JP5992547B2 - マイクロカプセル粒子の製造方法及び中空粒子の製造方法 - Google Patents

マイクロカプセル粒子の製造方法及び中空粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロカプセル粒子の製造方法及び中空粒子の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、単分散性が高く、シェルのピンホールの発生量が少ないマイクロカプセル粒子の製造方法及び中空粒子の製造方法に関する。
内部に中空を有する(シェルで囲われた中空を有する)粒子は、中空粒子と称され、例えば光学散乱材料、断熱材料、低反射材料等として使用されている。また、その中空に各種の物質を内蔵させることによりマイクロカプセル粒子として使用されている。
中空粒子の製造方法としては、例えば、特開2002−80503号公報(特許文献1)に、水溶媒中でラジカル重合反応性単量体と、この単量体の重合体に対して相溶性の低い難水溶性の有機溶媒とを含む油滴を調製した後、重合させることで中空粒子を製造する方法が記載されている。
また、特開2006−89648号公報(特許文献2)に、ラジカル重合可能な官能基と架橋可能な官能基とを有する反応性単量体と有機溶媒とを含有する油滴を調製し、重合後、架橋可能な官能基を反応させることで中空粒子を製造する方法が記載されている。
特開2002−80503号公報 特開2006−89648号公報
しかしながら、特許文献1及び2の製造方法で得られる中空粒子のシェルには、表面から中空に向けて貫通している細孔(ピンホール)が発生しやすい。そのため、光学散乱材料、断熱材料、低反射材料等に使用するためのバインダーと混合した際に、バインダーが中空内部に浸入しやすく、所望の特性(光散乱性、断熱性、光反射性等)が得られないことがあった。
かくして本発明によれば、シード粒子の不存在下でラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体を、(a)分散媒中、前記分散媒に相溶しない非反応性溶媒の存在下で、前記両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより、又は、(b)前記非反応性溶媒の非存在下で、前記両官能基のいずれか一方に基づいて重合させた後、前記非反応性溶媒を吸収させることにより前記非反応性溶媒を含有する重合体粒子を作製する工程と、
前記両官能基の残存する他方の官能基による重合により前記非反応性溶媒を含有する重合体粒子から前記非反応性溶媒を相分離させることによりマイクロカプセル粒子を製造する工程とを有することを特徴とするマイクロカプセル粒子の製造方法が提供される。
に、本発明によれば、上記マイクロカプセル粒子に内包された非反応性溶媒を除去することで中空粒子を得ることを特徴とする中空粒子の製造方法が提供される
本発明によれば、ピンホールが少なく、かつ単分散性が高いマイクロカプセル粒子及び中空粒子並びにそれらの製造方法を提供できる。
本発明によれば、下記のいずれかの態様を有する場合、よりピンホールが少なく、かつ単分散性が高いマイクロカプセル粒子及び中空粒子並びにそれらの製造方法を提供できる。
(1)ラジカル重合性官能基が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、マレオイル基、フマロイル基、スチリル基及びシンナモイル基から選択され、
非ラジカル重合性官能基が、エポキシ基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、クロロスルホニル基、水酸基、アルコキシアルキル基、メルカプト基、ニトリル基、アミノ基、アセテート基、アセチルアセトナト基、アジリジノ基、オキサゾリノ基及びシラノール基から選択される。
(2)反応性単量体が、
エポキシ基を有する、p−グリシジルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、
アルコキシシリル基を有する、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
イソシアネート基を有する、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、及び
アミノ基を有する、2−(0−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート
から選択され、
分散媒が、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル,酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素から選択され、
非反応性溶媒が、上記分散媒に相溶しない溶媒であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素から選択される。
(3)非反応性溶媒が、反応性単量体100重量部に対して、20〜5000重量部使用される。
実施例1の中空粒子の写真である。 比較例3の中空粒子の写真である。
従来のマイクロカプセル粒子及び中空粒子の製造方法は、シェルが反応性単量体を1回重合させることで形成されており、有機溶媒(非反応性溶媒)とシェルとの相分離が重合と同時に行われる。本発明の発明者等は、この方法において、相分離と重合とを同時に行う工程が、ピンホールの発生と単分散性の低下を生じさせていると考えた。そこで、発明者等は、非反応性溶媒の相分離前に、一旦、重合体粒子を形成し、その後に相分離を生じさせれば、ピンホールの発生を抑制でき、かつ単分散性を向上できると考え本発明に至った。
具体的には、ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体を、両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより重合体粒子を作製する。非反応性溶媒は、予め反応性単量体と混合するか、重合体粒子作製後に吸収させることにより、重合体粒子中に含有させる。次いで、両官能基の残存する他方の官能基による重合により、重合体と非反応性溶媒とが相分離することで、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子が得られる。
