JP3597525B2 - 静電荷像現像用トナー、現像剤および画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて静電潜像を現像するときに用いられるトナー、現像剤及び画像形成方法、画像形成装置、トナーを充填したトナー容器及び現像剤を充填した現像剤容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、米国特許第2,297,691号明細書(特許文献1)、特公昭49−23910号公報(特許文献2)及び特公昭43−24748号公報(特許文献3)などに各種の方法が記載されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙などにトナー粉像を転写したのち、加熱、加圧あるいは溶剤蒸気などにより定着し、コピー画像を得るものである。
電気的潜像を現像する方式には、大別して、絶縁性有機液体中に各種の顔料や染料を微細に分散させた現像剤を用いる液体現像方式と、カスケード法、磁気ブラシ法、パウダークラウド法などのように天然又は合成樹脂にカーボンブラックなどの着色剤を分散したトナーを用いる乾式現像方式があり、その取り扱いの容易さから、近年乾式現像方式が広く使用されている。一般に帯電付与部材により摩擦帯電されたバインダー樹脂及び着色剤を主成分とする乾式トナーが電界により現像された後、コピー紙上に転写・定着される。この時高画質な画像を得るためには、現像により感光体上に形成された潜像をどのような状況においても如何に忠実にトナーを用いて表現できるかが最重要な技術課題の一つであり、現在各種検討がなされている。
この高画質を達成するために現像剤に求められる特性としては、保存性(耐ブロッキング性)、搬送性、現像性、転写性、帯電性、定着性が求められている。
【0003】
電子写真法における定着方式としては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ヒートローラ方式が広く一般に用いられている。ただ、このような熱定着方式においては、定着時にトナー像の一部が熱ローラの表面に付着し、これがコピー用紙上に転移して地汚れを起こす、いわゆるオフセット現象を生じ易いという難点がある。そこで、このオフセット現象の発生を防止するために、トナーにワックス等の離型剤を含有せしめる方法が知られており、例えば特開昭51−143333(特許文献4)、同57−148752(特許文献5)、同58−97056(特許文献6)、同60−247250号(特許文献7)の各公報には離型剤として固形シリコーンワニス、高級脂肪酸,高級アルコール,各種ワックス等を添加することが提案されている。
しかしながら、トナー中にこのような離型剤を含有した場合には、現像中に離型剤がトナーから遊離して感光体や現像スリーブに付着する、いわゆるフィルミングが発生しやすい。こうしたフィルミングはコピープロセスの繰り返しにより次第に成長し、程度がひどくなるとハーフトーン画像上に白帯となって現れる。従って、離型剤を含有するトナーに関してはオフセットとフィルミングの両立が課題であり、長期に渡って安定した画像品質を得るためには、特にトナー中の離型剤に着目した改善策が必要とされてきた。
【0004】
また、近年、市場では高品質の画像への要求が高まり、従来のような体積平均径が10〜15μmのトナーでは、十分な画質が得られなくなってきており、更に小粒径のトナーが求められている。しかしながら、トナー粒径は微粒子化が進めば進むほど、ストレス等による離型剤の遊離や特に粉砕法で作られる場合はトナー製造時に分子量分布が狭くもろい離型剤が粉砕界面となりやすく離型剤自身の表面への露出や微粉に多く含まれる。したがって、高画質化のための小粒径化は、フィルミングに対して更に厳しくなる。これら問題を解決するために、トナーバインダーとしてスチレン系樹脂を用いたトナーにおいて、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等のポリオレフィン離型剤や、これらポリオレフィン系樹脂にスチレン系樹脂をグラフトさせた樹脂が有効であることが知られている(例えば特公昭52−3304号公報(特許文献8)、特公平7−82255号公報(特許文献9)等)。しかし、ここに用いられているスチレン系樹脂は、低温定着性に劣るために、近年の省エネルギー化の要求を満たす低温定着化に対する課題があった。低温定着性を改良するものとして、低温定着性に優れるポリエステル樹脂を結着樹脂として用いることが検討されたが、単独で使用した場合では、ポリエステル樹脂と離型剤の分散が不充分であり、また、ポリエステル樹脂の一種類使用しただけでは、低温定着性とホットオフセット性の両立による十分に広い定着温度範囲の確保することは不可能であった。
【0005】
そこで、特性の異なる二種類のポリエステル樹脂を用いる方法がいくつか提案されている。たとえば、非線状ポリエステル樹脂と線状ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭60−90344号公報(特許文献10))、Tg50℃以上、軟化点200℃以下の架橋ポリエステル樹脂と軟化点150℃以下MW3,000〜50,000の直鎖ポリエステル樹脂を混合させる方法(特開昭64−15755号公報(特許文献11))、MW5,000以上、分散比20以上の非線状高分子ポリエステル樹脂とMW1,000〜5,000、分散比4以下の非線状ポリエステル樹脂を含有させる方法(特開平2−82267号公報(特許文献12))、酸価5〜60の線状ポリエステル樹脂と酸価5未満の非線状ポリエステル樹脂からなる混合物に有機金属化合物を含有させる方法(特開平3−229264号公報(特許文献13))、飽和ポリエステル樹脂で酸価の比が1.5以上の異なるポリエステル樹脂を混合する方法(特開平3−41470号公報(特許文献14))等がある。これらは未架橋の樹脂と架橋の樹脂をブレンドすることにより、低温定着性とホットオフセット性の両立を図っているが、同種の樹脂をブレンドした場合樹脂自身の相溶性が良いため粉砕性が劣り生産性でコストアップとなり好ましくない。
【0006】
また、定着性に優れるポリエステル樹脂に粉砕性の優れるスチレンアクリル樹脂を混合した系が特開昭49−6931号(特許文献15)、特開昭54−114245号(特許文献16)など示されているが、ポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂は本来相溶性が悪いために、単に機械的に混合を行なっただけでは、不均一となり、トナー化の時に離型剤やカーボンおよび帯電制御剤の分散が悪くなり、フィルミングの発生かぶりなどの不具合があり、いまだに低温定着性とホットオフセット性の両立による定着温度範囲の確保と熱保存、粉砕性、かぶりなどの画像品質およびフィルミング等の耐久性を満足すべき静電荷像現像用トナーは得られていない。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第2,297,691号明細書
【特許文献2】
特公昭49−23910号公報
【特許文献3】
特公昭43−24748号公報
【特許文献4】
特開昭51−143333号公報
【特許文献5】
特開昭57−148752号公報
【特許文献6】
特開昭58−97056号公報
【特許文献7】
特開昭60−247250号公報
【特許文献8】
特公昭52−3304号公報
【特許文献9】
特公平7−82255号公報
【特許文献10】
特開昭60−90344号公報
【特許文献11】
特開昭64−15755号公報
【特許文献12】
特開平2−82267号公報
【特許文献13】
特開平3−229264号公報
【特許文献14】
特開平3−41470号公報
【特許文献15】
特開昭49−6931号公報
【特許文献16】
特開昭54−114245号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、実機内で機械的や熱的負荷がかかった場合においても、静電荷像担持体等へのフィルミングを抑制し、長期間にわたって使用可能であり、細線再現性に優れた画質を与え、充分な低温定着性とホットオフセット性の両立と、耐熱保存性に優れ、かぶりの発生が少ない良質な画像を与えるトナー、該トナーを含む現像剤、該トナーを充填したトナー容器、該現像剤を充填した現像剤容器及び該トナーを用いる画像形成方法を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、実機内で機械的や熱的負荷がかかった場合においても、静電荷像担持体等へのフィルミングを抑制し、長期間にわたって使用可能であり、細線再現性に優れた画質を与え、充分な低温定着性とホットオフセット性の両立と、耐熱保存性に優れ、かぶりの発生が少ない良質なトナーを提供すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。本発明によれば、以下に示す静電荷像現像用トナー、現像剤、画像形成方法、画像形成装置、二成分系現像剤、トナー容器、及び現像剤容器が提供される。
(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナーにおいて、該結着樹脂が非線状ポリマー樹脂、線状ポリマー樹脂及び変性ワックス(A1)からなり、該変性ワックス(A1)は、ワックス部分(A)と、エステル基濃度が8〜30重量%のビニルポリマー部分(B)からなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2)該結着樹脂100重量部に対する該変性ワックス(A1)の割合が、3〜20重量部であることを特徴とする(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)該離型剤が、カルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、ポリオレフィンワックス及び合成エステルワックスの中から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(4)該結着樹脂100重量部に対する該離型剤の割合が、2〜10重量部であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(5)該非線状ポリマー樹脂の溶解パラメータをSP(NL)、該線状ポリマー樹脂の溶解パラメータをSP(L)、該離型剤の溶解パラメータをSP(W)及び該変性ワックス(A1)の溶解パラメータをSP(A1)としたときに、それらの溶解パラメータが下記式(1)〜(3)のすべてを同時に満足することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
SP(W)<SP(A1)<SP(NL)<SP(L)
0.2<SP(WL)−SP(A1)<1
0.8≦SP(NL)−SP(W)
(6)該変性ワックスにおけるビニルポリマー部分(B)に対するワックス部分(A)の重量比率(A/B)が0.01〜0.45であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(7)該ワックス部分(A)がポリオレフィン鎖からなることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(8)該ポリビニル部分(B)のガラス転移点が40〜90℃であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(9)該結着樹脂が、縮重合系樹脂ユニットと付加重合系樹脂ユニットからなるハイブリッド樹脂を含有し、かつ該結着樹脂を構成する該非線状ポリマー樹脂、該線状ポリマー樹脂及び該ハイブリッド樹脂がいずれもその分子鎖の少なくとも一部に同種のポリマーユニットを含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(10)該結着樹脂を構成する該非線状ポリマー樹脂、該線状ポリマー樹脂及び該ハイブリッド樹脂がいずれもその分子鎖の少なくとも一部にポリエステルユニットを含有することを特徴とする(9)に記載の静電荷像現像用トナー
