JP2004331936A - エマルジョン、電子写真用トナー、現像剤及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性が強い静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合して得られることを特徴とするエマルジョン、これを用いたトナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合して得られることを特徴とするエマルジョン、これを用いたトナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像の為に使用するエマルジョン及び静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て感光体表面の静電潜像を現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電潜像が可視化される。
【0003】
電子写真法としては、多数の方法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される場合もある。
【0004】
被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。
【0005】
一方、画像形成に際して必要なエネルギーの省力化への要求の高まりに伴い、ある程度の使用電力を占める定着工程の省電力化を計り、定着条件を拡大させるためにはトナーの定着温度をより低温化させる必要がある。
【0006】
しかしながら、トナーの定着を低温化させることは同時に、トナーのガラス転移点も低下させてしまうことになり、トナーの保存性との両立が困難となる。低温定着化とトナーの保存性とを両立するためには、トナーのガラス転移点を高温に保ったまま、定着温度付近でトナーの粘度が急速に低下する、いわゆるシャープメルト性を持たせることが必要となる。
【0007】
また、ブロッキング防止及び画像保存性も両立させる必要がある。
このため、シャープメルト性を有する結晶性樹脂を結着樹脂として用いる様々な方法が検討されている。
【0008】
しかしながら、結晶性樹脂の微細な粒子を得ることは難しく、これを得るために、混練粉砕法では粉砕が困難で収率が低い為、製造性の観点から実用性に欠しいという問題があった(特許文献1、2参照)。即ち、低温定着性及び耐オフセット性を共に向上させるに当り、溶融混練粉砕法では、低温定着性及び耐オフセット性に対しては効果的である結晶性樹脂の使用が困難である。さらに、粉砕を行うため、トナー粒子の形状制御も難しく、特にトナー粒子の球形化や、高画質化の目的でトナー粒子の小粒径化、狭粒度分布を図ることも困難であった。
【0009】
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術も報告されている。非晶性樹脂部分の存在により、粉砕が容易となるからである。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する方法(特許文献3参照)や、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した樹脂を用いる方法(特許文献4参照)などが挙げられる。しかし、これらの方法では非晶性樹脂の割合が大きく、トナー全体の溶融は非晶性樹脂の軟化温度に支配されるので、低温定着性の効果は低いものであった。
【0010】
また、懸濁重合法等の重合によりトナー粒子を作製するような、湿式製法も検討されている(特許文献5参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。しかし、結晶性樹脂を用いた懸濁重合法では、トナー中に均一に着色剤等の少量成分を均一に分散させることが難しいと言う問題点があった。また、結晶性樹脂の体積抵抗値は、従来使用されている分子量領域の非結晶性樹脂に比べて低く、結晶性樹脂単独では、電子写真法に必要な帯電特性を確保し難いのが現状である。
【0011】
そこで、この問題点を改善する目的で、無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体に結晶性樹脂を溶解させた溶液中で、これらの成分を含む乳化または懸濁樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を得る処方が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、これらの方法は、トナー中に含まれる結晶性樹脂の割合が少なく、結晶性樹脂を従来の無定形高分子に添加剤的役割で使用しているに過ぎない。これらの方法では、結晶性樹脂の本来もつ、シャープメルト性に起因する低温定着性や画像保存性等の特性を効果的に引き出すことが出来ていないため、低温での定着は可能でも、ドキュメントオフセット性(以下、「ドキュメント保存性」とも言う。)が悪いままである。
【0012】
この様に、上記の方法により結晶性樹脂を用いたトナーでは、結晶性樹脂の利点である低温定着性と共に、十分な帯電性を確保することは困難であった。結晶性樹脂と無定形高分子と混合することによって、帯電性を確保することは可能となったが、低温定着と同時に、耐ドキュメントオフセット性、ホットオフセット性も満足させるためには、相反する諸特性を両立させることが要求され、更に、粉体流動性、着色性等他のトナー特性を満足するトナーはいまだ提供されていないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特公昭56−13943号公報
【特許文献2】
特公昭62−39428号公報
【特許文献3】
特開平2−79860号公報
【特許文献4】
特開平1−163756号公報
【特許文献5】
特公昭63−10231号公報
【特許文献6】
特開2001−42564号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性に優れた静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、結晶性樹脂の量比及び溶融粘度を一定範囲内のものとし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合したことを特徴とするたエマルジョンにより、上記問題点が解決されることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は、つぎのものを提供するものである。
<1> 溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合して得られることを特徴とするエマルジョン。
<2> 上記<1>記載のエマルジョンの表面層がラジカル重合性単量体が重合してできた無定形高分子で覆われていることを特徴とするエマルジョン。
<3> 前記結晶性樹脂の含有量が樹脂全体の50〜90質量%の範囲内であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のエマルジョン。
<4> 前記結晶性樹脂がポリエステルであることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエマルジョン。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエマルジョンと、着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤を水系媒体中でトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を前記樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
<6> 上記<5>に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
<7> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤により前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、上記<5>に記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体とを混合した後、水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合したエマルジョン、これを用いた静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法である。これらより、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性に優れた画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明をエマルジョン、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、及び画像形成方法の順に大きくわけて説明する。
【0017】
<エマルジョン>
まず、本発明に用いられる、結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂を構成する化合物としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドを挙げることができ、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸(酸無水物および酸塩化物を含む)とを反応させて得られる脂肪族ポリエステル、脂肪族ジアミンと、脂肪族ジカルボン酸(酸無水物および酸塩化物を含む)とを反応させて得られる脂肪族ポリアミドが好ましく、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。2価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、酸成分として、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することもできる。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好適なものとして挙げられる。多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が2〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
結晶化樹脂を主成分にすることにより、結晶化樹脂が持つ本来の特徴を発揮するために、少なくとも無定形高分子より多いことが必要である。その割合は、帯電性、定着性両立の視点で、樹脂全体の50〜90質量%の範囲内であることが好ましく、60〜90質量%の範囲であることがより好ましく、60〜85質量%であることが更に好ましく、特に、70〜85質量%であることが好ましい。ここで、樹脂とは、前記結晶化樹脂及び無定形高分子を意味するものである。50質量%未満の場合には、無定形高分子の性質が強く出るために低温定着等の諸性能が発揮できなくなる場合がある。一方、90質量%を超える場合には、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の割合が大きくなり、トナーの帯電量が低下する場合がある。
【0020】
結晶性樹脂本来のもつ特性を利用しての定着であるために、結晶性樹脂の溶融粘度がトナーの定着に適した粘度であることが必要である。結晶性樹脂の溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下であることが必要である。結晶性樹脂の溶融粘度が低すぎると結晶性樹脂と無定形高分子が相溶してしまい、結晶性樹脂の持つシャープメルト性の効果を十分に発揮することが出来ない。また高すぎるとエマルジョンの形態にすることが困難となり、かつ紙等への転写効率が落ちる。より好ましい溶融粘度は、10Pa・s以上1000Pa・s以下、更に好ましくは100Pa・s以上1000Pa・s以下である。
