JP3565935B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ポリカーボネートを工業的に製造する従来方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを原料として用い、これらをエステル交換反応させてポリカーボネートを得るエステル交換法がある。
【0003】
このエステル交換法は、溶融エステル交換法と固相重合法とに大別されるので、以下、これらについて順次説明する。
【0004】
(1)溶融エステル交換法(特開昭61−62522号公報、特開平2−153925号公報)
ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いた場合を例にして説明すると、この溶融エステル交換法は、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを溶融させ、溶融状態でエステル交換反応を行なってフェノールを脱離させてポリカーボネートを製造する方法である。
【0005】
しかしこの溶融エステル交換法では、重合反応の進行とともにポリカーボネートポリマーの融点および溶融粘度が上昇するため、最終的に300℃に近い反応温度を必要とし、また副生するフェノールを脱気除去するために可能な限りの撹拌による表面更新と1mmHg以下の高真空とを必要とする。従ってこの溶融エステル交換法では、高温、高真空と強力な撹拌とを可能にする装置が不可欠であり、設備コストが必然的に上昇する。
【0006】
しかもこの溶融エステル交換法においては、生成ポリカーボネートポリマーがポリカーボネートの分解温度付近に長時間晒されるため、ポリカーボネートの着色や、分解反応および架橋、分岐等の副反応によるポリカーボネートの品質低下が起る可能性が高い。
【0007】
従って高粘度流体に関する現在の技術では、溶融エステル交換法により工業的に安定に製造可能なポリカーボネートの分子量には限界があり、粘度平均分子量で20,000程度とされている。
【0008】
(2)固相重合法(特開昭63−223035号公報、特開平1−158033号公報)
同様にジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを、炭酸ジエステル化合物としてジフェニルカーボネートを用いた場合を例にして説明すると、この固相重合法は、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態でエステル交換反応し、オリゴマーを製造した後、オリゴマーを溶媒処理や加熱処理などにより結晶化させ、結晶化オリゴマーを固相重合させて高分子量ポリカーボネートを製造する方法である。
【0009】
この固相重合法は、反応温度をポリカーボネートの融点以下の温度(例えば240℃以下)とすることができるので、得られたポリカーボネートは、前記溶融エステル交換法において認められたポリカーボネートの着色の問題がなく、溶融エステル交換法で得られたポリカーボネートと比べて品質的に優れている。
【0010】
しかしこの固相重合法は、オリゴマー化工程、結晶化工程および固相重合工程の少なくとも3工程が必須であり、製造操作が複雑であるだけでなく、設備コストおよび製造コストが高くなるのは避けられない。またオリゴマーから高分子ポリカーボネートを得るための固相重合は低温で行なうことができるが、エステル交換反応速度は温度に依存し、高温ほど高反応速度であるため、低温で固相重合を行なうと、反応時間を長くする必要がある。例えば固相重合工程によりオリゴマーから高分子量ポリカーボネートを得るためには、溶融エステル交換法の1.5〜10倍もの反応時間を要する。
【0011】
従って本発明の目的は、ポリカーボネートを製造するための従来方法、なかんずく固相重合法の欠点を解消し、高品質の高分子量ポリカーボネートを少ない工程数で効率良く短時間で安価に製造することができるポリカーボネートの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的達成のため研究を重ねた結果、ポリカーボネートオリゴマーを貧溶媒ガスの流通下に固相重合することにより、(i) オリゴマーの特別な結晶化処理を行なうことなく、直接高分子量ポリカーボネートが得られること、(ii)従来の溶融エステル交換法よりも低温での反応が可能であるだけでなく、従来の溶融エステル交換法の反応時間と同等あるいはそれ以下に短縮できる(従って従来の固相重合法よりも反応時間をはるかに短縮できる)こと、(iii) 得られた高分子量ポリカーボネートは、従来の固相重合法で得られたものに匹敵する品質を有すること等を見い出した。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、ポリカーボネートオリゴマーを貧溶媒ガスの流通下に固相重合することを特徴とするポリカーボネートの製造方法を要旨とする。
【0014】
上述のように本発明のポリカーボネートの製造方法は、
(A)出発物質としてポリカーボネートオリゴマーを用い、
(B)該ポリカーボネートオリゴマーを貧溶媒ガスの流通下に固相重合(以下、貧溶媒固相重合ということがある)する
ことを特徴とするものであるので、先ず(A)出発物質であるポリカーボネートオリゴマーについて説明し、次いで(B)貧溶媒固相重合について説明する。
【0015】
(A)ポリカーボネートオリゴマー
本発明において出発物質であるポリカーボネートオリゴマーとしては、従来のジヒドロキシ化合物とホスゲンを用いる界面重合法で得られたものまたは溶融エステル交換法で得られたものが用いられる。これら2法のうち、界面重合法で得られたオリゴマーを本発明において出発物質として用いるには、フェニルカーボネート末端のオリゴマーと水酸基末端のオリゴマーとを別々に製造して、これらを混合して反応末端比を調整する必要がある。また界面重合法でフェニルカーボネート末端のオリゴマーを製造し、ジヒドロキシ化合物を添加して、後記する貧溶媒固相重合用のポリカーボネートオリゴマーとすることもできる。
【0016】