(11)該非線状ポリマー樹脂の軟化点Tm(NL)及びガラス転移点Tg(NL)、該線状ポリマー樹脂の軟化点Tm(L)及びガラス転移点Tg(L)及び混合樹脂の軟化点Tm(H)及びガラス転移点Tg(H)が、下記式(4)〜(6)のすべてを同時に満足することを特徴とする(9)又は(10)に記載の静電荷像現像用トナー
Tm(NL)>Tm(H)>Tm(L)
|Tg(NL)−Tg(L)|<10℃
30≦Tm(NL)−Tm(L)≦60℃
(12)該非線状ポリマー樹脂の酸価が、20〜70mgKOH/gであることを特徴と する(1)〜(11)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(13)該線状ポリマー樹脂の酸価が、7〜70mgKOH/gであることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(14)3価以上のサリチル酸金属化合物を含有することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(15)該サリチル酸金属化合物の含有量が、トナー100重量部に対して、0.05〜10重量部であることを特徴とする(14)に記載の静電荷像現像用トナー
(16)該非線状ポリマー樹脂の水酸基価が、20mgKOH/g以上であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(17)該結着樹脂中のテトラヒドロフラン可溶分のGPCにより求められた分子量分布が、1000〜10000の間に少なくとも1つのピークを有し、該ピークの半値幅が15000以下であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(18)クロロホルム不溶分を5〜40%含有することを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(19)板状に加圧成形した際の表面摩擦係数が、0.20以上であることを特徴とする(1)〜(18)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(20)重量平均粒径(D4)が、4〜7.5μmであり、かつ5μm以下の粒子含有率が60〜80個数%であることを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(21)フロー式粒子像分析装置によって測定される個数基準の円相当径が0.6μm以上3μm未満の粒子の含有率が25%以下であることを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(22)フロー式粒子像分析装置によって測定される円形度が0.91〜0.96であることを特徴とする(1)〜(219のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(23)前記変性ワックスは、前記非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂からなるマトリックス中に分散したドメインを形成するとともに、該離型剤が該変性ワックスドメインに含有されていることを特徴とする(1)〜(22)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(24)前記非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂の各々が、それらを構成するモノマーユニットの合計モルに対して、少なくとも50モル%のエステルユニットを含有することを特徴とする(1)〜(23)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
(25)(1)〜(24)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアを含有することを特徴とする二成分静電荷像現像用現像剤
(26)(1)〜(24)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填した静電荷像現像用トナー容器
(27)(25)に記載の二成分静電荷像現像用現像剤を充填した二成分静電荷像現像用現像剤容器
(28)静電画像担持体の静電画像を(1)〜(24)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを使用して現像することを特徴とする画像形成方法
(29)静電画像担持体と、(26)に記載の静電荷像現像用トナー容器又は(27)に記載の二成分静電荷像現像用現像剤容器を有する現像部とからなり、該静電画像担持体の静電画像を該トナーにより現像することを特徴とする画像形成装置
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤よりなる混合物を、熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕法によって製造されたトナーであることができる他、粉砕以外の製造方法、例えば、水系媒体中で着色剤及び連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を懸濁重合する方法、連鎖移動剤を含有するラジカル重合性単量体組成物を水系媒体中で水溶性重合開始剤を使用し乳化重合あるいはエマルジョン重合し、得られた樹脂粒子を水系媒体中で融着させる方法や、少なくともポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を、有機溶剤に溶解/または分散させ、その組成物を水系媒体中で造粒し造粒下で重縮合反応が施された方法により製造されたトナーであってもよく、また、それらの混合物であってもよい。特に有機溶剤に溶解/または分散させ、水系媒体中で造粒し造粒下で重縮合反応が施されたトナー製造法は粉砕法とは異なりワックスを含む場合離型剤のワックスが表面に露出しにくく、着色剤、変性ワックスとの組み合わせることで、微分散に関し有利な製造法となる。
本発明では、粉砕法で製造したトナーについて中心として述べる。
【0011】
本発明に使用される結着樹脂は、非線状ポリマー樹脂(NL)と線状ポリマー樹脂(L)と変性ワックス(A1)を必須成分として含む。非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド等の縮重合反応により得られる従来公知の各種のポリマー樹脂が使用可能で特に限定されない。縮重合反応で得られるポリマー樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエステル・ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0012】
ポリエステル樹脂は、多価ヒドロキシ化合物と多塩基酸との縮重合によって得られるポリマーである。多価ヒドロキシ化合物としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した二価のアルコール単位体、その他の二価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体などが挙げられる。
【0013】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられる多塩基酸としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和若しくは不飽和の炭化水素基で置換した二価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。
【0014】
ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドの原料モノマーとしては、上記モノマー原料以外に、アミド成分を形成するモノマーとして、例えば、エチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン、6−アミノカプロン酸、ε−カプロラクタム等のアミノカルボン酸等が挙げられる。ここで、樹脂のガラス転位温度Tgは熱保存性の関係から55℃以上がよく、より好ましくは57℃以上が良い。
これらポリマー樹脂は、反応原料等の相違によって、非線状の構造を有するポリマーとなる場合と線状の構造を有するポリマーを得ることが出来る。
本発明においては、非線状ポリマー樹脂(NL)と線状ポリマー樹脂(L)の両方を使用するものである。
【0015】
本明細書で言う非線状ポリマー樹脂とは、実質的な架橋構造を有するポリマー樹脂を意味し、線状ポリマー樹脂とは架橋構造を実質的に有しないポリマー樹脂を意味する。架橋構造を有するポリマーを得るためには、例えば反応部位が3個所以上あるモノマーを反応原料の一部に用いて重合反応することにより得ることが出来る。非線状ポリマー樹脂(NL)と線状ポリマー樹脂(L)のいずれも、それぞれの樹脂を構成するモノマー単位の合計モルに基づき、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上、最も好ましくは90モル%以上のエステル単位を含むと良い。
【0016】
本発明において用いられる結着樹脂としては、非線状ポリマー(NL)と線状ポリマー(L)の樹脂以外に、縮重合系樹脂ユニットと付加重合系樹脂ユニットとが化学的に結合した混合樹脂(H)(ハイブリッド樹脂とも言う)を併用することができる。このハイブリッド樹脂は、縮重合系樹脂ユニットの原料モノマーと付加重合系樹脂ユニットの原料モノマーを含む混合物を用い、同一反応容器中で縮重合反応と付加重合反応を同時に並行反応して行うか、又は縮重合反応と付加重合反応または付加重合と縮重合反応を順次行うことにより得ることができる。この場合、樹脂(NL)、(L)、(H)の全てが少なくとも同種のポリマーユニットを含有するようにすることが望ましい。これらの混合樹脂を用いることにより、更に離型剤の分散性が好ましくなり、フィルミングに対する効果が向上すると同時に、幅広い定着可能温度域が得られ、耐熱保存性(ブロッキング性)およびかぶりに対しても良好なトナーを得ることが出来る。
【0017】
重縮合系樹脂ユニットのモノマーとしては、前記した樹脂(NL)、(L)に関して記載したモノマーが使用できる。一方、付加重合反応で得られるポリマー樹脂としては、ラジカル重合によりビニル系樹脂が代表的であるが、特に限定されるものではない。付加重合系樹脂の原料モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、ビニルナフタレン、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン系不飽和モノオレフィン類、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、酢酸ビニル、ぎ酸ビニル等のビニルエステル類、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルエミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸及びそのエステル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のエチレン性モノカルボン酸置換体、マレイン酸ジメチル等のエチレン性ジカルボン酸及びその置換体、例えばビニルメチルケトン等のビニルケトン類が挙げられる。また、必要に応じて架橋剤を添加することができる。付加重合系モノマーの架橋剤としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリルなど、一般の架橋剤を用いることができる。
これら架橋剤の使用量は、付加重合系樹脂の原料モノマー100部を基準として、0.05〜15重量部より好ましくは0.1〜10重量部である。0.05重量部未満の場合は架橋剤の効果がない。15重量部以上の場合、熱による溶融が困難となり、熱を用いて定着する際にトナーが定着不良となる。
【0018】
