JPH09120176A - トナー用樹脂組成物及びトナー - Google Patents

トナー用樹脂組成物及びトナー

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JPH09120176A
JPH09120176A JP27886295A JP27886295A JPH09120176A JP H09120176 A JPH09120176 A JP H09120176A JP 27886295 A JP27886295 A JP 27886295A JP 27886295 A JP27886295 A JP 27886295A JP H09120176 A JPH09120176 A JP H09120176A
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JP
Japan
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toner
resin composition
weight
vinyl
phase
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Application number
JP27886295A
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English (en)
Inventor
Toru Takahashi
徹 高橋
Kazuhiro Noguchi
和裕 野口
Hiroaki Takehara
寛明 竹原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐オフセット性、低温定着性及び耐ブロッキン
グ性が優れ、特に定着温度域が広く、高速型や小型の電
子複写機を用いて複写する場合でも、十分に安定した画
像の得られるトナー用樹脂組成物及びそれを用いたトナ
ーを提供する。 【解決手段】スチレン系単量体を主成分とする低分子量
のビニル系共重合体(L)からなるマトリックス相と、
このマトリックス相の中に分散された(メタ)アクリル
酸エステル単量体を主成分とする高分子量のビニル系共
重合体(H)からなるドメイン相から形成されるビニル
系樹脂、ならびに脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコール
及びポリエステル樹脂の少なくとも一種が含有されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トナー用樹脂組成
物及びそれを用いたトナーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真等において、静電荷
像を現像する方法として乾式現像方式が多用されてい
る。この乾式現像方式では、バインダーとなるトナー用
樹脂にカーボンブラック等の着色剤やその他の添加剤を
含有させた微粉末に、鉄粉、ガラスビーズ等などのキャ
リアを混合した摩擦帯電性のトナー(現像剤)が用いら
れている。このトナーを用いて複写物を得るには、通
常、感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に摩擦
帯電性のトナーを電気的に付着させて現像し、得られた
トナー像を用紙等のシート上に転写した後、トナーに対
して離型性を有する熱圧ローラーで定着させて永久可視
像とする。
【0003】この種のトナーには、主に、耐オフセット
性(定着用の熱圧ローラーにトナーが付着し、これが用
紙を汚さないこと)、低温定着性(低温でトナーが用紙
に強固に付着すること)、耐ブロッキング性(トナー粒
子が凝集しないこと)、画像安定性(帯電量の変化がな
く、画像濃度が均一であること)に優れたものが要求さ
れると共に、さらに、トナー製造のために、粉砕性の良
好なトナー用樹脂組成物が要求される。
【0004】上記低温定着性の観点から、トナーの主成
分であるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合
体のガラス転移点を下げるために、トナーのポリエス
テル、ポリウレタン、ポリアミド等の結晶性樹脂を添加
する、ワックス等の低融点化合物を添加する、長鎖
アルコール、長鎖脂肪酸、脂肪族アミド等の低分子結晶
化合物を添加する、などの方法が検討されているが、い
ずれの方法も、耐ブロッキング性が十分といえず、改善
が求められている。
【0005】さらに、上記トナーの諸性能を改善するた
めに、例えば、特開平4−366176号公報には、マ
トリックス相と、このマトリックス相の中に分散させた
ドメイン相とで形成されるトナー用樹脂組成物及びそれ
を用いたトナーが提案されている。しかしながら、この
ようなマトリックス相とドメイン相とからなるトナー
は、耐オフセット性、低温定着性及び耐ブロッキング性
が良好ではあるが、近年需要の伸びている高速型や小型
の電子複写機を用いて複写する場合には、必ずしも、上
記性能が十分とはいえず、さらに定着温度域の広いトナ
