給すればよい。ある
いは、PCオリゴマーの有機溶媒溶液を加圧加熱し、容
器内でフラッシュさせてもよい。なお、PCオリゴマー
の有機溶媒溶液を造粒容器へ供給する際、貧溶媒を同時
に供給すると、種パウダーとなる微粒子の析出促進効果
があり、より効果的に造粒することができる。
【0033】ここで、貧溶媒としては、例えば、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等
の直鎖状あるいは環状アルカン類等が挙げられる。これ
らの貧溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、また二種
以上を混合して用いてもよい。これらの中では、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンのアルカン類が、操
作上、コスト面において、また、球状PCオリゴマーか
ら容易に除去することができるので好ましい。
【0034】貧溶媒を同時に供給する場合、PCオリゴ
マーの有機溶媒溶液中のPCオリゴマー固体量に対する
貧溶媒の混入量、すなわち、(貧溶媒)/(PCオリゴ
マーの有機溶媒溶液量×PCオリゴマーの溶液濃度)×
100%=混入量比は、5〜50重量%、好ましくは1
0〜50重量%である。この貧溶媒の混入量が、5重量
%未満では球状PCオリゴマーの乾燥性が悪化して好ま
しくない。また、50重量%を超えると乾燥後の嵩密度
が低下して好ましくない。
【0035】そして、造粒容器内での球状PCオリゴマ
ーの滞留時間は、オリゴマーの結晶化度に影響する。オ
リゴマーは有機溶媒存在下で急速に結晶化が進み、オリ
ゴマーの結晶化度は有機溶媒との接触時間に依存するか
らである。PCオリゴマーの有機溶媒溶液の供給量にも
関係してくるが、0.2〜6時間である。滞留時間が短い
と造粒される球状PCオリゴマーの結晶化度が低く、
又、滞留時間が長すぎても結晶化度の上限にぶつかり、
効果がみられなくなる。
【0036】球状PCオリゴマーの結晶化度は通常、2
5〜40%が好ましい。更に好ましくは27〜35%で
ある。結晶化度が25%以下であると、オリゴマーの融
点が低いので、高分子量化工程における固相重合で、よ
り低い温度から反応を開始しなければならず、重合時間
が長くなり不利である。一方、40%を超えると反応性
が低下するからである。
【0037】結晶化度の測定法はDSC法により(「Jo
urnal of polymer science partBpolyphysics,vol25,p1
511 〜p1517,1987」) 、パーキングエルマー社DSC−
7型器で測定した。また、造粒容器内で球状PCオリゴ
マーを造粒する場合、その温度としては、PCオリゴマ
ーの有機溶媒溶液の有機溶媒が蒸発するのに支障のない
雰囲気に保持される温度が望まれる。
【0038】詳しくは、有機溶媒の沸点が約5〜150
℃から、通常、35〜200℃に保持される。この温度
が35℃未満では、有機溶媒が効率的に蒸発除去されず
好ましくない。また、200℃を超えると、造粒される
球状PCオリゴマーが融着し、造粒が困難となる。そし
て、造粒容器内の圧力は、−500mmHg〜10kg
/cm2 、好ましくは−200mmHg〜3kg/cm
2 に保持され造粒化される。特に好ましくは、造粒化は
常圧付近で行うのが望ましい。この圧力が、−500m
mHg未満では、真空操作にコストが掛かり好ましくな
い。また、10kg/cmを超えると、造粒化には特に
問題はないが、有機溶媒の容器内での凝縮や耐圧性の容
器を必要としコスト的に不利になり好ましくない。大気
圧付近が有機溶媒の回収を容易にし、更に、装置のコス
トも低減するので好ましい。
【0039】この造粒化を実操業で実施する際には、そ
の機器としては、例えば、ニーダー,ハンドミキサー,
ロータリードラム型混合器,リボン乾燥機,ディスクド
ライヤー等が好適に使用できる。また、攪拌用の機器と
しては、例えば、ヘンシェルミキサー〔三井三池化工器
(株)製〕,ナウターミキサー〔ホソカワミクロン
(株)製〕,TURBO SPHEERE ミキサー〔住友重機械工業
(株)製〕,タービュライザー(ホソカワミクロン
(株)製〕等がある。更に、攪拌機としては、例えば、
ヘリカル翼,パドル翼,格子翼,櫂型翼等が適してい
る。特に、縦型のヘリカルリボンやパドル型混合器を備
えたものが好ましい。また、造粒容器を加熱するため
に、ジャケット付きのものが好ましい。
【0040】以上の方法により、真球状のPCオリゴマ
ー、すなわちWadellの球形度に換算して、0 .7〜1.0 で
ある結晶化した球状ポリカーボネートが得られる。ま
た、平均粒径は0.2 〜3 mmに制御することが好ましい。
本発明においては、この高分子量化工程にあたって、真
球状に造粒された球状PCオリゴマーを用いることによ
って、流動性が良く、攪拌混合機能を有しない固相重合
リアクターを用いても、付着やブロック化が少なく、効
率的に高分子量化を行うことができる。また、その充填
効率が高いために、装置コストを安価にすることができ
る。
【0041】なお、真球度は、次に定義されるWadellの