付加重合系樹脂の原料モノマーを重合させる際に重合開始剤を使用する。例えば、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、その他のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、又は、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物重合開始剤が挙げられる。これらは、重合体の分子量および分子量分布を調節する目的で二種類以上の重合開始剤を混合して使用することもできる。重合開始剤の使用量は、付加重合系樹脂の原料モノマー100重量部を基準として、0.05〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
【0019】
縮重合系樹脂ユニットと付加重合系樹脂ユニットが化学的に結合されたハイブリット樹脂(H)は、例えば同一反応容器内に両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物を用いて重合することによって得ることが出来る。このような両反応性モノマーとしては、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸ジメチル等の化合物が挙げられる。両反応性モノマーの使用量は、付加重合系樹脂ユニットの原料モノマー100重量部を基準として、1〜25重量部、好ましくは2〜10重量部である。1重量部より少ないと着色剤や帯電制御剤の分散が悪くかぶりなどの画像品質が悪化する虞がある。一方、25重量部より多いと樹脂がゲル化してしまうことがある。
【0020】
以上のようなハイブリット樹脂は、同一反応容器内であれば、両反応(縮重合反応と付加重合反応)の進行および/または完了を同時に(並行反応)するほかに、それぞれの反応温度、時間を選択して、独立に反応の進行を完了することができる。例えば、反応容器中にポリエステル樹脂の縮重合系原料モノマーの混合物中に、ビニル系樹脂の付加重合系原料モノマーおよび重合開始剤からなる混合物を滴下してあらかじめ混合し、まずラジカル反応によりビニル系樹脂からなる重合反応を完了させ、次に反応温度を上昇させることにより縮重合反応によりポリエステル樹脂からなる縮重合反応を完了させる方法がある。このように反応容器中で独立した2つの反応を進行させることにより、2種の樹脂ユニットを効果的に分散、結合させることが可能である。
【0021】
前記各樹脂の配合量は、非線状ポリマー樹脂(NL)と線状ポリマー樹脂(L)とハイブリット樹脂(H)との合計量を100重量部としたときに、非線状ポリマー樹脂(NL)は30〜70重量部、線状ポリマー樹脂(L)は30〜70重量部、ハイブリット樹脂(H)は5〜30重量部が好ましい。
また特に、該ポリマー(NL)とポリマー(L)とハイブリット樹脂(H)の軟化点(Tm)とガラス転移点(Tg)が下記式を満足した場合、更なる定着可能温度幅と粉砕性を高めることが可能である。
(4)Tm(NL)>Tm(H)>Tm(L)
(5)|Tg(NL)−Tg(L)|<10(℃)
(6)30≦Tm(NL)−Tm(L)≦60(℃)
Tm(NL)>Tm(H)>Tm(L)を満足することによって、かぶりに改善効果がある。これは、ハイブリッド樹脂(H)がポリマー(NL)とポリマー(L)をうまく分散させるためと考えられる。また、|Tg(NL)−Tg(L)|が10℃以下とすることで、トナー混練時に相溶性が良くなり、分散性向上によりかぶりの発生がなかった。より好ましくは7℃以下である。また、Tm(NL)−Tm(L)を30℃〜60℃とすることで幅広い定着可能温度領域を保つことができる。より好ましくは、35〜55℃である。
【0022】
なお、ここで用いた結着樹脂の軟化温度は高架式フローテスター(島津製作所製)を用いてJIS K72101に記載された方法に準拠して行なった。1cmの資料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより20Kg/cmの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これにより、プランジャー降下量−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
【0023】
又、ガラス転移点は島津製作所製示差走査熱量計DSC−60を用いて、10℃/分で室温から200℃まで昇温した後、降温速度10℃/分で室温まで冷却した後、昇温速度10℃/分で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)とする。
また特に、非線状ポリマー樹脂(NL)の酸価20〜70mgKOH/g以上もしくは、線状ポリマー樹脂(L)の酸価7〜70mgKOH/gである場合に、低温定着性および環境安定性に優れるため好ましい。これは、酸価を高くすることで、紙と樹脂との相溶性がよくなりさらなる低温定着化が図れたためと考えられる。70mgKOH/g以下にすることで空気中簿水分の影響を少なでき、トナー帯電量が安定することで、外気に関係なく安定した画像濃度を得ることが可能となる。
【0024】
前記したように、低温定着性を有する線状ポリマー(L)と、耐ホットオフセット性を有する非線状ポリマー(NL)として同種のポリマーを使用することで、結着樹脂の分散性を高め定着可能温度範囲を広げることが可能である。しかし、従来の低温定着性の高いポリマー樹脂のみを混合して使用した場合、離型剤と結着樹脂の相溶性が悪いために、粉砕法でトナーを作成した場合、離型材が表面に露出しやすくなり現像機内への融着などの不具合が発生する。従来は分散性を改良するために、これら2種類の樹脂に相溶性の異なる樹脂を混合(例えば線状ポリエステルや非線状ポリエステル樹脂にスチレンアクリル樹脂を混合)することが試みられているが、着色剤等の分散も同時に悪くなりかぶりの発生がある。
【0025】
本発明者らは、前記樹脂(NL)と樹脂(L)とからなるか又は樹脂(NL)と樹脂(L)と樹脂(H)とからなる結着樹脂中に、更に特定の変性ワックス(A1)を混合する時には、その変性ワックス(A1)は該結着樹脂中に適度に分散し、かつ該変性ワックス(A1)中に好ましい量の離型剤が含有されることを見出した。該変性ワックス(A1)は、ワックス部分(A)と、エステル基濃度が8〜30重量%のビニルポリマー部分(B)からなる。前記のような結着樹脂中に更にこのような変性ワックス(A1)を分散させた構造のトナーにおいては、離型剤のトナー表面への露出が少なくなるため現像機内へのフィルミングを抑制でき、かつ離型剤はトナー表面近傍に存在するようになるため、定着ローラ等の離型性が必要な定着装置において熱又は圧力によって速やかに離型剤の析出が起り、離型効果が発揮される。
【0026】
本発明で用いる変性ワックス(A1)は、例えば、少なくともワックス(A)の一部が主鎖を構成し、ビニルポリマー(B)とからなる側鎖とグラフト共重合しているもの、ワックス(A)の一部が側鎖で、ビニルポリマー(B)とからなる主鎖とグラフト共重合しているものなどがあるが、少なくともワックス(A)の一部が主鎖を構成し、ビニルポリマー(B)とからなる側鎖とグラフト共重合しているものが、離型剤の分散の面で好ましい。変性ワックスこの場合、ビニルポリマー中にはポリエステル基が存在し、そのビニルポリマー中のエステル基濃度は8〜30重量%であることが必要である。また、変性ワックス(A1)は、ビニルポリマー(B)でグラフト化されたワックス及び(B)の(共)重合体も含んでいる場合も指す。
【0027】
この変性ワックス(A1)の主鎖を構成するワックス(A)は、グラフト化可能なものであればよく、従来公知の各種のワックスを用いることができるが、特に、ポリオレフィン系樹脂、より好ましくは、熱減成型ポリオレフィン系樹脂が良い。
ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂(A)としては、オレフィン類の重合体、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物、オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物などが挙げられる。
オレフィン類の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。オレフィン類の重合体の酸化物としては、上記オレフィン類の重合体の酸化物等が挙げられる。オレフィン類の重合体の変性物としては、上記オレフィン類の重合体のマレイン酸誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル等)付加物などが挙げられる。
オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物としては、不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等]、不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(C1〜C18)エステル、マレイン酸アルキル(C1〜C18)エステル等]等の単量体とオレフィン類との共重合体等が挙げられる。本発明において用いるポリオレフィン系樹脂は、ポリマー構造がポリオレフィンの構造を有していれば良く、モノマーが必ずしもオレフィン構造を有している必要はない。例えば、ポリメチレン(サゾールワックス等)等も使用することができる。
【0028】
これらポリオレフィン系樹脂のうち、好ましいものは、オレフィン類の重合体、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物であり、さらに好ましくは、ポリエチレン、ポリメチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレン等であり、特に好ましいものは、ポリエチレンおよびポリプロピレンである。
【0029】
ワックス(A)の軟化点は、通常70〜150℃であり、好ましくは80〜130℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。軟化点が80℃を超えるとトナーの流動性が良好となり、150℃未満で充分な離型効果を発揮する。キャリア等へのフィルミング及び離型性の観点から、ワックス(A)の数平均分子量は通常500〜20000、重量平均分子量は800〜100000であり、好ましくは数平均分子量は1000〜15000、重量平均分子量は1500〜60000、さらに好ましくは、数平均分子量は1500〜10000、重量平均分子量は2000〜30000である。
ポリオレフィン系樹脂の針進入度は、通常5.0以下であり、好ましくは3.5以下であり、さらに好ましくは、1.0以下である。
【0030】
ビニルポリマー(B)は、従来公知の各種のビニルポリマーから形成される。この場合、ビニルポリマーには、エステル基を有するビニルモノマー成分を含有する。このようなエステル基を有するビニルモノマー(B1)としては、不飽和カルボン酸のアルキル(炭素数1〜8)エステル[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]、ビニルエステル系モノマー(酢酸ビニルなど)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、(メタ)アクリル酸アルキルであり、さらに好ましくは、そのアルキル鎖の炭素数が1〜5である(メタ)アクリル酸アルキルである。
ビニルポリマー(B)を構成するモノマーには、前記エステル基を有するビニルモノマーの他に、ビニルポリマー部分(B)のエステル基濃度が8〜30重量%となるように、必要に応じ、エステル基を有さない共重合可能な各種のビニルモノマーが併用される。このようなエステル基を有さないモノマーとしては例えば芳香族ビニルモノマー(B2)が包含されるが、その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレンなどのスチレン系モノマーが挙げられる。これらのうち特に好ましいものはスチレンである。
【0031】
