JPH09124588A - 不飽和スルホン酸誘導体とその製造方法 - Google Patents

不飽和スルホン酸誘導体とその製造方法

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JPH09124588A
JPH09124588A JP28862595A JP28862595A JPH09124588A JP H09124588 A JPH09124588 A JP H09124588A JP 28862595 A JP28862595 A JP 28862595A JP 28862595 A JP28862595 A JP 28862595A JP H09124588 A JPH09124588 A JP H09124588A
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JP
Japan
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sulfonic acid
chloride
unsaturated
double bond
molecule
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Application number
JP28862595A
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English (en)
Inventor
Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Hideaki Sakurai
英章 桜井
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規物質のアリルスルホニルクロライドを合
成し、これからさらに対応するスルホン酸誘導体を合成
する。 【解決手段】 アリルスルホン酸のアルカリ金属塩を無
溶媒で過剰量の塩化チオニルと反応させて、アリルスル
ホニルクロライドを合成する。これをアルコールまたは
金属アルコキシドと反応させるとアリルスルホン酸エス
テルが、アンモニアまたは一級もしくは二級アミンと反
応させるとアリルスルホン酸アミドが、2価以上の金属
化合物と反応させるとアリルスルホン酸多価金属塩が得
られる。この方法は他の不飽和スルホン酸(例、4−ス
チレンスルホン酸)の誘導体にも同様に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子中にエチレン
性二重結合を有する不飽和スルホニルクロライドの製造
方法およびこの方法で得られる新規物質のアリルスルホ
ニルクロライドに関する。本発明はまた、上記方法で製
造された不飽和スルホニルクロライドからその誘導体で
ある不飽和スルホン酸エステル、不飽和スルホン酸アミ
ド、および不飽和スルホン酸塩を製造する方法、ならび
にこの方法で得られる新規物質のアリルスルホン酸エス
テル、アリルスルホン酸アミド、およびアリルスルホン
酸塩にも関する。
【0002】
【従来の技術】分子中にアリル基(CH2=CH-CH2-) とスル
ホン酸基(-SO3H) 基またはその誘導体基とを有する化合
物としてこれまで知られているのは、アリルスルホン酸
のアルカリ金属塩(CH2=CH-CH2-SO3M1:M1はアルカリ金
属) だけである。
【0003】アリル基とハロゲン化スルホニル基 (例、
スルホニルクロライド基) を同時に有する化合物 (例、
アリルスルホニルクロライド) はこれまで製造された例
がなく、同様にアリルスルホン酸エステル、アリルスル
ホン酸アミド、アリルスルホン酸の2価以上の金属塩も
知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】スルホニルクロライド
化合物は、一般に対応するスルホン酸またはそのエステ
ルと五塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル等の塩
素化剤との反応により形成される。従って、上記公知の
アリルスルホン酸アルカリ金属塩を酸で中和し、遊離し
たアリルスルホン酸を上記塩素化剤と反応させれば、ア
リルスルホニルクロライドが得られるのではないかと考
えられる。また、遊離したアリルスルホン酸を2価以上
の金属化合物と反応させると、このスルホン酸の2価以
