JP3499811B2 - 常温硬化型コーティング組成物 - Google Patents

常温硬化型コーティング組成物

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JP3499811B2 JP2000223335A JP2000223335A JP3499811B2 JP 3499811 B2 JP3499811 B2 JP 3499811B2 JP 2000223335 A JP2000223335 A JP 2000223335A JP 2000223335 A JP2000223335 A JP 2000223335A JP 3499811 B2 JP3499811 B2 JP 3499811B2
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    • C09D183/00Coating compositions based on macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon, with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Coating compositions based on derivatives of such polymers
    • C09D183/04Polysiloxanes

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温硬化型コーテ
ィング組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、指
触乾燥時間が短く、常温で硬化して現場施工が可能な、
化学的耐久性に優れたオルガノポリシロキサン塗膜を形
成する常温硬化型コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、耐候性、耐水性、耐薬品性な
どの化学的耐久性や、硬度などの機械的性質に優れたバ
ルク材料、塗膜、独立膜などが求められており、オルガ
ノアルコキシシランからシリコーンオリゴマーを調製す
る研究開発が盛んに行われている。また、得られたシリ
コーンオリゴマー溶液に、硬化剤を添加して塗膜を形成
する方法の研究開発も盛んに行われ、塩基性化合物を用
いることによって、ポリシロキサン膜の硬化を促進する
技術が発表されている。例えば、特開平9−30971
7号公報には、柔軟性を有するオルガノシロキサンを主
成分とする平滑かつ緻密で透明な独立膜を形成する方法
として、アンモニアガス又はアミンガスを用いてメチル
基含有ポリシロキサン膜の硬化を促進する方法が提案さ
れている。また、アンモニア水溶液と接触させることに
よって、ポリシロキサンの硬化を促進し得ることが報告
されている(Z.Zhangら、J.Phys.Che
m.、第101巻、1328頁、1997年)。しか
し、このような塩基性化合物を、硬化剤としてシリコー
ンオリゴマー溶液に直接添加すると、急激なゲル化が起
こるという問題がある。また、アミン塩を硬化促進剤と
して使用する技術も発表されている。例えば、特開昭6
3−191868号公報には、基材との密着性に優れ、
強靭で耐熱性に富む塗膜を形成し得るコーティング剤と
して、有機アミン化合物のカルボン酸塩をラダー型シリ
コーンオリゴマーの硬化促進成分として使用するコーテ
ィング剤が提案されている。特開昭59−136363
号公報には、金属基体の腐食を予防又は抑制するのに有
効な水性組成物として、酢酸ナトリウムと酢酸ベンジル
トリメチルアンモニウムを触媒とするアルミナコロイド
含有有機ケイ素樹脂が提案されている。このような触媒
は、シリコーンオリゴマーの架橋を促進するが、常温で
は硬化が不十分であるために、熱処理が必要であり、常
温硬化型コーティング剤としては使用することができな
い。特開昭63−117074号公報には、金属、セラ
ミックス、ガラスなどの表面に硬度が高く、物性の良好
な塗膜を形成する保存安定性の優れたコーティング組成
物として、オルガノトリアルコキシシランの縮合物、コ
ロイド状シリカ、水及び親水性有機溶媒、さらに必要に
応じて、常温硬化用の硬化剤としてのアミン系シランカ
ップリング剤を含有するコーティング組成物が提案され
ている。特開昭63−137972号公報には、金属、
ガラス、プラスチックなどの表面に、透明で光沢のある
外観を有し、耐アルカリ性、耐水性などに優れた塗膜を
形成するコーティング組成物として、オルガノトリアル
コキシシランの縮合物、コロイド状シリカ、水、親水性
有機溶媒及び硬化剤としてアルミニウムアルコキシド又
はアルミニウムのβ−ジケトン類キレート化合物を含有
するコーティング組成物が提案されている。これらのコ
ーティング組成物は、塗布液の安定性を維持するために
酸を別途添加することが必要であり、コーティング液の
調製作業が複雑であるという問題がある。また、これら
のコーティング組成物を現場施工するには、指触乾燥時
間を短縮することが必要である。さらに、特開昭63−
137972号公報に提案されたコーティング組成物
は、常温硬化は困難である。このために、アルコキシシ
ランを加水分解、縮重合することにより得られるシリコ
ーンオリゴマーを用い、ポットライフが長く、塗膜形成
の際の指触乾燥時間が短く、常温で硬化して現場施工が
可能な、化学的耐久性に優れた塗膜を形成するためのコ
ーティング組成物の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポットライ
フが長く、指触乾燥時間が短く、常温で硬化して現場施
工が可能な、化学的耐久性に優れたオルガノポリシロキ
サン塗膜を形成する常温硬化型コーティング組成物を提
供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルコキシシラ
ンを加水分解、縮重合させて得られるシリコーンオリゴ
マー溶液に、塗膜形成時に、特定の有機金属化合物、揮
発性の酸及びアミン系シランカップリング剤を配合した
溶液を添加、混合することにより、ポットライフが長
く、指触乾燥時間が短く、常温で硬化し現場施工が可能
な、化学的耐久性に優れたオルガノポリシロキサン塗膜
を形成するコーティング組成物が得られることを見いだ
し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、 (1)主剤(A)が、平均構造単位R1 nSiOx/2(OH)y
