JP2006152144A - 有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法 - Google Patents

有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 分散が安定で粒子径の揃って球形度の良好な有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】 まず少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に、多価金属アルコキシド、または多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を溶解または懸濁させた混合物を製造し、前記混合物中の多価金属アルコキシド、または多価金軸アルコキシドの加水分解縮合生成物を加水分解、縮合させる。その後、前記混合物中の前記樹脂の溶解度を低下させることにより前記混合物を乳化、または粒子化させるとともに、前記混合物内の多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物をゲル化させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、均一粒子径で分散の安定な有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法に関する。
従来、セラミック等の無機の粒子は増量、紫外線吸収、耐摩耗、光学・電磁気特性の付与等様々な用途で単独もしくは有機高分子等と複合して利用されている。一方、有機高分子粒子ではポリマーが持つ特性である柔軟性・密着性・加工性を利用して電子写真用トナーや艶消し、着色剤その他で利用されているが、無機粒子の前記特性や耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤性等の特性は得ることは難しい。そこで有機高分子と無機材料の優れた特性を有する材料得るために両者のコンパウンドが利用されるが、一般に無機化合物と有機高分子の相溶性は十分でなく、多価金属アルコキシドを用いて種々の試みが成されているが、そもそも均一な複合材料である有機無機ハイブリッド材料を形成することが容易ではなく、ましてそのような材料からなる粒子を実用化するのは困難であった。
有機無機ハイブリッド粒子の具体的な製造方法としては、例えば多価金属アルコキシドを含む膨潤溶媒でシード粒子を膨潤させた後、該多価金属アルコキシド中の不飽和二重結合により重合させ、次いで多価金属アルコキシドのアルコキシ基を加水分解及び縮合させる製造方法が用いられている(特許文献1参照)。しかし該製造方法において形成される粒子は、中心部分にシード粒子が配置されることになり、均一な内部構造を有するものではない。また膨潤処理やその後の重合等の操作、更には界面活性剤や分散剤の使用等製造工程が複雑で粒子径の制御は困難である。このため粒子は必ずしも球形とはならず、形状的にも物性的にも粒子に充分な均一性を持たせることは困難であった。また文献3にも記載されている通り、粒径も1μmより小さいものを製造するのは困難であった。
特開平07−265686号公報
本発明は、前記の有機無機ハイブリッド粒子の製造方法に関する課題を解決するものである。
即ち本発明の目的は、分散が安定で粒子径の揃った有機無機ハイブリッド粒子を容易に製造しうる製造方法を提供することである。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
すなわち本発明は、アニオン性基を有する樹脂と多価金属アルコキシドの加水分解重縮合物を含有する有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法であって、
(1)少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を溶解または懸濁させた混合物を製造する工程と、
(2)前記混合物中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を加水分解し、または加水分解し縮合させる工程と、
(3)前記混合物中の樹脂の溶解度を低下させて前記混合物を乳化または粒子化させる工程と、
(4)乳化または粒子化した前記混合物中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合物を、さらに加水分解重縮合させ、粒子内でゲル化させる工程
を有することを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法を提供する。
本発明のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法から得られる有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が均一に混在し,均一な粒子径を有し、かつ分散安定性に優れた水性分散体を形成する。さらに製造時の造粒性に優れ、粒子化が極めて容易である。本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法から得られる有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が微細構造を有するドメインを形成し、研磨用粒子としても使用しうる硬度の他に、耐摩耗性、耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤等従来の無機粒子の特徴と、柔軟性・密着性・加工性・造粒性等従来の有機粒子の特徴とを合わせ持っている。
また、本発明の有機無機ハイブリッド粒子の製造方法を用いることによって、有機成分と無機成分が均一に混在し、かつ均一な粒子径を有する有機無機ハイブリッド粒子の製造が可能となる。また該粒子は微粒子化と、真球に近い高い球形度を持たせることが容易である。
