JP3683443B2 - 熱交換器用アルミニウム合金複合材料とその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金複合材料とその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱交換器用アルミニウム合金複合材料に関し、さらに詳しくはラジエータやヒーターコア等の主に自動車用の熱交換器に使用される管材に関するものであり、高強度で溶接部近傍の微小な傷の発生を抑制したアルミニウム合金複合材料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば自動車用熱交換器に使用するアルミニウム管材は、Al−Cu−Mn系のJIS3003合金を芯材とし、この芯材の片方の面に例えばJIS4343系合金のようなAl−Si系のろう材をクラッドし、芯材の他方の面に例えばJIS7072系合金等のAl−Mg系の犠牲陽極皮材をクラッドしたブレージングシートが用いられている。また、管の製造方法としてはこのブレージングシートからロールフォーミングと高周波溶接により製造する方法が採用されている。
このような複合材に要求される具備特性は、薄肉化した場合に高強度を発揮し、ろう付け性が良好で、かつろう付け後においても高強度及び高耐食性を有することである。
【0003】
このような要求を満たす材料として、例えば特開平5−230576では、犠牲陽極皮材にMg、Si及びIn、Sn、Gaのうちいずれか1種を0.2%以下添加した複合材を提案している。その組成例は
(a)芯材
Mn:0.3〜2.0%(重量%、以下同じ)
Cu:0.05〜1.0%
Si:0.05〜1.0%
Mg:0.5%以下
残部:実質的にAl
(b)犠牲陽極皮材
Mg:1.0〜2.5%
Si:0.05%以上0.20%未満
In:0.2%以下、Sn:0.2%以下、Ga:0.2%以下のうち1種または2種、
残部:実質的にAl
(c)ろう材
Al−Si系合金
である。このような合金を用いることにより、ろう付け性を害することなく、ろう付け後に高強度が得られ、なおかつ犠牲陽極層の厚さが大きくなる過ぎることがないとしている。
【0004】
また、特開平6−128675には芯材の3003系合金にCr、Ti、Zr、Ni等の遷移金属を微量添加し、犠牲陽極皮材にMg:0.5〜4.0%、In:0.005〜1.0%を含むAl−Mg−In合金を使用した複合材を提案している。その組成例は
(a)芯材
Mn:0.1〜2.0%
Cu:0.1〜1.0%
Si:0.2〜1.5%
Mg:0.2%以下
Cr:0.01〜0.5%
Ti:0.01〜0.5%
Zr:0.01〜0.5%
Ni:0.01〜2.0%
残部:実質的にAl
(b)犠牲陽極皮材
Mg:0.5〜4.0%
In:0.005〜1.0%
残部:実質的にAl
(c)ろう材
Al−Si系合金
である。このような組成とすることにより、芯材の強度を高め犠牲陽極皮材の耐食性を高めることにより、高強度高耐食性が得られるとしている。
【0005】
また、特開平6−136476には芯材には、Al−Mn−Cu−Zr合金にMg、Si、Ti、Cr、Vを添加して強度を上げ、犠牲陽極皮材に犠牲陽極効果の高いAl−Mg−Ti−In合金を使用した複合材を提案している。その組成例は
(a)芯材
Mn:0.7〜1.5%
Cu:0.2〜0.7%
Si:0.3〜1.3%
Mg:0.05〜0.5%
Cr:0.05〜0.25%
Ti:0.05〜0.25%
Zr:0.05〜0.25%
V :0.05〜0.25%
残部:実質的にAl
(b)犠牲陽極皮材
Mg:0.35〜3.5%
In:0.005〜0.05%
Ti:0.001〜0.05%
残部:実質的にAl
(c)ろう材
Al−Si系合金
である。このような組成とすることによりろう付け加熱時に皮材の電位が上昇することはなく、ろう付け後の構造部材に孔食が発生することはないとしている。
【0006】
クラッド材の加工方法は、芯材の両側をそれぞれ犠牲陽極皮材とろう材とで挟んで500℃前後で熱間圧延してクラッドした後、適宜中間焼鈍を挟んで冷間圧延を必要回数だけ繰り返して所定の厚さのクラッド材を得ている。この際の中間焼鈍は、通常300℃〜500℃の温度で1〜2時間程度行なっているが、中間焼鈍温度にまで加熱する昇温速度や、中間焼鈍温度から常温まで冷却する冷却速度には何ら考慮はされておらず、特に冷却速度については自然冷却に近い状態であった。