(OR2)z(ただし、式中、R1は炭素数1〜3のアルキ
ル基、ビニル基又はフェニル基であり、全て同一でも異
なっていてもよく、R2は炭素数1〜3のアルキル基で
あり、全て同一でも異なっていてもよく、0.8≦n≦
1.7、2<x<3.2、y>0、z>0であり、かつy
+z=4−n−xである。)を有するシリコーンオリゴ
マーを含有する溶液であり、硬化剤(B)が、M1(Ch
e)p(OR3)q(ただし、式中、M1は3価以上の金属で
あり、Cheはキレート化剤であり、R3は炭素数1〜
4のアルキル基であり、p≧1、q≧2である。)又は
その部分加水分解物にアミン系シランカップリング剤を
添加し、沸点が200℃以下の揮発性の酸と反応させて
なる溶液であることを特徴とする常温硬化型コーティン
グ組成物、 (2)主剤(A)のシリコーンオリゴマーが、金属キレー
ト化合物を触媒として、アルコキシシランを加水分解、
縮重合することにより製造されたものである第1項記載
の常温硬化型コーティング組成物、 (3)金属キレート化合物の配位子が、β−ジケトン類
及び大環状ポリエーテルの内の少なくとも1種である第
2項記載の常温硬化型コーティング組成物、 (4)主剤(A)のシリコーンオリゴマーが、平均構造単
位R4 aSiOb/2(OH)c(OR5)d(ただし、式中、R4
は炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基又はフェニル基
であり、全て同一でも異なっていてもよく、R5は炭素
数1〜3のアルキル基であり、全て同一でも異なってい
てもよく、0≦a<3、0<b<4、c>0、d≧0で
あり、かつc+d=4−a−bである。)を有し、親水
性有機溶媒に可溶なケイ素化合物を含有する溶液を自己
触媒としてアルコキシシランに添加し、アルコキシシラ
ンを加水分解、縮重合させることにより製造されたもの
である第1項記載の常温硬化型コーティング組成物、 (5)M1が、Al3+、Ga3+、In3+、La3+、Fe
3+、Y3+、Eu3+、Ti4+、Zr4+のいずれかである第
1項記載の常温硬化型コーティング組成物、 (6)キレート化剤が、β−ジケトン類である第1項記
載の常温硬化型コーティング組成物、及び、 (7)沸点が200℃以下の揮発性の酸が、塩酸、硝酸
及び沸点が170℃以下の有機酸の内の少なくとも1種
である第1項記載の常温硬化型コーティング組成物、を
提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の常温硬化型コーティング
組成物は、主剤(A)が、平均構造単位R1 nSiOx/2(O
H)y(OR2)zを有するシリコーンオリゴマーを含有する
溶液であり、硬化剤(B)が、M1(Che)p(OR3)q又は
その部分加水分解物、揮発性の酸及びアミン系シランカ
ップリング剤を配合してなる溶液であるコーティング組
成物である。ただし、式中、R1は炭素数1〜3のアル
キル基、ビニル基又はフェニル基であり、全て同一でも
異なっていてもよく、R2は炭素数1〜3のアルキル基
であり、全て同一でも異なっていてもよく、0.8≦n
≦1.7、より好ましくは1≦n≦1.3であり、2<x
<3.2、より好ましくは2<x<3であり、y>0、
z>0であり、かつy+z=4−n−xである。また、
1は3価以上の金属であり、Cheはキレート化剤で
あり、R3は炭素数1〜4のアルキル基であり、p≧
1、q≧2である。なお、平均構造単位とは、シリコー
ンオリゴマー中のSi1原子について平均した構造単位
である。 本発明組成物において、主剤(A)として用いる平均構造
単位R1 nSiOx/2(OH)y(OR2)zを有するシリコーン
オリゴマーを含有する溶液において、nが0.8未満で
あると、塗膜の乾燥段階で応力が緩和し難く、塗膜にク
ラックが生ずるおそれがある。nが1.7を超えると、
三次元網目構造を形成し難くなり、塗膜の機械的性質が
低下するおそれがある。xが2以下であると、線状ポリ
マーが形成され難く、揮発成分が多くなるおそれがあ
る。xが3.2以上であると、塗膜の乾燥段階で応力が
緩和し難く、塗膜にクラックが生ずるおそれがある。基
材上に塗膜を形成する際は、塗工前に常温硬化用の硬化
剤を添加するが、シリコーンオリゴマーのヒドロキシル
基OHは、常温硬化用の硬化剤の作用によって架橋する
架橋点となるために、ヒドロキシル基が存在すること、
すなわちy>0であることが必須である。また、アルコ
キシル基OR2は、常温硬化用の硬化剤添加前の溶液の
保存安定性を向上させるために、アルコキシル基が存在
すること、すなわちz>0であることが必須である。
【0006】主剤(A)の製造に用いるアルコキシシラン
に特に制限はなく、例えば、テトラメトキシシラン(T
MOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)などのテ
トラアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン(M
TMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エ
チルトリメトキシシラン(ETMS)、フェニルトリエ
トキシシラン(PhTES)、ビニルトリエトキシシラ
ン(VTES)、n−プロピルトリメトキシシラン(n
−PrTMS)、イソプロピルトリメトキシシラン(is
o−PrTMS)などのトリアルコキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン(DMDE)、ジフェニルジメトキ
シシラン(DPhDM)、メチルエチルジメトキシシラ
ン(MEDM)などのジアルコキシシラン、トリメチル
メトキシシラン(TMMS)などのモノアルコキシシラ
ンなどを挙げることができる。本発明組成物の主剤(A)
の製造においては、水とアルコキシシランをH2O/S
iが1.4〜4.0(モル比)となるように混合して、加
水分解、縮重合反応を行うことが好ましく、H2O/S
iが1.5〜2.5(モル比)となるように混合して加水
分解、縮重合反応を行うことがより好ましい。H2O/
Siが1.4(モル比)未満であると、シリコーンオリ
ゴマー溶液の製造において未反応のアルコキシル基が多
く残り、オリゴマーの高分子化率が低くなり、塗膜の機
械的性質に悪影響を及ぼすおそれがある。H2O/Si
が4.0(モル比)を超えると、シリコーンオリゴマー
溶液の安定性が低下するおそれがある。また、スプレー
時に結露しやすく、成膜時に均一な塗膜を形成すること
が困難となるおそれもある。H 2O/Siを1.4〜4.
