JP3468433B2 - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP3468433B2 JP24900994A JP24900994A JP3468433B2 JP 3468433 B2 JP3468433 B2 JP 3468433B2 JP 24900994 A JP24900994 A JP 24900994A JP 24900994 A JP24900994 A JP 24900994A JP 3468433 B2 JP3468433 B2 JP 3468433B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネート(以
下、「PC」と記すことがある。)の製造方法に関す
る。詳しくは、例えば、エステル交換反応によってPC
を製造するにあたり、溶融エステル交換反応の均一かつ
安定な運転を可能にするとともに、高分子量のポリカー
ボネートを安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリカ
ーボネートは、透明性,耐熱性あるいは耐衝撃性に優れ
たエンジニアリングプラスチックであって、現在、電気
・電子分野,自動車分野,光学部品分野,その他工業分
野で広く使用されている。一般に、ポリカーボネートの
製造方法としては、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界
面重縮合法)、あるいはビスフェノールAなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭
酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応させる方
法(溶融重合法)が知られている。このPCの製造方法
において、界面重縮合法は、有毒なホスゲンを用いな
ければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリ
ウムなどの含塩素化合物によって製造装置が腐蝕するこ
と、樹脂中に混入する水酸化ナトリウムなどポリマー
の物性に悪影響を及ぼす不純物の分離が困難なことなど
の諸問題があり、その製造方法の改良が望まれている。
また、溶媒として塩化メチレンを用いるため作業性が
悪い、あるいは環境汚染等の問題があり、この点からも
製造方法の改良が望まれている。これらの観点から、上
記のホスゲンガスや塩化メチレンを使用しない、溶融重
合法の開発が盛んに行われるようになった。
【0003】従来よりジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
テルとからポリカーボネートを製造するエステル交換法
は、多段の反応基を用いて反応を進めることが効果的で
あり、溶融反応中のポリマーの高粘度化にも対応が容易
であった。また、PCの溶融エステル交換反応は、典型
的な重縮合反応であり、反応官能基であるアリール又は
アルキルカーボネート末端と水酸基末端とは、反応の全
域に渡ってほぼ等モルであることが良い。しかしなが
ら、このようなエステル交換法(溶融重合法)によるP
Cの製造は、界面重縮合法による製造と比較して、反応
の制御が困難であり、製造されるPCの分子量を安定し
て制御できない等の欠点があった。これらの問題を解決
し、反応生成ポリマーの均一性(特に分子量)を保つた
めに、例えば、特開平6−65366号公報には、最終
反応器出口に粘度計を設け、粘度測定の結果を反応条件
にフィードバックして反応を制御する方法が提案されて
いる。しかし、ここに開示されている方法では、変動の
大きいプレポリマー反応系を完全に制御するのは困難で
あり、また、反応条件のフィードバックが遅れてしまう
ため反応の制御自体も依然として困難である。また、特
公昭53−5718号公報には、プレポリマーの性状に
ついて、特定の末端基比及び分子量の均一性が、高分子
量なPCの製造あるいはPCの物性に有利である旨記載
されているが、このような範囲にプレポリマーの性状を
制御する方法については何ら開示されていない。したが
って、エステル交換法によるPCの製造方法において、
溶融エステル交換反応の均一かつ安定な運転を可能にす
るとともに、高分子量のポリカーボネートを安定して製
造する方法の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記状況に鑑み、従来法の欠点を解消し、ポリカーボネ
ートを溶融エステル交換反応において効率良く製造し、
均一かつ安定な製品を得るべく鋭意研究を重ねた結果、
生成するフェノール類又はアルコール類の量及び反応生
成物であるPCの極限粘度(溶融粘度)を測定し、エス
テル交換反応の温度及び圧力を制御することによって、
上記の課題を解決し得ることを見出した。本発明は、か
かる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本
発明の要旨は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと
からポリカーボネートを製造するにあたり、生成するフ
ェノール類又はアルコール類の量を連続的に測定し、温
度が100〜280℃、圧力が10torr〜5kg/cm2Gの
範囲、好ましくは温度が150〜250℃、圧力が20
torr〜2kg/cm2Gの範囲、特に好ましくは温度が170
〜240℃、圧力が100torr〜0kg/cm2Gの範囲で温
度及び圧力を制御してポリカーボネートプレポリマーを
