JPH06304523A - 建築用材料 - Google Patents

建築用材料

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JPH06304523A
JPH06304523A JP9822593A JP9822593A JPH06304523A JP H06304523 A JPH06304523 A JP H06304523A JP 9822593 A JP9822593 A JP 9822593A JP 9822593 A JP9822593 A JP 9822593A JP H06304523 A JPH06304523 A JP H06304523A
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JP
Japan
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group
parts
component
coating
film
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Application number
JP9822593A
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English (en)
Inventor
Masaaki Kubo
雅昭 久保
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
Masahiro Fukiage
昌宏 吹擧
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期耐久性を有し、高デザイン性を実現し、
上記のような市場ニーズに応えることのできる建築用材
料を提供する。 【構成】 この発明の建築用材料は、所定の形状に加工
された金属系素材をベースとし、このベースの表面に着
色された無機プライマー層が形成されていて、この下地
層の上に透明性を有する無機系塗装膜を設けたことを特
徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、金属系パネルや金属
系雨樋などの金属系素材をベースとした建築用材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】建築物の高級化、メンテナンスフリー
化、ファッション化等に伴い、金属系素材をベースとし
たパネルや雨樋に関しては、ステンレスなどの金属材質
感を生かした、高デザイン性で長期耐久性を有し、しか
も、施工性の良いパネルや雨樋の造出が要望されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、金属系素材を
そのまま形状加工してなる雨樋やパネルは、海塩、酸性
雨、大気汚染物質(亜硫酸ガス、煤煙、自動車排気ガス
等)等の影響を受け、腐食や汚染による外観異常が発生
しやすく、ひどい場合には穴あきによる排水機能障害に
到り、長期の耐久性という点では十分でない。
【0004】また、この点を改良するために、有機系塗
装膜を表面に設けることがなされているが、耐久性は充
分でない。あるいは、フッ素系フィルム、アクリル系フ
ィルム等を金属系素材にラミネートする場合には、種々
の形状品に対応しづらいのと、フィルム端部処理に難点
があり、限られた形状しか適用できない。また、特に、
有機系で耐候性にすぐれるフッ素系被膜は、これをうま
くコートでき、その長期耐久性がある程度確保できて
も、雨樋などにおいては施工時の接合、水漏れ防止のた
めの接着作業が特殊な方法を用いない限り可能になら
ず、施工性の低下が問題となる。
【0005】この発明は、これらの問題を解決して、長
期耐久性を有し、高デザイン性を実現し、上記のような
市場ニーズに応えることのできる建築用材料を提供する
ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、発明者らは、所定の形状に加工された金属系素材を
ベースとし、その表面に無機系塗装膜を設けた建築用材
料に着目し、この場合、無機プライマー層を形成するこ
とで無機系塗装膜の長期耐久性を向上させられることを
見い出した。そして、更に検討を続け、無機塗装膜を透
明(クリヤ)な膜とし下側の無機プライマー層を着色膜
とすることで高デザイン性も実現できるという知見を得
ることが出来、その結果、この発明を完成させることが
出来た。
【0007】したがって、この発明の建築用材料は、所
定の形状に加工された金属系素材をベースとし、このベ
ースの表面に着色された無機プライマー層が設けられて
いて、この下地層の上に透明性を有する無機系塗装膜を
設けてなる構成をとっている。この発明の建築用材料の
場合、透明性を有する無機系塗装膜も着色されている透
明着色膜とする形態をとることも当然可能であるし、無
機系塗装膜を着色する場合、無機系塗装膜が無機プライ
マー層と同色系(彩度が類似)で明度の異なる色とする
と深みのある色となる。無機系塗装膜の明度は、無機プ
ライマー層の明度より高い場合と低い場合の両方があ
る。
【0008】以下、この発明をより具体的に説明する。
この発明の建築用材料の種類としては、雨樋やパネルな
どが挙げられるが、これらに限らないことは言うまでも
ない。ベースである所定の形状に加工された金属系素材
としては、ステンレス、亜鉛メッキ鋼、アルミニウムな
どからなるものが挙げられるが、これらに限らない。無
機プライマー層や無機塗装膜を設ける面に凹凸が形成さ
れていたり、あるいは、鏡面処理がなされていてたりし
てもよい。
【0009】この発明の建築用材料の透明性を有する無
機系塗装膜(以下、適宜「透明無機塗装膜」と言う)と
しては、例えば、ケイ素アルコキシド系コーティング材
を用いて形成した膜が例示され、無色で透明な膜、着色
された透明な膜が挙げられる。着色膜の場合、黒色系や
茶色系あるいは灰色(グレー)系などの色が挙げられ
る。勿論、透明無機系塗装膜は、ここに例示のものに限
らないことは言うまでもない。
【0010】上記ケイ素アルコキシド系コーティング膜
は、下記(A)または(B)のケイ素アルコキシド系コ
ーティング剤を塗布硬化させたものが例示される。 (A) 一般式: (R1)m Si(OR2)4-m …(I) (式中、R1 は各々メチル基、エチル基またはフェニル
基を表し、R2 は各々炭素数1〜4のアルキル基を表
し、mは0、1または2である。)で表されるケイ素化
合物および/またはその部分加水分解物を主成分とする
ケイ素アルコキシド系コーティング剤。
【0011】 (B)(a)一般式: (R3)n SiX4-n …(II) (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを有機溶媒および/または水に分散されたコ