0(モル比)とすることにより、アルコキシル基の一部
が残存して、主剤(A)であるシリコーンオリゴマーを含
有する溶液の安定性を向上させる効果をもたらす。
【0007】本発明組成物においては、主剤(A)の製造
に際して、加水分解の触媒として、金属キレート化合物
又は酸を用いることができる。金属キレート化合物は、
アルコキシシランの加水分解に触媒効果を果たすのみな
らず、原料に多量のメチルトリアルコキシシランを用い
る場合には、結晶の析出をも抑制する。また、金属キレ
ート化合物は、加水分解触媒としての作用のほかに、シ
ラノールの脱プロトン化を促進し、縮重合反応をより線
状に進行させる作用も有するので、得られるシリコーン
オリゴマー溶液はゲル化時間が長く、液の長期保存安定
性に優れ、塗膜形成に有利にはたらく。酸触媒を用いる
場合には、金属キレート化合物を併用することが好まし
い。使用する金属キレート化合物に特に限定はないが、
1,3−ジオキソプロピレン鎖を有するβ−ジケトン類
又は大環状ポリエーテルを配位子とする金属キレート化
合物を好適に使用することができる。また、金属イオン
の種類に特に制限はないが、配位子との錯体生成定数の
大きい金属を好適に使用することができる。このような
金属キレート化合物としては、例えば、トリス(アセチ
ルアセトナト)アルミニウム(III)、トリス(エチルアセ
トアセタト)アルミニウム(III)、トリス(ジエチルマロ
ナト)アルミニウム(III)、ビス(アセチルアセトナト)銅
(II)、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム(I
V)、トリス(アセチルアセトナト)クロム(III)、トリス
(アセチルアセトナト)コバルト(III)、酸化チタン(II)
アセチルアセトネート[(CH3COCHCOCH3)2
iO]などのβ−ジケトン類金属キレート、希土類金属
のβ−ジケトン類金属キレート、18−クラウン−6−
カリウムキレート化合物塩、12−クラウン−4−リチ
ウムキレート化合物塩、15−クラウン−5−ナトリウ
ムキレート化合物塩などの大環状ポリエーテル化合物金
属キレートなどを挙げることができる。金属キレート化
合物触媒の添加量に特に制限はなく、触媒効果に応じて
選定することができるが、通常はアルコキシシランに対
して0.001〜5モル%であることが好ましく、0.0
05〜1モル%であることがより好ましい。金属キレー
ト化合物触媒の添加量がアルコキシシランに対して0.
