JP3384827B2 - 水分散シリコーン樹脂組成物 - Google Patents

水分散シリコーン樹脂組成物

Info

Publication number
JP3384827B2
JP3384827B2 JP08734993A JP8734993A JP3384827B2 JP 3384827 B2 JP3384827 B2 JP 3384827B2 JP 08734993 A JP08734993 A JP 08734993A JP 8734993 A JP8734993 A JP 8734993A JP 3384827 B2 JP3384827 B2 JP 3384827B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
parts
component
weight
silicone resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08734993A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06299073A (ja
Inventor
博 木村
靖世 岩渕
Original Assignee
ジーイー東芝シリコーン株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジーイー東芝シリコーン株式会社 filed Critical ジーイー東芝シリコーン株式会社
Priority to JP08734993A priority Critical patent/JP3384827B2/ja
Publication of JPH06299073A publication Critical patent/JPH06299073A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3384827B2 publication Critical patent/JP3384827B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は水分散シリコーン樹脂組成
物に関し、さらに詳しくは優れた耐候性、耐熱性、耐水
性を有する被膜を形成する、コーティング剤として有用
な水分散シリコーン樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景とその問題点】従来から、シリコー
ン樹脂は耐候性、耐熱性、耐水性、撥水性が優れている
ことから、耐熱塗料、耐候塗料用のビヒクルとして広く
利用されており、また撥水、防湿、防汚、離型を目的と
したコーティング剤としても広く利用されている。しか
しながら、一般にシリコーン樹脂は、有機溶剤の溶液と
なっており、塗料のビヒクルとした場合に、引火性など
から取扱い上の安全性の問題があり、また、有機溶剤の
揮散による環境汚染の問題があった。このためシリコー
ン樹脂を、乳化剤を用いてエマルジョンにする技術、あ
るいはシリコーン樹脂に親水性基を導入して水溶性にす
る技術などが知られている。しかし、乳化剤を用いてエ
マルジョンにする場合にも、一般にシリコーン樹脂を有
機溶剤に希釈することが必要であり、さらに多量に界面
活性剤を使用するため、得られる被膜の耐候性、耐熱
性、耐水性、撥水性等の特性が低下するという問題があ
った。また親水性基を導入して水溶性にしたものは、得
られる被膜の耐熱性、耐候性等が充分なものとはならな
いという問題があった。また、末端に水酸基を含有する
ポリジオルガノシロキサンをコロイドシリカの存在下に
重合して得られるシリコーン水性乳濁液が知られている
が(特開昭61−272264号公報参照)、ポリジオルガノシ
ロキサンを原料とするために、コーティング剤として使
用した場合、十分な硬さの被膜を得るのが難しく、硬さ
を得るためにコロイドシリカの配合量を多くすると、得
られる乳濁液の安定性が低下するという問題があった。
更に、シリコーンゴム粒状物と水と界面活性剤からなる
シリコーンゴム粒状物の水分散液(特開昭63−309565号
公報参照)、有機溶剤に不溶の粉末状のシルセスキオキ
サンの乳濁液(特開昭62−43424 号公報参照)が知られ
ているが、これらは、シリコーンの硬化物の水分散液ま
たは乳濁液であり、コーティング剤として使用した場合
に、十分な耐水性、撥水性、耐久性を有する被膜を得る
のは困難であった。
【0003】
【発明の目的】本発明は有機溶剤を使用せず、取扱い上
の安全性及び環境衛生上の特性に優れ、加熱硬化によっ
て耐候性、耐熱性、耐水性、撥水性に優れた被膜を形成