しかし、反応時に反応末端比の制御が可能な溶融エステル交換法で得られたものをポリカーボネートオリゴマーとして用いるのが好ましい。
【0017】
そこで、溶融エステル交換法によるポリカーボネートオリゴマーの製造について以下に詳しく説明する。
【0018】
(1)溶融エステル交換法によりポリカーボネートオリゴマーを製造するための
原料
溶融エステル交換法によってポリカーボネートオリゴマーを製造するにあたり、原料としては、特に制限はなく、通常のエステル交換法によるポリカーボネートの製造に用いられる各種のものが用いられる。
【0019】
例えば、▲1▼ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの組み合せ、▲2▼ジヒドロキシ化合物のジエステルと炭酸ジエステルとの組み合せ、▲3▼ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステルと炭酸ジエステルとの組み合せ、▲4▼ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル(自己縮合)、▲5▼ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステル(自己エステル交換)などが挙げられる。
【0020】
これらの中では、▲1▼のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの組み合せが好ましく用いられる。
【0021】
ここで、エステル交換反応に好ましく用いられるジヒドロキシ化合物は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種の化合物である。
【0022】
芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式(I)
【化1】
[式中、Rは、それぞれハロゲン原子(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基など)であり、このRが複数の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよく、mは、0〜4の整数である。そして、Zは、単結合,炭素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のアルキリデン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンテリレン基,ヘキシレン基,エチリデン基,イソプロピリデン基など),炭素数5〜15のシクロアルキレン基又は炭素数5〜15のシクロアルキリデン基(例えば、シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキシリデン基など),又は−S−,−SO−,−SO2 −,−O−,−CO−結合もしくは一般式(II)あるいは(III)
【化2】
で表される結合を示す。]
で表される芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0023】
このような芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA:BPA);2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン;1,1−ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4,−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのビス(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホキシド類;ビス(4ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリール)スルホン類、4,4’−ジヒドロキシビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルビフェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジシクロヘキシルビフェニル;3、3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類などが挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)以外の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン及びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類などがある。例えば、レゾルシン,3−メチルレゾルシン,3−エチルレゾルシン,3−プロピルレゾルシン,3−ブチルレゾルシン,3−t−ブチルレゾルシン,3−フェニルレゾルシン,3−クミルレゾルシン;2,3,4,6−テトラフルオロレゾルシン;2,3,4,6−テトラブロモレゾルシン;カテコール,ハイドロキノン,3−メチルハイドロキノン,3−エチルハイドロキノン,3−プロピルハイドロキノン,3−ブチルハイドロキノン,3−t−ブチルハイドロキノン,3−フェニルハイドロキノン,3−クミルハイドロキノン;2,5−ジクロロハイドロキノン;2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン;2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロキノン;2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノン;2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が挙げられる。
【0025】
