JPH0782255B2 - 電子写真トナー用樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

電子写真トナー用樹脂組成物及びその製造方法

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JPH0782255B2
JPH0782255B2 JP3220982A JP22098291A JPH0782255B2 JP H0782255 B2 JPH0782255 B2 JP H0782255B2 JP 3220982 A JP3220982 A JP 3220982A JP 22098291 A JP22098291 A JP 22098291A JP H0782255 B2 JPH0782255 B2 JP H0782255B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真トナー用樹脂
組成物およびその製造方法に関する。更に詳しくはトナ
ー用バインダーと離型剤の機能を有する組成物であり、
トナーに広い定着温度幅を与え、かつトナーの連続コピ
ー時における、白抜けの発生や画像濃度低下等のトラブ
ルのない電子写真トナー用樹脂組成物及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真において、トナーで可視化され
た画像を定着するのにヒートローラーを用いる方式が広
く採用されている。この方式において定着温度幅が広い
こと、すなわち、定着下限温度(以下MFと略す)は低
く、かつヒートロールへのオフセットの起こる温度(以
下HOと略す)は高いことが望ましい。
【0003】この様な性能を満たすため従来、トナー製
造時にバインダーと共に離型剤(オフセット防止剤)と
してポリオレフィンを添加する方法や、ポリオレフィン
とビニルモノマーから得られるグラフト共重合体をバイ
ンダー兼離型剤として用いる方法などが提案されている
(例えば特公昭58−58664、特公昭63−464
14)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トナー
製造時にバインダーと共にポリオレフィンを添加する方
法では、トナー中におけるポリオレフィンの分散が十分
でなくトナーの流動性が悪くなり、連続コピーをとると
白抜けの発生や画像濃度の低下等のトラブルを発生する
という問題点があり、ポリオレフィンとビニルモノマー
から得られるグラフト共重合体を用いた場合は、充分な
離型効果が得られず定着温度幅が狭くなるという問題点
がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは定着温度幅
が広くかつ、連続コピーを行っても白抜けの発生や画像
濃度の低下等のトラブルを発生しないトナーとすること
ができるような電子写真トナー用樹脂組成物を得るべく
鋭意検討した結果本発明に到達した。
【0006】すなわち本発明は 下記(1)、(2)お
よび(3)からなり、DSCを用いた融解熱測定で13
5〜160℃の間に吸熱ピークを有し、該吸熱ピークを
示す温度(TP)における吸熱の高さをH1とし、(T
P)から10℃低い温度における吸熱の高さをH2とす
るとき、H2/H1が0.6〜1.5であり、(1)が
平均粒径0.05〜5.0μの状態で分散していること
を特徴とする電子写真トナー用樹脂組成物;並びに、パ
ーオキサイド系開始剤(4)の存在下で、下記(1)
に、スチレン系モノマー(A)単独、またはスチレン系
モノマー(A)および(メタ)アクリル系モノマー
(B)および必要により他のビニルモノマー(C)をグ
ラフト重合させ、これに(1)およびスチレン(メタ)
アクリル系樹脂を混合して、請求項1記載の組成物を得
ることを特徴とする電子写真トナー用樹脂組成物の製造
方法である。 (1);軟化点135〜160℃のポリプロピレン系樹
脂 (2);(1)にスチレン系ポリマー鎖またはスチレン
(メタ)アクリル系ポリマー鎖がグラフトした構造を有
するグラフト重合体。 (3);スチレン(メタ)アクリル系樹脂
【0007】本発明において、ポリプロピレン系離型剤
(1)の軟化点は、通常135℃〜160℃、好ましく
は140℃〜155℃である。軟化点が135℃未満で
はトナーの流動性が悪く、160℃より高いものでは充
分な離型効果が得られない。(1)は高分子量ポリプロ
ピレン系樹脂を300〜450℃で熱減成する等の方法
により得ることができる。
【0008】本発明において該重合体(2)中にスチレ
ン(メタ)アクリル系ポリマー鎖がある場合、このポリ
マ−鎖はスチレン系モノマー(A)、(メタ)アクリル
系モノマー(B)および必要により他のビニル系モノマ