【0021】
本発明に用いるラジカル重合性単量体としては、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。また、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を用いることもできる。芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を挙げることができる。酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩であってもよい。塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN− エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
これらラジカル重合性単量体は、エマルジョンの最外層とすることができ、したがってトナーの最外層ともなる。よって、重合体としてのガラス転移点が50℃以上で80℃以下であることが好ましく、そのような単量体の設計が好ましい。また、最外層となるためには、ある程度の親水性単量体を必ず含むことが好ましい。これは、先にあげた、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体であり、具体的にはカルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物である。これらの親水性単量体は、全ラジカル重合性単量体に対して0.1モル%から20モル%、好ましくは0.5モル%から10モル%、更に好ましくは、2モル%から7モル%である。親水成分量が少ないとラジカル重合体が表面に出にくく、多すぎると表面が親水化しすぎ、粒子同士の凝集や高湿下での帯電性の低下などの悪影響がでやすい。表面にラジカル重合体を存在し易くするために、ラジカル重合性単量体成分の一部をあらかじめ重合しておき、結晶性樹脂成分、ラジカル重合性単量体とともに用いると良い。あらかじめ重合しておく樹脂は、全ラジカル重合性単量体からなる重合体構成成分に対して、1〜30モル%、好ましくは2〜15モル%、更に好ましくは3〜10モル%である。あらかじめ重合しておく重合体の量が少ないとエマルジョン表面にラジカル重合体が付きにくい場合があり、多すぎると、粘度が高くなり乳化に対して不利になる。
【0022】
本発明では、まず、上記結晶化樹脂に無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体とを混合する。この際、該結晶性樹脂と該単量体は、完全に溶解しあっても、分散していてもよい。該結晶化樹脂と単量体との組み合わせは必須であるが、ともに1種類である必要性はなく、複数の分子量、あるいは種類のものを使用できる。また、ラジカル重合性単量体のほかに重合を制御する、連鎖移動剤や架橋剤等の添加物も使用できる。このほかに、トナーを構成する要素(色材、離型剤等)をこの時点で混入することも可能である。なお、乳化時の樹脂粘度をさらに下げるためにトルエンやケトン等の水に不溶な溶媒を使用することもできるが環境面の負荷を考えると好ましくない。
【0023】
このようにして得られた混合物を、水系媒体中に乳化分散する。
水系媒体中に分散する方法として、剪断を使用する方法、衝突を使用する方法、振動を使用する方法等が挙げられるが、剪断力を使用する方法が好ましい。具体的には、機械的エネルギーを利用して分散する方法が好ましく、それに用いる装置としては、ウルトラタラックス、クレアミックス、アルティマイザー、ゴーリンホモジナイザー、超音波分散機、遊星ボールミル、マイクロディスパーザー、キャビトロン等が挙げられる。
【0024】
水系媒体中には、乳化助剤を使用してもよい。乳化助剤としては、樹脂界面の界面張力を低下させて乳化粒子促進する界面活性剤やその界面活性剤の吸着を助ける界面活性助剤、乳化粒子の再合一を防ぐ乳化安定剤等を挙げることができる。
【0025】
ここで用いる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0026】
界面活性助剤としては、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、オクタン、ノナンに代表される高級脂肪族炭化水素類を挙げることができる。
【0027】
乳化安定剤としては、前述の非イオン性界面活性剤が乳化安定剤としてもよく使用される。
【0028】
また、樹脂のpH調整のために酸やアルカリを用いることもできる。このpHは、好ましくはpH7±2の範囲である。酸性度やアルカリ性度が高すぎると樹脂が加水分解する恐れがある。
ここで用いるpH調整剤としては、水溶性の酸あるいはアルカリが挙げられる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、過塩素酸、炭酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0029】
次に、得られた乳化物を重合する。
結晶化樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体を溶融混合した後、水系媒体中に乳化分散した乳化物を重合する利点として、結晶化樹脂の乳化時の粘度を下げることができる、一般的な乳化重合と比べて結晶性樹脂の割合を増やすことができる、無定形高分子並の乳化安定性が得られる、均一な結晶化樹脂とラジカル重合性単量体とのエマルジョンが作製できる、等が挙あげられる。また、均一な結晶化樹脂とラジカル重合性単量体とのエマルジョンの生成は凝集、合一工程を経た後のトナー内の結晶化樹脂と無定形高分子の分布にも良い効果を与える。
【0030】
重合方法として、ラジカル重合開始剤、紫外線照射、熱等を用いる方法等、既知の重合方法を採ることが出来るが、ラジカル重合開始剤を用いる方法であることが好ましい。ラジカル重合開始剤は、油溶性、水溶性のものがあるがどちらの開始剤も使用することが出来る。
【0031】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
【0032】
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。その他、アンモニウムパーサルフェートでもよい。
【0033】
本発明のエマルジョンは、その表面層をラジカル重合性単量体の重合体、即ち無定形高分子で覆われており、その表面層における該重合体は、透過型電子顕微鏡によりその断面を観察することができる。その表層厚みは、前記結晶性樹脂及び無定形高分子を構成するラジカル重合性単量体の比率により適宜調整できる。ラテックスにおける結晶性樹脂とアモルファス樹脂は海島構造をとる。親水性の強いほうが外側に存在することになる。
【0034】
<静電荷像現像用トナー>
【0035】
本発明のトナーは、溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合し、該水系媒体中で粒子を形成する凝集、合一工程を含むことを特徴とする。この結果、低温定着性、耐トナーブロッキング性、帯電性に優れ、高画質を実現できる。
次に本発明の静電荷現像用トナーの製造方法について詳述する。
本発明のトナーは、特に制限はないが、例えば、本発明のエマルジョンを、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液と混合し(以下、「原料分散液」ともいう。)、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥することにより得られる。なお、トナー形状は不定形から球形までのものが好ましく用いられる。また、凝集剤としては、該逆極性の界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いると、界面活性剤の使用量が低減でき、帯電特性が向上するため、好ましい。
【0036】
また、前記の凝集工程において、本発明のエマルジョン、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、ガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定した後、第2段階としてイオン的バランスのずれを補填するような極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂微粒子と追加樹脂微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま合一させたものでも良い。更にこの凝集の段階的操作は複数回、くり返し実施してもよい。この2段階法は離型剤と着色剤の内包性を向上させるのに有効である。
【0037】
着色剤粒子分散液に用いる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて使用することができる。
【0038】
離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
【0039】
その他、、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
【0040】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0041】
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、付着凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜8.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱を行うことにより付着凝集粒子を融合させる。融合時の加熱温度は、凝集粒子中に含まれる結着樹脂のガラス転移点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合により凝集粒子表面がなめされる程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性ポリエステルがトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。これは、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、結晶性ポリエステルのトナー表面ヘの露出は好ましくない。
【0042】
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
【0043】
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
【0044】
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
【0045】
外添剤としての無機微粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いるトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性粉末、又はフェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。特に、本発明では、水層中でトナーを得るために、磁性体の水層移行性に注意を払う必要があり、表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
【0047】
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0048】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。 キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
