JPH09279096A - 被膜形成用組成物及びその製造方法 - Google Patents

被膜形成用組成物及びその製造方法

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JPH09279096A
JPH09279096A JP9433996A JP9433996A JPH09279096A JP H09279096 A JPH09279096 A JP H09279096A JP 9433996 A JP9433996 A JP 9433996A JP 9433996 A JP9433996 A JP 9433996A JP H09279096 A JPH09279096 A JP H09279096A
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film
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forming composition
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JP9433996A
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Yasuhiro Onishi
康裕 大西
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Daihachi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Daihachi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック成形品、木材製品、ガラス製
品、金属製品などの材料の表面保護及び機能性付与を目
的とする保存安定性の良い被膜形成用組成物及びその製
法を提供する。 【解決手段】 オルガノアルコキシシランの部分加水分
解縮合物(標準ポリスチレン換算重量平均分子量500
〜50,000)[(a)成分]に、金属アルコキシド
(但し、金属はAl、Ti又はZr)又はその部分加水
分解物[(b)成分]を配合し、更に(a)成分中に残
存する水酸基のブロック化と(b)成分のキレート化と
に少なくとも必要な量の脂肪族β−ジケトンもしくはβ
−ケトエステル[(c)成分]を含有させてなる被膜形
成用組成物。 【効果】 大気中の水分の影響を受けにくい、保存安定
性の良い被膜形成用組成物を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック成形
品、木材製品、ガラス製品、金属製品などの材料の表面
状態の改善や該材料に新たな機能を付与する被膜形成用
組成物及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発
明は、前記材料の表面保護を目的として耐磨耗性、防錆
性、耐薬品性、耐候性、耐熱性、絶縁性、撥水性などを
改善でき、更に帯電防止、紫外線吸収などの機能性を付
与できる保存安定性の良好な被膜形成用組成物及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】プラス
チック成形品、アルカリガラス製品、及びアルミニウ
ム、亜鉛などの金属成形品は、表面硬度が低いため傷つ
きやすく、磨耗し易いなどの欠点がある。このような問
題を改良する目的で、材料表面に硬化性物質のコート膜
を形成する種々のコーティング用組成物及びその製造方
法が提案されている。中でも、金属アルコキシドを出発
原料としてガラス状の非結晶物質のコート膜を製造する
方法(ゾル−ゲル法)は、分子レベルの均一混合が可能
で、また溶融温度が高いガラス状物質や結晶化傾向が大
きいために溶融法では得られにくい組成のガラス状物質
の低温合成が可能である。更に前記方法を利用した塗料
は、比較的低温で硬く、不燃性の無機質被膜を形成する
ことができる。例えば、特開昭63−81176号公報
には、チタン化合物やジルコニウム化合物を複合させた
アルコキシシランベースのポリシロキサン系コーティン
グ用組成物が開示されている。
【0003】このような被膜を形成するための金属アル
コキシドのゾル溶液の合成方法は、アルコキシシランを
酸触媒などの存在下で加水分解したものに他の金属アル
コキシドや金属キレート化合物を添加するか、アルコキ
シシランと金属アルコキシドとを混合したものに水を添
加し共加水分解縮合させる方法が一般的である。そして
このようにして調製されたゾル溶液は化学安定性が悪い
ため、グリコール系溶剤を添加したり、β−ジケトン類
を添加して化学安定性を上げている。しかし、一般的に
アルコキシシランに比べて他の金属アルコキシドは加水
分解速度が速いため、金属アルコキシドをアルコキシシ
ランの加水分解縮合物に添加すると局部的にゲル化した
り、白濁してしまう。この傾向は、アルコキシシランの
加水分解縮合物の分子量が大きいほど顕著である。その
ため、均一で透明な溶液を得るためには、空気中の水分
や有機溶剤に溶かした水を使用して共加水分解を行う必
要があった。
【0004】しかしながら、このアルコキシシランの加
水分解縮合物は、たとえ均一で透明な溶液が得られたと
しても末端に多くの水酸基を有しているため、得られた
溶液は酸性領域では準安定化しているものの通常3〜6
ヶ月で液の安定性が低下する。具体的には、増粘、ゲル
化などで著しく保存安定性が悪くなったり、大気中の水