ロイド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシ
ランのシリカ分散オリゴマー溶液と、 (b)平均組成式: (R4)Si(OH) d (4-c-d)/2 …(III) (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
0.0001≦d≦3であり、c+d<4である。)で
表される、分子中にシラノール基を有するポリオルガノ
シロキサンと、(c)硬化触媒とを必須成分とするケイ
素アルコキシド系コーティング剤。
【0012】着色膜の場合、これらのケイ素アルコキシ
ド系コーティング剤に着色剤を添加して着色膜とするの
であるが、着色剤としては、通常、無機系顔料(複合酸
化物系顔料)、例えば、CuO−MnO−Cr2 3
いった黒色系複合酸化物顔料が具体的にあげられる。着
色剤は、普通、ケイ素アルコキシド系コーティング剤1
00重量部に対して0.5〜10重量部程度の必要な透
明性が得られる範囲で添加する。
【0013】この発明の場合、無機系塗装膜の下にはポ
リシロキサン系コーティング材などを用いて形成した無
機プライマー層が設けられているのであるが、この無機
プライマー層の厚みは、普通、0.5〜10μm程度で
あり、具体的なものとしては、例えば、下記のものが挙
げられる。 (A)平均組成式 (R1 a SiO(4-a-b)/2 (OR2 b ・・・(a)式 (式中、R1 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、R2 は各々水素原子または
炭素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8
であり、bはケイ素原子に結合する水酸基、またはアル
コキシ基が1個以上になる数を表し、かつa+b<4で
ある)で示されるポリオルガノシロキサン (B)有機チタン酸エステルおよび/またはその部分加
水分解物 の両成分が配合されてなるプライマー組成物、あるい
は、両(A),(b)成分に(C)有機溶剤が配合され
てなるプライマー組成物を塗布し焼付乾燥硬化させてな
る無機プライマー層である。通常、透明な膜であるが、
着色剤や充填剤などの添加で着色膜や不透明な膜とする
ことができる。
【0014】プライマー組成物用の(A)成分のオルガ
ノポリシロキサンは、プライマー組成物の主体となる成
分であり、本発明のプライマー組成物に接着性、特に耐
水接着性を付与するためには1分子中に1個以上の水酸
基またはアルコキシ基を有し、平均組成式(a)で示さ
れる。上式中、R1 は置換もしくは非置換の一価の炭化
水素基をあらわし、その具体例としては、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブ
チル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基など炭
素数1〜4のアルキル基;ビニル基、アリル基などのア
ルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基お
よびそれらの水素原子をハロゲン原子、シアノ原子など
で置換したものがで挙げられるが、全R1 中、炭素数1
〜4のアルキル基をアルキル基を40モル%以上含有す
ることが好ましい。R2 は水素原子またはメチル基、エ
チル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブ
チル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などの
炭素数1〜4のアルキル基を表し、aは0.6〜1.8
であり、bは1分子中にケイ素原子に結合する水酸基、
またはアルコキシル基の1個以上になる数であり、か
つ、a+b<4である。
【0015】この水酸基またはアルコキシ基を含有する
オルガノポリシロキサン式(a)は、一般式(R1 p
SiY4-p (式中R1 は前記と同じであり、YはClま
たはOR2 を表し、R2 も前記と同じであり、pは0、
1、2または3を表す)で示される置換もしくは非置換
の1価の炭化水素基を有するクロロシランまたはアルコ
キシシランのそれぞれ1種または2種以上の混合物を有
機溶媒の混合下において通常の方法で加水分解し、副生
する塩酸、アルコールなどを除去することにより得られ
る。
【0016】プライマー組成物用の(B)成分のチタン
酸エステルおよび/またはその部分加水分解物は、水酸
基またはアルコキシル基を有するポリオリガノシロキサ
ン(A)の硬化触媒として作用するものであり、さらに
プライマー組成物の基材に対する良好な接着性を得るた
めの成分でもある。これらチタン酸エステルとしては、
チタン酸テトラエチル、チタン酸テトラ(n−プロピ
ル)、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラ
(n−ブチル)、チタン酸テトラ(2−エチルヘキシ
ル)などか例示され、またそれらの部分加水分解物も同
様に使用できる。
【0017】プライマー組成物用の(B)成分の使用量
は、(A)100重量部に対して0.1〜100重量部
の範囲であることが好ましい。(B)が0.1重量部に
満たないと皮膜の硬化が遅くなるばかりでなく、耐水接
着性が低下するため好ましくない。逆に100重量部よ
り多くても耐水接着性が低下し、また皮膜が脆くなるた
め好ましくない。
【0018】プライマー組成物用の(C)の有機溶剤
は、基材表面に適度な厚みの皮膜を作業良く均一に施す
ための成分である。これら有機溶剤としては、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール
類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;ノル
マルヘキサン、ガソリンのような脂肪族炭化水素;酢酸
エチル、酢酸ブチルのようなカルボン酸エステル;アセ
トン、メチルエチルケトンのようなケトン類;ジメチル
エーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル:ケイ
素原子数3〜7の環状ポリジメチルシロキサン、好まし
くはヘキサメチルシクロポリシロキサン、オクタメチル
シクロポリシロキサン、デカメチルシクロポリシロキサ
ンなど;末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたケイ
素原子数2〜20の鎖状ポリジメチルシロキサンなどが
例示される。これら溶剤は、単独で用いても、複数種混
合して用いても良い。
【0019】勿論、着色された無機プライマー層を得る