本発明における有機無機ハイブリッド粒子とは、有機高分子と無機高分子とが同一粒子内に均一に分布した複合体粒子であって、耐摩耗性、耐熱性等、無機高分子としての特性と、柔軟性等の有機高分子としての特性を併せ持つ粒子である。本発明のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した複合粒子は、その一例である。
また、本発明において金属アルコキシドの反応ゲルとは、金属アルコキシドの加水分解と重合によって生成するゾルに、さらにその反応を進行させて形成される金属酸化物を含む湿潤ゲルまたは乾燥ゲルのことである。
本発明の製造方法に使用する樹脂のアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基等であって特に限定されるものではないが、このうちカルボキシル基を含有する樹脂は一般的なものが使用可能であり、後述する製造方法による有機無機ハイブリッド粒子化が容易となるため好ましい。
アニオン性基を有する樹脂としては天然樹脂、合成樹脂等特に制限はないが、後述の製造方法に対して好適な樹脂として、塩基性化合物が存在しない状態で有機溶剤可溶の樹脂が好ましく、具体的にはアクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらは複合粒子形成後に、必要に応じて公知の方法で三次元架橋を行う事が可能である。アクリル酸樹脂としては、例えばスチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸との共重合体は、樹脂の粒子化と多価金属イオンによる架橋の点で好適である。
具体的にはスチレン;α−メチルスチレン等の置換スチレン;アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーを含む(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。
アニオン性基を有する樹脂の酸価については特に限定されるものではないが、酸価が10未満では該樹脂の分散性が不足し易く、後述する製造方法における有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体形成が不十分となる傾向がある。酸価が200を越えると、同じく後述する製造方法において樹脂が水に膨潤や溶解しやすく、目的とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得にくくなる傾向がある。このためアニオン性基を有する樹脂の酸価は10〜200の範囲にあることが好ましい。特に50〜200の範囲にある自己水分散性樹脂の場合は、該樹脂のアニオン性基の一部が塩基により中和されることにより、水に対して良好な分散性あるいは溶解性を示すためより好ましい。
また樹脂の分子量範囲についても特に制限はないが、1000以上10万以下の分子量のものがより好ましい。樹脂と金属アルコキシドの比率は特に制限はないが、質量比で1:10〜10:1の範囲が好ましい。
有機無機ハイブリッド粒子の硬度を高くする場合には、上記モノマーの組み合わせにおいて(メタ)アクリル酸エステルのようなガラス転移温度の低いモノマーを多量に使用することは好ましくなく、本発明の樹脂のガラス転移温度は室温以上、できれば50℃以上が好適である。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法に用いる前記樹脂は、有機無機のハイブリッド化によって強度の大きい粒子が得られるが、あらかじめ架橋性モノマーと開始剤又は触媒を有機無機ハイブリッド粒子に取り込み、粒子化後に架橋するか、好ましくは、有機無機ハイブリッド粒子化時に多価金属イオンを取り込んで、アニオン性基を有する樹脂のアニオン性基の一部を架橋させたいわゆるアイオノマー樹脂化をさせることによって、より強靱な有機無機ハイブリッド粒子とする事が出来る。
本発明の製造方法で使用する多価金属アルコキシドの金属としては2価以上の多価金属で、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、セリウム、カルシウム、バリウム、マンガン、亜鉛、ニッケル、スズ、銅、鉄、コバルト、ホウ素、アルミニウム、タングステン、ビスマス、モリブデン、ニオブ、イットリウム、ストロンチウム、ガリウム、ゲルマニウムなどがあるがこれらに限定されるものではなく、少なくとも1種類以上含むことができる。
前記の金属と組み合わせるアルコキシドとしては、金属に対して少なくとも一つ以上のアルコキシ基(OR)が結合し、アルコキシ基(OR)のRはアルキル基・アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基等任意に選択すればよいが、炭素数1〜4のアルキル基が一般的で利用しやすい。また金属には、直接他の官能基が結合してもよく、一例として水酸基、アルキル基、アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アセチルアセトン基・アセト酢酸エステル基等の配位子等がある。金属に結合する官能基が全てアルコキシ基の場合は、金属アルコキシドの加水分解重縮合によってシロキサン結合のみからなる無機高分子鎖を形成することが可能であり、無機化合物としての特性をより高く発現させることができるため好ましい。具体的な化合物例としては以下があるがこれらに限られたものではない。
Figure 2006152144
