JPH091212A - 金属帯圧延設備におけるロールの異物除去装置 - Google Patents

金属帯圧延設備におけるロールの異物除去装置

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JPH091212A
JPH091212A JP14909195A JP14909195A JPH091212A JP H091212 A JPH091212 A JP H091212A JP 14909195 A JP14909195 A JP 14909195A JP 14909195 A JP14909195 A JP 14909195A JP H091212 A JPH091212 A JP H091212A
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roll
blade
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moving
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JP14909195A
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Hidemi Ishii
秀美 石井
Kaneichiro Maeda
兼一郎 前田
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率的かつ確実にロール表面の異物を除去す
ることができる金属帯圧延設備のロールの異物除去装置
を提供する。 【構成】 ロールの異物除去装置30は、ロールRに付
着した異物をかき取るブレード31と、ブレード31を
保持し、ブレード31をロールRの外周面に弾発的に近
接離反させるブレード保持手段32と、ブレード保持手
段32を支持する支持部材33と、支持部材33をロー
ルRに近接離反する方向に変位させる位置調整手段34
と、位置調整手段34をロールRの軸線に沿って移動さ
せる移動手段55と、移動手段55を揺動させる揺動手
段35とを含む。また移動手段55には、複数の支持部
材33を一体的に連動させる連動手段77が設けられて
おり、連動手段77は複数の支持部材33を連結する連
結部材53と、異物除去時の連結部材53の重心を支持
する重心支持手段78とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属帯、特にステンレ
ス鋼帯などの硬質金属帯を冷間圧延する際に、形状検出
ロールなどのロール表面に付着した異物を除去すること
ができる金属帯圧延設備におけるロールの異物除去装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、硬質金属帯であるたとえばステ
ンレス鋼帯は、普通鋼鋼帯と比べて変形抵抗が大きく、
かつ加工硬化が激しいので、冷間圧延する際に圧延荷重
が大きくなる。圧延荷重の増大は冷間圧下率の低減を招
き、圧延能率を大幅に低下させるので、圧延荷重の低減
を図ることが好ましい。圧延荷重は、ワークロールの直
径および圧延張力などによって影響を受ける。すなわち
ワークロールの直径は小径になるほどワークロールとス
テンレス鋼帯との接触面積が小さくなるので、圧延荷重
が減少し、圧延張力は大きくなるほど圧延荷重が減少す
る。このためステンレス鋼帯は、小径のワークロールを
備える冷間圧延設備、たとえばレバース式20段ゼンジ
ミア圧延設備において大きな圧延張力を付与しつつ次の
ようにして冷間圧延されている。
【0003】図11は、従来からのレバース式20段ゼ
ンジミア圧延設備の簡略化された構成を示す系統図であ
る。ステンレス鋼帯10は供給リール1から払出され、
デフレクタロール2,4、右形状検出ロール5a、ミル
本体6、左形状検出ロール5b、デフレクタロール8を
経て、左巻取りリール9までスレッディングされる。ス
レッディング中、ミル本体6の上下ワークロール間は開
放されており、冷間圧延は行われない。スレッディング
後、金属帯10は、先端部を左巻取りリール9にグリッ
プされ、ミル本体6の1パス目の圧下設定後、左巻取り
リール9に巻取られる。ミル本体6の圧下量は、冷間圧
延の1パス目のパススケジュールに基づいて設定され
る。1パス目の冷間圧延は、左巻取りリール9の巻取り
開始と同時に開始され、それに伴いステンレス鋼帯10
には張力が付与され、左形状検出ロール5bによってス
テンレス鋼帯10の形状が測定される。
【0004】1パス目の冷間圧延はステンレス鋼帯10
の尾端が供給リール1から離れ、デフレクタロール2を
経て、右巻取りリール3近辺に到達するまで継続され
る。1パス目の冷間圧延終了後、ミル本体6の上下ワー
クロール間を開放した状態で、ステンレス鋼帯10は尾
端部を右巻取りリール3にグリップされ、ミル本体6の
2パス目の圧下設定後、右巻取りリール3に巻取られ
る。2パス目の冷間圧延は、右巻取りリール3の巻取り
開始と同時に1パス目と逆方向に開始され、それに伴い
ステンレス鋼帯10には張力が付与され、右形状検出ロ
ール5aによってステンレス鋼帯10の形状が測定され
る。3パス目の冷間圧延も同様にして、2パス目と逆方
向に行われる。このレバース圧延は、ステンレス鋼帯1
0の板厚が、予め定める値に達するまで繰返して行われ
る。
【0005】前記レバース圧延方法から明らかなよう
に、ステンレス鋼帯10の頭尾部では、冷間圧延が行わ
れない。この未圧延領域の長さは、ほぼミル本体6から
右および左巻取りリール3,9までの距離に相当するの
で、ステンレス鋼帯10の製造歩留りは大幅に低下す
る。このためステンレス鋼帯10の頭尾部に、予めサー
ビステールと呼ばれる金属帯を溶接によって接合してお
いて、ステンレス鋼帯10の未圧延領域を解消させ、ス
テンレス鋼帯10の製造歩留りを向上させる方法が採用
されている。サービステールは繰返し使用され、その長
さはほぼ未圧延領域の長さに等しい。
【0006】前述のように左右の形状検出ロール5a,
5bおよびデフレクタロール4,8は、スレッディング
中および冷間圧延中、ステンレス鋼帯10と直接接触す
る。ステンレス鋼帯10は冷間圧延時、大きな圧延張力
で冷間圧延されるので、これらのロールには異物が付着