製造した後、該ポリカーボネートプレポリマーを反応
(重合)させることを特徴とするポリカーボネートの製
造方法である。また、上記ポリカーボネートプレポリマ
ーの極限粘度[η]は、0.3dl/g以下となるように温
度及び圧力を制御することが好ましく、上記ポリカーボ
ネートプレポリマーのアリール又はアルキルカーボネー
ト末端の末端分率が、20〜80 mol% の範囲となるよ
うに温度及び圧力を制御することが好ましい。以下、本
発明の製造方法について詳細に説明する。
【0005】先ず、本発明のエステル交換反応に用いら
れる原料について説明する。本発明において、エステル
交換反応によってポリカーボネートを製造するにあた
り、原料としては、特に制限はなく、通常のエステル交
換法による製造に供される各種のものが用いられる。例
えば、エステル交換反応において、(A)成分として
ジヒドロキシ化合物及び(B)成分として炭酸ジエステ
ル、(A)成分としてジヒドロキシ化合物のジエステ
ル及び(B)成分として炭酸ジエステル、(A)成分
としてジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル及び(B)
成分として炭酸ジエステル、ジヒドロキシ化合物のジ
炭酸エステル(自己縮合)、 ジヒドロキシ化合物の
モノ炭酸エステル(自己エステル交換)などが挙げられ
る。これらの中では、の(A)成分としてジヒドロキ
シ化合物及び(B)成分として炭酸ジエステルとが好ま
しく用いられる。ここで、エステル交換反応に好ましく
用いられる(A)成分のジヒドロキシ化合物は、例え
ば、芳香族ジヒドロキシ化合物,脂肪族ジヒドロキシ化
合物が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種
の化合物である。この(A)成分の一つとして用いられ
る芳香族ジヒドロキシ化合物は、一般式(I)
【0006】
【化1】
【0007】〔式中、R1 は、それぞれハロゲン原子
(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素数1〜
8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル基,プロピ
ル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,イソア
ミル基,ヘキシル基など)であり、このRが複数の場
合、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよ
く、mは、0〜4の整数である。そして、Zは、単結
合,炭素数1〜8のアルキレン基又は炭素数2〜8のア
ルキリデン基(例えば、メチレン基,エチレン基,プロ
ピレン基,ブチレン基,ペンテリレン基,ヘキシレン
基,エチリデン基,イソプロピリデン基など),炭素数
5〜15のシクロアルキレン基又は炭素数5〜15のシ
クロアルキリデン基(例えば、シクロペンチレン基,シ
クロヘキシレン基,シクロペンチリデン基,シクロヘキ
シリデン基など),又は−S−,−SO−,−SO
2 −,−O−,−CO−結合もしくは式(II)あるいは(I
I')
【0008】
【化2】
【0009】で表される結合を示す。〕で表される芳香
族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。このような芳香族
ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)メタン;ビス(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(2−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン;
1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス
(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(通称ビスフェノールA:BPA);2,2−
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(2−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−ブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)
プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−
ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン;1,1−ビス(2−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン;1,1−ビ
ス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)ブタン;1,1−ビス(2−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)イソブタン;1,1−
ビス(2−t−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(3,5
−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)ブタン;4,4
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;1,1−