ビニルモノマーからなるビニルポリマー(B)の分子量は、数平均分子量で1500〜100000、重量平均分子量で、5000〜200000であり、好ましいのは数平均分子量で2500〜50000、重量平均分子量で6000〜100000、特に好ましいのは数平均分子量で2800〜20000、重量平均分子量で7000〜50000である。
ビニルポリマー(B)のTg(ガラス転移点)は通常40〜90℃であり、好ましいのは45〜80℃、特に好ましいのは50〜70℃である。Tgが40℃以上で保存性が良好となり、90℃以下の場合低温定着性が良好になる。
【0032】
本発明において変性ワックス(A1)の側鎖(B)のエステル基濃度の重量%は下記式で定義される。エステル基濃度の重量%が、8%より低いと結着樹脂との相溶性が悪く、また、30%より高いと離型剤との相溶性が悪くなり、いずれの場合も結着樹脂中で離型剤の分散が不良となる。エステル基濃度は、好ましくは10〜25重量%、より好ましくは12〜20重量%である。
エステル基濃度=Σ(44/Mwi x Wi) (1)
Mwi:エステル基を含有するモノマーの分子量
Wi: エステル基を含有するモノマーの仕込み比率(wt%)
例えば、ビニルポリマーが、2種のエステル基を含有するモノマー1(分子量M1、使用量W1)とモノマー2(分子量M2、使用量W2)ならびに1種のエステル基を含有しないモノマー3(分子量M3、使用量W3)から製造された場合のエステル基濃度Cは、下記式で計算される。
C=[{(44/M1)x W1/(W1+W2+W3)}+{(44/M2)x W2/(W1+W2+W3)}]x100
【0033】
本発明のトナーでは、少なくともワックス部分(A)と、ビニルポリマー部分(B)からなる変性ワックス(A1)を含有することが必須の条件である。これは、変性ワックス(A1)が離型剤との相溶性に優れているワックス部分(A)と、非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂との相溶性に優れているビニルポリマー部分(B)から構成されているため、離型剤と非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂の両方に対する相溶性に優れている。その結果、結着樹脂と離型剤両方と相溶性が良好であるため、離型剤の分散径を小さくできるからである。本発明において、ワックス(A)およびビニルポリマー(B)を変性させずに他のトナー構成材料(結着樹脂、着色剤、離型剤)と共にトナー化すると、離型剤と結着樹脂の相溶性の差が大きいため、結着樹脂と離型剤各々が独立に存在する結果、離型剤が大径となりかつ不均一径となり、所望の分散状態が得られない。また、本発明では、変性ワックス(A1)中のワックス部分(A)とビニルポリマー部分(B)との重量比率[A]/[B](R値)は、0.01〜0.45が好ましい。これは、R値が0.45より大きいと(B)のグラフトしていない(A)そのものを分散させてしまうために、添加した離型剤を十分に分散できず、またR値が0.01より小さいと添加した離型剤に変性ワックス(A1)が十分に相溶せず離型剤の分散が悪化するためである。好ましいR値は0.05〜0.25である。
【0034】
変性ワックスは、ワックスを重合開始剤(過酸化物)の存在下ビニルモノマーと反応させることにより得られる。この場合の反応機構は明らかではないが、主鎖ワックス(A)の水素基が重合開始剤(過酸化物)により脱水素を起こし、直鎖状のワックスを虫食いのように水素基が抜けた部位にビニル基がラジカル反応して、側鎖状にビニルポリマーが付加するものと考えられる。この主鎖・側鎖構造をとることで、離型剤と相溶性が良い主鎖(ワックス)が離型剤を実質的に内包し、髭状の側鎖を構成する結着樹脂と相溶性のよいビニルポリマーが外側にくることで、海島構造を構成し離型剤を結着樹脂中に適度に分散させることがより可能となる。
【0035】
トナー中の離型剤としてのワックスを内包し、確実に2種類の界面を存在させるために、変性ワックス(A1)の含有量Xとトナー中の離型剤の含有量Yが下記式を満足することが好ましい。
0.5≦X/Y≦3
又、Y/Xが、0.5より小さいと、ワックスの分散が不充分で、分散粒径が大きくなり透明性が悪化し、3よりも大きいと結着樹脂の低温定着性、熱保存性を阻害する傾向がある。変性ワックス(A1)の結着樹脂に対する割合は、結着樹脂100重量部に対し好ましくは3〜20重量部である。
【0036】
変性ワックス(A1)の製法を例示すると、例えば、まず、ポリオレフィン系樹脂等のワックスをトルエン、キシレン等の溶剤に溶解または分散させ、100℃〜200℃に加熱した後、ビニルモノマーをパーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリブチルパーオキシドベンゾエート等)とともに滴下重合後、溶剤を留去する。これにより、変性ワックス(A1)が得られる。
上記グラフト重合反応で用いるパーオキサイド系開始剤の量は、反応原料の重量に基づいて通常0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0037】
前記の反応によって得られる変性ワックス(A1)には、未反応のワックス及びビニルモノマー同志の重合により生成した遊離のビニルポリマーが混入することがあるが、本発明の場合、これらのワックス及びビニルポリマーは、変性ワックス(A1)から分離除去する必要はなく、変性ワックス(A1)は、それらの成分を含む混合樹脂として好ましく用いることができる。この混合樹脂において、ワックスの含有量は、ワックスとビニルポリマーの合計重量に基づき、通常1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0038】
本発明において使用される離型剤としては、従来公知の各種のものが用いられる。このようなものには、例えば、カルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、合成エステルワックス、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスが挙げられる。これらのものは単独又は組み合わせて使用することができるが、特にカルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、ポリオレフィンワックス及び合成エステルワックスが、低温定着性とホットオフセット性を両立する点で好ましい。カルナウバワックスとしては、カルナウバヤシの葉から得られる天然のワックスであるが、微結晶のものが良く、酸価が5以下のものが結着樹脂中に均一分散が可能であることから好ましい。また、遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのものがさらに好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米糠から抽出される米糠油を精製する際に、脱ろうまたはウィンタリング工程で製出される粗ろうを精製して得られる天然ワックスであり、その酸価は、10〜30が好ましい。合成エステルワックスは単官能直鎖脂肪酸と単官能直鎖アルコールからエステル反応で合成される。
【0039】
これらの離型剤の使用量は、トナー中の結着樹脂成分100重量部に対して1〜15重量部の範囲が一般的であるが、本発明においては好ましくは2重量部以上、10重量部以下が良い。これは、表面への離型剤の露出量を適度にコントロールできフィルミングと耐オフセット性の両立が更に高まるためである。離型剤の露出量や離型剤の分散径は、例えば離型剤の添加量や混錬時のシェア(せん断力)のかけ方(混錬温度など)によりを調整可能である。また、トナーバインダー中に分散させる前の離型剤の体積平均粒径は10μm〜1mmが一般的であるが、本発明においては特に10〜800μmが好ましい。更に好ましくは20μm〜500μmである。これは、トナーバインダー中の分散径をコントロールすることで、粉砕後トナーの離型剤のトナー表面への露出を適度に保てる。尚、粒径の測定は堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いる。なお、前記トナー中の離型剤の量は、トナーの製造に際して加えられる離型剤量であって、変性ワックス(A1)中に含まれるワックス量は除かれる。
【0040】
本発明の離型剤の形状は粒子の円形度が0.67以上の実質的に球形を有することが好ましい。これは離型剤成分が球形の場合、混練される時に離型剤粒子が受ける力が均一に働くため、分散径が不定形の離型剤よりもさらに均一となる。
なお、離型剤の円形度の測定は、反射型走査電子顕微鏡、光学顕微鏡により撮影された離型剤粒子の写真画像を画像解析装置ルーゼックスIIIU(株式会社ニレコ)を用い画像解析により求めることが出来る。
離型剤円形度=離型剤粒子面積/(離型剤粒子最大長)×4/π≧0.67
ここで、離型剤円形度は平均値で表した離型剤粒子の長径/短径の差(歪み)を表す形状指数で、離型剤粒子面積とは、離型剤粒子の投影面積を、また離型剤粒子最大長とは離型剤粒子の最大直径をそれぞれ意味する。円形度は離型剤形状が球に近いほど1.0に近づく。
【0041】
実質的に球形である離型剤粒子の製造方法は、熱溶融した離型剤成分を小径ノズルより吐出し瞬時に冷却する、いわゆる溶融スプレー法により作る事ができる。この時のノズル径、溶融粘度などにより、離型剤粒子の粒径をコントロールすることができ、溶融温度は100〜200℃の範囲が適当である。
なお、トナー混錬前の離型剤粒子の形状は実質的に球状であっても、混練され微分散された後のトナー中における離型剤の形状は、必ずしも球形である必要はなく、形状は限定されない。
【0042】
本発明では、非線状ポリマー樹脂(NL)の溶解パラメータSP(NL)、線状ポリマー樹脂(L)の溶解パラメータSP(L)、離型剤(W)の溶解パラメータSP(W)及び変性ワックス(A1)の溶解パラメータSP(A1)が下記式を満足することが、離型性とフィルミングのバランスが取れることから更に好ましい。
(1)SP(W)<SP(A1))<SP(NL)<SP(L)
(2)0.2<SP(NL)−SP(A1)<1
(3)0.8≦SP(NL)−SP(W)
【0043】
本発明でいう溶解度パラメーターSP値(δ)は、以下の求め方により求められる。
SP値は、凝集エネルギー密度の関数として次の式で定義されている。
δ=(ΔE/V)1/2
ΔE:分子間凝集エネルギー(蒸発熱)
V:混合液の全体質
ΔE/V:凝集エネルギー密度
また、SP値を用いて、混合による熱量変化ΔHmは次の式で示される。
ΔHm=V(δ1−δ2)・Φ1・Φ2
δ1:溶媒のSP値
δ2:溶質のSP値
Φ1:溶媒の体積分率
Φ2:溶質の体積分率
この式より、δ1、δ2の値が近い程、△Hmは小さくなり、Gibbsの自由エネルギーが小さくなるので、SP値の差が小さいもの同士は親和性が高くなるものと考えられる。実際にSP値を求める方法としては、SP値が既知の各種溶剤との樹脂の溶解性を比較することで、最もよく相溶する溶剤のSP値から未知の樹脂のSP値を設定した。
また、その他SP値の求め方としては、樹脂のモノマー組成が判明している場合には以下のFedorらの方法を用いて計算できる。
SP値=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
Δei:原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:原子または原子団のモル体積
本発明では、主にモノマー組成から計算により求めた値を用いた。
【0044】