【0007】
ところで、管の成形に用いられる材料は、通常調質H14程度のものが用いられる。これは管成型時にある程度の強度が必要であることに加えて、熱交換器を組み込んだ後のろう付け時にろう材による侵食(エロージョン)を防止するためでもある。このようなことからろう付け前の管は、最終圧延率が10〜50%で用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年の高強度・薄肉化の要求の高まりにより、電縫管の成形は一段と困難さを増している。このような状況の中で特に問題となるのは、電縫管の場合は溶接部及びその近傍に発生する微小な傷である。電縫管の場合は微小な傷が多いほど即座に管としての欠陥が多いことになる。その結果、管の成形加工時の製品歩留まりが低下し、最終製品としての熱交換器の合格率が著しく低下する結果を招く。従って、薄肉・高強度化を達成できたとしても、管成形性も考慮しなければ、逆に熱交換器の寿命が短くなる結果となってしまう。薄肉化しても強度が高く、かつ溶接部に微小な傷が発生せず、なおかつ冷媒による腐食にも充分耐える材料が求められておおり、従来の材料で満足できるものは得られていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、高周波溶接により製造する扁平な管材において、薄肉・高強度を達成すると共に、造管性にも優れた材料を得るために、材料内の異方性をより小さくすることを試みた。つまり、電縫管製造時の溶接部及びその近傍の微小な傷の発生を減少させることを追求した。そのために芯材及び犠牲陽極皮材の組成を種々検討した結果、芯材にはAl−Mn−Cu−Si−Mg合金にTi、Zr、Cr、Vをそれぞれ0.02%以下の範囲で必須成分として添加して強度を高め、犠牲陽極皮材にはAl−In−Mg合金にSi、Tiを必須成分として添加した合金組成を採用した。
また、クラッド圧延後の最終冷間圧延直前の熱処理条件を限定する手段を採用した。
【0010】
すなわち、請求項第1項に記載の発明は、アルミニウム合金芯材の片方の面に犠牲陽極皮材をクラッドし、芯材の他の面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系合金からなるろう材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金複合材料であって、該芯材の組成が重量%でMn:0.5〜2.0%、Cu:0.25〜0.75%、Si:0.3〜1.3%、Mg:0.01〜0.5%、Fe:0.5〜1.2%、Ti:≦0.02%、Zr:≦0.02%、Cr:≦0.02%、V:≦0.02%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなり、かつ該犠牲陽極皮材の組成がIn:0.0001〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mg:0.3〜1.7%、Ti:0.001〜0.05%と、さらにZn:0.5〜5.0%、Sn:0.001〜0.2%、Fe:0.5〜1.2%、Ni:0.1〜0.6%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材料である。
【0011】
請求項第2項に記載の発明は、重量%でMn:0.5〜2.0%、Cu:0.25〜0.75%、Si:0.3〜1.3%、Mg:0.01〜0.5%、Fe:0.5〜1.2%、Ti:≦0.02%、Zr:≦0.02%、Cr:≦0.02%、V:≦0.02%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成の芯材の両面を、重量%でIn:0.0001〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mg:0.3〜1.7%、Ti:0.001〜0.05%と、さらにZn:0.5〜5.0%、Sn:0.001〜0.2%、Fe:0