分ですぐに白濁したり、被膜が白化したりする。従っ
て、均一でかつ保存安定性の良いゾル溶液を得ることは
非常に困難であった。
【0005】本発明は、上記問題を解決し、ポリシロキ
サンをベースとした金属アルコキシド混合系の被膜形成
用組成物、即ち大気中の水分などの影響を受けず塗布す
ることができ、均一でかつ保存安定性の良いゾル溶液を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、オルガノアルコキシシランの部分加水分解縮合物
(標準ポリスチレン換算重量平均分子量500〜50,
000)[(a)成分]に、金属アルコキシド(但し、
金属はAl、Ti又はZr)[(b)成分]又はその部
分加水分解縮合物を配合し、更に(a)成分中に残存す
る水酸基のブロック化と(b)成分のキレート化とに少
なくとも必要な量の脂肪族β−ジケトンもしくはβ−ケ
トエステル[(c)成分]を含有させてなる被膜形成用
組成物が提供される。
【0007】また、本発明によれば、溶剤の存在下
(a)成分に、(a)成分中に残存する水酸基のブロッ
ク化と(b)成分のキレート化とに少なくとも必要な量
の(c)成分を添加し、更に(b)成分を添加すること
を特徴とする被膜形成用組成物の製造方法が提供され
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いることができる
(a)成分しては、式(I):
【0009】
【化1】
【0010】(式中、R1 は炭素数1〜8の有機基、R
2 は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のアシ
ル基、xは0又は1)で示されるオルガノアルコキシシ
ランの部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0011】式(I)において、R1 で表される炭素数
1〜8の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル
基、キシリル基などのアリール基;その他γ−クロロプ
ロピル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ
−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−メルカプトプ
ロピル基、γ−アミノプロピル基、3,4−エポキシシ
クロヘキシル基などが挙げられる。R2 で表される炭素
数1〜5のアルキル基又は炭素数2〜4のアシル基とし
ては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基などのアシル基が挙げられる。R1 及び
2 の炭素数が上記範囲であれば、適度な加水分解速度
が得られるので好ましい。
【0012】式(I)のオルガノアルコキシシランとし
ては、xが0の場合、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ
イソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランな
どが挙げられ、xが1の場合、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロ
ポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチ
ルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキ
シシクロヘキシルトリメトキシシランなどが挙げられ
る。これらの中で特に、テトラメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルト
リエトキシシランが好ましい。また、これらのアルコキ
シシランは、1種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0013】本発明に使用される(a)成分は、例え
ば、前記オルガノアルコキシシランを無触媒又は、有機
酸或いは無機酸の存在下で、部分的に加水分解縮合させ
ることにより得ることができる。有機酸としては蟻酸、
酢酸、蓚酸などが挙げられ、無機酸としては塩酸、硝
酸、硫酸、燐酸などが挙げられる。これらの中で特に硝
酸、塩酸などの揮発性無機酸が好ましい。
【0014】オルガノアルコキシシランの部分加水分解
縮合物(オルガノポリシロキサン)のポリスチレン換算
重量平均分子量は、500〜50,000が好ましく、
特に好ましくは1,000〜20,000である。この
分子量が前記範囲であれば、良好な造膜性、レベリング
性、被膜の硬化性、密着性の被膜形成組成物が得られ、
基材に対する密着性クラックが発生し難い。更に、後の
金属キレート化合物との反応時、局部的に有機溶剤に不
溶なポリマーが生成し難く、ゲル化が防止でき、その後
の保存安定性が良好になる。
【0015】また、オルガノポリシロキサンの分子量
は、加水分解に使用する水の添加量により調整すること
ができる。この水の添加量は、原料のオルガノアルコキ
シシラン中のアルコキシ基1モルに対して、0.2〜3
モルが好ましく、特に好ましくは0.5〜1モルであ
る。水の添加量が前記範囲であれば、アルコキシ基と活
性な水酸基とのバランスが保たれ、良好な保存安定性、
密着性、硬化性及び粘性を示す被膜形成組成物が得られ
る。
【0016】本発明に用いることができる(b)成分の