ために、プライマー組成物には着色剤を添加したりなど
するのであるが、着色剤としては、通常、無機系顔料
(複合酸化物系顔料)、例えば、CuO−MnO−Cr
2 3 といった黒色系複合酸化物顔料が具体的にあげら
れる。着色剤は、普通、ケイ素アルコキシド系コーティ
ング剤100重量部に対して0.5〜30重量部程度の
範囲で添加する。無機プライマー層自体は、透明性があ
ってもよいし無くてもよい。添加する着色剤の量の調整
で無機プライマー層を透明にしたり、不透明にしたりす
ることが出来る。
【0020】プライマー組成物の塗装方法は、たとえ
ば、スプレー塗装、ロール塗装、浸漬塗装などが挙げら
れ、特に限定されない。プライマー組成物の焼付乾燥温
度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、10
0〜250℃の範囲であることがさらに好ましい。無機
プライマー層の下に予め化成処理層を下地として形成し
ておいてもよく、例えば、下記のものを用いることがで
きる。
【0021】この発明に用いられる化成処理被膜とは、
通常のクロメート処理およびリン酸塩化成処理で得られ
る被膜を指す。化成処理被膜は、クロム酸クロメート、
リン酸クロメート、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リ
ン酸鉄等がある。特に、ステンレス、アルミ基材には、
クロメート処理がよく、特にこの発明で用いる珪素化合
物被膜との長期密着性を確保するには、シリカ粉末ある
いはコロイドシリカを含有したクロメート処理がよい。
また、他に全クロム成分中3価のクロムイオンを含んで
いてもよいが、Cr3+/Cr6+≦1が好ましい。一部水
溶性有機樹脂を含んでもよいが、有機樹脂の添加量は5
%以下がよい。もし、5%を超える量が添加されている
場合、クロメート液の安定性が悪くなったり、性能面で
は密着性の低下および長期耐久性に悪影響を与えたりす
る。また、化成処理被膜は、全クロム量が5mg/m2以上
となるようにするのが好ましい。5mg/m2未満の場合、
珪素化合物被膜との密着性および防食性に悪影響を及ぼ
す。処理方法は、浸漬処理、塗装処理等、特にこだわら
ないが処理量があまり多くなると着色し、第2層である
珪素化合物を塗装しても目立つため、30mg/m2以下に
するのがよい。また、その時の温度は、たとえば、常温
でよい。塗布した後の処理被膜の乾燥は、常温でもよい
が、作業性から50℃以上で乾燥させる方がよい。好ま
しくは、80℃から120℃が良い。
【0022】下地層が形成された後は、ケイ素アルコキ
シド系コーティング層が形成される。このケイ素アルコ
キシド系コーティング層を形成するためには、以下に述
べる、ケイ素アルコキシド系コーティング剤−Aまたは
ケイ素アルコキシド系コーティング剤−Bが用いられ
る。ケイ素アルコキシド系コーティング剤−Aは、前記
一般式(I)で表されるケイ素化合物および/またはそ
の部分加水分解物を主成分とするものである。このケイ
素アルコキシド系コーティング剤−Aは、たとえば、下
記の成分(i)、(ii) および (iii)を主成分とする混
合物を適当な溶剤で希釈し、硬化剤および触媒を必要量
添加して加水分解および縮重合反応させて得られる、重
量平均分子量Mwがポリスチレン換算で500〜3,00
0、かつ、分子量分布Mw/Mn が1.1〜3.0(Mnは数
平均分子量)であるものが好ましい。より好ましくはMw
=600〜3,000、かつ、Mw/Mn =1.2〜1.8
である。重量平均分子量および分子量分布が前記範囲よ
りも小さい時には、縮重合の際の硬化収縮が大きくなっ
たり、焼付後に塗膜にクラックが発生しやすくなったり
する傾向にある。また、重量平均分子量および分子量分
布が前記範囲よりも大きい時には、反応が遅すぎて硬化
しにくいか、または、硬化しても柔らかい塗膜になった
り、塗膜のレベリング性が非常に悪いものとなったりす
る傾向にある。
【0023】(i):一般式(I)においてm=0で示
されるケイ素化合物およびコロイド状シリカ20〜20
0重量部。 (ii) :一般式(I)においてm=1で示されるケイ素
化合物100重量部。 (iii):一般式(I)においてm=2で示されるケイ素
化合物0〜80重量部。
【0024】前記コロイド状シリカは、微粒子シリカ成
分を水、メタノール等の有機溶剤またはこれらの混合溶
剤中に分散して使用するが、それらがコロイド状である
限り、その粒径、溶剤種等は、特に限定されるものでは
ない。ない、前記成分(i)のコロイド状シリカ配合割
合は、分散媒も含む重量部である。ケイ素アルコキシド
系コーティング剤−Aに必要に応じて用いられる前記硬
化剤としては、特に限定はされないが、たとえば、塩
酸、リン酸、硫酸等の無機酸や、蟻酸、酢酸、クロロ酢
酸等の有機酸の希薄溶液等の酸性触媒、後で述べる塩基
性触媒等を単独でまたは2種以上を併せて使用すること
ができる。また、前記成分(i)としてシリカゾルを用
いる場合は、シリカゾルが酸性を示すものであり、これ
が触媒の代わりとなるので、触媒としては何も入れなく
てもよい。
【0025】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−A
は、そのpH値を3.8〜6.0に調整することによっ
て、前記の分子量の範囲内で、安定して使用することが
できる。pH値が前記範囲外であると、コーティング剤−
Aの安定性が悪くなり、塗料調製後の使用できる期間が
限られることがある。ここで、pH値調整方法は、特に限
定はされないが、たとえば、コーティング剤−Aの原料
混合時にpH値が3.8未満となった場合は、アンモニア
等の塩基性試薬を用いて前記範囲内のpH値に調整すれば
よく、pH値が6.0を超えた場合も、塩酸等の酸性試薬
を用いてpH調整すればよい。また、pH値によっては、分
子量が小さいままで反応が進まず、前記分子量範囲に到
達するのに時間がかかる場合は、コーティング剤−Aを
加熱して反応を促進させてもよいし、酸性試薬でpH値を
下げて反応を進めた後、塩基性試薬で所定のpH値に戻す
ようにしてもよい。
【0026】上記のようにpH値を調整した場合、また
は、pH調整をしない場合でも、使用にいたるまでの間、
または、少なくとも使用時に、コーティング剤−Aに、
塩基性触媒を添加すれば、縮合反応を促進し、塗膜中の
架橋点を増やすことができるので、安定して耐クラック
性の良い塗膜を得ることができる。また、架橋反応を促
進することによって、硬化時間を短縮し、あるいは、硬
化温度を下げることができるため、経済的である。
【0027】コーティング剤−Aに必要に応じて用いら
れる塩基性触媒としては、特に限定はされないが、たと
えば、トリエタノールアミン等のアミン類;γ−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、等のアミノシラン類;無機酸(たとえ