球形度で判定した。 Wadell の球形度=〔投影面積に等しい面積の円の直
径〕/〔投影像に外接する最小円の直径〕 ここで、投影面積に等しい面積の円の直径は、得られた
粉体を実体顕微鏡下で写真撮影し、その面積から求め
た。また、投影像に外接する最小円の直径は、円形の目
をもつふるいを用い、その代表値を定めた。
【0042】(C)高分子量化工程 上述のように球状化されたポリカーボネートオリゴマー
は膨潤溶媒ガスを含む雰囲気下での固相重合(膨潤固相
重合)により、高分子量化される。膨潤固相重合の反応
条件は通常、 温度 100〜320℃、好ましくは180〜290℃ 圧力 10Torr 〜 5kg/cm2G、好ましくは大気圧 である。膨潤溶媒ガスを含む雰囲気下で重合することに
より重合反応速度の向上及び副生するケトン類、フェノ
ール等の除去効率を向上させる効果を有し、従来法に比
較して大幅な反応時間の短縮と結晶化処理工程の削減を
可能となる。
【0043】従来の固相重合法では不活性ガス気流下で
反応させるという記載があり(特開昭63−22303
5号公報)、その不活性ガスは窒素、二酸化炭素、アル
ゴン、ヘリウムである。しかしながら、これらのガスの
効果はあくまでも気相における副生成物の分圧低下すな
わち粒子内における副生成物拡散律速の改善が目的であ
ると推察されるが、それ以前に化学反応が律速段階とな
っている。それに対して、本発明では、オリゴマーを膨
潤状態にし、飛躍的に反応速度を向上させるすなわち化
学反応律速を改善する効果があると考えられる。
【0044】従って従来の固相重合では化学反応律速で
あるのに対し、本発明では化学反応速度が改善されたた
めに生じる副生成物の拡散律速となり、基本とする概念
および反応律速段階等の反応機構が異なると考えられ
る。ここでいう膨潤状態とは、重合反応条件下において
原料オリゴマーが体積増加又は重量増加した状態、すな
わち膨潤溶媒の吸収により、単なる熱膨張状態以上に体
積的、重量的に増加した状態をいう。
【0045】膨潤溶媒は上記「膨潤状態」を形成し得る
とともに、重合反応条件下に完全に気化する沸点または
相応の蒸気圧(50mmHg以上、好ましくは200m
mHg以上)を有し、かつ135℃で粘度平均分子量2
2000のポリカーボネートを1.5〜50重量%溶解
し得るものが好ましい。この溶解度の測定法は室温下で
溶媒300g中に300gの粘度平均分子量22000
のポリカーボネートを耐圧ガラス製オートクレーブに入
れ、密栓して135℃に2時間保持して、ポリカーボネ
ートの溶解量を測定する。
【0046】又、膨潤溶媒は上記の膨潤状態にすること
が可能な溶媒を意味する。同反応条件下において完全に
気化する沸点を持つか又は相応の蒸気圧(50mmHg以
上、好ましくは200mmHg以上)を有する単一化合物又
はそれらの混合物が用いられる。そのような膨潤溶媒
は、例えば、溶解度パラメーターが4〜20(cal/cm3)
1/ 2 の範囲であり、好ましくは7〜14(cal/cm3)1/2
程度の芳香族化合物や含酸素化合物が含まれる。また、
150℃を超える条件ではエステル交換反応に溶媒が関
与する可能性から水酸基、カルボキシル基、アミノ基、
アミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基等の比較的
水素結合性の高い官能基を有した溶媒は使用するべきで
はない。そして、200℃を超える温度条件下ではケト
ン、エーテル結合等を含む化合物の使用も避けたいとこ
ろである。さらに環境面からハロゲン系溶媒の使用も好
ましくない。
【0047】具体的な膨潤溶媒としては、芳香族炭化水
素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ジプロ
ピルベンゼン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、
ジオキサン、アニソール等)やケトン類(メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられるが、
好ましくは炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素の単一
化合物、またはそれらの混合物である。
【0048】本発明では膨潤溶媒ガスを含む雰囲気下
で、或いは更に貧溶媒ガスや不活性ガスを含む雰囲気下
で固相重合する。すなわち、本発明において膨潤状態を
コントロールするために、上述の膨潤溶媒に、オリゴマ
ー又はその高次重合物に対する貧溶媒を加えてもよい。
貧溶媒は135℃で粘度平均分子量22000のポリカ
ーボネートの溶解度が0.1重量%以下であり、かつ重
合反応に関与しないものである。
【0049】このような当該貧溶媒としては例えば溶解
度パラメーターが4〜20(cal/cm 3)1/2 、好ましくは
6〜12(cal/cm3)1/2 で、炭素数5〜20、より好ま
しくは5〜10の環状炭化水素、炭素数4〜18、より
好ましくは6〜12のの直鎖または分岐鎖飽和炭化水素
または炭素数4〜18、より好ましくは6〜10の低度
の不飽和炭化水素が挙げられる。貧溶媒も単独で用いて