【0050】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【0051】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記トナーとして、前記本発明の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
【0052】
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
【0053】
本発明のトナー(二成分現像剤に含まれるものを含む。以下同様。)において、結着樹脂中に架橋構造がある場合には、その効果から離型性に優れ、離型剤の使用量を低減する、若しくは離型剤を使用せずに定着を行うことができる。
前記離型剤は、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、前記離型剤の供給量を0mg/cm2にすると、定着時に前記定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記離型剤の使用量が8.0×10−3mg/cm2以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
前記離型剤の供給量が、8.0×10−3mg/cm2を越えると、定着後に画像表面に付着した離型剤のために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体への離型剤の付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、前記離型剤の供給量は、多くなるほど離型剤を貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
【0054】
前記離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体離型剤が挙げられる。中でも、前記定着部材の表面に吸着し、均質な離型剤層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、前記定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型剤層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記離型剤として、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルを使用するのは、本発明の電子写真用トナーを用いない、従来の画像形成方法においては、離型剤自体の供給量を低減し得ないため、コストの面で実用的ではないが、本発明の電子写真用トナーを使用する場合においては、前記離型剤の供給量を激減できるのでコスト面でも実用上問題がない。
【0055】
前記加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、前記離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。尚、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。前記離型剤の供給量は、以下のようにして測定できる。即ち、その表面に離型剤を供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(代表的には、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上に離型剤が付着する。この付着した離型剤をソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
【0056】
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の現像剤(本発明のトナー)を用いているため低温定着が可能であると共に、トナーが適正な摩擦帯電量を保持することができる。このため、画像形成に際して省エネルギー性に優れ、トナー飛散等の発生を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
【0057】
【実施例】
以下に実施例として本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結晶性樹脂の合成>
結晶性ポリエステル(1)の調整
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸9.25mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量10000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
【0058】
結晶性ポリエステル(2)の調整
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、9.05mol、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム0.2mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量10000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(2)を得た。
【0059】
結晶性ポリエステル(3)の調製
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、9.25mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、250℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量20000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(3)を得た。
【0060】
結晶性ポリエステル(4)の調製
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、10mol、と触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、200℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、GPCにて分子量を確認し、重量平均分子量6000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(4)を得た。
【0061】
分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。樹脂粘度は「(装置名)ARES」(レオメトリクス社製)を用い、測定条件: 融点+20℃(90〜110℃)での粘度の測定を行った。
【0062】
<結晶性樹脂と無定形高分子との乳化物の調整>
乳化物(1)
結晶性ポリエステル(1)600質量部を100℃に加熱して溶融し、スチレン:350質量部、n−ブチルアクリレート:35質量部、アクリル酸:5質量部、ドデカンチオール:24質量部の混合溶液中に添加しよく攪拌する。別に、水系媒体として、イオン交換水9L、5%NH4OH水溶液適量(結晶性樹脂及びアクリル酸由来の酸価を中和するために必要量)、ドデシルベンゼンスルホン酸50質量部、セチルアルコール10質量部を80℃に加熱する。乳化機は「クレアミックス」(エムテクニック製)に密閉循環層を組み合わせたものを用いた。水系媒体と結晶性樹脂混合モノマーを循環層内に入れ、毎分1l/minの流量でクレアミックスに送り、通過した乳液を循環層内に戻した。時間は4時間、温度は80℃、回転数は20000rpm.で乳化した。分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。粒度はマイクロトラックUPAで測定した。
得られたエマルジョンを凍結乾燥し、エマルジョンの断面をミクロトームで切り出し、透過型電子顕微鏡で断面観察した。以下、乳化物(2)〜(10)について同様に行った。それぞれのエマルジョンの表面は、ラジカル重合性単量体の重合体で覆われていることが確認された。
【0063】
乳化物(2)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)とラジカル重合性単量体の割合をそれぞれ70質量パーセント、30質量パーセントに変えた。
【0064】
乳化物(3)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)とラジカル重合性単量体の割合をそれぞれ80質量パーセント、20質量パーセントに変えた。
【0065】
乳化物(4)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0066】
乳化物(5)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0067】
乳化物(6)
処方は乳化物(3)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0068】
乳化物(7)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(3)に変えた。
【0069】
乳化物(8)
乳化物(1)の結晶性ポリエステル(1)の数量600質量部を700質量部に変えた。
【0070】
乳化物(9)
結晶性ポリエステル(1)700質量部を100℃に加熱して溶融し、スチレン:225質量部、n−ブチルアクリレート:75質量部、アクリル酸:15質量部、ドデカンチオール:24質量部、ポリ(スチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸)の重合体15質量部、混合溶液中に添加しよく攪拌する。別に、水系媒体として、イオン交換水9L、5%NH4OH水溶液適量(結晶性樹脂及びアクリル酸由来の酸価を中和するために必要量)、ドデシルベンゼンスルホン酸50質量部、セチルアルコール10質量部を80℃に加熱する。乳化機は「クレアミックス」(エムテクニック製)に密閉循環層を組み合わせたものを用いた。水系媒体と結晶性樹脂混合モノマーを循環層内に入れ、毎分1l/minの流量でクレアミックスに送り、通過した乳液を循環層内に戻した。時間は4時間、温度は80℃、回転数は20000rpm.で乳化した。分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。粒度はマイクロトラックで測定した。
【0071】
乳化物(10)(比較例1用)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(4)に変えた。
各乳化物の諸データを表1にまとめる。
【0072】
【表1】
【0073】
−離型剤分散液の調製−
・エステルワックス(日本油脂(株)製:WE−2、融点65℃):50質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5質量部
・イオン交換水:200質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
【0074】
−着色剤分散液の調製−
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):2300質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):150質量部
・イオン交換水:7700質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23質量%であった。
【0075】
−トナー粒子(1)の製造−
・乳化物(1):950質量部
・着色剤分散液:22.87質量部
・離型剤分散液:50質量部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):0.5質量部
【0076】
