JPH10186718A - トナー用樹脂組成物及びその製造方法並びにトナー - Google Patents

トナー用樹脂組成物及びその製造方法並びにトナー

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JPH10186718A
JPH10186718A JP33216196A JP33216196A JPH10186718A JP H10186718 A JPH10186718 A JP H10186718A JP 33216196 A JP33216196 A JP 33216196A JP 33216196 A JP33216196 A JP 33216196A JP H10186718 A JPH10186718 A JP H10186718A
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JP
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molecular weight
toner
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low
vinyl polymer
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Application number
JP33216196A
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English (en)
Inventor
Masazumi Okuto
正純 奥戸
Hiroaki Takehara
寛明 竹原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温定着性、耐オフセット性及び耐ブロッキ
ング性に優れ、特に、低温定着性に優れ、定着温度域が
広く、安定した高画質の画像が得られるトナー用樹脂組
成物及びトナーを得る。 【解決手段】 分子量3×103 〜5×104 の領域に
分子量分布の極大を有する低分子量ビニル系重合体成分
と、分子量3×105 〜5×106 の領域に分子量分布
の極大を有する高分子量ビニル系重合体成分とを主成分
とするビニル系重合体(a)に、融点が50〜120℃
の低融点物質(b)がグラフト結合されてなり、該低融
点物質(b)は、ビニル系重合体(a)の低分子量ビニ
ル系重合体成分よりも高分子量ビニル系重合体成分の方
へ量的に多くグラフト結合されているトナー用樹脂組成
物及びこのトナー用樹脂組成物が主成分として含有され
ているトナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真等に使用
するトナー用樹脂に関するものであり、詳細には、静電
荷像を現像する方式の内のいわゆる乾式現像方式に使用
するトナー用樹脂組成物及びその製造方法並びにトナー
に関するものである。
【従来の技術】電子写真等において、静電荷像を現像す
る方式として乾式現像方式が多用されている。この乾式
現像方式では、樹脂にカーボンブラック等の着色剤を分
散させたトナーと呼ばれる摩擦帯電性の微粉末現像剤が
用いられる。
【0001】通常、摩擦によって帯電したトナーは、電
気的引力により感光体上の静電潜像に付着してトナー像
が形成され、次いでこのトナー像が用紙上に転写され、
トナーに対して離型性を有する加熱ローラーで定着され
る。
【0002】この種のトナーには、耐オフセット性(加
熱ローラーにトナーが付着しないこと)、定着性(トナ
ーが用紙に強固に付着すること)、耐ブロッキング性
(トナー粒子が凝集しないこと)等の諸性能が要求され
る。特に、広い定着温度範囲を持ち、耐オフセット性に
優れたトナーが要求される。
【0003】これらの要求に応じるものとして、特開昭
56−158340号公報には、低分子量体成分と高分
子量体成分とを用い、樹脂の分子量分布を広くすること
が提案されている。これによれば、耐オフセット性、定
着性、耐ブロッキング性に優れたトナーが得られるが、
近年の低温定着化への要求に対し、更に定着性を向上さ
せた場合の耐オフセット性及び耐ブロッキング性のバラ
ンスをとることが困難であった。
【0004】また、特開昭63−27855号公報及び
特開昭63−27856号公報には、Mw/Mnが3.
5以上或いは分子量分布において2つ以上のピークを有
する無定形ビニル重合体に結晶性ポリエステルが化学的
に結合してなるブロック共重合体又はグラフト共重合体
を主成分とする静電荷像現像用トナーが提案されてい
る。これによれば、ある程度低温定着性の向上したトナ
ーが得られるが、結晶性ポリエステルの化学的に結合す
る部分が低分子量体部分のみであったり、高分子量体部
分よりも低分子量体部分に多く結合しているため、保存
性が低下したり高分子量体部分の低温流動性が低下した
りして、更なる低温定着化を図ることが困難であった。
【0005】更に、特開昭53−118137号公報及
び特公昭59−50061号公報には、(メタ)アクリ
ル酸を含有し、酸価を規定したトナーが提案されている
が、双方とも低分子量体についての規定であり、より広
い定着温度範囲を得ることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した先行技術の種々の欠点を解消し、定着温度範囲が広
く、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れた加熱ロ
ーラー定着用トナーを得るためのトナー用樹脂組成物及
びその製造方法並びにトナーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を達成するためになされたものであり、請求項1記載の
発明は、分子量3×103 〜5×104 の領域に分子量
分布の極大値を有する低分子量ビニル系重合体成分と、
分子量3×105 〜5×106 の領域に分子量分布の極
大値を有する高分子量ビニル系重合体成分とを主成分と
するビニル系共重合体(a)に、融点が50〜120℃
の低融点物質(b)がグラフト結合してなり、該低融点
物質(b)は、ビニル系共重合体(a)の低分子量ビニ
ル系重合体成分よりも高分子量ビニル系重合体成分の方
へ量的に多くグラフト結合していることを特徴とするト
ナー用樹脂組成物である。
【0008】更に、請求項2記載の発明は、低融点物質