ビス(2−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフ
ェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン;1,1−(4−ヒドロキシフェニル)
エタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン;1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3−シクロヘ
キシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンなど
のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4,−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルなどのビス
(ヒドロキシアリール)エーテル類;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(ヒドロキシ
アリール)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド;ビス(3−フェニル−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(ヒドロキ
シアリール)スルホキシド類;ビス(4ヒドロキシフェ
ニル)スルホン;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホンなどのビス(ヒドロキシアリー
ル)スルホン類、4,4’−ジヒドロキシビフェニル;
4,4’−ジヒドロキシ−2、2’−ジメチルビフェニ
ル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジメチルビフ
ェニル;4,4’−ジヒドロキシ−3、3’−ジシクロ
ヘキシルビフェニル;3、3’−ジフルオロ−4,4’
−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル
類などが挙げられる。
【0010】上記一般式(I)以外の芳香族ジヒドロキ
シ化合物としては、ジヒドロキシベンゼン類、ハロゲン
及びアルキル置換ジヒドロキシベンゼン類などがある。
例えば、レゾルシン,3−メチルレゾルシン,3−エチ
ルレゾルシン,3−プロピルレゾルシン,3−ブチルレ
ゾルシン,3−t−ブチルレゾルシン,3−フェニルレ
ゾルシン,3−クミルレゾルシン;2,3,4,6−テ
トラフルオロレゾルシン;2,3,4,6−テトラブロ
モレゾルシン;カテコール,ハイドロキノン,3−メチ
ルハイドロキノン,3−エチルハイドロキノン,3−プ
ロピルハイドロキノン,3−ブチルハイドロキノン,3
−t−ブチルハイドロキノン,3−フェニルハイドロキ
ノン,3−クミルハイドロキノン;2,5−ジクロロハ
イドロキノン;2,3,5,6−テトラメチルハイドロ
キノン;2,3,4,6−テトラ−t−ブチルハイドロ
キノン;2,3,5,6−テトラフルオロハイドロキノ
ン;2,3,5,6−テトラブロモハイドロキノン等が
挙げられる。
【0011】また、(A)成分の一つとして用いられる
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、各種のものがあ
る。例えば、ブタン−1,4−ジオール;2,2−ジメ
チルプロパン−1,3−ジオール;ヘキサン−1,6−
ジオール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコ
ール;テトラエチレングリコール;オクタエチレングリ
コール;ジプロピレングリコ−ル;N,N−メチルジエ
タノールアミン;シクロヘキサン−1,3−ジオール;
シクロヘキサン−1,4−ジオール;1,4−ジメチロ
ールシクロヘキサン;p−キシリレングリコール;2,
2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパ
ン及び二価アルコールまたはフェノールのエトキシ化ま
たはプロポキシ化生成物、例えばビス−オキシエチル−
ビスフェノールA;ビス−オキシエチル−テトラクロロ
ビスフェノールA又はビス−オキシエチル−テトラクロ
ロヒドロキノン等が挙げられる。本発明の好ましい製造
方法において、(A)成分のジヒドロキシ化合物として
は、上記の化合物を適宜選択して用いるが、これらの中
では、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノール
Aを用いるのが好ましい。
【0012】一方、本発明において、(B)成分として
用いられる炭酸ジエステルは、各種のものがある。例え
ば、炭酸ジアリール化合物,炭酸ジアルキル化合物又は
炭酸アルキルアリール化合物から選択される少なくとも
一種の化合物である。この(B)成分の一つとして用い
られる炭酸ジアリール化合物は、一般式(III)
【0013】
【化3】
【0014】〔式中、Ar2はアリール基を示す。〕で表
される化合物又は一般式(IV)
【0015】
【化4】
【0016】〔式中、Ar1 は、上記芳香族ジヒドロキ
シ化合物から水酸基を2個除いた残基を示し、Ar2は前
記と同じである。〕で表される化合物である。また、炭
酸ジアルキル化合物は、一般式(V)
【0017】
【化5】
【0018】〔式中、R2 は炭素原子1〜6個を有する