もよく、二種以上混合で用いてもよい。具体的にはヘプ
タン、オクタン、ノナン、シクロヘキサンが挙げられ
る。
【0050】膨潤溶媒および貧溶媒ともに沸点が250
℃を超えると残留溶剤の除去が難しくなり、品質が低下
する可能性がある。膨潤溶媒と共に、貧溶媒を含む混合
溶媒を用いる場合にはその混合溶媒中の膨潤溶媒が1重
量%以上、好ましくは5重量%以上含有していればよ
く、反応速度を向上させることができる。
【0051】なお、膨潤溶媒および貧溶媒ともに水酸
基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、
ニトロ基、スルホン基等の比較的水素結合性の高い官能
基を有した溶媒は150℃を超える重合温度ではエステ
ル交換反応に関与する可能性があることから使用すべき
でない。さらに、環境面からハロゲン系溶媒の使用も好
ましくない。
【0052】また、膨潤溶媒と不活性ガスを用いた系も
上記、膨潤溶媒と貧溶媒の混合系に準じて使用すること
ができる。すなわち、膨潤溶媒の種類と膨潤溶媒量比が
上記の条件を満たしていればよい。不活性ガスとして、
具体的には窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウムが挙
げられ、それらの単一成分又はそれらの混合ガスが用い
られる。
【0053】膨潤溶媒ガス等の固相重合器内での流通速
度は通常、0.001cm/秒以上、好ましくは0.0
1cm/秒以上である。ガス流通速度が一定速度以上あ
れば固相中のフェノール等副生物の濃度を下げることに
なり、反応速度を高いレベルで維持できるからである。
このような反応に用いられる反応器に特に制限はない。
従来の攪拌槽型反応器からタンブラー型、キルン型、パ
ドルドライヤー型、スクリュウコンベヤー型、振動型、
流動床型、固定床型、移動床型等の反応器を用いること
が可能あり、これらを単独または組み合わせて使用する
こともできる。
【0054】本発明の方法で高分子量化したポリカーボ
ネートの乾燥およびペレット化工程は、従来の方法が使
用可能であり、特に制限はない。末端停止剤、酸化防止
剤などの添加剤を混合する場合には乾燥前後に直接、粉
粒体に添加剤粉末をまぶすか、液体を噴霧、気体を吸収
させることができる。また、ペレット化時に押し出し機
で混合することもできる。
【0055】末端停止剤の具体例としては、o−n−ブ
チルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−
ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イ
ソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−
t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p
−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノー
ル;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフ
ェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキ
シルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シ
クロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノー
ル;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェ
ノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノ
ール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェ
ノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノ
ール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;
o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p
−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノ
ール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ
−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェ
ノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミ
ルフェノール;で表される化合物等の一価フェノールが
挙げられる。
【0056】このようなフェノール類のうち、本発明で
は特に限定されないが、p−tert−ブチルフェノール;
p−クミルフェノール;p−フェニルフェノールなどが
好ましい。なお、本発明では、必要に応じて、酸化防止