ー(C)を構成成分とする。
【0009】スチレン系モノマー(A)としてはスチレ
ン、アルキルスチレン(たとえばα-メチルスチレン、p
-メチルスチレンなど)、これら二種以上の併用などが
挙げられる。これらのうち好ましいものはスチレンであ
る。
【0010】(メタ)アクリル系モノマー(B)として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレ
ート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル
基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含
有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;ア
クリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリル
化合物;(メタ)アクリル酸、これら二種以上の併用な
どを挙げることができる。これらのうち好ましいものは
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸およびこれ
らの二種以上の併用である。
【0011】必要により構成成分となる他のビニルモノ
マー(C)としてはビニルエステル、脂肪族炭化水素系
ビニルモノマー、少なくとも2個の二重結合を有する多
官能モノマーなどがあげられる。ビニルエステルとして
は酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが、脂肪族炭化水素
系ビニルモノマーとしてはブタジエンなどが挙げられ
る。また多官能モノマーとしてはジビニルベンゼン、ジ
ビニルトルエンなどの芳香族系多官能モノマーや、エチ
レングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオ
ールジアクリレートなどの脂肪族系多官能モノマーを挙
げることができる。
【0012】スチレン(メタ)アクリル系ポリマー鎖を
構成する各成分の量はスチレン(メタ)アクリル系ポリ
マー鎖の重量に基づいてスチレン系モノマー(A)が通
常50重量%〜100重量%未満、好ましくは70重量
%〜100重量%未満、(メタ)アクリル系モノマー
(B)が通常0を超え〜50重量%、好ましくは0を超
え〜30重量%、他のビニル系モノマー(C)が0〜1
0重量%、好ましくは0〜5重量%である。一方、スチ
レン系ポリマー鎖の場合は、(A)が90〜100重量
%、好ましくは95〜100重量%であり、(C)が0
〜10重量%、好ましくは0〜5重量%である。
【0013】(2)を構成するポリプロピレン系樹脂
(1)の量は(2)の重量に基づいて0.5〜30重量
%、好ましくは1.0〜20重量%である。
【0014】スチレン(メタ)アクリル系樹脂(3)は
前記と同様のスチレン系モノマー(A)と、同様の(メ
タ)アクリル系モノマー(B)と必要により同様の他の
ビニルモノマー(C)を構成成分とする。
【0015】(3)を構成する各成分の量は(3)の重
量に基づいてスチレン系モノマー(A)が通常50〜9
5重量%、好ましくは60〜90重量%、(メタ)アク
リル系モノマー(B)が通常5〜50重量%、好ましく
は10〜40重量%、他のビニル系モノマーが0〜10
重量%、好ましくは0〜5重量%である。
【0016】ポリプロピレン系樹脂(1)が(3)など
のスチレン(メタ)アクリル系樹脂に単に分散されてい
るような樹脂組成物は、DSCによる融解熱測定で13
5〜160℃の間に吸熱ピークがあるが、(1)が平均
粒径で5.0μより大きく分散しており、トナーにした
時に流動性が悪く白抜け等のトラブルを発生する。
【0017】一方、グラフト重合体(2)が(3)等の
スチレン(メタ)アクリル系樹脂に分散されているよう
な樹脂組成物は、DSCによる融解熱の測定で、ポリプ
ロピレン系樹脂(1)が単にスチレン(メタ)アクリル
系樹脂に分散されている場合よりも約10℃低い、12
5〜150℃に吸熱ピークがあるが、(2)を構成する
ポリプロピレン系樹脂(1)が平均粒径で0.05μ未
満で分散しており、トナーにした時に充分な離径効果が
得られない。
【0018】本発明の目的とする定着温度幅が広くか
つ、連続コピーを行っても白抜けの発生や画像濃度の低
下等のトラブルを発生しないトナーとすることができる
ような電子写真トナー用樹脂組成物は、ポリプロピレン
系樹脂(1)に対する、グラフト重合体(2)を構成す
るポリプロピレン系樹脂の重量比を調整し、DSCによ
る融解熱測定で135℃以上、160℃以下の間で吸熱
ピークがあり、吸熱ピークを示す温度をTP、吸熱高さ