上の金属塩が得られるのではないかと考えられる。
【0005】しかし、中和により遊離したアリルスルホ
ン酸は、生成したスルホン酸基がアリル基の二重結合と
直ちに反応するため、安定に存在できない。そのため、
アリルスルホニルクロライドやアリルスルホン酸の2価
以上の金属塩を上記の方法で合成することができないで
いた。
【0006】また、スルホン酸エステル、スルホン酸ア
ミドなどのスルホン酸誘導体は、一般に対応するスルホ
ニルクロライド化合物 (広義にはハロゲン化スルホニル
化合物) から合成されるが、アリルスルホニルクロライ
ド自体が合成されていないため、対応するアリルスルホ
ン酸エステルやアリルスルホン酸アミドも合成できない
でいた。
【0007】スルホニルクロライド化合物は、対応する
スルホン酸のアルカリ金属塩を上記塩素化剤とを反応さ
せることでも合成できる。しかし、アリルスルホン酸ア
ルカリ金属塩を常法により有機溶媒中で上記塩素化剤と
反応させると、アリル基の二重結合に付加反応が起こ
り、二重結合を有する所望のアリルスルホニルクロライ
ドを安定に単離することができなかった。
【0008】ここに、本発明の目的は、アリルスルホニ
ルクロライドおよび関連する不飽和スルホニルクロライ
ドを安定して製造することができる方法を提供すること
である。本発明の別の目的は、アリルスルホニルクロラ
イドおよび関連する不飽和スルホニルクロライドからア
リルスルホン酸および関連する不飽和スルホン酸のエス
テル、アミド、および2価以上の金属塩を製造すること
である。本発明のさらに別の目的は、こうして製造され
る新規化合物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アリルス
ルホン酸のアルカリ金属塩を無溶媒で過剰量の塩化チオ
ニルと反応させると、予想外にも、塩化チオニルが二重
結合に付加せず、二重結合が保持された状態でスルホン
酸基がエステル化され、アリルスルホニルクロライドが
十分に高い収率で得られることを見出した。また、この
アリルスルホニルクロライドを原料として、常法により
アリルスルホン酸エステル、アリルスルホン酸アミド、
アリルスルホン酸の2価以上の金属塩を得ることができ
ることも見出した。
【0010】さらに、上記の塩素化方法によるスルホニ
ルクロライドの製造は、出発物質としてアリルスルホン
酸のアルカリ金属塩に限らず、エチレン性二重結合を有
する不飽和スルホン酸のアルカリ金属塩に一般に適用可
能であることも判明した。
【0011】ここに、本発明を要約すると次の通りであ
る。 分子中にエチレン性二重結合を有する不飽和スルホン
酸アルカリ金属塩を、溶媒の不存在下で過剰量の塩化チ
オニルと反応させることを特徴とする、分子中にエチレ
ン性二重結合を有する不飽和スルホニルクロライドの製
造方法。
【0012】得られた不飽和スルホニルクロライド
を、アルコールまたは金属アルコキシドと反応させるこ
とからなる、分子中にエチレン性二重結合を有する不飽
和スルホン酸エステルの製造方法。
【0013】得られた不飽和スルホニルクロライド
を、アンモニアまたは一級もしくは二級アミンと反応さ
せることからなる、分子中にエチレン性二重結合を有す
る不飽和スルホン酸アミドの製造方法。
【0014】得られた不飽和スルホニルクロライド
を、2価以上の金属化合物と反応させることからなる、
分子中にエチレン性二重結合を有す不飽和スルホン酸金
属塩の製造方法。
【0015】上記の方法により製造される、下記構造
式(1) で示されるアリルスルホニルクロライドは、文献
に記載のない新規化合物である。 CH2=CHCH2SO2Cl ・・・ (1) また、このアリルスルホニルクロライドを原料として、
上記の方法により製造される下記一般式(2) で示され
るアリルスルホン酸エステル化合物、上記の方法によ
り製造される下記一般式(3) で示されるアリルスルホン
酸アミド化合物、および上記の方法により製造される
下記一般式(4) で示されるアリルスルホン酸多価金属塩
もそれぞれ新規化合物である。
【0016】 CH2=CHCH2SO31 ・・・ (2) CH2=CHCH2SO2NR23 ・・・ (3) (CH2=CHCH2SO3)n1 ・・・ (4) 上記式中、R1 は炭素数1〜6 (好ましくは1〜4) の
アルキル基であり、R2とR3 は同一でも異なっていて
もよく、それぞれ水素または炭素数1〜6 (好ましくは