ば、塩酸、硝酸、リン酸等)または有機酸(たとえば、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸等)のアンモニア、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン等の
塩、あるいは、無機酸または有機酸の塩と第4級アンモ
ニウム塩との複分解塩等が例示される。これらの種類、
添加量についても、特に限定はされない。
【0028】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−A
には、前記の成分の他、必要に応じて、前記シリカゾル
以外の充填剤(たとえば、アルミナゾル、ヒュームドシ
リカ等の無機充填剤)、希釈溶剤、増粘剤、界面活性
剤、紫外線吸収剤等の種々の添加剤が1種以上含まれて
いてもよい。前記希釈溶剤としては、特に限定はされな
いが、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパ
ノール(IPAともいう)等のアルコール類;エチレン
グリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられる。これ
らは、1種のみまたは2種以上併せて用いられる。
【0029】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−A
の塗装方法については、特に限定はされないが、たとえ
ば、スプレー塗装、ロール塗装、フローコーター塗装、
浸漬塗装等が挙げられる。また、塗装後の乾燥、焼付条
件についても、特に限定はされないが、60〜200℃
程度で行うことが好ましい。前記組成において、成分
(i)の割合が20重量部未満または200重量部を超
えると、耐クラック性が悪いという問題がある。前記成
分(ii) が80重量部を超えると、塗膜が柔らかすぎて
実用的でない。
【0030】次に、ケイ素アルコキシド系コーティング
剤−Bについて説明する。このコーティング剤−Bは、
下記の成分(a)、成分(b)および成分(c)を必須
成分とするものである。 (a)一般式(R3)n SiX4-n (II) (式中、R3 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、Xは加水分解性基を表し、
nは0〜3の整数である。)で表される加水分解性オル
ガノシランを有機溶媒および/または水に分散されたコ
ロイド状シリカ中で部分加水分解してなる、オルガノシ
ランのシリカ分散オリゴマー溶液。
【0031】 (b)平均組成式(R4)Si(OH) d (4-c-d)/2 (III) (式中、R4 は各々置換もしくは非置換の炭素数1〜8
の1価の炭化水素基を表し、cは0.2≦c≦2、dは
0.0001≦d≦3であり、c+d<4である。)で
表される、分子中にシラノール基を有するポリオルガノ
シロキサン。
【0032】(c)硬化触媒。 ケイ素アルコキシド系コーティング剤−Bに用いられる
成分(a)のシリカ分散オリゴマーは、被膜形成に際し
て、硬化反応に預かる加水分解性基Xを有するベースポ
リマーの主成分である。これは、コロイド状シリカが分
散された有機溶媒および/または水に前記一般式(II)
で表される加水分解性オルガノシランの1種または2種
以上を加え、分散液中の水または別途添加された水で、
この加水分解性オルガノシランを部分加水分解すること
により得ることができる。
【0033】加水分解性オルガノシランを表す前記一般
式(II)中のR3 の具体例としては、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オ
クチル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシ
ル等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル、2−フ
ェニルプロピル、3−フェニルプロピル等のアラルキル
基;フェニル、トリル等のアリール基;ビニル、アリル
等のアルケニル基;クロロメチル、γ−クロロプロピ
ル、3,3,3−トリフルオロプロピル等のハロゲン置
換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル、γ−グリ
シドキシプロピル、3,4−エポキシシクロヘキシルエ
チル、γ−メルカプトプロピル等の置換炭化水素基等が
挙げられる。これらの中でも、合成の容易さおよび入手
の容易さから、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニ
ル基が好ましい。
【0034】加水分解性基Xの例としては、アルコキシ
ル基、アセトキシ基、オキシム基〔−O−N=C(−
R′)−R〕、エノキシ基〔−O−C(−R)=C(−
R″)−R′〕、アミノ基、アミノキシ基〔−O−N
(−R)−R′〕、アミド基〔−N(−R′)−CO−
R〕(ここで、R、R′およびR″は、たとえば、各々
水素原子または1価の炭化水素基等である)等が挙げら
れる。入手の容易さおよびシリカ分散オリゴマー溶液を
調製しやすいことから、アルコキシル基が好ましい。
【0035】このような加水分解性オルガノシランとし
ては、前記一般式(II)中のnが0〜3の整数であるモ
ノ−、ジ−、トリ−、テトラ−の各官能性のアルコキシ
シラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エ
ノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン
類、アミドシラン類等が挙げられる。入手の容易さおよ
びシリカ分散オリゴマー溶液を調製しやすいことから、
アルコキシシラン類が好ましい。
【0036】特に、n=0のテトラアルコキシシランと
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
等が例示でき、n=1のオルガノトリアルコキシシラン
としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン
等が例示できる。また、n=2のジオルガノジアルコキ
シシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチ
ルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシ
シラン等が例示でき、n=3のトリオルガノアルコキシ
シランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチ
ルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、
