JPH09125184A - アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09125184A
JPH09125184A JP31474795A JP31474795A JPH09125184A JP H09125184 A JPH09125184 A JP H09125184A JP 31474795 A JP31474795 A JP 31474795A JP 31474795 A JP31474795 A JP 31474795A JP H09125184 A JPH09125184 A JP H09125184A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
weight
welded
less
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31474795A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Sakurai
健夫 櫻井
Kazuhide Matsumoto
和秀 松元
Shojiro Oya
正二郎 大家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP31474795A priority Critical patent/JPH09125184A/ja
Publication of JPH09125184A publication Critical patent/JPH09125184A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接部及びその周辺部の母材の強度が均一で
あり、応力腐食割れを防止することができるアルミニウ
ム合金製溶接構造材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】Zn:4.6乃至7.0重量%、Mg:
1.0乃至4.0重量%及びZr:0.05乃至0.3
重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からな
る2以上の熱処理型アルミニウム合金板を、先ず溶加材
を使用して溶接により一体とする。そして、400乃至
550℃の温度で20乃至240分間の溶体化処理を施
し、その後100乃至300℃/秒の冷却速度で焼入れ
を施す。更に、100乃至150℃の温度で2乃至48
時間の人工時効処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接して使用されるアル
ミニウム合金製溶接構造材に関し、特にゴルフクラブの
ヘッド及び自動車部品等の小型製品の素材に好適のアル
ミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶及び車両等の製造に素材とし
て使用される高力アルミニウム合金製溶接構造材は、溶
体化処理が施された後、焼入れされ、更に人工時効処理
が施こされ所謂T6材となる。その後、このT6材が所
望の形状に加工され、そして溶接して使用されている。
また、7N01合金等からなる溶接構造用アルミニウム
合金材も同様の処理がなされた後に溶接して使用されて
いる。
【0003】ところで、通常、高力アルミニウム合金製
溶接構造材を溶接して作製された製品は強度向上を目的
として、溶接後に溶体化処理及び焼入れ処理が施され
る。しかし、船舶及び車両等に使用される高力アルミニ
ウム合金製溶接構造材は、その製品自体が大きいため、
溶接後に溶体化処理及び焼入れ処理が施されず、溶接後
はそのままの状態で使用されている。なお、溶接後時間
が経過すると、溶接部は自然時効により、強度が約30
0N/mm2と高くなる。
【0004】また、小型製品用の溶接構造材として、特
開平6−304272号公報には、金属部材を所望の形
状のダイスで鋳造した後、この金属部材を溶接し、時効
硬化させた後、溶体化処理し、そして研磨することによ
り溶接構造材を製造する方法が開示されている。
【0005】なお、前記公報では、チタン合金を使用し
て所望の小型溶接構造材を製造することが開示されてお
り、チタン合金では、応力腐食割れが発生し難いため、
応力腐食割れに対する問題は発生しなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在の
市場における素材の要求は、チタンより更に軽量である
アルミニウムに移行しつつある。また、徐々に高強度な
溶接構造材が要求されており、従来のように所謂T6材
とした(溶体化処理→焼入れ→人工時効処理を施した)
後において溶接すると、特に超々ジュラルミンのような
高力アルミニウムの場合には、溶接部の強度とその周辺
部の母材の強度との間に著しい差が生じ、更にこの溶接
部の強度が低いため、溶接部において割れが発生してし
まうという難点がある。
【0007】また、溶接構造材を自然時効によってある