一方、特許文献1及び2の方法では、反応性単量体と非反応性溶媒とを含む反応性溶液を極性溶媒に懸濁した後に、油滴内で反応性単量体を重合させることで、油滴の大きさや形状と同一のマイクロカプセル粒子や中空粒子を得ている。この方法では、
・一般的に油滴は多分散になりやすく、得られるマイクロカプセル粒子や中空粒子が多分散になり易い。
・より小さな粒子径のマイクロカプセル粒子や中空粒子を作製するためには、懸濁液に大きなせん断応力を長時間加えて油滴径の小さくする必要があったため、時間やコストがかかる。
・油滴内で一定の分子量にまで成長した重合体は非反応性溶媒から析出し、析出した重合体が油−水界面に移動しつつ積層することでマイクロカプセル粒子や中空粒子のシェルが形成されていた。そのため、シェルの積層した重合体の間に隙間が発生しやすく、シェルにピンホールが開き易い。
という課題があることを見いだした。
これに対して、本発明の製造方法では、重合と相分離とを分けることで、
・従来の製造方法で存在していたシェルの重合体間の隙間が存在しなくなり、得られるマイクロカプセル粒子や中空粒子のシェルでのピンホールの発生を抑制できる。
・マイクロカプセル粒子や中空粒子の形状が油滴に依存せず、相分離前の重合体粒子の形状や粒度分布に依存するため、単分散性の高いマイクロカプセル粒子や中空粒子が得られやすい。
という利点を有する。以下、本発明の説明を記載する。
(マイクロカプセル粒子の製造方法)
マイクロカプセル粒子の製造方法は、非反応性溶媒を含有する重合体粒子を作製する工程(重合工程)と、重合体粒子から非反応性溶媒を相分離させる工程(相分離工程)とを含む。
(1)重合工程
重合工程では、ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体を、両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより重合体粒子を作製する。非反応性溶媒は、予め反応性単量体と混合するか、重合体粒子作製後に吸収させることにより、重合体粒子中に含有させる。
(a)反応性単量体
反応性単量体は、ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する。
ラジカル重合性官能基は、ラジカル重合で反応するエチレン性不飽和基であれば特に限定されない。例えば,ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、マレオイル基、フマロイル基、スチリル基及びシンナモイル基等が挙げられる。中でも反応性の制御が容易なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。
非ラジカル重合性官能基は、ラジカル重合性官能基以外の重合性官能基であれば特に限定されない。例えば、エポキシ基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、クロロスルホニル基、水酸基、アルコキシアルキル基、メルカプト基、ニトリル基、アミノ基、アセテート基、アセチルアセトナト基、アジリジノ基、オキサゾリノ基、シラノール基、クロロシラン基等が挙げられる。中でも反応性の制御が容易なアミノ基、エポキシ基、アルコキシシリル基及びイソシアネート基が好ましい。
エポキシ基は、アミノ基、カルボキシ基、クロロスルホン基、メルカプト基、水酸基、イソシアナート基等を有する化合物と反応して重合体を生成する官能基である。ラジカル重合性官能基とエポキシ基とを有する反応性単量体としては、特に限定されない。例えば、p−グリシジルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アルコキシシリル基は、加水分解し生成したシラノール基同士や水酸基を有する化合物と反応して重合体を生成する官能基である。ラジカル重合性官能基とアルコキシシリル基とを有する反応性単量体としては、特に限定されない。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネート基は、水、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等を有する化合物と反応して重合体を生成する官能基である。ラジカル重合性官能基とイソシアネート基とを有する反応性単量体としては、特に限定されない。例えば、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、イソシアネート基は相分離時まで保護し、相分離時に脱保護基化してイソシアネート基を生じさせてもよい。
相分離時に脱保護基化してイソシアネート基を生じさせる反応性単量体としては、例えば、2−(0−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記反応性単量体は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
(b)その他の反応性単量体
本発明の効果を阻害しない範囲で、ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体に加えて、重合性官能基を1つだけ有する他の反応性単量体を使用してもよい。他の反応性単量体としては、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜25のアルコールとのエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸と炭素数1〜25のアルコールとのエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、(シクロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
