JP2013215685A - 液体内包カプセルの製造方法、液体内包カプセル及びカプセル含有組成物 - Google Patents

液体内包カプセルの製造方法、液体内包カプセル及びカプセル含有組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造することのできる液体内包カプセルの製造方法を提供する。また、該液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセル、及び、該液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物を提供する。
【解決手段】分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製する工程と、前記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させ、重合体を含有するシェルにコア材として前記高極性液体を含有する一次カプセルを作製する工程と、前記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する工程とを有する液体内包カプセルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造することのできる液体内包カプセルの製造方法に関する。また、本発明は、該液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセル、及び、該液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物に関する。
コア材をシェルで覆ったマイクロカプセルが様々な分野で用いられている。例えば、接着剤、シール剤、コーティング剤等の用途に用いられるエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の硬化を進行させるための硬化剤又は硬化促進剤とを安定な一液にするために、コア材としての硬化剤又は硬化促進剤をシェルで被覆し、潜在性をもたせたマイクロカプセルが用いられている。このようなマイクロカプセルには、エポキシ樹脂組成物の安定性を低下させることなく硬化時には速やかに硬化を進行させるために、コア材の保持性と放出性とを両立することが求められている。
特許文献1には、芯成分が水に対する溶解度が10重量パーセント以下であるアミン系硬化剤を含み、殻壁成分がラジカル重合性単量体を主重合成分とする重合体を含むアミン系硬化剤のマイクロカプセルが記載されている。しかしながら、アミン系硬化剤は一般に極性の高い液体である。このような高極性液体がコア材であり、かつ、シェルの構成材料が重合性単量体である場合には、水性媒体中で重合性単量体を含む重合成分を重合する際に高極性液体が水性媒体中に漏れ出ることがあり、カプセル化が良好に進行しないことがある。
高極性液体のカプセル化を良好に行うために、シェルの構成材料として無機物を使用することが検討されている。特許文献2には、コロイド状微粒子を電解質を用いて凝集させて得られたカプセル膜で硬化促進剤を被覆したマイクロカプセル型硬化促進剤が記載されている。
また、重合よりも反応速度の速いアルコキシ基等の縮合反応を利用し、シェルの形成速度を増大させることで高極性液体のカプセル化を行うことも検討されている。しかしながら、アルコキシ基等の縮合反応により形成される無機物からなるシェルは微細な粒子の集合体からなるものであり、シェルに隙間が多く、エポキシ樹脂組成物の保管時にシェルの隙間からコア材が漏れ出ることがあり、安定性の低下の原因となっている。
特開平3−182520号公報 特開平6−25470号公報
本発明は、コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造することのできる液体内包カプセルの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセル、及び、該液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物を提供することを目的とする。
本発明は、分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製する工程と、前記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させ、重合体を含有するシェルにコア材として前記高極性液体を含有する一次カプセルを作製する工程と、前記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する工程とを有する液体内包カプセルの製造方法である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者は、分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製し、次いで、重合性官能基の重合とアルコキシ基の縮合反応とを共に進行させることにより、高極性液体を効率よくカプセル内に取り込み、カプセル化を良好に行うことができることを見出した。重合性官能基の重合とアルコキシ基の縮合反応とでは反応速度に差があり、このような反応速度差のある反応を共に進行させることから、高極性液体を効率よくカプセル内に取り込むことができ、かつ、形成されるシェルの表面を、より平滑な隙間のない表面とすることができる。更に、本発明者は、このようにして得られたカプセルの表面を更に熱可塑性樹脂で被覆することにより、熱可塑性樹脂の密着性が高くコア材の保持性に優れ、かつ、必要時には速やかにコア材を放出することのできる液体内包カプセルが得られることを見出した。
即ち、本発明者は、分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製する工程と、前記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させ、重合体を含有するシェルにコア材として前記高極性液体を含有する一次カプセルを作製する工程と、前記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する工程とを有する液体内包カプセルの製造方法によれば、コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセルは、コア材の保持性及び放出性に優れる。このため、例えば、コア材が硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する場合、得られた液体内包カプセルを含有する熱硬化性樹脂組成物は、熱安定性及び速硬化性に優れたものとなる。