(b)が、少なくともビニル系共重合体(a)の高分子
量ビニル系重合体成分にブロック的にグラフト結合して
いることを特徴とするトナー用樹脂組成物である。
【0009】また、請求項3記載の発明は、上記請求項
1又は2記載の発明のトナー用樹脂組成物を主成分とし
て含有していることを特徴とするトナーである。
【0010】更に、請求項4記載の発明は、二段階分解
型重合開始剤を用いて官能基を有するビニル系単量体を
ブロック的に重合させることにより、分子量3×103
〜5×104 の領域及び分子量3×105 〜5×106
の領域それぞれに分子量分布の極大値を有するビニル系
共重合体を主成分とする樹脂を得ることを特徴とするト
ナー用樹脂組成物の製造方法である。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。請求項1
記載の発明において使用されるビニル系共重合体(a)
としては、例えば、スチレン系単量体、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体、等を構成単位とすることが好まし
い。
【0012】上記スチレン系単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチル
スチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチル
スチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−ヘキ
シルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノ
ニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデ
シルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルス
チレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレ
ン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが特に好ま
しい。
【0013】上記(メタ)アクリル酸エステル単量体と
しては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アク
リル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル、等の(メタ)アク
リル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロル
エチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メ
チル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルア
ミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタ
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジ
ル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリ
コールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフ
ェート等が挙げられ、これらの中でも、メタクリル酸メ
チル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル
及びアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく用いられ
る。
【0014】請求項1記載の発明において使用されるそ
の他のビニル系単量体としては、例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等の
アクリル酸及びそのα−アルキル誘導体又はβ−アルキ
ル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘
導体又はジエステル誘導体;コハク酸モノアクリロイル
オキシエチルエステル、コハク酸モノメタクリロイルオ
キシエチルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0015】請求項1記載の発明において使用されるビ
ニル系共重合体(a)は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)で測定される分子量分布におい
て、前記低分子量ビニル系重合体成分が、分子量3×1
3 〜5×104 の領域に分子量分布の極大値を有して
おり、且つ、前記高分子量ビニル系重合体成分が、分子
量3×105 〜5×106 の領域に分子量分布の極大値
を有していることを必要とする。
【0016】上記低分子量ビニル系重合体成分の分子量
分布の極大値が、上記範囲より小さいと、得られるトナ
ーの耐ブロッキング性が低下することがあり、上記範囲
よりも大きいと得られるトナーの定着性が低下すること
がある。上記高分子量ビニル系重合体成分の分子量分布
の極大値が、上記範囲より小さいと、得られるトナーの
耐オフセット性が低下することがあり、上記範囲よりも
大きいと得られるトナーの定着性が低下することがあ
る。
【0017】上記低分子量ビニル系重合体成分と高分子
量ビニル系重合体成分とを含む上記ビニル系共重合体
(a)は、高分子量ビニル系重合体成分の含有量がビニ
ル系共重合体(a)中において10重量%よりも少なく
なると、得られるトナーの耐オフセット性が低下するこ
とがあり、50重量%より多くなると、得られるトナー
の定着性が低下することがあるため、ビニル系共重合体
(a)中の高分子量ビニル系重合体成分の含有量は、好
ましくは10〜50重量%とされ、より好ましくは20
〜50重量%である。
【0018】上記ビニル系共重合体(a)の合成方法と
しては、例えば、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊重
合等が利用できる。低分子量ビニル系重合体成分と高分
子量ビニル系重合体成分とは、熱溶融ブレンドされても
構わないが、より均一に分散させるためには溶剤に分散
した上で脱溶剤するのが好ましく、より好ましくは、高