1〜4) のアルキル基であり、M1 は2価以上の金属、
nは金属M1 の価数と同じ整数である。なお、アルキル
基は直鎖と分岐鎖のいずれでもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の方法における出発物質
は、分子中にエチレン性二重結合を有する不飽和スルホ
ン酸のアルカリ金属塩である。この化合物は次の一般式
(5) で示すことができる。 R4 −SO32 ・・・ (5) 上記式中、R4 はエチレン性二重結合を有する1価炭化
水素基、M2 はアルカリ金属である。
【0018】R4 基の例としては、アリル基(CH2=CH-CH
2-) 、ビニル基(CH2=CH-) 、1−プロペニル基(CH3-CH=
CH-)、2−ブテニル基(CH3-CH=CH-CH2-)、2−メチル−
2−ペンテニル基(CH3CH2-CH=C(CH3)-CH2-) 、4−スチ
レン基(CH2=CH-C6H5-)、スチリル基(C6H5-CH=CH-) など
が例示される。M2 のアルカリ金属としては、リチウ
ム、ナトリウムおよびカリウムが好ましい。
【0019】出発物質として使用できる不飽和スルホン
酸アルカリ金属塩の具体例を次に示すが、これらに限ら
れるものではない。アリルスルホン酸ナトリウム、ビニ
ルスルホン酸ナトリウム、4−スチレンスルホン酸ナト
リウム、2−ブテンスルホン酸カリウム、2−メチル−
2−ペンテンスルホン酸リチウム。
【0020】以下では、説明を簡単にするために、出発
物質がアリルスルホン酸のアルカリ金属塩である場合を
例にとって、本発明の方法について説明する。しかし、
上述したように、本発明の方法は、出発物質がアリルス
ルホン酸以外のエチレン性二重結合を有する不飽和スル
ホン酸 (例、4−スチレンスルホン酸) のアルカリ金属
塩である場合にも、以下の説明と全く同様にして、塩素
化およびその後の反応を行うことができる。
【0021】(1) アリルスルホニルクロライドの合成 出発物質のアリルスルホン酸アルカリ金属塩 (CH2=CH-C
H2-M2 :M2はアルカリ金属) を、溶媒を使用せずに、過
剰量の塩化チオニル(SOCl2) と反応させると、上記構造
式(1) で示されるアリルスルホニルクロライドが合成さ
れる。溶媒を使用すると、一般に目的物であるアリルス
ルホニルクロライドの収率が極端に減する。その原因は
不明であるが、反応で生成する二酸化硫黄等が溶媒に溶
解して、出発物質または生成物と反応する可能性が考え
られる。
【0022】塩化チオニルは常温で液体であり、過剰分
の塩化チオニルは溶媒として作用することができるた
め、塩化チオニルを過剰に用いれば、別に溶媒を使用し
なくても反応を進行させることができる。塩化チオニル
の使用量は、モル比で出発物質のアリルスルホン酸アル
カリ金属塩の2倍以上とすることが好ましく、より好ま
しくは5〜20倍である。
【0023】この反応は、室温から80℃付近までの温
度、好ましくは40℃から塩化スルホニルが還流する温度
で行われる。温度が低いと反応の進行が遅く、一方、温
度が高すぎると、出発物質または生成物中の二重結合の
重合が一部生じるので好ましくない。
【0024】反応後、例えば、反応混合物から過剰の塩
化チオニルを留去した後、残留物を不活性有機溶媒に溶
解し、析出した副生物の塩 (アルカリ金属の塩化物) を
濾別し、濾液を減圧蒸留することにより、アリルスルホ
ニルクロライドを単離することができる。不活性有機溶
媒としては、目的物のアリルスルホニルクロライドおよ
び残留する塩化チオニル等と反応せず、目的物を十分に
溶解するものであればよい。このような有機溶媒の例と
しては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル等のエーテル系有機溶媒が挙げられ
る。
【0025】得られたアリルスルホニルクロライドを原
料として、次に説明するように、一般的な有機合成法を
利用して、アリルスルホン酸のエステル、アミド、また
は2価以上の金属塩を製造することができる。
【0026】(2) アリルスルホン酸エステルの合成 上記(1) の方法で得られたアリルスルホニルクロライド
を、常法によりエステル化することにより、下記一般式
(2')で示されるアリルスルホン酸エステルを合成するこ
とができる。具体的な反応としては、アリルスルホニル
クロライドをアルコールまたは金属アルコキシドと反応
させる方法が利用できる。この反応は、不活性な有機溶
