JP3209680B2 - 電子写真用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナーおよびその製造方法

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JP3209680B2
JP3209680B2 JP10964096A JP10964096A JP3209680B2 JP 3209680 B2 JP3209680 B2 JP 3209680B2 JP 10964096 A JP10964096 A JP 10964096A JP 10964096 A JP10964096 A JP 10964096A JP 3209680 B2 JP3209680 B2 JP 3209680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用トナーに
関し、特に熱ロール定着方式を採用している複写機又は
プリンターに用いられる電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機及び
プリンターはその普及が広まるにつれて、家庭への普
及、および複写機又はプリンターの多機能化を主な目的
とした低エネルギー化(消費電力の削減)、印刷機と複
写機との境に位置するいわゆるグレイエリアへの普及を
目的とした高速化が望まれ、あるいは機械コストを下げ
るために熱定着ロールの簡素化を図る、例えば低ロール
圧力化が望まれている。また、複写機の高級化にともな
い両面コピー機能や原稿自動送り装置の搭載された複写
機が広く普及されてきたため、複写機及びプリンターに
用いられる電子写真用トナーには定着温度が低く、耐オ
フセット性に優れ、かつ両面コピー時の汚れや原稿自動
送り装置における汚れの発生を防止するため、転写紙へ
の定着強度の優れた電子写真用トナーが要求されてい
る。
【0003】上記要求に対して、結着樹脂の分子量や分
子量分布を改良した電子写真用トナーなどが提案されて
いる。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着温度
を低くしようとする試みがなされていた。しかしなが
ら、低分子量化することにより融点低下したが、同時
に粘度も低下したため、熱定着ロールに高温オフセット
現象が発生するという問題が生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このオフセット現象の
発生を防ぐため、該結着樹脂の分子量分布の低分子量領
域と高分子量領域とを広くしたり、あるいは高分子部分
を架橋させたりする方法が採用されている。しかしなが
ら、これらの方法で高温オフセット現象を防止すると低
温定着性が悪化するため、転写紙へのアンカー効果を期
待して、結着樹脂のガラス転移温度を下げざるを得なか
った。ガラス転移温度を下げると、トナーの溶融開始温
度も下がってしまい、室温付近でトナーが溶融し始め、
保存性が損なわれてしまうという新たな問題が生じてい
た。また、結着樹脂中の分子量分布を制御する方法によ
れば従来の製造方法では、高分子量体の極大分子量を8
×105 以上とすることは困難であった。具体的には、
例えばスチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
を溶液重合法で、またポリエステル樹脂を縮重合法で、
分子量が8×105 以上の高分子量体を得ようとする
と、ゲル化が生じて重合操作に重大な障害が生じ、また
得られた該高分子量体をトナーに配合すると、低温定着
性に支障をきたし問題を生ずるものであった。このため
低温定着性と耐オフセット性とのバランスを考慮する
と、トナー中の高分子量体比率を25〜50%程度とせ
ざるを得なかった。したがって、このような高分子量体
比率が高い樹脂は溶融粘度が高くならざるを得なかっ
た。
【0005】また、オフセット現象を防ぐため低分子量
ポリプロピレン等の離型剤を含有させる方法も採用され
ていた。しかしながら、従来市販されている低分子量ポ
リプロピレンは融点が135〜145℃であり、該低分
子量ポリプロピレンをトナー中に含有して低い定着温度
で定着させた場合は、オフセット現象を防ぐ効果が十分
に得られずオフセットが発生し、かつトナーの融点が高
くなるため、転写紙への十分な定着強度を得ることがで
きないという問題があった。
【0006】また、上記離型剤の他に石炭を原料とする
フィッシャートロプシュワックスをトナーに配合するこ
とが特開昭61−273554号公報において開示され
ている。フィッシャートロプシュワックスは高離型性を
有するため、オフセット現象の発生を防ぐことができ
る。しかし、該ワックスは従来より使用されているポリ
プロピレンワックスより低融点であるため従来から使用
されている結着樹脂、例えば先に説明した従来から使用
されている高分子量体比率の高い樹脂にそのまま添加す
ると、フィッシャートロプシュワックスと結着樹脂との
溶融粘度差が大きいために、容易に分散しなかった。ま
た、高シェアをかけて混練し、好ましい分散性を得よう
とすると、樹脂の高分子量体が切断され、樹脂の溶融粘
度が低下し、耐高温オフセット性が悪化するという不都