分子量ビニル系重合体成分の存在下で低分子量重合体成
分を重合する方法である。
【0019】請求項1記載の発明において使用される低
融点物質(b)は、融点が50〜120℃の範囲にあ
り、ビニル系共重合体(a)とグラフト結合するための
反応点を有していれば、特に組成を限定されるものでは
なく、単一の物質でも良いし、2種以上の物質が併用さ
れても良い。更に、化合物だけに限定されず、オリゴマ
ーやポリマーであっても良い。
【0020】上記低融点物質(b)としては、例えば、
1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、ステア
リルアルコール、1−ノナデカノール、1−エイコサノ
ール、ベヘニルアルコール、1−トリコサノール、1−
テトラコサノール、セリルアルコール等の高級アルコー
ル;パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノ
ナデカン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、トリコサン酸、
リグノセリン酸等の高級脂肪酸;リノール酸アミド、リ
シノール酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミ
ド、エイコサン酸アミド、エルシン酸アミド、パルミト
レイン酸アミド等の脂肪酸アミド;植物系ワックス、動
物系ワックス、合成ワックスに官能基を導入したワック
ス類;末端に水酸基又はカルボキシル基を有するポリエ
ステル;エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0021】上記低融点物質(b)の融点は、50℃よ
りも低いと、得られるトナーの保存性が低下したり、加
熱定着時に低融点物質が表面にブリードしたりすること
がある。また、低融点物質の融点が120℃よりも高い
と、得られるトナーが加熱定着時に速やかに溶融せず低
温定着性が得られないことがある。
【0022】請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物
は、ビニル系共重合体(a)と低融点物質(b)とがグ
ラフト結合しており、更に、低融点物質(b)が、ビニ
ル系共重合体(a)における、低分子量ビニル系重合体
成分よりも高分子量ビニル系重合体成分の方へ量的に多
くグラフト結合していることが必要である。
【0023】ビニル系共重合体(a)と低融点物質
(b)とをグラフト結合させる為には、互いに反応し得
る反応点と成るべく、それぞれに官能基を有しているこ
とが必要である。上記反応点となる官能基の組み合わせ
としては、例えば、カルボン酸基−水酸基、カルボン酸
基−エポキシ基、カルボン酸基−アミノ基、水酸基−エ
ポキシ基等が挙げられる。それぞれの官能基の保持のさ
れ方としては、例えば、ビニル系共重合体(a)では官
能基を有する単量体が共重合されていることが好まし
く、低融点物質(b)では官能基を有する低融点物質が
選択されることが好ましい。
【0024】また、低融点物質(b)をビニル系共重合
体(a)の低分子量ビニル系重合体成分よりも高分子量
ビニル系重合体成分に多くグラフト結合させる方法とし
ては、例えば、官能基を有する単量体を低分子量ビニル
系重合体成分よりも高分子量ビニル系重合体成分により
多く共重合させておき、その後低融点物質(b)をグラ
フト結合させる方法、あらかじめ官能基を有する高分子
量ビニル系重合体成分と低融点物質(b)とをグラフト
結合させておき、その後低分子量ビニル系重合体成分を
混合する方法等が挙げられる。
【0025】上記低融点物質(b)の添加量は、少なく
なると得られるトナーの低温定着性の効果が発現しない
ことがあり、多くなると得られるトナーの保存性が低下
したり、十分な耐オフセット性が得られないことがある
ため、ビニル系共重合体(a)100重量部に対し、2
〜30重量部が好ましい。
【0026】請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物
は、その目的を達成し得る範囲内で、酢酸ビニル、塩化
ビニル、エチレン等の単量体が前記ビニル系共重合体
(a)に共重合されていても良く、これらの単量体の重
合体がブレンドされていても良い。また、ポリエステル
樹脂やエポキシ樹脂等が混合されていても良い。更に、
脂肪族アミド、ビス脂肪族アミド、金属石鹸、パラフィ
ン等が混合されていても良い。
【0027】請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物
は、その目的を達成し得る範囲内で、帯電制御剤とし
て、ニグロシン、スピロンブラック(保土谷化学社製)
等の染料やその他フタロシアニン系の顔料が添加されて
も良い。また、着色剤として、カーボンブラック、クロ
ムイエロー、アニリンブルー等が用いられる。更に、離
型剤として、低分子量ポリエチレンやポリプロピレンワ
ックス等が添加されたり、流動性を高めるために疎水性
シリカ等が添加されても良い。
【0028】次に、請求項2記載の発明のトナー用樹脂
組成物は、請求項1記載の発明のトナー用樹脂組成物に
おいて、低融点物質(b)が、少なくともビニル系共重
合体(a)の高分子量ビニル系重合体成分にブロック的
にグラフト結合しているものである。
【0029】上記低融点物質(b)がビニル系共重合体
(a)にランダム的にグラフト結合していても良好な低
温定着性が得られるが、少なくとも高分子量ビニル系重
合体成分にブロック的にグラフト結合されると、高分子
量ビニル系重合体成分の熱流動性が向上して更に良好な
低温定着性が得られる。
【0030】上記低融点物質(b)をビニル系共重合体
(a)にブロック的にグラフト結合させる方法として
は、例えば、ビニル系共重合体(a)中における反応点
を形成させるために共重合される官能基を有する単量体
をブロック共重合させ、形成された反応点に低融点物質
(b)をグラフト結合させる方法が挙げられる。
【0031】上記ブロック共重合させる方法としては、
例えば、2種以上の樹脂を反応させてブロック共重合体
を合成する方法、2つ以上の分解温度を有する2段階分
解型重合開始剤を用いることによりブロック共重合体を
合成する方法、等が挙げられる。合成の簡便さ等を勘案
すると、2段階分解型重合開始剤を用いる合成方法が好
ましい。
【0032】上記2段階分解型重合開始剤としては、例
えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘ
キサン、ポリ(ヘキサメチレンアゾビスシアノペンタン
酸エステル)、テトラエチルチウラウムジスルフィド、
ポリ(2,5−ジメチルヘキサン−2,5)−(シクロ
ヘキサン−1,4−ジパーカルボキシレ−ト)、ポリア
ゼロイルパーオキサイド、ポリ2,5−ジメチル−2,
5−ジパーアゼレート等が挙げられる。
【0033】次に、請求項3記載の発明のトナーは、請
求項1又は2記載のトナー用樹脂組成物が主成分として
含有されていることを特徴とし、該トナー用樹脂組成物
に、前述したカーボンブラック等の着色剤やその他の添
加剤が含有されてなる微粉末に、鉄粉やガラスビーズ等
のキャリアーが混合されることにより得られる。更に、
磁性粉が混合して使用されてもよい。
【0034】最後に、請求項4記載のトナー用樹脂組成
物の製造方法は、二段階分解型重合開始剤を用いて官能
基を有するビニル系単量体をブロック的に共重合させる
ことを必要とする。ブロック共重合させることによりラ
ンダム共重合させる場合に比べて、官能基同士が凝集し
易く、より強力な凝集力が発現されることにより、定着
性、耐ブロッキング性が向上する。
【0035】上記ブロック共重合のプロセスは、第一段
階で上記二段階分解型重合開始剤の存在下でビニル系単
量体を重合させて過酸化結合を有する樹脂を重合し、第
二段階で官能基を有するビニル系単量体を加えて重合を
終了させるものであり、これによりブロック共重合体が
得られる。上記二段階分解型重合開始剤としては、前記
請求項2記載の発明のトナー用樹脂組成物の製造方法の
項にて列挙した重合開始剤と同様のものが用いられる。
【0036】上記プロセスにより得られるブロック共重
合体は、分子量3×103 〜5×104 の領域及び分子
量3×105 〜5×106 の領域それぞれに分子量分布
の極大値を有するものとされる。上記分子量分布におけ
る前者の極大値が、上記範囲より小さいと、得られるト
ナーの耐ブロッキング性が低下することがあり、上記範
囲よりも大きいと得られるトナーの定着性が低下するこ
とがある。上記分子量分布における後者の極大値が、上
記範囲より小さいと、得られるトナーの耐オフセット性
が低下することがあり、上記範囲よりも大きいと得られ
るトナーの定着性が低下することがある。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の非限定的な実施例
及び比較例を挙げることにより、本発明を更に詳細に説
明する。なお、単に「部」と示すのは「重量部」を意味
する。
【0038】実施例1 スチレン75部、アクリル酸n−ブチル15部に、アク
リル酸10部を重合して得られた分子量極大値が55万
である重合体30部と融点が60℃のステアリルアルコ
ール15部とトルエン100部とをフラスコ内に投入し
て溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで置換した後、
トルエンの沸点まで加熱した。トルエンの還流が起きた
状態で撹拌しながら、スチレン70部、メタクリル酸メ
チル15部、アクリル酸n−ブチル15部及びベンゾイ
ルパーオキサイド(重合開始剤)6部の混合溶液を3時
間かけて滴下し溶液重合を行った。
【0039】滴下終了後、トルエンの還流下で撹拌しな
がら3時間熟成した。その後、フラスコ内の温度を18
0℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱溶剤
して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕することによ
り本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0040】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、8000と55万であっ
た。また、酸価は、4KOHmg/g であった。GPCの測定
条件は、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラ
ン、流速:1mm/分、試料濃度:0.2%、試料の
量:100μl、カラム:KF−80Mを2本及びKF
−802.5(いずれもShodex社製)であった。また、
融点は、示差熱天秤(DSC)によるピークの変曲点よ
り導き出した。
【0041】また、別途、ステアリルアルコールを添加
しないで重合し、その酸価を測定したところ9KOHmg/g
であった。この値が上記4KOHmg/g まで低下したことよ
り、アクリル酸部分にステアリルアルコールがグラフト
結合していることが確認された。
【0042】酸価の測定方法としては、試料2.0gを
精秤してメチルエチルケトン30mlにより溶解し、得
られた溶液を1%フェノールフタレイン溶液を指示薬と
して、1/50N水酸化カリウム/イソプロピルアルコ
ール溶液(KOH/IPA溶液)で滴定を行い、下記の
計算式にて算出した。 《酸価計算式》 酸価 (KOHmg/g)={(1/50)×F×56.11×
(A−B)}/M F:1/50N KOH/IPA溶液の力価 A:溶液の滴定に要したKOH/IPA溶液量 B:空試験(メチルエチルケトン のみ)の滴定に要したKOH/
IPA溶液量 M:試料重量
【0043】上記樹脂組成物100部にカーボンブラッ
ク(三菱化学社製:MA−100)4部を加えメルトブ
レンドし、冷却後、粗粉砕し、更にジェットミルで微粉
砕して、平均粒径13〜15μmのトナーを作製した。
得られたトナー10gを100mlのサンプルびんに取
り、50℃の恒温槽中に16時間放置した後、粒子の合
着の有無によって耐ブロッキング性を評価した。その結
果、耐ブロッキング性は良好であった。
【0044】得られたトナーを用いた微粉末現像剤を、
電子写真複写機(U−Bix2500:コニカ社製)の
改造機に装着して定着温度範囲を測定した。その定着温
度範囲は、定着用の加熱ローラーの設定温度を変えて、
オフセットを発生させずに良好に定着する設定温度で示
した。その結果、定着温度範囲は、150〜230℃と
広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0045】実施例2 スチレン60部、メタクリル酸メチル20部、アクリル
酸2−エチルヘキシル20部を重合して得られた分子量
極大値が38000の低分子量ビニル系重合体100部