また、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、各種のものがある。例えば、ブタン−1,4−ジオール;2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;テトラエチレングリコール;オクタエチレングリコール;ジプロピレングリコ−ル;N,N−メチルジエタノールアミン;シクロヘキサン−1,3−ジオール;シクロヘキサン−1,4−ジオール;1,4−ジメチロールシクロヘキサン;p−キシリレングリコール;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンおよび二価アルコールまたはフェノールのエトキシ化またはプロポキシ化生成物、例えばビス−オキシエチル−ビスフェノールA;ビス−オキシエチル−テトラクロロビスフェノールA又はビス−オキシエチル−テトラクロロヒドロキノン等が挙げられる。
【0026】
ポリカーボネートオリゴマーの原料であるジヒドロキシ化合物としては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノールAを用いるのが特に好ましい。
【0027】
一方、もう一つの原料として用いられる炭酸ジエステルは、各種のものがある。例えば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物又は炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも一種の化合物である。
【0028】
用いられる炭酸ジアリール化合物は、一般式(IV)
【化3】
[式中、Arはアリール基を示す。]
で表される化合物又は一般式(V)
【化4】
[式中、Ar1 は、上記芳香族ジヒドロキシ化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、Ar2 はアリール基を示す。]
で表される化合物である。
【0029】
また、炭酸ジアルキル化合物は、一般式(VI)
【化5】
[式中、R1 は炭素原子1〜6個を有するアルキル基又は炭素原子4〜7個を有するシクロアルキル基を示す。]
で表される化合物又は一般式(VII)
【化6】
[式中、R1 及びAr1 は前記と同じである。]
で表される化合物である。
【0030】
そして、炭酸アルキルアリール化合物は、一般式(VIII)
【化7】
[式中、R1 及びAr2 は前記と同じである。]
で表される化合物又は一般式(IX)
【化8】
[式中、R1 ,Ar1 及びAr2 は前記と同じである。]
で表される化合物である。
【0031】
ここで、炭酸ジアリール化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェニル)カーボネート,m−クレジルカーボネート,ジナフチルカーボネート,ビス(ジフェニル)カーボネート,ビスフェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0032】
また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、ジエチルカーボネート,ジメチルカーボネート,ジブチルカーボネート,ジシクロヘキシルカーボネート,ビスフェノールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。
【0033】
そして、炭酸アルキルアリール化合物としては、例えば、メチルフェニルカーボネート,エチルフェニルカーボネート,ブチルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェニルカーボネート,ビスフェノールAメチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0034】
ポリカーボネートオリゴマーの原料である炭酸ジエステルとしては、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中では、ジフェニルカーボネートを用いるのが特に好ましい。
【0035】
上述のようにポリカーボネートオリゴマーの原料としては、前記ジヒドロキシ化合物及び前記炭酸ジエステル以外に、ジヒドロキシ化合物のジエステルおよびジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステルも用いられる。
【0036】
ジヒドロキシ化合物のジエステルとしては、例えば、ビスフェノールAのジ酢酸エステル,ビスフェノールAのジプロピオン酸エステル,ビスフェノールAのジブチル酸エステル,ビスフェノールAのジ安息香酸エステル等を挙げることができる。
【0037】
また、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステルとしては、例えば、ビスフェノールAのビスメチル炭酸エステル,ビスフェノールAのビスエチル炭酸エステル,ビスフェノールAのビスフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
【0038】
そして、ジヒドロキシ化合物のモノ炭酸エステルとしては、例えば、ビスフェノールAモノメチル炭酸エステル,ビスフェノールAモノエチル炭酸エステル,ビスフェノールAモノプロピル炭酸エステル,ビスフェノールAモノフェニル炭酸エステル等を挙げることができる。
【0039】
またオリゴマーの製造において分岐剤を使用することもできる。分岐剤の例としては、フロログルシン;トリメリット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o−クレゾール)等を用いることもできる。
【0040】
(2)溶融エステル交換法によりポリカーボネートオリゴマーを製造するための条件
溶融エステル交換法によりポリカーボネートオリゴマーを製造する際の最大のポイントは、エステル交換反応により副生するフェノール類の次に蒸気圧の高い炭酸ジエステル化合物の留出を防止することである。そのため、原料混合物の調製においても、先ず原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物を同一または別々に溶融し、反応器に供給する方法や溶融させたジヒドロキシ化合物に炭酸ジエステル化合物の粉末を加える方法が採用される。