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14質量部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するので、増粘をはじめたら光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.2〜4.5の範囲に制御した。必要に応じて、0.3Mの硝酸や1Mの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行った。pHが4.0以下になると凝集粒子径が成長し始めるので、凝集粒子径を大きすぎないようにするには上記範囲が好ましい。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。
【0077】
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールターカウンターで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒子径が6〜7μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを9.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いてコア凝集粒子の体積平均粒子径を測定した。
【0078】
−トナー粒子(2)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(2)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0079】
−トナー粒子(3)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(3)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(4)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(4)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0080】
−トナー粒子(5)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(5)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(6)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(6)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(7)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(7)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0081】
−トナー粒子(8)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(8)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0082】
−トナー粒子(9)の製造−
前述トナー粒子(1)の乳化液(1)を乳化液(9)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0083】
−比較例トナー粒子(1)の製造−
前述トナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(10)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0084】
<トナーの諸評価>
(融点の測定)
結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の融点(Tm)を、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)の熱分析装置を用いて測定した。測定は、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で行い、融点をJIS K−7121(1987)により解析して得た。(1)、(2)のTmはいずれも72℃で、(3)が71.4℃、(4)72.2℃であった。なお、結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の吸熱ピークにおける半値幅はいずれも6℃以下であり、結晶性を有していることが確認された。
【0085】
(粘弾性の測定)
結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の粘度を、回転平板型レオメーター(RDA 2RHIOSシステム Ver.4.3.2,レオメトリックス・サイエンテイフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定した。
測定は、測定対象となる樹脂をサンプルホルダーにセッティングし、昇温速度1℃/min、周波数1rad/sec、歪み20%以下、測定補償値の範囲内の検出トルクで行った。なお、融点プラス20℃(92℃)における値を樹脂の粘度とした。
【0086】
(トナー中の樹脂組成定量)
トナー粒子(1)〜(9)、比較例(1)の樹脂組成はNMRを用いて定量した。具体的には、各トナー約20mgをサンプル瓶に秤量し、これに溶媒である重THFを1ml加えて充分溶解し、その溶液をNMRチュ―ブに移してNMRスペクトル測定を行った。
【0087】
<トナーの定着性、ドキュメント保存性、帯電性の評価>
(定着性及びドキュメント保存性の評価)
トナーそれぞれ5質量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100質量部を混合して二成分現像剤を調整し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
なお、電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置である。
【0088】
ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を90℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。
【0089】
一方、ドキュメント保存性の評価については、上記定着評価の際に作成した未定着像2枚を、外部定着機で150℃にて定着した後、画像部と、非画像部及び画像部とが重るように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重りを載せ、60℃湿度50%の恒温恒湿槽で3日間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像の画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。
【0090】
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル。
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
【0091】
(帯電性の評価)
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナー実施例(1)〜(9)、比較例(1)各1.5質量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)30質量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌した。この両環境下のトナーの帯電量(μC/g)の絶対値をブローオフ帯電量測定装置で測定した。
【0092】
以上の様に作製したトナーの諸特性を表2に示す。また、表2に示すトナーの定着特性、ドキュメント保存性、および、帯電特性について表3に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
以上の結果により、低温定着性及びドキュメント保存性においては、実施例の全てが比較例に比べて優れており、帯電特性においても実施例(3)、(6)以外は全て比較例と同等以上であることがことが分かる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性が強く、十分な帯電性を有する静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した電子写真装置において、静電荷像の現像の為に使用するエマルジョン及び静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像剤及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法等のように、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在各種の分野で広く利用されている。前記電子写真法においては、帯電工程、露光工程等を経て感光体表面の静電潜像を現像し、転写工程、定着工程等を経て前記静電潜像が可視化される。
【0003】
電子写真法としては、多数の方法が知られている。一般的には、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)表面に、種々の手段により電気的に潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー像を形成した後、このトナー像を、場合により中間転写体を介して、紙等の被転写体表面に転写し、加熱、加圧、加熱加圧により定着する、という複数の工程を経て、画像が形成される。また、感光体表面に残ったトナーは、必要に応じて種々の方法によりクリーニングされ、再びトナー像の現像に利用される場合もある。
【0004】
被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着技術としては、加熱ロールおよび加圧ロールからなる一対のロール間に、トナー像が転写された被転写体を挿入し、定着する熱ロール定着法が一般的である。
【0005】
一方、画像形成に際して必要なエネルギーの省力化への要求の高まりに伴い、ある程度の使用電力を占める定着工程の省電力化を計り、定着条件を拡大させるためにはトナーの定着温度をより低温化させる必要がある。
【0006】
しかしながら、トナーの定着を低温化させることは同時に、トナーのガラス転移点も低下させてしまうことになり、トナーの保存性との両立が困難となる。低温定着化とトナーの保存性とを両立するためには、トナーのガラス転移点を高温に保ったまま、定着温度付近でトナーの粘度が急速に低下する、いわゆるシャープメルト性を持たせることが必要となる。
【0007】
また、ブロッキング防止及び画像保存性も両立させる必要がある。
このため、シャープメルト性を有する結晶性樹脂を結着樹脂として用いる様々な方法が検討されている。
【0008】
しかしながら、結晶性樹脂の微細な粒子を得ることは難しく、これを得るために、混練粉砕法では粉砕が困難で収率が低い為、製造性の観点から実用性に欠しいという問題があった(特許文献1、2参照)。即ち、低温定着性及び耐オフセット性を共に向上させるに当り、溶融混練粉砕法では、低温定着性及び耐オフセット性に対しては効果的である結晶性樹脂の使用が困難である。さらに、粉砕を行うため、トナー粒子の形状制御も難しく、特にトナー粒子の球形化や、高画質化の目的でトナー粒子の小粒径化、狭粒度分布を図ることも困難であった。
【0009】
上記問題を解決する手段として、結着樹脂として結晶性樹脂を単独で用いるのではなく、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する技術も報告されている。非晶性樹脂部分の存在により、粉砕が容易となるからである。例えば、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用する方法(特許文献3参照)や、結晶性樹脂と非晶性樹脂とを化学的に結合した樹脂を用いる方法(特許文献4参照)などが挙げられる。しかし、これらの方法では非晶性樹脂の割合が大きく、トナー全体の溶融は非晶性樹脂の軟化温度に支配されるので、低温定着性の効果は低いものであった。
【0010】
また、懸濁重合法等の重合によりトナー粒子を作製するような、湿式製法も検討されている(特許文献5参照)。懸濁重合法等の湿式製法を用いた場合、混練粉砕が難しいトナー粒子を容易に製造することができる上、トナー粒子の形状制御が可能で、球形化したトナー粒子を容易に作製することができる。また、トナー粒子の粒度分布の制御も可能となる。しかし、結晶性樹脂を用いた懸濁重合法では、トナー中に均一に着色剤等の少量成分を均一に分散させることが難しいと言う問題点があった。また、結晶性樹脂の体積抵抗値は、従来使用されている分子量領域の非結晶性樹脂に比べて低く、結晶性樹脂単独では、電子写真法に必要な帯電特性を確保し難いのが現状である。
【0011】
そこで、この問題点を改善する目的で、無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体に結晶性樹脂を溶解させた溶液中で、これらの成分を含む乳化または懸濁樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を得る処方が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
しかし、これらの方法は、トナー中に含まれる結晶性樹脂の割合が少なく、結晶性樹脂を従来の無定形高分子に添加剤的役割で使用しているに過ぎない。これらの方法では、結晶性樹脂の本来もつ、シャープメルト性に起因する低温定着性や画像保存性等の特性を効果的に引き出すことが出来ていないため、低温での定着は可能でも、ドキュメントオフセット性(以下、「ドキュメント保存性」とも言う。)が悪いままである。
【0012】
この様に、上記の方法により結晶性樹脂を用いたトナーでは、結晶性樹脂の利点である低温定着性と共に、十分な帯電性を確保することは困難であった。結晶性樹脂と無定形高分子と混合することによって、帯電性を確保することは可能となったが、低温定着と同時に、耐ドキュメントオフセット性、ホットオフセット性も満足させるためには、相反する諸特性を両立させることが要求され、更に、粉体流動性、着色性等他のトナー特性を満足するトナーはいまだ提供されていないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特公昭56−13943号公報
【特許文献2】
特公昭62−39428号公報
【特許文献3】
特開平2−79860号公報
【特許文献4】
特開平1−163756号公報
【特許文献5】
特公昭63−10231号公報
【特許文献6】
特開2001−42564号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性に優れた静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、結晶性樹脂の量比及び溶融粘度を一定範囲内のものとし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合したことを特徴とするたエマルジョンにより、上記問題点が解決されることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明は、つぎのものを提供するものである。
<1> 溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合して得られることを特徴とするエマルジョン。
<2> 上記<1>記載のエマルジョンの表面層がラジカル重合性単量体が重合してできた無定形高分子で覆われていることを特徴とするエマルジョン。
<3> 前記結晶性樹脂の含有量が樹脂全体の50〜90質量%の範囲内であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載のエマルジョン。
<4> 前記結晶性樹脂がポリエステルであることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエマルジョン。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエマルジョンと、着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤を水系媒体中でトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を前記樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
<6> 上記<5>に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
<7> 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤により前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、上記<5>に記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体とを混合した後、水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合したエマルジョン、これを用いた静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤及び画像形成方法である。これらより、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性に優れた画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明をエマルジョン、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、及び画像形成方法の順に大きくわけて説明する。
【0017】
<エマルジョン>
まず、本発明に用いられる、結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂を構成する化合物としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドを挙げることができ、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸(酸無水物および酸塩化物を含む)とを反応させて得られる脂肪族ポリエステル、脂肪族ジアミンと、脂肪族ジカルボン酸(酸無水物および酸塩化物を含む)とを反応させて得られる脂肪族ポリアミドが好ましく、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。2価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、酸成分として、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。前記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。スルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することもできる。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が好適なものとして挙げられる。多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が2〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。前記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。前記炭素数としては14以下であることがより好ましい。結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
結晶化樹脂を主成分にすることにより、結晶化樹脂が持つ本来の特徴を発揮するために、少なくとも無定形高分子より多いことが必要である。その割合は、帯電性、定着性両立の視点で、樹脂全体の50〜90質量%の範囲内であることが好ましく、60〜90質量%の範囲であることがより好ましく、60〜85質量%であることが更に好ましく、特に、70〜85質量%であることが好ましい。ここで、樹脂とは、前記結晶化樹脂及び無定形高分子を意味するものである。50質量%未満の場合には、無定形高分子の性質が強く出るために低温定着等の諸性能が発揮できなくなる場合がある。一方、90質量%を超える場合には、トナーの最表面に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の割合が大きくなり、トナーの帯電量が低下する場合がある。
【0020】
結晶性樹脂本来のもつ特性を利用しての定着であるために、結晶性樹脂の溶融粘度がトナーの定着に適した粘度であることが必要である。結晶性樹脂の溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下であることが必要である。結晶性樹脂の溶融粘度が低すぎると結晶性樹脂と無定形高分子が相溶してしまい、結晶性樹脂の持つシャープメルト性の効果を十分に発揮することが出来ない。また高すぎるとエマルジョンの形態にすることが困難となり、かつ紙等への転写効率が落ちる。より好ましい溶融粘度は、10Pa・s以上1000Pa・s以下、更に好ましくは100Pa・s以上1000Pa・s以下である。
【0021】
本発明に用いるラジカル重合性単量体としては、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を挙げることができる。また、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を用いることもできる。芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を挙げることができる。酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩であってもよい。塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物が挙げられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニルN−メチルピリジニウムクロリド、ビニルN− エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
これらラジカル重合性単量体は、エマルジョンの最外層とすることができ、したがってトナーの最外層ともなる。よって、重合体としてのガラス転移点が50℃以上で80℃以下であることが好ましく、そのような単量体の設計が好ましい。また、最外層となるためには、ある程度の親水性単量体を必ず含むことが好ましい。これは、先にあげた、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体であり、具体的にはカルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物である。これらの親水性単量体は、全ラジカル重合性単量体に対して0.1モル%から20モル%、好ましくは0.5モル%から10モル%、更に好ましくは、2モル%から7モル%である。親水成分量が少ないとラジカル重合体が表面に出にくく、多すぎると表面が親水化しすぎ、粒子同士の凝集や高湿下での帯電性の低下などの悪影響がでやすい。表面にラジカル重合体を存在し易くするために、ラジカル重合性単量体成分の一部をあらかじめ重合しておき、結晶性樹脂成分、ラジカル重合性単量体とともに用いると良い。あらかじめ重合しておく樹脂は、全ラジカル重合性単量体からなる重合体構成成分に対して、1〜30モル%、好ましくは2〜15モル%、更に好ましくは3〜10モル%である。あらかじめ重合しておく重合体の量が少ないとエマルジョン表面にラジカル重合体が付きにくい場合があり、多すぎると、粘度が高くなり乳化に対して不利になる。