と、スチレン77部、アクリル酸ブチル18部、メタク
リル酸グリシジル5部を重合して得られた分子量極大値
が320万の高分子量ビニル系重合体15部と、融点が
99℃のベヘン酸4部と、トルエン200部とをフラス
コ内に投入して溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで
置換した後、トルエンの沸点まで加熱した。トルエンの
還流が起きた状態で3時間撹拌し、その後、フラスコ内
の温度を180℃まで徐々に上げながら、減圧下にトル
エンを脱溶剤して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕
することにより本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0046】得られたトナー用樹脂組成物のGPCによ
り測定された分子量分布の極大値は、38000と32
0万であった。また、酸価は、10KOHmg/g であった。
また、別途、低分子量ビニル系重合体と高分子量ビニル
系重合体とベヘン酸とを同比率でグラフト反応が起こら
ない様にドライブレンドし、その酸価を測定したところ
18KOHmg/g であった。この値が上記10KOHmg/g まで
低下したことよりグリシジル基部分にベヘン酸がグラフ
ト結合していることが確認された。
【0047】上記樹脂組成物を、実施例1と同様にして
トナーを作製し、耐ブロッキング性を評価したところ良
好であった。また、上記トナーを実施例1と同様にして
微粉末現像剤を作製し定着温度範囲を測定したところ、
150〜230℃と広い温度範囲で良好な定着が可能で
あった。
【0048】実施例3 スチレン75部、アクリル酸n−ブチル10部、メタク
リル酸15部とを重合して得られた分子量極大値が40
万である重合体60部と融点112℃のエポキシ基含有
樹脂:ブレンマーCP−30(日本油脂社製:Mw9000、
Mn3800、エポキシ当量529 )40部と、トルエン100
部とをフラスコ内に投入して溶解した。このフラスコ内
を窒素ガスで置換した後、トルエンの沸点まで加熱し
た。トルエンの還流が起きた状態で撹拌しながら、スチ
レン80部、メタクリル酸メチル15部、アクリル酸n
−ブチル4部、メタクリル酸1部及びベンゾイルパーオ
キサイド(重合開始剤)10部の混合溶液を3時間かけ
て滴下し溶液重合を行った。
【0049】滴下終了後、トルエンの還流下で撹拌しな
がら3時間熟成した。その後、フラスコ内の温度を18
0℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱溶剤
して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕することによ
り本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0050】得られたトナー用樹脂組成物のGPCによ
り測定された分子量分布の極大値は、4000と40万
であった。また、酸価は、8KOHmg/g であった。また、
別途、ブレンマーCP−30を添加しないで重合し、そ
の酸価を測定したところ20KOHmg/g であった。この値
が上記8KOHmg/g まで低下したことよりメタクリル酸部
分にブレンマーCP−30がグラフト結合していること
が確認された。
【0051】上記樹脂組成物を、実施例1と同様にして
トナーを作製し、耐ブロッキング性を評価したところ良
好であった。また、上記トナーを実施例1と同様にして
微粉末現像剤を作製し定着温度範囲を測定したところ、
150〜230℃と広い温度範囲で良好な定着が可能で
あった。
【0052】比較例1 スチレン85部、アクリル酸n−ブチル15部を重合し
て得られた分子量極大値が55万である重合体を高分子
量ビニル系重合体として用いた以外は、実施例1と同様
にしてトナー及び微粉末現像剤を作製し、評価を行っ
た。ステアリルアルコールのグラフトする反応点がない
ため、耐ブロッキング性を評価したところ、粒子の合着
が一部認められ良好な結果は得られなかった。また、定
着温度範囲は、160〜220℃と狭く、実施例1の様
な広い定着温度範囲を得ることはできなかった。
【0053】比較例2 ベヘン酸の代わりに融点44℃のラウリン酸を用いた以
外は、実施例2と同様にしてトナー及び微粉末現像剤を
作製し、評価を行った。融点が低すぎるため、耐ブロッ
キング性を評価したところ、粒子の合着が認められ良好
な結果は得られなかった。また、定着温度範囲は、15
0〜210℃と狭く、実施例2の様な広い定着温度範囲
を得ることはできなかった。
【0054】比較例3 ベヘン酸の代わりに融点154℃のアジピン酸を用いた
以外は、実施例2と同様にしてトナー及び微粉末現像剤
を作製し、評価を行った。融点が高すぎるため、耐ブロ
ッキング性を評価したところ、良好な結果が得られたも
のの、定着温度範囲は、170〜230℃と狭く、実施
例2の様な広い定着温度範囲を得ることはできなかっ
た。
【0055】比較例4 スチレン89部、アクリル酸n−ブチル10部、メタク
リル酸1部とを重合して得られた分子量極大値が40万
である高分子量ビニル系重合体成分を用い、且つ、低分
子量ビニル系重合体成分の組成を、スチレン66部、メ
タクリル酸メチル15部、アクリル酸n−ブチル4部、
メタクリル酸15部に変更した以外は、実施例3と同様
にしてトナー及び微粉末現像剤を作製し、評価を行っ
た。ブレンマーCP−30の反応点が高分子量ビニル系
重合体成分よりも低分子量ビニル系重合体成分に多く存
在したため、耐ブロッキング性を評価したところ、粒子
の合着が一部認められ良好な結果は得られなかった。ま
た、定着温度範囲は、155〜230℃と比較的良好で
あったものの、実施例3の様な広い定着温度範囲を得る
ことはできなかった。
【0056】得られた結果を表1に示す。
【表1】
【0057】実施例4 スチレン70部、アクリル酸n−ブチル20部に、アク
リル酸15部をブロック共重合して得られた分子量極大
値が50万である重合体30部と融点が60℃のステア
リルアルコール10部とトルエン100部とをフラスコ
内に投入して溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで置
換した後、トルエンの沸点まで加熱した。トルエンの還
流が起きた状態で撹拌しながら、スチレン62部、メタ
クリル酸メチル15部、アクリル酸n−ブチル23部及