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本発明の製造方法においては、アニオン性基を有する樹脂中の該アニオン性基の少なくとも一部が中和されて、塩基と対イオンを形成し樹脂の親水性が増加する。使用される塩基性化合物は一価の塩基であって、例えばリチウム・カリウム・ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン・アルコールアミン・モルホリン・ピリジン等の有機塩基等があるが、一般に塩基も金属アルコキシドに対して加水分解触媒として作用するので、加水分解触媒でありながら金属アルコキシドの急激な加水分解を抑制する効果を有するモノエタノールアミン・ジエタノールアミン・トリエタノールアミン等のアルコールアミンを用いる方が,乳化時に樹脂と金属オキシドがより均一に混じるようになるため好ましい。なかでも,本発明において有用な揮発性塩基としては前記のアンモニアあるいは有機のアミン類がある。本発明の有機無機ハイブリッド粒子を、例えば研磨剤として特に半導体等に使用する場合には、アルカリ金属イオン成分はなるべく少なくし、アルコールアミン等を用いた方が、金属イオンの残留による半導体特性への悪影響を排除できるので好ましい。
一価の塩基の使用量は、樹脂のアニオン性基の10%以上好ましくは50モル%以上に相当する量を用いるのがよく、使用目的によって必要であれば100モル%以上に相当する量の塩基を添加しておいても、遊離塩基量が増加し微粒径で安定した有機無機ハイブリッド粒子の水分散体が得られる。
一方、一価塩基の加える量を少なくすると、有機無機ハイブリッド粒子の粒子径をより大きくすることができる。このように一価塩基量の調節により粒子径が均一で、任意の粒子径の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得られる。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法においては、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を含有する樹脂溶液中の、樹脂の溶解度を低下させて樹脂と多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物からなる混合物を乳化または粒子化させ、また前記混合物粒子中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解重縮合をさらに進行させて粒子内でゲル化を行い、有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を製造する。
以下、本発明の製造方法の各工程毎に詳細な説明を行う。
(1)樹脂と多価金属アルコキシドを含有する混合物を製造する混合工程
本発明の混合工程においては、アニオン性基を有する樹脂と、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物と、塩基性化合物とを加え、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を含有する樹脂溶液を製造する。
樹脂と多価金属アルコキシド等の配合比は、有機無機ハイブリッド粒子の用途に応じて適宜調整できるが質量比で1:100〜100:1の範囲が好ましい。特に研磨剤として用いるときは、樹脂と多価金属アルコキシドの比率は、質量比で1:100〜10:1の範囲が好ましい。
本製造方法においては多価金属アルコキシドが樹脂に取り込まれる前に水と接触すると、加水分解が過度に進行して凝集物を生じやすくなるので、均一な有機無機ハイブリッド粒子を作製するためには前述のアルコール系溶剤のような加水分解抑制剤使用しても良い。アルコールを併用することにより、脱アルコール反応である多価金属アルコキシドの加水分解が抑制されるが樹脂水溶液中への多価金属アルコキシドの溶解度が高まり、樹脂と多価金属アルコキシドが均一に混じり易くなるため好ましい。加水分解抑制剤としては、塩基としても作用するアルコールアミンや樹脂を溶解する溶剤としても作用するアルコールの他に、例えば、アセチルアセトン・アセト酢酸エステル・ジアセト酢酸アルキルエステルの如きキレート化剤、アセトイン、ジエチレングリコール・ポリエチレングリコール等のポリオール等を好適に用いることができる。
アニオン性基を有する樹脂を溶解するための水混和性有機溶剤を併用することも出来る。水混和性有機溶剤としては、例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチルエステル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、アミド類等、樹脂を溶解して、単独あるいは他の有機溶剤との組合せで水混和性があるものであれば使用可能である。
なお、必要に応じて無機または有機の不溶性の粒子を混合物中に添加してもよい。これら粒子の添加にあたっては、添加後に前記混合物中に分散させるか、予め混合物中の自己水分散性樹脂、溶剤と相溶する樹脂、溶剤中に分散させたものを前記混合物に添加して用いることができる。このように別途用意された無機または有機粒子を用いることにより、これら粒子をコアにして表面を本発明のハイブリッド体で被覆して粒子化をより容易に行わせたり、製造コストを下げたりすることができる。
(2)加水分解縮合工程
本発明の製造方法の加水分解縮合工程においては、アニオン性基を含有する樹脂溶液中で、必要に応じて酸触媒または塩基触媒を使用して多価金属アルコキシド加水分解、及び縮合、または多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物のさらなる加水分解縮合を行わせる。酸触媒としては塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸等のカルボン酸類等公知のものが使用可能であるがアニオン性基を有する樹脂も酸触媒として機能しうる。また塩基触媒としては公知のものが使用されるが、アニオン性基を有する
樹脂を水性分散体とするための乳化用塩基の一部を塩基触媒としてもよい。