剤を使用することができる。例えば、リン系酸化防止剤
としては、具体的には、トリ(ノニルフェニル)ホスフ
ァイト,2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの
他、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイ
ト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイ
ト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイ
ト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペン
タエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチ
ル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピ
ル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;ト
リシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキ
ルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレ
ジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファ
イト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシ
フェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイ
ト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェー
ト,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェー
ト,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフ
ェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェー
ト,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス
(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリ
アルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェー
トなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニ
ルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス
(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニル
ジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェー
トなどが挙げられる。
【0057】なお、本発明の製造法の全体を装置図をも
って、その流れを説明する。図1は、本発明の球状PC
オリゴマーの製造方法および該PCオリゴマーを用い、
固相重合によって連続的にポリカーボネートを製造する
方法の一例の概略を示す説明図である。造粒容器Aは、
PCオリゴマー粉体を攪拌するための攪拌機1(攪拌羽
根2を有する。)と造粒容器Aを温度調節するためのジ
ャケット3とを装備している。ジャケット3によって所
要温度に加熱された造粒容器Aには、攪拌機1によって
予め攪拌されているPCオリゴマー粉体(図示せず)が
存在しており、PCオリゴマーの有機溶媒溶液Bと、必
要に応じて貧溶媒Cが供給される。
【0058】この造粒容器Aでは、供給されたPCオリ
ゴマーの有機溶媒溶液Bが、攪拌されているPCオリゴ
マー粉体と接触しながら有機溶媒溶液の有機溶媒を蒸発
させ、PCオリゴマーが球状に造粒される。ここで、蒸
発した有機溶媒は、溶媒回収工程Dに導入され回収さ
れ、循環使用される。造粒された球状PCオリゴマーG
は、造粒容器Aの下部よりバルブ4を利用して取り出さ
れ、必要に応じて予備乾燥機Eで乾燥してから、固相重
合リアクターHに送入される。この予備乾燥機Eで乾燥
に伴って蒸発する有機溶媒は、溶媒回収工程Fに導入さ
れ回収される。
【0059】なお、造粒化が進行し、造粒容器Aから球
状PCオリゴマーが取り出されると、造粒容器内に存在
していたPCオリゴマー粉体は、生成した球状PCオリ
ゴマーに取って代わられ、次いで、生成した球状PCオ
リゴマーは、PCオリゴマーの有機溶媒溶液体と接触し
有機溶媒を蒸発させ、造粒機能を果たし、造粒化を連続
的に行うことができる。勿論、造粒容器内に予めPCオ
リゴマー粉体を存在させて、造粒化を回分式で行っても
よい。
【0060】固相重合リアクターHには、ジャケット5
が装備されており、また、膨潤溶媒ガスの吹き込み口J
