JPH0859813A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

Info

Publication number
JPH0859813A
JPH0859813A JP19867394A JP19867394A JPH0859813A JP H0859813 A JPH0859813 A JP H0859813A JP 19867394 A JP19867394 A JP 19867394A JP 19867394 A JP19867394 A JP 19867394A JP H0859813 A JPH0859813 A JP H0859813A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate
bis
polycarbonate oligomer
oligomer
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19867394A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriyuki Hisanishi
律行 久西
Shigeki Kuze
茂樹 久世
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP19867394A priority Critical patent/JPH0859813A/ja
Publication of JPH0859813A publication Critical patent/JPH0859813A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリカーボネートオリゴマーを使用する固相重
合方法おいてポリカーボネートの着色、劣化を伴わず、
反応時間を短くすることができ、しかも製造工程全体の
簡素化の可能な固相重合方法を見出すこと。 【構成】ジヒドロキシ化合物(A)とジアルケニルカー
ボネート(B)とを反応させてポリカーボネートオリゴ
マー(C)を製造し、これを結晶化及び球状化させ、続
いて固相重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネートの製造
方法に関する。更に詳しくは、エステル交換法によりポ
リカーボネートを製造する際に、得られるポリカーボネ
ートの着色、劣化を少なくすることができ、しかも、溶
融エステル交換反応の際に使用する特殊機器を無くし、
さらには反応時間を短縮して、製造工程を簡素化するこ
とができるポリカーボネートの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】工業的
にポリカーボネートを製造する方法としては、主として
界面重縮合法及び溶融法があり、前者は品質良好なポリ
カーボネートが得られ易いが、原料としてホスゲンを使
用しなければならないこと、使用溶媒が完全には除去し
難いこと、副生する塩化水素や塩化ナトリウムなどの含
塩素化合物によって製造装置が腐食しやすいこと、生成
ポリマー中に混入する水酸化ナトリウムなど、ポリマー
の物性に悪影響を及ぼす不純物の分離が困難であるこ
と、反応に使用されるアルカリの除去に多大の労力を要
すること等の問題がある。
【0003】これに対して溶融法は、ジフェニールカー
ボネートのごとき炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物
とを溶融状態でエステル交換反応させる方法であるが、
界面重縮合法と比較して、安価にポリカーボネートを製
造することができる利点を有しているものの、通常、2
80〜310℃,1mmHgと、高温、高減圧下でしか
も長時間反応させる必要があり、さらに若干の漏れ込み
が防ぎ切れない酸素による影響を受け、ポリカーボネー
トの着色、劣化問題から逃れられないと言う大きな欠点
を有する。
【0004】このような溶融法において、この着色、劣
化を低減させるために、種々の改良技術が提案されてい
る。例えば、特公昭61−39972号公報,特開昭6
2−158719号公報等には、反応後期に酸化防止剤
を添加する方法が開示されている。また、特開昭61−
62522号公報等には、反応後期に二軸ベント式混練
押出機を使用する方法が開示され、更に、特開平2−1
53925号公報等には、横型攪拌重合槽を使用するな
どプロセス的な改良技術が開示されているが、いずれも
上記着色、劣化の問題を十分解決できる程度には至って
いない。
【0005】これらの問題点を解消する一方法として、
特開平1−158033号公報,同3−223330号
公報にはプレポリマーを使用する固相重合法が提案され
ているが、この重合法は、プレポリマーとしてのポリカ
ーボネートオリゴマーを固相重合する技術であり、低温
で高分子量化することができ、前記着色、劣化という課
題はほとんど解決され、品質の良いものが得られるとい
う趣旨の記載がある。しかし、この固相重合法をとる場
合、ポリカーボネートオリゴマーは予め必ず結晶化させ
ておく必要があるため、ここで多量の結晶化剤(貧溶
媒)を使用してポリカーボネートオリゴマーを沈澱さ
せ、更に、これらを圧縮・造粒加工している。このため
に、エネルギーロスと共に、装置的な負荷が大きく、ま
た、粉体を取り扱う工程が増え、トラブルが発生し易い
問題点がある。更には、固相重合が比較的低温で実施さ
れているため、反応時間が長くなっている。しかも、特
開平1−158033号公報記載の発明によれば、固相
重合を行う際にはガラス転移温度以上で、融着を起こさ
ず固相を保持する温度の範囲内で、重合速度を上げるた
め可及的に高温にすることが好ましいとしている。しか
し、得られたポリカーボネートオリゴマーは粉体同士の
接触点(面)が多く(広く)上記温度上昇により融着し
易い状態にあり、重合速度を上げるための高温化には実
質上効果的ではない。一方、特開平3−223330号
公報記載の発明によれば、結晶化したオリゴマー(プレ
ポリマー)を製造するには結晶化溶媒中で平均粒径が2
50μm以下になるように高剪断力を与えて処理し、多
孔化しているが、結晶化溶媒を多量に要し、又高剪断力
付与処理装置に多大な設備費を要する欠点を有する。
【0006】そこで本発明は、ポリカーボネートオリゴ
マーを使用する固相重合方法について詳細に検討し、ポ
リカーボネートの着色、劣化を伴わず、反応時間を短く
することができ、しかも製造工程全体の簡素化の可能な
固相重合方法を見出すことを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意研究をした結果、ジヒドロキシ化合物によ
りエステル交換されるカーボネートとして特定のカーボ
ネートを使用し、ポリカーボネートオリゴマーを製造
し、これに特定の処理を施し、続いて固相重合すること
により解決することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち、本発明の要旨は、以下の通りであ
る。 (第1)ジヒドロキシ化合物(A)とジアルケニルカー
ボネート(B)とを反応させてポリカーボネートオリゴ
マー(C)を製造し、これを結晶化及び球状化させ、続