.5〜1.2%、Ni:0.1〜0.6%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成の犠牲陽極皮材とろう材で挟んで熱間圧延してクラッド材となし、次いで該クラッド材を中間焼鈍を挟んで少なくとも2回以上冷間圧延して熱交換器用アルミニウム合金複合材料を製造する方法において、最終の冷間圧延の直前の中間焼鈍を、焼鈍温度を360℃〜550℃、100℃から焼鈍温度までの平均昇温速度を55℃/h以上、焼鈍温度から150℃までの平均冷却速度を75℃/h以上とし、さらに最終圧延率を20〜40%とする条件下で行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材料の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の熱交換器用アルミニウム合金複合材料において、芯材及び犠牲陽極皮材を構成するアルミニウム合金の組成限定理由を説明する。
A:芯材
(a)Mn
Al−Mn系金属間化合物として晶出又は析出し、強度、特にろう付け後の強度を向上させる作用を有する。芯材の電位を貴にして犠牲陽極皮材だけでなく、ろう材側の耐食性も向上させる働きがある。その含有量が0.5%未満では充分な効果が得られず、一方2.0%を越えると圧延などの加工性が低下し、一層の効果増進は得られない。従って、Mnの含有量は0.5%〜2.0%と定めた。
(b)Cu
固溶してろう付け後の強度を向上させると共に、芯材の電位を貴にして犠牲陽極皮材だけでなく、ろう材側の耐食性も向上させる働きがある。その含有量が0.25%未満では充分な効果が得られず、一方0.75%を越えると腐食速度が速くなりすぎる。特に接合部分の腐食速度が速くなりすぎる。従って、Cuの含有量は0.25%〜0.75%と定めた。
【0017】
(c)Si
Al−Mn−Si系金属間化合物として分散し、あるいはマトリックス中に固溶して、強度を向上させる作用効果を有する。その含有量が0.3%未満では充分な効果が得られず、一方1.3%を越えると融点が低下し、ろう付け時に溶融する。従って、Siの含有量は0.3%〜1.3%と定めた。
(d)Mg
マトリックス中に固溶し強度を向上させると共に、ろう材から拡散したSiや芯材中のSiとMg2Si金属間化合物 を形成して強度を向上させる。また、犠牲陽極皮材から拡散したZnとMgZn2 金属間化合物を形成して強度を向上させる働きがある。その含有量が0.01%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えるとろう材に拡散してろう付け性を阻害する結果を招く従って、Mgの含有量は0.01%〜0.5%と定めた。
【0018】
(e)Zr、Ti、Cr、V
Zr、Ti、Cr、Vは同じような働きを有し、Al合金の結晶を微細化させて強度を高める効果を有する。しかしその含有量が0.02%を越えると最終圧延前の中間焼鈍時の再結晶を阻害するために管成形前の異方性が大きくなり、造管性を著しく阻害し、加工性が低下する。従って、Zr、Ti、Cr、Vの含有量はいずれも0.02%以下の微量に留める。
(f)Fe
Al−Fe系金属間化合物として晶出又は析出し、強度、特にろう付け後の強度を向上させる作用を有する。添加量は0.5%以下では充分な効果が上がらず、1.2%を越えると腐食速度が速くなりすぎる。従って、Feの含有量は0.5%〜1.2%と定めた。
【0019】
B:犠牲陽極皮材
(a)Mg
マトリックス中に固溶し強度を向上させると共に、芯材から拡散あるは芯材中のSiとMg2Si金属間化合物 を形成して強度を向上させる。また、犠牲陽極皮材中のZnとMgZn2 金属間化合物を形成して強度を向上させる働きがある。Mg−In−Cu系の金属間化合物を形成し、芯材から拡散するCuの固溶度を抑制することにより、犠牲陽極皮材のCu固溶度が抑制でき、犠牲陽極効果を充分発揮することができる。更にこれらの金属間化合物の生成で犠牲陽極皮材に生じる粒間腐食も抑制できる。その含有量が0.3%未満では充分な効果が得られず、一方1.7%を越えるとろう材に拡散してろう付け性を阻害する結果を招く。従って、Mgの含有量は0.3%〜1.7%と定めた。
(b)In