ジメチルイソブチルメトキシシラン等が例示できる。さ
らに、一般にシランカップリング剤と呼ばれるオルガノ
シラン化合物もアルコキシシラン類に含まれる。
【0037】前記一般式(II)で表される加水分解性オ
ルガノシランのうち、50モル%以上がn=1で示され
る3官能性のものであることが好ましく、より好ましく
は60モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以
上である。n=1で示される3官能性のものが50モル
%未満では、充分な塗膜硬度が得られないとともに、乾
燥硬化性が劣ることがある。
【0038】成分(a)中のコロイド状シリカは、成分
(a)を含有するケイ素アルコキシド系コーティング剤
−Bの硬化被膜の硬度を高くするために必須のものであ
る。このようなコロイド状シリカとしては、水分散性、
あるいは、アルコール等の非水系の有機溶媒分散性のコ
ロイド状シリカが使用できる。一般に、このようなコロ
イド状シリカ分散液は、固形分としてのシリカを20〜
50重量%含有しており、この値からシリカ配合量が決
定できる。また、水分散性コロイド状シリカを使用する
場合、固形分以外の成分として存在する水は、成分
(a)中の加水分解性オルガノシランの加水分解に用い
ることができる。これらは、通常、水ガラスから作られ
るが、このようなコロイド状シリカ分散物は、市販品を
容易に入手することができる。
【0039】また、有機溶媒分散コロイド状シリカは、
前記水分散性コロイド状シリカの水を有機溶媒と置換す
ることで容易に調製することができる。このような有機
溶媒分散コロイド状シリカも、水分散性コロイド状シリ
カと同様に市販品として容易に入手することができる。
コロイド状シリカが分散している有機溶媒の種類は、た
とえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコ
ール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノ
ブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の
ジエチレングリコールの誘導体またはジアセトンアルコ
ール等を挙げることができる。これらは、単独でまたは
2種以上が併せて用いられる。これらの親水性有機溶媒
と併用して、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
【0040】成分(a)は、コロイド状シリカを5〜9
5重量%の範囲で含有することが好ましい。より好まし
くは10〜90重量%、最も好ましくは20〜85重量
%の範囲である。この含有量が5重量%未満であると、
所望の被膜硬度が得られず、また、95重量%を超える
と、シリカの均一分散が困難となり、成分(a)がゲル
化する等の不都合を招来することがある。
【0041】成分(a)のシリカ分散オリゴマーは、通
常、加水分解性オルガノシランを水分散コロイド状シリ
カまたは有機溶媒分散コロイド状シリカ中で部分加水分
解することによって得ることができる。加水分解性オル
ガノシランに対する水の使用量は、加水分解性基(X)
1モルに対して水0.001〜0.5モルが好ましい。
0.001モル未満では、充分な部分加水分解物が得ら
れず、0.5モルを超えると、部分加水分解物の安定性
が悪くなることがある。部分加水分解する方法は、特に
限定はされないが、加水分解性オルガノシランとコロイ
ド状シリカとを混合して、必要量の水を添加配合すれば
よく、このとき、部分加水分解反応は常温で進行する。
部分加水分解反応を促進させるため60〜100℃に加
温してもよい。さらに、部分加水分解反応を促進させる
目的で、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、
クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピ
オン酸、グルタル酸、グリコール酸、マレイン酸、マロ
ン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸または
無機酸を触媒に用いてもよい。
【0042】成分(a)は、長期的に安定した性能を得
るためには、液のpH値を2.0〜7.0、好ましくは
2.5〜6.5、より好ましくは3.0〜6.0にする
とよい。pHがこの範囲外であると、特に水の使用量が加
水分解性基(X)1モルに対し0.3モル以上で成分
(a)の長期的な性能低下が著しくなることがある。成
分(a)のpHがこの範囲外にあるときは、この範囲より
も酸性側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の
塩基性試薬を添加して調整すればよく、塩基性側のとき
は、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性試薬を用いて調整すれば
よい。しかし、その調整方法は、特に限定されるもので
はない。
【0043】成分(b)のシラノール基を有するポリオ
ルガノシロキサンは、この発明の特徴をなす重要な成分
である。このような成分(b)は、前記平均組成式(II
I)で表される。式(III)中、R4 としては、前記式(I
I)中のR3 と同じものが例示されるが、好ましくは、
炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ビニル基、γ
−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピ
ル基、γ−アミノプロピル基、3,3,3−トリフルオ
ロプロピル基等の置換炭化水素基、より好ましくはメチ
ル基またはフェニル基である。また、前記式(III)中、
cおよびdはそれぞれ前記の関係を満たす数であり、c
が0.2未満またはdが3を超えると、硬化被膜にクラ
ックが生じる等の不都合があり、また、cが2を超えd
が0.0001未満では、硬化が好ましく進行しない。
【0044】このようなシラノール基を有するポリオル
ガノシロキサンは、たとえば、メチルトリクロロシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラ
ン、ジフェニルジクロロシラン、または、これらに対応
するアルコキシシランの1種もしくは2種以上を公知の
方法により大量の水で加水分解することにより得ること
ができる。シラノール基を有するポリオルガノシロキサ
ンを得るために、アルコキシシランを用いて公知の方法
で加水分解した場合、加水分解されないアルコキシル基
が微量に残る場合がある。つまり、シラノール基と極微
量のアルコキシル基とが共存するようなポリオルガノシ
ロキサンが得られることもあるが、この発明では、この