程度の強度にまで向上させるには相当の時間を要し、極
めて効率が悪い。更に、上述の特開平6−304272
号公報における溶接構造材の製造方法では、応力腐食割
れの対策については開示されておらず、実際に前記製造
方法によって製造されたアルミニウム製溶接構造材では
応力腐食割れが発生してしまう。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接部及びその周辺部の母材の強度が均一
であり、応力腐食割れを防止することができるアルミニ
ウム合金製溶接構造材及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム合金製溶接構造材は、2以上の熱処理型アルミニウム
合金板が溶加材を使用した溶接により一体とされた合金
板に、溶体化処理、焼入れ処理、更に人工時効処理が施
されていることを特徴とする。また、前記熱処理型アル
ミニウム合金板は、Zn:4.6乃至7.0重量%、M
g:1.0乃至4.0重量%及びZr:0.05乃至
0.3重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物
からなることが好ましく、前記熱処理型アルミニウム合
金は、更にCu:0.3重量%以下、Cr:0.2重量
%以下及びMn:0.2重量%以下からなる群から選択
された1種以上の元素を含有することが好ましい。
【0010】また、前記人工時効処理後の時効析出物の
直径は50Å以下の球状であり、この析出物の素材中の
面積率が20乃至35%であることが好ましく、更に前
記熱処理型アルミニウム合金板と前記溶接による溶接部
とのビッカース硬度(HV)の差が30HV以下である
ことが好ましい。
【0011】本発明に係るアルミニウム合金製溶接構造
材の製造方法は、2以上の熱処理型アルミニウム合金板
を溶加材を使用した溶接により一体とした合金板に、溶
体化処理を施し、その後焼入れを施し、更に人工時効処
理を施すことを特徴とする。また、前記溶体化処理を4
00乃至550℃の温度で20乃至240分間、前記焼
入れの冷却速度を100乃至300℃/秒、前記人工時
効処理を100乃至150℃の温度で2乃至48時間と
して処理してもよい。
【0012】また、前記熱処理型アルミニウム合金板
は、Zn:4.6乃至7.0重量%、Mg:1.0乃至
4.0重量%及びZr:0.05乃至0.3重量%を含
有し、残部がAl及び不可避的不純物からなることが好
ましく、前記熱処理型アルミニウム合金は、更にCu:
0.3重量%以下、Cr:0.2重量%以下及びMn:
0.2重量%以下からなる群から選択された1種以上の
元素を含有することが好ましい。
【0013】
【作用】本願発明者等は、溶接部及びその周辺部の母材
の強度が均一であり、応力腐食割れを防止することがで
きるアルミニウム合金製溶接構造材、及び溶接後短時間
で溶接部及びその周辺の母材の強度を均一にすることが
できるアルミニウム合金製溶接構造材の製造方法を開発
すべく、鋭意研究を行った。その結果、2以上の熱処理
型アルミニウム合金板を溶接した後、溶体化処理を施
し、その後焼入れし、更に人工時効処理を施すことによ
り、溶接後短時間で溶接部自体の強度を向上させること
ができ、延いては溶接部及びその周辺の母材の強度が均
一なアルミニウム合金製溶接構造材を得ることができる
ことを知見した。
【0014】また、前記アルミニウム合金板を所定の成
分組成とすることにより、より一層高強度の溶接構造材
を得ることができることも知見した。以下、本発明に係
るアルミニウム合金製溶接構造材の成分添加理由及び組
成限定理由について説明する。
【0015】Zn(亜鉛):4.6乃至7.0重量% Znは溶接構造材に強度を付与する元素であり、Mgと
化合することにより、時効析出物のη´相(MgZ
2)が析出する。この析出物の量はZn及びMgの添
加量に依存する。また、溶体化処理の際に、Znは溶接
部に流れ込むため、溶接部の組成が7000系合金に近
くなる。このため、溶接構造材に溶体化処理及び焼入れ
を施し、更に人工時効処理により溶接部の強度が高くな
る。しかし、Znの添加量が4.6重量%未満では溶接
構造材に超々ジュラルミンと同程度の強度を付与するこ
とができず、また7.0重量%を超えてZnが添加され
ると、鋳造時に割れが発生するため板材の製造が困難で
あり、仮に板材とすることができても、溶接性が極めて
劣化してしまう。従って、Znの添加量は4.6乃至
7.0重量%とする。
【0016】Mg(マグネシウム):1.0乃至4.0
重量% Mgは上述したZnと同様に、時効析出物のη´相(M
gZn2)が析出することにより、溶接構造材に強度を
付与する元素である。Mgの添加量が1.0重量%未満
では溶接構造材に超々ジュラルミンと同程度の強度を付
与することができない。また、4.0重量%を超えてM
gが添加されると、溶接性及び耐食性が極めて劣化して
しまう。従って、Mgの添加量は1.0乃至4.0重量
%とする。
【0017】Zr(ジルコニウム):0.05乃至0.
