JP3058829B2 - 電子写真用トナー及びその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナー及びその製造方法

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JP3058829B2
JP3058829B2 JP12098596A JP12098596A JP3058829B2 JP 3058829 B2 JP3058829 B2 JP 3058829B2 JP 12098596 A JP12098596 A JP 12098596A JP 12098596 A JP12098596 A JP 12098596A JP 3058829 B2 JP3058829 B2 JP 3058829B2
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英之 久保田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用トナーお
よびその製造方法に関する。さらに詳しくは、熱ロール
定着方式を採用している複写機又はプリンターでの使用
に適している電子写真用トナーおよびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機およ
びプリンターはその普及が広まるにつれて、家庭への普
及および複写機又はプリンターの多機能化を主な目的と
した低エネルギー化(消費電力の削減)が望まれてい
る。印刷機と複写機との境に位置するいわゆるグレイエ
リアへの普及を目的とした高速化も望まれている。ある
いは、機械コストを下げるために熱定着ロールの簡素化
を図る、例えば低ロール圧力化が望まれている。また、
複写機の高級化にともない両面コピー機能や原稿自動送
り装置の搭載された複写機が広く普及してきている。こ
のため、複写機およびプリンターに用いられる電子写真
用トナーには、定着温度が低く、耐オフセット性に優
れ、かつ両面コピー時の汚れや原稿自動送り装置におけ
る汚れの発生を防止するため、転写紙への定着強度の優
れた電子写真用トナーが要求されている。
【0003】従来、結着樹脂の分子量や分子量分布を改
良することにより、上記要求を満たす試みがなされてき
た。具体的には、結着樹脂として低分子量を有する樹脂
を用い、定着温度を低くしようとする試みがなされてき
た。しかしながら、低分子量の結着樹脂を使用すること
によりトナーの融点を低くするという目的を果たすこと
はできたが、同時に溶融粘度も低下し、これにより、熱
定着ロールにトナーが付着するという現象、いわゆるオ
フセット現象が発生するという問題が新たに生じた。こ
のオフセット現象の発生を防ぐため、該結着樹脂の分子
量分布の低分子量領域と高分子量領域とを広くしたり、
あるいは高分子部分を架橋させたりする方法が行なわれ
てきた。しかしながら、これらの方法でトナーに低温定
着性を充分に持たせるためには、転写紙へのアンカー効
果を増加する必要があり、結着樹脂のガラス転移温度を
下げざるを得なかった。しかしながら、結着樹脂のガラ
ス転移温度を下げると、トナーの溶融開始温度が下がっ
てしまい、室温付近でトナーが溶融し始め、保存性が損
なわれてしまうという新たな問題が生じた。また、結着
樹脂中の低分子量の樹脂を多く配合すると、トナー自体
が脆くなり、機械的な摩擦等で容易に粉砕され易くな
り、両面コピー時に転写紙が汚れたり、原稿自動送り装
置を汚染するという不都合が生じた。
【0004】また、上記オフセット現象を防ぐため低分
子量ポリプロピレン等の離型剤を含有させる方法もあ
る。しかしながら、従来市販されている低分子量ポリプ
ロピレンは融点が135〜145℃である。この低分子
量ポリプロピレンをトナー中に含有させて低い定着温度
で定着させた場合、オフセット現象を防ぐ効果が十分に
得られずオフセットが発生し、かつトナーの融点が高く
なるため、転写紙への十分な定着強度を得ることができ
ないという問題があった。ポリプロピレンワックス(融
点135〜145℃)は高温耐オフセット性には優れて
いるが、融点が高く低温度での定着には不向きである。
そこでトナーの溶融開始温度を下げるため、融点が低く
シャープな融解挙動を示す低融点ワックスを添加するこ
とが提案された。低融点ワックスとして従来から知られ
ている石油系パラフィンワックスおよびイソパラフィ
ン、ナフテン、芳香族等を含有する低融点マイクロクリ
スタリンワックスは分子量が低いためトナーとしての保
存安定性に問題がある。また前記石油系パラフィンワッ
クス、マイクロクリスタリンワックスは針入度が5以上
と大きいため、トナーのような微粉体では粉体流動性が
低下し、画像特性に好ましくない影響を与え易かった。
また、石炭を原料とするフィッシャートロプシュワック
スをトナーに配合することが特開昭61−273554
号において公知である。このようなトナーはオフセット
防止には有効である。しかしながら、高温雰囲気でのト
ナーの保存安定性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は低い定