びベンゾイルパーオキサイド(重合開始剤)4.5部の
混合溶液を3時間かけて滴下し溶液重合を行った。
【0058】滴下終了後、トルエンの還流下で撹拌しな
がら3時間熟成した。その後、フラスコ内の温度を18
0℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱溶剤
して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕することによ
り本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0059】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、1万と50万であり、ガラ
ス転移点は、52℃及び102℃に存在した。スチレン
−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラス転移点
(52℃)とアクリル酸のガラス転移点(102℃)と
の双方が現れていることよりアクリル酸部分がブロック
共重合されていることが確認された。また、酸価は、1
0KOHmg/g であった。なお、GPCの測定条件は、実施
例1における条件と同一であった。また、融点及びガラ
ス転移点は、示差熱天秤(DSC)によるピークの変曲
点より導き出した。
【0060】更に、別途、ステアリルアルコールを添加
しないで重合し、その酸価を測定したところ20KOHmg/
g であった。この値が上記10KOHmg/g まで低下したこ
とより、アクリル酸部分にステアリルアルコールがグラ
フト結合していることが確認された。なお、酸価は、前
記測定方法を用い、前記計算式により算出した。
【0061】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し、耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、145〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0062】実施例5 スチレン89.5部、アクリル酸n−ブチル10部、メ
タクリル酸0.5部を共重合して得られた分子量極大値
が4000の低分子量ビニル系重合体100部と、スチ
レン68部、アクリル酸ブチル22部に対してメタクリ
ル酸10部をブロック共重合して得られた分子量極大値
が350万の高分子量ビニル系重合体15部と、融点1
12℃のエポキシ基含有樹脂:ブレンマーCP−30
(日本油脂社製:Mw9000、Mn3800、エポキシ当量529 )
5部と、トルエン200部とをフラスコ内に投入して溶
解した。このフラスコ内を窒素ガスで置換した後、トル
エンの沸点まで加熱した。トルエンの還流が起きた状態
で3時間撹拌し、その後、フラスコ内の温度を180℃
まで徐々に上げながら減圧下にトルエンを脱溶剤して樹
脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕することにより本発
明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0063】得られたトナー用樹脂組成物のGPCによ
り測定された分子量分布の極大値は、4000と350
万であり、ガラス転移点は、58℃及び187℃に存在
した。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体
のガラス転移点(58℃)とアクリル酸のガラス転移点
(187℃)との双方が現れていることよりメタクリル
酸部分がブロック共重合されていることが確認された。
また、酸価は、6KOHmg/g であった。
【0064】また、別途、低分子量ビニル系重合体と高
分子量ビニル系重合体とブレンマーCP−30とを同比
率でブラフト反応が起こらないようにドライブレンド
し、その酸価を測定したところ11KOHmg/g であった。
この値が上記6KOHmg/g まで低下したことより、メタク
リル酸部分にブレンマーCP−30がグラフト結合して
いることが確認された。なお、酸価は、前記測定方法を
用い、前記計算式により算出した。
【0065】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、145〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0066】実施例6 スチレン80部、アクリル酸2−エチルヘキシル15部
に、メタクリル酸グリシジル10部をブロック共重合し
て得られた分子量極大値が38万である重合体50部と
融点が75℃のベヘニルアルコール25部とトルエン1
00部とをフラスコ内に投入して溶解した。このフラス
コ内を窒素ガスで置換した後、トルエンを90℃に保っ
た状態で攪拌しながら、スチレン72部、メタクリル酸
メチル10部、アクリル酸n−ブチル15部及び1,1
−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(二段
階分解型重合開始剤)1.5部の混合溶液を2時間かけ
て滴下した。
【0067】滴下終了後、系内の温度をトルエンの還流
温度まで上げ、メタクリル酸グリシジル3部を1時間か
けて滴下し、二段階溶液重合を行った。滴下終了後、ト
ルエンの還流下で撹拌しながら3時間熟成した。その
後、フラスコ内の温度を180℃まで徐々に上げなが
ら、減圧下にトルエンを脱溶剤して樹脂を得た。この樹
脂を冷却し、粉砕することにより本発明のトナー用樹脂
組成物を得た。
【0068】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、4.1万と38万であり、
ガラス転移点は、44℃及び65℃に存在した。スチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体のガラス転移点(65
℃)とメタクリル酸グリシジルのガラス転移点(44
℃)との双方が現れていることより、メタクリル酸グリ
シジル部分がブロック共重合していることが確認され
た。
【0069】また、別途、ベヘニルアルコールを添加し
ないで重合した樹脂組成物と、上記トナー用樹脂組成物
について、赤外分光分析を行い、グリシジル部分のエポ
キシ環の吸収の比較を行った。その結果、ベヘニルアル
コールを添加しないものに比べて、上記トナー用樹脂組