ーが要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐オフセッ
ト性、低温定着性及び耐ブロッキング性が優れ、特に定
着温度域が広く、高速型や小型の電子複写機を用いて複
写する場合でも、十分に安定した画像の得られるトナー
用樹脂組成物及びそれを用いたトナーを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のトナー用樹脂組
成物は、スチレン系単量体を主成分とする低分子量のビ
ニル系共重合体(L)からなるマトリックス相と、この
マトリックス相の中に分散された(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体を主成分とする高分子量のビニル系共重合
体(H)からなるドメイン相から形成されるビニル系樹
脂ならびに脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコール及びポ
リエステル樹脂の少なくとも一種が含有されていること
を特徴とするものである。
【0008】本発明のトナー用樹脂組成物には、ビニル
系樹脂ならびに脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコール及
びポリエステル樹脂の少なくとも一種が含有される。上
記ビニル系樹脂は、低分子量のビニル系共重合体(L)
からなるマトリックス相と、このマトリックス相の中に
分散された高分子量のビニル系共重合体(H)からなる
ドメイン相から形成される。
【0009】上記マトリックス相を形成する低分子量の
ビニル系共重合体(L)としては、重量平均分子量4万
以下、ガラス転移点50〜100℃が好ましい。このビ
ニル系共重合体(L)は、硬質で脆い性質を有し、トナ
ーの粉砕性や耐ブロッキング性を一層改善する効果があ
り、上記ビニル系樹脂における割合としては、60〜9
0重量%が好ましい。
【0010】上記マトリックス相を形成する低分子量の
ビニル系共重合体(L)は、スチレン系単量体を主成分
とする。スチレン系単量体としては、例えば、スチレ
ン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシル
スチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシ
ルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチ
レン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン
等が挙げられる。
【0011】一方、上記ドメイン相を形成する高分子量
のビニル系共重合体(H)としては、重量平均分子量が
10万以上、ガラス転移点が50℃以上が好ましく、後
述の脂肪酸含有ワックスのグラフト反応が可能な水酸
基、グリシジル基等の官能基を有するモノマーが共重合
されているものが好ましい。また、このビニル系共重合
体(H)は、軟質で粘り強い性質を有し、耐オフセット
性に大きな影響を与え、上記ビニル系樹脂における割合
は、60〜90重量%が好ましい。
【0012】上記ビニル系共重合体(H)は、(メタ)
アクリル酸エステル単量体を主成分とする。(メタ)ア
クリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n
−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル等の(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの他、アクリル酸2−
クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロ
ルアクリル酸メチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、ビス
グリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートな
どが挙げられる。
【0013】上記(メタ)アクリル酸エステル単量体に
は、アクリロニトリル、マレイン酸エステル、塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテルなどが添加され
てもよい。
【0014】上記脂肪酸含有ワックスとしては、低分子
量ポリオレフィンワックスを酸素又は酸素含有ガス(例
えば空気)で酸化したり、アクリル酸とエチレンとの共
重合によって容易に得ることができる。上記脂肪酸含有
ワックスの市販品としては、例えば、三井石油化学社製
「三井ハイワックス−1105A、2203A」、アラ
イドシグナル社製「ACポリエチレン−AC6702、
AC656、AC5120」等が挙げられる。上記脂肪
酸含有ワックスとしては、遊離脂肪酸を含有するカルナ
ウバワックスウ、木ろう、みつろう、ライスワックス等
の天然ワックスも使用可能である。
【0015】上記脂肪酸含有ワックスの融点は、耐ブロ
ッキング性を考慮して50℃以上が好ましい。また、脂
肪酸含有ワックスの酸価は、5〜100が好ましい。上