する、コーティング剤等として有用な水分散シリコーン
樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【発明の構成】本発明者らは上記目的を達成すべく研究
を重ねた結果、軟化点が50〜250 ℃のポリオルガノシロ
キサンを粒状物として、水中に分散させることにより、
コーティング剤として有用な、水分散シリコーン樹脂組
成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明の水分散シリコーン樹脂組成物は (A) 一般式 RnSiO(4-n)/2 (ここで、R は同一又は異種の置換もしくは非置換の一
価炭化水素基を示し、nは0.2 ≦n <2.0 を満たす数で
ある。)で表され、軟化点が50〜250 ℃のポリオルガノ
シロキサン樹脂の粒状物 100 重量部 (B) 水 20〜10000 重量部 を含有することを特徴とする。
【0005】本発明の(A) 成分のポリオルガノシロキサ
ン樹脂の粒状物は、(B) 成分の水に分散されて、均一な
水分散シリコーン樹脂組成物を形成し、加熱によって硬
化して良好な被膜を形成する主要成分となるものであ
る。このポリオルガノシロキサンは前記一般式で表され
るものであり、式中、R は同一又は異種の置換もしくは
非置換の一価炭化水素基を示し、R としては、メチル
基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、オクチ
ル基、ラウリル基、ステアリル基などのアルキル基、ビ
ニル基、アリル基などのアルケニル基、フェニル基、ト
リル基、ナフチル基などのアラルキル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基などの
一価炭化水素基またはエポキシ基、アミノ基、メタクリ
ロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ポリオキシアル
キレン基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子
などで置換された一価炭化水素基が例示されるが、得ら
れる被膜の耐熱性、撥水性等から、非置換の一価炭化水
素基が好ましく、特に炭素数1〜4のアルキル基もしく
はフェニル基が好ましい。又、式中、n は0.2 ≦n <2.
0 を満たす数であり、n が 0.2より小さいと得られる被
膜がもろくなり、また撥水性も低下する。n が 2.0より
大きいと得られる被膜の硬さが不十分となり、また耐久
性も低下する。好ましくは 1.0から 1.8である。本発明
の(A) 成分は、このようなn の値をとり、n が2以上の
場合のポリオルガノシロキサンとは異なって RSiO3/2
SiO4/2などの単位を含有し、一般に分岐構造を有する。
また本発明の(A) 成分はシラノール基を含有するものが
好ましく、その際のシラノール基含有量は、良好な水へ
の分散物が得られ良好な硬化性を有することから0.01重
量%以上が好ましく、また得られる被膜の耐久性、撥水
性等からは20重量%以下が好ましい。特に好ましくは
0.1〜5重量%である。また本発明の(A) 成分は50〜250
℃、好ましくは80〜150 ℃の軟化点を有することが必
要である。軟化点が50℃より低いと癒着などにより粒状
物が得られにくくなり、250 ℃より高いと良好な硬化被
膜が得られにくくなる。本発明の(A) 成分は粒状物であ
り、粒状物として水に分散させるところに本発明の特徴
の一つがある。粒状物は、平均粒子径が0.01〜50μm が
好ましく、特に0.1 〜30μm が好ましい。このような粒
状物とすることにより有機溶剤を使用することなく、良
好な水分散組成物が得られ、またこれから形成される硬
化被膜の特性も良好なものとなる。(A) 成分の粒状物
は、ポリオルガノシロキサン樹脂を単独で、ボールミル
等を使用して得ることができるが、(B) 成分や他の成分
と混合してサンドグラインダー等を使用して、分散と同
時に粒状物とすることも可能である。また(A) 成分のポ
リオルガノシロキサン樹脂は、オルガノトリクロロシラ
ン、ジオルガノジクロロシラン、トリオルガノクロロシ
ランあるいはテトラクロロシラン、もしくはこれらに対
応するアルコキシシランの1種もしくは2種以上を加水
分解することにより得られる。分子量の大きさは特に制
限されず、前述の軟化点を示すような重合度となればよ
い。またアルコキシシランを用いて加水分解した場合、
生成したシラノール基と残存したアルコキシ基が共存す
るようなポリオルガノシロキサン樹脂が得られることも
あるが、このようなものも使用が可能である。