合が生じた。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、結着樹脂の高分子量体の極大値分子量を8×10
5 以上とすることで、トナーにおける高分子量樹脂比率
を下げることを可能にし、これによってフィッシャート
ロプシュワックスと、結着樹脂との溶融粘度差を低減せ
しめ、結着樹脂中にフィッシャートロプシュワックスを
良好に分散させた。さらに、結着樹脂を天然ガスを原料
に製造され、融点が85〜110℃であるフィッシャー
トロプシュワックスの共存下にて重合することにより、
ワックスの分散を向上させた。つまり、混練では、分散
性と耐高温オフセット性を両立することができなかった
が、本発明は、結着樹脂に、天然ガスを原料に製造さ
れ、融点が85〜110℃であるフィッシャートロプシ
ュワックスを良好に分散させることにより、低い定着温
度で定着することができ、非オフセット幅を広く維持で
き、オフセット性においても実用上なんら問題を発生
せず、転写紙への定着強度の優れた電子写真用トナーを
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、天然ガスを原
料に製造され、融点が85〜110℃であるフィッシャ
ートロプシュワックスを含有し、結着剤としてスチレン
/アクリル酸エステルまたはスチレン/メタアクリル酸
エステルを含有し、かつトナーのゲルパーミュエイショ
ンクロマトグラフィーに少なくとも2つの極大値を有
し、その一方の極大値の分子量が8×105 以上かつ他
の一つの極大値の分子量が3000〜10000であ
り、前記結着剤が、GPCにおける極大値が8×105
以上にある高分子量スチレン/(メタ)アクリル酸エス
テル共重合体および前記フィッシャートロプシュワック
スの存在下で重合されたものであることを特徴とする電
子写真用トナーにより上記目的を達成した。また、本発
明は、天然ガスを原料に製造され、融点が85〜110
℃であるフィッシャートロプシュワックス、及び結着樹
脂としてスチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合
体を含有し、かつトナーのGPCに少なくとも2つの極
大値を有し、その一方の極大値の分子量が8×105
上かつ他の一方の極大値の分子量が3000〜1000
0の範囲にある電子写真用トナーの製造方法であって、
スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して
GPCにおける極大値が8×105 以上にある高分子量
樹脂を得る工程と、前記高分子量樹脂および前記フィッ
シャートロプシュワックスの存在下に、スチレンと(メ
タ)アクリル酸エステルとを共重合してフィッシャート
ロプシュワックスを含有する結着樹脂を得る工程とを有
することを特徴とする電子写真用トナーの製造方法によ
り上記目的を達成した。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電子写真用トナーは、天然ガスを原料に製造され、融点
が85〜110℃であるフィッシャートロプシュワック
スと、結着樹脂と、その他の添加剤とから構成されてい
る。まず上記フィッシャートロプシュワックスについて
説明する。フィッシャートロプシュワックスは、天然ガ
スを原料として、フィッシャートロプシュ法により製造
されたものである。より具体的には、一酸化炭素の触媒
水素化により合成されたワックス状炭化水素である。そ
して構造的にはメチル分岐の少ない直鎖状のパラフィン
系ワックスである。
【0010】フィッシャートロプシュワックスは、従来
より離型剤として使用されているポリプロピレンワック
スと比較すると、低融点であるため低温定着性に優れて
いる。特に天然ガスを原料とするフィッシャートロプシ
ュワックスは、石炭から水性ガスを取り出す工程が必要
ないためトナーを安価に供給できる利点を有する。
【0011】このような天然ガスを原料とするフィッシ
ャートロプシュワックスとしては、シェル・MDS社製
の商品名:FT−100等を例示できる。
【0012】また、フィッシャートロプシュワックス
は、JIS K−2235で測定した25℃における針
入度が2以下であることが好ましい。針入度が2より大
きいと、トナー化した際に流動性が悪くなりやすく、保
存安定性及びキャリア粒子等との摩擦帯電性に問題が生
じやすいため好ましくない。また、フィッシャートロプ
シュワックスは、示差走査熱量分析計(以下、DSCと
略す)による融点が85〜110℃であるものである
融点が85℃より低いものは、トナーの保存安定性に問
題が生じやすく、また流動性が悪くなりやすい。一方、
110℃より高いとトナーの溶融粘度を下げる効果が少
ないためトナーの低温定着性が得がたくなる
【0013】次に本発明の電子写真用トナーを構成す
ィッシャートロプシュワックス以外の材料、すなわち
結着樹脂、着色剤等について説明する。本発明に使用さ
れる結着樹脂は、スチレン/アクリル酸エステル共重合
体樹脂、スチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹
脂を必須の構成とする。本発明に適用される重合性単量
体としては、スチレンの他に、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルス
チレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレ
ン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレ
ン、p−n−オクチルスチレン、p−メトキシスチレ
ン、p−フェニルスチレン、およびp−クロルスチレン
等がある。アクリル酸エステル単量体、またはメタクリ
ル酸エステル単量体の例としては、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オク
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メ
タクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタ
クリル酸n−オクチル、などのアクリル酸またはメタク
リル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロル
エチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メ
チル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2
−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチ
ル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、メ
タクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチ
ルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、
メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−
2ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリシジル、ビスグ
リシジルメタクリレート、およびポリエチレングリコー
ルジメタクリレートなどを挙げることができる。その中
でも、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル
などが特に好ましく用いられる。
【0014】本発明の電子写真用トナーでは、上記スチ
レン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体以外に、全
結着樹脂に対して50重量%以下を目安に、下記高分子
量分布を有する樹脂を併用することができる。例えば、
ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、及
びエポキシ樹脂等を併用することができる。
【0015】結着樹脂のGPCには少なくとも2つの極
大値を有することが好ましい。そのうちの一つの極大値
の分子量は3000〜10000の範囲にあることが好
ましい。3000未満では樹脂強度が低くなり、脆く過
粉砕されやすいため好ましくない。また10000より
大きいとトナーの溶融開始温度が高くなり低温定着性が
悪化するため好ましくない。他の一つの極大値は8×1
5 以上が好ましい。8×105 以上という従来の値と
比較して大きな極大値を有する樹脂によれば高分子量
比率を下げることができ、これによって本願発明の目
的を達成できるからである。また、極大値の分子量が8
×105 以上であるの高分子量樹脂は、トナーの総重量
に対して20%以下の割合で含有されていることが好ま
しい。高分子量樹脂比率を20%以下にすることで結着
樹脂の溶融粘度を下げ、フィッシャートロプシュワック
スの溶融粘度の差を低減することができ、これによって
結着樹脂にフィッシャートロプシュワックスを充分分散
できるからである。トナーの主成分は結着樹脂であるた
め、結着樹脂の分子量を制御すると、直接的にトナーの
分子量が影響を受ける。したがって、上記範囲に結着樹
脂の分子量を制御すると、トナーの分子量を、一方を8
×105 以上とし、他の一方の極大値を3000〜10
000の範囲に制御することができる。
【0016】着色剤として、カーボンブラック、ニグロ
シン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロ
ムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレ
ッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、
フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレー
トおよびこれらの混合物などを挙げることができる。こ
れらの着色剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに十
分な割合で含有されることが必要であり、通常結着樹脂
100重量部に対して1〜20重量部程度の割合とされ
る。さらにまた、その他の添加剤としては、モノアゾ含
金染料、ニグロシン染料、トリフェニルメタン化合物、
4級アンモニウム塩化合物、および樹脂系帯電制御剤等
の帯電制御剤、シリカ、アルミナ、および酸化チタン等
の流動性向上剤を挙げることができる。