媒中で行うことが好ましい。
【0027】 CH2=CHCH2SO31' ・・・(2') 上記式中、R1'は炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の飽
和または不飽和脂肪族炭化水素基である。また、この炭
化水素基はエーテル結合などのヘテロ原子を含んでいて
もよい。エステル化反応には、一般式:R1'OH(R1'
は上記に同じ)で示されるアルコールまたは対応する金
属アルコキシド(例、ナトリウムアルコキシド)を使用
する。
【0028】アルコールとの反応では、副生する塩化水
素を除去するため、三級アミン (例、ピリジンなどの環
式アミン、またはトリエチルアミンなどのトリアルキル
アミン) 等の塩基の存在下で反応を行うことが好まし
い。アルコールとの反応に適した不活性有機溶媒として
は、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ベンゼン等が挙げられる。
【0029】金属アルコキシドとの反応は、ナトリウム
アルコキシド、カリウムアルコキシド等を用いて実施す
ることができる。この反応に適した溶媒としては、前述
した不活性有機溶媒の他に、アルコールも利用できる。
いずれの反応も発熱反応であるため、アリルスルホニル
クロライドと反応剤との混合は、例えば冷却しながら慎
重に行う。その後、必要であれば溶媒の還流温度以下の
温度に加熱して反応を完結させる。反応剤のアルコール
または金属アルコキシドの使用量は、当量以上とするこ
とが好ましい。反応後の処理は常法により実施すればよ
く、例えば、析出した塩を濾過により除去した後、濾液
から溶媒を留去し、残渣を蒸留して目的物のエステルを
単離することができる。
【0030】この反応により、上に示した一般式(2) で
示されるアリルスルホン酸のC1〜C6低級アルキルエステ
ルのみならず、当業者には明らかなように、反応に使用
するアルコールまたは金属アルコキシドを変えることに
より、前記一般式(2')で示されるより広範囲のアリルス
ルホン酸エステルを合成することができる。
【0031】(3) アリルスルホン酸アミドの合成 上記(1) の方法で得られたアリルスルホニルクロライド
を常法によりアミド化することにより、下記一般式(3')
で示されるアリルスルホン酸アミドを合成することがで
きる。具体的な反応としては、アリルスルホニルクロラ
イドをアンモニアまたは一級もしくは二級アミンと反応
させる方法が利用できる。この反応も不活性な有機溶媒
中で行うことが好ましく、溶媒としてはエステル化と同
様のものが使用できる。
【0032】 CH2=CHCH2SO2NR2'R3'・・・(3') 上記式中、R2'およびR3'は同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ水素または炭素数1〜30の直鎖または分岐
鎖の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基である。また、
この炭化水素基はエーテル結合などのヘテロ原子を含ん
でいてもよい。アミド化反応には、一般式:HNR2'R
3'(R2'とR3'は上記に同じ)で示されるアンモニアま
たはアミンを使用する。
【0033】このアミド化反応でも、副生する塩化水素
を除去するために、三級アミンを反応系に存在させる
か、或いは反応剤のアンモニアまたはアミンを大過剰に
使用することが好ましい。アミド化反応も発熱反応であ
るため、反応方法はエステル化と同様でよい。反応剤は
少なくとも当量で使用することが好ましく、前述したよ
うに大過剰量で使用する場合もある。反応後の処理は常
法により実施すればよく、例えば、溶媒を留去すると残
留物として目的物のアミドを単離することができる。
【0034】この反応により、上に示した一般式(3) で
示されるアリルスルホン酸アミドのみならず、当業者に
は明らかなように、反応に使用するアミンを変えること
により、前記一般式(3')で示されるより広範囲のアリル
スルホン酸アミドを合成することができる。
【0035】(4) アリルスルホン酸の多価金属塩の合成 上記(1) の方法で得られたアリルスルホニルクロライド
を、2価以上の金属化合物と反応させることにより、前
記(4) 式で示されるアリルスルホン酸多価金属塩を合成