記脂肪酸含有ワックスの酸価は、5未満となると十分な
グラフト反応が起こらず、脂肪酸含有ワックスの分散性
が悪くなり、ブリードアウトが起こり耐ブロッキング性
が低下する。また、酸価が100を超えると、グラフト
反応が進行し過ぎて良好な低温定着性が得られなかった
り、耐ブロッキング性が悪化する。
【0016】本発明のトナー樹脂組成物中、上記脂肪酸
含有ワックスの使用量は、少なくなると低温定着性に効
果がなく、多くなるとブリードアウトが発生して耐ブロ
ッキング性が悪化するので、前記ビニル系樹脂100重
量部に対して、5〜30重量部が好ましい。
【0017】上記長鎖アルコールとしては、直鎖状のも
のが最適であるが、一部に分岐構造を有するものであっ
てもよく、このような直鎖状の長鎖アルコールとして
は、例えば、1−トリデカノール(C13,融点33
℃)、1−テトラデカノール(C14,融点38℃)、1
−ペンタデカノール(C15,融点45℃)、1−ヘキサ
デカノール(C16,融点45℃)、1−ヘプタデカノー
ル(C17,融点57℃)、1−オクタデカノール〔ステ
アリルアルコール〕(C18,融点64℃)、1−ノナデ
カノール(C19,融点60℃)、1−アイコサノール
(C20,融点65℃)、1−ドコサノール〔ベヘニルア
ルコール〕(C22,融点70℃)、1−ヘキサコサノー
ル(C26,融点80℃)等が挙げられ、これらは単独で
用いられても二種以上が併用されてもよい。また、耐ブ
ロッキング性を考慮すると融点50℃以上のものが好ま
しい。
【0018】本発明のトナー樹脂組成物中、上記長鎖ア
ルコールの使用量は、少なくなると低温定着性に効果が
なく、多くなるとブリードアウトが発生して耐ブロッキ
ング性が悪化するので、前記ビニル系樹脂100重量部
に対して、5〜20重量部が好ましい。
【0019】上記ポリエステル樹脂は下記ジオール成分
と下記酸成分から合成されるものが好ましい。ポリエス
テル樹脂を構成するジオール成分としては、例えば、エ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコー
ル、2−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン等が挙げられる。
【0020】また、上記ポリエステル樹脂を構成する酸
成分としては、例えば、フマール酸、マレイン酸、フタ
ル酸、イタコン酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン
酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0021】上記ポリエステル樹脂としては、融点50
〜100℃のものが好ましい。50℃より低くくなる
と、耐ブロッキング性が悪化し、100℃を超えると定
着性が十分ではなくなる。
【0022】上記ポリエステル樹脂の酸価及び水酸価は
5〜100が好ましい。酸価及び水酸価が5未満では、
ドメイン相の反応点が少ないために、ポリエステル樹脂
の十分な分散性が得られず、マトリックス/ドメインと
相分離を起こして、耐ブロッキング性が悪化する。ま
た、酸価及び水酸価が100を超えると、ポリエステル
樹脂自身の架橋反応等が起こり、流動性が悪くなり低温
定着性が悪くなる。
【0023】本発明のトナー樹脂組成物中、上記ポリエ
ステル樹脂の使用量は、少なくなると低温定着性に効果
がなく、多くなるとブリードアウトが発生して耐ブロッ
キング性が悪化するので、前記ビニル系樹脂100重量
部に対して、5〜30重量部が好ましい。
【0024】尚、上記脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコ
ール及びポリエステル樹脂を以下グラフト成分という。
【0025】上記グラフト成分の少なくとも一部がドメ
イン相を構成するビニル系共重合体(H)にグラフトさ
れているのが好ましく、そのためには、ビニル系共重合
体(H)にグラフト成分とグラフト反応が可能な官能基
を有するモノマーが共重合されていることが好ましい。
【0026】上記脂肪酸含有ワックスとグラフト反応が
可能な官能基としては、水酸基、グリシジル基等が挙げ
られ、このような官能基を有するモノマーとしては、例
えば、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グ
リシジル等が挙げられる。上記長鎖アルコールとグラフ
ト反応が可能な官能基としては、カルボキシル基、グリ
シジル基等が挙げられ、このような官能基を有するモノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メタクリ
ル酸グリシジル等が挙げられる。上記ポリエステル樹脂
とグラフト反応が可能な官能基としては、水酸基、カル
ボキシル基、グリシジル基等が挙げられ、このような官
能基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アク
リル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸
グリシジル等が挙げられる。