3重量% Zrは溶接構造材に強度を付与すると共に、溶接性を向
上させる元素である。また、組織をファイバー状(繊維
状)にする作用があり、これにより応力腐食割れを抑制
することができる。しかし、Zrの添加量が0.05重
量%未満では、溶接構造材に十分な強度を付与すること
ができず、また組織を繊維状にすることができない。一
方、Zrが0.3重量%を超えて添加されると、巨大な
晶出物が発生するため、圧延加工性が阻害されたり、溶
接性が劣化してしまう。従って、Zrの添加量は0.0
5乃至0.3重量%とする。
【0018】Cu(銅):0.3重量%以下 Cuは溶接構造材の強度を増加させるために有効な元素
である。また、Zn−Mg系の化合物よりもCu系化合
物の方が腐食しやすいため、応力腐食割れを抑制するこ
とができる。しかし、0.3重量%を超えてCuが添加
されると、溶接性が劣化してしまう。従って、Cuの添
加量は0.3重量%以下とする。
【0019】Cr(クロム):0.2重量%以下 CrはCuと同様に溶接構造材の強度を増加させるため
に有効な元素であるが、0.2重量%を超えてCrが添
加されると、結晶粒が粗大化するため、溶接構造材の強
度が低下したり、溶接性が劣化してしまう。従って、C
rの添加量は0.2重量%以下とする。
【0020】Mn(マンガン):0.2重量%以下 MnはMnAl6の化合物を生成し、これが所謂ピン止
めとして作用し、結晶粒を微細化させて溶接構造材の強
度を増加させる元素である。Mnの添加量が0.2重量
%を超えると、MnAl6が粗大化するため、溶接構造
材の強度が低下したり、溶接性が劣化してしまう。従っ
て、Mnの添加量は0.2重量%以下とする。
【0021】なお、鋳塊組織を微細化及び安定化させ
て、製造効率を向上させるために、Ti及びBのうち、
一方又は両方の元素を添加してもよい。この場合、Ti
及びBの添加量が夫々0.005重量%未満及び0.0
005重量%未満であると、鋳塊組織を微細化及び安定
化させることができず、一方Tiを0.2重量%を超え
て添加したり、Bを0.05重量%を超えて添加したり
すると、巨大な晶出物が発生してしまう。このため、T
i及びBの添加量は夫々0.005乃至0.2重量%及
び0.0005乃至0.05重量%とする。
【0022】また、不可避的不純物としてFe等があ
り、Feは特に溶接構造材の強度に影響を及ぼすことは
ないが、添加することにより結晶粒を微細化することが
できる。しかし、Feが0.3重量%を超えてAl−Z
n−Mn系合金に添加されると、溶接割れの感受性が高
くなり、溶接性を劣化させてしまう。従って、Feの含
有量は0.3重量%以下に規制することが好ましい。
【0023】更に、不可避的不純物としてSi等も考え
られるが、0.1重量%以下であれば、本発明に重大な
影響を及ぼすことはなく、他の不可避的不純物との総量
も0.3重量%以下であれば、本発明に重大な影響を及
ぼすことはない。
【0024】次に、人工時効処理における時効析出物の
サイズ及び面積率について説明する。
【0025】時効析出物のサイズ:50Å以下 時効析出物の形状は球状であり、そのサイズは溶接構造
材の強度に影響を与える。即ち、前記サイズの直径が5
0Åを超えると、溶接構造材の強度が著しく低下してし
まう。従って、時効析出物のサイズは50Å以下とす
る。
【0026】時効析出物の面積率:20乃至35% また、溶接構造材の強度は、時効析出物のサイズのみな
らず、素材中の面積率によっても影響を受ける。即ち、
時効析出物の面積率が20%未満であると、溶接構造材
の強度が低下してしまい、一方面積率が35%を超える
と、製造中において割れが発生し構造材を製造できない
場合がある。従って、時効析出物の面積率は、20乃至
35%とする。なお、面積率については、透過電子顕微
鏡を使用して測定することができる。
【0027】次に、溶接部及び母材の強度(ビッカース
硬度)について説明する。
【0028】ビッカース硬度(HV)の差が30HV以
溶接部と母材との強度の差、具体的にはビッカース硬度
の差が30HVを超えると、硬度のばらつきが大きいた
め、溶接構造材の強度にばらつきが生じる。このため、
製品として使用することができなくなってしまう。従っ
て、ビッカース硬度(HV)の差は30HV以内とす
る。
【0029】次に、本発明に係るアルミニウム合金製溶
接構造材の製造方法の製造条件について説明する。
【0030】溶体化処理温度:400乃至550℃ 2以上のアルミニウム合金板を所望の板厚及び形状とし
た後溶接し、その後、溶体化処理を施すことにより、溶
接部と母材とのビッカース硬度の差を30HV以下とす
ることができ、溶接部及び母材の強度が均一な溶接構造
材を得ることができる。このときの溶体化処理を、40