することができる。2価以上の金属の例としては、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金
属;亜鉛、コバルト、鉄、銅などの遷移金属;カドミウ
ム、鉛などの重金属などが代表例であるが、これらに制
限されるものではなく、2価以上であれば任意の金属で
よい。反応に用いる金属化合物の例としては、2価以上
の金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、酢酸塩 (その他の
有機酸塩) 、ハロゲン化物などが挙げられる。好ましい
金属化合物は水酸化物である。
【0036】反応剤の金属化合物の使用量は、当量前後
とすることが好ましい。この反応は、反応剤の金属化合
物の溶解性に応じて、水および/または有機溶媒中で実
施することができる。この反応も発熱反応であり、かつ
進行が速いので、溶媒の存在下に冷却しながらアリルス
ルホニルクロライドと金属化合物を接触させるだけで反
応は一般に完了する。
【0037】こうして製造されたアリルスルホニルクロ
ライド、アリルスルホン酸エステル、アリルスルホン酸
アミドおよびアリルスルホン酸多価金属塩は、いずれも
アリル基による重合性を有している。また、アリル基以
外の他のエチレン性二重結合を有する不飽和スルホニル
クロライド、不飽和スルホン酸エステル、不飽和スルホ
ン酸アミドおよび不飽和スルホン酸多価金属塩も、同様
にこの二重結合により重合性を有する。従って、これら
の化合物はいずれもラジカル重合における共重合成分と
して有用である。それにより、スルホニルクロライド等
のスルホン酸誘導体からなる官能基を側鎖に持ったポリ
マーが得られ、ポリマーの性質(例、極性)を変化させ
ることができる。特に、アリルスルホン酸アミド等の不
飽和スルホン酸アミドは極性が高く、剛直性の高いポリ
マーが得られる。また、アリルスルホン酸多価金属塩等
の不飽和スルホン酸多価金属塩は、潤滑剤としても使用
できる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)機械攪拌装置、温度計、還流器、滴下ロート
を備えた1リットルの三口フラスコに、アリルスルホン
酸ナトリウム153 g(1.1モル) と塩化チオニル800 ml
(11モル) を入れ、70℃に加温して20時間攪拌した。攪拌
終了後、過剰の塩化チオニルを減圧下で除去し、残った
反応液にテトラヒドロフラン500 mlを加えて1時間攪拌
した。その後、濾過し、濾液から過剰のテトラヒドロフ
ランを減圧留去した後、残液を減圧蒸留して目的物のア
リルスルホニルクロライド[CH2=CHCH2SO2Cl]の無色透明
液体92 gを得た。b.p. 117℃/80 mmHg、収率62%。
【0039】元素分析結果 (C3H5O2SCl) 計算値: C, 25.62%; H, 3.56%; S, 22.78% 実測値: C, 25.99%; H, 3.67%; S, 22.01% IR (cm-1) :2980, 2920, 1370, 1176 1H-NMR (ppm):4.35 (d,2H), 5.92-6.09 (m,1H), 5.61-
5.73 (m,2H) 。
【0040】(実施例2)塩化チオニルの量を436 ml
(6.0 モル) 、1090 ml (15.0 モル) 、および1818ml (2
5.0 モル) に変更した以外は、実施例1と同様に反応を
実施した。収率はそれぞれ22%、65%、および74%であ
った。
【0041】(比較例1)アリルスルホン酸ナトリウム15
3 g(1.1モル) 、塩化チオニル400 ml (5.5 モル) およ
び溶媒としてテトラヒドロフラン400 mlを用いて、実施
例1と同様に反応を行った。反応混合物を濾過し、濾液
から過剰のテトラヒドロフランを減圧留去した後、残液
をガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的物の
アリルスルホニルクロライドは生成していなかった。こ
の残液を減圧蒸留したところ、目的物より高沸点の構造
未定の物質が得られた。
【0042】(比較例2)アリルスルホン酸ナトリウム15
3 g(1.1モル) 、塩化チオニル200 ml (2.8 モル) およ
び溶媒としてジメチルホルムアミド400 mlを用いて、実
施例1と同様に反応を行った。反応混合物を濾過し、濾
液を分析したが、反応は進行していなかった。
【0043】(比較例3)アリルスルホン酸ナトリウム2.