金属アルコキシド(但し、金属はAl、Ti又はZr)
は、被膜形成組成物の調整においてキレート化される。
この金属アルコキシド及びその金属キレート化合物とし
ては、例えば、式(II):
【0017】
【化2】
【0018】(式中、MはAl、Ti又はZr、R3
炭素数1〜5の直鎖状又は分枝状のアルキル基及び/又
はアルコキシ基、R4 及びR5 は同一又は異なって炭素
数1〜8は有機基、yは0〜4の整数、zは金属Mの価
数又は配位数)で示される化合物が挙げられる。
【0019】式(II)において、R3 で表される炭素数
1〜5のアルキル基及び/またはアルコキシ基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブ
チル基、ペンチル基などのアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−
ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ
基、ペントキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。R
4 及びR5 は同一又は異なって任意の有機基であるが、
4 COCH2 COR5 として例えばアセチルアセト
ン、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート
などが挙げられる。
【0020】式(II)の金属アルコキシドとしては、テ
トラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、
テトラ−n−プロポキシチタニウム、テトライソプロポ
キシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テ
トラ−sec−ブトキシチタニウム、テトライソプロポ
キシチタニウム、テトラメトキシジルコニウム、テトラ
エトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコ
ニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−
n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシ
ジルコニウムなどが挙げられる。また、式(II)の金属
キレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセト
ネート、アルミニウムエチルアセトアセテートビスアセ
チルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセ
テートアセチルアセトネート、アルミニウムジ−イソプ
ロポキシモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ
−n−ブトキシモノエチルアセトアセテートなどが挙げ
られる。これらの中で特に、テトラ−n−ブトキシチタ
ニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウムが好まし
く、これらの化合物は、1種以上を組み合わせて用いる
ことができる。
【0021】更に、前記金属キレート化合物は、部分加
水分解縮合していてもよい。本発明に用いることができ
る(c)成分は、脂肪族β−ジケトンもしくはβ−ケト
エステルであり、具体的には、2,4−ヘキサン−ジオ
ン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジ
オン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジ
オン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどのジケトン;
アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチ
ル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸イソプロピ
ル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチ
ル、アセト酢酸t−ブチルなどのケトエステルが挙げら
れる。これらの中で特に、アセチルアセトン、アセト酢
酸エチルが好ましい。
【0022】本発明の被膜形成用組成物は、以下の操作
により製造することができる。まず、溶剤の存在下、
(a)成分であるオルガノアルコキシシランの部分加水
分解縮合物に(c)成分である脂肪族β−ジケトンもし
くはβ−ケトエステルを添加し、室温もしくは加熱下で
しばらく反応させる。次いで(b)成分である金属アル
コキシドを発熱に注意しながら徐々に添加し、ゾル溶液
の被膜形成組成物を調製する。ここで、(b)成分の金
属アルコキシドは、予めキレート化したもの、更に部分
加水分解縮合したものを用いてもよく、この場合、
(c)成分の添加量は適宜調整することができる。キレ
ート化した化合物は、金属アルコキシドよりも加水分解
反応が遅く、反応速度を制御しやすいので好ましい。
【0023】前述の操作で反応させることによって、例
えばテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物のよ
うな反応性の高いポリマーの場合でも、金属キレート化
合物を高濃度で混合させることが可能となる。また、こ