着温度で定着することができ、非オフセット性において
も実用上なんら問題を発生せず、転写紙への定着強度の
優れた電子写真用トナーおよびその製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、結着樹脂およ
び着色剤を主成分とする電子写真用トナーにおいて、該
結着樹脂が、フィッシャートロプシュワックスの存在下
で重合されたビニル系共重合体を含有する電子写真用ト
ナーおよびその製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真用トナーは天然ガス系および/または
石炭系フィッシャートロプシュワックスの存在下で重合
されたビニル系共重合体を含有する結着樹脂、着色剤を
主成分とし、その他必要に応じ帯電制御剤等の添加剤か
ら構成される。本発明の電子写真用トナーに適用される
フィッシャートロプシュワックスとして、天然ガスを原
料にフィッシャートロプシュ法により製造されたものが
ある。これは、一酸化炭素の触媒水素化により合成され
たワックス状炭化水素である。そして構造的にはメチル
分岐の少ない直鎖状のパラフィン系ワックスである。こ
のような天然ガス系フィッシャートロプシュワックスと
しては、シェル・MDS社製の商品名:FT−100、
FT−0195、FT−0165、FT−1155等が
上市されている。本発明の電子写真用トナーに適用され
るフィッシャートロプシュワックスとして、石炭を原料
にフィッシャートロプシュ法により製造されたものもあ
る。これは石炭から合成石油を炭化水素合成法により製
造する際、副生するワックスである。例えばサゾール公
社製の商品名「サゾールワックス」として市販されてい
る。構造的にはメチル分岐の少ない直鎖状のパラフィン
系ワックスである。フィッシャートロプシュワックス
は、通常の石油系パラフィンワックスに比してより長い
直鎖構造をもち、またマイクロワックスに比して側鎖の
少ない直鎖状分子である。天然ガス系フィッシャートロ
プシュワックスは、示差走査熱量分析計(以下、DSC
と略す)による融点が85〜100℃であるものが好ま
しい。石炭系フィッシャートロプシュワックスのDSC
による融点は80〜110℃、好ましくは融点85〜1
10℃である。融点が上記範囲の下限より低いものは、
トナーの保存安定性に問題が生じやすく、また流動性が
悪くなりやすい。一方、上記範囲の上限より高いとトナ
ーの溶融粘度を下げる効果が少ないためトナーの低温定
着性が望ましいものとはならない。また、水を溶媒とす
る懸濁・乳化重合方法に於いては溶媒の沸点以上とな
る。なお、ここでいうDSCによる融点は吸収熱量のピ
ーク温度のことであり、セイコー電子工業社SSC−5
200を用い20〜150℃の間を10℃/分の割合で
昇温させ、次に150℃から20℃に急冷させる過程を
2回繰り返し2回目の吸収熱量を測定するものである。
【0008】また、天然ガス系および石炭系フィッシャ
ートロプシュワックスは、JISK−2235で測定し
た25℃における針入度が2以下であることが好まし
く、2より大きいとトナー化した際に流動性が悪くなり
やすく、保存安定性およびキャリア粒子等との摩擦帯電
性に問題が生じやすい。本発明に適用される天然ガス系
または石炭系フィッシャートロプシュワックスはポリプ
ロピレンワックスに比べて低融点であるため低温定着性
に優れている。また、既存の石油系、石炭系パラフィン
ワックスに比して低融点成分が非常に少ないため保存安
定性に優れていると同時に針入度が2以下と小さいため
トナーに配合した際に流動性が阻害されず摩擦帯電性等
にも何等問題が生じない。
【0009】次に本発明の電子写真用トナーの結着樹脂
を構成する重合性単量体について説明する。本発明に適
用されるビニル系単量体としては、スチレンの他に、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、
2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、
p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレ
ン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p
−クロルスチレン等がある。アクリル酸エステル単量体
もしくはメタクリル酸エステル単量体の例としては、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル
酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、などのアク
リル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルの他、ア
クリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−
クロルアクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸
2−ヒドロキシブチル、アクリル酸グリシジル、メタク