ようなポリオルガノシロキサンも用いることができる。
【0045】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−B
の成分(c)である硬化触媒は、前記成分(a)と成分
(b)との縮合反応を促進し、被膜を硬化させるもので
ある。このような触媒としては、特に限定はされない
が、たとえば、アルキルチタン酸塩、オクチル酸スズ、
ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート
等のカルボン酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソ
エート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミン
アセテート等のアミン塩;酢酸テトラメチルアンモニウ
ム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチレ
ンペンタミン等のアミン類;N−β−アミノエチル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノ
エチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等
のアミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホ
ン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキ
シド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;
水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;テトライソ
プロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニ
ウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合
物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラ
ン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン
等が挙げられる。しかし、これらの触媒の他にも、成分
(a)と成分(b)との縮合反応の促進に有効なもので
あれば用いることができ、特に制限はない。
【0046】成分(a)および成分(b)の配合割合
は、成分(a)と成分(b)の合計量を100重量部と
して、成分(a)1〜99重量部に対して成分(b)9
9〜1重量部であり、より好ましくは成分(a)5〜9
5重量部に対して成分(b)95〜5重量部、特に好ま
しくは成分(a)10〜90重量部に対して成分(b)
90〜10重量部である。成分(a)が1重量部未満で
あると、常温硬化性が劣り、また、充分な被膜硬度が得
られない。一方、成分(a)が99重量部を超えると、
硬化性が不安定で且つ良好な塗膜が得られないことがあ
る。
【0047】成分(c)の添加量は、成分(a)と成分
(b)の合計100重量部に対して0.0001〜10
重量部であることが好ましく、より好ましくは0.00
05〜8重量部であり、特に好ましくは0.0007〜
5重量部である。成分(c)の添加量が0.0001重
量部未満では、常温で硬化しないことがあり、10重量
部を超えると、耐熱性や耐候性が悪くなることがある。
【0048】成分(a)のシリカ分散オリゴマーに含有
される加水分解性基と成分(b)のシラノール基とは、
成分(c)の硬化触媒の存在下で常温または低温(たと
えば、温度100℃以下)で縮合反応し、硬化被膜を形
成する。したがって、湿気硬化タイプのコーティング組
成物とは異なり、この発明で用いられるケイ素アルコキ
シド系コーティング剤−Bは、常温で硬化するときにも
湿度の影響をほとんど受けない。一方、加熱処理により
縮合反応を促進して硬化被膜を形成することができる。
【0049】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−B
には、前記の成分の他、必要に応じて、前記シリカゾル
以外の充填剤(アルミナゾル、ヒュームドシリカ等の無
機充填剤)、希釈溶剤、増粘剤、界面活性剤、紫外線吸
収剤等の種々の添加剤が1種以上含まれていてもよい。
前記希釈溶剤としては、特に限定はされないが、たとえ
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IP
Aともいう)等のアルコール類;エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類等が挙げられ
る。これらは、1種のみまたは2種以上併せて用いられ
る。これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キ
シレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシ
ム等も用いることができる。
【0050】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−B
の保存方法としては、成分(a)、(b)および(c)
をそれぞれ別々に保存する3梱包形態をとるのが一般的
であるが、成分(a)と成分(c)の混合成分と成分
(b)を分けて2梱包形態とし、使用時に両者を混合す
るか、すべての成分を混合して一容器内に保存する1梱
包形態とすることも可能である。
【0051】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−B
は、通常の塗装方法でコーティングすることができ、た
とえば、刷毛塗り、スプレー塗装、ロール塗装、フロー
コーター塗装、浸漬塗装等の各種塗布方法を選択でき
る。硬化条件は、5〜200℃が好ましく、10〜15
0℃がより好ましい。5℃未満であると、硬化しにくく
なり、200℃を超えると、発泡の恐れがある。第2層
の塗装膜厚は、硬化後3μm以上となるようにするのが
好ましい。3μm未満では、ピンホールができやすくな
り、防食性が悪化することがある。
【0052】
【作用】この発明の建築用材料の場合、ベースである金
属系素材の表面に、耐久性に富む無機系塗装膜が、無機
プライマー層からなる適切な下地層の上に設けられてい
るため、長期耐久性が顕著であり、フッ素系フィルム、
アクリル系フィルム等を金属系素材にラミネートする場
合と違い種々の形状品に対応できる上、有機系フッ素系
被膜の場合のような水漏れ防止のための特殊な接着作業
も不要であって施工性の低下も問題とならない。
【0053】この発明の場合、加えて、無機プライマー
層が着色されているとともに無機系塗装膜が透明性を有
していて、透明無機系塗装膜の下に着色された無機プラ
イマー層が見える構成であるがため、建築用材料の着色
状態は非常に深みのある美麗なものになっている。無機
プライマー層が着色されておらず無機系塗装膜だけが着
色されているだけでは深みのある色はでない。無機プラ
イマー層が着色されていて、始めて深みのある色がでる
ようになる。
【0054】
【実施例】次に、この発明の実施例と比較例を示すが、
この発明は下記実施例に限定されない。以下では、原則
として、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を
示す。実施例で用いた無機プライマー層用のプライマー
組成物を表1に示す。この表1のプライマー組成物は以
下のとおりにして得られたものである。
【0055】 シリコーン樹脂溶液の調整(S−1) メチルトリクロロシラン70部、ジメチルジクロロシラ
ン6部、テトラクロロシラン3部をトルエン85部と混
合し、これを還流冷却器付の容器に入った水200部と
n−ブタノール50部との混合液中に、温度を50℃以
下に保ちながら攪拌しつつ滴下し、加水分解、縮合を行
った。
【0056】生成したポリメチルシロキサンを水で洗浄
し、副生した塩化水素を除去した。これを、加圧下で加
熱し、溶剤の一部として存在する水を除去し、濃度50
%のシリコーン樹脂トルエン溶液を得た。 シリコーン樹脂溶液の調整(S−2) メチルトリクロロシラン33部、ジメチルジクロロシラ
ン28部、フェニルトリクロロシラン75部をトルエン
130部と混合し、これを還流冷却器付の容器に入った
水150部とアセトン70部との混合液中に、温度を5
0℃以下に保ちながら攪拌しつつ滴下し、加水分解、縮
合を行った。
【0057】生成したポリメチルフェニルシロキサンを
水で洗浄し、副生した塩化水素を除去した。これを、加
圧下で加熱し、溶剤の一部として存在する水を除去し、
濃度50%のシリコーン樹脂トルエン溶液を得た。 プライマー組成物 シリコーン樹脂トルエン溶液S−1または2に対して、
表1にみるように、チタン酸エステル、および、溶剤を
加えて、プライマー組成物P−1〜P−3を調整した。
また、各プライマー組成物には、着色剤として黒色系用
のCuO−MnO−Cr2 3 複合酸化物微粒状顔料を
3部の量で添加されている。なお、プライマー組成物P
−1において着色剤が未添加のものをプライマー組成物
P−4として準備した。
【0058】
【表1】
【0059】また、下記の実施例および比較例で用いた
ケイ素アルコキシド系コーティング剤は下記に示すA−
1,A−2,B−1を利用したものである。 ケイ素アルコキシド系コーティング剤−A(A−1)の
調製 メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシ
ラン20部、IPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、SiO2
有量30%)150部、ジメチルジメトキシシラン40
部およびイソプロピルアルコール(IPA)100部を
混合し、さらに水200部を添加して攪拌した。これを
60℃の恒温槽中で分子量Mwを1200に調整するこ
とにより、ケイ素アルコキシド系コーティング剤A−1
を得た。なお、分子量は、GPC(ゲルパーミェーショ
ンクロマトグラフィー、東ソー(株)製:HLC802
0)を用いて、標準ポリスチレンで検量線を作成し、測
定した。
【0060】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−A
(A−2)の調製 メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシ
ラン10部、IPAオルガノシリカゾル(商品名「OS
CAL1432」、触媒化成工業(株)製、SiO2
有量30%)110部、ジメチルジメトキシシラン20
部およびイソプロピルアルコール(IPA)100部を
混合した。この混合溶液に、触媒として1N塩酸1部と
水5部を加えて、S−1液を作製した。
【0061】このS−1液100部に粉末シリカ(日本
アエロジル(株)製、アエロジルR972)0.3部を
添加した。ディスパーを用い、容器内にガラスビーズを
添加して、2000rpm で15分間分散し、得られたS
−2液を25℃で3日間密栓して保存した。使用時に、
S−2液100部に対して水27部、IPA27部およ
び触媒として1N塩酸0.2部を加え、25℃下500
rpm で10分間攪拌することにより、ケイ素アルコキシ
ド系コーティング剤A−2を得た。
【0062】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−B
(B−1)の調製 成分(a)の調製 攪拌機、加温ジャケット、コンデンサーおよび温度計を
取りつけたフラスコ中にイソプロパノール分散コロイダ
ルシリカゾルIPA−ST(粒子径10〜20μm、固
形分30%、日産化学工業社製)100部、メチルトリ
メトキシシラン65部、水5.05部を投入して攪拌し
ながら、65℃で5時間かけて部分加水分解反応を行っ
た後、冷却することにより、成分(a)を得た。このも
のは、室温で48時間放置したときの固形分が36%で
あった。この成分(a)の調製条件は、下記の通りであ
る。
【0063】 ・加水分解性基1モルに対する水のモル数 … 0.1モル ・シリカ分含有量 … 47.2% ・n=1の加水分解性基含有オルガノシランのモル% … 100モル% 成分(b)の調製 メチルトリイソプロポキシシラン220部(1モル)と
トルエン160部との混合液を計り取り、攪拌機、加温
ジャケット、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を
取りつけたフラスコに仕込み、その後、1%塩酸水溶液
105部を、攪拌されている上記の混合液に30分かけ
て滴下して、メチルトリイソプロポキシシランを加水分
解した。滴下終了後、さらに40分経過した時に攪拌を
止め、2層に分離した少量の塩酸を含んだ下層の水・イ
ソプロピルアルコールの混合液を分液した。次いで、後
の残ったトルエンと樹脂を含有する溶液中の塩酸を水洗
で除去し、さらにトルエンを減圧除去した後、イソプロ
ピルアルコールで希釈することにより、平均分子量約2
000のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン(高
分子シラノール)(成分(b))のイソプロピルアルコ
ール40%溶液を得た。なお、分子量は、GPC(ゲル
パーミェーションクロマトグラフィー、東ソー(株)
製:HLC−802UR)を用いて、標準ポリスチレン
で検量線を作成し、測定したものである。