0℃未満の温度で行うと、添加元素が固溶されず人工時
効処理後十分な強度を得ることができない。一方、55
0℃の温度を超えて溶体化処理を行うと、局部的に化合
物が溶け出し、バーニングを起こしてしまう。従って、
溶体化処理温度は400乃至550℃とする。
【0031】溶体化処理時間:20乃至240分 また、溶体化処理時間が20分未満であると、合金板を
十分に固溶することができず、溶接構造材の強度を向上
させることができない。一方、溶体化処理時間が240
分を超えると、合金板にバーニングが発生してしまう。
従って、溶体化処理時間は20乃至240分とする。
【0032】焼入れ時の冷却速度:100乃至300℃
/秒 焼入れ時の冷却速度が100℃/秒未満であると、過飽
和固溶体を生成することができず、人工時効処理後にお
いて十分な強度を得ることができない。一方、冷却速度
が300℃/秒を超えると、焼入れ時において材質及び
形状不連続に相当する溶接部に応力集中による割れが生
じやすくなる。従って、焼入れ時の冷却速度は100乃
至300℃/秒とする。
【0033】人工時効処理温度:100乃至150℃ 溶接されたアルミニウム合金板に人工時効処理を施すこ
とにより、溶接構造材の強度を高くすることができる。
しかし、人工時効処理温度が100℃未満であると、処
理に長時間を要するため、経済的に好ましくない。ま
た、150℃の温度を超えて人工時効処理が施される
と、時効析出物が粗大化し、十分な強度を得ることがで
きない。従って、人工時効処理温度は100乃至150
℃とする。
【0034】人工時効処理時間:2乃至48時間 人工時効処理時間が2時間未満であると、亜時効とな
り、十分な強度を得ることができない。また、48時間
を超えて人工時効処理が施されると、過時効となり、強
度が低下してしまう。従って、人工時効処理時間は2乃
至48時間とする。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先
ず、下記表1に示す各アルミニウム合金に、通常使用さ
れる方法により、溶解、鋳造、均質化処理、熱間圧延処
理及び冷間圧延処理を施して、厚さが5.0mmのアル
ミニウム合金板を製造した。
【0036】なお、比較例No5及び6については、熱
延時のバーニングによりワニ口割れが発生したため、合
金板を製造することができなかった。
【0037】
【表1】
【0038】次に、各アルミニウム合金板に375℃の
温度で、3時間の焼鈍処理を施した。その後、以下に示
す条件により、溶接性試験と機械的性質についての試
験、即ち引張試験とを行った。なお、比較例No1及び
2は夫々7075合金及び7N01合金からなるアルミ
ニウム合金板である。
【0039】溶接性試験の方法 溶接性試験では、図3に示すフィッシュボーン試験片1
を使用して溶接を行った。この図3に示すように、フィ
ッシュボーン試験片1を10枚適長間隔をおいて相互に
平行に配置し(全長L)、矢印の方向に溶接してビード
2を形成する。この溶接後に生じた溶接割れ3の長さt
により溶接性についての評価を行った。即ち、下記数1
により溶接割れ率を求め、この値が30%以下の場合を
良好、それより大きい場合を不良として、夫々「○」及
び「×」で溶接割れ率と併せて下記表3に示す。
【0040】
【数1】溶接割れ率=溶接割れ長さt/ビード長さL なお、このときの溶接条件は下記表2に示すとおりであ
る。
【0041】
【表2】
【0042】引張試験の方法 上述した焼鈍後の各アルミニウム合金板に対して、先ず
ソルトバスにより450℃の温度で30分間の溶体化処
理を施した後、水に浸漬して焼入れ処理を施した。更
に、150℃の温度で24時間の人工時効処理を施し
た。これらの熱処理が施されたアルミニウム合金板につ
いて引張試験を行った。この試験の結果の引張強さσB
及び耐力σ0.2について下記表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】上記表3に示すように、実施例No1〜5
については、いずれも溶接割れ率が30%未満となり、
溶接性が優れたものとなった。また、引張強さσBがい
ずれも480N/mm2以上となり、耐力σ0.2がいずれ
も460N/mm2以上となって、機械的性質について
も優れた結果となった。
【0045】一方、比較例No1〜7については、溶接
性及び機械的性質が共に優れているものはなく、総合的
に実施例よりも劣ったものとなった。
【0046】また、実施例及び比較例におけるアルミニ
ウム合金板の時効析出物の形状、最大サイズ及び含有率
(面積率)について下記表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】上記表4に示すように、実施例No1〜5
については、時効析出物の形状が球状で、サイズ(直