本発明の液体内包カプセルの製造方法では、まず、分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製する工程を行う。
上記重合性官能基として、例えば、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基等が挙げられる。なかでも、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
上記アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物として、金属カップリング剤が好ましい。
金属カップリング剤を用いることにより、シェルが有機物と無機物との両方を含有する一次カプセルを得ることができる。一次カプセルのシェルがこのように有機物と無機物との両方を含有し、かつ、コア材が硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する場合、得られた液体内包カプセルを含有する熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に線膨張率となり、信頼性に優れたものとなる。一方、シェルが有機物のみからなるカプセルを含有する熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に線膨張率が高くなり、信頼性が低下する。
上記金属カップリング剤は特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。なかでも、安価かつ取扱性が容易であることから、シランカップリング剤が好ましい。
上記シランカップリング剤は特に限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、反応性のバランスが良好であることから、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
高極性液体とは、下記式(1)で計算されるSP値(溶解度パラメータ)が9.5以上であり、かつ、融点が50℃以下である物質を意味する。
Δδ=ΔF/ΔV (1)
式(1)中、δは溶解度パラメータを表し、Fはモル引力定数を表し、Vはモル容積を表す(参考:沖津俊直、日本接着学会誌、vol.29,No.5,204−211(1993))。
上記高極性液体として、例えば、硬化剤及び/又は硬化促進剤、接着剤、インク、化粧料、香料等が挙げられる。例えば、上記高極性液体が硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する場合、得られる液体内包カプセルは、潜在性硬化剤及び/又は硬化促進剤として好適に用いられる。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤は特に限定されず、例えば、三級アミン化合物、イミダゾール化合物等のアミン化合物、又は、リン系触媒等が挙げられる。なかでも、硬化性に優れることから、イミダゾール化合物が好ましい。
上記イミダゾール化合物は特に限定されないが、融点が50℃未満であることが好ましく、具体的には例えば、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び、これらの付加体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、1,2−ジメチルイミダゾール(SP値10.0)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(SP値9.8)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(SP値10.6)が好ましい。
上記高極性液体の配合量は特に限定されないが、上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物6重量部に対する好ましい下限が2重量部、好ましい上限が14重量部である。配合量が2重量部未満であると、液体内包カプセルの内包重量比率が低下し、コア材の放出性が低下することがある。配合量が14重量部を超えると、重合及び縮合反応中に高極性液体が水性媒体中に漏れ出ることがあり、カプセル化が良好に進行しないことがある。配合量のより好ましい下限は4重量部、より好ましい上限は9重量部である。
上記水性媒体は特に限定されず、例えば、水に、乳化剤、分散安定剤等を添加した水性媒体が用いられる。上記乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記水性媒体200重量部に対する上記混合溶液の配合量は特に限定されないが、好ましい上限が40重量部である。配合量が40重量部を超えると、水性媒体に対する混合溶液の体積割合が高くなりすぎて、混合溶液の合一又は一次カプセルの凝集が生じることがある。
上記乳化液を調製する際には、混合溶液に水性媒体を添加してもよく、水性媒体に混合溶液を添加してもよい。乳化方法として、例えば、ホモジナイザーを用いて攪拌する方法、超音波照射により乳化する方法、マイクロチャネル又はSPG膜を通過させて乳化する方法、スプレーで噴霧する方法、転相乳化法等が挙げられる。
本発明の液体内包カプセルの製造方法では、次いで、上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させ、重合体を含有するシェルにコア材として上記高極性液体を含有する一次カプセルを作製する工程を行う。
通常、シェルの構成材料が重合性単量体であり、コア材が高極性液体である場合には、水性媒体中で重合性単量体を重合する際に高極性液体が水性媒体中に漏れ出ることがあり、カプセル化が良好に進行しないことがある。