【0041】
溶融エステル交換法によるポリカーボネートオリゴマーの製造は、温度100〜300℃、圧力1Torr〜5kg/cm2 Gで実施するのが好ましい。その理由は以下のとおりである。すなわち反応温度が100℃未満と低いとエステル交換反応が進行しにくく、一方300℃を超える高温度になると、原料の炭酸ジエステル化合物が、副生するフェノール類とともに反応系から留出してしまう恐れがある。また反応圧力が5kg/cm2 Gを超えると、副生するフェノール類が留去せず、反応平衡が移動しないため反応が進行せず、逆に反応圧力が1Torr未満であると、原料である炭酸ジエステル化合物が留去され、反応系内の組成変動が生じてしまう。
【0042】
反応温度は150〜280℃が特に好ましく、反応圧力は10Torr〜2kg/cm2 Gが特に好ましい。
【0043】
上述のようにエステル交換反応時の未反応の炭酸ジエステル化合物の留出は温度および圧力に密接に関係している(高温、高真空ほど留出し易い)。そこで温度および圧力条件を制御するために、副生フェノール類の留出速度やオリゴマー粘度から反応進行度を演算し、それらをフィードバックコントロールすることが好ましい。また、留出フェノール類の回収効率を上昇させるために、反応器とコンデンサーの間に充填塔や蒸留塔を設けることにより炭酸ジエステル化合物の留出を減少させることが可能である。
【0044】
用いる反応器は公知の重合反応器の何れでも良く、例えば、ジャケットや外部熱交換器等で温度制御された撹拌機付の縦型反応器や横型反応器が好適である。反応工程は一段でも良いし、それ以上の工程に分けて製造することも可能である。また、反応器は一基以上の反応器を直列または並列に接続して用いて行うことも可能である。
【0045】
エステル交換反応はバッチまたは連続法、またはこれらを併用した方法の何れでも良く、均一なオリゴマーを得るためには連続法が好ましい。
【0046】
エステル交換法によるポリカーボネートオリゴマーの製造において重合触媒は特に必要ではないが、必要により通常用いられるエステル交換触媒を用いてもよい。
【0047】
ここで、通常用いられているエステル交換触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属化合物、アミン類,四級アンモニウム塩類等の含窒素塩基性化合物あるいは硼素化合物等が挙げられる。これらの中では、特に、含窒素塩基性化合物が、塩基性を示し、反応系中に比較的残留しない特徴を有するので好ましく用いられる。
【0048】
重合触媒としてエステル交換触媒を用いる場合、前記含窒素塩基性化合物としては、例えば、トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリプロピルアミン,トリブチルアミン,トリペンチルアミン,トリヘキシルアミン,ジメチルベンジルアミン等の脂肪族第3級アミン化合物、トエフェニルアミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。
【0049】
また、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジン,4−アミノピリジン,2−アミノピリジン,2−ヒドロキシピリジン,4−ヒドロキシピリジン,2−メトキシピリジン,4−メトキシピリジン,イミダゾール,2−メチルイミダゾール,4−メチルイミダゾール,2−ジメチルアミノイミダゾール,2−メトキシイミダゾール,2−メルカプトイミダゾール,アミノキノリン,ジアザビシクロオクタン(DABCO)等の含窒素複素環化合物が挙げられる。
【0050】
さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(Me4 NOH),テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(Et4 NOH),テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(Bu4 NOH),トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド[C6 H5 CH2 (Me)3 NOH]等のアルキル基,アリール基,アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。
【0051】
その他、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(Me4 NBH4 ),テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(Bu4 NBH4 ),テトラブチルアンモニウムフェニルボレート(Bu4 NBPh4 ),テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート(Me4 NBPh4 )等の塩基性塩が挙げられる。
【0052】
これらの含窒素塩基性化合物の中では、トリヘキシルアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラブチルアンモニウムヒドロキシド,ジメチルアミノピリジンが好ましく用いられる。
【0053】
また、硼素化合物としては、例えば、硼酸,硼酸トリメチル,硼酸トリエチル,硼酸トリブチル,硼酸トリヘプチル,硼酸トリフェニル,硼酸トリナフチル等が挙げられる。
【0054】
前記触媒の添加量としては、原料である末端水酸基に対して、通常、5×10−2〜5×10−9モル、好ましくは5×10−3〜5×10−8モルである。この触媒の添加量が5×10−9モル未満では、触媒効果が発現されない恐れがある。また、5×10−2モルを超えると、最終製品であるポリカーボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の低下を招く恐れがあり、また、コストアップに繋がり、これを超えてまで添加することはない。