径)が50Å以下、含有率が20〜35%となった。一
方、比較例No1〜7については、時効析出物の形状が
球及び板状で、直径又は長手方向のサイズが100Å以
上、含有率が20%未満となった。このため、比較例に
おけるアルミニウム合金板の強度は実施例に比べて劣っ
たものとなった。
【0049】また、実施例No3及び比較例No2にお
けるアルミニウム合金板について透過電子顕微鏡を使用
して観察した結果の顕微鏡写真を夫々図1及び2に示
す。この図1及び2に示すように、実施例No3におけ
るアルミニウム合金板の時効析出物の形状は球状で、且
つそのサイズは最大のもので直径が46Åであり、また
時効析出物の含有率は33%となった。一方、比較例N
o2におけるアルミニウム合金板の時効析出物の形状は
球及び板状で、その最大サイズが250Åとなり、また
含有率は16%となった。
【0050】次に、第2の実施例として、上記表1に示
す実施例No2及び5のアルミニウム合金に、通常使用
される方法により溶解、鋳造、均質化処理、熱間圧延処
理及び冷間圧延処理を施して、厚さが2.0mmのアル
ミニウム合金板を製造した。
【0051】そして、このアルミニウム合金板を2枚突
き合わせて、下記表5に示す条件により突合せ溶接(T
IG溶接)を行い、これを供試材とした。この供試材に
460℃の温度で30分間の溶体化処理を施し、終了後
直ちに200℃/秒の速度で冷却し、更に130℃の温
度で24時間の人工時効処理を施した(以下、「T6処
理」という)。
【0052】
【表5】
【0053】その後、供試材の溶接部及びその周辺部並
びに供試材の非溶接部の硬度を、ビッカース硬度計で測
定し、また比較例として、前述の処理を施していない供
試材についても硬度を測定した。実施例No2及び5の
アルミニウム合金からなる供試材について夫々図4及び
5に示す。図4及び5は、いずれも縦軸にビッカース硬
さ(HV)をとり、横軸に溶接線に対して垂直方向であ
って溶接部を含む測定位置をとり、供試材の溶接部及び
その周辺部並びに供試材の非溶接部の硬度分布を示すグ
ラフ図である。なお、これらのグラフ図において「○」
はT6処理を施した場合の測定結果であり、一方「□」
はT6処理を施していない場合の測定結果である。ま
た、グラフ図の「●」及び「■」はいずれも供試材にお
ける溶接部の硬度を示す。
【0054】これらの図4及び5に示すように、供試材
にT6処理を施すと、硬度が著しく増加し、供試材の溶
接部及びその周辺部並びに供試材の非溶接部では硬度差
が30HV以下となり、供試材全体の硬度を略均一とす
ることができた。
【0055】一方、比較例では、供試材の溶接部と非溶
接部との硬度差が極めて大きく、加えて全体的に供試材
の硬度が実施例に比して低かった。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
2以上の熱処理型アルミニウム合金板を突合せ溶接等に
より一体とし、この合金板に溶体処理、焼入れ処理、更
に人工時効処理を施すことにより、前記合金板の強度を
超々ジュラルミン(7075)と同程度に高く、また溶
接部と母材との硬度分布が均一であり、更に応力腐食割
れを防止できるアルミニウム溶接構造材を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るアルミニウム合金板の結晶組織を
示す顕微鏡写真である。
【図2】比較例に係るアルミニウム合金板の結晶組織を
示す顕微鏡写真である。
【図3】フィッシュボーン試験における溶接割れを示す
上面図である。
【図4】縦軸にビッカース硬さ(HV)をとり、横軸に
溶接線に対して垂直方向であって溶接部を含む測定位置
をとり、供試材の溶接部及びその周辺部並びに供試材の
非溶接部の硬度分布を示すグラフ図である。
【図5】縦軸にビッカース硬さ(HV)をとり、横軸に
溶接線に対して垂直方向であって溶接部を含む測定位置
をとり、供試材の溶接部及びその周辺部並びに供試材の
非溶接部の硬度分布を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;フィッシュボーン試験片 2;ビード 3;溶接割れ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2以上の熱処理型アルミニウム合金板が
    溶加材を使用した溶接により一体とされた合金板に、溶
    体化処理、焼入れ処理、更に人工時効処理が施されてい
    ることを特徴とするアルミニウム合金製溶接構造材。
  2. 【請求項2】 前記熱処理型アルミニウム合金板は、Z
    n:4.6乃至7.0重量%、Mg:1.0乃至4.0
    重量%及びZr:0.05乃至0.3重量%を含有し、