本発明の液体内包カプセルの製造方法では、一次カプセルのシェルの構成材料として、分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を用い、重合性官能基の重合とアルコキシ基の縮合反応とを共に進行させる。重合性官能基の重合とアルコキシ基の縮合反応とでは反応速度に差があり、このような反応速度差のある反応を共に進行させることから、高極性液体を効率よくカプセル内に取り込むことができ、かつ、形成されるシェルの表面を、より平滑な隙間のない表面とすることができる。
上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させる際には、重合開始剤を用いることが好ましい。使用する重合開始剤の種類等に従って、光を照射したり加熱したりすることにより重合及び縮合反応を開始させることができる。なお、重合開始剤は、混合溶液に予め添加しておいてもよいし、乳化液を調製した後で添加してもよい。
上記重合開始剤は特に限定されないが、水に難溶性であることが好ましく、具体的には例えば、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の配合量は特に限定されず、上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物6重量部に対する好ましい下限が0.15重量部、好ましい上限が0.75重量部である。配合量が0.15重量部未満であると、一次カプセルが形成されないことがある。配合量が0.75重量部を超えると、シェルを構成する重合体の分子量が高くならず、一次カプセルが形成されないことがある。配合量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は0.5重量部である。
本発明の液体内包カプセルの製造方法では、次いで、上記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する工程を行う。
上記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆することにより、熱可塑性樹脂の密着性が高くコア材の保持性に優れ、かつ、必要時には速やかにコア材を放出することのできる液体内包カプセルを得ることができる。熱可塑性樹脂の密着性が向上する理由として、上記一次カプセルが上記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物の重合体を含有するシェルを有し、重合性官能基、及び/又は、アルコキシ基由来の水酸基を表面に有しているためと推測される。上記一次カプセルが重合性官能基、及び/又は、アルコキシ基由来の水酸基を表面に有していることは、FT−IR、TOF−SIMS等により分析することができる。
上記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する方法として、例えば、一次カプセルと、熱可塑性樹脂を構成するラジカル重合性モノマーとを、水性媒体に分散させ、次いで、ラジカル重合性モノマーを重合させて熱可塑性樹脂を得る方法(方法1という)、一次カプセルと、熱可塑性樹脂を油性溶媒に溶解した溶液とを、水性媒体に分散させ、次いで、加熱、減圧等により油性溶媒を除去して熱可塑性樹脂を析出させる方法(方法2という)等が挙げられる。方法1及び2において使用される水性媒体としては、上述した水性媒体と同様のものを用いることができる。
上記方法1において使用されるラジカル重合性モノマーは特に限定されず、例えば、1官能のラジカル重合性基を有するモノマー、2官能以上のラジカル重合性基を有するモノマー等が挙げられる。
上記1官能のラジカル重合性基を有するモノマーとして、例えば、ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物等のビニル基を有する化合物が好ましい。上記ビニル基を有する化合物として、具体的には例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリル等の共役モノマー、又は、酢酸ビニル、塩化ビニル等の非共役モノマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記2官能以上のラジカル重合性基を有するモノマーは、ラジカル重合性基を分子内に2つ以上有していればよく、ラジカル重合性基を分子内に多数有していてもよく、具体的には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、液体内包カプセルのコア材の保持性及び放出性を向上させることができることから、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記方法1において使用されるラジカル重合性モノマーの配合量は特に限定されないが、上記一次カプセル5.0重量部に対する好ましい下限が1.5重量部、好ましい上限が7.5重量部である。配合量が1.5重量部未満であると、一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で充分に被覆できないことがある。配合量が7.5重量部を超えると、加熱しても熱可塑性樹脂の溶融又は軟化に時間を要し、コア材の放出性が低下することがある。配合量のより好ましい下限は2.5重量部、より好ましい上限は5.0重量部である。
上記方法1において使用される重合開始剤は特に限定されないが、水溶性であることが好ましく、具体的には例えば、過酸化物、ハイドロパーオキサイド、アゾ化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記方法1において使用される重合開始剤の配合量は特に限定されず、上記ラジカル重合性モノマー5.0重量部に対する好ましい下限が0.005重量部、好ましい上限が0.15重量部である。配合量が0.005重量部未満であると、一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で充分に被覆できないことがある。配合量が0.15重量部を超えると、熱可塑性樹脂の分子量が高くならず、コア材の保持性が低下することがある。配合量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は0.1重量部である。
上記方法2において使用される熱可塑性樹脂として、例えば、親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマー、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体等が挙げられる。