【0027】上記ビニル系共重合体(H)への上記グラ
フト成分の添加量は、ビニル系共重合体(H)100重
量部に対して5〜30重量部が好ましい。このグラフト
成分の添加量は、5重量部未満では、十分なグラフト反
応が起こらず、そのためグラフトされたグラフト成分が
未反応のグラフト成分の相溶化剤として有効に働かず、
グラフト成分の相分離が起こり、耐オフセット性、耐ブ
ロッキング性が悪化する。また、添加量は30重量部を
超えると、グラフト反応が進行しすぎて、グラフト成分
の低温でのシャープな流動性が失われて、ビニル系共重
合体(H)の溶融粘度が高くなり、低温定着性が悪化し
たり、可塑化が起こり耐ブロッキング性も悪化する。
【0028】本発明のトナー用樹脂組成物は、ビニル系
共重合体(L)とビニル系共重合体(H)を構成する成
分を有機溶剤を用いて溶解混合した後、グラフト成分を
添加し、その一部をドメインを構成するビニル系共重合
体(H)にグラフト反応させることにより容易に得るこ
とができる。このグラフト反応において、p−トルエン
スルホン酸等の触媒を用いてもよい。
【0029】上記トナー用樹脂組成物中、ビニル系共重
合体(L)とビニル系共重合体(H)の分散状態の制御
は、両共重合体の構成成分の組成を適当に設定すること
により容易に調節が可能である。また、グラフト成分は
その一部がビニル系共重合体(H)にグラフトされてお
り、このグラフトされたグラフト成分が相溶剤化剤的な
働きをするため、未グラフトのグラフト成分が、ドメイ
ン相及びドメイン相/マトリックス相の界面に分散され
た状態で局在化している。これはビニル系樹脂へグラフ
ト成分の相溶性が悪いために起こると考えられる。
【0030】上記ビニル系共重合体(L)とビニル系共
重合体(H)の両成分は、分子レベルで均一に相溶化す
ると均一系の相溶構造(単相構造)となり、両成分が均
一化されていき、またグラフト成分がビニル系樹脂に分
散した状態になるため、トナーとして良好な低温定着
性、耐オフセット性、耐ブロッキング性及び粉砕性が得
られなくなる。これに対して、上記両成分が微細に相分
離するとドメイン構造を形成し、グラフト成分はドメイ
ン相及びドメイン相/マトリックス相の界面に局在化し
た状態となり、ビニル系樹脂の特徴とグラフト成分の高
い流動性を効果的に発揮させることができる。このよう
な構造は、例えば、ウルトラミクロトーム切片の走査型
電子顕微鏡観察等によって容易に観察することができ
る。
【0031】上記ドメイン粒子の大きさは、大きくなる
と得られるトナー粒子に含まれるドメイン粒子の数にば
らつきを生じ、トナーの性能に悪影響を及ぼすので、1
μm以下が好ましい。
【0032】本発明のトナー用樹脂組成物を用いてトナ
ーを得るには、該樹脂組成物に、必要に応じて、着色
剤、帯電制御剤、その他従来から使用されているトナー
用添加剤を配合し、ロールミル、ニーダー、押出機など
で溶融混練した後、冷却して粉砕する方法が採用されて
いる。尚、粉砕されたトナーには、流動性を向上させる
ために、疎水性シリカ等を後添加してもよい。
【0033】上記着色剤としては、カーボンブラック、
クロームイエロー、アニリンブルー等が挙げられる。ま
た、帯電制御剤としてニグロシン、スピロンブラック等
の染料やフタロシアニン系顔料など挙げられる。また、
複写機の定着用の熱圧ロールに対して剥離性のある、ポ
リプロピレンワックス、低分子量のポリエチレン等が添
加されてもよい。
【0034】(作用)マトリックス相とドメイン相で形
成されるトナー用樹脂組成物を用いたトナーは、先行技
術の特開平4−366176号公報に開示されているよ
うに、耐オフセット性を有するドメイン相の機能と定着
性及び耐ブロッキング性を有するマトリックス相の機能
が、平均化されることなく発現されるために、一定のレ
ベルの良好な耐オフセット性、低温定着性及び耐ブロッ
キング性を有する。本発明のトナー用樹脂組成物では、
さらに、定着性能を大きく向上させるグラフト成分がド
メイン相及びドメイン相/マトリックス相の界面に局在
化しているために、耐ブロッキング性の低下を起こすこ
となく、低温定着性能の優れたトナーを提供する。
【0035】上記グラフト成分は、ビニル系樹脂と相溶
性が悪いため、単に混合しただけでは、ビニル系樹脂か
らブリードアウト等が起こり、耐オフセット性及び耐ブ
ロッキング性が悪化する。そこで、グラフト成分の一部
をビニル系樹脂にグラフトすることによって、グラフト
成分の分散性を向上させる試みがなされているが、グラ
フトによってビニル系樹脂のガラス転移点が低下するた
め、耐ブロッキング性に問題点を有する。
【0036】本発明のトナー樹脂組成物では、ドメイン
相にポリエステル樹脂の一部がグラフトされる場合は、
脂肪酸含有ワックスは、ドメイン相及びドメイン−マト
リックス界面に局在化して分散された状態になる。従っ
て、マトリックス相に存在する脂肪酸含有ワックスは少
なく、マトリックス相の可塑化が起こり難くなり、耐ブ
ロッキング性が向上する。また、ドメイン相に長鎖アル
コールの一部がグラフトされる場合は、長鎖アルコール
は、ドメイン相及びドメイン−マトリックス界面に局在
化して分散された状態になる。従って、マトリックス相