加水分解縮合工程においては、時間、温度条件は混合物の配合に応じて適宜設定できるが、乳化粒子化工程前に充分な加水分解、縮合を行わせるためには室温以上で、3〜48時間が好ましい。多価金属アルコキシドの加水分解、および縮合は、乳化工程と同時に行っても良いが、乳化工程前に混合物中で加水分解縮合工程を充分進行させることにより、無機材料と有機高分子がより均一に混合した粒子を形成することができる。また水性分散体の保存安定性も良好となる。
加水分解縮合工程の結果、多価金属アルコキシドからその加水分解生成物、縮合生成物として金属酸化物ゾルが形成される、加水分解縮合工程においては金属酸化物ゾルの縮重合が進みすぎて金属酸化物ゲルが形成されることは、以後の乳化工程の障害となりやすいため好ましくない。
(3)混合物の乳化工程または粒子化工程
本発明の製造方法の乳化粒子化工程においては、加水分解縮合工程で形成された樹脂と多価金属アルコキシドの加水分解縮合物である金属酸化物ゾルとの均一混合物を水中に乳化または粒子化する。
混合物を乳化または粒子化する方法としては、混合物中の樹脂の溶解度を下げることによって行うことが出来る。具体的な方法としては溶媒である水の一部を揮散させる方法、低温にして樹脂の溶解度を低下させる方法等があるが、混合物のpHを下げることにより樹脂の溶解度を低下させる方法が樹脂の溶解度の制御を行いやすく好ましい。混合物のpHをさげるために酸性化合物を混合物に添加する場合は、混合物のpHを低下させるための酸としては,塩酸,硫酸,硝酸,リン酸等の無機酸,酢酸,グリコール酸,乳酸等の有機酸があるが用途に応じて選択すればよい。これら酸を混合物に撹拌下少しずつ加えて樹脂の固まりが生じない程度にpHを低下させる,また予め塩基性化合物として揮発性の塩基性化合物を使用しておき、該塩基性化合物を揮散させる方法をもちいることができる。この場合は金属アルコキシドの加水分解・重縮合によって生じたアルコールも併せて留去されるという利点もある。該樹脂の溶解度を低下させると徐々に樹脂の疎水性基が内側に向き、親水性基が外側に向いたエマルジョンを形成し、該樹脂を含む混合物が水中に乳化するようになる。
(4)粒子内ゲル化工程
上記のように形成され水中に乳化または粒子化された混合物の液滴中、粒子中で、含有される多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物のさらなる縮合が起こり粒子内ゲル化が進行する。加水分解縮合によって生成するアルコールを留去することによって一層粒子内ゲル化が進行し、金属酸化物ゲルと樹脂が均一に混合した有機無機ハイブリッド粒子が形成される。
塩基性化合物の留去あるいは中和をさらに進め、加水分解縮合によって生成するアルコールを留去することによって一層粒子内ゲル化が進行し、金属酸化物ゲルと樹脂が均一に混合した有機無機ハイブリッド粒子が形成される。
本発明の製造方法において,アニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを少なくとも含むプロセスの好適な段階において,室温以上の温度,好ましくは30℃以上100℃以下でエージングを行うことが金属アルコキシドの反応ゲルからなる乳化粒子の分散体を作製する上で極めて有用である。
前記エージングに加えて,得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の加熱により、金属アルコキシドのゲル化を完了させる工程を有する有機無機ハイブリッド粒子の製造方法により更に安定した分散が得られる。
前記製造方法で得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、そのまま分散体として利用することもできるが、水や有機溶剤等の液体成分を完全に除いて粉体として用いても良い。また粉体を更に数百度以上の温度で焼成したり、有機成分を湿式酸化したり、有機溶剤で可溶成分を除去することによって非常に多孔質で表面活性の大きい無機粒子が得られる。特に金属アルコキシドとは異なる元素の多価金属イオンで粒子がイオン架橋された有機無機ハイブリッド粒子の焼成は、異種金属が均一にドープされた多孔質の無機粒子を容易に得ることが可能になる。
前記した製造方法に準じて得た有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨用粒子を含む水性分散体は、これをそのまま水性の研磨剤スラリーとして用いる場合は出来るだけ乳化後に水より低い沸点を有する有機溶剤を除去する工程を導入して調製しておくことが望ましく、これによって研磨用粒子の溶解・膨潤がなくなり、優れた研磨能力と安定した水性分散体が得られる。
本発明により得られる有機無機ハイブリッド粒子および有機無機ハイブリッド粒子から有機成分を除去して得られる無機粒子は、例えばスペーサー、液体クロマトグラフィー充填剤、化粧品、樹脂組成物、塗料、磁性材料、臨床診断薬等の幅広い分野で好適に使用され得る。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中における「部」は『質量部』を表わす。
(実施例1)
メタアクリル酸/アクリル酸2エチルへキシル/メタアクリル酸メチルの共重合体(酸価137;分子量1万8千)のアンモニア水溶液(樹脂分32質量%、アンモニア水8%)20部にSi(O−C20部を加え、室温で48時間撹拌して分散液を得た。
得られた分散液に1、3−ビス(N、N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン0.5部を加え撹拌し、その後ロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去して固形分10%の水分散体を得た。オートクレーブ中で70℃4時間加熱攪拌後、遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は180nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