001モル%未満であると、加水分解の触媒効果が十分
に発現しないおそれがある。金属キレート化合物触媒の
添加量がアルコキシシランに対して5モル%を超える
と、塗膜形成時に金属キレート化合物が析出し、塗膜の
性質に悪影響を及ぼすおそれがある。なお、自己触媒を
用いる場合には、金属キレート化合物の添加量は、自己
触媒由来のものも含む。
【0008】本発明組成物においては、主剤(A)のシリ
コーンオリゴマーは、平均構造単位R4 aSiOb/2(O
H)c(OR5)dを有し、親水性有機溶媒に可溶なケイ素化
合物を含有する溶液を自己触媒とし、アルコキシシラン
を加水分解、縮重合反応させることによって製造するこ
ともできる。ただし、式中、R4は炭素数1〜3のアル
キル基、ビニル基又はフェニル基であり、全て同一でも
異なっていてもよく、R 5は炭素数1〜3のアルキル基
であり、全て同一でも異なっていてもよく、0≦a<
3、より好ましくは0.8≦a≦2であり、0<b<
4、より好ましくは1<b<3であり、c>0、d≧0
であり、かつc+d=4−a−bである。また、平均構
造単位とは、ケイ素化合物中のSi1原子について平均
した構造単位である。aが3以上であると、上記ケイ素
化合物が揮発しやすくなるとともに、縮合して失活する
おそれがある。c>0であってヒドロキシル基が存在す
ることにより、アルコキシシランがシラノールのプロト
ンによりプロトン化され、水との加水分解反応が進み、
さらに縮重合反応が進む。得られたシリコーンオリゴマ
ー溶液中のシリコーンオリゴマーも、上記の平均構造単
位R4 aSiOb/2(OH)c(OR5)dを有するケイ素化合物
となり得るので、このような触媒を自己触媒と定義す
る。自己触媒の添加量は、アルコキシシランに対し、
0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重
量%であることがより好ましい。自己触媒の添加量がア
ルコキシシランに対して0.1重量%未満であると、プ
ロトンの授受が少なく、加水分解反応の効率が低下する
おそれがある。自己触媒の添加量がアルコキシシランに
対して50重量%を超えると、反応で得られるシリコー
ンオリゴマー溶液には、自己触媒に由来するシリコーン
オリゴマーの量が多くなるために、シリコーンオリゴマ
ーの生産効率が低下するおそれがある。また、得られた
シリコーンオリゴマー溶液の品質が不安定となるおそれ
がある。
【0009】自己触媒溶液をアルコキシシランから調製
する場合には、酸及び金属キレート化合物の内の少なく
とも1種を触媒として添加することが好ましい。酸とし
ては、通常のゾル−ゲル反応で用いられる硝酸、塩酸な
どの無機酸や、酢酸などの有機酸などを用いることがで
きる。本発明組成物に用いるシリコーンオリゴマー溶液
を製造する際に、自己触媒の添加量が多い場合には、こ
こで酸触媒を使用すると液の保存安定性が低下するおそ
れがあるために、金属キレート化合物触媒を用いること
が好ましい。このようにして得られた自己触媒溶液を触
媒として、さらにアルコキシシランを加水分解、縮重合
反応させることにより、新たな自己触媒溶液を調製する
ことができる。この場合、金属キレート化合物を触媒と
して併用することがより好ましい。自己触媒溶液を調製
する際に使用するアルコキシシランに特に制限はなく、
例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエ
トキシシラン(TEOS)などのテトラアルコキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルト
リエトキシシラン(MTES)、エチルトリメトキシシ
ラン(ETMS)、フェニルトリエトキシシラン(Ph
TES)、ビニルトリエトキシシラン(VTES)、n
−プロピルトリメトキシシラン(n−PrTMS)、イ
ソプロピルトリメトキシシラン(iso−PrTMS)な
どのトリアルコキシシラン、ジメチルジエトキシシラン
(DMDE)、ジフェニルジメトキシシラン(DPhD
M)、メチルエチルジメトキシシラン(MEDM)など
のジアルコキシシラン、トリメチルメトキシシラン(T
MMS)などのモノアルコキシシランなどを挙げること
ができる。
【0010】自己触媒溶液を調製する際に使用する金属
キレート化合物触媒に特に制限はないが、β−ジケトン
類又は大環状ポリエーテルを配位子とする金属キレート
化合物を好適に使用することができる。また、金属イオ
ンの種類は特に制限はないが、配位子との錯体生成定数
の大きい金属を好適に使用することができる。このよう
な金属キレート化合物としては、例えば、トリス(アセ
チルアセトナト)アルミニウム(III)、トリス(エチルア
セトアセタト)アルミニウム(III)、トリス(ジエチルマ
ロナト)アルミニウム(III)、ビス(アセチルアセトナト)
銅(II)、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム
(IV)、トリス(アセチルアセトナト)クロム(III)、トリ
ス(アセチルアセトナト)コバルト(III)、酸化チタン(I
I)アセチルアセトネート[(CH3COCHCOCH3)2
TiO]などのβ−ジケトン類金属キレート、希土類金
属のβ−ジケトン類金属キレート、18−クラウン−6
−カリウムキレート化合物塩、12−クラウン−4−リ
チウムキレート化合物塩、15−クラウン−5−ナトリ
ウムキレート化合物塩などの大環状ポリエーテル化合物
金属キレートなどを挙げることができる。自己触媒溶液
を調製する際の金属キレート化合物触媒の添加量に特に
制限はなく、触媒効果に応じて選定することができる
が、通常はアルコキシシランに対して0.001モル%
以上であることが好ましく、0.005モル%以上であ
ることがより好ましい。金属キレート化合物触媒の添加
量がアルコキシシランに対して0.001モル%未満で
あると、加水分解の触媒効果が十分に発現しないおそれ
がある。金属キレート化合物触媒の添加量のアルコキシ
シランに対する上限値は特になく、金属キレート化合物
が均一に溶解する範囲内であればよい。本発明組成物に
おいて、主剤(A)であるシリコーンオリゴマーを含有す
る溶液の溶媒は、ほとんどがアルコキシシランの加水分
解により生成したアルコールである。他の溶媒を添加す
ることなく、加水分解により生成したアルコールを溶媒
として利用することにより、安定でかつ固形分濃度の高
いシリコーンオリゴマー溶液を調製することが可能とな
る。本発明組成物において、シリコーンオリゴマーの分
子量に特に制限はなく、アルコキシシランの加水分解、
縮重合反応により生成したシリコーンオリゴマーが、同
時に生成したアルコールに溶解して均一な溶液を形成す
る限り、分子量の大きいシリコーンオリゴマーも使用す
ることができる。
【0011】本発明組成物において、硬化剤(B)として
用いるM1(Che)p(OR3)q(ただし、式中、M1は3
価以上の金属であり、Cheはキレート化剤であり、R
3は炭素数1〜4のアルキル基であり、p≧1、q≧2
である。)又はその部分加水分解物、揮発性の酸及びア
ミン系シランカップリング剤を配合してなる溶液は、常
温硬化用の硬化剤であり、主剤(A)であるシリコーンオ