に存在する長鎖アルコールは少なく、マトリックス相の
可塑化が起こり難くなり、耐ブロッキング性が向上す
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0038】(実施例1) 〔ドメイン相を構成するビニル系共重合体(H)の調
製〕容量5Lの丸型反応器中に、脱イオン水2,000
重量部、アラビアゴム18重量部及びリグニンスルホン
酸18重量部を入れウォーターバスにセットした。これ
に、板状の羽根を備えた攪拌装置、ジムロート冷却管、
滴下装置及び窒素導入管を取り付け、窒素バブリング
中、80℃に昇温した。系内が均一な状態になるのをま
って、窒素バブリングを窒素気流に切替え、アクリル酸
n−ブチル120重量部、メタクリル酸メチル445重
量部、メタクリル酸グリシジル60重量部及び過酸化ベ
ンゾイル2.75重量部よりなるモノマー混合溶液をゆ
っくりと滴下し、懸濁重合を行った。18時間重合反応
後反応生成物を取り出し、繰り返し水洗濾過した後風乾
し、アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル−メタ
クリル酸グリシジル共重合体(重量平均分子量100
万、ガラス転移点59℃)を調製した。
【0039】〔マトリックス相を構成するビニル系共重
合体(L)及びトナー用樹脂組成物の調製〕容量1Lの
丸型反応器中に、上記ビニル共重合体(H)20重量
部、酸化ポリエチレンワックス(「ACポリエチレンA
C−6702」、融点85℃、酸価15)15重量部及
びトルエン150重量部を入れ、オイルバスにセットし
た。これに、攪拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び温
度測定用熱電対を取り付け、窒素気流中、リフラックス
温度に昇温してビニル共重合体(H)を溶解した。次い
で、p−トルエンスルホン酸0.5重量部を添加し、酸
化ポリエチレンワックスの一部をビニル系共重合体
(H)にグラフトさせた。さらに、過酸化ベンゾイル6
重量部をスチレンモノマー70重量部に溶解し、このモ
ノマー溶液を反応器内に2時間かけて滴下し、ポリマー
存在下で共存重合反応を行った。反応終了後ポリマー溶
液から溶媒を除去し、定着助剤を含有するトナー用樹脂
組成物を調製した。尚、上記モノマー溶液の、トルエン
150重量部中における単独重合体の重量平均分子量は
7,500、ガラス転移点は65℃であった。
【0040】上記トナー用樹脂組成物を電子顕微鏡で観
察すると、マトリックス相(ポリスチレン)と、このマ
トリックス相の中に分散された約1μmの大きさのドメ
イン相(アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル−
メタクリル酸グリシジル共重合体)とより形成される不
均一系のミクロ相分離構造と、そのドメイン相の中とド
メイン相/マトリックス相の界面に存在している約0.
1μmの酸化ポリエチレンワックス相が確認された。
【0041】〔トナーの調製〕上記トナー用樹脂組成物
100重量部、カーボンブラック(三菱化成社製「MA
−100」)6重量部、スピロンブラックTRH(保土
ヶ谷化学社製)1重量部及びポリプロピレンワックス
(三洋化成社製「ビスコール660P」)3重量部をニ
ーダーで溶融混練し冷却した後、ジェットミルで粉砕・
分級して平均粒径10μmのトナー粉末を得た。さら
に、このトナー粉末に疎水性シリカ(日本アエロジル社
製「R−972」)0.3重量部を添加してトナーを作
製した。
【0042】〔トナーの性能評価〕 (1)保存性:トナー10gを100mlサンプルビン
にとり、50℃の高恒温槽中に48時間放置した後、目
視によりケーキング状態を観察したところ、トナーの凝
集は全く認められなかった。 (2)定着温度:トナー4重量部と粒径約50〜80μ
mの鉄粉キャリヤー96重量部を混合して現像剤を調製
し、定着温度域を測定した結果、120〜200℃で、
定着性が良好であった。尚、定着温度域の測定は、電子
複写機の定着用の熱圧ロールの設定温度を段階的に変え
て複写を行い、オフセット(二重画像)の発生がなく、
この複写画像をタイプライター用砂消しゴムで摩擦した
時、複写画像の濃度の低下が10%未満である場合を定
着良好と判定し、そのような温度範囲を求めた。電子複
写機としては、コニカ社製「U−BIX4160AF」
を定着の熱ローラーの温度を120から200℃まで変
えられるように改造したものを使用した。
【0043】(実施例2)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル430重量部、アクリル酸n−
ブチル150重量部及びメタクリル酸ヒドロキシエチル
45重量部から、実施例1と同様にして、アクリル酸n
−ブチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸ヒドロキ
シエチル共重合体(重量平均分子量100万、ガラス転
移点63℃)を得た後、実施例1と同様にしてトナー用
樹脂組成物を調製した。上記トナー用樹脂組成物を電子
顕微鏡で観察したところ、マトリックス相(ポリスチレ