他の反応性単量体は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体の使用量は、反応性単量体全体の10重量%以上であることが好ましい。10重量%未満であると、非反応性溶媒と相分離がうまくできずマイクロカプセル粒子の製造が困難となることがある。ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体の使用量は、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上である。
(c)他の添加物
本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、連鎖移動剤、顔料粒子(顔料)、染料、安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤等の他の添加物を使用してもよい。
連鎖移動剤は、反応性単量体の重合時に使用できる。連鎖移動剤としては、特に限定されず、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロロメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。連鎖移動剤は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
顔料粒子としては、当該技術分野で用いられる顔料粒子であれば特に限定されない。例えば、雲母状酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料;鉛丹、黄鉛等の酸化鉛系顔料;チタンホワイト(ルチル型酸化チタン)、チタンイエロー、チタンブラック等の酸化チタン系顔料;酸化コバルト;亜鉛黄のような酸化亜鉛系顔料;モリブデン赤、モリブデンホワイト等の酸化モリブデン系顔料等の粒子が挙げられる。顔料粒子は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
例えば、マイクロカプセル粒子を電気泳動表示装置の背景を表示するのに用いる場合には、紙のような白色背景の表示を実現できることから、顔料粒子として、チタンホワイト、モリブデンホワイト等の白色顔料の粒子を用いることが好ましい。より白みに優れた白色背景の表示を実現できることから、顔料粒子として、チタンホワイトの粒子を用いることがより好ましい。
(d)重合体粒子の作製方法
重合体粒子の作製方法としては、塊状重合法、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法の中から、任意の方法を採用できる。その中でも、重合体粒子を比較的簡便に作製できる懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。更に、単分散性の高い重合体粒子が得られやすい乳化重合法がより好ましい。
重合体粒子は、ラジカル重合性官能基又は非ラジカル重合性官能基を重合させることにより得られる。
重合は、重合対象の官能基を重合させる化合物を添加することが好ましい。
(i)重合対象の官能基がラジカル重合性官能基の場合、この化合物は重合開始剤を使用できる。重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジメチルビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(tert−ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ブチル−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレラート、2−エチルヘキサンペルオキシ酸tert−ブチル、ジベンゾイルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドおよびtert−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物類、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルカプロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−エトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−n−ブトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、1,1−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピネート)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピネート)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)等のアゾ化合物類が挙げられる。重合開始剤は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
また、前記の過硫酸塩類及び有機過酸化物類の重合開始剤と、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸及びその塩、第一銅塩、第一鉄塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤を重合開始剤として使用してもよい。
重合が乳化重合である場合、重合開始剤は、水溶媒下で乳化重合が可能な水溶性の重合開始剤であることが好ましい。水溶性の重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ化化合物類が挙げられる。