いて固相重合させるポリカーボネートの製造方法。 (第2)ジアルケニルカーボネート(B)が、一般式
(I)
【0009】
【化2】
【0010】〔式中、R1 〜R6 は、それぞれ水素原
子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,アル
コキシカルボニル基又は炭素数6〜20のアリール基を
示し、それらは同一であってもよいし、異なっていても
よく、R1 〜R6 は、結合して環状構造をとってもよ
い。Yはジヒドロキシ化合物から水酸基を2個除いた残
基を示す。nは0〜20の整数である。〕で表される上
記第1記載のポリカーボネートの製造法。 (第3)ポリカーボネートオリゴマー(C)の結晶化及
び球状化を、攪拌下にあるポリマー粉体が存在する造粒
容器に、該ポリカーボネートオリゴマー(C)の有機溶
媒溶液を供給し、前記粉体と接触させ、該溶液の有機溶
媒を蒸発させつつ行う上記第1記載のポリカーボネート
の製造方法。 (第4)球状化したポリカーボネートオリゴマーの真球
度が、Wadellの球形度に換算して0.8〜1.0である上記
第1記載のポリカーボネートの製造方法。 (第5)球状化したポリカーボネートオリゴマーの平均
粒径が0.5〜3.0mmである上記第4記載のポリカーボ
ネートの製造方法。 (第6)結晶化及び球状化させたポリカーボネートオリ
ゴマーを、140〜260℃の加熱において固相重合さ
せる上記第1記載のポリカーボネートの製造方法。
【0011】以下、本発明の内容を詳細に説明する。本
発明において使用される(A)成分としてのジヒドロキ
シ化合物には各種のものが適用される。例えば、芳香族
ジヒドロキシ化合物及び脂肪族ジヒドロキシ化合物から
選択される少なくとも一種の化合物を挙げることができ
る。この(A)成分の一つとして用いられる芳香族ジヒ
ドロキシ化合物としては、一般式(II)
【0012】
【化3】
【0013】〔式中、R7 は、それぞれハロゲン原子
(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜
8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル基,プロピ
ル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソア
ミル基,ヘキシル基など)であり、このR7 が複数の場
合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよ
く、mは、0〜4の整数である。そして、Zは、単結
合,炭素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のア
ルキリデン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロ
ピレン基,ブチレン基,ペンテリレン基,ヘキシレン
基,エチリデン基,イソプロピリデン基など),炭素数
5〜15のシクロアルキレン基又は炭素数5〜15のシ
クロアルキリデン基(例えば、シクロペンチレン基,シ
クロヘキシレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキ
シリデン基など),又は−S−,−SO−,−SO
2 −,−O−,−CO−結合もしくは式(III) あるいは
(III')
【0014】
【化4】
【0015】で表される結合を示す。〕で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。このような芳香族
ジヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−クロロ
−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジ
ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス
(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオ
ロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA);2,2−ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(2−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(3
−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2
−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
1−メチルフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン;2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プ
ロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−
5−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フ
ェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,
1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビ
ス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)イソブタン;1,1−ビス(2−t−アミル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;2,2−
ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘプタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン;2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;1,1−
(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロ
キシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−フェニル
−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメ
チルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)
シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル;ビス(4,−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)エーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテ
ル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビ
ス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド
などのビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス
(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシ
ドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3
−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどの
ビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、4,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−2、
2’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−
3、3’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキ
シ−3、3’−ジシクロヘキシルビフェニル;3、3’
−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の
ジヒドロキシビフェニル類などが挙げられる。
【0016】上記一般式(II)以外の芳香族ジヒドロキシ
化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン及
びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類などがある。例
えば、レゾルシン,3−メチルレゾルシン,3−エチル
レゾルシン,3−プロピルレゾルシン,3−ブチルレゾ
ルシン,3−t−ブチルレゾルシン,3−フェニルレゾ
ルシン,3−クミルレゾルシン;2,3,4,6−テト
ラフルオロレゾルシン;2,3,4,6−テトラブロモ
レゾルシン;カテコール,ハイドロキノン,3−メチル
ハイドロキノン,3−エチルハイドロキノン,3−プロ
ピルハイドロキノン,3−ブチルハイドロキノン,3−
t−ブチルハイドロキノン,3−フェニルハイドロキノ
ン,3−クミルハイドロキノン;2,5−ジクロロハイ
ドロキノン;2,3,5,6−テトラメチルハイドロキ
ノン;2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロキ
ノン;2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノ
ン;2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が
挙げられる。
【0017】また、(A)成分の一つとして使用される
脂肪族ジヒドロキシ化合物には、下記のような各種のも
のがある。例えば、ブタン−1,4−ジオール;2,2
−ジメチルプロパン−1,3−ジオール;ヘキサン−
1,6−ジオール;ジエチレングリコール;トリエチレ
ングリコール;テトラエチレングリコール;オクタエチ
レングリコール;ジプロピレングリコ−ル;N,N−メ
チルジエタノールアミン;シクロヘキサン−1,3−ジ
オール;シクロヘキサン−1,4−ジオール;1,4−
ジメチロールシクロヘキサン;p−キシリレングリコー
ル;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)
−プロパンおよび二価アルコール又はフェノールのエト
キシ化又はプロポキシ化生成物、例えば、ビス−オキシ
エチル−ビスフェノールA;ビス−オキシエチル−テト
ラクロロビスフェノールAまたはビス−オキシエチル−
テトラクロロヒドロキノン等が挙げられる。
【0018】本発明において、(A)成分のジヒドロキ
シ化合物としては、上記の化合物を適宜選択して用いる
が、これらの中では、得られるポリカーボネートの機械
的物性上、又原料の入手の容易さの点から、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物であるビスフェノールA(BPA)が特
に好ましい。
【0019】本発明において使用される(B)成分のジ
アルケニルカーボネートは両末端にアルケニルアルコー
ルの炭酸エステル基が存在するものであれば特に制限さ
れるものではないが、最も一般的に使用されるものとし
て下記一般式(I)
【0020】
【化5】
【0021】〔式中、R1 〜R6 は、それぞれ水素原
子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,アル
コキシカルボニル基又は炭素数6〜20のアリール基を
示し、それらは同一であってもよいし、異なっていても
よく、R1 〜R6 は、結合して環状構造をとってもよ
い。Yはジヒドロキシ化合物から水酸基を2個除いた残
基を示す。nは0〜20の整数である。〕で表されるジ
アルケニルカーボネートを挙げることができる。
【0022】上記(B)成分の一般式(I) で表されるジ
アルケニルカーボネートの具体例としては様々なものが
あるが、例えば一般式(I) において、nが0の場合、ジ
ビニルカーボネート〔R1 〜R6 のすべてが水素原子で
ある。〕,ジイソプロペニルカーボネート〔R1 ,R2
及びR4 ,R5 が水素原子であり、R3 ,R6 がメチル
基である。〕;ジプロペニルカーボネート〔R2 ,R3
及びR5 ,R6 が水素原子であり、R1 ,R4 がメチル
基である。〕;2,2−ジクロロエチニルエチニルカー
ボネート〔R1 ,R2 が塩素原子であり、R3 〜R6
水素原子である。〕;2,2’−ビス(メトキシカルボ
ニル)イソプロペニルカーボネート〔R 1 ,R4 がメト
キシカルボニル基、R3 ,R6 がメチル基及びR2 ,R
5 が水素原子である。〕などが挙げられる。
【0023】また、nが1〜20の場合における一般式
(I) で表される化合物としては、ビスフェノールAビス
ビニルカーボネート,ビスフェノールSビスビニルカー
ボネート,テトラメチルビスフェノールAビスビニルカ
ーボネート,テトラブロモビスフェノールAビスビニル
カーボネート,ビス(4−エテニルオキシカルボニルオ
キシフェニル)エーテル,ハイドロキノンビスビニルカ
ーボネート,レゾルシンビスビニルカーボネート,ビス
フェノールAビスイソプロペニルカーボネート,ビスフ
ェノールSビスイソプロペニルカーボネート,テトラメ
チルビスフェノールAビスイソプロペニルカーボネー
ト,テトラブロモビスフェノールAビスイソプロペニル
カーボネート,ビス(4−イソプロペニルオキシカルボ
ニルオキシフェニル)エーテル,ハイドロキノンビスイ
ソプロペニルカーボネート,レゾルシンビスイソプロペ
ニルカーボネートなどが挙げられる。その他、6−メチ
ル−4−メチレン−4H−1,3−ジオキシン−2−オ
ンなどがある。これらの中では、ビスフェノールAビス
ビニルカーボネート,ビスイソプロペニルカーボネート
が好ましく用いられる。
【0024】本発明に係る(B)成分の製造方法を前記
の一般式(I) で表されるジアルケニルカーボネートにつ
いて説明する。一般式(I) で表されるジアルケニルカー
ボネートの製造には種々の手法を採ることができる。例