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける親水性基として、例えば、グリシジル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。なかでも、グリシジル基が好ましい。上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける疎水性基として、例えば、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メタクリル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーとして、具体的には例えば、ポリスチレン誘導体、ポリメタクリル酸誘導体等が挙げられる。なかでも、ポリスチレン誘導体が好ましい。
上記ポリスチレン誘導体は、上記親水性基と上記疎水性基とを有していればよく、例えば、上記親水性基としてグリシジル基を有し、上記疎水性基としてポリスチレン骨格に由来するフェニル基を有するポリスチレン誘導体が好ましい。
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。重量平均分子量が5000未満であると、液体内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。重量平均分子量が10万を超えると、加熱しても親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーが溶融又は軟化せず、コア材の放出性が低下することがある。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニルのけん化反応により得られたポリビニルアルコールを、アルデヒドでアセタール化することにより得られる。上記アセタール化に使用するアルデヒドとして、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。なかでも、ブチルアルデヒドが好ましい。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有量、アセタール化度、原料であるポリ酢酸ビニルのアセチル基に由来するアセチル基の含有量、重量平均分子量等を調整することにより、目的に合わせて液体内包カプセルの物性を調整することができる。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が50万である。重量平均分子量が5000未満であると、液体内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。重量平均分子量が50万を超えると、加熱しても水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂が溶融又は軟化せず、コア材の放出性が低下することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は3万、より好ましい上限は30万である。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の市販品として、例えば、BL−10(積水化学工業社製)、BL−2H(積水化学工業社製)、BM−S(積水化学工業社製)、BH−3(積水化学工業社製)、♯−3000K(電気化学工業社製)、MOWITAL B60T(クラレ社製)等が挙げられる。
上記方法2において使用される熱可塑性樹脂にアクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体を用いることにより、液体内包カプセルのガスバリア性及び耐溶剤性を向上させることができる。
上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体において、上記アクリロニトリルに由来するセグメント以外の他のモノマーに由来するセグメントは特に限定されない。上記他のモノマーとして、例えば、ビニル基を有する化合物等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。上記ビニル基を有する化合物は特に限定されず、例えば、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルメタクリレート(MMA)等のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、ブタジエン等が挙げられる。なかでも、スチレン、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。重量平均分子量が5000未満であると、液体内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。重量平均分子量が10万を超えると、加熱してもアクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体が溶融又は軟化せず、コア材の放出性が低下することがある。重量平均分子量のより好ましい下限は8000、より好ましい上限は5万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は3万である。
なお、上記方法2において使用される熱可塑性樹脂は、グリシジル基を有することが好ましい。上記方法2において使用される熱可塑性樹脂がグリシジル基を有する場合として、例えば、上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける親水性基がグリシジル基である場合、上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体において他のモノマーとしてグリシジルメタクリレート(GMA)等のグリシジル基含有モノマーを用いる場合等が挙げられる。上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体にグリシジル基含有モノマーを用いることにより、アクリロニトリルに由来するセグメントの凝集を適度に緩和することで、コア材の放出温度をコントロールすることができる。