(ii)重合対象の官能基が非ラジカル重合性官能基の場合、この化合物は架橋剤を使用できる。非ラジカル重合性官能基が自己架橋する基である場合は、架橋剤を使用しなくてもよい。架橋剤としては、架橋する相手の重合性官能基種により異なり、特に限定されない。例えば、エチレンジアミン及びその付加物、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン及びその変性品、N−アミノエチルピペラジン、ビス−アミノプロピルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−ヘキサメチレントリアミン、ジシアンジアミド、ジアセトアクリルアミド、各種変性脂肪族ポリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン等の脂肪族アミン、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン等の脂環族アミン及びその変性物、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、2,4’−トルイレンジアミン、m−トルイレンジアミン、o−トルイレンジアミン、メタキシリレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族アミン及びその変性物、その他特殊アミン変性物、
アミドアミン、アミノポリアミド樹脂等のポリアミドアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキサン塩等の3級アミン類、
3フッ化ホウ素化合物及びその錯化合物、ケチミン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1)’]−エチル−s−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロリド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウムクロリド、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、2−メチルイミダゾールとトリアジン複合物、2−フェニルイミダゾールとトリアジン複合物等のイミダゾール類、
イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジド類、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸及びその混合物、シクロペンタン・テトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラメチレン無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル・テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2’−ジカルボン酸無水物、無水メチルナジック酸等の酸無水物及びその変性物、
シュウ酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、(o−、m−、p−)ベンゼンジカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸等のポリカルボン酸、エチレングリコール、プロピレエングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,1,1− トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ヒドロキシンジヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン等のポリオール類、1,6−ヘキサンジチオール等のメルカプタン類、
多官能フェノール類、トルイレンジソシアナート、2,4−トルイレンジイソシアナートの2量体、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、o−トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、トリス−(p−イソシアナートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート等の多官能芳香族イソシアナート、芳香族ポリイソシアナート、多官能芳香族脂肪族イソシアナート、
ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート等の多官能脂肪族イソシアナート、ブロック型ポリイソシアナート等のポリイソシアナート類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、脂肪族型、脂環式型、ノボラック型、アミノフェノール型、ヒダトイン型、イソシアヌレート型、ビフェノール型、ナフタレン型等の各種エポキシプレポリマー等の多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記架橋剤は、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
重合体粒子は、ラジカル重合性官能基又は非ラジカル重合性官能基を重合させることにより得られる。
(iii)重合体粒子は、ラジカル重合性官能基を先に重合して、重合体中に未反応の非ラジカル重合性官能基を有することが好ましい。非ラジカル重合性官能基を先に重合すると、非反応性溶媒の吸収がしにくくなることがある。
重合体粒子は、ラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基の一方の重合性官能基を重合することで、重合体中に未反応の他方の重合性官能基を有することが好ましい。しかし、重合体粒子の製造時に重合する官能基は、その全量が重合せず、部分的に重合しても大きな問題はないし、他方の重合官能基が一部重合しても大きな問題はない。例えば、グリシジルメタクリレートのラジカル重合性官能基を重合させて、エポキシ基を有する重合体粒子を作製する際には、未反応のラジカル重合性官能基が残存してもよいし、部分的にエポキシ基が開環反応してもよい(言い換えると、重合体粒子中に相分離が可能な量のエポキシ基が残っていればよい)。
(e)非反応性溶媒の吸収