えば、ジビニルカーボネートあるいはジイソプロペニル
カーボネートなどは、3級アミンの存在下、ホスゲンと
対応するアルデヒド又はケトンの水銀化合物とを反応さ
せることによって合成することができる他、ビスフェノ
ールAビスビニルカーボネートは、3級アミンの存在
下、イソプロペニルクロロフォーメートとジヒドロキシ
化合物のビスフェノールAとを反応させることによって
も合成することができる。上記の化合物については、米
国特許第2,574,699 号明細書記載内容を参照することに
よって容易に合成することができる。
【0025】本発明に係るポリカーボネートの製造方法
において、(A)成分と(B)成分からエステル交換法
によりポリカーボネートオリゴマー(C)を生成せしめ
るにあたり、この(A)(B)成分の反応には触媒を使
用することができるが、その種類は特に限定されるもの
ではない。このような触媒の具体例としては、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属の単体,酸化物,水酸化物
(具体的にはLiOH,NaOH,KOH,Ca (O
H)2, Ba (OH)2, Sr (OH)2, など)アミド化合
物,アルコラート,フェノラート、あるいはZnO,P
bO,Sb2 3 のような塩基性金属酸化物、有機チタ
ン化合物、可溶性マンガン化合物、Ca,Mg,Zn,
Pb,Sn,Mn,Cd,Coの酢酸塩または含窒素塩
基性化合物と硼素化合物,含窒素塩基性化合物とアルカ
リ(土類)金属化合物,含窒素塩基性化合物とアルカリ
(土類)金属化合物と硼素化合物などの併用系触媒など
が挙げられる。
【0026】その他、テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド(Me4 NOH),テトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド(Et4 NOH),テトラブチルアンモニウ
ムヒドロキシド(Bu4 NOH),トリメチルベンジル
アンモニウムヒドロキシド〔C6 5 CH2(Me)3NO
H〕等のアルキル基,アリール基,アルアリール基など
を有するアンモニウムヒドロキシド類、テトラメチルア
ンモニウムボロハイドライド(Me4 NBH4),テトラ
ブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4NBH4)
等の塩基性塩、7−メチル−1,5,7−トリアザビシ
クロ〔4.4.0〕デセ−5−エン(MTBD);1,
8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセ−7−エン
(DBU)などの有機塩基性化合物が挙げられる。上記
の化合物の中では、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シドが好ましく用いられる。
【0027】前記触媒は、それぞれ単独で用いてもよ
く、また、目的によっては、二種以上を組み合わせて用
いてもよい。触媒の添加量としては、(A)成分のジヒ
ドロキシ化合物に対して、通常、0〜10-1モル/モル
の範囲、好ましくは0〜10-2モル/モルの範囲であ
る。10-1モル/モルを超えると、ポリマー内に残存す
る触媒により、ポリカーボネート製品の品質の劣化や機
械物性に悪影響を及ぼし易いので避けるべきである。
【0028】このエステル交換反応によってポリカーボ
ネートオリゴマー(C)を製造するには、前記(A)成
分と(B)成分に、必要に応じて前記触媒の他に、下記
に例示する末端停止剤を用いることができる。具体的に
は、フェノール,o−n−ブチルフェノール,m−n−
ブチルフェノール,p−n−ブチルフェノール,o−イ
ソブチルフェノール,m−イソブチルフェノール,p−
イソブチルフェノール,o−t−ブチルフェノール,m
−t−ブチルフェノール,p−t−ブチルフェノール,
o−n−ペンチルフェノール,m−n−ペンチルフェノ
ール,p−n−ペンチルフェノール,o−n−ヘキシル
フェノール,m−n−ヘキシルフェノール,p−n−ヘ
キシルフェノール,p−t−オクチルフェノール,o−
シクロヘキシルフェノール,m−シクロヘキシルフェノ
ール,p−シクロヘキシルフェノール,o−フェニルフ
ェノール,m−フェニルフェノール,p−フェニルフェ
ノール,o−n−ノニルフェノール,m−ノニルフェノ
ール,p−n−ノニルフェノール,o−クミルフェノー
ル,m−クミルフェノール,p−クミルフェノール,o
−ナフチルフェノール,m−ナフチルフェノール,p−
ナフチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノー
ル;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−
t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;
3,5−ジクミルフェノール;p−クレゾール,ブロモ
フェノール,トリブロモフェノール;式
【0029】
【化6】
【0030】でそれぞれ表される化合物や、クロマン誘
導体として、例えば、式
【0031】
【化7】
【0032】等の各一価フェノールが挙げられる。これ
らの一価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。そして、こ
れらの一価フェノールのなかでは、p−t−ブチルフェ
ノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフェノー
ルなどが好ましく用いられる。また、次式で表される種
々の化合物を挙げることができる。
【0033】
【化8】
【0034】ポリカーボネートオリゴマー(C)の製造
時には、更に必要に応じて酸化防止剤を添加することが
でき、例えばリン系酸化防止剤としては、具体的には、
トリ(ノニルフェニル)ホスファイト;2−エチルヘキ
シジフェニルホスファイトの他、トリメチルホスファイ
ト;トリエチルホスファイト;トリブチルホスファイ
ト;トリオクチルホスファイト;トリノニルホスファイ
ト;トリデシルホスファイト;トリオクタデシルホスフ
ァイト;ジステアリルペンタエリスチルジホスファイ
ト;トリス(2−クロロエチル)ホスファイト;トリス
(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどのトリ
アルキルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイ
トなどのトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニ
ルホスファイト;トリクレジルホスファイト;トリス
(エチルフェニル)ホスファイト;トリス(ブチルフェ
ニル)ホスファイト;トリス(ノニルフェニル)ホスフ
ァイト;トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトな
どのトリアリールホスファイト;トリメチルホスフェー
ト;トリエチルホスフェート;トリブチルホスフェー
ト;トリオクチルホスフェート;トリデシルホスフェー
ト;トリオクタデシルホスフェート;ジステアリルペン