しやすい。この異物は主として鉄粉であり、その鉄粉
は、 被圧延材であるステンレス鋼帯10およびワークロー
ル表面、 前記サービステール表面、 サービステールとステンレス鋼帯10との溶接部 などから発生する。前記から発生する鉄粉は、冷間圧
延中、ワークロールとステンレス鋼帯10との摩擦によ
って発生する摩耗鉄粉であり、前記から発生する鉄粉
は、サービステールの表面に繰返し使用の過程で疵やか
えりが形成され、サービステールの表面が粗面化し、前
記ロールと粗面化したサービステール表面との接触によ
って発生する摩耗鉄粉であり、前記から発生する鉄粉
は、凸状の溶接部を回転砥石やグラインダで研削して平
坦化する際に発生する研削鉄粉である。
【0007】前記ロールに付着した異物は、冷間圧延中
しだいに堆積して大きく成長し、ロールと接触するステ
ンレス鋼帯10に押込まれ、いわゆる押込疵を発生させ
る。押込疵は、ステンレス鋼帯10の製品価値を著しく
低下させるので、その原因となる付着異物の除去が押込
疵発生防止対策として従来から行われている。付着異物
の除去方法としては、前記ロールに金属製のブレードを
押当て、ロールに付着した異物を掻落とす方法が最も一
般的に行われており、それを実現するための異物除去装
置の先行技術は特開平4−52013および実公昭63
−50005に開示されている。
【0008】特開平4−52013号公報に開示されて
いる先行技術は、いわゆるカウンタウエイト式と呼ばれ
る異物除去装置である。カウンタウエイト式異物除去装
置は、図12に示すようにブレード15と、軸線直角断
面がほぼL字状のトッププレート16と、トッププレー
ト16の一端部の下部に設けられ、トッププレート16
との間にブレード15を挟持するブレード押え17と、
トッププレート16の他端部上部に溶接によって固定さ
れ、ブレード15を角変位させる角変位調整軸18と、
トッププレート16の他端部下部で角変位調整軸18よ
りもロール19から離れた位置に設けられるカウンタウ
エイト20とを含んで構成される。ブレード15は、装
置の自重によってロール19に押付けられ、押付力の調
整はカウンタウエイト20の重量を変えることによって
行われる。
【0009】実公昭63−50005号公報に開示され
ている先行技術は、ロールの回転が正逆いずれの方向で
あっても異物の除去を行うことができる異物除去装置で
ある。本先行技術の異物除去装置は、図13に示すよう
にフレーム21と、一対のブレードホルダ23と、一対
のブレード15と、一対のタッチロール25と、集塵フ
ード26とを含んで構成される。フレーム21は、シリ
ンダ22によって昇降され、ロール19に対して自在に
近接/離反することができる。ブレードホルダ23は、
フレーム21の前後に対向して設けられており、その固
定片23bがフレーム21に固定され、その可動片23
aが支点23cに回転自在に装着されている。またブレ
ード15の装着時には、可動片23aと固定片23bと
の間にブレード15を挟持した状態で可動片23aがね
じによって固定片23bに固定される。ブレード15
は、ブレードホルダ23に保持され、その刃先がロール
19の表面に湾曲して若干たわむ状態で当接している。
タッチロール25は、フレーム21の両側部の前部と後
部とにそれぞれ装着されており、ロール19に接触して
回転し、フレーム21とロール19との間隔を一定に保
持する。集塵フード26は、ガイドロッド27に沿って
摺動自在に支持されており、ブレード15によって掻取
られた異物を吸引除去する。これによって一対のブレー
ド15は、連動してロール19に近接/離反することが
可能であり、ロールの回転方向にかかわらず異物の除去
を行うことができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述のような異物除去
装置の先行技術は、いずれもロールに付着した異物を除
去することが可能であるけれども、ステンレス鋼帯10
のように冷間圧延時の張力が大きく、前記サービステー
ルが用いられる金属帯を被圧延材とする場合には、異物
がロールに強固に付着しやすくかつ異物発生量が多いの
で、それぞれ次のような問題がある。
【0011】前記特開平4−52013号公報に開示さ
れている先行技術においては、(a)運転中に前記カウ
ンタウエイト20の取換えが困難であるので、運転中に
前記ブレード15の前記ロール19に対する押付力の調
整ができず、このため異物の付着力の大小にかかわらず
付着力の大きい異物に合わせた押付力の設定が行われる
ので、ロール19およびブレード15の摩耗量が大幅に
増大し、この現象は、特にダルロールを使用する場合に
は顕著に発生し、(b)押付力が自重によって付与され
るので、振動等による押付力の変動が生じやすく、異物
除去能力が低下し、(c)前記ブレード15の交換作業
および異物除去装置の取換え作業に長時間を要する、等
の問題がある。
【0012】前記実公昭63−50005号公報に開示
されている先行技術においては、(d)前記ブレード1
5の位置が前記ロール19の板幅方向に関して固定され
ているので、ブレード15が偏摩耗しやすく、異物除去
むらが生じやすく、またブレード15の偏摩耗によっ
て、異物がブレード15の先端とロール19との間に引
っ掛りやすくなるので、ステンレス鋼帯10にスクラッ
チ疵が生じやすく、(e)前記一対のブレード15はフ
レーム21に固定されているので、連動してロール19
に近接/離反し、このため異物除去は主としてロール1
9の回転方向下流側のブレード15によって行われるに
もかかわらず、異物除去効率の低いロール19の回転方
向上流側のブレード15もロール19に常時接触するこ
とになり、ブレード15の摩耗量が増大し、この摩耗量
の増大は、特にロール19の高速回転時において顕著に
発生する、等の問題がある。
【0013】本発明の目的は、異物除去むらなどの前記
問題(a)〜(e)を解決し、異物発生量が多く、異物
が強固に付着しやすいステンレス鋼帯などの硬質金属帯
を被圧延材とする場合であっても、効率的かつ確実にロ
ール表面の異物を除去することができる金属帯圧延設備
のロールの異物除去装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、予め定める通