重合体粒子への非反応性溶媒の吸収は、重合体粒子の製造時又は製造後に行うことができる。また、非反応性溶媒の吸収は、非反応性溶媒と相溶しない分散媒の存在下又は非存在下で行うことができる。分散媒の存在下で行う方が、非反応性溶媒の吸収を効率よく行うことができるので好ましい。重合体粒子の製造方法が媒体を使用する場合、媒体は分散媒としてそのまま使用してもよく、一旦、重合体粒子を媒体から単離した後、分散媒に分散してもよい。
重合体粒子を含む分散媒には、分散媒に相溶しない非反応性溶媒が添加され、一定時間撹拌等を行うことで重合体粒子に非反応性溶媒を吸収させことができる。
また、重合体粒子の製造時での非反応性溶媒の吸収は、重合体粒子の作製に適切な分散媒と非反応性溶媒を選定することで実現できる。例えば、水溶媒下で重合体粒子を乳化重合で作製する場合、水に相溶しない非反応性溶媒を事前に水溶媒に添加しておき、反応性単量体を重合させることで、重合体粒子の作製と重合体粒子の吸収を同時に行うことができる。重合体粒子の作製と重合体粒子の吸収を同時に行うと,非反応性溶媒を吸収にかかる時間を削減できる。
(i)分散媒
分散媒としては、重合体粒子を完全に溶解させない液状物であれば特に限定されない。例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン等のアルカン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒が挙げられる。これらは、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
(ii)非反応性溶媒
非反応性溶媒としては、分散媒に相溶しない液状物であるものであれば特に限定されない。ここで分散媒に相溶しないとは,非反応性溶媒の分散媒への溶解度(25℃時)が10重量%以下のことである。例えば分散媒として水を使用した場合、使用できる非反応性溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。これらは、1種のみからなっていてもよく、2種以上併用してもよい。
非反応性溶媒の添加量は、特に限定されないが、重合体粒子100重量部に対して、20〜5000重量部である。20重量部未満であると、得られるマクロカプセル粒子や中空粒子の中空部が小さくなり、所望の特性が得られないことがある。5000重量部を超えると、中空部が大きくなりすぎて得られるマイクロカプセル粒子や中空粒子の強度が低下することがある。
(2)相分離工程
次に、残存する重合性官能基を重合させて、重合体と非反応性溶媒とを相分離させる。相分離により、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子が得られる。
残存する重合性官能基を重合させる添加する化合物は、上記重合工程に記載した、ラジカル重合性官能基を重合させるための重合開始剤、非ラジカル重合性官能基を重合させるための架橋剤と同じものを使用できる。
(中空粒子の製造方法)
中空粒子は、マイクロカプセル粒子に内包された非反応性溶媒を除去することで得ることができる。非反応性溶媒の除去方法としては特に限定されず、減圧乾燥法等が挙げられる。減圧乾燥法の条件は、例えば、500Pa以下の圧力、30〜200℃、30分〜50時間が挙げられる。
(マイクロカプセル粒子及び中空粒子)
上記方法により得られたマイクロカプセル粒子は、シェルと、シェルで隔離された粒子内部に非反応性溶媒を内包した粒子である。また、溶媒置換を行って、非反応性溶媒と異なる溶媒を内包するマイクロカプセル粒子としてもよい。例えば、エタノールで溶媒置換を行うと、エタノールを内包したマイクロカプセル粒子を作製できる。また、溶媒に用途に応じた有効成分を溶解させることで、有効成分を内包したマイクロカプセル粒子を得ることができる。
中空粒子は、シェルで隔離された空間を内包した粒子である。
マイクロカプセル粒子及び中空粒子は、10nm〜10μmの平均粒子径を有することが好ましい。10nm未満であると、マイクロカプセル粒子及び中空粒子同士の凝集が発生して、取扱い性が劣ることがある。10μm以上より大きい場合、コーティング剤や樹脂と混練した場合に表面の凹凸が大きくなり,意匠性を損なうことがある。より好ましい粒子径の上限は3μmであり、さらに好ましい粒子径の上限は1μmである。
マイクロカプセル粒子及び中空粒子は、単分散性の評価の指標であるCV値が30%以下であることが好ましい。
また、中空粒子は、10〜90%の中空率を有することが好ましい。10%未満であると、中空部が小さく,所望の特性が得られないことがある。90%より大きい場合、中空部が大きくなりすぎて中空粒子の強度が低下することがある。マイクロカプセル粒子の場合、10〜90%の中空率に対応する非反応性溶媒の存在割合を有することが好ましい。この存在割合は、約10〜90%である。
マイクロカプセル粒子及び中空粒子のシェルには,ピンホールが少ないことが好ましい。シェルのピンホールが多い場合、これら粒子を、光学散乱材料、低反射材料等に使用した際に、低分子のバインダー成分が中空内部に浸入しやすく、所望の特性が得られないことがある。
(1)マイクロカプセル粒子の用途
マイクロカプセル粒子は、電気泳動表示装置の泳動粒子や背景を表示する粒子、ドラッグデリバリー粒子、化粧料用粒子等の用途に使用できる。
(2)中空粒子の用途
中空粒子は、塗料、紙、情報記録紙、光拡散フィルム(光学シート)等に用いられるコーティング剤(塗布用組成物)の添加剤、光拡散板、導光板等の成形体形成用のマスターペレットの添加剤、化粧品の添加剤として有用である。
(a)コーティング剤
コーティング剤は任意のバインダーを含んでいてもよい。
バインダーとしては、特に限定されず、公知のバインダー樹脂を用いることができる。バインダー樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられ、より具体的には、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、バインダー樹脂は、1つのモノマー単独重合体であってもよいし、複数のモノマーの共重合体であってもよい。公知のバインダー製品として、例えば、三菱レイヨン社製のダイヤナールLR−102やダイヤナールBR−106等が挙げられる。