タエリスリチルジホスフェート;トリス(2−クロロエ
チル)ホスフェート;トリス(2,3−ジクロロプロピ
ル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;ト
リシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキ
ルホスフェート;トリフェニルホスフェート;トリクレ
ジルホスフェート;トリス(ノニルフェニル)ホスフェ
ート;2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなど
のトリアリールホスフェートなどが挙げられる。
【0035】次にポリカーボネートオリゴマー(C)の
製造方法を中心に説明する。本発明に係るポリカーボネ
ートオリゴマー(C)製造用の前記(A)及び(B)成
分を中心とする諸原料を混合し、通常50〜300℃、
好ましくは100〜280℃、より好ましくは−760
mmHg〜1Kg/cm2 Gの圧力下で反応させる。こ
こで、温度が50℃未満では反応速度が低く、逆に30
0℃を超えると生成オリゴマーの熱劣化や分解が進行し
易くなり、好ましくない。反応時の圧力は、反応初期は
大気圧ないし加圧状態に保ち、反応の進行に伴い真空度
を上げて行くプロセス、即ち、反応の進行に伴って脱離
する成分(対応するカルボニル化合物)を効率よく除去
できる温度・圧力に設定するのが良い。具体的には、バ
ッチ反応であれば、脱離成分の留出速度は次第に低下し
てくるので段階的に温度を上げ、圧力は低下させるのが
良く、最初は180〜200℃、ATM〜1Kg/cm
2Gで、最終的には200〜280℃、−100〜−7
60mmHgとなるのが好ましい。反応時間は必要とす
るオリゴマー(C)の分子量により左右されるが、通常
は5分〜5時間程度が好ましい。
【0036】上記エステル交換反応はバッチ式、連続式
のいずれでも可能であるが、反応原料及び生成物を溶融
攪拌できる装置が使用され、攪拌にはパドル翼、ダブル
ヘリカル翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式
会社製)、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社製)
等の攪拌翼が好適に使用される。なお、反応容器加熱及
び脱離するカルボニル化合物除去の必要があるため、ジ
ャケット付き反応槽を使用することが好ましい。
【0037】同エステル交換反応は溶媒の非存在下でも
行われるが、生成オリゴマー(C)の結晶化及び球状化
処理には生成オリゴマー(C)は溶液である必要があ
り、使用原料又は上記反応に対して不活性である不活性
溶媒を、生成オリゴマー(C)の5〜50重量%、好ま
しくは10〜50重量%程度の範囲になるように反応初
期段階、又は、オリゴマー(C)の生成後に仕込まれ
る。この場合、5重量%未満では処理する溶剤量が多く
なり不都合である。逆に50重量%を超えると生成ポリ
カーボネートオリゴマー(C)の粘度が高くなるため、
後工程の造粒器への供給が困難になり好ましくない。
【0038】なお、ここに使用し得る不活性溶媒として
は、ジフェニルエーテル;ハロゲン化ジフェニルエーテ
ル;ベンゾフェノン;ポリフェニルエーテル;ジクロロ
ベンゼン;メチルナフタレン;ベンゼン,トルエン,キ
シレン等の芳香族化合物;二酸化炭素、一酸化二窒素、
窒素などのガス;メチレンクロライド,クロロホルム,
クロロフロロ炭化水素等の塩素系化合物;エタン,プロ
パン等のアルカン;シクロヘキサン,トリシクロ(5,
2,10)−デカン,シクロオクタン,シクロデカン等
のシクロアルカン;エチレン,プロピレンのようなアル
ケン;ジオキサン,テトラヒドロフラン等各種のものが
挙げられ、単独で又は混合溶媒と使用される。
【0039】上記ポリカーボネートオリゴマー(C)生
成反応の進行に伴い、ジアルケニルカーボネート(C)
の構成成分カルボニル化合物が脱離してくるが、これら
は分離精製して再使用に共される。所定の分子量になっ
たポリカーボネートオリゴマー(C)は次工程の結晶化
及び球状化の工程に移されるが、ポリカーボネートオリ
ゴマー(C)の分子量は、粘度平均分子量として500
〜25000が好ましい。ここに分子量が500未満で
は結晶化した球状体が壊れ易く、逆に25000を超え
ると実質上固相重合を行って分子量を上げる必要はな
い。
【0040】生成したポリカーボネートリゴマー(C)
は10〜50重量%の溶液状態で、造粒容器に結晶化剤
と共に供給されるが、該造粒容器には予め供給され、攪
拌下にあるポリマーが存在し、ポリカーボネートリゴマ
ー(C)はこのポリマーと共に攪拌され、結晶化及び球
状化処理を受ける。ここに使用されるポリマーはポリカ
ーボネートオリゴマー(C)溶液からの造粒、球状化を
容易にするためのものであり、ポリカーボネートオリゴ
マー(C)からなる球状体が生成し始めれば、この球状
体が最初に添加されているポリマーの働きをするから補
給する必要はない。
【0041】従って、当該ポリマーは好ましくは同質の
ポリカーボネートオリゴマーが使用されるが、このポリ
マーはその製造方法には限定されない。また、このポリ
マーはオリゴマーである必要はないのでポリマーをニー
ダー等で粉砕したものでもよい。当該添加されるポリマ
ーは、ポリカーボネートオリゴマー(C)の造粒初期の
製品にのみ使用されるので、他のポリマー、例えばポリ
エステル、ポリエステルポリカーボネート等のプレポリ
マーであっても、製造されるポリカーボネートの品質に
はほとんど影響がない。
【0042】更に、当該ポリマーの粒径は0.5〜5mm
が好ましいが、0.5〜3mmがより好ましい。この場
合、0.5mm未満であれば、当該ポリマー自体の凝集体
が生成し易く、逆に5mmを超せば均一な混合攪拌が困
難となり、いずれも好ましくない。なお、ここに言う均
一な混合攪拌とは、造粒容器内にある造粒対象物が実質
的に全て攪拌操作により上下移動できる攪拌をいう。ポ
リカーボネートオリゴマー(C)の溶液は造粒容器に結
晶化剤と共に供給されるが、結晶化剤の添加操作が同時
になされる必要はなく、攪拌状況、溶媒の蒸発状況を観
察しながら適宜、好ましくは小量づつ添加される。
【0043】上記結晶化剤としては、ポリカーボネート
の非溶剤又は貧溶媒として知られているものは何れも使
用可能であり、例えば、直鎖状又は環状アルカン類、ケ
トン類、脂肪族アルコール、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素が挙げられる。後続のこれら溶
剤等の除去の容易さとか除去コスト等から考え、沸点が
5〜150℃のペンタン、ヘキサン、ヘプタン、アセト
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール等が
好ましく使用される
【0044】本発明に係る固相重合によってポリカーボ
ネートを製造するのに必要とされるポリカーボネートオ
リゴマー(C)は結晶化され且つ、球状化されている必
要がある。球状化させる理由は単位重量当たりの表面積
(比表面積)を可及的に大きくし、エステル交換により
反応脱離するカルボニル化合物の分離性をよくするため
であり、結晶化させる理由は球状体の強度を保ち、固相