【0022】
本発明では、まず、上記結晶化樹脂に無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体とを混合する。この際、該結晶性樹脂と該単量体は、完全に溶解しあっても、分散していてもよい。該結晶化樹脂と単量体との組み合わせは必須であるが、ともに1種類である必要性はなく、複数の分子量、あるいは種類のものを使用できる。また、ラジカル重合性単量体のほかに重合を制御する、連鎖移動剤や架橋剤等の添加物も使用できる。このほかに、トナーを構成する要素(色材、離型剤等)をこの時点で混入することも可能である。なお、乳化時の樹脂粘度をさらに下げるためにトルエンやケトン等の水に不溶な溶媒を使用することもできるが環境面の負荷を考えると好ましくない。
【0023】
このようにして得られた混合物を、水系媒体中に乳化分散する。
水系媒体中に分散する方法として、剪断を使用する方法、衝突を使用する方法、振動を使用する方法等が挙げられるが、剪断力を使用する方法が好ましい。具体的には、機械的エネルギーを利用して分散する方法が好ましく、それに用いる装置としては、ウルトラタラックス、クレアミックス、アルティマイザー、ゴーリンホモジナイザー、超音波分散機、遊星ボールミル、マイクロディスパーザー、キャビトロン等が挙げられる。
【0024】
水系媒体中には、乳化助剤を使用してもよい。乳化助剤としては、樹脂界面の界面張力を低下させて乳化粒子促進する界面活性剤やその界面活性剤の吸着を助ける界面活性助剤、乳化粒子の再合一を防ぐ乳化安定剤等を挙げることができる。
【0025】
ここで用いる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0026】
界面活性助剤としては、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、オクタン、ノナンに代表される高級脂肪族炭化水素類を挙げることができる。
【0027】
乳化安定剤としては、前述の非イオン性界面活性剤が乳化安定剤としてもよく使用される。
【0028】
また、樹脂のpH調整のために酸やアルカリを用いることもできる。このpHは、好ましくはpH7±2の範囲である。酸性度やアルカリ性度が高すぎると樹脂が加水分解する恐れがある。
ここで用いるpH調整剤としては、水溶性の酸あるいはアルカリが挙げられる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、過塩素酸、炭酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
【0029】
次に、得られた乳化物を重合する。
結晶化樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体を溶融混合した後、水系媒体中に乳化分散した乳化物を重合する利点として、結晶化樹脂の乳化時の粘度を下げることができる、一般的な乳化重合と比べて結晶性樹脂の割合を増やすことができる、無定形高分子並の乳化安定性が得られる、均一な結晶化樹脂とラジカル重合性単量体とのエマルジョンが作製できる、等が挙あげられる。また、均一な結晶化樹脂とラジカル重合性単量体とのエマルジョンの生成は凝集、合一工程を経た後のトナー内の結晶化樹脂と無定形高分子の分布にも良い効果を与える。
【0030】
重合方法として、ラジカル重合開始剤、紫外線照射、熱等を用いる方法等、既知の重合方法を採ることが出来るが、ラジカル重合開始剤を用いる方法であることが好ましい。ラジカル重合開始剤は、油溶性、水溶性のものがあるがどちらの開始剤も使用することが出来る。
【0031】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、
【0032】
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル‐2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t―ブチルパーオキシ)シラン、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジハイドロクロライド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノワレリックアシド)等が挙げられる。その他、アンモニウムパーサルフェートでもよい。
【0033】
本発明のエマルジョンは、その表面層をラジカル重合性単量体の重合体、即ち無定形高分子で覆われており、その表面層における該重合体は、透過型電子顕微鏡によりその断面を観察することができる。その表層厚みは、前記結晶性樹脂及び無定形高分子を構成するラジカル重合性単量体の比率により適宜調整できる。ラテックスにおける結晶性樹脂とアモルファス樹脂は海島構造をとる。親水性の強いほうが外側に存在することになる。
【0034】
<静電荷像現像用トナー>
【0035】
本発明のトナーは、溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合し、該水系媒体中で粒子を形成する凝集、合一工程を含むことを特徴とする。この結果、低温定着性、耐トナーブロッキング性、帯電性に優れ、高画質を実現できる。
次に本発明の静電荷現像用トナーの製造方法について詳述する。
本発明のトナーは、特に制限はないが、例えば、本発明のエマルジョンを、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液と混合し(以下、「原料分散液」ともいう。)、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤によりヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合・合一し、洗浄、乾燥することにより得られる。なお、トナー形状は不定形から球形までのものが好ましく用いられる。また、凝集剤としては、該逆極性の界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いると、界面活性剤の使用量が低減でき、帯電特性が向上するため、好ましい。
【0036】
また、前記の凝集工程において、本発明のエマルジョン、着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液を混合する初期の段階では、予め各極性のイオン性分散剤の量のバランスをずらしておき、ポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を添加してイオン的に中和し、その後、ガラス転移点以下の温度で第1段階の母体凝集粒子を形成し、安定した後、第2段階としてイオン的バランスのずれを補填するような極性、量のイオン性分散剤で処理された樹脂微粒子分散液を添加し、さらに必要に応じて凝集粒子中の樹脂微粒子と追加樹脂微粒子に含まれる樹脂のガラス転移点以下でわずかに加熱して、より高い温度で安定化させたのち、ガラス転移点以上に加熱することにより凝集形成の第2段階で加えた粒子を母体凝集粒子の表面に付着させたまま合一させたものでも良い。更にこの凝集の段階的操作は複数回、くり返し実施してもよい。この2段階法は離型剤と着色剤の内包性を向上させるのに有効である。
【0037】
着色剤粒子分散液に用いる着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併せて使用することができる。
【0038】
離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
【0039】
その他、、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
【0040】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
【0041】
融合工程においては、凝集工程と同様の攪拌下で、付着凝集粒子の懸濁液のpHを6.5〜8.5の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、結着樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱を行うことにより付着凝集粒子を融合させる。融合時の加熱温度は、凝集粒子中に含まれる結着樹脂のガラス転移点以上であれば問題無い。前記加熱の時間としては、融合により凝集粒子表面がなめされる程度行えばよく、0.5〜1.5時間程度行えばよい。それ以上時間を掛けるとコア凝集粒子に含まれる結晶性ポリエステルがトナー表面ヘ露出し易くなってしまう。これは、定着性、ドキュメント保存性には効果的であるが、帯電性に悪影響を及ぼすため、結晶性ポリエステルのトナー表面ヘの露出は好ましくない。
【0042】
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナーの粒子とすることができる。この場合、トナーとして十分な帯電特性、信頼性を確保するために、洗浄工程において、十分に洗浄することが好ましい。
【0043】
乾燥工程では、通常の振動型流動乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法、フラッシュジェット法など、任意の方法を採用することができる。トナーの粒子は、乾燥後の含水分率を1.0%以下、好ましくは0.5%以下に調整することが望ましい。
【0044】
上述のように乾燥工程を経て造粒されたトナー粒子は、その他の成分として、目的に応じて既述したような無機微粒子、有機微粒子等の公知の各種外添剤を添加することができる。
【0045】
外添剤としての無機微粒子として、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。無機微粒子は、一般に流動性を向上させる目的で使用される。有機微粒子は、一般にクリーニング性や転写性を向上させる目的で使用され、具体的には例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いるトナーを磁性トナーとして用いる場合は、結着樹脂中に磁性粉を含有させてもよい。このような磁性粉としては、磁場中で磁化される物質を用いる。具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性粉末、又はフェライト、マグネタイト等化合物を使用できる。特に、本発明では、水層中でトナーを得るために、磁性体の水層移行性に注意を払う必要があり、表面改質、例えば疎水化処理等を施しておくのが好ましい。
【0047】
<静電荷像現像用現像剤>
本発明の静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0048】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。 キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10〜500μmであり、好ましくは30〜100μmである。
【0050】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して適宜選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤における本発明のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより好ましい。
【0051】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記トナーとして、前記本発明の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする。
前記現像剤は、一成分系、二成分系のいずれの態様であってもよい。上記の各工程は、いずれも画像形成方法において公知の工程が利用できる。また、本発明の画像形成方法は、上記した工程以外の工程を含むものであってもよい。