上記方法2において使用される熱可塑性樹脂の配合量は特に限定されないが、上記一次カプセル5.0重量部に対する好ましい下限が1.5重量部、好ましい上限が7.5重量部である。配合量が1.5重量部未満であると、一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で充分に被覆できないことがある。配合量が7.5重量部を超えると、加熱しても熱可塑性樹脂の溶融又は軟化に時間を要し、コア材の放出性が低下することがある。配合量のより好ましい下限は2.5重量部、より好ましい上限は5.0重量部である。
上記方法2においては、熱可塑性樹脂に加えて、無機ポリマーを併用してもよい。無機ポリマーを用いることにより、液体内包カプセルの強度、耐熱性及び耐溶剤性が向上し、例えば溶剤と混合する場合であっても好適に用いられる。
上記無機ポリマーとして、分子中に2個以上の炭素数1〜6のアルコキシ基を有し、かつ、Si、Al、Zr及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する有機金属化合物の重合体が好ましい。このような有機金属化合物の重合体として、例えば、シリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂、ポリカルボシラン樹脂、ポリシラスチレン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリチタノカルボシラン樹脂等が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂が好ましく、グリシジル基を有するシリコーン樹脂がより好ましい。
上記方法2において使用される油性溶媒は特に限定されず、例えば、ベンゼン、イソプレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エタノール、アリルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記方法2において油性溶媒を除去して熱可塑性樹脂を析出させる方法として、30〜70℃に加熱する方法が好ましく、加熱に加えて、0.095〜0.080MPaの圧力となるよう設定して減圧を行う方法がより好ましい。
上記一次カプセルの表面に形成される熱可塑性樹脂からなる被覆層の厚みは、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が0.8μmである。厚みが0.05μm未満であると、液体内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。厚みが0.8μm超えると、コア材の放出性が低下することがある。厚みのより好ましい下限は0.08μm、より好ましい上限は0.5μmである。
なお、一次カプセルの表面に形成される熱可塑性樹脂からなる被覆層の厚みとは、走査型電子顕微鏡を用いて液体内包カプセルの断面を観察し、観察された像より直接ノギスで測定した100か所の被覆層の厚みの平均値を意味する。
上記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆することにより、液体内包カプセルを得ることができる。得られた液体内包カプセルは、純水を用いて繰り返して洗浄された後、真空乾燥等により乾燥されてもよい。本発明の液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセルもまた、本発明の1つである。
本発明の液体内包カプセルの内包重量比率は、好ましい下限が15重量%、好ましい上限が70重量%である。内包重量比率が15重量%未満であると、コア材の放出性が低下したり液体内包カプセルを多量に配合する必要が生じたりすることがある。内包重量比率が70重量%を超えると、液体内包カプセルの一次カプセルのシェル又は被覆層が薄くなりすぎて強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。内包重量比率のより好ましい下限は25重量%、より好ましい上限は50重量%である。
なお、液体内包カプセルの内包重量比率とは、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した高極性液体のピーク面積比から計算される、液体内包カプセルに占めるコア材の重量比率を意味する。
本発明の液体内包カプセルの平均粒子径は、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が3μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、所望の範囲の内包重量比率を維持しようとすると、液体内包カプセルの強度、耐熱性又は耐溶剤性が低下し、コア材の保持性が低下することがある。平均粒子径が3μmを超えると、液体内包カプセルを熱硬化性樹脂組成物に配合した場合に、加熱によりコア材が放出された後、大きなボイドが生じて硬化物の信頼性が低下することがある。平均粒子径のより好ましい上限は2μmである。
なお、液体内包カプセルの平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個のカプセルが観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個のカプセルの最長径をノギスで測定した平均値を意味する。
本発明の液体内包カプセルの5%重量損失温度は、好ましい下限が250℃である。5%重量損失温度が250℃未満であると、液体内包カプセルの耐熱性が低いため、コア材の保持性が低下することがある。5%重量損失温度のより好ましい下限は280℃である。
なお、液体内包カプセルの5%重量損失温度とは、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)により加温したときに、重量が初期重量から5%減少したときの温度を意味する。
本発明の液体内包カプセルの酢酸エチル中での溶解重量減少率は、1重量%未満であることが好ましい。溶解重量減少率が1重量%以上であると、液体内包カプセルの耐溶剤性が低いため、溶剤と併用する場合にコア材の保持性が低下することがある。溶解重量減少率は0.5重量%未満であることがより好ましい。