【0006】本発明の(B) 成分の水は、(A) 成分の粒状
物及びその他の成分を分散又は溶解することにより、均
一な、水分散性シリコーン樹脂組成物を得るためのもの
であり、水であれば特に限定されない。(B) 成分の水の
配合量は、(A) 成分のシロキサン樹脂 100重量部に対し
て、20〜10000 重量部であり、好ましくは50〜5000重量
部使用される。10000 重量部より多いと被膜形成が困難
であり、20重量部未満では(A) 成分の良好な分散が困難
となる。
【0007】本発明の組成物にはその他の成分として、
触媒、界面活性剤、無機粒子、顔料などを配合すること
ができる。触媒は、(A) 成分が加熱により硬化する場合
の触媒作用をするものであり、より低い温度での硬化を
可能にし、硬化時間を短縮するなど、硬化性の改善に有
効である。このような触媒としてはアルキルチタン酸
塩、オクチル酸錫およびジブチル錫ジラウレート、ジオ
クチル錫ジマレエート等のカルボン酸の金属塩;ジブチ
ルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテー
ト、エタノールアミンアセテート等のアミン塩;酢酸テ
トラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニ
ウム塩;テトラエチルペンタミンのようなアミン類;N
−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング
剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸
類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート
等のアルミニウム化合物、水酸化カリウムなどのアルカ
リ触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラブチル
チタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等
のチタニウム化合物等が挙げられるが、これらの他に
(A) 成分の縮合硬化反応の触媒となるものであれば特に
制限されない。触媒の配合量は、(A) 成分 100重量部に
対して0.01〜5重量部が好ましく、特に 0.5〜2.5 重量
部が好ましい。(A) 成分は、触媒を配合しなくても加熱
により硬化するが、良好な硬化性が得られることから0.
01重量部以上が好ましく、また得られる硬化被膜にクラ
ックが発生しにくく、基材に対する密着性が良好である
ことから、5重量部以下とすることが好ましい。触媒で
水溶性のものは、そのまま本発明の分散媒である水に溶
解させればよく、水に不溶で液体のものはエマルジョン
として、また水に不溶で固体のものは(A) 成分と同様に
して粒状物として分散させればよい。
【0008】界面活性剤は、(A) 成分の粒状物を水の中
に均一に分散させ、水分散組成物の保存安定性を向上さ
せる働きを有する。このような界面活性剤としては次の
ようなノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、
カチオン系界面活性剤があるが、これらの中でもノニオ
ン系界面活性剤が好ましく使用される。ノニオン系界面
活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオ
キシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレ
ンソルビタンエステル、ポリエチレングライコール、ポ
リプロピレングライコール、ジエチレングライコールト
リメチルノナノールのエチレンオキサイド付加物が例示
される。アニオン系界面活性剤としては、ヘキシルベン
ゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシル
ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セ
チルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンスルホン
酸のようなアルキルベンゼンスルホン酸、CH3(CH2)6CH2
O(C2H4O)2SO3H 、CH3(CH2)8CH2O(C2H4O)8SO3H 、CH3(CH
2)19CH2O(C2H4O)2SO3H、CH3(CH2)8CH2C6H4O(C2H4O)2SO3
H のようなポリオキシエチレンモノアルキルエーテルの
硫酸エステル、アルキルナフチルスルホン酸が例示され