重合工程におけるハンドリングを容易にし、プロセスエ
ネルギーコストの低減と工程の簡略化等を図ろうとする
ものである。
【0045】本願発明に係るポリカーボネートオリゴマ
ー(C)の球状体の粒径は特に制限されるものではない
が、好ましくは0.5〜3mmのものである。一方、この
粒径を制御することにより種々の真球度のものが得られ
るが、 Wadell の球形度に換算して真球度が0.8〜1.0
という値が好ましい。上記粒径を制御する方法としては
種々あるが、平均粒径を小さくし、比表面積を増大する
手段としては通常は、結晶化剤である貧溶媒の添加量を
増加する方法があるが、嵩密度の低下を招きやすいので
許容範囲での両者の最適値が選ばれる。なお、上記結晶
化剤を添加する場合、実質的に貧溶媒量を増加させる手
段としてポリカーボネートオリゴマーの温度を下げる方
法がある。粒径を制御する他の手段として、ポリカーボ
ネートオリゴマー(C)に攪拌下に結晶化剤を加える
際、攪拌に基づく剪断力を多く与える攪拌翼(例えば、
パドル翼、櫂型翼)を使用する方法がある。真球度は、
造粒時の粉体攪拌の均一性に由来するもので、完全混合
に近い攪拌である程真球度は向上する。混合度の指標は
数多く存在するが例えば〔平均滞留時間〕/〔平均循環
時間〕>10(−)、好ましくは20以上の均一攪拌槽
であれば良い。
【0046】造粒容器にポリカーボネートオリゴマー
(C)を供給し、その結晶化及び球状化を図るに際して
は、ポリカーボネートオリゴマーの有機溶媒溶液の有機
溶媒が蒸発するのに支障のない温度に保持されることが
望ましく、該有機溶媒の沸点が通常約5〜150℃であ
ることから、生成する球状体層の内温を35〜150℃
に維持することが好ましい。この場合、35℃未満では
溶剤が効率的に蒸発除去されず、逆に150℃を超える
と球状体間の融着が起こり易く造粒が困難になる。
【0047】造粒容器内の圧力は、通常は−500mm
Hg〜10Kg/cm2 Gであり、好ましくは−200
mmHg〜3Kg/cm2 Gであり、更に好ましくは常
圧付近である。この場合において、−500mmHg未
満では減圧発生装置を有する溶剤回収系のコストが大と
なり、逆に10Kg/cm2 Gを超えると、球状化には
特に問題はないが、耐圧容器の他有機溶媒の容器内での
凝縮分の処理装置を必要とし、上記同様コストが高くな
る。
【0048】この造粒化を実操業で実施する際には、均
一混合攪拌できるものであればよく、例えば、ニーダ
ー,ハンドミキサー,ロータリードラム型混合器,リボ
ン乾燥機,ディスクドライヤー、ヘンシェルミキサー
〔三井三池化工器(株)製〕,ナウターミキサー〔ホソ
カワミクロン(株)製〕,TURBO SPHEREミキサー〔住友
重機械工業(株)製〕,タービュライザー(ホソカワミ
クロン(株)製〕等がある。更に、攪拌翼としては、前
記パドル翼,櫂型翼の他、ヘリカル翼,格子翼等も使用
しうる。
【0049】要すれば造粒化、固相重合に先立ち、分岐
を有するポリカーボネートを製造するための分岐剤を添
加することもできる。この分岐剤としては例えば、1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;
α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メ
チル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4
−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エ
チル〕ベンゼン;フロログリシン,トリメリット酸,イ
サチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有
する化合物を好適に用いることができる。
【0050】前記のようにして得られた結晶化した真球
状のポリカーボネートオリゴマーは、次いで、固相重合
に供され、ポリカーボネートを得ることができる。この
固相重合は、ポリカーボネートオリゴマーの粒状体を好
ましくは140〜260℃、より好ましくは160〜2
50℃に加熱し、エステル交換反応を起こしつつ重合す
ることによって分子量を向上することができ、ポリカー
ボネートが得られる。ここで、反応温度が140℃未満
では、反応速度が遅過ぎ、効率的にポリカーボネートを
得ることができない。また、260℃を超えると、ポリ
カーボネートが溶融し、溶融体を形成し、ハンドリング
が困難となり好ましくない。
【0051】この固相重合は、通常、窒素ガス等の不活
性ガス中で行われ、又、減圧にして副生する反応物を除
去しながら進められる。本発明においてはこの固相重合
を、真球状に造粒された流動性の良い球状体オリゴマー
を用いて行うため、、固相重合中に特に攪拌混合を必要
としないが、流通ガスの接触効率を上げるため、緩やか
な攪拌をしてもよい。
【0052】又、上記固相重合では触媒を特に使用する
必要はないが、ポリカーボネートオリゴマー(C)の製
造に使用した触媒と同じ触媒を使用することもできる。
触媒の添加時期については特に限定されないが、球状体
成形時に同時に添加する方法が最も簡単である。更に必
要に応じて、他の添加剤として可塑剤、顔料、潤滑剤、
離型剤、無機充填剤等も使用することができ、これらは
固相重合前又は重合後に添加できる。
【0053】固相重合により得られたポリカーボネート
にはポリオレフィン、ポリスチレン等の他、特に末端に
OH基、COOH基、NH2 基等を持つポリフェニレン
エーテル、ポリエーテルニトリル、末端変性ポリシロキ
サン化合物、変性ポリプロピレン、変性ポリスチレン等
をブレンドし、併用すると種々の物性改良が可能であ
る。
【0054】図1は、本発明を実施するためのプロセス
の一例を示す。主原料のジヒドロキシ化合物1及びジア
ルケニルカーボネート2は、攪拌機4を取り付けたポリ
カーボネートオリゴマー反応器3に投入される。該反応
器には、エステル交換反応時に脱離するカルボニル成分
等を回収するためのダクト5がある。ポリカーボネート
オリゴマー反応器3を出たポリカーボネートオリゴマー
は結晶化槽6に供給された後、結晶化剤7を添加し、攪
拌しつつ結晶化させ、ポンプ8で造粒容器9に移され、
攪拌しつつ加熱媒体10により加熱し、結晶化剤は蒸発
分離し、生成した結晶化球状体は固相重合器11に移さ
れる。固相重合器には加熱用ジャケット12があり、器
内には窒素気流13を流しつつ、加熱下に置く。残存し
ていた結晶化剤とかポリカーボネートオリゴマー用溶剤
はダクト15から飛散して行く。ポリカーボネートは固
相重合器11の底部の取り出し口14から適宜排出され
る。
【0055】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例により、詳
しく説明する。実施例1 (1) ジアルケニルポリカーボネートオリゴマーの合成
(合成例) 10リットルのダブルヘリカル翼付き攪拌槽にビスフェ
ノールAビスイソプロペニルカーボネートを2080
g,ビスフェノールAを1140g及び触媒としてのト
リメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を1×
10-3モル/(1モルのビスフェノールA)仕込み、窒
素置換をし、攪拌しつつ攪拌槽の温度を180℃に昇温