所望の離型性を得るためには、離型剤の結着樹脂中への分散状態が大きく影響する。離型剤は結着樹脂中に相溶してしまうと離型剤本来の融点を示さなくなり離型性を発現できないため、ドメインとして適度に分散して存在することにより初めて、その効果を発現できるものである。従って、混練粉砕法により製造されるトナーの場合、結着樹脂と相溶性の悪い離型剤を用いた方が有利である。ドメインの分散径は、離型剤が結着樹脂をはじめとするトナー組成物と共に溶融混練される段階で決定され、二者の相溶性が悪いほど離型剤の分散性は悪くなり、分散径も大きくなる。しかし、離型剤の分散径が大きいと、トナー粒子表面近傍に存在する離型剤の割合が相対的に増加し、定着時の加熱によりトナー表面にしみ出しやすくなるため、耐オフセット性という点では効果的であるが、同時に、粉砕の際に離型剤部分がトナー表面に露出しやすくなり、離型剤がキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたり、凝集性を示して流動性が悪化したりして良好な画質を得るのを妨げるという問題があったが、本発明の場合、非線状ポリマー樹脂(NL)、線状ポリマー樹脂(L)、変性ワックス(A1)及び離型剤(W)の溶解パラメータを上記の関係を満足する範囲とすることで、それらの相溶状態が最適となることで、耐フィルミング性と耐オフセット性の両立が更に高まる。
【0045】
本発明において、トナー中の樹脂成分として、上記記載の樹脂以外の樹脂を、トナーの性能を損なわない範囲で、併用することもできる。この場合の使用可能な樹脂としては、例えばポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。また、これらの製造法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
【0046】
本発明では、3価以上のサリチル酸金属化合物を用いることにより、ホットオフセット性に改善効果が見られた。これは、3価以上のサリチル酸金属錯体を含有させることで、金属錯体が、結着樹脂と離型剤の反応性が高い部分と反応し軽度の架橋構造を作ることで耐ホットオフセットの改良効果があるためと考えられる。本発明で用いたサリチル酸化合物は例えば下記式のものを示すことができる。
【0047】
【化1】
Figure 0003597525
【0048】
前記式中、R、R、R及びRは、水素原子又は、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜18のアリル基が望ましい。R、R、R及びRは同時に同じであっても異なっていてもよい。RとR、RとR又はRとRは、結合により置換機基を有してもよい芳香族環又は脂肪族環を形成するものであってもよい。Mは金属を示し、mは3以上の整数、nは2以上の整数である。この金属化合物の中心金属Mとしては、3価以上のあらゆる金属が可能であるが、Fe、Ni、Al、Ti及びZrが好ましく、人体に対する安全性などを考慮するとFeが特に好ましい。
【0049】
サリチル酸金属化合物の含有量がトナー100重量部に対して、0.05〜10重量部の割合にするのが好ましく、この場合には、耐ホットオフセット性への効果がある。0.05重量部未満の場合その効果が少なく、10重量部を超えるとホットオフセット性はさらに優れるが、低温定着性のメリットが小さくなる。
また、該非線状ポリマー樹脂(NL)の水酸基価が20mgKOH/g以上である場合、ホットオフセット性が優れている。これは、非線状ポリエステル樹脂の水酸基価がサリチル酸金属錯体との架橋構造に反応しやすい部位と弱い架橋を3次元的に構成していると考えられる。
【0050】
本発明の結着樹脂は、そのTHF可溶分により求められたGPCによる分子量分布において、1000〜10000の間に少なくとも1つのピークを有し、該ピークの半値幅が15000以下とすることにより、トナーの熱応答性が早くなり低温での定着が可能であった。より好ましくは半値幅は10000以下である。
【0051】
本発明において分子量測定に用いたGPC(Gel Permeation Chromatography)は次のように操作される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製したトナーのTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定に当っては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0052】
また、トナー中にクロロホルム不溶分を5〜40%含有させることにより、低温定着性を損なうこと無くホットオフセット性に余裕度が高いトナーを得ることができることが判明した。クロロホルム不溶分は、以下のように測定される。
トナー約1.0g(A)を秤量し、これにクロロホルム約50gを加えて20℃で24時間静置する。これを、まず遠心分離で分けJIS規格(P3801)5種Cの定量用ろ紙を用いてろ過する。このろ液の溶剤分を真空乾燥し樹脂分のみ残査量(B)を計測する。トナーの場合樹脂以外のクロロホルム不溶解成分量(W1)とクロロホルム溶解成分量(W2)は別途公知の方法例えばDSC−TG法、熱減量法等で求める。クロロホルム不溶分(重量%)は下記の式で与えられる。
クロロホルム不溶分=(A−B−W2)/(A−W1−W2)×100
【0053】
着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用することができる。本発明のトナーは、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0054】
本発明のトナーは、必要に応じて磁性体、帯電制御剤、添加剤などを含有することも可能である。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。これらの強磁性体は、平均粒径が0.1〜1μm程度のものが望ましく、好ましくは0.2〜0.4μmである。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは樹脂成分100重量部に対し30〜100重量部である。
【0055】
帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる極性制御剤も、単独あるいは混合して使用できる。負帯電制御剤としては、モノアゾ染料の金属塩、サリチル酸、ダイカルボン酸の金属錯体他等が挙げられる。これらの極性制御剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0056】
流動性改良剤としては、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる流動性改良剤をも単独あるいは混合して使用できる。これらの流動性改良剤の使用量は、トナー100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0057】
本発明においては、板状に加圧成形した際のトナーの表面摩擦係数が0.20以上とすることが好ましい。より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.30以上である。その上限値は0.35程度である。
トナー表面に露出している離型剤量を上記値とすることで、トナー中の離型剤が繰り返し使用時に感光体表面やスリーブ上に転移するいわゆるフィルミングを抑え、長期にわたって使用することが出来る。
【0058】
一般に、離型剤は摩擦係数が低く、トナー表面に存在する割合が多いほどトナー表面の摩擦係数は低くなる。また、実機内の物理的ストレスによってスペーサーの役割をしている添加剤が埋め込まれると、トナー母体(離型剤)が表面に出やすくなり摩擦係数は小さくなる。本発明においては、このようにトナー表面の摩擦係数を測定する手段として、トナーを板状に加圧成形し、その表面を測定する。このことは同時に、加圧することにより実機内の負荷および熱的負荷による離型剤のトナー表面への析出を代用しており、繰り返し使用時における安定性についても知ることができる。摩擦係数はトナー表面に露出している離型剤の量によりおもに決定するものであり、粉砕時の離型剤の露出および外添剤の付着状態により変化する。粉砕時の離型剤の露出は、混錬時の離型剤の分散径や粉砕条件によっても異なる。離型剤の方がもろいために粉砕界面となり微粉成分に多く含まれることから、離型剤の分散径を小さくする方(離型剤量や離型剤の原材料粒径、樹脂そのものや混錬条件による相溶状態の違い)が離型剤の露出は一般的に抑えられる。また、外添剤の摩擦係数は離型剤より大きく、被覆率や添加状態によっても摩擦係数をコントロールすることが出来る。
尚、本発明における摩擦係数は、3gのサンプルをダイで6トンの荷重を1分間加えて直径40mmの板状ペレットとし、この表面を測定装置として協和界面科学社製の自動摩擦・摩耗解析装置DFPM−SS型を用い、接触子としてステンレスボールを用いて測定した静止摩擦係数の値である。
【0059】
本発明のトナーにおいては、トナーの重量平均粒径(D4)が4〜7.5μmであり、かつ5μm以下の粒子が60〜80個数%の粒度分布を持ったものは、細線・中間調の再現性の点で好ましいものであった。さらに好ましいものは、D4が5〜7μmであり、かつ5μm以下の粒子が65〜75個数%である。これは、高精細かつ高解像の画像が得られることと離型剤成分が多く含まれる微粉によるフィルミングなどの耐久性との両立が更に図れるからである。
【0060】
重量平均粒径(D4)及び5μm以下個数%の測定は、米国コールターエレクトロニクス社製のコールターカウンターTAIIに個数分布,体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)接続して用いた。電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整して用いた。測定方法としては、前記電解液50〜100ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行ない。別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターカウンターTA−II型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて個数を基準として2〜40μmの粒子の30000個の粒度分布を測定し、2〜40μmの粒子の体積分布と個数分布を算出し、体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径を求めることが出来る。
【0061】
本発明のトナーにおいて、フロー式粒子像分析装置によって測定される個数基準の円相当径が0.6μm以上3μm未満の粒子の含有率は、25%以下が好ましい。更に好ましくは15%以下である。これは、コールターカウンター(TAII)では電気信号での抵抗変化の計測で測定しているため、2μm以下の微粒子はノイズによる影響が大きく、測定精度に欠け測定できなかったのに対して、フロー式粒子像分析装置は画像解析により計測を行なうため、2μm以下の微粒子の測定が可能となり、フロー式粒子像分析装置で測定される円相当経3μm以下の微粒子(以下超微粉トナー)を上記範囲にすることで、質量が小さいく、像担持体へ移動(現像)するために必要なクーロン力が現像スリーブとのワンデルワールス力よりも弱く、像担持体へ現像されずに現像剤中に蓄積し、摩擦熱などのストレスを受け最終的に現像スリーブ融着し、画像濃度低下や濃度ムラを発生させやすい超微粉トナーの影響を小さくすることが出来るからである。
また特に、フロー式粒子像分析装置によって測定される平均円形度が0.91以上である場合に、ライン画像における転写抜けが少ない良好な画像が得られた。更に好ましくはその平均円形度は0.93以上である。これは、トナー表面が充分に滑らかな為、像支持体との接点が減少し、静電荷保持体から転写材へのトナーの虫喰い転写不良が減少するためと考えられる。また、0.96以下とすることによって、クリーニング部のトナーのすり抜けが少なくなり,更に長寿命化が可能である。
【0062】
本発明において個数基準の円相当径が0.6μm以上3μm未万の粒子の含有率および平均円形度の測定は、(株)SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定することができる。装置および測定の概略は特開平8−136439号公報に記載されている。測定は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した後0.45μmのフィルターを通した液50〜100mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行ない、粒子濃度を5000〜15000個/μlに調整した分散液を用いて測定を行なった。粒子個数の測定は、CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出を行なう。CCDの画素の精度から、円相当径で0.6μm以上を有効とし粒子個数を得た。平均円形度の測定は、下記式により得られるものである。