板方向に走行する金属帯に加圧接触して、回転軸線まわ
りに回転駆動されるロールの外周面に、遊端部が弾発的
に接触し、この遊端部とロールの外周面との接触位置に
おける接線に対してロールの回転方向下流側で予め定め
る角度を成して前記ロールの回転軸線にほぼ平行に延び
る薄板状のブレードと、前記ブレードの基端部付近が取
付けられ、このブレードを、少なくとも前記遊端部がロ
ールの外周面に近接/離反する方向に弾発的に付勢する
ブレード保持手段と、ブレード保持手段を支持し、前記
ロールの回転軸線にほぼ平行に延びる支持部材と、支持
部材をロールに近接/離反する方向に変位させて、ブレ
ードのロールに対する位置を調整する位置調整手段と、
位置調整手段をロールの軸線方向に沿って往復移動させ
る移動手段と、移動手段をロールの軸線に沿って予め定
める移動量および移動速度で往復移動させる揺動手段と
を含むことを特徴とする金属帯圧延設備におけるロール
の異物除去装置である。また本発明の前記ロールは、レ
バース型圧延設備に設けられ、前記支持部材には、ロー
ルの軸線を含む鉛直な仮想平面に関して対称に一対のブ
レード保持手段が設けられることを特徴とする。また本
発明の前記支持部材は、隣接する複数のロールにそれぞ
れ配置され、前記移動手段には、複数の支持部材を一体
的に連動させる連動手段が設けられることを特徴とす
る。また本発明の前記連動手段は、複数の支持部材を位
置調整手段を介して一体的に連結して揺動可能に支持す
る連結部材と、異物除去時における連結部材の重心を揺
動可能に支持する重心支持手段とを含むことを特徴とす
る。また本発明の前記ロールは、金属帯の形状を検出す
る形状検出ロールまたはほぼ水平に通板される金属帯を
巻き掛けて角度を変えて走行させるデフレクタロールで
あることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明に従えば、金属帯圧延設備におけるロー
ルの異物除去装置は、ブレードと、ブレード保持手段
と、支持部材と、位置調整手段と、移動手段と、揺動手
段とを含む。ブレードはロールの外周面に、遊端部が弾
発的に接触し、その接触位置における接線に対して予め
定める適正角度を成して、ロールの回転軸線にほぼ平行
に延びて配置されている。ブレード保持手段は、ブレー
ドの基端部付近を保持し、少なくともブレードの遊端部
がロールの外周面に近接/離反するようにブレードの基
端部を弾発的に付勢する。支持部材はブレード保持手段
を支持し、位置調整手段は支持部材をロールに近接/離
反する方向に変位させてブレードのロールに対する位置
を調整する。移動手段は、位置調整手段をロールの軸線
に沿って往復移動させ、揺動手段は移動手段をロールの
軸線に沿って予め定める適正な移動量および移動速度で
往復移動させて、ブレードをロールに接触した状態でロ
ールの軸線方向に揺動させる。
【0016】このようにブレードは、ロールの外周面に
適正角度で弾発的に接触しロールの軸線にほぼ平行に延
びて取付けられているので、ロール表面上の異物をロー
ル胴長全体にわたって確実に掻取ることができる。また
ブレード保持手段は、ブレードをロールの外周面に対し
て近接/離反するように弾発的に付勢するので、ブレー
ドのロールに対する近接/離反を自在に切換えることが
できる。さらに移動手段および揺動手段は、ブレードを
ロールに接触した状態で揺動させることができるので、
ブレードの偏摩耗およびそれに基づく異物除去むらが解
消され、ロール表面の異物が効率的かつ確実に除去され
る。
【0017】また本発明に従えば、前記ロールはレバー
ス式圧延設備に設けられており、ロール異物除去装置の
支持部材には、ロールの軸線を含む鉛直仮想平面に関し
て対称に一対のブレード保持手段およびブレードが設け
られている。これによってロールの異物除去装置は、ロ
ールの回転が正逆いずれの方向であっても、ロールの回
転方向下流側で適正角度を形成しているいずれか一方の
ブレードによって、ロールに付着した異物の除去を効率
的かつ確実に行うことができるので、レバース圧延の全
パスにわたってロールに付着した異物を除去することが
可能である。またブレード保持手段は、ブレードのロー
ルに対する近接/離反を自在に切換えることができるの
で、ロールの高速回転時にロールの回転方向下流側で適
正角度を形成していないいずれか一方のブレードをロー
ルから離反して、そのブレードの摩耗量を低減すること
ができる。
【0018】また本発明に従えば、前記支持部材は隣接
する複数のロールにそれぞれ配置されており、前記移動
手段には複数の支持部材を一体的に連動させる連動手段
が設けられている。これによって移動手段を各ロール毎
にそれぞれ設けなくてもよいので、ロールの異物除去装
置をコンパクトに構成することが可能となり、スペース
の有効利用を図ることができる。また狭い空間で一つの
操作で異物を効率的に除去することができる。
【0019】また本発明に従えば、前記連動手段は連結
部材と、重心支持手段とを含む。連結部材は、複数の支
持部材を位置調整手段を介して一体的に連結して揺動可
能に支持し、重心支持手段は異物除去時における連結部
材の重心を揺動可能に支持する。このように異物除去時
における連結部材の重心が重心支持手段によって揺動可
能に支持された状態で異物除去が行われるので、異物除
去時の振動が大幅に低減される。これによって異物が効
率的かつ確実に除去されるとともにロールの異物除去装
置の故障発生率が大幅に低減される。
【0020】また本発明に従えば、異物除去の対象とな
る前記ロールは金属帯の形状を検出する形状検出ロール
またはほぼ水平に通板される金属帯を巻き掛けて角度を
変えて走行させるデフレクタロールである。形状検出ロ
ールおよびデフレクタロールには、ともに大きな圧延張
力が付与され、異物が強固に付着しやすいけれども、こ
れらロールに付着した異物はロールの異物除去装置によ
って確実に除去されるので、金属帯表面の押込疵の発生
が確実に防止される。さらにこれによってこれらロール
の耐用性が大幅に向上する。
【0021】
【実施例】図1は本発明の一実施例であるロールの異物
除去装置の構成を簡略化して示す側面図であり、図2は
図1に示すロールの異物除去装置の構成を簡略化して示
す正面図である。本実施例においては、ロールの異物除