る。カチオン系界面活性剤としては、オクチルトリメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアン
モニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジルアンモ
ニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジルアンモニ
ウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウ
ムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウムヒドロキ
シド、ヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキシドのよ
うな第4級アンモニウムヒドロキシド及びこれらの塩が
例示される。また、ポリエーテル変性シリコーンも界面
活性剤として例示される。これらの中でも、効果が良好
なことからポリエーテル変性シリコーンの使用が好まし
い。界面活性剤の配合量は、(A) 成分 100重量部に対し
て 0.1〜10重量部が好ましく、特に 0.5〜8重量部が好
ましい。良好な分散性が得られることから 0.1重量部以
上が好ましく、また得られる硬化被膜の耐熱性、耐水性
からは10重量部以下とすることが好ましい。
【0009】無機粒子は(A) 成分が被膜を形成するのを
容易にし、被膜の強度を高め、更に界面活性剤を併用し
なくても水分散組成物の安定性、分散性を良くするとい
う効果を示す。このような無機粒子としては、シリカ、
マイカ、クレー、カオリン、バライト、水酸化アルミニ
ウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、硫酸バリウム、アルミニウムなどの粉末が例示
される。またこれらの粉体をオルガノシラン、オルガノ
シロキサン、オルガノシラザン等で表面処理したもので
もよい。粒子の形状は真球状あるいは不定形のどちらで
もよいが、平均粒径が30μm 以下のものが好ましい。こ
れらの中でもシリカが好ましく、特にフュームドシリ
カ、湿式シリカが組成物の安定性、被膜の透明性がよ
く、顔料配合時の彩色性がよいことから、好ましく使用
される。無機粒子の配合量は、(A) 成分 100重量部に対
して1〜9000重量部が好ましく、特に10〜500 重量部が
好ましい。良好な効果が得られることから1重量部以上
が好ましく、被膜の形成性、強度からは9000重量部以下
とすることが好ましい。
【0010】顔料は、本発明の組成物を塗料等として使
用する場合に配合されるが、組成物の分散性、安定性を
良くするという効果も有する。顔料としては酸化亜鉛、
酸化鉄、カドミウムレッド、カーボンブラック、グラフ
ァイト、セラミックブラック、酸化クロム、コバルトグ
リーン、ギネグリーン、カドミウムイエロー、酸化チタ
ン、チタン系黄色顔料、コバルトブルー、コンジョウ、
フタロシアニンブルーおよびこれらをシランカップリン
グ剤などで表面処理したものが例示される。顔料の配合
量は、希望する色の程度により調整すればよいが、得ら
れる被膜の特性からは、(A) 成分 100重量部に対して、
100 重量部以下とすることが好ましい。
【0011】また本発明の組成物には、ジオルガノポリ
シロキサンを配合することもでき、得られる硬化被膜の
耐久性、撥水性等を改善する効果が得られる。ジオルガ
ノポリシロキサンの有機基としては、(A) 成分のR と同
様の置換基が例示される。またこのシロキサンの末端
は、トリオルガノシリル基あるいはシラノール基が例示
されるが、シラノール基であることが好ましい。ジオル
ガノポリシロキサンの配合量は、(A) 成分 100重量部に
対して、1〜50部が好ましい。本発明の組成物には、さ
らに必要に応じてレベリング剤、消泡剤、増粘剤、染
料、抗酸化剤、紫外線吸収剤、及びアルミペースト、ガ
ラスフリット、金属粉などの増量剤、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン
−アクリル樹脂などの樹脂を配合することもできる。ま
た必要に応じて、水に可溶な有機溶媒を少量使用するこ
ともできる。
【0012】本発明の組成物は(A) 成分、(B) 成分及び
必要に応じて他の成分を同時に配合して、ボールミル、
三本ロール、サンドグラインダー等を用いて均一に分散
させることにより得られる。(A) 成分及び他の成分の粒
状化はあらかじめ行っておいてもよいが、粉砕も可能な
この工程で分散と同時に行うこともできる。また、(B)
成分の水以外の成分を同時に配合して、ボールミル等で