8 g(0.02 モル) と五塩化リン8.0 g(0.038モル) とを
固体のまま混合した。混合物は激しく発熱して、液状と
なった。発熱が終了した後、液状の反応混合物を氷水中
に注ぎ、有機物の分離を試みたが、水と激しく反応して
発熱し、有機物は全て水層に溶け込み、目的物を得るこ
とはできなかった。
【0044】(比較例4)実施例1と同様の反応装置にア
リルスルホン酸ナトリウム15.3g(0.11 モル)とオキシ
塩化リン92g(0.60 モル) とを入れ、60℃で10時間攪拌
した。その後、実施例1と同様に過剰のオキシ塩化リン
を減圧下で除去し、残った反応液にテトラヒドロフラン
500 mlを加えて1時間攪拌してから濾過し、濾液から過
剰のテトラヒドロフランを減圧留去した。蒸留残液をガ
スクロマトグラフィーで分析したが、目的物は確認され
なかった。従って、反応成分を塩化チオニルから、やは
り室温で液状物であるオキシ塩化リンに変更すると、目
的物を得ることができないことが判明した。
【0045】(実施例3)機械攪拌装置、温度計、還流
器、滴下ロートを備えた1リットルの三口フラスコに、
ピリジン79g、ジイソプロピルエーテル500 ml、および
イソプロピルアルコール59g (1.00モル) を入れた。こ
の混合物を氷水浴中で30℃以下に冷却しながら、アリル
スルホニルクロライド46.8g(0.34 モル) を30分かけて
滴下した。滴下終了後、50℃に加温してさらに2時間攪
拌した。得られた反応液を濾過し、濾液を希塩酸で洗浄
し、さらに水で数回洗浄した後、無水硫酸マグネシウム
で一晩乾燥した。その後、過剰のジイソプロピルエーテ
ルを減圧留去し、残液を減圧蒸留して、目的とするアリ
ルスルホン酸イソプロピルエステル [CH2=CHCH2SO3CH(C
H3)2] の無色透明液体42.6gを得た。b.p. 101℃/9 mmH
g 、収率78%。
【0046】元素分析結果 (C6H12O3S) 計算値: C, 43.90%; H, 7.32%; S, 19.51% 実測値: C, 43.52%; H, 7.11%; S, 19.14% IR (cm-1) :2980, 2920, 1351, 1176 1H-NMR (ppm):1.41 (d,6H), 3.81 (d,2H), 4.86-5.00
(m,1H), 5.40-5.49 (m,2H), 5.81-5.95 (m,1H)。
【0047】(実施例4)機械攪拌装置、温度計、還流
器、滴下ロートを備えた500 mlの三口フラスコにn−プ
ロピルアミン29.5g(2モル) とジイソプロピルエーテル
300 mlを入れ、この混合物を氷水浴中で30℃以下に冷却
しながらアリルスルホニルクロライド14.1g (0.1 モ
ル) を20分かけて滴下した。滴下終了後、50℃に加温し
てさらに2時間攪拌した。得られた反応液を希塩酸で数
回洗浄し、さらに水で数回洗浄した後、無水硫酸マグネ
シウムで一晩乾燥した。その後、過剰のジイソプロピル
エーテルを減圧留去し、析出物を濾過して、アリルスル
ホン酸n−プロピルアミド[CH2=CHCH2SO2NHCH2CH2CH3]
17.7gを得た。収率95%。
【0048】元素分析結果 (C6H13NO2S) 計算値: C 44.17%; H 7.98%; S 19.63%; N 8.59% 実測値: C 43.99%; H 8.05%; S 19.47%; N 8.77% IR (cm-1) :2980, 2920, 1365, 1176 1H-NMR (ppm):0.95 (t,3H), 1.62-1.83 (m,2H), 3.41-
3.56 (m,2H), 3.85 (d,2H), 5.40-5.49 (m,2H), 5.81-
5.95 (m,1H)。
【0049】(実施例5)機械攪拌装置、温度計、滴下ロ
ートを備えた500 mlのビーカーに水酸化カルシウム 3.8
g(0.05 モル) と蒸留水300 mlを入れ、この混合物を氷
水浴中で30℃以下に冷却しながら、アリルスルホニルク
ロライド14.1g(0.1モル) を15分かけて滴下した。滴下
終了後、析出した沈澱を濾過により回収し、これを十分
に水洗した後、80℃で一晩乾燥して、アリルスルホン酸
カルシウム [(CH2=CHCH2SO3)2Ca]20.5gを得た。収率82
%。
【0050】元素分析、原子吸光分析結果 (C6H10O6S2C
a) 計算値:C 25.53%; H 3.55 S 22.70%; Ca 14.18% 実測値:C 25.00%; H 3.89 S 21.89%; Ca 13.95% (実施例6)機械攪拌装置、温度計、還流器、滴下ロート