コーティング剤中の中空粒子の含有量は、使用する用途によって適宜調整されるが、バインダー100重量部に対して、0.1〜1000重量部の範囲で使用できる。
コーティング剤には、通常分散媒体が含まれる。分散媒体としては水性及び油性の媒体がいずれも使用できる。油性の媒体としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。水性の媒体としては、水、アルコール系溶剤が挙げられる。
更に、コーティング剤には、硬化剤、着色剤、帯電防止剤、レベリング剤等の他の添加剤が含まれていてもよい。
コーティング剤の被塗布基材としては、特に限定されず、用途に応じた基材が使用できる。例えば、光学用途では、ガラス基材、透明樹脂基材等の透明基材が使用される。
(b)マスターペレット
マスターペレットは、中空粒子と基材樹脂とを含む。
基材樹脂としては、通常の熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。例えば(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。特に透明性が求められる場合には(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂がよい。これらの基材樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、基材樹脂は、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等の添加剤を微量含んでいてもかまわない。
マスターペレットは、中空粒子と基材樹脂とを溶融混練して、押出成形、射出成形等の成形方法により製造できる。マスターペレットにおける中空粒子の配合割合は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜60重量%程度、より好ましくは0.3〜30重量%程度、更に好ましくは0.4〜10重量%程度である。配合割合が60重量%を上回ると、マスターペレットの製造が難しくなることがある。また、0.1重量%を下回ると、本発明の効果が低下することがある。
マスターペレットは、例えば押出成形、射出成形又はプレス成形することにより成形体となる。また、成形の際に基材樹脂を新たに添加してもよい。基材樹脂の添加量は最終的に得られる成形体に含まれる中空粒子の配合割合が0.1〜60重量%程度となるように添加するのがよい。なお、成形時には、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等の添加剤を微量添加してもよい。
(c)化粧料
中空粒子を配合しうる具体的な化粧料としては、おしろい、ファンデーション等の固形状化粧料、ベビーパウダー、ボディーパウダー等のパウダー状化粧料、化粧水、乳液、クリーム、ボディーローション等の液状化粧料等が挙げられる。
これらの化粧料へ中空粒子の配合割合は、化粧料の種類によっても異なる。例えば、おしろい、ファンデーション等の固形状化粧料の場合は、1〜20重量%が好ましく、3〜15重量%が特に好ましい。また、ベビーパウダー、ボディーパウダー等のパウダー状化粧料の場合は、1〜20重量%が好ましく、3〜15重量%が特に好ましい。更に、化粧水、乳液、クリームやリキッドファンデーション、ボディーローション、プレシェーブローション等の液状化粧料の場合は、1〜15重量%が好ましく、3〜10重量%が特に好ましい。
また、これらの化粧料には、光学的な機能の向上や触感の向上のため、マイカ、タルク等の無機化合物、酸化鉄、酸化チタン、群青、紺青、カーボンブラック等の着色用顔料、又はアゾ系等の合成染料等を添加できる。液状化粧料の場合、液状の媒体として、特には限定されないが、水、アルコール、炭化水素、シリコーンオイル、植物性又は動物性油脂等を用いることもできる。これらの化粧料には、上記他の成分以外に、化粧品に一般的に用いられる保湿剤、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、制汗剤、清涼剤、香料等を添加することにより、各種機能を追加することもできる。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。まず、実施例に使用した各種測定法の詳細を下記する。
(平均粒子径、中空率、CV値)
以下のように中空粒子の平均粒子径、中空率及びCV値を測定する。
すなわち中空粒子を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製H−7600)を用いて、加速電圧80kVの条件下、倍率約3万倍でTEM写真を撮影する。この写真に撮影された任意の100個以上の粒子の粒子径及び内径を観察する。この時、粒子の中心を通るように5箇所以上の粒子径及び内径を測定、平均することで、平均粒子径、平均内径とする。更に、(平均内径)3/(平均粒子径)3×100の式より、中空粒子の中空率を求める。なお、中空粒子の中空率の評価は、中空率が15%以上だと○とし,15%未満だと×とする。
また中空粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、上記の粒子径の標準偏差と平均粒子径を求め、更に、(標準偏差)/(平均粒子径)×100の式より得られた値を中空粒子のCV値とする。
(ピンホールの有無)
以下のように中空粒子のピンホールの有無を測定する。
すなわち中空粒子2重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製NKエステルA−DPH)3重量部、希釈溶媒として酢酸エチル20重量部、光重合開始剤(BASF社製IRGACURE1173)0.03重量部を混合し、混合溶液をガラス基板に塗布して塗膜を得る。得られた塗膜を、室温(約25℃)及び常圧下で乾燥させる。乾燥した塗膜を紫外線照射装置(JATEC社製J−Cure、型式JUC1500、引き速:0.4m/min、ピーク強度:125)に3回通して硬化させることで、サンプル片を作製する。