【0064】使用に際しては、前記で得られた成分
(a)100部に対してヒュームドシリカとして日本ア
エロジル社製♯200を3部添加した後、サンドミルを
用いて1000rpm で20分間処理した。得られた液
に、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン0.5部およびジブチル錫ジラウレー
ト1部を成分(c)の硬化触媒として加えて、液A′を
調製した。この液A′と、前記で得られたシラノール基
含有ポリオルガノシロキサン(成分(b))のイソプロ
ピルアルコール40%溶液とを、成分(a)と成分
(b)の重量比が50:50になるように混合すること
により、ケイ素アルコキシド系コーティング剤B−1を
得た。
【0065】そして、実施例で使うケイ素アルコキシド
系コーティング剤の場合、着色剤が配合されている。着
色剤の配合タイミングは途中でも最後でもよく特定のタ
イミングに限らない。ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C−1 ケイ素アルコキシド系コーティング剤A−1そのもので
あり、無色透明な膜が得られる。
【0066】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C
−2 ケイ素アルコキシド系コーティング剤A−1に、着色剤
として黒色系用のCuO−MnO−Cr2 3 複合酸化
物微粒状顔料がケイ素アルコキシド系コーティング剤1
00部に対し1.5部の割合で加えられており、透明な
黒色系塗膜が形成できる。
【0067】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C−3 ケイ素アルコキシド系コーティング剤A−1に、着色剤
として黒色系用のCuO−MnO−Cr2 3 複合酸化
物微粒状顔料がケイ素アルコキシド系コーティング剤1
00部に対し4部の割合で加えられており、コーティン
グ剤−C−2を用いた場合よりも濃色の黒色系塗膜が形
成できる。
【0068】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C−4 ケイ素アルコキシド系コーティング剤A−2に、着色剤
として黒色系用のCuO−MnO−Cr2 3 複合酸化
物微粒状顔料がケイ素アルコキシド系コーティング剤1
00部に対し4部の割合で加えられており、透明無機系
塗装膜な黒色系塗膜が形成できる。
【0069】ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C−5 ケイ素アルコキシド系コーティング剤B−1そのもので
あり、無色透明な膜が得られる。ケイ素アルコキシド系コーティング剤−C−6 ケイ素アルコキシド系コーティング剤B−1に、着色剤
として黒色系用のCuO−MnO−Cr2 3 複合酸化
物微粒状顔料がケイ素アルコキシド系コーティング剤1
00部に対し4部の割合で加えられており、透明の黒色
系塗膜が形成できる。
【0070】−実施例− 実施例では、表2に従って、建築用材料に成形加工した
SUS304(2B−日新製鋼社製)からなる金属基材
を用い、無機プライマー層を形成してから透明無機系塗
装膜を形成し建築用材料を得た。無機プライマー層は、
プライマー組成物を膜厚4〜6μmになるように塗布
し、セッティング時間5分間キープした後、150℃で
30分焼き付け、常温まで冷却してから、ケイ素アルコ
キシド系コーティング剤をスプレー塗装し、膜厚を約1
0μmとして、焼付は150〜180℃で15〜30分
間行い、透明無機塗装膜を形成するようにした。
【0071】−比較例− 比較例では、表3に従って、実施例と同様にして建築用
材料を得た。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】以上の実施例および比較例で得られた建築
用材料について、塗膜密着性、耐腐食性、耐候性および
外観評価を調べた。塗膜密着性は、煮沸水にステンレス
塗装物品を5時間浸漬後、風乾し、3時間以内に粘着テ
ープ(セロハンテープ)で確認した。耐腐食性は、ソル
トスプレー試験2,000時間後の状況を目視で評価し
た。
【0075】耐候性は、アイス−パーUVテスターで、
下記の条件を1サイクルとする(8時間+4時間=12
時間を1サイクル)試験をUV照射時間1,000時間
まで行った後の状況を評価した。 試験条件 時間: 8時間 4時間 UV照射: あり(100mW/cm2) なし 温度: 63℃ 35℃ 湿度: 50% 90%以上(結露あり) それらの結果を表4,5に記した。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】表4,5にみるように、実施例の建築用材
料は、塗膜密着性、耐腐食性および耐候性のいずれにつ
いても充分であり、しかも、着色に深みがあって、比較
例の建築用材料よりも優れていることが確認された。
【0079】
【発明の効果】この発明の場合、ベースである金属系素
材の表面に、耐久性に富む無機系塗装膜が無機プライマ
ー層の上に設けられているため、長期耐久性が顕著であ
り、フッ素系フィルム、アクリル系フィルム等を金属素
材にラミネートする場合と違い種々の形状品に対応でき
る上、有機系フッ素系被膜の場合のような水漏れ防止の
ための特殊な接着作業も不要であって施工性の低下もな
く、さらに、透明無機系塗装膜の下に着色された無機プ
ライマー層があって着色状態は非常に深みのある美麗な
ものになっているため、高デザイン性が実現され、十分
に市場ニーズに応えることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の形状に加工された金属系素材をベ
    ースとし、このベースの表面に着色された無機プライマ
    ー層が形成されていて、この下地層の上に透明性を有す
    る無機系塗装膜が設けられている建築用材料。
JP9822593A 1993-04-23 1993-04-23 建築用材料 Pending JPH06304523A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006525376A (ja) * 2003-05-09 2006-11-09 デグサ アクチエンゲゼルシャフト 腐食に対して保護する金属の被覆のための組成物

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JP2006525376A (ja) * 2003-05-09 2006-11-09 デグサ アクチエンゲゼルシャフト 腐食に対して保護する金属の被覆のための組成物

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