犠牲陽極皮材の電位を卑にし、犠牲陽極効果を向上させる効果を有する。Mg−In−Cu系金属間化合物を形成して、犠牲陽極皮材の粒界腐食を防止する。添加量は0.0001%未満では効果が発揮されず、0.15%を越えると原料コストがアップし、その割には効果の向上は認められない。従って、Inの含有量は0.0001%から0.15%とする。
【0020】
(c)Si
犠牲陽極皮材のMgや芯材から拡散するMgとMg2Si金属間化合物 を形成して強度を向上させる効果を有する。その含有量が0.05%未満では充分な効果が得られず、一方0.5%を越えると融点が低下する。また犠牲陽極皮材に粒間腐食が発生するようになる。従って、Siの含有量は0.05%〜0.5%と定めた。
(d)Ti
ろう付け後に微細な金属間化合物として分散し、強度を向上させる。Mg−In−Cu系金属間化合物の形成を促進させる働きを有する。これらの金属間化合物の形成により犠牲陽極皮材の粒界腐食を防止できる。その含有量が0.001%未満では充分な効果が得られず、一方、0.05%を越えると加工性が低下する。従って、Tiの含有量は0.001%〜0.05%と定めた。
【0021】
(e)Zn
犠牲陽極皮材の電位を卑にして犠牲陽極皮材表面から芯材への防食上有効な電位分布を形成し、耐孔食性を向上させる。その含有量が0.5%未満では充分な効果が得られず、一方、5%を越えると加工性が低下する。従って、Znの含有量は0.5%〜5%と定めた。
(f)Sn
犠牲陽極皮材の電位を卑にして犠牲陽極効果を向上させる効果を有する。その含有量が0.001%未満では充分な効果が得られず、一方、0.2%を越えてもコストがかかるのみで特段の効果は望めない。従って、Snの含有量は0.001%〜0.2%と定めた。
【0022】
次に、本発明の熱交換器用アルミニウム合金複合材料の製造方法について説明する。本発明の熱交換器用アルミニウム合金複合材料の製造方法の概要は、先ず、所定の組成の芯材用アルミニウム合金、犠牲陽極皮材用アルミニウム合金及びろう材用アルミニウム合金を通常の方法で溶解・鋳造し、得られた各インゴットを熱処理して均質化した後、熱間圧延若しくは熱間圧延と冷間圧延を併用して所定の厚さに圧延する。次に、上記芯材を中心にして芯材両側に犠牲陽極皮材とろう材を重ね合わせ、熱間圧延でクラッド材とする。次いで適宜必要な中間焼鈍を挟んで冷間圧延を繰り返し、最終圧延率が20〜40%になる範囲で所定の厚さまで圧延して、アルミニウム合金複合材料を得る。本発明では最終のアルミニウム合金複合材料の板厚は、0.15〜0.30mmとする。
【0023】
上記のような製造工程による熱処理と圧延により適正な結晶方位(集合組織)に調製され異方性を減じている。その際最終圧延前の焼鈍条件と最終圧延率を一定の条件下に置くことにより、異方性が一段と小さくなり、造管性に優れるようになることを見いだした。すなわち、最終圧延前の焼鈍条件は焼鈍温度を360℃〜550℃と、100℃から焼鈍温度までの平均昇温速度を55℃/h以上とし、さらに焼鈍温度から150℃間での平均冷却速度を75℃/h以上とする。本発明では所定の焼鈍温度まで急速に昇温して熱処理終了後も急速に冷却するものである。これは温度変化中に結晶粒が異常成長するのを防ぐためである。
【0024】
材料内の異方性を小さくするために、中間焼鈍条件と最終圧延率を一定の条件下に置くのは以下の理由による。
最終圧延前の中間焼鈍では材料は再結晶集合組織を有しており、強度的には圧延方向に対して45度方向(135度、225度、315度を含む)の強度が相対的に大きい。圧延することにより材料には圧延集合組織が発達するが、材料強度は圧延方向に対して0(零)度、及び90度(180度、270℃も含む)の強度が大きくなる。これまでの材料では焼鈍後の最終圧延率が30%程度であったためにこれらがバランスし、板厚が厚いこともあって造管が可能で、特に問題も起こらなかった。
ところが、近年材料が薄肉化・高強度化するに従ってこれらのバランスが崩れるようになってきている。つまり、材料の成形性、溶接性やエロージョン防止の観点から、最終圧延率を30%程度にしているが、同じ圧延率でも付加される歪は大きくなり、異方性も大きくなってきている。これにより管の成形性が低下しているのが実状である。最終圧延率を低下させることにより異方性の改善は図れるが、それでも最終圧延率は20%以下にはすることができない。