    残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項1に記載のアルミニウム合金製溶接構造材。
  3. 【請求項3】 前記熱処理型アルミニウム合金板は、Z
    n:4.6乃至7.0重量%、Mg:1.0乃至4.0
    重量%及びZr:0.05乃至0.3重量%を含有し、
    更にCu:0.3重量%以下、Cr:0.2重量%以下
    及びMn:0.2重量%以下からなる群から選択された
    1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純
    物からなることを特徴とする請求項1に記載のアルミニ
    ウム合金製溶接構造材。
  4. 【請求項4】 前記人工時効処理後の時効析出物の直径
    は50Å以下の球状であり、この析出物の素材中の面積
    率が20乃至35%であることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製溶接構
    造材。
  5. 【請求項5】 前記熱処理型アルミニウム合金板と前記
    溶接による溶接部とのビッカース硬度(HV)の差が3
    0HV以下であることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載のアルミニウム合金製溶接構造材。
  6. 【請求項6】 2以上の熱処理型アルミニウム合金板を
    溶加材を使用した溶接により一体とした合金板に、溶体
    化処理を施し、その後焼入れを施し、更に人工時効処理
    を施すことを特徴とするアルミニウム合金製溶接構造材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 2以上の熱処理型アルミニウム合金板を
    溶加材を使用した溶接により一体とした合金板に、40
    0乃至550℃の温度で20乃至240分間の溶体化処
    理を施し、その後100乃至300℃/秒の冷却速度で
    焼入れを施し、更に100乃至150℃の温度で2乃至
    48時間の人工時効処理を施すことを特徴とするアルミ
    ニウム合金製溶接構造材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記熱処理型アルミニウム合金板は、Z
    n:4.6乃至7.0重量%、Mg:1.0乃至4.0
    重量%及びZr:0.05乃至0.3重量%を含有し、
    残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とす
    る請求項6又は7に記載のアルミニウム合金製溶接構造
    材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱処理型アルミニウム合金板は、Z
    n:4.6乃至7.0重量%、Mg:1.0乃至4.0
    重量%及びZr:0.05乃至0.3重量%を含有し、
    更にCu:0.3重量%以下、Cr:0.2重量%以下
    及びMn:0.2重量%以下からなる群から選択された
    1種以上の元素を含有し、残部がAl及び不可避的不純
    物からなることを特徴とする請求項6又は7に記載のア
    ルミニウム合金製溶接構造材の製造方法。
JP31474795A 1995-11-07 1995-11-07 アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法 Pending JPH09125184A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31474795A JPH09125184A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31474795A JPH09125184A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09125184A true JPH09125184A (ja) 1997-05-13

Family

ID=18057105

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31474795A Pending JPH09125184A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09125184A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012165086A1 (ja) * 2011-06-02 2012-12-06 アイシン軽金属株式会社 アルミニウム合金及びそれを用いた押出形材の製造方法