去装置30は金属帯圧延設備のロール、たとえば前記図
11に示すレバース式20段ゼンジミア圧延設備の右形
状検出ロール5aおよびデフレクタロール4(以後、ロ
ールRと総称することがある)に適用される。
【0022】右形状検出ロール5aは、軸線方向に隣接
して配置された複数の分割ロール5cによって構成され
る。複数の分割ロール5cは、予め定める通板方向に走
行する金属帯、たとえばステンレス鋼帯10の下面に加
圧接触して、駆動モータによって一体的に回転駆動され
る。各分割ロール5cは、ステンレス鋼帯10の張力に
対応して変形し、その張力は分割ロール5cの内部に設
けられたロードセルによって測定される。ステンレス鋼
帯10の形状は、このようにして求められる張力分布か
ら検出される。また形状検出ロール5aの外周面には、
異物付着を軽減するためにタングステン炭化物系溶射被
覆層が形成されている。なお、形状検出ロール5aの寸
法は、たとえば直径313mm、有効測定幅1,664
mm、分割数32個である。デフレクタロール4は、右
形状検出ロール5aに隣接して設けられ、予め定める通
板方向にほぼ水平に走行するステンレス鋼帯10を巻き
掛けて角度を変えて走行させる。デフレクタロールの寸
法は、たとえば直径450mm、胴長1,700mmで
ある。なお、ステンレス鋼帯10の先後端には、前記サ
ービステールが溶接されているので、レバース圧延中、
形状検出ロール5aおよびデフレクタロール4には異物
が付着しやすい。
【0023】ロールの異物除去装置30は、ロールRに
付着した異物を掻取るブレード31と、ブレード31を
保持し、ブレード31をロールRの外周面に弾発的に近
接/離反させるブレード保持手段32と、ブレード保持
手段32を支持する支持部材33と、支持部材33をロ
ールRに近接/離反させる方向に変位させて、ブレード
31のロールRに対する位置を調節する位置調整手段3
4と、位置調整手段34をロールRの軸線に沿って往復
移動させる移動手段55と、移動手段55をロールRの
軸線に沿って揺動させる揺動手段35とを含んで構成さ
れる。
【0024】ブレード31は金属製の矩形状薄板であ
り、ロールRの回転軸線を含む水平仮想平面よりも下方
においてブレード31の遊端部31aがロールRの外周
面に弾発的に接触している。ブレード31の遊端部31
aは、図3に示すようにロールRの回転軸線RLにほぼ
平行に延びて取付けられており、ロールRに付着した異
物をロール胴長全体にわたって掻取ることができる。ま
たブレード31は、ブレード31の遊端部31aとロー
ルRの外周面との接触位置における接線L1に対してロ
ールRの回転方向下流側で予め定める適正角度(以後、
ブレード角度θと略称することがある)を成して配設さ
れている。ブレード角度θは、たとえば16〜22°で
ある。前記ブレード31の材質は、たとえばアルミニウ
ム合金およびステンレス鋼(SUS304)などであ
り、ブレード31の寸法は、たとえば板厚1.0mm、
板幅1,660mmである。
【0025】図4は、図1に示すブレード保持手段の構
成を簡略化して示す側面図である。前記ブレード31は
その基端部31bをトッププレート36の一端部とフィ
ンガー37の一端部との間に挟持される。フィンガー3
7の長手方向中央部付近には、ピボットロッド38が挿
通しており、ピボットロッド38はフィンガー37を回
転自在に支持している。またピボットロッド38はピボ
ット39に挿通されており、ピボット39はフィンガー
37の下方に間隔を空けて設けられているベースプレー
ト40上に固定されている。このためフィンガー37と
ベースプレート40との間には空間が形成される。前記
空間のうちピボットロッド38に関してブレード31と
反対側の空間には、加圧空気チューブ41が設けられて
おり、ピボットロッド38に関してブレード31側の空
間には、開放空気チューブ42が設けられている。加圧
空気チューブ41に圧縮空気を導入すると、フィンガー
37はブレード31の遊端部31aがロールRに接触す
るまでピボットロッド38を中心に回転し、ブレード3
1の遊端部31aをロールRの胴長全体に均等に加圧空
気圧に応じた接触圧力で接触させる。開放空気チューブ
42に圧縮空気を導入すると、フィンガー37はブレー
ド31の遊端部31aがロールRから離れるようにピボ
ットロッド38を中心に回転し、開放空気圧に見合う角
度まで角変位して停止する。なお、ベースプレート40
は、支持部材33にビスによって固定されている。この
ようにブレード保持手段32は、ブレード31の基端部
を保持するとともにブレード31の遊端部をロールRの
外周面に対して自在に近接/離反させることができる。
【0026】再び図1を参照して、支持部材33は、U
字状の軸直角断面形状を有する溝形鋼からなる部材であ
り、ロールRの回転軸線にほぼ平行に延びて形成されて
いる。また支持部材33の開口部は各ロールRの下部を
臨んで設けられており、支持部材33の一方の側壁部3
3aおよび他方の側壁部33bには、前記ブレード保持
手段32がロールRの軸線を含む鉛直仮想平面に関して
対称にそれぞれ設けられている。このように本実施例で
は、各ロールRに対して一対のブレード保持手段32お
よびブレード31が設けられているので、ロールRの回
転が正逆いずれの方向であっても、ロールRの回転方向
下流側で適正なブレード角度を形成しているいずれか一
方のブレード31によってロールRに付着した異物を除
去することができる。このためレバース圧延の全パスに
わたってロールRに付着した異物が確実に除去される。
また適正なブレード角度が形成されていない他方のブレ
ード31は、ほとんど異物除去に寄与することができな
いので、ブレード31の摩耗量が大きくなる高速冷間圧
延時には、前述のようにブレード保持手段32を操作し
て他方のブレード31をロールRから離反させ、他方の
ブレード31の摩耗量を低減させることができる。な
お、低速冷間圧延時には、ブレード31の摩耗量が小さ
いので、一対のブレード31をロールRに接触させたま
ま、異物除去を行ってもよい。
【0027】図5は図1に示す位置調整手段の構成を簡
略化して示す側面図であり、図6は図5に示す位置調整
手段の構成を簡略化して示す正面図である。位置調整手
段34の位置調整部材45は、L字状の軸直角断面を有