を装備している。ジャケット5で所要温度に加熱された
固相重合リアクターHには、膨潤溶媒ガスが吹き込ま
れ、造粒容器Aから送入された球状PCオリゴマーの固
相重合が行われ、ポリカーボネートLを得ることができ
る。
【0061】固相重合リアクターH内で固相重合によっ
て生成したポリカーボネートLは、固相重合リアクター
の下部よりバルブ6を利用して連続的または回分的に排
出される。かくして得られたポリカーボネートLは、適
宜押出機で造粒され、各種用途に応じた成形に供され
る。なお、固相重合リアクターHに吹き込まれた膨潤溶
媒ガスは、固相重合の進行に伴って固相重合リアクター
Hから膨潤溶媒ガス回収工程Kにて回収され、循環使用
される。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。 実施例1 撹拌機、不活性ガス導入管、フェノールガス排出管を備
えた10リットル容量のオートクレーブに、ビスフェノ
ールAすなわち2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロ
パン2283gとジフェニルカーボネート2249gを仕
込み、真空脱揮および窒素導入を繰り返した後、180
℃に加熱して内容物を完全に溶融させた。再度、真空脱
揮および窒素導入を行った後に、触媒として、0.00
25molのNaOHおよび0.0001molのTMAH(テトラメ
チルアンモニウムヒドロキシド)を水溶液の状態で添加
し、反応を開始した。
【0063】反応開始と同時に生成フェノールを系外に
除去するために圧力を300mmHgまで減圧し、220℃
まで昇温しながら圧力を150mmHgまで徐々に減圧し
た。この間の反応時間は1.1時間であった。さらに真
空度を12torrまで徐々に下げながら温度を270℃ま
で昇温し、1.4時間反応させた。反応終了後、窒素で
反応器内を大気圧にもどし、少量ずつ内容物を取り出
し、水中へ滴下することによって固化させた。
【0064】この固体となったオリゴマーをさらにクラ
ッシャーで粉砕し、平均粒径0.57mmの粉末を241
0g得た。このオリゴマーの粘度平均分子量は640
0、結晶化度は0.4%であり、末端比率はフェノール
末端(フェニルカーボネート末端)および水酸基末端が
それぞれ53および47mol%であった。このオリゴマー
粉末100gを予め、内容積1リットルの加熱器付き撹
拌容器に仕込んだ。この撹拌容器を150℃に加熱する
と共に、180rpmで撹拌した。また、オリゴマーの有
機溶媒溶液を得るために、上記のオリゴマー1000g
を250℃で溶融させ、pーキシレン950gと混合し溶
液とし、157℃の温度に保持した。
【0065】前記の撹拌容器内のオリゴマー温度が15
0℃に到達した時点で、前記オリゴマーの有機溶媒溶液
を0.7リットル/hで該容器に投入し、同時にnーヘプ
タンを0.3リットル/hの割合で供給し、造粒を行っ
た。撹拌容器内で造粒されたオリゴマーは逐次取り出す
ようにし、球状のオリゴマーを870g(2.1リット
ル)製造した。
【0066】このようにして得られた球状のオリゴマー
は、平均粒径0.52mmで、Wadellの球形度に換算して
0.82と真球度が高いものであった。さらに真空乾燥
して溶媒を留去したところ、結晶化度は31.2%であ
り、分子量及び末端比率に変化はなかった。さらに、こ
の球状のオリゴマー粒子の含液率が7.2wt%と低かっ
たことから乾燥や予備加熱をすることなく、直接、直径
5cm、長さ30cmのSUS製の固定床型反応器に仕込み、
膨潤溶媒混合ガス(窒素を45vol%含むpーキシレン、
反応温度条件における体積比)を、3.6cm/sの速度で
供給し、220℃で2時間重合を行った。重合後の粉末
は粘度平均分子量は33700であった。得られたサン
プルを溶融圧縮し、プレート成形したものは着色がな
く、無色透明であった。また、重合中に融着、ブロッキ
ング等のトラブルは観察されなかった。
【0067】実施例 2 実施例1で製造した球状のオリゴマー粒子を、膨潤溶媒
混合ガスをnーヘプタンを50wt%含むpーキシレンに変
えてパドル翼を備えた横型撹拌槽(500ml)で反応さ
せた以外は実施例1と同じである。重合後の粉末は粘度
平均分子量は37400であった。得られたサンプルを
溶融圧縮し、プレート成形したものは着色がなく、無色
透明であった。また、重合中に撹拌翼や反応器壁面への
融着、ブロッキング等のトラブルは観察されなかった。
【0068】実施例 3 実施例1で製造したオリゴマー粉末100gを予め、内
容積1リットルの加熱器付き撹拌容器に仕込んだ。この
撹拌容器を180℃に加熱すると共に、180rpmで撹
拌した。また、オリゴマーの有機溶媒溶液を得るため
に、上記のオリゴマー1000gを250℃で溶融さ
せ、トルエン1300gと混合し溶液とし、151℃の
温度に保持した。
【0069】前記の撹拌容器内のオリゴマー温度が18
0℃に到達した時点で、前記オリゴマーの有機溶媒溶液
を0.6リットル/hで該容器に投入し、同時にnーオク
タンを0.4リットル/hの割合で供給し、造粒を行っ
た。撹拌容器内で造粒されたオリゴマーは逐次取り出す