を備えた1リットルの三口フラスコに、4-スチレンスル
ホン酸ナトリウム 100g(0.48 モル) と塩化チオニル 5
00ml (7.1モル) を入れ、70℃に加温して15時間攪拌し
た。攪拌終了後、過剰の塩化チオニルを減圧下で除去
し、残った反応液にテトラヒドロフラン500 mlを加えて
1時間攪拌した。その後、沈殿を濾去し、濾液から過剰
のテトラヒドロフランを減圧留去し、析出した固体を濾
別することにより、4−スチレンスルホニルクロライド
[CH2=CH-C6H5-SO2Cl] 12gを得た。収率12%。
【0051】
【発明の効果】本発明により、アリルスルホニルクロラ
イドを対応するスルホン酸アルカリ金属塩から安定して
合成することが可能となる。さらに、得られたアリルス
ルホニルクロライドを原料として、対応するアリルスル
ホン酸エステル、アミドおよび多価金属塩が合成され
る。それにより、新規物質であるアリルスルホニルクロ
ライド、アリルスルホン酸エステル、アリルスルホン酸
アミド、およびアリルスルホン酸多価金属塩がいずれも
比較的高収率で合成できた。
【0052】また、本発明の方法は、不飽和基がアリル
基以外のものである場合にも適用でき、それにより分子
内にエチレン性二重結合を有する不飽和スルホニルクロ
ライド、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド、およ
びスルホン酸多価アルカリ金属塩を得ることができる。
これらの化合物はいずれも重合性を有し、ラジカル重合
ポリマーの変性に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 309/20 7419−4H C07C 309/20 309/67 7419−4H 309/67 311/11 7419−4H 311/11 // C08F 28/02 MNR C08F 28/02 MNR

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にエチレン性二重結合を有する不
    飽和スルホン酸アルカリ金属塩を、溶媒の不存在下で過
    剰量の塩化チオニルと反応させることを特徴とする、分
    子中にエチレン性二重結合を有する不飽和スルホニルク
    ロライドの製造方法。
  2. 【請求項2】 分子中にエチレン性二重結合を有する不
    飽和スルホニルクロライドを、アルコールまたは金属ア
    ルコキシドと反応させることからなる、分子中にエチレ
    ン性二重結合を有する不飽和スルホン酸エステルの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 分子中にエチレン性二重結合を有する不
    飽和スルホニルクロライドを、アンモニアまたは一級も
    しくは二級アミンと反応させることからなる、分子中に
    エチレン性二重結合を有する不飽和スルホン酸アミドの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 分子中にエチレン性二重結合を有する不
    飽和スルホニルクロライドを、2価以上の金属化合物と
    反応させることからなる、分子中にエチレン性二重結合
    を有する不飽和スルホン酸多価金属塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 不飽和スルホニルクロライドがアリルス
    ルホニルクロライドである、請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 下記構造式で示されるアリルスルホニル
    クロライド。 CH2=CHCH2SO2Cl
  7. 【請求項7】 下記一般式で示されるアリルスルホン酸
    エステル化合物。 CH2=CHCH2SO31 式中、R1 は炭素1〜6のアルキル基である。
  8. 【請求項8】 下記一般式で示されるアリルスルホン酸
    アミド化合物。 CH2=CHCH2SO2NR23 式中、R2 およびR3 は同一でも異なっていてもよく、
    それぞれ水素または炭素数1〜6のアルキル基である。
  9. 【請求項9】 下記一般式で示されるアリルスルホン酸
    金属塩。 (CH2=CHCH2SO3)n 式中、Mは2価以上の金属、nは金属M1 の価数と
    同じ整数である。
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