する山形鋼から成る部材であり、その一方の辺は前記支
持部材33の底部33dに固定されている。位置調整部
材45の他方の辺には、上下方向に延びる長孔49が形
成されており、長孔49には固定ボルト50が挿通され
ている。固定ボルト50は、後記連動手段77の連結部
材53に形成されているねじ孔51にねじ込まれ、位置
調整部材45と連結部材53とを固定する。なお、位置
調整部材45の他方の辺の下部には、受け部材52が設
けられている。位置調整部材45の下方には、間隔をあ
けてブラケット46が配置されており、ブラケット46
は連結部材53に固定されている。ブラケット46に
は、ねじ孔が形成されており、ねじ孔には位置調整ボル
ト47がねじ込まれている。支持部材33の位置調整を
行うときには、固定ボルト50を緩めて位置調整部材4
5を変位可能な状態にした後、位置調整ボルト47を回
転して受け部材52を介して位置調整部材45を昇降さ
せ、ブレード31が適正位置になるように位置調整部材
45の上下位置を調整する。その後、ロックナット48
で位置調整ボルト47の位置を固定し、さらに前記固定
ボルト50を締めて位置調整部材45を連結部材53に
固定する。このように位置調整手段34は、長孔49の
長さ相当分だけ支持部材33の上下位置を調整すること
ができるので、ブレード31が摩耗しても摩耗量に応じ
てブレード31を変位させ適正位置に調整することがで
きる。なお、前記上下位置調整量は、たとえば20mm
である。
【0028】図7は、図2に示す移動手段および揺動手
段の構成を簡略化して示す正面図である。前記移動手段
55は固定軸58と、移動部材56と、丸軸非循環式玉
転がり案内57(以後、直動玉軸受と略称する)とを含
む。固定軸58はロールRの軸線と平行な軸線を有して
おり、竪フレーム61に取付けられているフランジ59
によって両端を支持され、ボルト60によって竪フレー
ム61に固定されている。移動部材56は円筒状部材で
あり、その外周面には前記連結部材54が設けられてお
り、その内周面には直動玉軸受57が嵌合されている。
直動玉軸受57は、複数の鋼球62と、鋼球62を転動
自在に保持する保持器63と、移動部材56の内周面に
嵌合される外筒64とを含んで構成され、固定軸58の
外周面に嵌合されている。鋼球62は、固定軸58と外
筒64との間で転動することができるので、直動玉軸受
57は固定軸58の軸線に沿って移動部材56とともに
往復移動することができる。なお、移動手段55は、図
2に示すように固定軸58の一端部寄りと他端部寄りに
それぞれ設けられている。
【0029】前記揺動手段35は、揺動アーム67と、
揺動アーム67および前記移動部材56を連結する継手
部材66と、モータ軸70に設けられる偏心リング69
と、揺動アーム67および偏心リング69を連結するク
ランクアーム68とを含む。揺動アーム67は、ほぼ矩
形状の平板であり、その一端部には切欠きが形成されて
おり、他端部およびほぼ中央部にはピン孔が形成されて
いる。切欠きの形状は、終端が円形の鍵穴状であり、終
端部の方が始端部よりも幅広である。さらに切欠きの始
端部は曲線状に形成されている。揺動アーム67の他端
部に形成されているピン孔は、横フレーム74に取付け
られている基台72のピン孔と重ね合わされ、ピン73
によって揺動自在にピン結合される。このため揺動アー
ム67は、ピン73を支点として円弧運動をすることが
できる。
【0030】継手部材66は、一端部が円形の鍵穴状平
板であり、一端部の方が基端部よりも幅広である。継手
部材66の一端部は、前記揺動アーム67の切欠き部の
終端部に嵌合され、円周方向に角変位可能な継手を形成
する。一方、継手部材66の基端部は、前記移動部材5
6に取付けられる。このため前記継手は、前記揺動アー
ム67の円弧運動を継手部材66の往復直線運動に変換
することができる。なお、継手部材66と基台72と
は、ほぼ同一鉛直面内に存在するので、揺動アーム67
はほぼ垂直に立設される。
【0031】クランクアーム68は、ほぼ短冊状の平板
であり、その一端部には嵌合孔が形成されており、他端
部にはピン孔が形成されている。クランクアーム68の
一端部に形成されている嵌合孔には、偏心リング69が
円周方向に角変位可能に嵌合されており、偏心リング6
9にはモータ軸70がその軸線を偏心リング69の軸線
から偏心させて嵌合されている。また偏心リング69
は、キーによってモータ軸70に固定されているので、
モータ軸70の回転運動をクランクアーム68の往復運
動に変換することができる。クランクアーム68の他端
部に形成されているピン孔は、前記揺動アーム67のほ
ぼ中央部に形成されているピン孔と重ね合わされ、ピン
75によって揺動自在にピン結合される。移動手段55
の揺動は、揺動手段35によって次のようにして行われ
る。
【0032】揺動手段35のモータ71の回転運動は、
モータ軸70を介して偏心リング69を回転させる。偏
心リング69の回転運動は、クランクアーム68を往復
移動させ、この往復運動は揺動アーム67をピン73を
支点として円弧状に揺動させる。さらにこの円弧運動
は、継手部材66を介して移動部材56に伝えられ、移
動部材56を固定軸58に沿って往復移動させる。この
ようにモータ71の回転運動は、揺動手段35を介し
て、移動手段55を往復移動させ、移動部材56、連結
部材53、位置調整手段34、支持部材33、ブレード
保持手段32およびブレード31を一体的に揺動させ
る。なお前記移動手段55の移動量および移動速度は予
め定める適正値に設定される。これは移動量が小さすぎ
れば、固定式ブレードと同様にブレード31が偏摩耗し
て、異物除去むらが生じやすくなるからで、移動量が大
きすぎれば揺動手段35が大規模なものになり設備費が
増大するからである。また移動速度が大きすぎればブレ
ード31によってロールR表面に傷を付けるおそれがあ
るからであり、移動速度が小さすぎれば固定式ブレード
と同様に異物除去むらが生じやすくなるからである。本
実施例においては、前記移動手段55の移動量の設定値
は、たとえば15mmであり、移動速度の設定値は、た
とえば1.2m/minである。
【0033】再び図1〜図2を参照して、前述のように
支持部材33は各ロールRすなわち前記右形状検出ロー