(実施例2)
アクリル酸/スチレン/アクリル酸2エチルへキシルの共重合体(酸価160;分子量2万7千)のアンモニア水溶液(樹脂分20質量%、アンモニア水5%)20部にSi(O−C20部を加え、室温で48時間撹拌してpH9の分散液を得た。
得られた分散液に塩酸を加え,pH7としてをロータリーエバポレーターを用いてSi(O−Cから生じたエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去して固形分10%の水分散体を得た。オートクレーブ中で70℃4時間加熱攪拌後、遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は300nmで粒径の均一性が良く、分散は安定であった。
(実施例3)
メタアクリル酸/アクリル酸2エチルへキシル/メタアクリル酸メチルの共重合体(酸価137;分子量1万8千)6部,Si(O−C20部,エチルアルコール20部,1N塩酸2部を加え、60℃4時間撹拌して混合液を得た。その混合液に30%のアンモニア水3部,水を50部を滴下し室温で24時間撹拌を行い分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてエタノールとアンモニアと水の一部および残留Si(O−Cを留去して固形分15%の水分散体を得た。得られた水分散体をオートクレーブ中で80℃4時間加熱攪拌後、遠心分離で粗大粒子を除去して有機無機ハイブリッド粒子脂粒子水性分散体とした。得られた有機無機ハイブリッド粒子の体積平均粒径は250nmで粒径の均一性が良く、沈降物も無く分散は安定であった。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法から得られる有機無機ハイブリッド粒子水性分散体およびハイブリッド粒子は,その機械強度を利用する研磨剤・耐摩耗コーティング材あるいは成型物・接着剤,その光学的な性質を利用する各種光学フィルム・光通信材料,その電気特性や耐熱性を利用する半導体封止材等の電子材料やその他複合材料等,粒子単独あるいは塗料として様々な産業上の利用が可能である。

Claims (7)

  1. アニオン性基を有する樹脂と多価金属アルコキシドの加水分解重縮合物を含有する有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法であって、
    (1)少なくとも一部が塩基性化合物で中和されたアニオン性基を有する樹脂の樹脂水溶液中に、多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を溶解または懸濁させた混合物を製造する工程と、
    (2)前記混合物中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合生成物を加水分解し、または加水分解し縮合させる工程と、
    (3)前記混合物中の樹脂の溶解度を低下させて前記混合物を乳化または粒子化させる工程と、
    (4)乳化または粒子化した前記混合物中の多価金属アルコキシドまたは多価金属アルコキシドの加水分解縮合物を、さらに加水分解重縮合させ、粒子内でゲル化させる工程
    を有することを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  2. 前記混合物中の樹脂を乳化または粒子化させる工程が、前記混合物のpHを低下させることによって
    行われる請求項1に記載の、有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  3. 前記混合物のpHの低下が,前記混合物に酸を加えることで行われる請求項2に記載の、有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  4. 前記塩基性化合物は揮発性であって、前記混合物のpHの低下が、前記塩基性化合物を前記混合物から揮散させることで行われる請求項3に記載の、有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  5. 前記樹脂の酸価が、10から200である請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  6. 前記樹脂の該アニオン性基が、カルボキシル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
  7. 前記樹脂が、スチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸との共重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009052011A (ja) * 2007-07-27 2009-03-12 Dic Corp 有機−無機ハイブリッド樹脂水性分散体、硬化性樹脂組成物、塗料および塗装物
JP2009249479A (ja) * 2008-04-04 2009-10-29 Dic Corp 有機−無機ハイブリッド樹脂水性分散体、硬化性樹脂組成物、塗料および塗装物
JP2010132742A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Mitsui Chemicals Inc 有機無機複合分散液及びその製造方法、有機無機複合膜及びその製造方法、並びに部材
JP2011516629A (ja) * 2008-03-10 2011-05-26 ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト 複合体粒子の製造法

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