【0017】以下、本発明の電子写真用トナーの製造方
法、特に先に説明した少なくとも2つの極大値を有する
樹脂の製造方法について説明する。本発明でいう、少な
くとも2つの極大値を有する樹脂の製法は後述の合成例
1に示すとおりである。天然ガスを原料に製造され、融
点が85〜110℃であるフィッシャートロプシュワッ
クスの結着樹脂への分散性を向上させるためには、後記
合成例のごとく、結着樹脂の重合時に前記フィッシャー
トロプシュワックスを共存させる。前記フィッシャート
ロプシュワックスの共存下にて重合することにより、
記フィッシャートロプシュワックスの分散が向上しトナ
ー粉砕時の脱落がなくなり、非オフセット幅を広く維持
できる。
【0018】本発明の電子写真用トナーは、前記のごと
きフィッシャートロプシュワックスを含んだ結着樹脂、
および着色剤に、その他のトナー成分、例えば電荷制御
剤、離型剤、磁性体等を適宜分散含有せしめたものを、
エクストルーダー等で熱溶融混練した後、ジェットミル
等で粉砕し、その平均粒子径を5〜20μmの範囲に分
級することにより得られる。また、このようにして得ら
れる粒子にシリカ微粉体等よりなる流動性向上剤を添加
混合して電子写真用トナーを構成してもよい。本発明の
電子写真用トナーは、鉄粉、フェライト、造粒マグネタ
イト、または磁性粉を含有する樹脂微粉末等よりなるキ
ャリアと混合されて二成分現像剤、またはキャリアと混
合をせず、一成分用現像剤として使用することもでき
る。
【0019】なお、本願明細書において「融点」とは、
下記条件下のDSCの吸収熱量のピーク温度を意味す
る。その条件はセイコー電子工業社SSC−5200を
用い、20〜150℃の間を10℃/分の割合で昇温さ
せ、次に150℃から20℃に急冷させる過程を2回繰
り返し2回目の吸収熱量を測定するものである。また、
「分子量」とは、下記条件下でのGPCの測定値を意味
する。その測定条件とは、カラム温度:40℃、溶剤:
テトラヒドロフラン、流速:1ml/分、試料濃度:
0.2wt%、試料量:100μl、カラム:KF−8
0Mを2本及びKF−802.5(Shodex社製)
である。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例において「部」とは「重量部」を示す。 <合成例1> 高分子量樹脂の重合: (油相の調製)スチレン70重量部とアクリル酸n−ブ
チル30重量部とからなる混合物に、2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部
(重合開始剤)を添加して混合した。 (水相の調製)イオン交換水200重量部と第三燐酸カ
ルシウム10重量部とからなる混合物に、ドデシルスル
ホン酸ナトリウム0.04重量部を添加した後、攪拌す
ることにより水相を調製した。前記油相と水相とをセパ
ラブルフラスコに加え、室温で高速攪拌機を用いて30
0rpmで1分間攪拌することにより懸濁させた。かか
る懸濁液を60℃で7時間、80℃で2時間、更に90
℃で1時間加熱して含まれる重合性単量体を重合させ
た。次に懸濁液を室温まで冷却した後、重合粒子を濾
別、乾燥してまず高分子量樹脂を得た。本樹脂のGPC
における極大値は1.2×106であった。 スチレン/アクリル酸エステル樹脂の合成: 前記工程において得られた高分子量樹脂15重量部と天
然ガス系フィッシャートロプシュワックスFT−100
(シェル・MDS社製:融点91℃、針入度:1)6部
とキシレン100部とをフラスコに投入して溶解した。
このフラスコ内を窒素ガスで置換した後、キシレンの沸
点まで加熱した。キシレンの還流が起きた状態で攪拌し
ながら、スチレン67部と、アクリル酸n−ブチル12
部と過酸化ベンゾイル(重合開始剤)3部との混合液を
2時間かけて滴下し、溶液重合を行った。滴下終了後、
キシレンの還流下で攪拌しながら1時間かけて熟成を行
い、GPCにおける分子量の極大値が8000と1.2
×106 とにあり、高分子量樹脂比率が15%である本
合成例のスチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂を得
た。
【0021】
【0022】<合成例3> 高分子量樹脂の重合: (油相の調製)スチレン70重量部とアクリル酸n−ブ
チル30重量部とからなる混合物に、2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部
(重合開始剤)を添加して混合した。 (水相の調製)イオン交換水200重量部と第三燐酸カ
ルシウム10重量部とからなる混合物に、ドデシルスル
ホン酸ナトリウム0.04重量部を添加した後、攪拌す
ることにより水相を調製した。 前記油相と水相とをセパラブルフラスコに加え、室温で
高速攪拌機を用いて300rpmで1分間攪拌すること
により懸濁させた。かかる懸濁液を60℃で7時間、8
0℃で2時間、更に90℃で1時間加熱することにより
含まれる重合性単量体を重合させた。次に懸濁液を室温
まで冷却した後、重合粒子を濾別、乾燥してまず高分子
量樹脂を得た。本樹脂のGPCにおける極大値は1.2
×106であった。 スチレン/アクリル酸エステル樹脂の重合: 前記工程において得られた高分子量樹脂15重量部とキ
シレン100重量部とをフラスコに投入して溶解した。