アルキル基又は炭素原子4〜7個を有するシクロアルキ
ル基を示す。〕で表される化合物又は一般式(VI)
【0019】
【化6】
【0020】〔式中、R2 及びAr1は前記と同じであ
る。〕で表される化合物である。そして、炭酸アルキル
アリール化合物は、一般式(VII)
【0021】
【化7】
【0022】〔式中、R2 及びAr2は前記と同じであ
る。〕で表される化合物又は一般式(VIII)
【0023】
【化8】
【0024】〔式中、R2 ,Ar1及びAr2は前記と同じ
である。〕で表される化合物である。ここで、炭酸ジア
リール化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネー
ト,ジトリルカーボネート,ビス(クロロフェニル)カ
ーボネート,m−クレジルカーボネート,ジナフチルカ
ーボネート,ビス(ジフェニル)カーボネート,ビスフ
ェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げられる。
また、炭酸ジアルキル化合物としては、例えば、ジエチ
ルカーボネート,ジメチルカーボネート,ジブチルカー
ボネート,ジシクロヘキシルカーボネート,ビスフェノ
ールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。そし
て、炭酸アルキルアリール化合物としては、例えば、メ
チルフェニルカーボネート,エチルフェニルカーボネー
ト,ブチルフェニルカーボネート,シクロヘキシルフェ
ニルカーボネート,ビスフェノールAメチルフェニルカ
ーボネート等が挙げられる。本発明において、(B)成
分の炭酸ジエステルとしては、上記の化合物を適宜選択
して用いるが、これらの中では、ジフェニルカーボネー
トが好ましく用いられる。
【0025】次に、本発明に用いられる前記ジヒドロキ
シ化合物及び前記炭酸ジエステル以外の原料としては、
次のものが挙げられる。すなわち、ジヒドロキシ化合物
のジエステル類としては、例えば、ビスフェノールAの
ジ酢酸エステル,ビスフェノールAのジプロピオン酸エ
ステル,ビスフェノールAのジブチル酸エステル,ビス
フェノールAのジ安息香酸エステル等を挙げることがで
きる。また、ジヒドロキシ化合物のジ炭酸エステル類と
しては、例えば、ビスフェノールAのビスメチル炭酸エ
ステル,ビスフェノールAのビスエチル炭酸エステル,
ビスフェノールAのビスフェニル炭酸エステル等を挙げ
ることができる。そして、ジヒドロキシ化合物のモノ炭
酸エステル類としては、例えば、ビスフェノールAモノ
メチル炭酸エステル,ビスフェノールAモノエチル炭酸
エステル,ビスフェノールAモノプロピル炭酸エステ
ル,ビスフェノールAモノフェニル炭酸エステル等を挙
げることができる。
【0026】そして、本発明の製造方法では、必要に応
じて、下記に示す末端停止剤を用いることもできる。こ
のような末端停止剤の具体例としては、o−n−ブチル
フェノール;m−n−ブチルフェノール;p−n−ブチ
ルフェノール;o−イソブチルフェノール;m−イソブ
チルフェノール;p−イソブチルフェノール;o−t−
ブチルフェノール;m−t−ブチルフェノール;p−t
−ブチルフェノール;o−n−ペンチルフェノール;m
−n−ペンチルフェノール;p−n−ペンチルフェノー
ル;o−n−ヘキシルフェノール;m−n−ヘキシルフ
ェノール;p−n−ヘキシルフェノール;o−シクロヘ
キシルフェノール;m−シクロヘキシルフェノール;p
−シクロヘキシルフェノール;o−フェニルフェノー
ル;m−フェニルフェノール;p−フェニルフェノー
ル;o−n−ノニルフェノール;m−n−ノニルフェノ
ール;p−n−ノニルフェノール;o−クミルフェノー
ル;m−クミルフェノール;p−クミルフェノール;o
−ナフチルフェノール;m−ナフチルフェノール;p−
ナフチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチルフェノー
ル;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−
t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノ
ール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミル
フェノール;式
【0027】
【化9】
【0028】で表される化合物やクロマン誘導体とし
て、例えば、式
【0029】
【化10】
【0030】で表される化合物等の一価フェノールが挙
げられる。このようなフェノール類のうち、本発明では
特に限定されないが、p−tert−ブチルフェノール;p
−クミルフェノール;p−フェニルフェノールなどが好
ましい。また、式
【0031】
【化11】
【0032】で表される化合物等が挙げられる。さら
に、本発明では、必要に応じて、フロログルシン;トリ
メリット酸;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロ
キシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス
(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;α,
α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,
3,5−トリイソプロピルベンゼン;イサチンビス(o
−クレゾール)等を分岐剤として用いることもできる。