リル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、メタクリル酸−2ヒドロキシブチル、メタクリル酸
グリシジル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレートなどを挙げることがで
きる。中でもアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−
ブチルなどが特に好ましく用いられる。その他のビニル
系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エ
チルアクリル酸、クロトン酸などのアクリル酸およびそ
のα−あるいはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイ
ン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボ
ン酸およびそのモノエステル誘導体およびジエステル誘
導体;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステ
ル、コハク酸モノメタクリロイルオキシエチルエステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
アミドなどを挙げることができる。
【0010】また本発明のトナーを構成する着色剤とし
ては、カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブ
ルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラ
マリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロ
ー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブル
ー、マラカイトグリーンオクサレート、およびこれらの
混合物、その他を挙げることができる。さらにまた、そ
の他の添加剤としてモノアゾ含金染料、ニグロシン染
料、トリフェニルメタン化合物、4級アンモニウム塩化
合物、樹脂系帯電制御剤等の帯電制御剤、シリカ、アル
ミナ、酸化チタン等の流動性向上剤等を必要に応じ配合
することもできる。
【0011】次に本発明の電子写真用トナーの製造方法
について述べる。本発明に使用する天然ガス系および石
炭系フィッシャートロプシュワックスは低融点であるた
め、予め重合された結着樹脂、着色剤等の添加物ととも
に熱溶融混練すると結着樹脂中への天然ガス系または石
炭系フィッシャートロプシュワックスの分散性が劣る問
題が生ずる。すなわち本発明に使用する天然ガス系およ
び石炭系フィッシャートロプシュワックスは従来のスチ
レン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の結着樹
脂との間で溶融粘度差が大きい。このため、フィッシャ
ートロプシュワックスを従来の結着樹脂に良好に分散し
ようとするとフィッシャートロプシュワックスの融点前
後の温度にまで混練温度を低くする必要があった。しか
し、混練温度を低く設定してもなお十分な分散が得られ
ないのみでなく、混練温度を低く設定しすぎると結着樹
脂の高分子量体の切断を招き、耐高温オフセット性が悪
化する。そこで本発明においては、フィッシャートロプ
シュワックスをビニル系単量体の重合開始時に共存さ
せ、該ワックスの存在下でビニル系樹脂を重合すること
で該ワックスの分散性を向上させた。具体的には、
(1)ビニル系単量体を加温して該ワックスをその中に
溶解して共存させ、ラジカル重合する。(2)該ワック
スを加温した溶剤中に溶解して共存させ、ビニル系単量
体をその溶剤中でラジカル重合する。上記2手法のいず
れかで重合した樹脂中に該ワックスは均一に分散され
る。このため、混練、粉砕過程を経てトナーを製造した
ときに、トナー表面に露出するワックス、およびトナー
から脱離するワックスの量が減少する。これによりワッ
クス同士の接触が減少し、保存安定性が向上する。さら
には、シリカ等の添加剤を加えて、トナー粒子表面に付
着させることにより、ワックス同士の接触をより一層減
少し、保存安定性が向上するという利点がある。すなわ
ち本発明は、結着樹脂および着色剤を主成分とする電子
写真用トナーおよびその製造方法において、結着樹脂を
予めフィッシャートロプシュワックスが溶解されたビニ
ル系単量体を懸濁重合もしくは乳化重合により共重合し
て製造することを特徴とするものである。
【0012】本発明における結着樹脂の製造方法をより
詳細に説明する。 (1) 第1のビニル系単量体に重合開始剤を混合して油
相を作成する工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
フィッシャートロプシュワックスを溶解し、重合開始剤
を混合して油相を作成する工程、 (3) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (4) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第一のビ