リゴマーを含有する溶液に添加、混合した後にシロキサ
ンネットワークの形成を促進し、成膜後触媒効果が徐々
に大きくなり、ポリシロキサン膜の硬化を促進する。な
お、硬化剤は、M 1(Che)p(OR3)q(部分加水分解物
を含む)及び揮発性の酸とアミン系シランカップリング
剤からなる錯塩、又は、M1(Che)p(OR3)q(部分加
水分解物を含む)、揮発性の酸とアミン系シランカップ
リング剤からなる錯塩及び揮発性の酸若しくはアミン系
シランカップリング剤を配合することによっても調製す
ることができ、このように調製したものも本発明組成物
の硬化剤(B)に含まれる。硬化剤(B)が主剤(A)に添
加、混合されると、硬化剤(B)中のM1−OR3が主剤
(A)中のシリコーンオリゴマーのシラノール基と脱アル
コール反応を起こすとともに、シリコーンオリゴマー間
の脱水反応に対する触媒作用を及ぼし、シロキサンネッ
トワークの生成を促進する。一方、硬化剤(B)中には、
揮発性の酸とアミン系シランカップリング剤が反応して
生成した錯塩が含まれていると考えられる。硬化剤(B)
が主剤(A)に添加、混合されると、M1(Che)p(O
3)q(部分加水分解物を含む)と同様に、アミン系シ
ランカップリング剤は脱アルコール反応により自らポリ
シロキサンネットワークに入るが、これらの作用によ
り、塗膜形成時の指触乾燥が速くなる。錯塩の形になっ
たアミノ基及びイミノ基は殆どそのままの形で維持さ
れ、アミン系シランカップリング剤単独の場合と比べ
て、アミノ基又はイミノ基による触媒効果が抑制される
ためポットライフが長くなる。成膜後は、揮発性の酸が
徐々に塗膜から脱離し、錯塩の形のアミノ基及びイミノ
基は遊離のアミノ基及びイミノ基に戻るので、塗膜の塩
基性が高くなり、シラノールの縮重合が一層促進されて
ヒドロキシル基が減少する。アミン系シランカップリン
グ剤が自らポリシロキサンネットワークに入るので、ア
ミノ基又はイミノ基による触媒効果が長時間にわたって
機能し、その結果、ネットワークの発達したポリシロキ
サンを常温で得ることができる。
【0012】硬化剤(B)中のM1(Che)p(OR3)qで表
される化合物又はその部分加水分解物において、M1
表される3価以上の金属イオンに特に制限はないが、主
剤(A)に添加、混合した後のコーティング組成物の急激
なゲル化を避けるために、安定な錯体を形成する金属イ
オンであることが好ましい。このような金属イオンとし
ては、例えば、Al3+、Ga3+、In3+、La3+、Fe
3+、Y3+、Eu3+、Ti4+、Zr4+などを挙げることが
できる。これらの中で、Al3+、Ti4+及びZr4+がよ
り好ましく、塗膜の耐クラック性から、Ti4+が最も好
ましい。また、部分加水分解物としては、単にOR3
一部がヒドロキシル基OHに変換された部分加水分解物
のみならず、縮合して多核錯体となった部分加水分解物
も用いることができる。多核錯体中のM1は、全て同一
でも異なっていてもよい。反応性の官能基であるアルコ
キシル基OR3としては、例えば、メトキシ基、エトキ
シ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブト
キシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などを挙
げることができる。M1(Che)p(OR3)qにおいて、q
≧2、すなわち反応性の官能基であるアルコキシル基O
3の数を2以上とすることにより、M1(Che)p(OR
3)qが脱水反応に対する触媒作用によって架橋を促す効
果を示すほかに、シリコーンオリゴマー溶液中又は形成
した塗膜中で、自身が架橋剤となる効果が発現する。ま
た、M1(Che)p(OR3)qにおいて、p≧1、すなわち
Cheで表されるキレート化剤が存在することにより、
常温硬化用の硬化剤の安定性が高められ、その取扱いが
容易になる。キレート化剤に特に制限はないが、β−ジ
ケトン類を好適に用いることができる。β−ジケトン類
としては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチ
ル、マロン酸ジエチルなどを挙げることができる。
【0013】硬化剤(B)中の揮発性の酸に特に制限はな
く、例えば、塩酸、硝酸などの揮発性無機酸、沸点が2
00℃以下、好ましくは170℃以下の有機酸を挙げる
ことができる。このような有機酸としては、例えば、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イ
ソ吉草酸、アクリル酸、イソクロトン酸、メタクリル酸
などのカルボン酸を挙げることができる。これらの揮発
性の酸は、1種を単独で用いることができ、あるいは、
2種以上を組み合わせて用いることもできる。硬化剤
(B)中のアミン系シランカップリング剤に特に制限はな
く、例えば、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。こ
れらのアミン系シランカップリング剤は、1種を単独で
用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて
用いることもできる。本発明のコーティング組成物にお
いて、硬化剤(B)として配合されるM1(Che)p(O
3)q又はその部分加水分解物とアミン系シランカップ
リング剤の混合比は、1:9〜9:1(モル比)である
ことが好ましく、3:7〜7:3(モル比)であること
がより好ましい。この混合比よりアミン系シランカップ
リング剤が多いと、塗膜中に残るアミン系シランカップ
リング剤に由来する有機基が多くなり、塗膜の耐候性が
低下するおそれがある。この混合比よりアミン系シラン
カップリング剤が少ないと、成膜後の硬化速度が遅くな
るおそれがある。 揮発性の酸とアミン系シランカップリング剤の混合比
は、1:4〜3:1(モル比)であることが好ましく、
1:3〜2:1(モル比)であることがより好ましい。
この混合比より酸が少ないと、コーティング溶液中に存
在する遊離アミノ基又は遊離イミノ基が多くなりすぎ
て、ポットライフが短くなるおそれがある。この混合比
より酸が多いと、M1(Che)p(OR3)q(部分加水分解
物を含む)と配位子交換し、硬化特性を低下させ、指触
乾燥時間が長くなるおそれがある。
【0014】本発明のコーティング組成物は、主剤(A)
の固形分換算100重量部に対する硬化剤(B)の固形分
換算の添加量が0.1〜20重量部であることが好まし
い。主剤(A)の固形分換算100重量部に対する硬化剤
(B)の固形分換算の添加量が0.1重量部未満である
と、常温硬化用の硬化剤としての効果が不十分となり、
指触乾燥時間が長くなると共に、常温硬化が困難になる
おそれがある。主剤(A)の固形分換算100重量部に対
する硬化剤(B)の固形分換算の添加量が20重量部を超
えると、M1(Che)p(OR3)q(部分加水分解物を含
む)とアミン系シランカップリング剤に由来するアルコ
キシル基が多くなり、ポリシロキサンの架橋効果が低下
し、塗膜物性が低下するおそれがある。本発明のコーテ
ィング組成物においては、得られる塗膜の物性を向上さ
せるために、主剤(A)のシリコーンオリゴマーを含有す