平均円形度X=Σ(L/L)/n
(L:粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長、L:粒子の投影像の周囲長、n:全粒子数)
本発明における平均円形度はトナー形状凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合に1.0を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
【0063】
本発明の静電荷像現像用トナーを製造する方法には、前記粉砕法によるものだけでなく、いわゆる重合法によっても製造することができる。重合法には、乳化重合法、懸濁重合法、溶解懸濁法、少なくともポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を、有機溶剤に溶解/または分散させ、その組成物を水系媒体中で造粒し造粒下で重縮合反応が施された方法により製造されたトナー等がある。以下、本願発明のトナーの重合方法における様々な製造方法による製造例を説明する。乳化重合においては、(特開昭60−220358、特開平5−303231など)によって本願発明のトナーを製造することができる。また、懸濁重合においては、(特開昭59−028164、特開昭59−152447など)によって本願発明のトナーを製造することができる。溶解懸濁においては、(特開平10−020549、特開平11−024308など)によって本願発明のトナーを製造することができる。少なくともポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を、有機溶剤に溶解/または分散させ、その組成物を水系媒体中で造粒し造粒下で重縮合反応が施された方法においては、(特開2002−169336など)によって本願発明のトナーを製造することができる。本発明においては、この中でも特に少なくともポリエステル樹脂、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を、有機溶剤に溶解/または分散させ、その組成物を水系媒体中で造粒し造粒下で重縮合反応が施された方法によって製造することが、(ポリエステル系樹脂の使用が可能で、かつ分子量の制御が可能であるという)理由で好ましい。
【0064】
本発明によれば、上記トナーとキャリアを含んだ二成分現像剤が提供される。キャリアとしては、公知の各種のものが使用可能であり、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等及びこれらの表面を樹脂などで処理した物などが挙げられる。
キャリアには樹脂コーティングをしえるが、この場合の樹脂粉末としては、スチレン−アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等がある。スチレン−アクリル共重合体の場合は、30〜90重量%のスチレン分を有するものが好ましい。この場合スチレン分が30重量%未満だと現像特性が低く、90重量%を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
前記キャリアの樹脂コーティング用のコーティング剤は、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
さらに、本発明によれば、上記トナーを充填した静電荷像現像用トナー容器、該容器を装填した画像形成装置、上記トナーとキャリアを含む二成分画像形成用現像剤を充填した二成分画像形成用現像容器、および該現像剤容器を装填した画像形成装置が提供される。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、部数は全て重量部である。
【0066】
(結着樹脂製造例)
(1)非線状ポリマー樹脂(NL)の製造例
フマル酸:10mol、トリメリット酸:4mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド:6mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド:4molをステンレス攪拌棒、流下式コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を装備したフラスコに入れ、窒素雰囲気下で220℃の温度で攪拌しつつ縮重合反応し非線状ポエステル樹脂を得た。
【0067】
(2)線状ポリマー樹脂(L)の製造例
テレフタル酸:8mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド:6mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド:4molをステンレス攪拌棒、流下式コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を装備したフラスコに入れ、窒素雰囲気下で220℃の温度で攪拌しつつ縮重合反応し線状ポリエステル樹脂を得た。
【0068】
(3)ハイブリット樹脂(H)の製造例
付加重合反応モノマーとしてスチレン20mol、ブチルメタクリレート5mol、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド0.4molを滴下ロートに入れ、付加重合、縮重合両反応性モノマーとしてフマル酸:10mol、縮重合反応モノマーとして無水トリメリット酸:4mol、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド:6mol、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド:4mol、エステル化触媒としてジブチルスズオキシド60molをステンレス攪拌棒、流下式コンデンサー、窒素ガス導入管および温度計を装備したフラスコに入れ、窒素雰囲気下にて135℃で攪拌しつつ、滴下ロートより付加重合系原料をあらかじめ混合したものを5時間かけて滴下した。終了後135℃に保ったまま6時間熟成した後、220℃に昇温して反応して、ハイブリッド樹脂を得た。
【0069】
ポリマーの重合度は、ASTM E28−67に準拠した軟化点より追跡を行ない、所定の軟化点に達したときに反応を終了し、容器から抜き出し、冷却後粉砕して得ることが出来る。
【0070】
酸価および水酸基価はJIS K0070に記載された方法に準拠して測定を行なった。
【0071】
(キャリア製造例)
シリコ−ン樹脂(オルガノストレ−トシリコ−ン) 100重量部
トルエン 100重量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ 5重量部
カ−ボンブラック 10重量部
上記混合物をホモミキサ−で20分間分散し、コ−ト層形成液を調整した。このコ−ト層形成液を流動床型コ−ティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1000部の表面にコ−ティングして磁性キャリアAを得た。
【0072】
(変性ワックス製造例−1)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、ワックスとしての低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製 サンワックスLEL−400:軟化点128℃)150部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン594部、メタクリル酸メチル255部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.3部およびキシレン120部の混合溶液を155℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基濃度:13.2%、数平均分子量:3300、重量平均分子量:12000、ガラス転移点:65.2℃、SP値10.1の変性ワックス(W−1)を得た。また、この変性ワックス(W−1)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.18であった。
【0073】
(変性ワックス製造例−2)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、カルナウバワックス(東亜化成(株)製:軟化点75℃)150部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン594部、メタクリル酸メチル255部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.3部およびキシレン120部の混合溶液を160℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基濃度:13.2%、数平均分子量:3400、重量平均分子量:12300、ガラス転移点:64.8℃、SP値10.1の変性ワックス(W−2)を得た。また、この変性ワックス(W−2)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.18であった。
【0074】
(変性ワックス製造例−3)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業(株)製 サンワックスLEL−400:軟化点128℃)200部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン600部、アクリル酸ブチル200部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート16.1部およびキシレン120部の混合溶液を155℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基濃度:8.5%、数平均分子量:5300、重量平均分子量:18500、ガラス転移点:52.0℃、SP値10.0の変性ワックス(W−3)を得た。また、この変性ワックス(W−3)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.25であった。
【0075】
(変性ワックス製造例−4)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製 ビスコール440P:軟化点153℃)200部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン280部、メタクリル酸メチル520部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート32.3部およびキシレン120部の混合溶液を150℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基準濃度:28.6%、数平均分子量:3300、重量平均分子量:16000、ガラス転移点:58.8℃、SP値9.7の変性ワックス(W−4)を得た。また、この変性ワックス(W−4)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.25であった。
【0076】