【0055】
上記の溶融エステル交換法は、溶媒の不存在下で行われるが、必要に応じて、得られるポリカーボネートの1〜150重量%の不活性溶媒を用いてもよい。ここで、不活性溶媒としては、例えば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニルエーテル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,ジクロロベンゼン,メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化炭素,一酸化二窒素,窒素などのガス、クロロフロロ炭化水素、エタン,プロパン等のアルカン、シクロヘキサン,トリシクロ(5.2.10)デカン,シクロオクタン,シクロデカン等のシクロアルカン、エテン,プロペンのようなアルケン等各種のものが挙げられる。
【0056】
(3)溶融エステル交換法により製造されたポリカーボネートオリゴマー
上記(2)に示す条件によって製造されたポリカーボネートオリゴマーは、粘度平均分子量が約1,500〜約15,000であるのが好ましく、約3,000〜約10,000であるのが特に好ましい。ポリカーボネートオリゴマーの分子量が低いと、融点が低下し、後記する貧溶媒固相重合温度を低下させる必要が生じ、反応速度が低下する。またオリゴマーの分子量が低い場合、反応温度を低くすると、オリゴマーが湿潤し、粒子の含液率が高くなり、貧溶媒使用による効果が現われにくくなる。従って、少なくとも溶媒の沸点以上の融点を有するオリゴマーを使用する必要がある。オリゴマーの融点を高めるため、加熱処理、アセトン処理などの処理を行なってもよい。
【0057】
ポリカーボネートオリゴマーの末端比率は、フェニルカーボネート末端:水酸基末端=1:4〜4:1の範囲であるのが好ましい。その理由は、末端比率がこの範囲外であると、最終的に固相重合後に得られるポリカーボネートの到達分子量が制限され、望まれる高分子量化が困難になるからである。末端比率は1:1.5〜1.5:1の範囲であるのが特に好ましい。
【0058】
上記ポリカーボネートオリゴマーは、従来の固相重合法と同様に、これをフレーク化した後、貧溶媒固相重合に付するのが好ましい。そこで、このフレーク化について以下に説明する。
【0059】
ポリカーボネートオリゴマーのフレーク化は公知の方法で行なうことができる。例えば、転動造粒法、押し出し造粒法、圧縮造粒法、溶融造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、撹拌造粒法、液相造粒法、真空凍結造粒法などが使用可能である。
【0060】
フレークの形状としては、特に制限はないが、操作性からペレット状、ビーズ状、顆粒状、粉末状が好ましい。さらには微細粒子の凝集体や多孔質体が好ましく、溶融エステル交換反応でオリゴマーを製造した場合には微細粒子を生成、凝集させる方法を単独でまたは上記の方法と組み合せて使用するのが好ましい。粒子の比表面積としては0.15m2 /g以上が好ましい。また、固相重合で使用する貧溶媒にオリゴマーを分散させ、フレーク化する撹拌造粒法等も有効である。
【0061】
フレークの粒径は操作性と貧溶媒固相重合での貧溶媒ガス流通速度に依存するが、10ミクロン〜10cmの範囲であり、好ましくは100ミクロン〜1cmの範囲である。粒径が微細すぎると貧溶媒ガスの流通とともに微粉が同伴され、バルブや配管の閉塞や溶媒回収工程への悪影響等が生じる可能性がある。また、粒径が大きくなると溶媒の拡散距離が増大し、貧溶媒による効果が得られないために反応が長時間化する。
【0062】
フレーク化条件は、オリゴマー分子量や造粒法、また、溶媒を使用する系では使用する溶媒の種類および沸点により異なる。敢えて挙げるならば、温度20℃以上程度である。
【0063】
以上、フレーク化について説明してきたが、本発明においては、従来の固相重合に要求されるような結晶化操作を特に必要とせず、これにより工程の簡略化によるメリットが得られる。
【0064】
(B)貧溶媒固相重合
この貧溶媒固相重合は、本発明の中核となるものであり、上記ポリカーボネートオリゴマーを貧溶媒ガスの流通下に固相重合することからなるものである。
【0065】
本発明の貧溶媒固相重合によれば、貧溶媒の流通下に重合反応を行なうことにより、副生フェノール類が高効率で留去除去される。その結果反応速度が飛躍的に向上するので、溶融エステル交換法に比べて反応の低温度化が可能となり、ポリカーボネート品質を向上させることができる。また従来の固相重合法はもとより溶融エステル交換法に比較しても大幅な反応時間の短縮が可能となる。
【0066】
また本発明の貧溶媒固相重合によれば、貧溶媒ガスがオリゴマーおよびその高次重合物の融着を防止する効果を有するので、融着を起すことなく円滑に重合反応を行なうことができる。
【0067】
従来の固相重合法を開示する特開平1−158033号公報には、ポリカーボネートオリゴマーの固相重合に際して反応器に窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスや、低級炭化水素ガスを導入してもよいことが記載されている。
【0068】
しかし、これらのガスは、あくまで反応器内の気相における副生フェノール類の分圧を低下させる効果しかなく、本発明で用いる貧溶媒ガスによってもたらされる効果、すなわち副生フェノール類の留去を促進させて反応速度を飛躍的に向上させ、かつポリマーの融着を防止するという顕著な効果を発揮することはできない。
【0069】
貧溶媒は、重合条件下に完全に気化する沸点または50mmHg以上、好ましくは200mmHg以上の蒸気圧を有し、重合反応条件下で当該溶媒へのポリカーボネートオリゴマーまたはその高次重合物の溶解度が0.1重量%以下であるものが好ましい。また溶解度パラメーターが4〜10(cal/cm3 )1/2 、特に4〜8(cal/cm3 )1/2 であるものが好ましい。このような貧溶媒としては、炭素数5〜20、より好ましくは5〜10の環状炭化水素、炭素数4〜18、より好ましくは6〜12の直鎖または分岐鎖飽和炭化水素または炭素数4〜18、より好ましくは6〜12の低度不飽和炭化水素が挙げられる。貧溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0070】