乾式粉砕・混合した後、(B) 成分を加えて他の高速攪拌
機等を使用して組成物を調製してもよい。本発明の組成
物を各種基材にスプレーコート、ディップコート、ロー
ラーコート、フローコートあるいは注型法などの方法で
塗工し、加熱することにより硬化被膜を得ることができ
る。
【0013】
【発明の効果】本発明の水分散シリコーン樹脂組成物は
特定のシリコーン樹脂を粒状物として水に分散させるこ
とにより得られ、有機溶剤を使用する必要がないために
取扱い上の安全性、環境衛生上の特性に優れ、また加熱
硬化によって耐候性、耐熱性、耐水性、撥水性に優れた
被膜を形成する。従って、本発明の水分散シリコーン樹
脂組成物は、アルミニウム、ステンレス、銅、鉄、ジュ
ラルミンなどの金属あるいはガラス、セメント、石膏な
どで作られた壁材などに耐候性、耐水性、撥水性等を付
与する被膜を形成する表面保護剤またはさらに良好な外
観を与える塗料として有用である。
【0014】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげ、本発明を
詳述する。なお、実施例中の「部」はすべて「重量部」
を、「%」はすべて「重量%」を表し、粘度は25℃での
値を示す。 合成例1 フラスコに水1000部、アセトン50部を計り取り、その混
合溶液中にメチルトリクロロシラン 0.3モル、ジメチル
ジクロロシラン 0.2モル、フェニルトリクロロシラン
0.5モルをトルエン 200部に溶解したものを攪拌しなが
ら滴下した。滴下終了してから40分後に攪拌を止め、二
層に分離した下層の塩酸水を除去し、更に上層のポリオ
ルガノシロキサンのトルエン溶液中に残存している水お
よび塩酸を、過剰のトルエンと共に減圧除去し、平均分
子量5000、軟化点90℃、シラノール基含有量 4.0%のポ
リオルガノシロキサン樹脂固形物(A-1) を得た。このシ
ロキサン樹脂は一般式 (CH3)0.7(C6H5)0.5SiO1.4で示さ
れるものである。 合成例2 ジメチルジクロロシランの 0.2モルをジフェニルジクロ
ロシランの 0.2モルに替え、滴下終了してから 120分後
に攪拌を止めた他は合成例1と同様にして、平均分子量
12000 、軟化点 110℃、シラノール基含有量 5.0%のポ
リオルガノシロキサン樹脂固形物(A-2) を得た。このシ
ロキサン樹脂は一般式(CH3)0.3(C6H5)0.9SiO1.4 で示さ
れるものである。 合成例3 メチルトリイソプロポキシシラン 1.0モルとトルエン 1
50部との混合液をフラスコに計り取り、1%塩酸水溶液
108部をこの混合物に滴下してメチルトリイソプロポキ
シシランを加水分解した。さらに実施例1と同様に塩酸
水を除去後、更にトルエン等を減圧除去した後、平均分
子量12000 、軟化点105 ℃、シラノール基含有量 1.2%
のポリオルガノシロキサン樹脂固形物(A-3) を得た。こ
のシロキサン樹脂は一般式(CH3)1.0SiO1.5で示されるも
のである。 合成例4 合成例3で得られたポリオルガノシロキサン樹脂固形物
(A-3) 100 部、トルエン200 部、トリメチルクロロシラ
ン10部およびヘキサメチルシラザン50部をフラスコに仕
込み、加熱攪拌を行った。トルエンの還流温度で2時間
加熱攪拌後、反応によって生じたアンモニア、塩酸或い
はそれらの塩を水洗によって除去し、さらにトルエンを
減圧留去し、平均分子量8500、軟化点90℃、シラノール
基含有量0.3%のポリオルガノシロキサン樹脂固形物(A-
4) を得た。このシロキサン樹脂は一般式 (CH3)1.03SiO
1.49 で示されるものである。 合成例5 比較例として、メチルトリクロロシラン 0.5モル、ジメ
チルジクロロシラン 0.5モルを使用した他は合成例1と
同様にして、粘度400cP のシラノール基含有量1.5%の
ポリオルガノシロキサン樹脂(B-1) を得た。このシロキ
サン樹脂は一般式 (CH3)1.5SiO1.25で示されるものであ
る。
【0015】実施例1 (A) 成分としてA-1 を 100部、(B) 成分の水を 150部、
界面活性剤としてポリエーテル変性シリコーンオイル
(東芝シリコーン(株)製、商品名 TSF4440)を1.0
部、白色顔料の酸化チタン(石原産業(株)製、商品名
R-820)を60部、触媒であるアルミニウムトリスアセチ
ルアセトネートの0.02部を計り取り、サンドグラインダ
ーで粉砕および分散させて、本発明の水分散シリコーン
樹脂組成物を調製し、白色塗料とした。この水分散組成
物中の粒状物の平均粒径は、15μm であった。得られた
白色塗料を水で2倍に希釈して、アルミニウム基板にス