サンプル片をエポキシ樹脂(日新EM社製Quetol812セット)に包埋し、60℃のオーブン中で24時間静置し、エポキシ樹脂を硬化する。その後、ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製LEICA ULTRACUT UCT)で70nmの超簿切片を作製する。染色剤は四酸化ルテニウムを用いる。この超簿切片を透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製H−7600、AMT社製 カメラシステムER−B)を用い、観察することで、中空粒子内部へのUV硬化性モノマーの浸入の有無を観察する。
なお、ピンホールの有無の評価は、中空粒子100個中において、UV硬化性モノマーが浸入した中空粒子が30個以下だと○とし,浸入した中空樹脂粒子が30個より多い場合、中空粒子のシェルにピンホールが多数存在すると判断し、×とする。
実施例1
攪拌機、温度計を備えた1Lの反応器に、グリシジルメタクリレート40重量部、n−オクチルメルカプタン0.8重量部、酢酸ブチル40重量部を入れて混合した。次に、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.12重量部、過硫酸アンモニウム0.4重量部をイオン交換水720重量部溶解した水相を添加した。混合溶液を撹拌しつつ70℃で10時間加熱することでポリマー内部にエポキシ基が残存した重合体粒子を得た。乳化重合に酢酸ブチルを添加していたため、ポリマー内部にエポキシ基が残存した重合体粒子は酢酸ブチルで膨潤されていた。
次に、ポリマー内部に残存しているエポキシ基を重合させるために、エチレンジアミン20重量部を添加し、24時間70℃で重合を行った。重合体粒子中のエポキシ基が反応することで、ポリマーと酢酸ブチルが相分離し、マイクロカプセル粒子分散体を得た。得られたマイクロカプセル粒子分散体をエチルアルコールで3回洗浄し、内部の酢酸ブチルの除去及び不要分の洗浄を行った後に,60℃の真空オーブンで乾燥し中空粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は193nm、CV値は10%であり、単分散性の高い中空粒子であった。また、中空率は33%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は1個であり、ピンホールの大変少ない中空粒子であった。
実施例2
グリシジルメタクリレートを3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートに、酢酸ブチルを40重量部から30重量部に、分散助剤をp−スチレンスルホン酸ナトリウム0.01重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05重量部に変更すること以外は実施例1と同様の製造方法で粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は181nm、CV値は13%であり、単分散性の高い中空粒子であった。また、中空率は21%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は3個であり、ピンホールの大変少ない中空粒子であった。
実施例3
反応性単量体をグリシジルメタクリレート35重量部と3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン5重量部とし、p−スチレンスルホン酸ナトリウム0.12重量部から0.8重量部に変更すること以外は実施例1と同様の製造方法で粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は87nm、CV値は13%であり、単分散性の高い中空粒子であった。また、中空率は35%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は1個であり、ピンホールの大変少ない中空粒子であった。
実施例4
エチレンジアミンを28重量%のアンモニア水に変更すること以外は実施例1と同様の製造方法で粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は213nm、CV値は11%であり、単分散性の高い中空粒子であった。また、中空率は30%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は1個であり、ピンホールの大変少ない中空粒子であった。
実施例5
反応性単量体をグリシジルメタクリレート25重量部とメチルメタクリレート15重量部とし、酢酸ブチルを40重量部から50重量部に、エチレンジアミンを20重量部から15重量部に変更し、p−スチレンスルホン酸ナトリウムを使用しないこと以外は実施例1と同様の製造方法で粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は498nm、CV値は12%であり、単分散性の高い中空粒子であった。また、中空率は42%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は6個であり、ピンホールの大変少ない中空粒子であった。
比較例1
グリシジルメタクリレート40重量部をメタクリレート基とアリル基のラジカル重合性反応基のみを有する反応性単量体であるアリルメタクリレート30重量部、メチルメタクリレート10重量部に変更したこと以外は実施例1と同様の製造方法で粒子を得た。得られた粒子をTEM観察したところ、粒子内部に中空部がない中実状の粒子であった。
比較例2