【0033】本発明の製造方法では、エステル交換反応
の際に、必要に応じて重合触媒の存在下でエステル交換
反応を行う。重合触媒を用いる場合、好ましく用いられ
る含窒素塩基性化合物としては、特に制限はなく、各種
のものがある。例えば、トリメチルアミン,トリエチル
アミン,トリプロピルアミン,トリブチルアミン,トリ
ペンチルアミン,トリヘキシルアミン,ジメチルベンジ
ルアミン等の脂肪族第3級アミン化合物、トリフェニル
アミン等の芳香族第3級アミン化合物が挙げられる。ま
た、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン,4−ジエ
チルアミノピリジン,4−ピロリジノピリジン,4−ア
ミノピリジン,2−アミノピリジン,2−ヒドロキシピ
リジン,4−ヒドロキシピリジン,2−メトキシピリジ
ン,4−メトキシピリジン,イミダゾール,2−メチル
イミダゾール,4−メチルイミダゾール,2−ジメチル
アミノイミダゾール,2−メトキシイミダゾール,2−
メルカプトイミダゾール,アミノキノリン,ジアザビシ
クロオクタン(DABCO)等の含窒素複素環化合物が
挙げられる。さらに、テトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド(Me4 NOH),テトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド(Et4 NOH),テトラブチルアンモニウ
ムヒドロキシド(Bu4 NOH),トリメチルベンジル
アンモニウムヒドロキシド〔C6 5 CH2(Me)3NO
H〕等のアルキル基,アリール基,アルアリール基など
を有するアンモニウムヒドロキシド類が挙げられる。そ
の他、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド(M
4 NBH4),テトラブチルアンモニウムボロハイドラ
イド(Bu4 NBH4),テトラブチルアンモニウムフェ
ニルボレート(Bu4 NBPh4),テトラメチルアンモ
ニウムテトラフェニルボレート(Me4 NBPh4)等の
塩基性塩が挙げられる。これらの含窒素塩基性化合物の
中では、トリヘキシルアミン,テトラメチルアンモニウ
ムヒドロキシド,テトラブチルアンモニウムヒドロキシ
ド,ジメチルアミノピリジンが好ましく用いられる。ま
た、硼素,硼素トリメチル,硼素トリエチル,硼素トリ
ブチル,硼素トリヘプチル,硼素トリフェニル,硼素ト
リナフチル等が挙げられる。上記重合触媒を構成する各
成分は、それぞれ単独で用いてもよく、目的によって
は、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記
重合触媒は、目的に応じて、通常用いられているエステ
ル交換触媒と併用しても良い。ここで、通常用いられて
いるエステル交換触媒とは、例えば、アルカリ金属化合
物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなど)、アルカリ土類金属化合物、アミン
類、第4級アンモニウム塩類等の含窒素塩基性化合物あ
るいは硼素化合物が挙げられる。これらの中では、特
に、含窒素塩基性化合物が塩基性を示し、反応液中に比
較的残留しない特徴を有するので好ましく用いられる。
【0034】前記触媒の添加量としては、原料である
(A)成分のジヒドロキシ化合物に対して、通常、10
-1〜10-8モル/モル、好ましくは10-2〜10-7モル
/モルである。この触媒の添加量が10-8モル/モル未
満では、触媒効果が発現されないおそれがある。また、
10-1モル/モルを超えると、最終製品であるポリカー
ボネートの物性、特に、耐熱性, 耐加水分解性の低下を
招くおそれがあり、また、コストアップに繋がり、これ
を超えてまで添加することはない。
【0035】そして、上記のエステル交換反応は、不活
性溶剤の不存在下で行われるが、必要に応じて、得られ
るPCの1〜150重量%の不活性溶剤の存在下におい
て行ってもよい。ここで、不活性溶剤としては、例え
ば、ジフェニルエーテル,ハロゲン化ジフェニルエーテ
ル,ベンゾフェノン,ポリフェニルエーテル,ジクロロ
ベンゼン,メチルナフタレン等の芳香族化合物、二酸化
炭素,一酸化二窒素,窒素などのガス、クロロフロロ炭
化水素、エタン,プロパン等のアルカン、シクロヘキサ
ン,トリシクロ(5.2.10)デカン,シクロオクタ
ン,シクロデカン等のシクロアルカン、エテン,プロペ
ンのようなアルケン等各種のものが挙げられる。
【0036】なお、本発明では、必要に応じて、酸化防
止剤を使用することができる。例えば、リン系酸化防止
剤としては、具体的には、トリ(ノニルフェニル)ホス
ファイト,2−エチルヘキシジフェニルホスファイトの
他、トリメチルホスファイト,トリエチルホスファイ
ト,トリブチルホスファイト,トリオクチルホスファイ
ト,トリノニルホスファイト,トリデシルホスファイ
ト,トリオクタデシルホスファイト,ジステアリルペン
タエリスチルジホスファイト,トリス(2−クロロエチ
ル)ホスファイト,トリス(2,3−ジクロロプロピ
ル)ホスファイトなどのトリアルキルホスファイト;ト
リシクロヘキシルホスファイトなどのトリシクロアルキ
ルホスファイト;トリフェニルホスファイト,トリクレ
ジルホスファイト,トリス(エチルフェニル)ホスファ
イト,トリス(ブチルフェニル)ホスファイト,トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト,トリス(ヒドロキシ
フェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイ
ト;トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェー
ト,トリブチルホスフェート,トリオクチルホスフェー
ト,トリデシルホスフェート,トリオクタデシルホスフ
ェート,ジステアリルペンタエリスリチルジホスフェー
ト,トリス(2−クロロエチル)ホスフェート,トリス
(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェートなどのトリ
アルキルホスフェート;トリシクロヘキシルホスフェー
トなどのトリシクロアルキルホスフェート;トリフェニ
ルホスフェート,トリクレジルホスフェート,トリス
(ノニルフェニル)ホスフェート,2−エチルフェニル
ジフェニルホスフェートなどのトリアリールホスフェー
トなどが挙げられる。
【0037】次に、本発明の製造工程について説明す
る。本発明は、ポリカーボネートプレポリマーを製造す
る工程(第一工程)の後、ポリカーボネートプレポリマ
ーを高分子量化する工程(第二工程)を有し、更に必要
に応じて得られたポリカーボネートを製品化する最終工
程を有する。以下、それぞれの工程について説明する。
【0038】[第一工程]上記ジヒドロキシ化合物と、
上記炭酸ジエステルとを用いたエステル交換反応により
ポリカーボネートプレポリマーを製造するには、温度が
100〜280℃、圧力が10torr〜5kg/cm2Gの範
囲、好ましくは温度が150〜250℃、圧力が20to
rr〜2kg/cm2Gの範囲、特に好ましくは温度が170〜
240℃、圧力が100torr〜0kg/cm2Gの範囲でエス
テル交換反応を行う。反応温度が、100℃より低い場
合には反応が進行せず、280℃より高い場合には上記
原料の一部である炭酸ジエステル等が留去してしまいエ
ステル交換反応が困難となる。また反応温度が、150
℃より低い場合には反応は進行するが反応率が低い点で
好ましくなく、250℃より高い場合には上記原料の一
部である炭酸ジエステル等が留去することがあるので好
ましくない。さらに反応温度が、170℃より低い場合
には反応は進行するが反応速度が充分でなく、反応器容
積が大きくなる等の点で望ましくなく、240℃より高
い場合にはやはり炭酸ジエステルが留去する等の点で望
ましくない。反応の圧力が、10torrより低い場合には
炭酸ジエステル等が留去してしまいエステル交換反応が
困難であり、5kg/cm2Gより高い場合には副生するフェ
ノールが留去せず反応が進行しない。また反応の圧力
が、20torrより低い場合には炭酸ジエステル等が留去
することがあるので好ましくなく、2kg/cm2Gより高い
場合には副生するフェノールが留去しにくいので反応率
が低下し好ましくない。さらに反応の圧力が、100to
rrより低い場合には急激なフェノールの突沸が生じた
り、原料の炭酸ジエステルの留去等の点で望ましくな
く、0kg/cm2Gより高い場合には効率的なフェノールの
除去ができないばかりでなく、耐圧容器を必要とする点
で望ましくない。
【0039】第一工程では、比較的揮発性の高い炭酸ジ
エステルが留去し易く、反応系内のジヒドロキシ化合物
と炭酸ジエステルとの比(モルバランス)を崩しやす
い。このことから、プレポリマーの末端基であるアリー
ルカーボネート末端又はアルキルカーボネート末端と水
酸基末端とのバランス(末端分率)が乱れ、第二工程で
ある高分子量化においてポリカーボネートの分子量が高
くならない等の問題が発生するため、以下の方法により
温度及び圧力を制御する。反応が進行するとともに、使
用した炭酸ジエステルに対応するフェノール類,アルコ
ール類,又はそれらのエステル類及び不活性溶剤が反応
器より脱離してゆく。これらの内、反応器から留出する
フェノール類又はアルコール類の留出速度を測定すると
ともに、プレポリマー粘度を測定することにより反応進
行度を演算し、反応器の温度及び圧力条件にフィードバ
ックする。フェノール類又はアルコール類の留出速度
は、反応器出口のコンデンサーより回収されるフェノー
ル類又はアルコール類の量から測定することが容易であ
る。また、フェノール類等は、凝固しない温度でコンデ
ンサーにより回収する。プレポリマーの反応器とコンデ
ンサーの間に、フェノール類等の回収を効率良く行うた
めに充填塔あるいは蒸留塔を設けることも好ましい。
【0040】温度及び圧力条件は、予め実験により必要
な末端及び分子量になる値を測定しておいて、この値に
従って制御される。一般に、反応を進行させるために
は、温度を上げ、圧力を下げる操作がなされる。また、
プレポリマーの粘度測定は、オリフィスによる差圧又は
円筒による回転トルク等、従来既知の方法で可能であ
る。本工程のエステル交換反応では、従来既知の反応器
であれば、その材質や構造は特に制限はされないが、中
でも縦型反応器あるいは横型反応器が好適である。さら
に、反応器の形状は槽型のみならず、押出機型のリアク
ター等でもよい。この反応器の温度制御は、ジャケット
又は外部熱交換器等で行うことができる。本工程では、
バッチ法または連続法のいずれでも反応を進行させるこ
とができるが、均一なプレポリマーを得るためには連続
法が好ましい。そして、エステル交換反応では、必要に
応じて前記触媒を用いることができる。また、原料であ
る炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのモル比(炭
酸ジエステル/ジヒドロキシ化合物)は、1.00〜1.