プレー塗装し、室温で1時間放置後、 200℃で30分間加
熱硬化させて被膜を形成し、試験片とした。被膜は30μ
m の厚さで、平滑で良好な光沢を示し、十分な硬さを有
していた。この試験片をサンシャインウェザオメーター
(JIS K5400 に準ずる)で2000時間耐候促進試験を行
い、塗膜を観察したところ、試験前の塗膜と比較してほ
とんど変化は観察されず、良好な耐久性が確認された。
【0016】比較例1 A-1 の替わりに、重合度6000の両末端にシラノール基を
含有するポリジメチルシロキサンを使用した他は、実施
例1と同様にサンドグラインダーで粉砕および分散を行
ったところ、均質な分散ができなかった。
【0017】比較例2 A-1 の替わりに、重合度6000の両末端にシラノール基を
含有するポリジメチルシロキサンを使用し、ポリエーテ
ル変性シリコーンオイルを40部とした他は実施例1と同
様に組成物を調製した。この組成物を同様に加熱硬化さ
せたところ、硬さが不十分で、摩擦により容易に脱落す
る被膜が得られた。同様に耐候促進試験を行ったとこ
ろ、すこし黄変が見られた。
【0018】比較例3 A-1 の替わりに、合成例5で得られたB-1 を使用した他
は実施例1と同様に分散を行ったところ、安定で均質な
分散組成物は得られなかった。
【0019】実施例2 (A) 成分として A-2を 100部、(B) 成分の水を 250部、
界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノス
テアレートを1部、無機粒子としてマイカ粉を50部及び
タルクを50部、顔料のセラミックブラックを 300部使用
して、実施例1と同様に本発明の水分散シリコーン樹脂
を調製し、黒色系塗料とした。この水分散シリコーン樹
脂を調製し、黒色系塗料とした。この水分散シリコーン
樹脂組成物中の粒状物の平均粒径は10μm であった。得
られた黒色系塗料を軟鋼板にディップコートし、 250℃
で20分間加熱硬化させて被膜を形成し、試験片とした。
被膜は30μm の厚さで、平滑で良好な光沢と撥水性を示
し、十分な硬さを有していた。この試験片を 600℃で 2
00時間の耐熱試験を行ったところ、被膜はセラミック化
したものの基材から剥離することなく保持されていた。
【0020】実施例3 (A) 成分としてA-3 を 100部、比表面積250m2/g のヒュ
ームドシリカを10部計り取り、ボールミルで24時間粉砕
した後、平均粒径150 μm のシリカ粉末の2000部と実施
例1で使用したポリエーテル変性シリコーンオイルの1
部を加え、さらにボールミルで30分間よく混合粉砕し
た。つぎに前記混合物 100部と水35部とを攪拌機でよく
混合し、さらにシリコーン系消泡剤(東芝シリコーン
(株)製、商品名 TSA730 ) 0.1部を添加して混合し、
電子部品用の不燃性被覆塗料を得た。この塗料中の粒状
物の平均粒径は5μm であった。得られた塗料を、縦9
mm、横48mm、深さ8mmのセラミックス製バスタブ型巻線
抵抗器に注型し、50℃で10時間乾燥を行って水を揮発さ
せた後に、 180℃で1時間加熱硬化させて試験片とし
た。得られた巻線抵抗器に定格の10倍の電圧を印加して
負荷をかけて発熱させた。電圧を印加させてから数秒後
に僅かに発煙があったものの良好な不燃性を示した。
【0021】実施例4 (A) 成分としてA-3 を 100部、無機粒子として実施例3
で使用したヒュームドシリカを20部、界面活性剤として
実施例1で使用したポリエーテル変性シリコーンオイル
を 0.5部、粘度50cPの末端水酸基含有ポリジメチルシロ
キサンを5部及び水 100部をサンドグラインダーで均一
に分散して、本発明の水分散シリコーン樹脂組成物を得
た。この組成物中の粒状物の平均粒径は20μm であっ
た。得られた組成物の 100部に、真球状のシリコーン樹
脂微粒子(東芝シリコーン(株)製、商品名トスパール
120 、平均粒子径2μm )の5部を均一に分散させ、触
媒としての燐酸を水−イソプロピルアルコール混合溶液
に希釈させたもの(水/イソプロピルアルコール/燐酸
=50/50/50重量比)の10部を混合してコーティング剤
を調製した。これをアルミニウム基材からなる熱交換器
のフィンにスプレー塗装し、さらに200 ℃で30分間加熱
硬化させた。被膜は10μm の厚さで、平滑で良好な光沢
を示し、十分な硬さを有していた。この被膜の水との接
触角は110 °で、ヒートポンプエアコンの熱交換器に使
用したところ霜が殆ど付着せず、良好な撥水性を示し
た。
【0022】実施例5 (A) 成分としてA-3 を 100部、無機粒子として実施例3