貧溶媒は沸点が250℃を超えると残留溶剤の除去が難しくなり、品質が低下する可能性があるので、貧溶媒の沸点は250℃以下が好ましい。
【0071】
なお、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、スルホン基等の比較的水素結合性の高い官能基を有した溶媒は150℃を超える重合温度でエステル交換反応に関与する可能性があることから、使用するべきではない。さらに環境面からハロゲン系溶媒の使用も好ましくない。
【0072】
この貧溶媒固相重合は、温度100℃〜オリゴマーの融点の範囲内で、圧力10Torr〜5kg/cm2 Gで実施するのが好ましい。反応温度が100℃未満と低すぎるとエステル交換反応が進行せず、一方反応温度がオリゴマーの融点を超える高温条件では固相状態を維持しにくく、粒子間で融着等の現象が生じ、運転操作性が著しく低下する。反応温度は150〜220℃が特に好ましく、反応圧力は大気圧が特に好ましい。
【0073】
この貧溶媒固相重合での重合触媒はオリゴマー製造時に添加し、残存しているものをそのまま使用してもよいが、固相重合時に重合触媒を粉末、液体あるいは気体状態で再度添加するのが好ましく、これにより固相重合速度がさらに向上する。また必要に応じて末端停止剤を粉末、液体あるいは気体状態で添加して貧溶媒固相重合することも可能である。
【0074】
このような末端停止剤の具体例としては、o−n−ブチルフェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−ブチルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イソブチルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−t−ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p−t−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノール;m−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフェノール;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキシルフェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シクロヘキシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノール;p−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェノール;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノール;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェノール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノール;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;o−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p−ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;式
【化9】
で表される化合物や、クロマン誘導体として、例えば、式
【化10】
で表される化合物等の一価フェノールが挙げられる。
【0075】
このようなフェノール類のうち、p−tert−ブチルフェノール;p−クミルフェノール;p−フェニルフェノールなどが好ましい。
【0076】
また、式
【化11】
で表される化合物等を用いることができる。
【0077】
貧溶媒ガスの供給は、貧溶媒を液体状態で反応器に供給し反応器内で気化させても、あらかじめ熱交換器等により気化させた後、反応器に供給してもよい。また、貧溶媒ガスの流通方向はオリゴマーの雰囲気ガスが置換できれば、垂直方向上方から、または下方から、あるいは水平方向に流通させても良い。反応器の形状によりガスの供給口は一箇所以上であっても良く、流通方向を組み合わせることや流通箇所を限定することも可能である。
【0078】
貧溶媒ガス供給量としてはポリマー1g当り0.5リットル(標準状態)/hr以上とするのが好ましい。また貧溶媒ガスの流通線速度は0.001cm/sec以上であれば良く、好ましくは0.01cm/sec以上がよい。貧溶媒ガスの流通量は反応速度と密接に関係し、副生フェノール類の除去効果と同時に熱媒体としての作用もしているため、ガスの流通量の増加にともない反応速度が向上する。また、熱媒体効果によりジャケット等の伝熱部と内部粉体との温度差を減らすことができ、伝熱部での融着現象等を防止することが可能である。
【0079】
このような反応に用いられる反応器に特に制限はない。従来の撹拌槽型反応器からタンブラー型、キルン型、パドルドライヤー型、スクリュウコンベア型、振動型、流動床型、固定床型、移動床型等の反応器を用いることが可能であり、これらを単独で使用することも組み合わせて使用することも可能である。
【0080】