成物でのピーク強度が弱くなっており、グラフト結合に
よりエポキシ環が減少したことが確認された。
【0070】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、145〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0071】得られた結果を表2に示す。
【表2】
【0072】実施例7 トルエン100部をフラスコ内に投入し、フラスコ内を
窒素ガスにて置換した後、トルエンを80℃に保った状
態で攪拌しながら、スチレン70部、アクリル酸n−ブ
チル20部及び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
2−メチルシクロヘキサン(二段階分解型重合開始剤)
0.5部の混合溶液を5時間かけて滴下した。その後、
系内の温度を90℃まで上げ、アクリル酸10部を3時
間かけて滴下し、二段階溶液重合を行った。
【0073】滴下終了後、トルエンの還流下で攪拌しな
がら3時間熟成を行った。その後、フラスコ内の温度を
180℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱
溶剤して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕すること
により樹脂(i)を得た。得られた樹脂(i)のゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測
定された分子量分布の極大値は35万であり、ガラス転
移点は、61℃及び101℃に存在した。スチレン−ア
クリル酸エステル共重合体のガラス転移点(61℃)と
アクリル酸のガラス転移点(101℃)との双方が現れ
ていることより、アクリル酸部分がブロック共重合して
いることが確認された。
【0074】得られた樹脂(i)40部とトルエン10
0部とをフラスコ内に投入して溶解した。このフラスコ
内を窒素ガスで置換した後、トルエンの沸点まで加熱し
た。トルエンの還流が起きた状態で攪拌しながら、スチ
レン70部、メタクリル酸メチル15部、アクリル酸n
−ブチル15部及びベンゾイルパーオキサイド(重合開
始剤)4.5部の混合溶液を3時間かけて滴下し溶液重
合を行った。
【0075】滴下終了後、トルエンの還流下で攪拌しな
がら3時間熟成させた。その後、フラスコ内の温度を1
80℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱溶
剤して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕することに
より本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0076】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、1.1万と35万であり、
ガラス転移点は、63℃及び100.1℃に存在した。
スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のガラ
ス転移点(63℃)とアクリル酸のガラス転移点(10
0.1℃)との双方が現れていることより、アクリル酸
部分がブロック共重合していることが確認された。
【0077】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、150〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0078】実施例8 実施例7で得られた樹脂(i)50部とトルエン100
部とをフラスコ内に投入して溶解した。このフラスコ内
を窒素ガスで置換した後、トルエン溶液を80℃に保っ
た状態で攪拌しながら、スチレン80部、アクリル酸n
−ブチル17部及びポリ(2,5−ジメチルヘキサン−
2,5)−(シクロヘキサン−1,4−ジパーカルボキ
シレート)(二段階分解型重合開始剤)7部の混合溶液
を3時間かけて滴下した。
【0079】滴下終了後、系内の温度を90℃まで上
げ、メタクリル酸3部を2時間かけて滴下し二段階溶液
重合を行った。滴下終了後、トルエンの還流下で攪拌し
ながら3時間熟成させた。その後、フラスコ内の温度を
180℃まで徐々に上げながら、減圧下にトルエンを脱
溶剤して樹脂を得た。この樹脂を冷却し、粉砕すること
により本発明のトナー用樹脂組成物を得た。
【0080】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、0.7万と35万であり、
ガラス転移点は、61℃と101.5℃と185.1℃
とに存在した。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体のガラス転移点(61℃)とアクリル酸のガラ
ス転移点(101.5℃)とメタクリル酸のガラス転移
点(185.1℃)とのそれぞれが現れていることよ
り、アクリル酸部分及びメタクリル酸部分がブロック共
重合していることが確認された。
【0081】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、150〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0082】実施例9 実施例7で得られた樹脂(i)35部とトルエン100
部とをフラスコ内に投入して溶解した。このフラスコ内
を窒素ガスで置換した後、トルエン溶液を80℃に保っ
た状態で攪拌しながら、スチレン70部、メタクリル酸
メチル15部、アクリル酸2−エチルヘキシル13部及
び1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシ
クロヘキサン(二段階分解型重合開始剤)4部の混合溶
液を3時間かけて滴下した。
【0083】滴下終了後、系内の温度を90℃まで上
げ、β−ヒドロキシエチルメクリレート2部を2時間か
けて滴下し二段階溶液重合を行った。滴下終了後、トル
エンの還流下で攪拌しながら3時間熟成させた。その
後、フラスコ内の温度を180℃まで徐々に上げなが
ら、減圧下にトルエンを脱溶剤して樹脂を得た。この樹
脂を冷却し、粉砕することにより本発明のトナー用樹脂
組成物を得た。
【0084】得られたトナー用樹脂組成物のゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により測定さ