る溶液に、有機溶媒を分散媒とするシリカゾル、酸化ア
ンチモンゾル、アルミナゾルなどの酸化物ゾルを添加す
ることができる。また、耐候性が高い無機顔料を、主剤
(A)のシリコーンオリゴマーを含有する溶液に分散して
使用することもできる。無機顔料としては、例えば、酸
化チタン、酸化鉄、アルミナ、酸化亜鉛、チタンイエロ
ー、コバルトブルー、カオリンなどを挙げることができ
る。さらに、必要に応じて、ガラス繊維、ウィスカーな
どの針状物質や、カーボンブラックなどの粉末状物質を
添加することもできる。主剤(A)のシリコーンオリゴマ
ーを含有する溶液に顔料を多く添加する場合には、生成
したアルコール及び酸化物ゾル中の分散媒以外に、原料
として用いたアルコキシシラン100重量部に対し、5
0重量部未満の親水性有機溶媒を添加することができ
る。アルコキシシラン100重量部に対する親水性有機
溶媒の添加量が50重量部以上であると、揮発成分が増
加して、経済性が損なわれるおそれがある。親水性有機
溶媒の添加量は、原料として用いたアルコキシシラン1
00重量部に対し20重量部以下であることがより好ま
しい。添加する親水性有機溶媒に特に制限はないが、メ
タノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、アセトンなどの揮発しやすい低沸点の
溶媒を好適に用いることができる。なお、本発明組成物
に用いる主剤(A)のシリコーンオリゴマーを含有する溶
液の製造において、親水性有機溶媒とは、常温で水と任
意の割合で均一に混合する有機溶媒をいう。本発明のコ
ーティング組成物から、オルガノポリシロキサン塗膜を
形成する際の塗工方法に特に制限はなく、被塗物の形
状、塗工の目的などに応じて、任意の公知の塗工方法を
選択することができる。例えば、スプレー法、浸漬法、
フロー法、ロール法などの各種塗工方法を選択すること
ができる。塗膜の厚さは、塗工の目的に応じて適宜選択
することができるが、通常は1〜50μmであることが
好ましい。金属、ガラス、セラミック、コンクリートな
どの無機基材や、アクリル樹脂、ABS樹脂、木材、紙
などの有機基材に塗工してオルガノポリシロキサン塗膜
を形成し、基材の表面を保護するとともに、美観を高め
ることができる。また、光触媒膜と基材との間の中間層
として、好適に使用することができる。
【0015】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例において、コーテ
ィング組成物のポットライフは、コーティング組成物を
ガラス容器に入れて密封し、20℃の恒温室に保管し、
6時間ごとに48時間までその状態を観察し、ゲル化す
ることなく流動性を保つ最長時間をポットライフとし
た。また、指触乾燥時間はJIS K 5400 6.5に
準じて測定し、鉛筆引っかき値はJIS K 5400
8.4.2に準じて測定した。 製造例1(シリコーンオリゴマー溶液の製造) 178重量部のメチルトリエトキシシラン[信越化学工
業(株)、LS−1890]と45重量部のエタノールと
の混合液に、0.1重量部のトリス(アセチルアセトナ
ト)アルミニウム(III)[(株)同仁化学研究所]を添加し
た。この液を室温で30分間攪拌し、トリス(アセチル
アセトナト)アルミニウム(III)を溶解したのち、32重
量部の蒸留水を攪拌しながら1時間で添加した。1日間
室温で静置し、透明なシリコーンオリゴマー溶液A−1
を得た。このシリコーンオリゴマー溶液の固形分は、約
26重量%である。 製造例2(シリコーンオリゴマー溶液の製造) 178重量部のメチルトリエトキシシラン[信越化学工
業(株)、LS−1890]に、自己触媒として50重量
部のシリコーンオリゴマー溶液A−1を添加し、さらに
0.1重量部のトリス(アセチルアセトナト)アルミニウ
ム(III)[(株)同仁化学研究所]を添加した。この液を
室温で30分間攪拌し、トリス(アセチルアセトナト)ア
ルミニウム(III)を溶解したのち、32重量部の蒸留水
を攪拌しながら1時間で添加した。1日間室温で静置
し、透明なシリコーンオリゴマー溶液A−2を得た。こ
のシリコーンオリゴマー溶液の固形分は、約31重量%
である。 製造例3(シリコーンオリゴマー溶液の製造) 126重量部のメチルトリエトキシシラン[信越化学工
業(株)、LS−1890]と45重量部のフェニルトリ
メトキシシラン[信越化学工業(株)、LS−2750]
の混合溶液に、自己触媒として50重量部のシリコーン
オリゴマー溶液A−2を添加し、さらに0.1重量部の
トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)[(株)
同仁化学研究所]を添加した。この液を室温で30分間
攪拌し、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(II
I)を溶解したのち、33重量部の蒸留水を攪拌しながら
1時間で添加した。1日間室温で静置し、透明なシリコ
ーンオリゴマー溶液A−3を得た。このシリコーンオリ
ゴマー溶液の固形分は、約36重量%である。 製造例4(シリコーンオリゴマー溶液の製造) 130重量部のメチルトリエトキシシラン[信越化学工
業(株)、LS−1890]と42重量部のジメチルジエ
トキシシラン[信越化学工業(株)、LS−1370]の
混合溶液に、自己触媒として50重量部のシリコーンオ
リゴマー溶液A−2を添加し、さらに0.1重量部のト
リス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)[(株)同
仁化学研究所]を添加した。この液を室温で30分間攪
拌し、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)
を溶解したのち、29重量部の蒸留水を攪拌しながら1
時間で添加した。1日間室温で静置し、透明なシリコー
ンオリゴマー溶液A−4を得た。このシリコーンオリゴ
マー溶液の固形分は、約35重量%である。
【0016】製造例5(常温硬化用硬化剤の製造) 500重量部のイソプロピルアルコールに100重量部
のチタニウムテトラ−n−ブトキシドを添加したのち、
35重量部のアセチルアセトンを反応させた。この溶液
に、32重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン[信越化学工業(株)、KBE903]を添加し、混合
したのち、9重量部の酢酸と反応させ、常温硬化用硬化
剤B−1を得た。 製造例6(常温硬化用硬化剤の製造) 500重量部のイソプロピルアルコールに50重量部の
アルミニウムトリ−n−ブトキシドを添加したのち、2
0重量部のアセチルアセトンを反応させた。この溶液
に、35重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン[信越化学工業(株)、KBE903]を添加し、混合
したのち、12重量部の酢酸と反応させ、常温硬化用硬
化剤B−2を得た。 製造例7(常温硬化用硬化剤の製造) 500重量部のエチレングリコールモノメチルエーテル
に100重量部のチタニウムテトラ−n−ブトキシドを
添加したのち、29重量部のアセチルアセトンを反応さ