で使用したヒュームドシリカを20部、界面活性剤として
実施例1で使用したポリエーテル変性シリコーンオイル
を 0.5部、顔料の酸化チタンを40部、実施例4で使用し
たポリジメチルシロキサンを10部及び水 120部をサンド
グラインダーで均一に分散して、本発明の水分散シリコ
ーン樹脂組成物を得た。この組成物中の粒状物の平均粒
径は30μm であった。得られた組成物の 100部に、水溶
性シリコーン−アクリル樹脂(カネボウエヌエスシー
(株)製、商品名カネビノールKD56)の10部を混合し、
触媒として実施例4で使用した燐酸の希釈溶液の10部を
混合してコーティング剤を調製した。これを、あらかじ
め前記で使用した水溶性シリコーン−アクリル樹脂をプ
ライマーとして塗工処理したスレート板にスプレー塗装
し、さらに 160℃で60分間加熱硬化させて被膜を形成
し、試験片とした。被膜は30μm の厚さで、平滑で良好
な光沢と撥水性を示し、十分な硬さを有していた。この
試験片を、実施例1と同様に耐候促進試験を行い、塗膜
を観察したところ、試験前の塗膜と比較してほとんど変
化は観察されず、良好な耐久性が確認された。
【0023】実施例6 A-3 の 100部の替わりに、A-3 を50部とA-4 を50部使用
した他は実施例5と同様に水分散シリコーン樹脂組成物
を得た。この組成物中の粒状物の平均粒径は20μm であ
った。次いで、実施例5と同様にコーティング剤を調製
し、試験片を作成して評価したところ、被膜は25μm の
厚さで、平滑で良好な光沢と撥水性を示し、十分な硬さ
を有しており、また良好な耐久性が確認された。
【0024】比較例4 A-3 の替わりに、B-1 を使用し、ポリエーテル変性シリ
コーンオイルを40部とした他は実施例5と同様にコーテ
ィング剤を調製し、試験片を作成して評価したところ、
被膜は平均10μm のムラのある不均一な厚さを有し、ま
た撥水性も少し劣っていた。さらに耐候促進試験を行っ
たところ、わずかに黄変が見られた。
【0025】比較例5 A-3 の替わりに、実施例4で使用した真球状のシリコー
ン樹脂微粒子を使用した他は実施例5と同様にコーティ
ング剤を調製し、試験片を作成して評価したところ、被
膜は平均10μm のムラのある不均一な厚さを有し、また
光沢も不十分で、クラックが発生し摩擦により容易に脱
落をした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 83/00 - 83/16 C09D 183/00 - 183/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 一般式 RnSiO(4-n)/2 (ここで、R は同一又は異種の置換もしくは非置換の一
    価炭化水素基を示し、nは0.2 ≦n <2.0 を満たす数で
    ある。)で表され、軟化点が50〜250 ℃のポリオルガノ
    シロキサン樹脂の粒状物 100 重量部 (B) 水 20〜10000 重量部 を含有することを特徴とする水分散シリコーン樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】成分(A) の粒状物が、 0.1〜500 μm の平
    均粒子径を有するものである請求項1記載の水分散シリ
    コーン樹脂組成物。
JP08734993A 1993-04-14 1993-04-14 水分散シリコーン樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3384827B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08734993A JP3384827B2 (ja) 1993-04-14 1993-04-14 水分散シリコーン樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08734993A JP3384827B2 (ja) 1993-04-14 1993-04-14 水分散シリコーン樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06299073A JPH06299073A (ja) 1994-10-25