し、窒素ガスを500ミリリットル/分の速度で供給し
つつ15分間反応させた。反応後、溶融物を取り出し、
粘度平均分子量を確認したところMv=5300(-) で
あった。 (2) ポリカーボネートの製造 合成例で得たポリカーボネートオリゴマーを冷却後、塩
化メチレンに溶解し25重量%の溶液を得た。一方、予
めこの溶液から塩化メチレンを蒸発除去しつつ粉砕して
ポリカーボネートオリゴマー粉体を準備し、容積1リッ
トルで加熱装置及び攪拌装置付き造粒槽に100g仕込
み、加熱しつつ250rpmで攪拌を継続し、内部の温
度が約60℃となった時点で前記ポリカーボネートオリ
ゴマーの塩化メチレン溶液を1リットル/時の速度で投
入し、同時に結晶化剤ヘプタンを200cc/時の速度
で加え、造粒を行った。造粒中のオリゴマー層内の温度
は55℃であった。造粒槽内に増えてくる球状体を逐次
取り出すようにしてポリカーボネートオリゴマー球状体
5リットル(約2.3kg、嵩密度0.45g/cc)を得
た。この得られた球状体は、真球度が高く、流動性も良
いものである。続いてこの球状体を10リットルの縦型
容器(150径×600長)に入れ、ジャケットで18
0℃に加熱するとともに窒素ガスを200ミリリットル
/分の速度で吹き込みつつ4時間固相重合反応をさせた
ところ、粘度平均分子量20200のポリカーボネート
を得ることができた。得られたポリカーボネート球状体
の嵩密度は0.48g/ccであり、高い嵩密度と言え
る。又、反応速度は上記4時間であり、高い反応速度で
あり、重合容器の容積効率に優れるものであると言え
る。なお、Tgを昇温速度20℃/分で測定したとこ
ろ、149℃であった。実施条件並びに結果は第1表に
記載の通りであった。
【0056】実施例2〜3 実施例1におけるポリオリゴマーの合成において、触媒
及びその使用量を変えた以外は実施例1と同じ条件で実
施したが、その条件及び結果は第1表に示す通りであっ
た。
【0057】実施例4 実施例1において固相重合に先立ち、オリゴマー溶液に
触媒としてTMAHを添加し、造粒した。続いて10リ
ットルの縦型容器(150径×600長)に入れ、最初
は140℃に加熱するとともに窒素ガスを200ミリリ
ットル/分の速度で吹き込みつつ、最終的には180℃
になるように4時間固相重合反応をさせた。条件及び結
果は第1表に示す通りであった。
【0058】実施例5 実施例4における固相重合用触媒を変えた以外は、実施
例4と同じ条件で実施したが、その条件及び結果は第1
表に示す通りであった。
【0059】実施例6 実施例1において、造粒槽から取り出されたポリカーボ
ネートオリゴマー球状体の性状及び、この球状体100
ccを加熱ジャケット付き容器に投入し、15分間設定
温度に保持した場合の粒状体相互間の融着状況を調べ
た。その条件及び結果は第2表に示す通りであった。
【0060】実施例7〜10 実施例1において結晶化剤量を変えた以外は実施例1と
同じ条件で造粒し、実施例6と同様な粒状体相互間の融
着状況を調べた。その条件及び結果は第2表に示す通り
であった。
【0061】比較例1 実施例1の合成例で得られたポリカーボネートオリゴマ
ーを反応容器から取り出し、冷却後破碎して粉状体と
し、これを更に篩分けし、平均粒径が4.5mmの粉体を
調製した。この粉体を使用して固相重合を実施例1と同
様に実施した。その条件及び結果は第1表に示す通りで
あった。重合後のポリマーの分子量は9800(−)で
あり、反応速度は低く、反応器の容積効率としても悪い
ものである。
【0062】比較例2 実施例1の合成例において、触媒としてLiOHを1×
10-3モル/(1モルのビスフェノールA)用い、溶融
重合法により、240℃、真空度−700mmHgで4
時間反応させた。その後得られたポリマーの粘度平均分
子量を測定したところ、Mv=6800であり、分子量
はほとんど伸びておらず、効率の悪いものであった。な
お、この場合分子量を伸ばすには、さらに高温と高真空
が必要となる。その条件及び結果は第1表に示す通りで
あった。
【0063】比較例3 実施例1の合成例で得られたポリカーボネートオリゴマ
ーを粉砕して得た100gのオリゴマーを45℃に加熱
したアセトン2.5リットル中に仕込み、ホモジナイザー
(特殊機化株式会社製)を使用し、1500rpmで1
時間攪拌して結晶化粉体を得た。この粉体について実施
例6と同様に粉体特性を測定した。測定結果は第2表に
示す。
【0064】比較例4〜6 ホモジナイザーの回転数及びアセトンの温度を変えた以
外は比較例3と同様にして結晶化粉体を得た。この粉体
について実施例6と同様に粉体特性を測定した。測定結
果は第2表に示す。
【0065】なお、第1表及び第2表において、 ※1(BIPC):ビスフェノールAビスイソプロペニ
ルカーボネートであり、下記構造式で表される。
【0066】
【化9】
【0067】※2(使用量):使用したビスフェノール
A(BPA)に対するカーボネート使用量。 ※3(球形度):Wadell球形度であり、粉体の長径を直
径とした円の面積に対する、粉体の投影面積の比。 ※4(使用量):固相重合用ポリカーボネートオリゴマ
ーに対する、固相重合用触媒の使用量比(wt ppm) 。 ※5(比表面積):オリゴマー粉体の比表面積をBET
法により、N2 ガス吸着量から測定した値。 ※6(分子量):粘度平均分子量(Mv)であり、ウベ
ローデ型粘度管を用いて20℃における塩化メチレン溶
液の粘度を測定し、極限粘度〔η〕を求め、次式にて算
出した。 〔η〕=1.23×10-5×Mv0.83 ※7(Tg) :昇温速度20℃/分で測定したガラス
転移温度。 ※8(ラクガン状):粉体を融着させ、その融着程度を
見る一つの目安であり、手でほぐすことができる最高温
度を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、エステル
交換法によりポリカーボネートを製造するに当たり、カ
ーボネート成分としてビスアルキリデンカーボネートを
使用し、ポリカーボネートオリゴマーを結晶化した球状
体とし、これを高温で固相重合することにより、高温に
基づく着色劣化もないポリカーボネートを短時間で製造
することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の球状ポリカーボネートオリゴマーの
製造方法および該オリゴマーを用い、固相重合によって
連続的にポリカーボネートを製造する方法の一例の概略
を示す説明図である。
【符号の説明】 1:主原料のジヒドロキシ化合物 2:ジアルケニルカーボネート 3:ポリカーボネートオリゴマー反応器 4:攪拌機 5:回収ダクト 6:結晶化槽 7:結晶化剤 8:ポンプ 9:造粒容器 10:加熱媒体 11:固相重合器 12:加熱用ジャケット 13:窒素気流 14:取り出し口(底部) 15:ダクト

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジヒドロキシ化合物(A)とジアルケニル
    カーボネート(B)とを反応させてポリカーボネートオ
    リゴマー(C)を製造し、これを結晶化及び球状化さ
    せ、続いて固相重合させることを特徴とするポリカーボ
    ネートの製造方法。