をH1とし、TPから10℃低いところの吸熱高さをH
2とするとき、H2/H1の値を0.6〜1.5にする
ことにより得ることができる。H2/H1が0.6未満
ではポリプロピレン系樹脂(1)の本発明の組成物中で
の分散が悪く、トナーの流動性が不良となりやすい。ま
た1.5をこえるときはトナーの離型性が不充分とな
る。
【0019】H2/H1の値はポリプロピレン系樹脂
(1)に対する、グラフト重合体(2)を構成するポリ
プロピレン系樹脂の重量比が高いほど大きくなる。H2
/H1の値を0.6〜1.5とするために、ポリプロピ
レン系樹脂(1)に対する、グラフト重合体(2)を構
成するポリプロピレン系樹脂の重量比は通常0.1〜
3.0、好ましくは0.3〜2.0の間で選択する。
【0020】本発明の樹脂組成物の製法を例示すると、
例えばまず、ポリプロピレン系樹脂(1)をトルエン、
キシレン等の溶剤中に分散させ、100℃〜200℃に
加熱した後、スチレン系モノマー(A)単独、または
(A)および(メタ)アクリル系モノマー(B)および
必要により他のビニルモノマー(C)をパーオキサイド
系開始剤(4)(ベンゾイルパーオキサイド、ジターシ
ャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルパー
オキシベンゾエート等)とともに滴下重合を行うことに
より(1)にスチレン(メタ)アクリル系ポリマー鎖が
グラフトした構造を有するグラフト重合体(2)とスチ
レン(メタ)アクリル系樹脂とからなる重合体混合物の
溶液を得る。
【0021】上記重合体混合物の溶液を合成するために
用いるパーオキサイド系開始剤(4)の量は生成した重
合体混合物の重量に基づいて通常0.2〜10重量%、
好ましくは0.5〜5重量%である。
【0022】生成した重合体混合物のTHF可溶分の分
子量は重量平均分子量で5,000〜20万である。重
合体混合物を重合体混合物に対し重量で5倍量のトルエ
ンに溶解し、可溶分をトルエンに対し10倍量のアセト
ン中に滴下し、得られた沈澱を乾燥することによりグラ
フト重合体を分別することができる。通常、重合体混合
物の重量に基づき2〜60重量%のグラフト重合体が得
られる。また重合体混合物のDSCによる融解熱測定で
125〜150℃に吸熱ピークが現れる。
【0023】本発明の樹脂組成物は上記で得られた重合
体混合物の溶液にさらにポリプロピレン系樹脂(1)お
よび、別途合成したスチレン(メタ)アクリル系樹脂を
混合し、溶剤を溜去することにより得ることができる。
【0024】別途合成したスチレン(メタ)アクリル系
樹脂は通常重量平均分子量が20万〜100万であり、
前記グラフト重合体(2)を作成するのに用いたのと同
様のスチレン系モノマー(A)と、同様の(メタ)アク
リル系モノマー(B)と必要により同様の他のビニルモ
ノマー(C)を、重合開始剤を使用して溶液重合、塊状
重合、懸濁重合および乳化重合などの任意の方法で重合
して得ることができる。また別途合成したスチレン(メ
タ)アクリル系樹脂の樹脂組成物中の含量は通常5〜5
0重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0025】この様にして得られた樹脂組成物を構成す
る各成分の重量割合は、プロピレン系樹脂(1)が0.
5〜10.0%、グラフト重合体(2)が1〜50%、
スチレン(メタ)アクリル系樹脂(3)が40〜98%
(グラフト重合時に同時に生成するスチレン(メタ)ア
クリル系樹脂に別途合成したスチレン(メタ)アクリル
系樹脂を加えた量)である。
【0026】本発明の組成物のTgは通常40℃≦Tg
≦70℃であり、好ましくは50℃≦Tg≦65℃であ
る。Tgが40℃未満では保存性が低下し、Tgが70
℃以上ではMFが高くなる。Tgはグラフト重合する際
に用いるスチレンモノマー(A)、アクリルモノマー
(B)および必要により加えられる他のビニルモノマー
(C)の種類や比率および別途加えるスチレン(メタ)
アクリル系樹脂を構成する(A)、(B)、必要により
(C)の種類や比率で調整することができる。
【0027】本発明の組成物のGPCで測定される数平
均分子量(Mn)は2,000〜2万、重量平均分子量
(Mw)は5万〜50万、分子量分布 [重量平均分子
量と数平均分子量の比率(Mw/Mn)で表示される]
はHOとMFのバランスからみて、20以上、特に30
以上であることが好ましい。分子量、分子量分布は上記
(2)と(3)からなる重合体混合物を得る際の重合温
度、開始剤(4)の量等の重合条件や別途添加するスチ
レン(メタ)アクリル系樹脂の分子量および添加量で調
整できる。
【0028】本発明の組成物中には(1)が平均粒径で
通常0.05〜5.0μの状態で分散している。この平
均粒径は電子顕微鏡写真で観察することができる。平均
粒径が0.05μ未満の場合にはトナーの離型性が悪く
なり、5.0μを越える場合にはトナーの流動性が悪く
なり白抜け等の画質不良をおこしやすくなる。
【0029】本発明の組成物にはトナーの顔料分散性向
上や定着性向上等のために必要によりポリエチレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等を添加し
てもよい。
【0030】本発明の樹脂組成物を用いた電子写真トナ
ーの処方を例示すると、トナー重量に基いて本発明の樹
脂組成物が通常50〜95%、公知の着色材料(カーボ
ンブラック、鉄黒、ベンジジンイエロー、キナクリド
ン、ローダミンB、フタロシアニンなど)が通常5〜1
0%および磁性粉(鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁
性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェ
ライトなどの化合物)が通常0〜50%各々含有するも
のが挙げられる。
【0031】トナーの成分としてさらに離型効果を高め
るために5%以内の低分子量ポリオレフィンを添加して
もよい。またさらに種々の添加剤[荷電調整剤(金属錯
体、ニグロシンなど)、滑剤(ポリテトラフルオロエチ
レン、脂肪酸、もしくはその金属塩またはアミドなど)
など]を含むことができる。これらの添加剤の量はトナ
ー重量に基づいて通常0〜5%である。
【0032】電子写真トナーの製法を例示すると上記各
成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕
し、最終的にジェット粉砕機などを用いて微粒化し、さ
らに分級して粒径5〜20ミクロンの微粒とすることによ
りトナーが得られる。得られたトナーは流動性向上のた
めに必要に応じ、疎水性コロイダルシリカ微粉末を添加
することもできる。
【0033】前記電子写真トナーは、必要に応じて鉄
粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライトなどのキャ
リアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用い
られる。
【0034】前記電子写真トナーは支持体(紙、ポリエ
ステルフィルムなど)に定着され使用されるが定着する
方法としては、公知の熱ロール定着方法が適用できる。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。実施
例中、部はいずれも重量部を表す。DSCによる融解熱
の測定条件は以下のとおり、 装置 :パーキンエルマー製 7Series Thermal
Analysis System 測定条件 : JIS K 7122 に従う サンプル量 : 20mg またGPCによる分子量測定の条件は以下のとおりであ
る。 装置 : 東洋曹達製 HLC-802A カラム : TSK gel GMH6 2本 (東洋曹達製) 測定温度 : 40℃ 試料溶液 : 0.5重量%のTHF溶液 溶液注入量 : 200μl 検出装置 : 屈折率検出器 なお分子量較正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成。
【0036】実施例1 2Lのステンレス製加圧反応器にキシレン400部と軟
化点145℃のポリプロピレン系樹脂{三洋化成(株)
製、ビスコール660P}15部を投入し、容器内を十
分窒素置換した後、密閉下で170℃まで昇温する。こ
の温度でスチレン800部、n-ブチルアクリレート1
20部、メチルメタアクリレート80部、ジt-ブチル
パーオキサイド10部の混合液を4時間かけて滴下し、
さらに170℃で1時間保持し、グラフト重合体、スチ
レン(メタ)アクリル系樹脂混合物のキシレン溶液を得
た。生成した重合体混合物のTHF可溶分の重量平均分
子量は11,000である。得られた重合体混合物の溶
液980部に、別途スチレン800部、n-ブチルアク
リレート200部を5部のジ−ターシャリーブチル−パ
ーオキシ−ヘキサハイドロテレフタレートを用い懸濁重
合して得た重量平均分子量60万の樹脂(A−1とす
る。)300部と、軟化点145℃のポリプロピレン系
樹脂(ビスコール660P)30部を加え、キシレン還
流下で4時間加熱した後、キシレンを留去して本発明の
樹脂組成物R−1を得た。樹脂組成物R−1のTgは6
2℃であり、数平均分子量は5000、重量平均分子量
は15万である。樹脂組成物R−1についてDSCによ
る融解熱測定を行ったところ、吸熱ピークの温度は14
1℃であり、吸熱ピーク高さ(H1)に対する131℃