JP3384827B2 true JP3384827B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=13912407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08734993A Expired - Fee Related JP3384827B2 (ja) 1993-04-14 1993-04-14 水分散シリコーン樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3384827B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4118356B2 (ja) * 1996-12-12 2008-07-16 日本ペイント株式会社 防汚塗料組成物
US6019665A (en) * 1998-04-30 2000-02-01 Fujitsu Limited Controlled retention of slurry in chemical mechanical polishing
JP3499811B2 (ja) * 2000-07-25 2004-02-23 日本山村硝子株式会社 常温硬化型コーティング組成物
CN102197008A (zh) * 2008-10-24 2011-09-21 陶氏康宁公司 含有含硅化合物的组合物
DE102015202278A1 (de) * 2015-02-09 2016-08-11 Wacker Chemie Ag Wässrige Dispersionen von Organosiliciumverbindungen

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06299073A (ja) 1994-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3337232B2 (ja) シリコーン硬化物微粒子と無機質微粒子からなる粉体混合物の製造方法
JP2787737B2 (ja) 水性塗料組成物の製造方法
KR100276803B1 (ko) 실리콘 에멀젼 코팅재 조성물과 그것의 제조방법
JPH068402B2 (ja) 耐久性シリコ−ンエマルションつや出し剤
US6433041B2 (en) Method for producing water based coating compositions
JP4469052B2 (ja) 架橋シリコーン粒子の製造方法
US4529758A (en) Water based resin dispersions
JP3044048B2 (ja) オルガノポリシロキサン系エラストマー粉体およびその製造方法
EP1186641B1 (en) Water base coating material composition and production process
JP3384827B2 (ja) 水分散シリコーン樹脂組成物
JP2001302920A (ja) 水系分散体、その製造方法および塗装体
JP2009138040A (ja) シリコーン樹脂水性乳濁液
JPH07247434A (ja) 水分散シリコーン樹脂組成物
JP3215943B2 (ja) シリコーンエマルジョンコーティング材組成物とその製造方法
JP3875756B2 (ja) シリコーンエマルジョンコーティング材組成物とその製造方法
JPH10324838A (ja) 顔料分散組成物及び塗料組成物
JP4352568B2 (ja) 無機質塗装品
JP3467994B2 (ja) シリコーン転写フィルム、及びその転写構成体
EP0365009A2 (en) Coating compositions
JPH06220402A (ja) コーティング用組成物
JP3302893B2 (ja) 粉体塗料用添加剤および粉体塗料組成物
JP3199118B2 (ja) シリコーン水性エマルジョン組成物
JPH0649412A (ja) コーティング組成物
JP3193832B2 (ja) コーティング用組成物及びその製造方法
JPH093402A (ja) コーティング用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021126

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071227

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

SG99 Written request for registration of restore

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R316G99

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees