JP2010185044A - 硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非架橋ポリマーを含有する種粒子を、水を含有する分散媒中に分散させた種粒子分散液と、ラジカル重合性モノマーと、油溶性硬化剤又は油溶性硬化促進剤と、油溶性重合開始剤とを混合し、前記種粒子に前記ラジカル重合性モノマー、前記油溶性硬化剤又は前記油溶性硬化促進剤、及び、前記油溶性重合開始剤を吸収させて膨潤粒子液滴の分散液を調製する工程と、前記膨潤粒子液滴中の前記ラジカル重合性モノマーを重合させる工程とを有する硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法。
【選択図】なし
Description
以下に本発明を詳述する。
上記非架橋ポリマーを構成する非架橋性モノマーは特に限定されず、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸等が挙げられる。
上記架橋性モノマーは特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
なお、上記種粒子の粒子径のCv値は、粒子径測定装置により測定される体積平均粒子径mと標準偏差σから、下記式(1)により算出することができる。
Cv=σ/m×100(%) (1)
なお、硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡により、1視野に約100個が観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個の微粒子についてノギスを用いて最長径を測定し、最長径の数平均値を求めることにより算出することができる。
上記分散剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本明細書において、油溶性硬化剤又は油溶性硬化促進剤とは、logPow(オクタノール/水分配係数)が0以上である硬化剤又は硬化促進剤を意味する。硬化剤又は硬化促進剤のlogPowは、以下のように求められる。
n−オクタノールと水とを充分に混合した混合液を24時間放置した後、混合液に硬化剤又は硬化促進剤を加えてさらに混合する。その後、オクタノール相中に含まれる硬化剤又は硬化促進剤の濃度(Co)と水相中に含まれる硬化剤又は硬化促進剤の濃度(Cw)とをガスクロマトグラフィーにより測定し、得られたCo及びCwを用いて、下記式(2)からlogPowを算出できる。
logPow=log(Co/Cw) (2)
Co:オクタノール相中の硬化剤又は硬化促進剤の濃度
Cw:水相中の硬化剤又は硬化促進剤の濃度
上記油溶性重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの油溶性重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合性モノマー、上記油溶性硬化剤又は上記油溶性硬化促進剤、上記油溶性重合開始剤は、これらの混合物の乳化液を調製して上記種粒子分散液に加えて混合してもよいし、各々の乳化液を別個に調製して上記種粒子分散液に加えて混合してもよい。
上記ラジカル重合性モノマー等の乳化液の分散媒は、乳化剤を含有することが好ましい。上記乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
重合は、上記油溶性重合開始剤の種類等に従って、光を照射したり、加熱したりすることにより開始することができる。
本発明の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法を用いて製造される硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子もまた、本発明の1つである。
本発明の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子は、粒子径、及び、硬化剤又は硬化促進剤の内包量が均一であることにより、例えば、硬化性樹脂組成物中に分散させた場合、シェルの薄い部分で硬化剤等が滲み出して貯蔵中に硬化が開始したり、シェルの厚い部分で硬化中に硬化剤等が充分に滲み出さず反応性が低下したりすることがなく、貯蔵安定性が高く、硬化が均質となる。硬化が均質であることから、例えば、本発明の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子を分散させたエポキシ樹脂接着剤は、接着強度及び接着信頼性が向上する。
なお、本発明の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の粒子径のCv値は、上記種粒子の粒子径のCv値と同様に算出することができる。
スチレン100重量部、過硫酸カリウム3重量部、n―オクチルメルカプタン25重量部、水2500重量部を混合し、攪拌しながら70℃で24時間反応させて、体積平均粒子径0.5μm、Cv値15%、かつ、球状の非架橋のポリスチレン粒子が1.5重量%の濃度で水に分散された種粒子分散液を調製した。
得られた膨潤粒子液滴の分散液を撹拌しながら85℃で、10時間反応させることにより、コアとして2−メチル−4−メチルイミダゾールを含有し、シェルがポリアクリロニトリル/エチレングリコールジメタクリレート共重合体から形成されているポリマー微粒子分散液を得た。
得られたポリマー微粒子を、純水を用いて繰り返して洗浄し、真空乾燥して硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
油溶性硬化剤を2−メチルイミダゾール100重量部とした以外は、実施例1と同様にして硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
過硫酸カリウムの配合量を5重量部とした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径0.2μm、Cv値15%、かつ、球状の非架橋のポリスチレン粒子が1.5重量%の濃度で水に分散された種粒子分散液を調製した。
得られた種粒子分散液を用い、乳化液の添加量をポリスチレン粒子重量の20倍の油性成分となるように混合した以外は、実施例1と同様にして硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
過硫酸カリウムの配合量を0.5重量部とした以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径2.0μm、Cv値15%、かつ、球状の非架橋のポリスチレン粒子が1.5重量%の濃度で水に分散された種粒子分散液を調製した。
得られた種粒子分散液を用い、乳化液の添加量をポリスチレン粒子重量の125倍の油性成分となるように混合した以外は、実施例1と同様にして硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
過硫酸カリウム3重量部の代わりに、過硫酸カリウム0.5重量部、塩化ナトリウム0.1重量部を配合した以外は実施例1と同様にして、体積平均粒子径5.0μm、Cv値15%、かつ、球状の非架橋のポリスチレン粒子が1.5重量%の濃度で水に分散された種粒子分散液を調製した。
得られた種粒子分散液を用い、乳化液の添加量をポリスチレン粒子重量の125倍の油性成分となるように混合した以外は、実施例1と同様にして硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
メタクリル酸2重量部、アクリロニトリル8重量部及び2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1重量部を含有するイソプロピルアルコール溶液400重量部に、あらかじめ平均粒子径5μmに微粉砕した1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール90重量部を分散させた。この分散液を、窒素雰囲気下、50℃で3時間反応させることにより、コアとして1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールを含有し、シェルがメタクリル酸/アクリロニトリル共重合体から形成されているポリマー微粒子分散液を得た。その後、得られた分散液を濾過して硬化剤含有ポリマー微粒子を得た。
温度計、還流冷却器及びテフロン(登録商標)製半月型攪拌装置を備えた内容積1000mLの三ツ口丸底フラスコに、2−メチルイミダゾール(2MZ)28.0g及びアクリルポリマー(東亞合成社製「レゼダGP−300」)4.99gを仕込み、次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)593.95gを加え、温度を70℃に上げて完全に溶解した。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート828」)の50重量%MIBK溶液143.74gを加えて混合し、混合物を300rpmの速度で攪拌しながら70℃で10時間反応させ、反応率をほぼ100%まで到達させることにより、コアが2−メチルイミダゾール(2MZ)、シェルがアクリルポリマーにより形成されている、コアシェル粒子分散液を得た。その後、得られた分散液を濾過してポリマー微粒子を得た。
ラジカル重合性モノマーとしてアクリロニトリル50重量部とエチレングリコールジメタクリレート50重量部、油溶性硬化剤として2−メチル−4−メチルイミダゾール100重量部、及び、油溶性重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4重量部を均一に溶解した混合液に、乳化剤としてラウリル硫酸トリエタノールアミン2重量部と水とを加えて混合し、乳化液を調製した。
実施例1〜5、比較例1〜3で得られた硬化剤含有ポリマー微粒子について、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
得られた硬化剤含有ポリマー微粒子を、走査型電子顕微鏡により、1視野に約100個が観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個の微粒子についてノギスを用いて最長径を測定し、この値の数平均値と変動係数を求め、これらを平均粒子径、粒子径Cv値とした。
得られた硬化剤含有ポリマー微粒子の乾燥粉末を約1g秤量し、アルミカップに乗せ、真空乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、取り出してポリマー微粒子を計量した。乾燥前後の重量比を用いて下記式から硬化剤の内包量を算出した。
内包量(重量%)
=[{(乾燥前の重量)−(乾燥後の重量)}/(乾燥前の重量)]×100
上記(2)内包量の評価を5回繰り返し、内包量の平均値を算出した。算出した5つの内包量のうち、全ての内包量が平均値の±10%未満である場合を「○」、10%以上の場合を「×」とし、内包量の均一性を評価した。
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「JER828」)100重量部と、得られた硬化剤含有ポリマー微粒子10重量部との混合物を、40℃で7日間放置した。その後、混合物がゲル化しているか否かを目視で観察した。混合物がゲル化していない場合を「○」、混合物がゲル化した場合を「×」とし、貯蔵安定性を評価した。
Claims (5)
- 非架橋ポリマーを含有する種粒子を、水を含有する分散媒中に分散させた種粒子分散液と、ラジカル重合性モノマーと、油溶性硬化剤又は油溶性硬化促進剤と、油溶性重合開始剤とを混合し、前記種粒子に前記ラジカル重合性モノマー、前記油溶性硬化剤又は前記油溶性硬化促進剤、及び、前記油溶性重合開始剤を吸収させて膨潤粒子液滴の分散液を調製する工程と、
前記膨潤粒子液滴中の前記ラジカル重合性モノマーを重合させる工程とを有する
ことを特徴とする硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法。 - ラジカル重合性モノマー、油溶性硬化剤又は油溶性硬化促進剤、及び、油溶性重合開始剤を、水を含有する分散媒中に分散させた乳化液と、種粒子分散液とを混合することを特徴とする請求項1記載の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法。
- 種粒子は、粒子径のCv値が30%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法。
- 請求項1、2又は3記載の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子の製造方法を用いて製造されることを特徴とする硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子。
- 平均粒子径が0.1〜100μmであり、かつ、粒子径のCv値が10%以下であることを特徴とする請求項4記載の硬化剤又は硬化促進剤含有ポリマー微粒子。
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