KR101279113B1 (ko) * 2011-02-17 2013-06-26 충남대학교산학협력단 알루미늄 합금 중간접합재를 이용한 클래드 판재의 제조 방법 및 이로부터 제조되는 클래드 판재
CN103469035A (zh) * 2013-10-08 2013-12-25 湖南大学 一种高强、轻质、耐蚀、可焊的Al-Zn-Mg合金及制备方法
CN103614675A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金铸锭热轧工艺
CN103614674A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金板生产方法
CN103614598A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金生产方法
WO2014046047A1 (ja) 2012-09-20 2014-03-27 株式会社神戸製鋼所 自動車部材用アルミニウム合金板
WO2014046046A1 (ja) * 2012-09-20 2014-03-27 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム合金製自動車部材
JP2014062284A (ja) * 2012-09-20 2014-04-10 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製自動車部材
JP2014062283A (ja) * 2012-09-20 2014-04-10 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製自動車部材
CN105492640A (zh) * 2013-08-21 2016-04-13 株式会社Uacj 高强度铝合金及其制造方法
US20220349039A1 (en) * 2019-10-09 2022-11-03 Uacj Corporation Welded structural member having excellent stress corrosion cracking resistance, and method for manufacturing same

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101279113B1 (ko) * 2011-02-17 2013-06-26 충남대학교산학협력단 알루미늄 합금 중간접합재를 이용한 클래드 판재의 제조 방법 및 이로부터 제조되는 클래드 판재
WO2012165086A1 (ja) * 2011-06-02 2012-12-06 アイシン軽金属株式会社 アルミニウム合金及びそれを用いた押出形材の製造方法
US10087508B2 (en) 2011-06-02 2018-10-02 Aisin Keikinzoku Co., Ltd. Aluminum alloy and method of manufacturing extrusion using same
JPWO2012165086A1 (ja) * 2011-06-02 2015-02-23 アイシン軽金属株式会社 アルミニウム合金及びそれを用いた押出形材の製造方法
CN109055836A (zh) * 2012-09-20 2018-12-21 株式会社神户制钢所 铝合金制汽车构件
WO2014046047A1 (ja) 2012-09-20 2014-03-27 株式会社神戸製鋼所 自動車部材用アルミニウム合金板
WO2014046046A1 (ja) * 2012-09-20 2014-03-27 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム合金製自動車部材
JP2014062284A (ja) * 2012-09-20 2014-04-10 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製自動車部材
JP2014062283A (ja) * 2012-09-20 2014-04-10 Kobe Steel Ltd アルミニウム合金製自動車部材
CN104619872A (zh) * 2012-09-20 2015-05-13 株式会社神户制钢所 铝合金制汽车构件
CN105492640A (zh) * 2013-08-21 2016-04-13 株式会社Uacj 高强度铝合金及其制造方法
CN103469035A (zh) * 2013-10-08 2013-12-25 湖南大学 一种高强、轻质、耐蚀、可焊的Al-Zn-Mg合金及制备方法