れた分子量分布の極大値は、1.5万と35万であり、
ガラス転移点は、53.5℃と66℃と99.8℃とに
存在した。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重
合体のガラス転移点(66℃)とアクリル酸のガラス転
移点(99.8℃)とβ−ヒドロキシエチルメクリレー
トのガラス転移点(53.5℃)とのそれぞれが現れて
いることより、アクリル酸部分及びβ−ヒドロキシエチ
ルメクリレート部分がブロック共重合していることが確
認された。
【0085】上記樹脂組成物を用い、実施例1と同様に
してトナーを作製し耐ブロッキング性を評価したとこ
ろ、耐ブロッキング性は良好であった。また、得られた
トナーを用い、実施例1と同様にして微粉末現像剤を作
製し定着温度範囲を測定したところ、150〜230℃
と広い温度範囲で良好な定着が可能であった。
【0086】得られた結果を表3に示す。
【表3】
【0087】
【発明の効果】上述の通り、請求項1記載の発明のトナ
ー用樹脂組成物は、分子量3×103〜5×104 の領
域に分子量分布の極大値を有する低分子量ビニル系重合
体成分と、分子量3×105 〜5×106 の領域に分子
量分布の極大値を有する高分子量ビニル系重合体成分と
を主成分とするビニル系共重合体(a)に、融点が50
〜120℃の低融点物質(b)がグラフト結合している
ことにより、低温定着性と耐オフセット性のバランスを
とり、広い定着温度範囲を得ることができる。
【0088】また、低融点物質(b)が、ビニル系共重
合体(a)における、低分子量ビニル系重合体成分より
も高分子量ビニル系重合体成分に多くグラフト重合して
いることにより、樹脂全体の、特に高分子量ビニル系重
合体成分の低温流動性が向上し、更に低温定着性が向上
している。また、耐ブロッキング性と定着性とのバラン
スが向上している。
【0089】請求項2記載の発明のトナー用樹脂組成物
は、低融点物質(b)が、少なくともビニル系共重合体
(a)の高分子量ビニル系重合体成分にブロック的にグ
ラフト結合していることにより、樹脂全体特に高分子量
ビニル系重合体成分の低温流動性が向上し、更に、高温
での粘度が維持されて高温耐オフセット性も向上してい
る。
【0090】請求項3記載のトナーは、上記請求項1又
は2記載のトナー用樹脂組成物を主成分として含有する
ものであるので、耐ブロッキング性及び耐オフセット性
に優れ、広い定着温度範囲が発現される。
【0091】請求項4記載のトナー用樹脂組成物の製造
方法により、官能基を有するビニル系単量体が二段階分
解型重合開始剤によりブロック的に共重合することによ
り、官能基の凝集力が発現して定着性及び耐ブロッキン
グ性が向上する。これは、常温下では凝集力が強く働い
て耐ブロッキング性が向上し、加熱時には、熱により凝
集力が弱まって流動性が上がって定着性が向上するもの
と考えられる。
【0092】また、請求項4記載の製造方法により得ら
れるトナー用樹脂組成物は、分子量3×103 〜5×1
4 の領域及び分子量3×105 〜5×106 の領域そ
れぞれに分子量分布の極大値を有するビニル系共重合体
を主成分とするため、定着性と耐オフセット性のバラン
スが良好で広い定着温度範囲が得られる。よって、請求
項4記載の製造方法により得られるトナー用樹脂組成物
は、耐ブロッキング性、耐オフセット性に優れ、広い定
着温度範囲を得ることができる。
【0093】以上より、本発明のトナー用樹脂組成物及
びその製造方法並びにトナーは、低速から高速にいたる
加熱ローラー定着方式の電子写真複写機に好適に使用さ
れ得る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量3×103 〜5×104 の領域に
    分子量分布の極大値を有する低分子量ビニル系重合体成
    分と、分子量3×105 〜5×106 の領域に分子量分
    布の極大値を有する高分子量ビニル系重合体成分とを主
    成分とするビニル系共重合体(a)に、融点が50〜1
    20℃の低融点物質(b)がグラフト結合してなり、該
    低融点物質(b)は、ビニル系共重合体(a)の低分子
    量ビニル系重合体成分よりも高分子量ビニル系重合体成
    分の方へ量的に多くグラフト結合していることを特徴と
    するトナー用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 低融点物質(b)が、少なくともビニル
    系共重合体(a)の高分子量ビニル系重合体成分にブロ
    ック的にグラフト結合していることを特徴とする請求項
    1記載のトナー用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のトナー用樹脂組成
    物を主成分として含有していることを特徴とするトナ
    ー。
  4. 【請求項4】 二段階分解型重合開始剤を用いて官能基
    を有するビニル系単量体をブロック的に共重合させるこ
    とにより、分子量3×103 〜5×104 の領域及び分
    子量3×105 〜5×106 の領域それぞれに分子量分
    布の極大値を有するビニル系共重合体を主成分とする樹
    脂を得ることを特徴とするトナー用樹脂組成物の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010286794A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Sharp Corp トナーおよびトナーの製造方法
JP2011053310A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Sharp Corp トナーおよびその製造方法

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JP2010286794A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Sharp Corp トナーおよびトナーの製造方法
JP2011053310A (ja) * 2009-08-31 2011-03-17 Sharp Corp トナーおよびその製造方法

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