せた。この溶液に、51重量部のγ−アミノプロピルト
リエトキシシラン[信越化学工業(株)、KBE903]
を添加し、混合したのち、9重量部の酢酸と反応させ、
常温硬化用硬化剤B−3を得た。 製造例8(常温硬化用硬化剤の製造) 500重量部のアセトンに100重量部のジルコニウム
テトラ−n−ブトキシドのn-ブタノール溶液[アズマ
ックス、80重量%]を添加したのち、21重量部のア
セチルアセトンを反応させた。この溶液に、46重量部
のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン[信越化学工
業(株)、KBE903]を添加し、混合したのち、7重
量部の酢酸と反応させ、常温硬化用硬化剤B−4を得
た。
【0017】実施例1 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−1に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−1を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、48時間以上であった。このコーティング組
成物を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に
塗工した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温
で1か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定し
たところ、10μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき
値は、3Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含
浸した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いて
それぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。 実施例2 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−2に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−1を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは30時間であった。このコーティング組成物
を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に塗工
した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温で1
か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定したと
ころ、15μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき値
は、2Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含浸
した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いてそ
れぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。 実施例3 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−2に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−2を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、48時間以上であった。このコーティング組
成物を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に
塗工した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温
で1か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定し
たところ、7μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき値
は、4Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含浸
した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いてそ
れぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。 実施例4 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−2に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−3を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、48時間以上であった。このコーティング組
成物を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に
塗工した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温
で1か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定し
たところ、7μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき値
は、3Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含浸
した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いてそ
れぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。
【0018】実施例5 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−2に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−4を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、48時間以上であった。このコーティング組
成物を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に
塗工した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温
で1か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定し
たところ、16μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき
値は、2Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含
浸した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いて
それぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。 実施例6 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−3に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−1を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、18時間であった。このコーティング組成物
を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に塗工
した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温で1
か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定したと
ころ、16μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき値
は、3Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含浸
した脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いてそ
れぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したとこ
ろ、いずれも異常は認められなかった。 実施例7 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−4に10
重量部の常温硬化用硬化剤B−1を添加し、コーティン
グ組成物を得た。得られたコーティング組成物のポット
ライフは、36時間であった。このコーティング組成物
を、スプレー法を用いてガラス基板(厚さ2mm)に塗工
した。指触乾燥時間は、30分以内であった。室温で1
か月間乾燥したのち、得られた塗膜の膜厚を測定したと
ころ、14μmであった。この塗膜の鉛筆引っかき値
は、Hであった。さらに、この塗膜をキシレンを含浸し
た脱脂綿及びエタノールを含浸した脱脂綿を用いてそれ
ぞれ50回擦ったのち、外観を肉眼で観察したところ、
いずれも異常は認められなかった。 比較例1 100重量部のシリコーンオリゴマー溶液A−2に10
重量部のγ−アミノプロピルトリエトキシシラン[信越
化学工業(株)、KBE903]の10重量%イソプロピ
ルアルコール溶液を添加したところ、局部的にゲル化
し、均一なコーティング組成物は得られなかった。
【0019】
【発明の効果】本発明のコーティング組成物は、塗膜形
成時に、シリコーンオリゴマー溶液に、常温硬化用の硬
化剤として、3価以上の金属の有機金属化合物、揮発性
の酸及びアミン系シランカップリング剤を配合した溶液
が添加、混合されるので、指触乾燥時間が短く、常温で
硬化して現場施工が可能となり、化学的耐久性に優れた
オルガノポリシロキサン塗膜を形成することが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川部 和広 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 日本山 村硝子株式会社内 (72)発明者 熊野 聡 兵庫県西宮市浜松原町2番21号 日本山 村硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−151552(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 183/02 - 183/08 C08G 77/18 C09D 5/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主剤(A)が、平均構造単位R1 nSiO
    x/2(OH)y(OR2)z(ただし、式中、R1は炭素数1〜
    3のアルキル基、ビニル基又はフェニル基であり、全て
    同一でも異なっていてもよく、R2は炭素数1〜3のア
    ルキル基であり、全て同一でも異なっていてもよく、
    0.8≦n≦1.7、2<x<3.2、y>0、z>0で
    あり、かつy+z=4−n−xである。)を有するシリ
    コーンオリゴマーを含有する溶液であり、硬化剤(B)
    が、M1(Che)p(OR3)q(ただし、式中、M1は3価
    以上の金属であり、Cheはキレート化剤であり、R3
    は炭素数1〜4のアルキル基であり、p≧1、q≧2で
    ある。)又はその部分加水分解物にアミン系シランカッ
    プリング剤を添加し、沸点が200℃以下の揮発性の酸
    と反応させてなる溶液であることを特徴とする常温硬化
    型コーティング組成物。
  2. 【請求項2】主剤(A)のシリコーンオリゴマーが、金属
    キレート化合物を触媒として、アルコキシシランを加水
    分解、縮重合することにより製造されたものである請求
    項1記載の常温硬化型コーティング組成物。
  3. 【請求項3】金属キレート化合物の配位子が、β−ジケ
    トン類及び大環状ポリエーテルの内の少なくとも1種で
    ある請求項2記載の常温硬化型コーティング組成物。
  4. 【請求項4】主剤(A)のシリコーンオリゴマーが、平均
    構造単位R4 aSiOb/2(OH)c(OR5)d(ただし、式
    中、R4は炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基又はフ
    ェニル基であり、全て同一でも異なっていてもよく、R
    5は炭素数1〜3のアルキル基であり、全て同一でも異
    なっていてもよく、0≦a<3、0<b<4、c>0、
    d≧0であり、かつc+d=4−a−bである。)を有
    し、親水性有機溶媒に可溶なケイ素化合物を含有する溶
    液を自己触媒としてアルコキシシランに添加し、アルコ
    キシシランを加水分解、縮重合させることにより製造さ
    れたものである請求項1記載の常温硬化型コーティング
    組成物。
  5. 【請求項5】M1が、Al3+、Ga3+、In3+、L
    3+、Fe3+、Y3+、Eu3+、Ti4+、Zr4+のいずれ
    かである請求項1記載の常温硬化型コーティング組成
    物。
  6. 【請求項6】キレート化剤が、β−ジケトン類である請
    求項1記載の常温硬化型コーティング組成物。
  7. 【請求項7】沸点が200℃以下の揮発性の酸が、
    酸、硝酸及び沸点が170℃以下の有機酸の内の少なく
    とも1種である請求項1記載の常温硬化型コーティング
    組成物。
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