CN103614674A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金板生产方法
CN103614598B (zh) * 2013-12-20 2016-02-17 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金生产方法
CN103614674B (zh) * 2013-12-20 2016-05-04 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金板生产方法
CN103614598A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金生产方法
CN103614675A (zh) * 2013-12-20 2014-03-05 西南铝业(集团)有限责任公司 一种轨道车辆底架板用铝合金铸锭热轧工艺
US20220349039A1 (en) * 2019-10-09 2022-11-03 Uacj Corporation Welded structural member having excellent stress corrosion cracking resistance, and method for manufacturing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4897124A (en) Aluminum-alloy rolled sheet for forming and production method therefor
JP4794862B2 (ja) 塗装焼付け硬化性に優れた6000系アルミニウム合金板の製造方法
CN1061697C (zh) 铝-镁合金板或挤压件
KR101103135B1 (ko) 알루미늄합금 시트 및 그 제조방법
US5888320A (en) Aluminum alloy having improved damage tolerant characteristics
JP2002543289A (ja) 耐剥離性アルミニウム−マグネシウム合金
CN109136669B (zh) 一种铝合金锻件及其制备方法与应用
JP5278494B2 (ja) 塗装焼付け硬化性に優れた6000系アルミニウム合金板の製造方法
JPH09125184A (ja) アルミニウム合金製溶接構造材及びその製造方法
JP4185247B2 (ja) アルミニウム系合金及びその熱処理方法
US4113472A (en) High strength aluminum extrusion alloy
JP3849095B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPS58167757A (ja) 耐食性,溶接性および焼入性のすぐれた加工用Al−Mg−Si系合金の製造法
JP2003221637A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH05117826A (ja) 高強度アルミニウム合金製リムの製造方法
US20220349039A1 (en) Welded structural member having excellent stress corrosion cracking resistance, and method for manufacturing same
JPH04247842A (ja) 自動車ホイールリム用のロール成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法
JP3683443B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金複合材料とその製造方法
JPS63270446A (ja) 溶接構造用A▲l▼−Mg基合金厚板の製造方法
JP2000169927A (ja) 耐部分腐食性に優れ疲労強度が高いアルミニウム合金塑性加工品及びその製造方法
JP2858069B2 (ja) 耐応力腐食割れ性高強度アルミニウム合金板およびその製造方法
JP7119153B1 (ja) 高強度アルミニウム合金押出材およびその製造方法
JPS5831054A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板材およびその製造法
JPH08165539A (ja) 熱処理型薄肉アルミニウム押出し形材及びその製造方法
JP4987640B2 (ja) 冷間加工部品の製造に適した機械部品用または装飾部品用チタン合金棒線およびその製造方法