の方法はオルガノアルコキシシランの加水分解縮合反応
から組成物調整までを一容器で連続的に操作することが
でき、工業的にも好ましい。
【0024】前記方法によって安定なポリマーをつくる
ことができる理由は明確ではないが、始めにオルガノア
ルコキシシラン部分加水分解縮合物に脂肪族β−ジケト
ンを添加して反応させている間に、オルガノアルコキシ
シラン部分加水分解縮合物中に存在する水酸基に脂肪族
β−ジケトンが配位し、水酸基をブロック化する。その
後、金属キレート化合物を徐々に添加すると、脂肪族β
−ジケトン類と金属アルコキシドもしくは金属キレート
化合物とが徐々に交換反応と加水分解反応を行いなが
ら、オルガノポリシロキサンに金属キレート化合物が複
合された、ポリマー溶液ができるためと推測される。従
って、(c)成分は(a)成分中に残存する水酸基のブ
ロック化と(b)成分のキレート化とに少なくとも必要
な量が必要となる。また、(c)成分は組成物の溶剤を
兼ねるので、その使用量は後述する溶媒の使用量と合わ
せて調整することができる。
【0025】(a)成分と(b)成分との混合割合は、
被服目的及び塗布対象となる材料の種類などにより、適
宜調整することができる。例えば、耐アルカリ性改良を
目的としてガラスに被服する場合、前記混合割合は、9
8:2〜50:50、好ましくは、90:10〜60:
40とすることができる。
【0026】本発明の被膜形成用組成物の溶剤として
は、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶
剤、多価アルコール系溶剤、芳香族系溶剤などが挙げら
れる。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブ
タノール、sec-ブタノールなどのアルコール系溶剤;メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケト
ン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶
剤;エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ、ブチルセロソルブなどの多価アルコール系溶
剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤
が挙げられ、中でもイソプロパノールが好ましい。ま
た、これらの溶剤は、1種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。
【0027】またこれらの溶剤の量は、粘度調整、希釈
などの目的に応じて適宜定められ、特に限定されるもの
ではない。しかし、通常、組成物中の全固形分が、1〜
50重量%、好ましくは3〜30重量%となるように調
整されるのが好ましい。溶剤の量がこの範囲であれば、
本発明の効果を十分に発揮しうる保存安定性の良好な組
成物が得られる。
【0028】本発明によれば、テトラエトキシシランの
ような4官能シラン化合物の高分子量の部分加水分解縮
合物であっても、アセチルアセトンのようなβ−ジケト
ン類の存在下で、局部的なゲル化を起こすことなしにチ
タニウム、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属アル
コキシドを高濃度で添加することができ、かつ均一で保
存安定性の良い被膜形成に適した金属アルコキシド部分
加水分解物溶液を得ることができる。
【0029】本発明の組成物は、公知の被膜形成法、例
えば浸漬法、流延法、スピンナー法、スプレー法、バー
コート法などによりガラスなどの基体面に被覆して薄い
被膜を形成し、次いで加熱して金属酸化物被膜を形成さ
せることができる。また、他の樹脂と混合することによ
って、添加剤、改質剤、架橋剤として使用することもで
きる。
【0030】また、本発明の組成物には、更に必要に応
じて各種添加剤を含有させることができる。添加剤の例
としては、例えば体質顔料、着色顔料、充填剤などが挙
げられる。体質顔料の例として、例えばマイカ、タル
ク、炭酸カルシウム、クレ−、シリカ硫酸バリウム及び
珪藻土などが挙げられ、着色顔料の例として、例えば酸
化チタン、亜鉛華、カ−ボンブラック、黒鉛、二酸化マ
ンガン、チタンイエロー、黄土、コバルトブルー、群
青、フタロシアニンブルー、コバルトクロムブルー、酸
化クロム、ベンガラ、鉛丹、カドニウムレッド及びアン
チモン赤などが挙げられる。また充填剤の例としては、
例えばアルミニウム粉、亜鉛末、酸化錫及び酸化亜鉛な
どが挙げられる。
【0031】更にまた、帯電防止、紫外線吸収などの性
能を高めるために補助的に各種添加剤を含有させてもよ
い。帯電防止剤としては、アニオン活性剤、カチオン活
性剤、両性活性剤及び非イオン活性剤の界面活性剤が挙
げられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール
系、ベンゾフェノン系、サリチレート系及びシアノアク
リレート系などの有機化合物;TiO微粒子及びZnO
2 などの無機化合物が挙げられる。但し、これらの添加
剤は、耐熱性を要求される用途においては、無機化合物
が好ましい。前記添加剤は複数の機能を付与する場合も
あり、例えばシリカの微粉末は組成物の粘度を調節する
と共に、被膜表面の光反射防止の機能も付与する。
【0032】従って、本発明は、プラスチック成形品、
木材製品、ガラス製品、金属製品などのの表面保護を目