このフラスコ内を窒素ガスで置換した後、キシレンの沸
点まで加熱した。キシレンの還流が起きた状態で攪拌し
ながら、スチレン72部とアクリル酸n−ブチル13部
と過酸化ベンゾイル(重合開始剤)3.3部とからなる
混合液を2時間かけて滴下し、溶液重合を行った。滴下
終了後、キシレンの還流下で攪拌しながら1時間かけて
熟成を行い、GPCにおける分子量の極大値が6000
と1.2×106 とにあり、高分子量樹脂比率が15%
である本合成例のスチレン/アクリル酸エステル共重合
樹脂を得た。
【0023】
【0024】実施例1 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後(設定温度110℃)、
ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し
て平均粒子径が10μmの粒子を得た。そして、該粒子
100部と疎水性シリカ(キャボット社製 商品名:キ
ャボシルTS−530)0.3部とをヘンシェルミキサ
ー内で1分間攪拌し、該粒子の表面に疎水性シリカを付
着させ本実施例の電子写真用トナーを得た。このトナー
のGPCにおける極大値分子量は8000と9×1
5 、高分子量樹脂比率は15%であった。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】比較例1 実施例1のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂
の代わりに、GPC極大値分子量が10000と5×1
5 、高分子量樹脂比率40%の樹脂(日本カーバイド
工業社製 商品名:NC−7134V)を使用し、ワッ
クスをスーパーミキサーで混合した以外は、実施例1と
同様にして比較用の電子写真用トナーを得た。このトナ
ーのGPCにおける極大分子量は10000と5×10
5 、高分子量樹脂比率は40%であった。
【0030】比較例2 実施例1のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂
の代わりに、GPC極大値分子量が13000のみに存
在する架橋樹脂(日本カーバイド工業社製 商品名:N
C−6532)を使用した以外は、実施例1と同様にし
て比較用の電子写真用トナーを得た。このトナーのGP
Cにおける極大値分子量は13000であり、ゲル分は
50%であった。
【0031】比較例3 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後(設定温度110℃)、
ジェットミルで粉砕し、その後乾式気流分級機で分級し
て平均粒子径が10μmの粒子を得た。そして、該粒子
100部と疎水性シリカ(キャボット社製 商品名:キ
ャボシルTS−530)0.3部とをヘンシェルミキサ
ー内で1分間攪拌し、該粒子の表面に疎水性シリカを付
着させ比較例用の電子写真用トナーを得た。このトナー
のGPCにおける極大値分子量は6000と9×1
5 、高分子量樹脂比率は15%であった。
【0032】次に前記実施例及び比較例で得られた各電
子写真用トナーについて下記の項目の試験をおこなっ
た。 (1)非オフセット温度領域及び非オフセット温度幅 まず、各電子写真用トナー4部とノンコートフェライト
キャリア(パウダーテック社製 商品名:FL−102
0)96部とを混合して二成分系現像剤を作製した。次
に該現像剤を使用して市販の複写機(シャープ社製 商
品名:SF−9800)によりA4の転写紙に縦2c
m、横5cmの帯状の未定着画像を複数作製した。つい
で、表層がテフロンで形成された熱定着ロールと、表層
がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロールとが対に
なって回転する定着機をロール圧力が1Kg/cm2
びロールスピードが50mm/secになるように調節
し、該熱定着ロールの表面温度を段階的に変化させて、
各表面温度において上記未定着画像を有した転写紙のト
ナー像の定着をおこなった。この時余白部分にトナー汚
れが生じるか否かの観察をおこない、汚れが生じない温
度領域を非オフセット温度領域とした。また、非オフセ
ット温度領域の最大値と最小値の差を非オフセット温度
幅とした。
【0033】(2)定着強度 前記定着機の熱定着ロールの表面温度を130℃に設定
し、前記未定着画像が形成された転写紙のトナー像の定
着をおこなった。そして、形成された定着画像の画像濃
度を反射濃度計(マクベス社製、商品名:RD−91
4)を使用して測定した後、該定着画像に対して綿パッ
ドによる摺擦を施し、ついで同様にして画像濃度を測定
した。得られた測定値から下記式によって定着強度を算
出し低エネルギー定着性の指標とした。 定着強度(%)=(摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦
前の定着画像の画像濃度)×100 上記項目の試験結果及び電子写真用トナーの溶融開始温
度の測定結果を表1に示す。
【0034】(3)流動性 トナーの流動性を表す指標としてJIS K5101に
準じて見掛密度を測定した。 (4)保存安定性 トナー20gを容積150ccのポリエチレン製ボトル
に入れ、50℃の恒温槽で24時間保管した。室温に放
冷後、トナーをボトルから取り出し状態を観察した。
【0035】