【0052】
前記潜像保持体としては、例えば、電子写真感光体および誘電記録体等が使用できる。
電子写真感光体の場合、該電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により一様に帯電した後、露光し、静電潜像を形成する(潜像形成工程)。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電潜像にトナーの粒子を付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する(現像工程)。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の被転写体表面に転写される(転写工程)。さらに、被転写体表面に転写されたトナー像は、定着機により熱定着され、最終的なトナー像が形成される。
尚、前記定着機による熱定着の際には、オフセット等を防止するため、通常、前記定着機における定着部材に離型剤が供給される。
【0053】
本発明のトナー(二成分現像剤に含まれるものを含む。以下同様。)において、結着樹脂中に架橋構造がある場合には、その効果から離型性に優れ、離型剤の使用量を低減する、若しくは離型剤を使用せずに定着を行うことができる。
前記離型剤は、定着後の被転写体および画像へのオイルの付着をなくす観点からは使用しない方が好ましいが、前記離型剤の供給量を0mg/cm2にすると、定着時に前記定着部材と紙等の被転写体とが接触した際に、前記定着部材の磨耗量が増大し、前記定着部材の耐久性が低下してしまう場合があるので、必要ならば、前記離型剤の使用量が8.0×10−3mg/cm2以下の範囲で、前記定着部材に微量に供給されていることが好ましい。
前記離型剤の供給量が、8.0×10−3mg/cm2を越えると、定着後に画像表面に付着した離型剤のために画質が低下し、特にOHPのような透過光を利用する場合には、かかる現象が顕著に現れることがある。また、被転写体への離型剤の付着が顕著になり、ベタ付きが発生することもある。さらに、前記離型剤の供給量は、多くなるほど離型剤を貯蔵しておくタンク容量も大きくしなければならず、定着装置自体の大型化を招く要因ともなる。
【0054】
前記離型剤としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルやアミノ変性シリコーンオイル等の変性オイル等の液体離型剤が挙げられる。中でも、前記定着部材の表面に吸着し、均質な離型剤層を形成しうる観点より、アミノ変性シリコーンオイル等の変性オイルが、前記定着部材に対する塗れ性に優れ、好ましい。また、均質な離型剤層を形成しうる観点より、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルが好ましい。
前記離型剤として、フッ素オイル、フロロシリコーンオイルを使用するのは、本発明の電子写真用トナーを用いない、従来の画像形成方法においては、離型剤自体の供給量を低減し得ないため、コストの面で実用的ではないが、本発明の電子写真用トナーを使用する場合においては、前記離型剤の供給量を激減できるのでコスト面でも実用上問題がない。
【0055】
前記加熱圧着に用いる定着部材であるローラあるいはベルトの表面に、前記離型剤を供給する方法としては、特に制限はなく、例えば、液体離型剤を含浸したパッドを用いるパッド方式、ウエブ方式、ローラ方式、非接触型のシャワー方式(スプレー方式)等が挙げられ、なかでも、ウエブ方式、ローラ方式が好ましい。これらの方式の場合、前記離型剤を均一に供給でき、しかも供給量をコントロールすることが容易な点で有利である。尚、シャワー方式により前記定着部材の全体に均一に前記離型剤を供給するには、別途ブレード等を用いる必要がある。前記離型剤の供給量は、以下のようにして測定できる。即ち、その表面に離型剤を供給した定着部材に、一般の複写機で使用される普通紙(代表的には、富士ゼロックス(株)製の複写用紙、商品名J紙)を通過させると、該普通紙上に離型剤が付着する。この付着した離型剤をソックスレー抽出器を用いて抽出する。ここで、溶媒にはヘキサンを用いる。
このヘキサン中に含まれる離型剤の量を、原子吸光分析装置にて定量することで、普通紙に付着した離型剤の量を定量できる。この量を離型剤の定着部材への供給量と定義する。
【0056】
トナー像を転写する被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
本発明の画像形成方法は、本発明の現像剤(本発明のトナー)を用いているため低温定着が可能であると共に、トナーが適正な摩擦帯電量を保持することができる。このため、画像形成に際して省エネルギー性に優れ、トナー飛散等の発生を防止しつつ良好な画像を形成することができる。
【0057】
【実施例】
以下に実施例として本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<結晶性樹脂の合成>
結晶性ポリエステル(1)の調整
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸9.25mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量10000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(1)を得た。
【0058】
結晶性ポリエステル(2)の調整
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、9.05mol、イソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム0.2mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、220℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量10000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(2)を得た。
【0059】
結晶性ポリエステル(3)の調製
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、9.25mol、5−t−ブチルイソフタル酸0.75molと触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、250℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量20000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(3)を得た。
【0060】
結晶性ポリエステル(4)の調製
三ツ口フラスコに、1,9−ノナンジオール10mol及び1,10−ドデカンニ酸、10mol、と触媒Ti(OBu)4(酸成分に対し、0.014質量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて未反応のモノマー分を除去し、200℃まで徐々に昇温を行い、4時間攪拌し、GPCにて分子量を確認し、重量平均分子量6000付近になったところで、減圧蒸留を停止、空冷し結晶性ポリエステル(4)を得た。
【0061】
分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。樹脂粘度は「(装置名)ARES」(レオメトリクス社製)を用い、測定条件: 融点+20℃(90〜110℃)での粘度の測定を行った。
【0062】
<結晶性樹脂と無定形高分子との乳化物の調整>
乳化物(1)
結晶性ポリエステル(1)600質量部を100℃に加熱して溶融し、スチレン:350質量部、n−ブチルアクリレート:35質量部、アクリル酸:5質量部、ドデカンチオール:24質量部の混合溶液中に添加しよく攪拌する。別に、水系媒体として、イオン交換水9L、5%NH4OH水溶液適量(結晶性樹脂及びアクリル酸由来の酸価を中和するために必要量)、ドデシルベンゼンスルホン酸50質量部、セチルアルコール10質量部を80℃に加熱する。乳化機は「クレアミックス」(エムテクニック製)に密閉循環層を組み合わせたものを用いた。水系媒体と結晶性樹脂混合モノマーを循環層内に入れ、毎分1l/minの流量でクレアミックスに送り、通過した乳液を循環層内に戻した。時間は4時間、温度は80℃、回転数は20000rpm.で乳化した。分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。粒度はマイクロトラックUPAで測定した。
得られたエマルジョンを凍結乾燥し、エマルジョンの断面をミクロトームで切り出し、透過型電子顕微鏡で断面観察した。以下、乳化物(2)〜(10)について同様に行った。それぞれのエマルジョンの表面は、ラジカル重合性単量体の重合体で覆われていることが確認された。
【0063】
乳化物(2)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)とラジカル重合性単量体の割合をそれぞれ70質量パーセント、30質量パーセントに変えた。
【0064】
乳化物(3)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)とラジカル重合性単量体の割合をそれぞれ80質量パーセント、20質量パーセントに変えた。
【0065】
乳化物(4)
処方は乳化物(1)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0066】
乳化物(5)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0067】
乳化物(6)
処方は乳化物(3)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変えた。
【0068】
乳化物(7)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(3)に変えた。
【0069】
乳化物(8)
乳化物(1)の結晶性ポリエステル(1)の数量600質量部を700質量部に変えた。
【0070】
乳化物(9)
結晶性ポリエステル(1)700質量部を100℃に加熱して溶融し、スチレン:225質量部、n−ブチルアクリレート:75質量部、アクリル酸:15質量部、ドデカンチオール:24質量部、ポリ(スチレン−n−ブチルアクリレート−アクリル酸)の重合体15質量部、混合溶液中に添加しよく攪拌する。別に、水系媒体として、イオン交換水9L、5%NH4OH水溶液適量(結晶性樹脂及びアクリル酸由来の酸価を中和するために必要量)、ドデシルベンゼンスルホン酸50質量部、セチルアルコール10質量部を80℃に加熱する。乳化機は「クレアミックス」(エムテクニック製)に密閉循環層を組み合わせたものを用いた。水系媒体と結晶性樹脂混合モノマーを循環層内に入れ、毎分1l/minの流量でクレアミックスに送り、通過した乳液を循環層内に戻した。時間は4時間、温度は80℃、回転数は20000rpm.で乳化した。分子量は島津製作所製GPCを使用し、スチレン標準物質で換算している。粒度はマイクロトラックで測定した。
【0071】
乳化物(10)(比較例1用)
処方は乳化物(2)と同じで結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(4)に変えた。
各乳化物の諸データを表1にまとめる。
【0072】
【表1】
【0073】
−離型剤分散液の調製−
・エステルワックス(日本油脂(株)製:WE−2、融点65℃):50質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5質量部
・イオン交換水:200質量部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
【0074】
−着色剤分散液の調製−