ン)と、このマトリックス相中に分散された約1μmの
大きさのドメイン相(メタクリル酸メチル−アクリル酸
n−ブチル−メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体)
とから形成された不均一系のミクロ相分離構造と、その
ドメイン相の中とドメイン相/マトリックス相の界面に
存在する約0.1μmの酸化ポリエチレンワックスの相
が確認された。
【0044】次いで、このトナー用樹脂組成物を使用し
て、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実施
例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120〜
200℃で定着性が良好であり、トナーに凝集は全く認
められなかった。
【0045】(実施例3)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル77重量部及びアクリル酸n−
ブチル23重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様
にして、トナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用
樹脂組成物を電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と
同様なドメイン構造を有しており、同時にマトリックス
相に1〜5μm程度の酸化ポリエチレンワックスの大き
な相が存在していた。次いで、このトナー用樹脂組成物
を使用して、実施例1と同様にして、トナーを作製した
後、実施例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域
120〜160℃であり、50℃でトナーに凝集が見ら
れ耐ブロキッング性は悪く、オフセットの発生温度も低
かった。
【0046】(比較例1)酸化ポリエチレンを全く添加
しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、トナー
用樹脂組成物を調製した。上記トナー用樹脂組成物を電
子顕微鏡で観察したところ、マトリックス相(ポリスチ
レン)と、このマトリックス相中に分散された約1μm
の大きさのドメイン相(メタクリル酸メチル−アクリル
酸n−ブチル−メタクリル酸グリシジル共重合体)とか
ら形成された不均一系のミクロ相分離構造を有してい
た。次いで、このトナー用樹脂組成物を使用して、実施
例1と同様にして、トナーを作製した後、実施例1と同
様な評価を行ったところ、定着温度域150〜200℃
で高かったが、トナーに凝集は全く認められなかった。
【0047】(比較例2)ビニル系共重合体(L)とし
て、スチレン95重量部及びメタクリル酸グリシジル5
重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ト
ナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用樹脂組成物
を電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様なドメ
イン構造を有しており、酸化ポリエチレンワックスはマ
トリックス相の中に分散していた。次いで、このトナー
用樹脂組成物を使用して、実施例1と同様にして、トナ
ーを作製した後、実施例1と同様な評価を行ったとこ
ろ、ビニル系共重合体(L)に酸化ポリエチレンワック
スが一部分グラフトするので、定着温度域120〜20
0℃と良好であったが、45℃でトナーに大きな凝集が
見られ耐ブロキッング性は悪かった。
【0048】(実施例4)容量1Lの丸型反応器中に、
実施例1のビニル共重合体(H)20重量部、ベヘニル
アルコール15重量部及びトルエン150重量部を入
れ、オイルバスにセットした。これに、攪拌装置、還流
冷却器、窒素導入管及び温度測定用熱電対を取り付け、
窒素気流中、リフラックス温度に昇温してポリマーを溶
解した。次いで、p−トルエンスルホン酸0.5重量部
を添加し、ベヘニルアルコールの一部をビニル系共重合
体(H)にグラフトさせた。さらに、過酸化ベンゾイル
6重量部をスチレンモノマー70重量部に溶解し、この
モノマー溶液を反応器内に2時間かけて滴下し、ポリマ
ー存在下で共存重合反応を行った。反応終了後ポリマー
溶液から溶媒を除去し、定着助剤を含有するトナー用樹
脂組成物を調製した。尚、上記モノマー溶液の、トルエ
ン150重量部中における重合体の重量平均分子量は
7,500、ガラス転移点は65℃であった。
【0049】上記トナー用樹脂組成物を電子顕微鏡で観
察すると、マトリックス相(ポリスチレン)と、このマ
トリックス相の中に分散された約1μmの大きさのドメ
イン相(アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル−
メタクリル酸グリシジル共重合体)とより形成される不
均一系のミクロ相分離構造と、そのドメイン相の中とド
メイン相/マトリックス相の界面に存在している約0.