【0025】
薄肉・高強度材料でも最終圧延率を20〜40%確保し、しかも異方性を小さくするためには、中間焼鈍の条件を上記のようにすればよいことが判明した。このようにすることで中間焼鈍後でも異方性は小さく、その後圧延を重ねてもそれ程変化は無い。つまりこのような焼鈍条件下では特定の方向の強度が特に大きくなるわけではなく、ランダムな方位となり易い。また、最終圧延率を20〜40%としても特定の方位の強度が大きくなることはない。従って、電縫管の製造に際して溶接箇所近傍に集中して微小欠陥が生じることもない。
【0026】
【実施例】
次に、本発明の実施例を示して本発明を詳細に説明する。
表1〜表3に示す組成を有する芯材用、犠牲陽極皮材用及びろう材用のアルミニウム合金を通常の方法で溶解・鋳造し、面削した後通常の条件下で均質化処理を行ない続いて熱間圧延を行なって、芯材用は厚さ400mm、犠牲陽極皮材用は厚さ50mm、ろう材用は厚さ50mmの熱延板とした。次いで表4に示す組み合わせで芯材、犠牲陽極皮材、ろう材を重ね合わせ、熱間圧延によりクラッドし、続いて適宜中間焼鈍しながら冷間圧延を行なった。この際、最終冷間圧延直前の中間焼鈍条件として表4に示す焼鈍温度、昇温速度及び冷却速度を採用した。最終冷間圧延の結果、板厚0.25mm、最終圧延率10〜52%、調質H14の本発明及び比較のためのアルミニウム合金複合材料を得た。
【0027】
【表1】
Figure 0003683443
【0028】
【表2】
Figure 0003683443
【0029】
【表3】
Figure 0003683443
【0030】
【表4】
Figure 0003683443
【0031】
次いで、この複合材料を用い犠牲陽極皮材を内側にして通常の方法により内径10mmの電縫管に加工した。得られた電縫管につき造管性、引張強度、耐エロージョン性を評価した。
造管性は造管成型器に組み込まれた渦流探傷器により行った。渦流探傷器の出力は電圧の振幅であらわされ、電圧の振幅が大きいほど溶接部及びその近傍に微小な傷が多いことが分かる。微小な傷が多い程溶接が不完全ということになり、造管性が悪いことになる。
引張り試験は各電縫管をろう付けの条件に相当する窒素雰囲気中で、610℃に5分間の熱処理を行った後、引張試験を行った。
耐エロージョン性は、上記熱処理後の電縫管の断面のろうの侵食程度を光学顕微鏡による断面観察により判定した。目視により侵食が認められなかったものは○印、ところどころに侵食が認められる場合は△印、板厚方向に沿って明らかに侵食が認められる場合はX印を付けた。これらの結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
Figure 0003683443
【0033】
表5から明らかなとおり、本発明による複合材料を用いた場合は、管製造時の溶接部分の微小な傷が少なく、薄肉にもかかわらずろう付け加工した後も充分高い強度を有し、耐エロージョン性にも優れていることが分かる。
【0034】
次に比較のため、試料No.19〜21では組成範囲が本発明の範囲から外れる芯材及び犠牲陽極皮材を使用して、本発明と同じ条件で加工して同様に評価をした。これらの結果を表5に併記する。
また、試料No.1、9及び17につき最終冷間圧延直前の中間焼鈍の際の昇温速度と冷却速度を変えて複合材料を作り、本発明と同様にして電縫管に加工して同様の評価をした。これらの結果も表5に併記する。
さらに、本発明と同様の組成の芯材及び犠牲陽極皮材を使用して、最終圧延率を20%未満又は40%を越える用にした他は、本発明と同じ条件で加工して同様に評価をした。これらの結果も表5に併記する。
【0035】
表5から明らかなとおり、試料No.19〜試料No.21は芯材及び犠牲陽極皮材の合金組成が本発明の範囲から外れており、引張強さの高い複合材料は得られないことが判る。
また、試料No.22〜試料No.24は芯材及び犠牲陽極皮材の合金組成が本発明の範囲であるにもかかわらず、熱処理条件が不適当であるため渦電流探傷での電圧振幅が大きく、造管性に劣ることが判る。