ル5aおよびデフレクタロール4にそれぞれ配置されて
おり、各支持部材33には一対のブレード保持手段32
および一対のブレード31が設けられている。本実施例
においては、前記移動手段55の移動部材56には、右
形状検出ロール5aおよびデフレクタロール4に配置さ
れている各支持部材33を一体的に連動させる連動手段
77が設けられている。連動手段77は、前記連結部材
53と重心支持手段78とを含んで構成される。連結部
材53は各支持部材33を位置調整手段34を介して一
体的に連結して支持する部材であり、前記移動部材56
の外周面にリブ79を介して固定される。
【0034】図8は、図1に示す重心支持手段78の構
成を簡略化して示す斜視図である。図8、図1および図
2を参照して、重心支持手段78は固定部材82と、可
動部材83と、ローラ84とを含む。前記固定軸58の
一端部付近には、固定部材82が前記移動部材56より
も一端部寄りに、かつ移動部材56に近接して設けられ
ている。固定部材82の一端部には、軸孔が形成されて
おり、その軸孔には固定軸58が嵌合され、固定部材8
2と固定軸58とはキー85によってキー結合されてい
る。固定部材82の他端部には溝88が形成されてお
り、溝88には軸87が挿通されている。軸87にはロ
ーラ84が装着されており、ローラ84は軸87によっ
て回転自在に支持されている。ローラ84および軸87
の軸線は、固定軸58の軸線に対して直角である。
【0035】可動部材83は矩形平板状の部材であり、
その一端部は板表面に対して傾斜した仮想平面内で分断
された形状を有している。可動部材83は、異物除去時
の前記連結部材53の重心に設けられ、前記傾斜端面が
ローラ84に当接するように連結部材53にリブ86を
介して固定されている。これによって、可動部材83の
移動時には、ローラ84は可動部材83に追従して回転
するので、可動部材83は連結部材53とともにスムー
ズに揺動することができる。一方固定軸58の他端部付
近にも、前記固定軸58の一端部付近と全く同一構成の
固定部材82、可動部材83およびローラ84が設けら
れている。なお異物除去時の連結部材53の重心とは、
連結部材53に位置調整手段34、支持部材33、ブレ
ード保持手段32およびブレード31をすべて装着した
ときの全体の重心である。このように本実施例において
は、重心が支持された状態で異物除去が行われるので、
異物除去時の振動が大幅に低減される。このため異物が
効率的かつ確実に除去されるとともに、ロールの異物除
去装置30の故障発生率が大幅に低減される。また異物
除去時に揺動がスムーズに行われるので、異物除去むら
が確実に防止される。
【0036】図9は、ブレード保持手段32を作動させ
るための空気操作回路を示す配管系統図である。空気操
作回路90は、フィルタレギュレータ91と、電磁切換
弁92と、逆止弁付減圧弁93と、加圧空気配管94
と、開放空気配管95とを含む。フィルタレギュレータ
91は、圧縮空気をフィルタで浄化し、減圧弁で空気圧
力を予め定める圧力、たとえば3kg/cm2に設定し
て空気を供給配管96に供給する。電磁切換弁92は、
圧縮空気の経路を切換える弁であり、切換位置としてV
1位置とV2位置とを有している。V1位置は、供給配
管96と加圧空気配管94とを接続し、加圧空気チュー
ブ41を膨らませて、ブレード31をロールRに加圧接
触させる空気回路を形成する位置であり、V2位置は、
供給配管96と開放空気配管95とを接続し、開放空気
チューブ42を膨らませて、ブレード31をロールRか
ら離反させる空気回路を形成する位置である。
【0037】ブレード31をロールRに接触させる場合
には、電磁切換弁92の切換位置がV1位置に切換えら
れる。圧縮空気供給源97から供給された圧縮空気は、
フィルタレギュレータ91、供給配管96、電磁切換弁
92、逆止弁付減圧弁93、加圧空気配管94、バルブ
T1〜T4をこの順序で経由して加圧空気チューブ41
に導入され、ブレード31をロールRに加圧接触させ
る。なお逆止弁付減圧弁93では、加圧空気圧力が予め
定める圧力、たとえば0.1〜2kg/cm2に設定さ
れる。一方開放空気チューブ42中の圧縮空気は、バル
ブD1〜D4、開放空気配管95、電磁切換弁92を経
て排出される。なお前述のように形状検出ロール5aお
よびデフレクタロール4には、一対のブレード保持手段
32と一対のブレード31とがそれぞれ設けられている
ので、加圧空気チューブ41は合計4個配設されてい
る。本実施例では、これらの加圧空気チューブ41に対
する圧縮空気の導入をバルブT1〜T4の開閉操作によ
って自在な組合わせで行うことができる。すなわち、す
べての加圧空気チューブ41に同時に圧縮空気を導入す
ることも所望の加圧空気チューブ41を選択して圧縮空
気を導入することも自在に行うことができる。
【0038】ブレード31をロールRから離反させる場
合には、電磁切換弁92の切換位置がV2位置に切換え
られる。空気供給源97から供給された圧縮空気は、フ
ィルタレギュレータ91、供給配管96、電磁切換弁9
2、開放空気配管95、バルブD1〜D4をこの順序で
経由して開放空気チューブ42に導入され、ブレード3
1をロールRから離反させる。一方加圧空気チューブ4
1中の圧縮空気は、加圧空気配管94、逆止弁付減圧弁
93、電磁切換弁92を経て排出される。なお開放空気
チューブ42は加圧空気チューブ41と同様に合計4個
配設されており、開放空気チューブ42に対する圧縮空
気の導入は、加圧空気チューブ41の場合と同様にバル
ブD1〜D4の開閉操作によって自在な組合わせで行う
ことができる。
【0039】図10はロールの異物除去装置の動作を説
明するためのフローチャートである。レバース式20段
ゼンジミア圧延設備におけるロールの異物除去装置30
を作動させるに際しては、ブレード31の上下位置調整
および加圧空気圧力の設定などが事前に行われる。ブレ
ード31の上下位置調整は、前記位置調整手段34を用
いて行なわれる。ステップs1では、形状検出ロール5
aおよびデフレクタロール4が回転しているか否かが判
断される。この判断が否定であれば、冷間圧延が開始さ
れこれらのロールRが回転するまで待つ。この判断が肯
定であればステップs2に進む。ステップs2では、異
物除去が行われる。異物除去は、各ブレード31をすべ