での吸熱量ピーク高さ(H2)の比(H2/H1)は
0.8であった(図1)。またR−1を電子顕微鏡によ
り観察したところポリプロピレン系樹脂(ビスコール6
60P)が平均粒径約0.5μで 分散していた(図
2)。
【0037】実施例2 2Lのステンレス製反応容器にトルエン500部と軟化
点152℃のポリプロピレン系樹脂{三洋化成(株)
製、ビスコール550P}20部を投入し常圧下で11
0℃まで昇温しトルエンを還流させる。スチレン830
部、2-エチルヘキシルアクリレート170部、ジビニ
ルベンゼン5.0部とベンゾイルパーオキサイド10部
の混合液を2時間かけて滴下し、さらに同温度で1時間
保持しグラフト重合体、スチレン・アクリル系樹脂混合
物のトルエン溶液を得た。生成した重合体混合物のTH
F可溶分の重量平均分子量は15万であった。得られた
トルエン溶液1480部に軟化点152℃のポリプロピ
レン系樹脂(ビスコール550P)30部と実施例1記
載のスチレンアクリル系樹脂(A−1)100部を加
え、溶解したのちトルエンを溜去して本発明の樹脂組成
物R−2を得た。樹脂組成物R−2のTgは62℃であ
り、数平均分子量は9,000、重量平均分子量は25
万である。樹脂組成物R−2についてDSC測定を行っ
たところ、吸熱ピークが最大となる温度は146℃であ
り、吸熱ピーク高さ(H1)に対する136℃での吸熱
量ピーク高さ(H2)の比(H2/H1)は0.7であ
った。またR−2を電子顕微鏡により観察したところ離
型剤(ビスコール550P)が平均粒径約1.0μで
分散していた。
【0038】実施例3 2Lのステンレス製加圧反応器にキシレン400部と軟
化点152℃のポリプロピレン系樹脂(ビスコール55
0P)20部を投入し、容器内を十分窒素置換した後、
密閉下で170℃まで昇温する。この温度でスチレン9
00部、n-ブチルアクリレート100部、ジt-ブチル
パーオキサイド15部の混合液を4時間かけて滴下し、
さらに170℃で1時間保持し、グラフト重合体、スチ
レン・アクリル系樹脂混合物のキシレン溶液を得た。こ
のとき生成した重合体混合物のTHF可溶分の重量平均
分子量は8,000である。得られたキシレン溶液98
0部に実施例1に記載のスチレンアクリル系樹脂(A−
1)300部と、軟化点152℃のポリプロピレン系離
型剤(ビスコール550P)30部を加え、キシレン還
流下で4時間加熱した後、キシレンを留去して本発明の
樹脂組成物R−3を得た。樹脂組成物R−3のTgは5
9℃であり、数平均分子量は4,000、重量平均分子
量は14万である。樹脂組成物R−3についてDSCに
よる融解熱測定を行ったところ、吸熱ピークの温度は1
46℃であり、吸熱ピーク高さ(H1)に対する136
℃での吸熱量ピーク高さ(H2)の比(H2/H1)は
0.7であった。またR−3を電子顕微鏡により観察し
たところビスコール550Pが平均粒径約1.0μで
分散していた。
【0039】比較例1 2Lのステンレス製加圧反応器にキシレン400部を投
入し、容器内を十分窒素置換した後、密閉下で170℃
まで昇温する。この温度でスチレン900部、n-ブチ
ルアクリレート100部、ジt-ブチルパーオキサイド
15部の混合液を4時間かけて滴下し、さらに170℃
で1時間保持しスチレン・アクリル系樹脂のキシレン溶
液を得た。このとき生成した樹脂のTHF可溶分の重量
平均分子量は8,000である。得られた樹脂溶液98
0部に実施例1に記載のスチレンアクリル系樹脂(A−
1)300部と、軟化点145℃のポリプロピレン系樹
脂(ビスコール660P)40部を加え、キシレン還流
下で4時間加熱した後、キシレンを留去して樹脂組成物
R−4を得た。樹脂組成物R−4のTgは62℃であ
り、数平均分子量は4,000、重量平均分子量は15
万である。樹脂組成物R−4についてDSCによる融解
熱の測定を行ったところ、吸熱ピークの温度は140℃
であり、吸熱ピーク高さ(H1)に対する130℃での
吸熱量ピーク高さ(H2)の比(H2/H1)は0.4
であった。またR−4を電子顕微鏡により観察したとこ
ろ離型剤(ビスコール660P)は平均粒径約8μで
分散していた(図3)。
【0040】比較例2 2Lのステンレス製加圧反応器にキシレン400部と軟
化点145℃のポリプロピレン系樹脂(ビスコール66
0P)40部を投入し、容器内を十分窒素置換した後、
密閉下で170℃まで昇温する。この温度でスチレン9
00部、n-ブチルアクリレート100部、ジt-ブチル
パーオキサイド15部の混合液を4時間かけて滴下し、
さらに170℃で1時間保持し、グラフト重合体、スチ
レン・アクリル系樹脂混合物のキシレン溶液を得た。こ
のとき生成したポリマーのTHF可溶分の重量平均分子
量は8,000である。得られたポリマ−溶液980部