50 mol/mol、好ましくは1.01〜1.20 mol/mol
の範囲で用いられる。1.00 mol/molより小さい値の
場合には、温度及び圧力の制御を行ったとしても、プレ
ポリマーの水酸基末端の増加が避けられず、ポリカーボ
ネートの高分子量化が困難となる。
【0041】この第一工程は、1段の工程で実施するこ
ともできるが、それ以上の多段の工程に分けて実施する
こともできる。多段の工程に分けて実施する場合には、
多段の工程のうち少なくとも1段の工程で上記方法に基
づく制御を行い、エステル交換反応を進行させる。そし
て、上記第一工程で得られるプレポリマーとしては、極
限粘度[η]が0.3dl/g以下、アリール又はアルキル
カーボネート末端の末端分率が20〜80 mol% の範囲
であることが好ましい。極限粘度[η]が0.3dl/gよ
り大きい場合には、得られたプレポリマーの分子量は既
に十分なレベルに達しており、温度及び圧力の制御によ
って末端分率を制御する効果が薄れ、また高粘度である
ために反応器の形状や操作において、温度制御が困難と
なる。アリール又はアルキルカーボネート末端の末端分
率が、20 mol% より小さい場合、あるいは80 mol%
より大きい場合のいずれであっても、第二工程のポリカ
ーボネートの高分子量化において十分な分子量が得られ
ないこととなる。尚、アリール又はアルキルカーボネー
ト末端の末端分率は、以下の式から計算される。 (末端分率) =(アリール又はアルカリカーボネート末
端)/[(アリール又はアルカリカーボネート末端)+
(水酸基末端)]×100(mol%)
【0042】[第二工程]第二工程では、第一工程で得
られたポリカーボネートプレポリマーを反応器で高分子
量化する。第二工程の反応器は、既に分子量が一定以上
に増大し、粘度も増大しているプレポリマーから反応
(重合)を進行させるために、高粘度対応型反応器が好
ましく、特に2軸横型反応器が好ましい。好適な攪拌装
置(反応器)としては、三菱重工業(株)製SCR,N
SCR型反応器、日立製作所(株)製メガネ翼,格子翼
型リアクター、(株)栗本鉄鋼所KRCニーダー,SC
プロセッサー、住友重機械工業(株)BIVOLAK 、(株)
日本製鋼所 TEX等が挙げられる。
【0043】第二工程の反応温度は、通常200〜35
0℃、圧力は通常500〜0.1torrの範囲であり、圧
力が500torrより大きい場合には反応が十分に進行せ
ず、0.1torrより小さい場合には真空度を達成するの
に多大な設備を必要とし、コストが掛かる。そして、反
応生成物であるポリカーボネートの極限粘度[η]が、
0.3〜2dl/gの範囲となるまで処理する。この第二工
程においても、反応の効率化のために二段以上の反応器
を用いることもできる。
【0044】[最終工程]第二工程で得られたポリカー
ボネートは、溶融状態であるため、そのままペレタイズ
して製品化することもできるが、最終工程において必要
な添加剤、例えば酸化防止剤,着色剤,可塑剤,潤滑
剤,耐候剤,離型剤等を添加しても良い。また、得られ
たポリカーボネートは、ポリオレフィン,ポリスチレ
ン,ポリエステル,ポリスルホネート,ポリアミド,ポ
リフェニレンオキシド等の重合体とブレンドすることが
可能であり、特にヒドロキシ基あるいはアミノ基などを
末端に有するポリフェニレンエーテル,ポリエーテルニ
トリル,末端変性ポリシロキサン化合物,変性ポリプロ
ピレン,変性ポリスチレン等を併用してブレンドするこ
とができ、これにより物性の改良を効果的に行うことが
できる。
【0045】さらに、必要に応じて反応の全工程、また
は後工程に酸化防止剤を用いることもできる。酸化防止
剤としては、例えば住友化学(株)製TNP(トリスノ
ニルフェニルホスファイト)、城北化学(株)製EBP
(ジフェニルモノ(2−ブチルフェニル)ホスファイ
ト)、チバガイギー(株)製イルガフォス168(トリ
ス(2,2’−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト)等を挙げることができる。以上のようにして得られ
たPCは、そのまま造粒しても良く、また、押出機等を
用いて成形することもできる。
【0046】
【実施例】更に、本発明を実施例及び比較例により、詳
しく説明する。なお、本発明は下記の実施例により限定
されるものではない。 実施例1 反応装置として、図1に示す反応器を使用した。第一反
応槽1の有効容積は100リットルであり、パドル型攪
拌翼4を有している。第一反応槽1はBPA(ビスフェ
ノールA)とDPC(ジフェニルカーボネート)とを溶
融混合し、反応を進行させた。BPAの供給量は25kg
/時間、DPCの供給量は25.8kg/時間であり、B
PAとDPCとのモル比はDPC/ BPA=1.1 mol
/molであった。
【0047】触媒としてはTMAH(テトラメチルアン
モニウムヒドロキシド)及びNaOH(水酸化ナトリウ
ム)を用い、それぞれBPAに対してTMAHは1×1
-4mol/molの量、NaOHは1×10-6 mol/molの量
を第一反応槽1に供給した。第一反応槽1の反応温度は
180℃であり、反応生成物の極限粘度[η]は0.0
3dl/gであった。第一反応槽1からのフェノール留出量
は17.2kg/時間であった。得られた反応生成物は第
二反応槽2に供給し、更に反応を進行させてポリカーボ
ネートプレポリマーを得た。この反応槽2の温度及び圧
力は、生成するフェノール量及びポリカーボネートプレ
ポリマーの極限粘度から制御されるようになっており、
極限粘度[η]が0.26dl/gになるように反応させ
た。なお、温度は220±5℃、圧力は150±10to