てロールRに加圧接触させ、かつ各ブレード31を一体
的にロールRの軸線方向に沿って揺動させながら行われ
る。各ブレード31のロールRへの加圧接触は前記電磁
切換弁92の切換位置をV1位置に切換え、バルブD1
〜D4,T1〜T4をすべて開放し、加圧空気チューブ
41に圧縮空気を導入することによって行われる。ブレ
ード31の揺動は、前記揺動手段35のモータ71を回
転駆動させることによって行われる。なおブレード31
の揺動は、ロールRの傷付き防止のためにロールRの回
転中にのみ行われる。
【0040】ステップs3では、冷間圧延の圧延速度が
30m/min以上であるか否かが判断される。この判
断が否定であれば、ステップs2に戻りそのままの状態
で異物除去が継続される。この判断が肯定であればステ
ップs4に進む。ステップs4では、各ロールRに加圧
接触している一対のブレード31のうち一方のブレード
31をロールRから離反させる。この離反操作は次のよ
うにして行われる。
【0041】図9を参照して、異物除去中、たとえばデ
フレクタロール4において一対のブレード31のうち一
方のブレード31(図9において紙面の右側)のみをデ
フレクタロール4から離反させるには、デフレクタロー
ル4の他方のブレード31(図9において紙面の左側)
にかかわるバルブT2およびD2を閉鎖し、ブレード3
1をデフレクタロール4に加圧接触させた状態のまま保
持する。次に電磁切換弁92の切換位置をV2位置に切
換え、一方のブレード31にかかわる開放空気チューブ
42に圧縮空気を導入して、一方のブレード31をデフ
レクタロール4から離反させる。離反後、さらに一方の
ブレード31にかかわるバルブT1およびD1を閉鎖
し、ブレード31をデフレクタロール4から離反させた
状態のまま保持する。さらに次に電磁切換弁92の切換
位置をV1位置に切換え、前記バルブT2およびD2を
開放し、他方のブレード31にかかわる加圧空気チュー
ブ41に圧縮空気を導入して、他方のブレード31のデ
フレクタロール4に対する加圧接触を継続させる。また
形状検出ロール5aにおいても、同様にして一対のブレ
ード31のうち一方のブレード31のみを形状検出ロー
ル5aから離反させることができる。なおロールRから
離反させるブレード31としては、前述のようにロール
Rの回転方向下流側で適正角度が形成されていないブレ
ード31が選択される。このようにブレード31の摩耗
量が大きくなる高速冷間圧延時に一対のブレード31の
うち一方のブレード31をロールRから離反させること
によって、一方のブレード31の摩耗量が大幅に低減す
る。
【0042】ステップs5では、一方のブレード31を
ロールRから離反させた状態で異物除去が行われる。異
物除去は冷間圧延速度が高速であるほど良好に行われる
ので、冷間圧延速度が30m/min以上であるステッ
プs5においては、ブレード31が片方のみであっても
異物除去が確実に行われる。ステップs6では、再度冷
間圧延の圧延速度が30m/min以上であるか否かが
判断される。この判断が肯定であればステップs5に戻
り、そのままの状態で異物除去が継続される。この判断
が否定であればステップs7に進む。ステップs7で
は、一方のブレード31が再びロールRに加圧接触させ
られる。この接触操作は、前記デフレクタロール4の一
方のブレード31においては、電磁切換弁92の切換位
置をV1位置に保持したままバルブT1およびD1を開
放することによって行われる。なお、この接触操作は、
形状検出ロール5aの一方のブレード31においても同
様にして行われる。
【0043】ステップs8では、各ブレード31のロー
ルRからの離反ならびにブレード31の揺動停止が行わ
れる。これらの操作は、ロールRの傷付き防止のために
冷間圧延が終了し、ロールRの回転が停止する前に行わ
れる。各ブレード31のロールRからの離反は、前記電
磁切換弁92の切換位置をV2位置に切換え、開放空気
チューブ42に圧縮空気を導入することによって行わ
れ、ブレード31の揺動停止は、揺動手段35のモータ
71を停止することによって行われる。なおこのような
ロールの異物除去装置の動作は、レバース圧延のパス毎
に同様の方法で繰返して行われる。
【0044】さらに本実施例では、右形状検出ロール5
aおよびデフレクタロール4に対してロールの異物除去
装置30を適用した例を示しているけれども、左形状検
出ロール5bおよびデフレクタロール8に対しても全く
同様に本発明を実施することができる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ロールの
異物除去装置においてブレードはロールの外周面に適正
角度で弾発的に接触しロールの軸線にほぼ平行に延びて
取付けられているので、ロール表面上の異物をロール胴
長全体にわたって確実に掻取ることができる。またブレ
ード保持手段は、ブレードをロールの外周面に対して近
接/離反するように弾発的に付勢することができるの
で、ブレードのロールに対する近接/離反動作を自在に
切換えることができる。さらに移動手段および揺動手段
はブレードをロールに接触した状態で揺動させることが
できるので、ブレードの偏摩耗およびそれに基づく異物
除去むらが解消され、ロール表面の異物が効率的、かつ
確実に除去される。このためロール表面の付着異物に起
因する金属帯表面の押込疵の発生が防止され、金属帯の
表面品質および製造歩留りが大幅に向上する。
【0046】また本発明によれば、ロールの異物除去装
置はレバース式圧延設備のロールに配置されており、支
持部材に設けられている一対のブレード保持手段および
ブレードによって、ロールの回転が正逆いずれの方向で
あっても、ロールの回転方向下流側で適正角度を形成し
ているいずれか一方のブレードによって、ロールに付着
した異物の除去を効率的かつ確実に行うことができる。
このためロールの異物除去装置はレバース圧延の全パス
にわたってロールに付着した異物を除去することができ
る。またブレード保持手段は、ブレードのロールに対す
る近接/離反を自在に切換えることができるので、ロー
ルの高速回転時にロールの回転方向下流側で適正角度を
形成していないいずれか一方のブレードをロールから離
反して、そのブレードの摩耗量を低減することができ