的として耐磨耗性、防錆性、耐薬品性、耐候性、耐熱
性、絶縁性、撥水性などを改善でき、更に帯電防止、紫
外線吸収などの機能性を付与できる保存安定性の良好な
被膜形成用組成物を提供することができる。
【0033】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に説明する
が、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものでは
ない。尚、実施例中、特に断りのない限り、MWはゲル
パーミェーションクロマトグラフィーによる標準ポリス
チレン換算法における重量平均分子量を示す。
【0034】実施例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、テ
トラエトキシシラン208g(1.0モル)、イソプロ
パノール165gを加え、攪拌しながら、1重量%の硝
酸水溶液27g(エトキシ基1モルに対して、水0.3
75モル)を添加した。次いで前記混合物を攪拌しなが
ら73℃で11時間、加水分解反応させた後、イソプロ
パノール800gを加え、MW870のオルガノポリシ
ロキサン溶液を得た。
【0035】次いで、前記溶液にアセチルアセトン13
9g(1.39モル)を添加し、室温で1時間攪拌し
た。更に、テトラ−n−ブトキシチタニウム38g
(0.112モル)をゆっくり添加した。この溶液をし
ばらく室温で攪拌し、シリコンとチタンの混合ゾル溶液
の被膜形成用組成物を得た。この組成物の調製直後の目
視による液外観は、黄色透明であった。また前記組成物
を30℃で保存して、組成物のゲル化時間(日数)で保
存安定性を判断した。これによれば、前記組成物は3ヶ
月後もゲル化せず長期保存安定性は良好であった。
【0036】更に、得られた組成物を、相対湿度60〜
80%、気温20〜25℃の条件で浸漬法によりガラス
基板表面に塗布し、次いで200℃で乾燥、硬化させて
被膜を得た。この被膜の目視による塗布性は良好で、膜
外観は平滑な透明膜であった。その評価結果を、組成物
の組成と共に表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2〜9 1重量%の硝酸水溶液の量を、表1のようにエトキシ基
1モルに対して、水0.625〜0.875モルに変化
させる以外は、実施例1と同様にして、MW3,200
〜32,000のオルガノポリシロキサン溶液を得た。
次いで、b及びc成分を表1の組成とする以外は、実施
例1と同様にして、ゾル溶液の被膜形成用組成物を得、
評価した。
【0039】得られた組成物は、塗布性が良好で、平滑
な膜を形成した。また前記組成物は3ヶ月後もゲル化せ
ず長期保存安定性は良好であった。その評価結果を、組
成物の組成と共に表1に示す。
【0040】実施例10 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、メ
チルトリメトキシシラン136g(1.0モル)、酢酸
2gを加え、攪拌しながら、水54g(メトキシ基1モ
ルに対して、1.0モル)を添加した。次いで前記混合
物を攪拌しながら70℃で4時間、加水分解反応させた
後、MW800のオルガノポリシロキサン溶液を得た。
【0041】次いで、前記溶液にアセチルアセトン15
0g(1.5モル)を添加し、室温で1時間攪拌した。
更に、テトラ−n−ブトキシチタニウム38g(0.1
12モル)をゆっくり添加した。この溶液をしばらく室
温で攪拌し、ゾル溶液の被膜形成用組成物を得た。この
組成物を実施例1と同様にして評価した。得られた組成
物は、黄色透明で、塗布性の良い透明な膜を形成した。
また、30℃保存で3ヶ月後もゲル化せず長期保存安定
性も良かった。その評価結果を、組成物の組成と共に表
2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】実施例11〜12 各成分を表2の組成として、実施例10と同様にして、
ゾル溶液の被膜形成用組成物及び被膜を得、評価した。
塗布性、膜外観及び保存安定性は、実施例10と同様で
あった。その評価結果を、組成物の組成と共に表2に示
す。
【0044】実施例13 撹拌機、温度計、環流冷却器を備えた容器にテトラエト
キシシラン208g(1.0モル)、イソプロパノール
138gを加え、攪拌しながら、1重量%の硝酸水溶液
54g(エトキシ基1モルに対して、水0.75モル)
を添加した。次いで前記混合物を攪拌しながら73℃で
11時間反応させ、MW9,000のオルガノポリシロ
キサン溶液aを得た。更に撹拌機、温度計、環流冷却器
を備えた容器にメチルトリメトキシシラン136g
(1.0モル)、酢酸2gを加え、攪拌しながら、水5
4g(メトキシ基1モルに対して、水1.0モル)を添
加した。次いで前記混合物を攪拌しながら70℃で4時
間反応させ、MW800のオルガノポリシロキサン溶液
a’を得た。次にオルガノポリシロキサン溶液aとa’
とを混合し、アセチルアセトン511g(5.1モル)
を添加した。更に室温で1時間攪拌した後にテトラ−n
−ブトキシチタニウム454g(1.33モル)をゆっ
くり添加した。この溶液をしばらく室温で攪拌し、ゾル
溶液の被膜形成組成物及び被膜を得た。この組成物を実
施例1と同様にして評価した。
【0045】得られた組成物は、黄色透明で、塗布性の
良い透明な膜を形成した。また、30℃保存で3ヶ月後
もゲル化せず長期保存安定性も良かった。その評価結果