高分子量化したポリカーボネートの乾燥およびペレット化工程は、従来の方法が使用可能であり、特に制限はない。末端停止剤、酸化防止剤などの添加剤を混合する場合には乾燥前後に直接、フレークに添加剤粉末をまぶすか、液体を噴霧、気体を吸収させることができる。また、ペレット化時に押し出し機で混合することもできる。末端停止剤としては上で例示したものが用いられる。また酸化防止剤としては、具体的には、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト,2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの他、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペンタエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファイト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェート,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェート,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェート,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェートなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス (ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニルジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェートなどが挙げられる。
【0081】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0082】
実施例1
(1)ポリカーボネートオリゴマーの調製
撹拌機、不活性ガス導入管、フェノールガス排出管を備えた1リットル容量のオートクレーブに、ビスフェノールAすなわち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2283gとジフェニルカーボネート2249gを仕込み、真空脱気および窒素導入を繰り返した後、180℃に加熱して内容物を完全に溶融させた。再度、真空脱気および窒素導入を行った後に、触媒であるNaOHおよびTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)をそれぞれ0.0025molおよび0.0001molずつ水溶液の状態で添加し、反応を開始した。反応開始と同時に副生フェノールを系外に除去するために圧力を100mmHgまで減圧し、240℃まで昇温しながら1.5時間反応させた。さらに真空度を10Torrまで徐々に下げながら温度を290℃まで昇温し、1.5時間反応させた。反応終了後、窒素で反応器内を大気圧にもどし、少量ずつ内容物を取り出し、水中へ滴下することによって固化させた。この固体となったオリゴマーをさらにクラッシャーで粉砕し、平均粒径0.6mmの粉末を2430g得た。このオリゴマーの粘度平均分子量は6330であった。またこのオリゴマーのフェニルカーボネート末端および水酸基末端がそれぞれ53および47mol%であり、フェニルカーボネート末端:水酸基末端=1.13:1.0であった。
【0083】
(2)高分子量ポリカーボネートの製造
このようにして得られたオリゴマー粉末を220℃に加熱した直径5cm、長さ30cmの燃焼管に100g仕込み、それと同時に予め220℃に加熱されたn−ヘプタン(貧溶媒)を0.031cm/secの速度で供給し、貧溶媒固相重合を開始した。反応は経時的にサンプリングしながら1時間行った。結果を表1に示した。重合反応は迅速に行なわれ、得られたポリカーボネートの粘度平均分子量は22540であり、オリゴマーの粘度平均分子量の3.56倍であった。得られたポリカーボネートを常法により粉末化したところ白色粉末が得られ、望ましくない着色は認められなかった。またポリカーボネートサンプルを溶融圧縮し、プレート成形したものは着色がなく、無色透明であった。
【0084】
実施例2
貧溶媒固相重合の直前にさらに触媒としてNaOHを末端水酸基に対して1×10−6mol加えて反応させた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。重合時間を実施例1における反応時間の1/2の0.5時間にしてもポリカーボネートの分子量が実施例1よりも高くなっていることから、触媒の添加により反応速度が更に向上したことが分かる。得られたポリカーボネート粉末は白色粉末であり、望ましくない着色はなかった。またポリカーボネート成形品も着色がなく、無色透明であった。
【0085】
実施例3
貧溶媒固相重合の直前にさらに触媒としてTMAHを末端水酸基に対して1×10−6mol加えて反応させた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。重合時間を実施例1における反応時間の1/2の0.5時間にしてもポリカーボネートの分子量が実施例1と同等であることから、触媒の添加により反応速度が向上したことが分かる。得られたポリカーボネート粉末は白色粉末であり、望ましくない着色はなかった。またポリカーボネート成形品も着色がなく、無色透明であった。
【0086】
実施例4
貧溶媒としてn−ヘプタンの代りに、n−ノナンを用いた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。得られたポリカーボネートの分子量は19850であり、オリゴマーの分子量の3.13倍であった。ポリカーボネート粉末の性状、ポリカーボネートの成形品の性状において実施例1と同様の結果が得られた。
【0087】
実施例5
貧溶媒としてn−ヘプタンの代りに、ウンデカンを用いた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。得られたポリカーボネートの分子量は21220であり、オリゴマーの分子量の3.35倍であった。ポリカーボネートの粉末の性状、ポリカーボネートの成形品の性状において実施例1と同様の結果が得られた。
【0088】
実施例6
貧溶媒としてn−ヘプタンの代りに、出光石油化学(株)製IPソルベント(1520、イソヘプタン、イソペンタン、イソオクタン等を主成分とする)を用いた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。得られたポリカーボネートの分子量は18754であり、オリゴマーの分子量の2.96倍であった。ポリカーボネートの粉末の性状、ポリカーボネートの成形品の性状において実施例1と同様の結果が得られた。