(変性ワックス製造例−5)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン400部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製 ビスコール440P:軟化点153℃)150部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン665部、アクリル酸ブチル185部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート8.5部およびキシレン120部の混合溶液を160℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基準濃度:7.49%、数平均分子量:8300、重量平均分子量:22900、ガラス転移点:60.5℃、SP値10.0の変性ワックス(W−5)を得た。また、この変性ワックス(W−5)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.18であった。
【0077】
(変性ワックス製造例−6)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製 ビスコール440P:軟化点153℃)200部を入れ充分溶解し、窒素置換後、スチレン200部、メタクリル酸メチル600部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート32.3部およびキシレン120部の混合溶液を150℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基準濃度:33.0%、数平均分子量:3200、重量平均分子量:17000、ガラス転移点:55.3℃、SP値9.7の変性ワックス(W−6)を得た。また、この変性ワックス(W−6)の主鎖含有量[A]と側鎖含有量[B]との比(R値)は0.25であった。
【0078】
(ビニルポリマー製造例−7)
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン450部を入れ、窒素置換後、スチレン700部、メタクリル酸メチル300部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート34.3部およびキシレン120部の混合溶液を155℃で2時間で滴下し重合し、さらにこの温度で1時間保持した。次いで脱溶剤を行い、エステル基準濃度:13.2%、数平均分子量:3500、重量平均分子量:9100、ガラス転移点:68.8℃、SP値10.4のビニルポリマー(W−7)を得た。
【0079】
(実施例1)
非線状ポリエステル樹脂(NL) 50部
(酸価16.3mgKOH/g、水酸基価35.1mgKOH/g、軟化点145.1℃、ガラス転移点61.5℃、分子量分布(Mp:4000、半値幅:10000)、SP値:11.2)
線状ポリエステル樹脂(L) 50部
(酸価2.1mgKOH/g、水酸基価34mgKOH/g、軟化点100.8℃、ガラス転移点60.3℃、分子量分布(Mp:6000、半値幅:22000)、SP値:10.7)
低分子量ポリエチレン(W)
(粒径600μm、円形度0.85、SP値8.5) 4.5部
カーボンブラック(#44:三菱化成製) 8部
3−5ジtertブチルサリチル酸Zn(II)錯体 3部
変性ワックス(W−1) 5部
これらの混合物をヘンシェルミキサー中で十分攪拌混合した後、ロールミルで130℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後得られた混練物をハンマーミルにて200〜400μmに祖粉砕した後、ジェット気流を用いて衝突版に粗粉砕物を直接衝突させ微粉砕する微粉砕装置と前記微粉砕装置で得られた微粉砕粉を分級室内に旋回流を形成し、粉砕物を遠心分離して分級する風力分級装置を一体に有するIDS−2型粉砕分級装置(日本ニューマチック工業製)にて粉砕分級をおこない分級上がりトナーを得た。所望の粒径分布は、コールターカウンターで測定を行い、被粉砕物の供給量、粉砕用高圧空気の圧力および流量、ならびに粉砕用衝突部材の形状、分級装置内ではエアーが吸引される際のエアーの流入位置や流入方向、排気ブロワー圧等を変更することによって得ることができる。
このトナーaの断面を、透過型電子顕微鏡で観察したところ、離型剤が樹脂と非相溶で海島状の相分離構造を有し、海状の樹脂(ポリエステル)に、島状の樹脂(ビニルポリマー)が分散し、該島状樹脂(ビニルポリマー)の中に、長径0.5〜1μmのほぼ均一な大きさで、実質的に離型剤が内包されていた。離型剤を包むように、ビニルポリマーが覆い、その更に外側にポリエステル樹脂が存在する。トナーの断面を取ると、一粒子当たり5〜50箇所に分散する。図1にトナー断面を取った場合の分散の概略図を示す。このトナー母体100部に対し、添加剤としてジクロロジメチルシラン処理された疎水性シリカR972(日本アエロジル社製、平均一次粒子径0.016μm)0.6部と、オクチルトリメトキシシラン処理された疎水性酸化チタンT805(日本アエロジル社製、平均一次粒子径0.02μm)0.2部をヘンシェルミキサーにて混合し、トナーを作製し、表1記載の特性を持ったトナーaを得た。
表1中、ゲル分はクロロフォルム不溶分を、FPIAはフロー式粒子像分析装置によって測定される円相当径が0.6μm以上3μm未満の粒子の含有率を意味する。
なお、トナーの摩擦係数はトナー3gを錠剤成型ダイスに投入し、荷重6tにて1分間加圧して、直径40mmの板状トナーペレットを作成した。このペレットを前述の自動摩擦・摩耗解析装置(協和界面科学社製DFPM−SS型)にて、接触子にステンレスボールを用いた点接触方式、荷重50g、ストローク10mmの条件で測定した。
【0080】
(実施例2)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を(W−2)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーbを得た。
【0081】
(実施例3)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を(W−3)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーcを得た。
【0082】
(実施例4)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を(W−4)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーdを得た。
【0083】
(実施例5)
実施例1において、低分子量ポリエチレン(粒径600μm、円形度0.85)をカルナウバワックス(粉砕法:粒径900μm:円形度0.54)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーeを得た。
【0084】
(実施例6)
実施例1において、低分子量ポリエチレン(粒径600μm、円形度0.85)をカルナウバワックス(溶融スプレー法:平均粒径600μm、円形度0.75、SP値8.6)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーfを得た。
【0085】
(実施例7)
実施例6において、トナー作製時に使用する樹脂として、非線状ポリエステル樹脂(NL)50部と線状ポリエステル樹脂(L)50部を、非線状ポリエステル樹脂(NL)40部と線状ポリエステル樹脂(L)50部に変更し、ハイブリッド樹脂(H)を(酸価24.5mgKOH/g、水酸基価25.1mgKOH/g、軟化点113.5℃、ガラス転移点59.5℃)10部とした以外は実施例6と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーgを得た。
【0086】
(実施例8)
実施例7において、3−5ジtertブチルサリチル酸Zn(II)錯体を3−5ジtertブチルサリチル酸Fe(III)錯体に変更した以外は実施例7と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーhを得た。
【0087】
(実施例9)
実施例7において、トナー作製時に使用する樹脂として、非線状ポリエステル樹脂(NL)40部と線状ポリエステル樹脂(L)50部を、非線状ポリエステル樹脂(NL)35部と線状ポリエステル樹脂(L)65部に変更した以外は実施例7と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーiを得た。
【0088】
(実施例10、11)
実施例9において、トナー粉砕時に披粉砕物の供給量および粉砕エアー圧を変更し表1記載の粒径分布を有するトナーに変更した以外は実施例9と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーj、kを得た。
【0089】
(比較例1)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を(W−5)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーlを得た。
【0090】
(比較例2)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を(W−6)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーmを得た。
【0091】
(比較例3)
実施例1において、変性ワックス(W−1)をビニルポリマー(W−7)に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーnを得た。
【0092】
(比較例4)
実施例1において、非線状ポリエステル樹脂(NL)50部、線状ポリエステル樹脂(L)50部を非線状ポリエステル樹脂(NL)100部、線状ポリエステル樹脂(L)0部に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーoを得た。
【0093】
(比較例5)
実施例1において、非線状ポリエステル樹脂(NL)50部、線状ポリエステル樹脂(L)50部を非線状ポリエステル樹脂(NL)0部、線状ポリエステル樹脂(2)100部に変更した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーpを得た。
【0094】
(比較例6)
実施例1において、変性ワックス(W−1)を除いた以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーqを得た。
【0095】
(比較例7)
実施例1において、樹脂W−1:5部(変性ワックス)をW−7:4.5部、低分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製 サンワックスLEL−400:軟化点128℃)0.5部のワックス(A)とビニルポリマー(B)を変性させずにトナー化した以外は実施例1と同様に行い、表1に示す物性を有するトナーrを得た。このトナーrの断面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、海状の樹脂(ポリエステル)に、長径0.2〜3μmの大きさに不均一に離型剤が島状に非相溶で海島状の相分離構造を有していた。
【0096】
【表1】
Figure 0003597525
【0097】
上記トナーa〜qの4部に対して、キャリアA96部とをボールミルで混合し、二成分現像剤1〜17を作成し、以下の評価を行った。その評価結果を表2に示す。
【0098】
(定着性評価)
定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した(株)リコー製複写機 MF−4550の定着部を改造した装置を用いて、これにNBSリコー製のT6200複写印刷用紙をセットし複写テストを行った。定着温度を変えてホットオフセット発生温度を求めた。尚コールドオフセットの評価条件は、紙送りの線速度を140mm/sec、面圧1.2Kgf/cm、ニップ幅3mm、高温オフセットの評価条件は紙送りの線速度を50mm/sec、面圧2.0Kgf/cm、ニップ幅4.5mmと設定した。
コールドオフセット発生温度及び高温オフセット発生温度を測定して、その耐オフセット性を以下のように評価した。
【0099】
(耐コールドオフセット性)