試料No.25は最終圧延率が小さいので造管性はよいが強度不足で耐エロージョン性も悪い。試料No.26は最終圧延率が大きすぎるので造管性が悪い。
試料No.27と試料No.29は最終圧延率が小さいので耐エロージョン性が悪い。逆に試料No.28と試料No.30は最終圧延率が大きすぎて耐エロージョン性が悪い。
このように、芯材及び犠牲陽極皮材の合金組成と熱処理条件を本発明の範囲に選んでも、最終圧延率が20〜40%の範囲を外れると、造管性、引張強さ及び耐エロージョン性をすべて満足させる複合材料は得られないことが判る。このように耐エロージョン性は最終圧延率に大きく依存していることが判る。
【0036】
【作用】
本発明は芯材に微量必須成分としてTi、Zr、Cr、Vを添加して組織の微細化と強度の向上を図り、犠牲陽極皮材に必須成分としてIn、Ti、Siを添加して強度を高めると共に犠牲陽極効果を高めたものである。また、熱処理条件を限定することにより、圧延による集合組織の発達を抑え、材料に異方性を減じて電縫管加工時に発生する溶接部の微小な傷の発生を抑制したものである。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、電縫管加工時に発生する溶接部の微小な傷が抑制されるので、電縫管の製造歩留まりが向上し、熱交換器の製造歩留まりも向上するとともに、熱交換器の寿命も長くなる効果を有する。

Claims (2)

  1. アルミニウム合金芯材の片方の面に犠牲陽極皮材をクラッドし、芯材の他の面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系合金からなるろう材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金複合材料であって、該芯材の組成が重量%でMn:0.5〜2.0%、Cu:0.25〜0.75%、Si:0.3〜1.3%、Mg:0.01〜0.5%、Fe:0.5〜1.2%、Ti:≦0.02%、Zr:≦0.02%、Cr:≦0.02%、V:≦0.02%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなり、かつ該犠牲陽極皮材の組成がIn:0.0001〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mg:0.3〜1.7%、Ti:0.001〜0.05%と、さらにZn:0.5〜5.0%、Sn:0.001〜0.2%、Fe:0.5〜1.2%、Ni:0.1〜0.6%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材料。
  2. 重量%でMn:0.5〜2.0%、Cu:0.25〜0.75%、Si:0.3〜1.3%、Mg:0.01〜0.5%、Fe:0.5〜1.2%、Ti:≦0.02%、Zr:≦0.02%、Cr:≦0.02%、V:≦0.02%を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成の芯材の両面を、重量%でIn:0.0001〜0.15%、Si:0.05〜0.5%、Mg:0.3〜1.7%、Ti:0.001〜0.05%と、さらにZn:0.5〜5.0%、Sn:0.001〜0.2%、Fe:0.5〜1.2%、Ni:0.1〜0.6%のうち1種または2種以上を含有し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成の犠牲陽極皮材とろう材で挟んで熱間圧延してクラッド材となし、次いで該クラッド材を中間焼鈍を挟んで少なくとも2回以上冷間圧延して熱交換器用アルミニウム合金複合材料を製造する方法において、最終の冷間圧延の直前の中間焼鈍を、焼鈍温度を360℃〜550℃、100℃から焼鈍温度までの平均昇温速度を55℃/h以上、焼鈍温度から150℃までの平均冷却速度を75℃/h以上とし、さらに最終圧延率を20〜40%とする条件下で行うことを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金複合材料の製造方法。
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