  2. 【請求項2】ジアルケニルカーボネート(B)が、一般
    式(I) 【化1】 〔式中、R1 〜R6 は、それぞれ水素原子,ハロゲン原
    子,炭素数1〜20のアルキル基,アルコキシカルボニ
    ル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、それらは
    同一であってもよいし、異なっていてもよく、R1 〜R
    6 は、結合して環状構造をとってもよい。Yはジヒドロ
    キシ化合物から水酸基を2個除いた残基を示す。nは0
    〜20の整数である。〕で表される請求項1記載のポリ
    カーボネートの製造法。
  3. 【請求項3】ポリカーボネートオリゴマー(C)の結晶
    化及び球状化を、攪拌下にあるポリマー粉体が存在する
    造粒容器に、該ポリカーボネートオリゴマー(C)の有
    機溶媒溶液を供給し、前記粉体と接触させ、該溶液の有
    機溶媒を蒸発させつつ行う請求項1記載のポリカーボネ
    ートの製造方法。
  4. 【請求項4】球状化させたポリカーボネートオリゴマー
    の真球度が、Wadellの球形度に換算して0.8〜1.0であ
    る請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。
  5. 【請求項5】球状化させたポリカーボネートオリゴマー
    の平均粒径が0.5〜3.0mmである請求項4記載のポリ
    カーボネートの製造方法。
  6. 【請求項6】結晶化及び球状化させたポリカーボネート
    オリゴマーを140〜260℃の加熱下において、固相
    重合させる請求項1記載のポリカーボネートの製造方
    法。
JP19867394A 1994-08-23 1994-08-23 ポリカーボネートの製造方法 Pending JPH0859813A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19867394A JPH0859813A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ポリカーボネートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19867394A JPH0859813A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ポリカーボネートの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0859813A true JPH0859813A (ja) 1996-03-05

Family

ID=16395149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19867394A Pending JPH0859813A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0859813A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003506541A (ja) * 1999-08-10 2003-02-18 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリカーボネートプレポリマーの結晶化法
JP2003524674A (ja) * 1998-11-09 2003-08-19 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリカーボネートの結晶化度を高める方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003524674A (ja) * 1998-11-09 2003-08-19 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリカーボネートの結晶化度を高める方法
JP2003506541A (ja) * 1999-08-10 2003-02-18 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ポリカーボネートプレポリマーの結晶化法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100357656B1 (ko) 폴리카보네이트의제조방법
US6399738B1 (en) Process for producing polycarbonate
KR100354801B1 (ko) 폴리카보네이트의제조방법
JP4275228B2 (ja) ポリカーボネートを製造する方法
JPH09157380A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4537456B2 (ja) スプレイ結晶化方法を使用した改質ポリカーボネートの製造方法
JPH0859813A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3617733B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4636705B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
EP1546233B1 (en) Method for preparing polycarbonate resin
JPH107785A (ja) 光学材料用ポリカーボネート
JP5330811B2 (ja) ポリカーボネートおよび光学材料
JP3165951B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
KR100529366B1 (ko) 폴리카보네이트 수지의 제조방법
JP3174727B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3165949B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3565935B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4651149B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP2002220456A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH107784A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH09136950A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH09136951A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH09143258A (ja) ポリカーボネートオリゴマー及びポリカーボネートの製造方法
JPH1030021A (ja) ポリカーボネートの製造方法