に実施例1に記載のスチレンアクリル系バインダー(A
−1)300部を加え、キシレン還流下で4時間加熱し
た後、キシレンを留去して樹脂組成物R−5を得た。樹
脂組成物R−5のTgは62℃であり、数平均分子量は
4,000、重量平均分子量は15万である。樹脂組成
物R−5についてDSCによる融解熱の測定を行ったと
ころ、吸熱ピークを示す温度は140〜160℃の間で
はなく、131℃であった。R−5を電子顕微鏡により
観察したところポリプロピレン系樹脂(ビスコール66
0P)が平均粒径約0.02μで分散していた。
【0041】使用例1〜3および比較使用例1〜2 樹脂組成物R−1〜R−5の各々91部にカーボンブラ
ック{三菱化成(株)製 MA100}7部、及び荷電調整
剤(保土谷化学製 スピロンブラックTRH)2部を均一
混合した後、内温150℃の二軸押出機で混練、冷却物
をジェット粉砕機で微粉砕し、デイスパ−ジョンセパレ
ータで分級し平均粒径12μのトナーT−1〜T−5を
得た。
【0042】試験例1〜3および比較試験例1〜2 トナーT−1〜T−5のそれぞれ3部にフェライトキャ
リア{EFV 200/300、日本製粉(株)製}97部を均一
混合し、市販複写機{(株)東芝製BD-7720}を用いて
定着テストを行った。またT−1〜T−5についてパウ
ダーテスターにより流動性の評価を行った。テスト結果
は表1に示した通りである。
【0043】
【表1】 注) MFT; トナーが コールドオフセットした時のヒート
ロール温度 HOT; トナーがホットオフセットした時のヒートロ
ール温度 流動性;ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用い
て流動性指数を測定し評価した。 E 流動性指数80以上 G 流動性指数70以上80未満 P 流動性指数70未満 上記の結果から本発明の樹脂組成物で得られたトナー
が、従来のトナーに比べて定着温度幅が広くかつ流動性
に優れていることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物を電子写真用トナー
に用いることにより定着温度幅が広くかつ、流動性がよ
いので、連続コピーを行っても白抜けの発生や画像濃度
の低下等のトラブルを発生しないトナーとすることがで
きる。また本発明の組成物を用いてトナーを作成する場
合、離型剤がすでに均一に分散されているので、画質の
良いトナーを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得た本発明の樹脂組成物R−1のD
SCによる融解熱測定チャートである。
【図2】実施例1で得た本発明の樹脂組成物R−1の粒
子構造を表した電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例1で得た樹脂組成物R−4の粒子構造を
表した電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
TP 吸熱ピークの温度=141℃ H1 TP(141℃)における吸熱高さ H2 TP−10℃(131℃)における吸熱高さ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)、(2)および(3)からな
    り、DSCを用いた融解熱測定で135〜160℃の間
    に吸熱ピークを有し、該吸熱ピークを示す温度(TP)
    における吸熱の高さをH1とし、(TP)から10℃低
    い温度における吸熱の高さをH2とするとき、H2/H
    1が0.6〜1.5であり、(1)が平均粒径0.05
    〜5.0μの状態で分散していることを特徴とする電
    子写真トナー用樹脂組成物。 (1);軟化点135〜160℃のポリプロピレン系樹
    脂 (2);(1)にスチレン系ポリマー鎖またはスチレン
    (メタ)アクリル系ポリマー鎖がグラフトした構造を有
    するグラフト重合体 (3);スチレン(メタ)アクリル系樹脂
  2. 【請求項2】 パーオキサイド系開始剤(4)の存在下
    で、軟化点135〜160℃のポリプロピレン系樹脂
    (1)に、スチレン系モノマー(A)単独、またはスチ
    レン系モノマー(A)および(メタ)アクリル系モノマ
    ー(B)および必要により他のビニルモノマー(C)を
    グラフト重合させ、これに(1)およびスチレン(メ
    タ)アクリル系樹脂を混合して、請求項1記載の組成物
    を得ることを特徴とする電子写真トナー用樹脂組成物の
    製造方法。
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