なお、液体内包カプセルの酢酸エチル中での溶解重量減少率とは、酢酸エチル中で液体内包カプセルを室温で24時間浸漬攪拌した後、液体内包カプセルと酢酸エチルとを分離し、酢酸エチルを減圧留去することにより析出したコア材の重量を測定したときの、析出したコア材の重量と浸漬攪拌前の液体内包カプセルの重量との比を意味する。
本発明の液体内包カプセルは、コア材の保持性及び放出性に優れる。このため、例えば、コア材が硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する場合、液体内包カプセルは、潜在性硬化剤及び/又は硬化促進剤として好適に用いられる。このような液体内包カプセルを含有する熱硬化性樹脂組成物は、熱安定性及び速硬化性に優れたものとなる。
また、金属カップリング剤を用いて製造されることにより一次カプセルのシェルが有機物と無機物との両方を含有し、かつ、コア材が硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する場合、液体内包カプセルを含有する熱硬化性樹脂組成物は、硬化後に低線膨張率となり、信頼性に優れたものとなる。
本発明の液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物もまた、本発明の1つである。このようなカプセル含有組成物として、例えば、エポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
本発明によれば、コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造することのできる液体内包カプセルの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセル、及び、該液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1.一次カプセルの作製)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(SP値10.6)9重量部にジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.3重量部を溶解し、混合溶液を調製した。この混合溶液へ、5重量%のポリビニルアルコール水溶液57重量部を加えてよく撹拌した。そこへイオン交換水227.7重量部を加えて超音波ホモジナイザーにて10分間乳化を行い、約1.05μmの乳化滴を得た。この乳化液を重合容器内に入れて、撹拌を行いながら9時間反応を行った。反応後の一次カプセルをイオン交換水で洗浄を行った。
(2.一次カプセルの表面被覆)
洗浄後の一次カプセルを2.5重量%懸濁水溶液にして200重量部使用し、そこへポリオキシエチレンラウリルエーテル1重量部を添加して10時間以上撹拌を行った。そこへイオン交換水10重量部に2,2’−Azobis[N−(2−carboxyethyl)−2−methylpropionamidine]hydrate(VA−057)0.025重量部を溶解した水溶液を添加した。溶液を70℃に加熱後、1,4−ブタンジオールジアクリレート2.5重量部を滴下した。滴下後、7時間重合を行い液体内包カプセルを得た。
(実施例2)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりにp−スチリルトリメトキシシラン6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例3)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりに3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例4)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりに3−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例5)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりに3−メタクリロキシキシプロピルメチルジエトキシシラン6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例6)
1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(SP値10.6)9重量部の代わりに1,2−ジメチルイミダゾール(SP値10.0)9重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例7)
実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、1,4−ブタンジオールジアクリレート2.5重量部の代わりにスチレン2.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例8)
実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、1,4−ブタンジオールジアクリレート2.5重量部の代わりにジビニルベンゼン2.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(実施例9)
実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、1,4−ブタンジオールジアクリレートの配合量を2.5重量部から5.0重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行い、液体内包カプセルを得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後の一次カプセルの表面被覆は行わなかった。
(比較例2)
実施例2と同様にして、一次カプセルを得た。その後の一次カプセルの表面被覆は行わなかった。
(比較例3)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりに1,4−ブタンジオールジアクリレート6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得ようとしたが、カプセル化が良好に進行せず、一次カプセルが得られなかった。