ニル系単量体を懸濁重合し、ビニル系共重合体を作成す
る工程、 (5) 前記ビニル系共重合体の懸濁液に油相を加え加
熱、攪拌して第2のビニル系単量体を懸濁重合する工
程、を経て結着樹脂が合成される。結着樹脂製造方法の
他の態様は次の通りである。 (1) 第1のビニル系単量体を混合して油相を作成す
る工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
フィッシャートロプシュワックスを溶解、混合して油相
を作成する工程、 (3) 水に重合開始剤を添加して水相を作成する工程、 (4) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第1のビ
ニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作成
する工程、 (5) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第2のビ
ニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作成
する工程、 (6) 前記ビニル系共重合体とを混合して共重合体
を得る工程、経て結着樹脂が合成される。
【0013】結着樹脂製造方法のさらに他の態様は次の
通りである。 (1) 第1のビニル系単量体を混合して油相を作成す
る工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
フィッシャートロプシュワックスを溶解し、重合開始剤
を混合して油相を作成する工程、 (3) 水に重合開始剤を添加して水相を作成する工
程、 (4) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (5) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第1の
ビニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作
成する工程、 (6) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第2の
にビニル系単量体を懸濁重合し、ビニル系共重合体を
作成する工程、 (7) 前記ビニル系共重合体とを混合して共重合体
を得る工程、経て結着樹脂が合成される。該結着樹脂
製造方法のさらなる他の態様は次の通りである。該結着
樹脂が、 (1) 第1のビニル系単量体に重合開始剤を混合して
油相を作成する工程、 (2) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (3) 前記水相に油相を加え、加熱、撹拌して第1の
ビニル系単量体を懸濁重合し、第1のビニル系共重合体
を作成する工程、 (4) 前記第1のビニル系共重合体と第2のビニル系
単量体、天然ガス系または石炭系フィッシャートロプシ
ュワックスおよび重合開始剤を溶剤に添加し加熱、撹拌
して第2のビニル系共重合体を溶液重合する工程、を経
て結着樹脂が合成される。
【0014】該結着樹脂製造方法のさらなる他の態様は
次の通りである。該結着樹脂が、(1) 第1のビニル
系単量体を混合して油相を作成する工程、(2) 水に
重合開始剤を添加して水相を作成する工程、(3) 前
記水相に油相を加え、加熱、撹拌して第1のビニル系単
量体を乳化重合し、第1のビニル系共重合体を作成する
工程、(4) 前記第1のビニル系共重合体と第2のビ
ニル系単量体、天然ガス系または石炭系フィッシャート
ロプシュワックスおよび重合開始剤を溶剤に添加し加
熱、撹拌して第2のビニル系共重合体を溶液重合する工
程、を経て結着樹脂が合成される。上記各結着樹脂の製
造方法において、第1のビニル系単量体と第2のビニル
系単量体は、同じ単量体の組合わせでも、異なる単量体
の組合わせでもよい。一般に懸濁重合により得られた結
着樹脂は分子量が小さく、乳化重合により得られた結着
樹脂は分子量が大きいという特性がある。このため、ト
ナーの要求特性に応じ、適宜懸濁重合により得られた結
着樹脂と乳化重合により得られた結着樹脂とを混合する
ことが望ましい。この場合、ビニル系共重合体の重合時
に前記ワックスとともに着色剤その他の添加剤を共存さ
せて結着樹脂を作成してもよい。本発明による製造方法
は前記により得られたビニル系共重合体からなる結着樹
脂と着色剤および添加剤とを所望の配合にて混合し、こ
れを熱溶融混練し、粉砕、分級することにより実施する
ことができる。
【0015】
【合成例】
<合成例1:懸濁重合> 油相の調製:スチレン73重量部とアクリル酸n−ブ
チル27重量部からなる混合物に、2,2’−アゾビス
−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部
(重合開始剤)を添加して混合した。 油相の調製:スチレン80重量部とアクリル酸n−ブ
チル14重量部からなる混合物を加温して天然ガス系フ