◎:125℃未満、
○:125〜135、
□:135〜145、
△:145〜155、
×:155以上
(耐ホットオフセット性)
◎:201℃以上、
○:200〜191℃、
□:190〜181℃、
△:180〜171、
×:170以下
【0100】
(画像濃度評価、濃度ムラ、細線再現性、かぶり評価)
上記評価は、感光体に当接するクリーニングブレードおよび帯電ローラを有する(株)リコー製複写機 MF−4550に、上記現像剤を用いて、現像スリーブの回転方向に対して垂直な方向に1cm間隔で黒ベタと白ベタを繰り返したA4横チャート(画像パターンA)を10万枚コピー後、以下に示す所定の画像を出力し、以下の判断基準を用いて画像評価を行なった。
(画像濃度)
A4横で1cmX1cmの黒ベタのチェッカー画像を1枚出力し、画像マクベス濃度計を用いて、真ん中、両隅計5点の平均の画像濃度を測定した。
◎:1.4以上、
○:1.3〜1.4、
□:1.2〜1.3、
△:1.1〜1.2、
×:1.1以下
(濃度ムラ)
2ドットX2ドット(600dpi)でハーフトーン画像をA4で1枚出力した。得られたハーフトーン画像において、黒ベタを繰り返した部分に対応する部分でもっとも濃い部分と、白ベタを繰り返した部分に対応する部分でもっとも薄い部分を各5点の反射濃度(ID)をマクベス濃度計で測定し、その差を以下の判断基準により5段階で評価を行った。悪い場合、画像パターンと逆パターンでスリーブ上が現像されるため、スリーブ上にムラができるため、特にハーフトーン画像を取った場合、ムラとなって現れる。
◎:0.01以下(良)
○:0.02〜0.05
□:0.06〜0.10
△:0.11〜0.20
X:0.21以上(悪)
【0101】
(細線再現性)
縦線、横線がそれぞれ1mmあたり2.0、2.2、2.5、2.8、3.2、3.6、4.0、4.5、5.0、5.6、6.3、7.1本の線が等間隔に並んでいる線画像を出力し、複写画像が線間をどこまで忠実に再現できているかを以下の判断基準により5段階で評価した。
◎:6.3〜7.1、
○:5.0〜5.6、
□:4.0〜4.5、
△:2.8〜3.6、
×:2.0〜2.5
【0102】
(かぶり評価)
かぶり評価は、10万枚出力後白紙原稿を用いてA3サイズで出力し、その画像の任意の6ッ個所の位置の画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、そのIDから白紙のIDを引いた値を以下の判断基準により5段階で評価を行った。なお、まったくかぶりがない状態は白紙の反射濃度と同等な値であり、その値が大きいほどかぶりは悪い結果となっている。
◎:0.02以下(良)
○:0.03〜0.05
□:0.06〜0.08
△:0.09〜0.11
X:0.12以上(悪)
【0103】
(フィルミング評価)
上記のように作製した現像剤、トナーを、(株)リコー製複写機imagioMF−4550の現像部を改造したフィルミング評価機にセットして常温環境で黒ベタと白ベタを繰り返したA4横チャート(画像パターンA)を2万枚、5万枚及び10万枚コピーした。30℃90%の環境にて2h以上暴露したA3の用紙に1dotX1dotのハーフトーン画像を出力し、得られたハーフトーン画像において、黒ベタを繰り返した部分に対応する部分でもっとも濃い部分と、白ベタを繰り返した部分に対応する部分でもっとも薄い部分を反射濃度(ID)をマクベス濃度計で測定し、その差を以下の判断基準により5段階で評価を行った。なお、まったくフィルミングがおきていない状態は同等な値であり、その値が大きいほどハーフトーンムラが悪い結果となっている。また、フィルミングの発生はランニング枚数が多いほど不利である。
◎:0.05以下、
○:0.06〜0.1、
□:0.11〜0.25、
△:0.26〜0.4、
×:0.41以上
【0104】
(耐熱保存性評価)
トナー試料20gを20mlのガラス瓶に入れ、60℃の高温槽に4時間放置し、その後針入度試験(JIS K2235−1991)にて針入度を測定し、以下のように評価した。
◎:10mm以上、
○:9.9〜5mm、
△:4.9〜3mm、
×:2.9〜0mm
【0105】
【表2】
Figure 0003597525

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察した概略図である。

Claims (29)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含有するトナーにおいて、該結着樹脂が非線状ポリマー樹脂、線状ポリマー樹脂及び変性ワックス(A1)からなり、該変性ワックス(A1)は、ワックス部分(A)と、エステル基濃度が8〜30重量%のビニルポリマー部分(B)からなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 該結着樹脂100重量部に対する該変性ワックス(A1)の割合が、3〜20重量部であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 該離型剤が、カルナウバワックス、モンタンワックス、酸化ライスワックス、ポリオレフィンワックス及び合成エステルワックスの中から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 該結着樹脂100重量部に対する該離型剤の割合が、2〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 該非線状ポリマー樹脂の溶解パラメータをSP(NL)、該線状ポリマー樹脂の溶解パラメータをSP(L)、該離型剤の溶解パラメータをSP(W)及び該変性ワックス(A1)の溶解パラメータをSP(A1)としたときに、それらの溶解パラメータが下記式(1)〜(3)のすべてを同時に満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
    (1)SP(W)<SP(A1)<SP(NL)<SP(L)
    (2)0.2<SP(WL)−SP(A1)<1
    (3)0.8≦SP(NL)−SP(W)
  6. 該変性ワックスにおけるビニルポリマー部分(B)に対するワックス部分(A)の重量比率(A/B)が0.01〜0.45であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  7. 該ワックス部分(A)がポリオレフィン鎖からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  8. 該ポリビニル部分(B)のガラス転移点が40〜90℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  9. 該結着樹脂が、縮重合系樹脂ユニットと付加重合系樹脂ユニットからなるハイブリッド樹脂を含有し、かつ該結着樹脂を構成する該非線状ポリマー樹脂、該線状ポリマー樹脂及び該ハイブリッド樹脂がいずれもその分子鎖の少なくとも一部に同種のポリマーユニットを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  10. 該結着樹脂を構成する該非線状ポリマー樹脂、該線状ポリマー樹脂及び該ハイブリッド樹脂がいずれもその分子鎖の少なくとも一部にポリエステルユニットを含有することを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナー
  11. 該非線状ポリマー樹脂の軟化点Tm(NL)及びガラス転移点Tg(NL)、該線状ポリマー樹脂の軟化点Tm(L)及びガラス転移点Tg(L)及び混合樹脂の軟化点Tm(H)及びガラス転移点Tg(H)が、下記式(4)〜(6)のすべてを同時に満足することを特徴とする請求項9又は10に記載の静電荷像現像用トナー
    (4)Tm(NL)>Tm(H)>Tm(L)
    (5)|Tg(NL)−Tg(L)|<10℃
    (6)30≦Tm(NL)−Tm(L)≦60℃
  12. 該非線状ポリマー樹脂の酸価が、20〜70mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  13. 該線状ポリマー樹脂の酸価が、7〜70mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  14. 3価以上のサリチル酸金属化合物を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  15. 該サリチル酸金属化合物の含有量が、トナー100重量部に対して、0.05〜10重量部であることを特徴とする請求項14に記載の静電荷像現像用トナ
  16. 該非線状ポリマー樹脂の水酸基価が、20mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  17. 該結着樹脂中のテトラヒドロフラン可溶分のGPCにより求められた分子量分布が、1000〜10000の間に少なくとも1つのピークを有し、該ピークの半値幅が15000以下であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  18. クロロホルム不溶分を5〜40%含有することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  19. 板状に加圧成形した際の表面摩擦係数が、0.20以上であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  20. 重量平均粒径(D4)が、4〜7.5μmであり、かつ5μm以下の粒子含有率が60〜80個数%であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  21. フロー式粒子像分析装置によって測定される個数基準の円相当径が0.6μm以上3μm未満の粒子の含有率が25%以下であることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  22. フロー式粒子像分析装置によって測定される円形度が0.91〜0.96であることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  23. 前記変性ワックスは、前記非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂からなるマトリックス中に分散したドメインを形成するとともに、該離型剤が該変性ワックスドメインに含有されていることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  24. 前記非線状ポリマー樹脂及び線状ポリマー樹脂の各々が、それらを構成するモノマーユニットの合計モルに対して、少なくとも50モル%のエステルユニットを含有することを特徴とする請求項1〜23のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー
  25. 請求項1〜24のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアを含有することを特徴とする二成分静電荷像現像用現像剤
  26. 請求項1〜24のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを充填した静電荷像現像用トナー容器
  27. 請求項25に記載の二成分静電荷像現像用現像剤を充填した二成分静電荷像現像用現像剤容器
  28. 静電画像担持体の静電画像を請求項1〜24のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを使用して現像することを特徴とする画像形成方法
  29. 静電画像担持体と、請求項26に記載の静電荷像現像用トナー容器又は請求項27に記載の二成分静電荷像現像用現像剤容器を有する現像部とからなり、該静電画像担持体の静電画像を該トナーにより現像することを特徴とする画像形成装置
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