1μmのベヘニルアルコール相が確認された。
【0050】次いで、このトナー用樹脂組成物を使用し
て、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実施
例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120〜
200℃で定着性が良好であり、トナーには凝集は全く
認められなかった。
【0051】(実施例5)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル430重量部、アクリル酸n−
ブチル150重量部及びメタクリル酸ヒドロキシエチル
45重量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にし
て、トナー用樹脂組成物を調製した。
【0052】上記トナー用樹脂組成物を電子顕微鏡で観
察したところ、マトリックス相(ポリスチレン)と、こ
のマトリックス相中に分散された約1μmの大きさのド
メイン相(メタクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル
−メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体)とから形成
された不均一系のミクロ相分離構造と、そのドメイン相
の中とドメイン相/マトリックス相の界面に存在する約
0.1μmのベヘニルアルコールの相が確認された。
【0053】次いで、このトナー用樹脂組成物を使用し
て、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実施
例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120〜
200℃で定着性が良好であり、トナーに凝集は全く認
められなかった。
【0054】(実施例6)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル77重量部及びアクリル酸n−
ブチル23重量部を用いたこと以外は、実施例4と同様
にして、トナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用
樹脂組成物を電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と
同様なドメイン構造を有しており、同時にマトリックス
相に1〜4μm程度のベヘニルアルコールの大きな相が
存在していた。次いで、このトナー用樹脂組成物を使用
して、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実
施例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120
〜200℃で良好であったが、50℃でトナーに凝集が
見られ耐ブロキッング性は悪かった。
【0055】(比較例3)ベヘニルアルコールを全く添
加しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、トナ
ー用樹脂組成物を調製した。上記トナー用樹脂組成物を
電子顕微鏡で観察したところ、マトリックス相(ポリス
チレン)と、このマトリックス相中に分散された約1μ
mの大きさのドメイン相(メタクリル酸メチル−アクリ
ル酸n−ブチル−メタクリル酸グリシジル共重合体)と
から形成された不均一系のミクロ相分離構造を有してい
た。次いで、このトナー用樹脂組成物を使用して、実施
例1と同様にして、トナーを作製した後、実施例1と同
様な評価を行ったところ、定着温度域150〜200℃
で高かったが、トナーに凝集は全く認められなかった。
【0056】(比較例4)ビニル系共重合体(L)とし
て、スチレン95重量部及びメタクリル酸グリシジル5
重量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、ト
ナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用樹脂組成物
を電子顕微鏡で観察したところ、ビニル系共重合体に一
部のベヘニルアルコールがグラフトするため、実施例1
と同様なドメイン構造を有しており、ベヘニルアルコー
ルがマトリックス相の中に分散していた。次いで、この
トナー用樹脂組成物を使用して、実施例1と同様にし
て、トナーを作製した後、実施例1と同様な評価を行っ
たところ、定着温度域120〜200℃と良好であった
が、45℃でトナーに大きな凝集が見られ耐ブロキッン
グ性が悪かった。
【0057】(実施例7)容量1Lの丸型反応器中に、
実施例1のビニル共重合体(H)20重量部、1,6−
ヘキサンジオールとセバシン酸からなるポリエステル樹
脂(重量平均分子量1万、融点60℃、水酸価80)1
5重量部及びトルエン150重量部を入れ、オイルバス
にセットした。これに、攪拌装置、還流冷却管、窒素導
入管及び温度測定用熱電対を取り付け、窒素気流中、リ
フラックス温度に昇温してポリマーを溶解した。次い
で、p−トルエンスルホン酸0.5重量部を添加し、ポ
リエステル樹脂の一部をビニル系共重合体(H)にグラ
フトさせた。さらに、過酸化ベンゾイル6重量部をスチ
レンモノマー70重量部に溶解し、このモノマー溶液を
反応器内に2時間かけて滴下し、ポリマー存在下で共存
重合反応を行った。反応終了後ポリマー溶液から溶媒を
除去し、定着助剤を含有するトナー用樹脂組成物を調製
した。尚、上記モノマー溶液の、トルエン150重量部
中における重合体の重量平均分子量は7,500、ガラ
ス転移点は65℃であった。
【0058】上記トナー用樹脂組成物を電子顕微鏡で観
察すると、マトリックス相(ドメイン相)と、このマト
リックス相の中に分散された約1μmの大きさのドメイ
ン相(アクリル酸n−ブチル−メタクリル酸メチル−メ
タクリル酸グリシジル共重合体)とより形成される不均
一のミクロ相分離構造と、そのドメイン相の中とドメイ
ン相/マトリックス相の界面に存在している約0.2μ