ィッシャートロプシュワックス(シェル・MDS社製商
品名FT−100:融点91℃)6重量部を溶解した
後、室温まで冷却した。この混合物に2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)5重量部(重
合開始剤)を添加して混合した。 水相の調製:イオン交換水200重量部と第三燐酸カル
シウム10重量部からなる混合物にドデシルスルホン酸
ナトリウム0.04重量部を添加した後、攪拌すること
により水相を得た。前記水相200重量部と油相25
重量部をセパラブルフラスコに加え、高速攪拌機を用い
て1000rpmで1分間攪拌することにより懸濁させ
た。得られた懸濁液を60℃で6時間、80℃で2時
間、更に90℃で1時間加熱することにより含まれる重
合性単量体を重合させた後、懸濁液を室温まで冷却し
た。この懸濁液に油相75重量部を加え高速攪拌機を
用いて1000rpmで1分間攪拌して懸濁させた。得
られた懸濁液を90℃で3時間加熱することにより、含
まれる重合性単量体を重合させた後、懸濁液を室温まで
冷却し、濾別、洗浄後、乾燥して本発明のスチレン/ア
クリル酸エステル共重合体樹脂を得た。
【0016】<合成例2:乳化重合> 油相の調製:スチレン70重量部とアクリル酸n−ブ
チル30重量部を混合した。 油相の調製:加温したスチレン80重量部とアクリル
酸n−ブチル14重量部からなる混合物に、天然ガス系
フィッシャートロプシュワックス(シェル・MDS社製
商品名FT−100:融点91℃)6重量部を添加、溶
解した後、室温まで冷却した。 水相の調製:イオン交換水200重量部に過硫酸カリウ
ム0.4重量部とドデシル硫酸ナトリウム0.4重量部
を添加、攪拌して水相を得た。前記水相200重量部と
油相20重量部をセパラブルフラスコに加え、室温
下、高速攪拌機を用いて2000rpmで2分間攪拌し
て乳化させた。得られた乳化液を60℃で7時間、80
℃で2時間、更に90℃で1時間加熱して含まれる重合
性単量体を重合させて乳化液を得、これを室温まで冷
却した。また前記水相200重量部と油相80重量部
をセパラブルフラスコに加え、室温下、高速攪拌機を用
いて2000rpmで2分間攪拌して乳化させた。得ら
れた乳化液を90℃で3時間加熱し、含まれる重合性単
量体を重合させて乳化液を得、これを室温まで冷却し
た。ついで、乳化液とを混合し、塩析、乾燥して本
発明のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂を得
た。
【0017】<合成例3:懸濁/乳化重合> 油相の調製:スチレン70重量部とアクリル酸n−ブ
チル30重量部を混合した。 水相の調製:イオン交換水200重量部に過硫酸カリ
ウム0.4重量部とドデシル硫酸ナトリウム0.4重量
部を添加した後、攪拌して水相を得た。 油相の調製:加温したスチレン80重量部とアクリル
酸n−ブチル14重量部との混合物に、天然ガス系フィ
ッシャートロプシュワックス(シェル・MDS社製商品
名FT−100:融点91℃)6重量部を添加溶解した
後、室温まで冷却した。この混合物に過酸化ベンゾイル
5重量部(重合開始剤)を添加して混合した。 水相の調製:イオン交換水200重量部と第三燐酸カ
ルシウム10重量部との混合物にドデシルスルホン酸ナ
トリウム0.04重量部を添加した後、攪拌して水相
を得た。前記水相200重量部と油相20重量部を
セパラブルフラスコに加え、室温下、高速攪拌機を用い
て2000rpmで2分間攪拌して乳化させた。得られ
た乳化液を60℃で7時間、80℃で2時間、更に90
℃で1時間加熱して含まれる重合性単量体を重合させた
後、乳化液を室温まで冷却し、塩析、乾燥してスチレン
/アクリル酸エステル共重合体を得た。また前記水相
20重量部に油相80重量部を加え高速攪拌機を用
いて1000rpmで1分間攪拌して懸濁させた。得ら
れた懸濁液を90℃で3時間加熱して、含まれる重合性
単量体を重合させた後、懸濁液を室温まで冷却し、濾
別、洗浄後、乾燥してスチレン/アクリル酸エステル共
重合体を得た。そしてスチレン/アクリル酸エステル
共重合体とを混合して本発明のスチレン/アクリル
酸エステル共重合体樹脂を得た。
【0018】<合成例4:懸濁/溶液重合> 油相の調製: スチレン72重量部とアクリル酸n−ブ
チル28重量部とからなる混合物に、2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部
(重合開始剤)を添加、混合して油相を得た。 水相の調製: イオン交換水200重量部と第3リン酸
カルシウム10重量部とからなる混合物に、ドデシルス
ルホン酸ナトリウム0.04重量部を添加し、撹拌して
水相を得た。上記油相と水相をセパラブルフラスコに加
え、室温下、高速撹拌機を用いて1000rpmで1分
間撹拌して懸濁させた。この懸濁液を60℃で7時間、
80℃で2時間、90℃で1時間加熱して含まれる重合
性単量体を重合させた。次に懸濁液を室温まで冷却した
後、重合粒子を濾別、乾燥して第1のビニル系共重合体
を得た。第1の共重合体20重量部、天然ガス系フィッ
シャートロプシュワックス(シェル・MDS社製“FT