る。このためブレードの寿命が大幅に向上する。
【0047】また本発明によれば、前記移動手段には隣
接する複数のロールにそれぞれ配置されている複数の支
持部材を一体的に連動させる連動手段が設けられてい
る。これによって移動手段を各ロール毎にそれぞれ設け
なくてもよいので、ロールの異物除去装置をコンパクト
に構成することが可能となり、スペースの有効利用を図
ることができる。また狭い空間で1つの操作で複数のロ
ールの異物を効率的に除去することができる。
【0048】また本発明によれば、異物除去時における
連結部材の重心が重心支持手段によって揺動可能に支持
された状態で異物除去が行われるので、異物除去時の振
動が大幅に低減される。これによって異物が効率的かつ
確実に除去されるとともにロールの異物除去装置の故障
発生率が大幅に低減される。このため金属帯圧延設備の
停止時間が短縮され、稼働率が大幅に向上する。
【0049】また本発明によれば、形状検出ロールまた
はデフレクタロールの付着異物は異物除去装置によって
確実に除去されるので、金属帯表面の押込疵の発生が確
実に防止され、さらにこれらロールの耐用性が大幅に向
上する。このため金属帯の表面品質および製造歩留りが
大幅に向上するとともに、これらロールの交換回数が減
少し、金属帯圧延設備の稼働率が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるロールの異物除去装置
の構成を簡略化して示す側面図である。
【図2】図1に示すロールの異物除去装置の構成を簡略
化して示す正面図である。
【図3】図1に示すブレードのロールに対する取付状態
を示す斜視図である。
【図4】図1に示すブレード保持手段の構成を簡略化し
て示す側面図である。
【図5】図1に示す位置調整手段の構成を簡略化して示
す側面図である。
【図6】図5に示す位置調整手段の構成を簡略化して示
す正面図である。
【図7】図2に示す移動手段および揺動手段の構成を簡
略化して示す正面図である。
【図8】図1に示す重心支持手段の構成を簡略化して示
す斜視図である。
【図9】ブレード保持手段を作動させるための空気操作
回路を示す配管系統図である。
【図10】ロールの異物除去装置の動作を説明するため
のフローチャートである。
【図11】従来からのレバース式20段ゼンジミア圧延
設備の構成を簡略化して示す系統図である。
【図12】カウンタウェイト式異物除去装置の構成を簡
略化して示す側面図である。
【図13】実公昭63−50005号公報に開示されて
いる先行技術による異物除去装置の構成を簡略化して示
す側面図である。
【符号の説明】
4 デフレクタロール 5a 右形状検出ロール 10 金属帯 30 ロールの異物除去装置 31 ブレード 32 ブレード保持手段 33 支持部材 34 位置調整手段 35 揺動手段 53 連結部材 55 移動手段 77 連動手段 78 重心支持手段 66 継手部材 67 揺動アーム

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め定める通板方向に走行する金属帯に
    加圧接触して、回転軸線まわりに回転駆動されるロール
    の外周面に、遊端部が弾発的に接触し、この遊端部とロ
    ールの外周面との接触位置における接線に対してロール
    の回転方向下流側で予め定める角度を成して前記ロール
    の回転軸線にほぼ平行に延びる薄板状のブレードと、 前記ブレードの基端部付近が取付けられ、このブレード
    を、少なくとも前記遊端部がロールの外周面に近接/離
    反する方向に弾発的に付勢するブレード保持手段と、 ブレード保持手段を支持し、前記ロールの回転軸線にほ
    ぼ平行に延びる支持部材と、 支持部材をロールに近接/離反する方向に変位させて、
    ブレードのロールに対する位置を調整する位置調整手段
    と、 位置調整手段をロールの軸線方向に沿って往復移動させ
    る移動手段と、 移動手段をロールの軸線に沿って予め定める移動量およ
    び移動速度で往復移動させる揺動手段とを含むことを特
    徴とする金属帯圧延設備におけるロールの異物除去装
    置。
  2. 【請求項2】 前記ロールはレバース型圧延設備に設け
    られ、前記支持部材には、ロールの軸線を含む鉛直な仮
    想平面に関して対称に一対のブレード保持手段が設けら
    れることを特徴とする請求項1記載の金属帯圧延設備に
    おけるロールの異物除去装置。
  3. 【請求項3】 前記支持部材は隣接する複数のロールに
    それぞれ配置され、前記移動手段には、複数の支持部材
    を一体的に連動させる連動手段が設けられることを特徴
    とする請求項1または2記載の金属帯圧延設備における
    ロールの異物除去装置。
  4. 【請求項4】 前記連動手段は、 複数の支持部材を位置調整手段を介して一体的に連結し
    て揺動可能に支持する連結部材と、 異物除去時における連結部材の重心を揺動可能に支持す
    る重心支持手段とを含むことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の金属帯圧延設備におけるロールの異
    物除去装置。
  5. 【請求項5】 前記ロールは、金属帯の形状を検出する
    形状検出ロールまたはほぼ水平に通板される金属帯を巻
    き掛けて角度を変えて走行させるデフレクタロールであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金
    属帯圧延設備におけるロールの異物除去装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100767404B1 (ko) * 2001-06-27 2007-10-17 주식회사 포스코 롤 표면 이물질제거장치
JP2016522746A (ja) * 2013-05-27 2016-08-04 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH ロール表面をコンディショニングする圧延装置および方法

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