【0089】
実施例7
予め220℃に加熱されたシクロヘキサン(貧溶媒)を0.0018cm/secで供給し反応させた以外は実施例1と基本的に同様に実施した。結果を表1に示した。得られたポリカーボネートの分子量は17790であり、オリゴマーの分子量の2.81倍であった。ポリカーボネートの粉末の性状、ポリカーボネートの成形品の性状において実施例1と同様の結果が得られた。
【0090】
実施例8
従来の界面重合法でフェニルカーボネート末端100%のオリゴマー500g(Mv8700)と水酸基末端100%のオリゴマー420g(Mv3240)を調製した。これらを、フェニルカーボネート末端:水酸基末端の比率が53mol%:47mol%(1.13:1.0)になるように混合し、メチレンクロライドに溶解、ヘプタンで沈殿させ、白色のオリゴマー粉末を得た。粘度平均分子量は7290であった。
【0091】
このオリゴマー粉末100gに水酸基末端に対して1×10−5molのNaOHを均一にまぶすように添加混合した後、実施例1と同様に貧溶媒固相重合させた。結果を表1に示した。反応時間を実施例1の反応時間の1/2の0.5時間にしても、分子量が24780であり、オリゴマーの分子量の3.91倍であった。ポリカーボネート粉末の性状、ポリカーボネート成形品の性状も実施例1と同様であった。
【0092】
比較例1(従来の溶融法)
実施例1(1)で製造したオリゴマー100gを500mlのオートクレーブに仕込み、280℃で溶融させ、290℃まで昇温しながら0.1Torrの圧力で十分に撹拌しながら3時間反応させた。結果を表1に示した。上記の実施例1〜8ではポリカーボネートに着色が見られなかったのに対し、この溶融エステル交換反応では十分な窒素置換を行ったにもかかわらず、ポリカーボネートにかなりの着色が見られた。
【0093】
比較例2(従来の固相重合法)
実施例1(1)で製造したオリゴマー100gを220℃に加熱した直径5cm、長さ30cmの燃焼管に仕込み、それと同時に予め220℃に加熱された窒素を0.038cm/secの速度で供給し、不活性ガス気流下での固相重合を行った。結果を表1に示した。貧溶媒固相重合法で行なった実施例1〜8に比べ、反応速度が遅く、重合時間3時間でのポリカーボネートの分子量は8871と極めて低かった。従って高分子量のポリカーボネートを得るためには、かなりの長時間が要求されることが分かる。
【0094】
比較例3(従来の固相重合法)
実施例1(1)で製造したオリゴマー100gをアセトンを用いて室温で12時間結晶化処理し、100℃で2時間真空乾燥した。その後、この結晶化オリゴマーを220℃に加熱した直径5cm、長さ30cmの燃焼管に仕込み、それと同時に予め220℃に加熱されたアセトンガスを0.043cm/secの速度で供給しつつ固相重合を行った。結果を表1に示した。貧溶媒固相重合法で行なった実施例1〜8に比べ、反応速度が遅く、重合時間3時間でのポリカーボネートの分子量は7213と極めて低かった。従って高分子量のポリカーボネートを得るためには、かなりの長時間が要求されることが分かる。
【0095】
【表1】
【0096】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、ポリカーボネートを製造するための従来方法、特に固相重合法の欠点を解消し、高品質のポリカーボネートを少ない工程数で効率良く短時間で安価に製造することができるポリカーボネートの製造方法が提供された。
Claims (12)
- ポリカーボネートオリゴマーを貧溶媒ガスの流通下に固相重合することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
- ポリカーボネートオリゴマーの末端比率が、フェニルカーボネート末端:水酸基末端=1:4〜4:1の範囲である、請求項1に記載の方法。
- ポリカーボネートオリゴマーが、ジヒドロキシ化合物とホスゲンを用いる界面重合法で得られたものまたは溶融エステル交換法で得られたものである、請求項1または2に記載の方法。
- ポリカーボネートオリゴマーが、界面重合法で得られたフェニルカーボネート末端のオリゴマーにジヒドロキシ化合物を添加したものである、請求項1または2に記載の方法。
- ポリカーボネートオリゴマーが、1,500〜15,000の粘度平均分子量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 固相重合するに先立ち、ポリカーボネートオリゴマーをフレーク化する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- フレーク化後のポリカーボネートオリゴマーが、10ミクロン〜10cmの粒径および0.15m2/g以上の比表面積を有する、請求項6に記載の方法。
- 貧溶媒が、重合条件下に完全に気化する沸点または50mmHg以上の蒸気圧を有し、重合条件下でのポリカーボネートオリゴマーまたはその高次重合物の溶解度が0.1重量%以下のものである、請求項1に記載の方法。
- 貧溶媒が、4〜10(cal/cm3)1/2の溶解度パラメーターを有する、請求項1に記載の方法。
- 貧溶媒が、炭素数5〜20の環状炭化水素、炭素数4〜18の直鎖もしくは分岐鎖飽和炭化水素または炭素数4〜18の低度不飽和炭化水素から選ばれる、請求項1に記載の方法。
- 貧溶媒ガスの供給量が、ポリマー1g当り0.5リットル(標準状態)/hr以上であり、かつ貧溶媒ガスの流通線速度が0.001cm/sec以上である、請求項1、8〜10のいずれか一項に記載の方法。
- 貧溶媒を固相重合反応器に供給して気化することにより、または予め気化し固相重合反応器に供給することにより、貧溶媒ガスを流通させる、請求項1、8〜11のいずれか一項に記載の方法。
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