を、組成物の組成と共に表2に示す。
【0046】比較例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応容器に、テ
トラエトキシシラン208g(1.0モル)、イソプロ
パノール174gを加え、攪拌しながら、1重量%の硝
酸水溶液18g(エトキシ基1モルに対して、水0.2
5モル)を添加した。次いで前記混合物を攪拌しながら
73℃で11時間、加水分解反応させた後、イソプロパ
ノール800gを加え、MW450のオルガノポリシロ
キサン溶液を得た。
【0047】次いで、前記溶液を室温で1時間攪拌し、
テトラ−n−ブトキシチタニウム38g(0.112モ
ル)をゆっくり添加した。この溶液をしばらく室温で攪
拌し、イソプロパノール139gを加え、ゾル溶液の被
膜形成用組成物及び被膜を得た。この組成物を、実施例
1と同様にして評価した。得られた組成物は、黄色透明
で、30℃保存で3ヶ月後もゲル化せず長期保存安定性
は良かった。しかし、被膜の塗布性、レベリング性は悪
く、はじきが発生し、ゆず肌状の透明膜を形成した。そ
の評価結果を組成物の組成と共に表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】比較例2〜10 (c)成分のアセチルアセトンを含まない表3の組成と
して、比較例1と同様にして、被膜形成用組成物及び被
膜を得、評価した。その評価結果を、組成物の組成と共
に表3に示す。比較例2の組成物はMW870であり、
塗布性、膜外観、保存安定性は比較例1と同様であっ
た。比較例3〜6の組成物は白濁し、被膜も白化した。
また、保存安定性も悪く、30℃保存で1〜2ヶ月でゲ
ル化した。比較例7〜10の組成物は、調製直後にゲル
化し、塗布不能であった。
【0050】比較例11 (c)成分のアセチルアセトンを最後に添加する以外
は、実施例1と同様にして、被膜形成用組成物及び被膜
を得、評価した。得られた組成物は、黄色透明で、30
℃保存で3ヶ月後もゲル化せず長期保存安定性は良かっ
た。しかし、組成物には局部的なゲルが存在し、被膜の
塗布性、レベリング性は悪く、はじきが発生し、ゆず肌
状の透明膜を形成した。その評価結果を、組成物の組成
と共に表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】比較例12〜13 表4の組成として、比較例11と同様にして、被膜形成
用組成物及び被膜を得、評価した。その評価結果を、組
成物の組成と共に表4に示す。得られた組成物は、黄色
透明で、保存安定性は良くなかった。また、被膜は白化
した。その評価結果を、組成物の組成と共に表4に示
す。
【0053】
【発明の効果】本発明は、プラスチック成形品、木材製
品、ガラス製品、金属製品などの材料の表面保護を目的
として耐磨耗性、防錆性、耐薬品性、耐候性、耐熱性の
改善、及び機能性付与を目的として絶縁性、帯電防止、
紫外線吸収、撥水性などの性能を付与する保存安定性の
良好な被膜形成用組成物を提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルガノアルコキシシランの部分加水分
    解縮合物(標準ポリスチレン換算重量平均分子量500
    〜50,000)[(a)成分]に、金属アルコキシド
    (但し、金属はAl、Ti又はZr)[(b)成分]又
    はその部分加水分解縮合物を配合し、更に(a)成分中
    に残存する水酸基のブロック化と(b)成分のキレート
    化とに少なくとも必要な量の脂肪族β−ジケトンもしく
    はβ−ケトエステル[(c)成分]を含有させてなる被
    膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 オルガノアルコキシシランの部分加水分
    解縮合物が、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
    ラン、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキ
    シシランの部分加水分解縮合物である請求項1記載の被
    膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】 金属アルコキシドが、テトラ−n−ブト
    キシチタニウム或いはテトラ−n−ブトキシジルコニウ
    ム、又はこれらの混合物である請求項1又は2記載の被
    膜形成用組成物。
  4. 【請求項4】 脂肪族β−ジケトンもしくはβ−ケトエ
    ステルが、アセチルアセトン又はアセト酢酸エチルであ
    る請求項1〜3記載の被膜形成用組成物。
  5. 【請求項5】 更に溶剤を含有させてなる請求項1〜4
    記載の被膜形成用組成物。
  6. 【請求項6】 溶剤が、イソプロパノールである請求項
    5記載の被膜形成用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1つに記載の組
    成物を、溶剤の存在下(a)成分に、(a)成分中に残
    存する水酸基のブロック化と(b)成分のキレート化と
    に少なくとも必要な量の(c)成分を添加し、更に
    (b)成分を添加することを特徴とする被膜形成用組成
    物の製造方法。
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