ようにし、球状のオリゴマーを920g(2.4リット
ル)製造した。このようにして得られた球状のオリゴマ
ーは、平均粒径0.68mmで、Wadellの球形度に換算し
て0.88と真球度が高いものであった。さらに真空乾
燥して溶媒を留去したところ、結晶化度は31.7%で
あり、分子量及び末端比率に変化はなかった。
【0070】さらに、この球状のオリゴマー粒子の含液
率が3.8wt%と低かったことから乾燥や予備加熱をす
ることなく、直接、直径5cm、長さ30cmのSUS製の固
定床型反応器に仕込み、膨潤溶媒混合ガス(nーヘプタ
ンを50wt%含むpーキシレン)を、3.8cm/sの速度
で供給し、220℃で2時間重合を行った。重合後の粉
末は粘度平均分子量は32200であった。得られたサ
ンプルを溶融圧縮し、プレート成形したものは着色がな
く、無色透明であった。また、重合中に融着、ブロッキ
ング等のトラブルは観察されなかった。
【0071】比較例 1 実施例1で製造したオリゴマー粉末100gを500ml
の撹拌容器に仕込み、アセトンで満たして、40℃で1
時間撹拌しながら結晶化を行った。このアセトン処理し
たオリゴマー粉末は、平均粒径0.18mmで微粉化し、
また、Wadellの球形度に換算して0.51と真球度が低
いものであった。さらに真空乾燥して溶媒を留去したと
ころ、結晶化度は26.4%であった。
【0072】さらに、このオリゴマー粒子を乾燥や予備
加熱をすることなく、直接、直径5cm、長さ30cmのSU
S製の固定床型反応器に仕込み、窒素ガスを、5.3cm/
sの速度で供給し、220℃で2時間重合を行った。重
合後の粉末を溶融圧縮し、プレート成形したものは着色
がなく、無色透明であった。しかしながら、粘度平均分
子量は9100であり、溶融圧縮プレートは非常に脆
く、本発明に対して反応速度が遅く、かなりの長時間が
要求されることが分かった。また、微粉化していること
から流動性が悪化し、さらに重合器内で反応ムラがある
らしく、一部分がスポンジ状になっていた。重合後に反
応器壁面に付着物があり、回収する段階でメチレンクロ
ライドに溶解させる必要があった。
【0073】
【発明の効果】以上の如く、本発明においては、真球度
の高い球状のポリカーボネートオリゴマーを原料とし、
これを膨潤溶媒ガスを含む雰囲気下で固相重合すること
により、固相重合前の結晶化処理が簡略化され、オリゴ
マーのハンドリングも容易であり、固相重合時間も格段
に短縮される。建設コストやランニングコストの低減と
ともに、良質のポリカーボネートを安定して効率よく製
造することが可能となり、その効果は極めて大きなもの
である。
【0074】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の球状PCオリゴマーの製造方法およ
び該PCオリゴマーを用い、膨潤溶媒ガスを含む雰囲気
下で固相重合により、連続的にポリカーボネートを製造
する方法の一例の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
A:造粒容器, B:PCオリゴマーの有機溶媒溶
液,C:貧溶媒 , D:有機溶剤回収工程,
E:予備乾燥機,F:有機溶剤回収工程, G:球状
PCオリゴマー,H:固相重合リアクター, J:膨
潤溶媒ガス吹き込み口,K:膨潤溶媒ガス回収工程,
L:ポリカーボネート,1:攪拌機, 2:攪拌羽
根, 3:ジャケット(造粒容器用),4:排出バルブ
(球状PCオリゴマー用),5:ジャケット(固相重合
リアクター用),6:排出バルブ(ポリカーボネート
用)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 誠二 千葉県袖ケ浦市上泉1280番地 出光興産株 式会社内 (72)発明者 茂木 広明 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石油 化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Wadell の球形度が0.7 〜1.0 である結晶
    化した球状ポリカーボネートオリゴマーを膨潤溶媒ガス
    を含む雰囲気下で固相重合することを特徴とするポリカ
    ーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】球状ポリカーボネートオリゴマーの平均粒
    径が0.2 〜3mm である請求項1記載のポリカーボネート
    の製造方法。
  3. 【請求項3】膨潤溶媒ガスと貧溶媒ガスを含む雰囲気下
    で固相重合する請求項1又は2のいずれかに記載された
    ポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】膨潤溶媒ガスと不活性ガスを含む雰囲気下
    で固相重合する請求項1又は2のいずれかに記載された
    ポリカーボネートの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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