rrで制御され、第二反応槽2からのフェノール留出量は
2.9kg/時間であった。
【0048】このような製造条件で24時間の連続運転
を実施し、得られたプレポリマーの末端基についてNM
Rを用いて測定した。その結果、前記の式に従うフェニ
ルカーボネート末端基の割合は62±1mol%であり、分
子量とともに末端基の比率も安定していることがわかっ
た。さらに、得られたプレポリマーを横型二軸反応器3
に供給し、温度270℃、圧力0.8torrで反応(重
合)させた。横型二軸反応器3は、一定の真空度に保た
れるように真空系に繋がっている。この反応(重合)で
得られた最終生成物であるポリカーボネートは、極限粘
度[η]が0.56±0.002dl/gであり、安定してい
た。また、ポリカーボネートの全末端基中のフェニルカ
ーボネート末端基の割合(末端分率)は68±2mol%で
あり、安定していた。結果を第1表に示す。
【0049】実施例2〜6 実施例1において、触媒の種類、触媒量、及び原料の供
給比率を第1表に示すように変えた以外は、実施例1と
同様に実施した。結果を第1表に示す。
【0050】比較例1 実施例1において、生成するフェノール量およびポリカ
ーボネートプレポリマーの極限粘度による反応の制御を
行わず、第二反応槽2を反応温度210℃、圧力50to
rrに固定して反応を行った以外は、実施例1と同様にし
てポリカーボネートプレポリマーを得た。得られたプレ
ポリマーは、極限粘度[η]が0.24±0.004dl/g
であることから性状の安定度に劣り、フェニルカーボネ
ート末端基の割合も82±3mol%であることから不安定
であった。この得られたプレポリマーを横型二軸反応器
3に供給し、温度280℃、圧力0.5torrで反応させ
たところ、最終生成物であるポリカーボネートの極限粘
度[η]は0.48dl/gであり、分子量は低下している
ことがわかった。結果を第1表に示す。
【0051】比較例2〜3 比較例1において、第二反応槽2の温度、圧力及び原料
モノマーの供給比率を第1表に示すように変えた以外
は、比較例1と同様に実施した。結果を第1表に示す。
【0052】比較例4〜5 実施例1において、原料モノマーの供給比率及びプレポ
リマーのフェニルカーボネート末端基の割合を第1表に
示すように変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
結果を第1表に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】以上、本発明によれば、溶融エステル交
換反応の均一かつ安定な運転を可能にするとともに、高
分子量で品質の優れたポリカーボネートを安定して効率
よく製造することができる。したがって、本発明は、エ
ステル交換法でポリカーボネートを工業的に有利に製造
する方法として有効かつ幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のポリカーボネートの製造に用いた反
応装置の模式図
【符号の説明】
1 ・・・第一反応槽 2 ・・・第二反応槽 3 ・・・横型二軸反応器 4 ・・・パドル型攪拌翼 5 ・・・ギヤポンプ 6 ・・・コンデンサー 7 ・・・真空ポンプ 11・・・BPA 12・・・DPC 13・・・触媒 14・・・回収フェノール 15・・・排気口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正浩 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石 油化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−324128(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと
    からポリカーボネートを製造するにあたり、生成するフ
    ェノール類又はアルコール類の量及び反応生成物である
    ポリカーボネートプレポリマーの極限粘度を連続的に測
    定し、温度が100〜280℃、圧力が10torr〜5kg
    /cm2Gの範囲で、ポリカーボネートプレポリマーの極限
    粘度[η]が0.3dl/g以下となるように温度及び圧力
    を制御して、ポリカーボネートプレポリマーを製造した
    後、該ポリカーボネートプレポリマーを反応させること
    を特徴とするポリカーボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと
    からポリカーボネートを製造するにあたり、生成するフ
    ェノール類又はアルコール類の量を連続的に測定し、温
    度が100〜280℃、圧力が10torr〜5kg/cm2Gの
    範囲で、ポリカーボネートプレポリマーのアリール又は
    アルキルカーボネート末端の末端分率が20〜80 mol
    % の範囲となるように、温度及び圧力を制御して、ポリ
    カーボネートプレポリマーを製造した後、該ポリカーボ
    ネートプレポリマーを反応させることを特徴とするポリ
    カーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 温度が150〜250℃、圧力が20to
    rr〜2kg/cm2Gの範囲で温度及び圧力を制御して、前記
    ポリカーボネートプレポリマーを製造する請求項1又は
    記載のポリカーボネートの製造方法。
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