【表1】
【0036】表1の試験結果から明らかなように、本発
明の電子写真用トナーの非オフセット温度領域は低温度
から高温度までオフセットが発生せず、その温度幅も
5℃という実用上十分な範囲を維持していることが確認
された。また、定着温度130℃における定着強度が8
3%であり実用上十分な定着強度を有するため、自動原
稿送り装置等に使用しても実用上問題がないことが確認
された。これに対して、比較例1、2、3は低温側非オ
フセット温度が高い。さらに比較例1,2は定着温度1
30℃における定着強度が60%以下という低いもので
ある。比較例1,2は見掛密度が低く、トナー中のワッ
クス分散が良好でないため流動性が劣ることが確認され
た。
【0037】(5)摩擦帯電量および画像濃度 前項(1)における実施例の現像剤を使用して市販の複
写機(東芝社製 商品名:BD−3810)で5000
枚までの連続コピー試験をおこなった結果、摩擦帯電量
が初期から5000枚までの間を−24.4μc/gか
ら−26.2μc/gの値で推移し、画像濃度も初期か
ら5000枚までの間を1.4から1.39までの値
を推移するもので実用上問題のないことが確認された。
なお、連続コピーした原稿は黒色部が6%のA4のもの
であり、摩擦帯電量の測定には東芝ケミカル社製のブロ
ーオフ摩擦帯電量測定装置TB−200を使用し、画像
濃度の測定にはマクベス社製の反射濃度計RD−914
を、そしてカブリの測定には日本電色社色差計Z−10
01DPを使用した。その結果を下記表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーは、十分な非
オフセット温度領域を維持し低い温度で定着することが
でき、かつ定着強度に優れていると共に十分な画像濃度
を多数枚得ることができるという効果を奏する。したが
って、本発明の電子写真用トナーを複写機あるいはプリ
ンター等に適用した場合、消費電力を削減することがで
き、低ロール圧力化による機械コストの低減、複写速度
の高速化等の効果を奏する。また、本発明の電子写真用
トナーの製造方法によれば、天然ガスを原料に製造さ
れ、融点が85〜110℃であるフィッシャートロプシ
ワックスの共存下にて結着樹脂を重合することによ
り、ワックスの分散が向上しトナー粉砕時の脱落がなく
なり、非オフセット幅を広く維持できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−75422(JP,A) 特開 平7−287413(JP,A) 特開 平4−153659(JP,A) 特開 平5−249734(JP,A) 特開 平6−95433(JP,A) 特開 平6−184559(JP,A) 特開 平3−251853(JP,A) 特開 昭60−83040(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ガスを原料に製造され、融点が85
    〜110℃であるフィッシャートロプシュワックス、及
    び結着樹脂としてスチレン/(メタ)アクリル酸エステ
    ル共重合体を含有し、かつトナーのGPCに少なくとも
    2つの極大値を有し、その一方の極大値の分子量が8×
    105 以上かつ他の一方の極大値の分子量が3000〜
    10000の範囲にあり、 前記結着樹脂が、GPCにおける極大値が8×105
    上にある高分子量スチレン/(メタ)アクリル酸エステ
    ル共重合体および前記フィッシャートロプシュワックス
    の存在下で重合されたものであることを特徴とする電子
    写真用トナー。
  2. 【請求項2】 前記フィッシャートロプシュワックスの
    25℃における針入度が2以下であることを特徴とする
    請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. 【請求項3】 トナーのGPCにおける極大値の分子量
    が8×105 以上である高分子量体が20重量%以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の電子写真用トナ
    ー。
  4. 【請求項4】 天然ガスを原料に製造され、融点が85
    〜110℃であるフィッシャートロプシュワックス、及
    び結着樹脂としてスチレン/(メタ)アクリル酸エステ
    ル共重合体を含有し、かつトナーのGPCに少なくとも
    2つの極大値を有し、その一方の極大値の分子量が8×
    105 以上かつ他の一方の極大値の分子量が3000〜
    10000の範囲にある電子写真用トナーの製造方法で
    あって、 スチレンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して
    GPCにおける極大値が8×105 以上にある高分子量
    樹脂を得る工程と、 前記高分子量樹脂および前記フィッシャートロプシュワ
    ックスの存在下に、スチレンと(メタ)アクリル酸エス
    テルとを共重合してフィッシャートロプシュワックスを
    含有する結着樹脂を得る工程とを有することを特徴とす
    る電子写真用トナーの製造方法。
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