mのポリエステル樹脂の相が確認された。
【0059】次いで、このトナー用樹脂組成物を使用し
て、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実施
例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120〜
200℃で定着性が良好であり、トナーには凝集は全く
認められなかった。
【0060】(実施例8)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル430重量部、アクリル酸n−
ブチル150重量部及びメタクリル酸ヒドロキシエチル
45重量部を用いたこと以外は、実施例7と同様にして
トナー用樹脂組成物の調製した。上記トナー用樹脂組成
物を電子顕微鏡で観察したところ、マトリックス相(ポ
リスチレン)と、このマトリックス相中に分散された約
1μmの大きさのドメイン相(メタクリル酸メチル−ア
クリル酸n−ブチル−メタクリル酸ヒドロキシエチル共
重合体)とから形成された不均一系のミクロ相分離構造
と、そのドメイン相の中とドメイン相/マトリックス相
の界面に存在する約0.1μmのポリエステル樹脂相が
確認された。
【0061】次いで、このトナー用樹脂組成物を使用し
て、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実施
例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120〜
200℃で定着性が良好であり、トナーに凝集は全く認
められなかった。
【0062】(実施例9)ビニル系共重合体(H)とし
て、メタクリル酸メチル77重量部及びアクリル酸n−
ブチル23重量部を用いたこと以外は、実施例7と同様
にして、トナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用
樹脂組成物を電子顕微鏡で観察したところ、実施例5と
同様なドメイン構造を有しており、同時にマトリックス
相に5〜10μm程度のポリエステル樹脂の大きな相が
存在していた。次いで、このトナー用樹脂組成物を使用
して、実施例1と同様にして、トナーを作製した後、実
施例1と同様な評価を行ったところ、定着温度域120
〜160℃であり、50℃でトナーに凝集が見られ耐ブ
ロキッング性は悪く、オフセット発生温度は低かった。
【0063】(比較例5)ポリエステル樹脂を全く添加
しなかったこと以外は、実施例7と同様にして、トナー
用樹脂組成物を調製した。上記トナー用樹脂組成物を電
子顕微鏡で観察したところ、マトリックス相(ポリスチ
レン)と、このマトリックス相中に分散された約1μm
の大きさのドメイン相(メタクリル酸メチル−アクリル
酸n−ブチル−メタクリル酸グリシジル共重合体)とか
ら形成された不均一系のミクロ相分離構造を有してい
た。次いで、このトナー用樹脂組成物を使用して、実施
例1と同様にして、トナーを作製した後、実施例1と同
様な評価を行ったところ、定着温度域150〜200℃
で高かったが、トナーに凝集は全く認められなかった。
【0064】(比較例6)ビニル系共重合体(L)とし
て、スチレン95重量部及びメタクリル酸グリシジル5
重量部を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、ト
ナー用樹脂組成物を調製した。このトナー用樹脂組成物
を電子顕微鏡で観察したところ、実施例7と同様なドメ
イン構造を有しており、ポリエステル樹脂はマトリック
ス相の中に分散していた。次いで、このトナー用樹脂組
成物を使用して、実施例1と同様にして、トナーを作製
した後、実施例1と同様な評価を行ったところ、ビニル
系共重合体(L)に一部のポリエステル樹脂がグラフト
するので、定着温度域120〜200℃と良好であった
が、45℃でトナーに大きな凝集が見られ耐ブロキッン
グ性は悪かった。
【0065】
【発明の効果】本発明のトナー用樹脂組成物は、上述の
構成であり、スチレンを主成分とする低分子量のビニル
系重合体(L)からなるマトリックス相と、このマトリ
ックス相の中に分散された(メタ)アクリル酸エステル
を主成分とする高分子量のビニル系重合体(H)からな
るドメイン相とで形成されるビニル系樹脂ならびに脂肪
酸含有ワックス、長鎖アルコール及びポリエステル樹脂
のうちいずれか1種を含有し、これらの一部がドメイン
相を形成する高分子量のビニル系重合体(H)にグラフ
トされている。従って、このトナー用樹脂組成物から得
られるトナーは、耐オフセット性、低温定着性、耐ブロ
ッキング性に優れ、特に定着温度域が広く、高速型や小
型の複写機を用いて複写する場合でも、十分に安定した
画像を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体を主成分とする低分子
    量のビニル系共重合体(L)からなるマトリックス相
    と、このマトリックス相の中に分散された(メタ)アク
    リル酸エステル単量体を主成分とする高分子量のビニル
    系共重合体(H)からなるドメイン相から形成されるビ
    ニル系樹脂、ならびに脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコ
    ール及びポリエステル樹脂の少なくとも一種が含有され
    ていることを特徴とするトナー用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトナー用樹脂組成物にお
    いて、脂肪酸含有ワックス、長鎖アルコール又はポリエ
    ステル樹脂の少なくとも一部がドメイン相を形成する高
    分子量のビニル系共重合体(H)にグラフトされている
    ことを特徴とするトナー用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載のトナー用樹
    脂組成物が用いられていることを特徴とするトナー。
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