攪拌機、温度計を備えた1Lの反応器に、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部、シクロヘキサン40重量部、ジラウロイルパーオキサイド0.8重量部を入れて混合した。得られた混合物を、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.1重量部含まれたイオン交換水720重量部と混合し、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製、型式SONIFIER450)にて1時間、氷浴下で強制撹拌して混合溶液を得た。混合溶液を撹拌しつつ70℃で10時間加熱することで、油滴内で生成し、相分離したポリマーが油液界面に移動することでシクロヘキサンを内包したマイクロカプセル粒子分散体を得た。得られたマイクロカプセル分散体をエチルアルコールで3回洗浄し、内部のシクロヘキサンの除去及び不要分の洗浄を行った後に、60℃の真空オーブンで乾燥し中空粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は210nm、CV値は45%であり、粒度分布の広い中空粒子であった。また、中空率は30%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は98個であり、ピンホールの多い中空粒子であった。
比較例3
トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部の代わりに、グリシジルメタクリレート40重量部とし、シクロヘキサン40重量部を60重量部とし、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部を0.4重量部とした以外は比較例2と同様の製造方法でマイクロカプセル粒子を得た。
更に、マイクロカプセル粒子のシェルの架橋を行うために、エチレンジアミン20重量部を添加し、24時間70℃で重合を行った。得られたマイクロカプセル分散体をエチルアルコールで3回洗浄し、内部のシクロヘキサンの除去及び不要分の洗浄を行った後に、60℃の真空オーブンで乾燥し中空粒子を得た。
得られた中空粒子の平均粒子径は130nm、CV値は55%であり、粒度分布の広い中空粒子であった。また、中空率は25%と高かった。得られた中空粒子を用いてUV硬化性モノマーの浸入試験をしたところ、浸入している粒子は88個であり、ピンホールの多い中空粒子であった。
以下の表1に、中空樹脂粒子の製造に使用した原料及び物性をまとめて示す。
実施例1と比較例3の中空粒子の写真を図1及び2に示す。
表1の実施例1〜5と比較例1〜3との比較により、粒子を得るための重合と非反応性溶媒の相分離とを分けることで、ピンホールの少ない小粒径で高単分散性のマイクロカプセル粒子及び中空粒子を製造できることが分かった。

Claims (5)

  1. シード粒子の不存在下でラジカル重合性官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する反応性単量体を、(a)分散媒中、前記分散媒に相溶しない非反応性溶媒の存在下で、前記両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより、又は、(b)前記非反応性溶媒の非存在下で、前記両官能基のいずれか一方に基づいて重合させた後、前記非反応性溶媒を吸収させることにより前記非反応性溶媒を含有する重合体粒子を作製する工程と、
    前記両官能基の残存する他方の官能基による重合により前記非反応性溶媒を含有する重合体粒子から前記非反応性溶媒を相分離させることによりマイクロカプセル粒子を製造する工程とを有することを特徴とするマイクロカプセル粒子の製造方法。
  2. 前記ラジカル重合性官能基が、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、マレオイル基、フマロイル基、スチリル基及びシンナモイル基から選択され、
    前記非ラジカル重合性官能基が、エポキシ基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホニル基、クロロスルホニル基、水酸基、アルコキシアルキル基、メルカプト基、ニトリル基、アミノ基、アセテート基、アセチルアセトナト基、アジリジノ基、オキサゾリノ基及びシラノール基から選択される請求項1に記載のマイクロカプセル粒子の製造方法。
  3. 前記反応性単量体が、
    エポキシ基を有する、p−グリシジルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、
    アルコキシシリル基を有する、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン及び3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
    イソシアネート基を有する、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、及び
    アミノ基を有する、2−(0−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ]エチル(メタ)アクリレート及び2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート
    から選択され、
    前記分散媒が、水、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル,酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素から選択され、
    前記非反応性溶媒が、上記分散媒に相溶しない溶媒であり、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素から選択される請求項1又は2に記載のマイクロカプセル粒子の製造方法。
  4. 前記非反応性溶媒が、前記反応性単量体100重量部に対して、20〜5000重量部使用される請求項1〜3のいずれか1つに記載のマイクロカプセル粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つ記載のマイクロカプセル粒子に内包された非反応性溶媒を除去することで中空粒子を得ることを特徴とする中空粒子の製造方法。
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