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):2300質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンR):150質量部
・イオン交換水:7700質量部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.15μm、着色剤粒子濃度は23質量%であった。
【0075】
−トナー粒子(1)の製造−
・乳化物(1):950質量部
・着色剤分散液:22.87質量部
・離型剤分散液:50質量部
・ノニオン性界面活性剤(IGEPAL CA897):0.5質量部
【0076】
上記原料を5Lの円筒ステンレス容器に入れ、Ultraturraxにより8000rpmでせん断力を加えながら30分間分散混合する。ついで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液0.14質量部を滴下しはじめ、プレ凝集を促進した。それぞれの分散粒子が凝集しはじめると、原料分散液自体の粘度が上昇するので、増粘をはじめたら光学顕微鏡で凝集粒子の大きさを確認しながら、前記凝集剤水溶液を滴下した。またこの際、原料分散液のpHは4.2〜4.5の範囲に制御した。必要に応じて、0.3Mの硝酸や1Mの水酸化ナトリウム水溶液でpH調整を行った。pHが4.0以下になると凝集粒子径が成長し始めるので、凝集粒子径を大きすぎないようにするには上記範囲が好ましい。上記pH範囲で約2時間保持し、コア凝集粒子を形成した。
【0077】
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、40℃にて付着凝集粒子の成長を促進させた。その後、光学顕微鏡及びコールターカウンターで付着凝集粒子の大きさ及び形態を確認しながら造粒を進め、体積平均粒子径が6〜7μmになった時点で、付着凝集粒子を融合させるために、pHを9.0に上げた後、90℃まで昇温させた。顕微鏡で粒子が融合したのを確認した後90℃で保持したまま、再度pHを6.5まで下げて、1時間後に加熱を止め、放冷した。その後45μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥した。コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm;コールター社製)を用いてコア凝集粒子の体積平均粒子径を測定した。
【0078】
−トナー粒子(2)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(2)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0079】
−トナー粒子(3)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(3)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(4)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(4)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0080】
−トナー粒子(5)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(5)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(6)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(6)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
−トナー粒子(7)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(7)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0081】
−トナー粒子(8)の製造−
前述のトナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(8)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0082】
−トナー粒子(9)の製造−
前述トナー粒子(1)の乳化液(1)を乳化液(9)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0083】
−比較例トナー粒子(1)の製造−
前述トナー粒子(1)の乳化物(1)を乳化物(10)に変更した以外は、トナー粒子(1)の製造方法を使用した。
【0084】
<トナーの諸評価>
(融点の測定)
結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の融点(Tm)を、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)(以下、「DSC」と略記する。)の熱分析装置を用いて測定した。測定は、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で行い、融点をJIS K−7121(1987)により解析して得た。(1)、(2)のTmはいずれも72℃で、(3)が71.4℃、(4)72.2℃であった。なお、結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の吸熱ピークにおける半値幅はいずれも6℃以下であり、結晶性を有していることが確認された。
【0085】
(粘弾性の測定)
結晶性ポリエステル樹脂(1)〜(4)の粘度を、回転平板型レオメーター(RDA 2RHIOSシステム Ver.4.3.2,レオメトリックス・サイエンテイフィック・エフ・イー(株)製)を用いて測定した。
測定は、測定対象となる樹脂をサンプルホルダーにセッティングし、昇温速度1℃/min、周波数1rad/sec、歪み20%以下、測定補償値の範囲内の検出トルクで行った。なお、融点プラス20℃(92℃)における値を樹脂の粘度とした。
【0086】
(トナー中の樹脂組成定量)
トナー粒子(1)〜(9)、比較例(1)の樹脂組成はNMRを用いて定量した。具体的には、各トナー約20mgをサンプル瓶に秤量し、これに溶媒である重THFを1ml加えて充分溶解し、その溶液をNMRチュ―ブに移してNMRスペクトル測定を行った。
【0087】
<トナーの定着性、ドキュメント保存性、帯電性の評価>
(定着性及びドキュメント保存性の評価)
トナーそれぞれ5質量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)100質量部を混合して二成分現像剤を調整し、これを市販の電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)を用いて画像出しを行い、未定着画像を得た。
なお、電子写真複写機(富士ゼロックス社製 A−Color 635)は、潜像担持体と、該潜像担持体表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤が内部に収容され、現像剤担持体表面に形成された前記現像剤の層により前記潜像を現像し、前記潜像担持体表面にトナー画像を形成する現像器と、前記トナー画像を被転写体に転写する転写手段と、を含む画像形成装置である。
【0088】
ついで、ベルトニップ方式の外部定着機を用いて、定着温度を90℃から220℃の間で段階的に上昇させながら画像の定着性、ホットオフセット性を評価した。なお、低温定着性は、未定着のソリッド画像(25mm×25mm)を定着した後、一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。
【0089】
一方、ドキュメント保存性の評価については、上記定着評価の際に作成した未定着像2枚を、外部定着機で150℃にて定着した後、画像部と、非画像部及び画像部とが重るように向かい合わせて重ね、重ねた部分に対して80g/cm2相当になるように重りを載せ、60℃湿度50%の恒温恒湿槽で3日間放置した。放置後、重ねた2枚の定着像の画像欠損度合いを以下に示す「G1」〜「G5」の5段階でグレード付けした。
【0090】
G1:互いの画像部が接着した為、画像が定着されている紙ごと剥がれて、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかな画像の移行が見られる。
G2:画像同士が接着していた為、画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生している。
G3:重ねた2枚の画像を離す際、互いの定着表面に画像のあれやグロス低下は発生するが、画像としては画像欠損は殆どなく許容できるレベル。非画像部に若干の移行が見られる。
G4:重ねた2枚の画像を離す時に、パリッと音がし、非画像部にもわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題無いレベル。
G5:画像部、非画像ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
【0091】
(帯電性の評価)
定着性の評価の際に作成した静電荷像現像用トナー実施例(1)〜(9)、比較例(1)各1.5質量部と樹脂被覆されたフェライト粒子(平均粒子径35μm)30質量部とをフタ付きのガラス瓶に秤量し、高温高湿下(温度28℃、湿度85%)、及び、低温低湿下(温度10℃、湿度15%)で24時間シーズニングした後、ターブラミキサーで5分間攪拌した。この両環境下のトナーの帯電量(μC/g)の絶対値をブローオフ帯電量測定装置で測定した。
【0092】
以上の様に作製したトナーの諸特性を表2に示す。また、表2に示すトナーの定着特性、ドキュメント保存性、および、帯電特性について表3に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
以上の結果により、低温定着性及びドキュメント保存性においては、実施例の全てが比較例に比べて優れており、帯電特性においても実施例(3)、(6)以外は全て比較例と同等以上であることがことが分かる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、低温定着が可能であると共に、耐ドキュメントオフセット性が強く、十分な帯電性を有する静電荷像現像用トナー、並びに、これを用いた静電荷像現像用現像剤および画像形成方法を提供することができる。
Claims (5)
- 溶融粘度(融点+20℃)が10Pa・s以上10000Pa・s以下である結晶性樹脂を主成分とし、該結晶性樹脂と無定形高分子を形成するラジカル重合性単量体との混合物を水系媒体中に乳化分散し得られた乳化物を重合して得られることを特徴とするエマルジョン。
- 請求項1記載のエマルジョンの表面層がラジカル重合性単量体が重合してできた無定形高分子で覆われていることを特徴とするエマルジョン。
- 請求項1又は2記載のエマルジョンと、着色剤を分散した着色剤分散液とを混合し、樹脂粒子及び着色剤を水系媒体中でトナー粒径に凝集させ、得られた凝集体を前記樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱、融合させたことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 請求項3に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤。
- 潜像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤により前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含む画像形成方法において、前記トナーとして、請求項3に記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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