(比較例4)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン6重量部の代わりにオルトケイ酸テトラエチル6重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、一次カプセルを得た。その後、実施例1と同様にして一次カプセルの表面被覆を行おうとしたが、強度が弱いカプセルであったため、表面被覆を行うことができなかった。
<評価>
実施例及び比較例で得られたカプセルについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)熱安定性(120℃)
エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)3重量部及び酸無水物硬化剤(YH307、三菱化学社製)2重量部中に、液体内包カプセルを0.57重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を120℃のオーブンに入れて、30分毎にエポキシ樹脂組成物の粘度を測定することで初期粘度に対する粘度上昇倍率(経時粘度/初期粘度)を求めた。
なお、粘度の測定は、E型粘度計(TVE−25H、東機産業社製、φ15mmローターを使用)を用いて、25℃、0.5rpmの条件で行った。
(2)速硬化性(210℃)
エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)3重量部及び酸無水物硬化剤(YH307、三菱化学社製)2重量部中に、液体内包カプセルを0.57重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を210℃に熱したホットプレート上に置いたスライドガラスの上に滴下して、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでの時間(硬化時間)を測定した。
(3)カプセル化効率(コア材の仕込み重量に対する内包重量の比率)
液体内包カプセル10重量部を乳鉢に入れて充分にすり潰した後、メタノール100重量部でコア材を溶解した。ろ過により液体内包カプセルの一次カプセルのシェル及び被覆層を取り除き、コア材溶解液のみを得た。得られたコア材溶解液について、ガスクロマトグラフィーを用いて測定を行い、コア材の内包重量を測定した。コア材の仕込み重量に対する測定した内包重量の比率を求めた。
(4)線膨張係数
エポキシ樹脂(EXA−830−CRP、DIC社製)3重量部、酸無水物硬化剤(YH307、三菱化学社製)2重量部及びゾル−ゲル法により作製したシリカフィラー(直径0.1μm、フェニル基表面処理)4重量部中に、液体内包カプセルを0.57重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物について、110℃40分、更に、170℃30分で硬化させた厚さ500μmの硬化物を作製し、熱応力歪測定装置(型式「EXTEAR TMA/SS 6100」、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、荷重2N、昇温速度5℃/分、サンプル長1cmで300℃まで昇温し、このとき得られたSSカーブの傾きから線膨張係数(α1、α2)を求めた。α1及びα2は、それぞれ、ガラス転移温度よりも低い温度領域における線膨張係数及びガラス転移温度以上の温度領域における線膨張係数を表す。
なお、液体内包カプセル0.57重量部の代わりに、粒子径約1.18μmのポリスチレン中実微粒子を作製し、このポリスチレン中実微粒子0.4重量部と硬化促進剤として1−ベンジル−2−メチルイミダゾール0.17重量部とを添加した場合(即ち、有機物のみからなるカプセルを用いた場合)には、α1が79ppmであり、α2が101ppmであった。
Figure 2013215685
本発明によれば、コア材の保持性及び放出性に優れた液体内包カプセルを、効率よく製造することのできる液体内包カプセルの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該液体内包カプセルの製造方法により得られる液体内包カプセル、及び、該液体内包カプセルを含有するカプセル含有組成物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物と、高極性液体とを含有する混合溶液を、水性媒体に分散させて乳化液を調製する工程と、
    前記分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物を重合及び縮合反応させ、重合体を含有するシェルにコア材として前記高極性液体を含有する一次カプセルを作製する工程と、
    前記一次カプセルの表面を熱可塑性樹脂で被覆する工程と
    を有することを特徴とする液体内包カプセルの製造方法。
  2. 分子内に重合性官能基及びアルコキシ基を有する化合物は、金属カップリング剤であることを特徴とする請求項1記載の液体内包カプセルの製造方法。
  3. 重合性官能基は、ビニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基及びスチリル基からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体内包カプセルの製造方法。
  4. 一次カプセルは、重合性官能基、及び/又は、アルコキシ基由来の水酸基を表面に有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体内包カプセルの製造方法。
  5. 高極性液体は、硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液体内包カプセルの製造方法。
  6. 硬化剤及び/又は硬化促進剤は、イミダゾール化合物を含有することを特徴とする請求項5記載の液体内包カプセルの製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体内包カプセルの製造方法により得られることを特徴とする液体内包カプセル。
  8. 請求項7記載の液体内包カプセルを含有することを特徴とするカプセル含有組成物。
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