−100”)6重量部およびキシレン100重量部をフ
ラスコに入れ、溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで
置換した後、キシレンの沸点まで加熱した。キシレンの
還流が起きた状態で撹拌しながら、スチレン77重量
部、メタクリル酸メチル3重量部、アクリル酸n−ブチ
ル14重量部および過酸化ベンゾイル(重合開始剤)
3.5重量部の混合液を2時間かけて滴下し、溶液重合
を行った。滴下終了後、キシレンの還流下で撹拌しなが
ら1時間かけて熟成し、本発明のスチレン/メタクリル
酸メチル/アクリル酸n−ブチル(以後スチレン/MM
A/BAともいう)共重合体を得た。
【0019】<合成例5:乳化/溶液重合> 油相の調製:スチレン72重量部とアクリル酸n−ブチ
ルとからなる混合物を得た。 水相の調製:イオン交換水200重量部、過硫酸カリウ
ム0.4重量部およびドデシル硫酸ナトリウム0.4を
混合撹拌して水相を得た。上記油相と水相をセパラブル
フラスコに入れ、室温下高速撹拌機を用いて2000r
pmで2分間撹拌して乳化させた。この乳化液を60℃
で7時間、80℃で2時間、90℃で1時間加熱して重
合性単量体を重合させた。次に乳化液を室温まで冷却し
た後、塩析、乾燥して第1のビニル系共重合体を得た。
得られた第1の共重合体20重量部、天然ガス系フィッ
シャートロプシュワックス(シェル・MDS社製“FT
−100”)6重量部およびキシレン100重量部をフ
ラスコに入れ、溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで
置換した後、キシレンの沸点まで加熱した。キシレンの
還流が起きた状態で撹拌しながら、スチレン77重量
部、メタクリル酸メチル3重量部、アクリル酸n−ブチ
ル14重量部と過酸化ベンゾイル(重合開始剤)3.5
重合性の混合液を2時間かけて滴下し、溶液重合を行っ
た。滴下終了後、キシレンの還流下で撹拌しながら1時
間かけて熟成を行い、本発明のスチレン/MMA/BA
共重合体を得た。
【0020】<合成例6:懸濁/溶液重合> 油相の調製: スチレン72重量部とアクリル酸n−ブ
チル28重量部とからなる混合物に、2,2’−アゾビ
ス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5重量部
(重合開始剤)を添加、混合して油相を得た。 水相の調製: イオン交換水200重量部と第3リン酸
カルシウム10重量部とからなる混合物に、ドデシルス
ルホン酸ナトリウム0.04重量部を添加し、撹拌して
水相を得た。上記油相と水相をセパラブルフラスコに加
え、室温下、高速撹拌機を用いて1000rpmで1分
間撹拌して懸濁させた。この懸濁液を60℃で7時間、
80℃で2時間、90℃で1時間加熱して含まれる重合
性単量体を重合させた。次に懸濁液を室温まで冷却した
後、重合粒子を濾別、乾燥して第1のビニル系共重合体
を得た。第1の共重合体20重量部、石炭ガス系フィッ
シャートロプシュワックス(サゾール社製“C−10
5”)6重量部およびキシレン100重量部をフラスコ
に入れ、溶解した。このフラスコ内を窒素ガスで置換し
た後、キシレンの沸点まで加熱した。キシレンの還流が
起きた状態で撹拌しながら、スチレン77重量部、メタ
クリル酸メチル3重量部、アクリル酸n−ブチル14重
量部および過酸化ベンゾイル(重合開始剤)3.5重量
部の混合液を2時間かけて滴下し、溶液重合を行った。
滴下終了後、キシレンの還流下で撹拌しながら1時間か
けて熟成し、本発明のスチレン/MMA/BA共重合体
を得た。
【0021】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例において部とは重量部を示す。 実施例1 合成例1のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、ついで乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0022】実施例2 合成例2のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0023】実施例3 合成例3のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0024】実施例4 合成例4のスチレン/MMA/BA共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0025】実施例5 合成例5のスチレン/MMA/BA共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0026】実施例6 合成例6のスチレン/MMA/BA共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合
し、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級して平均粒子径が10
μmの粒子を得た。そして、該粒子100部と疎水性シ
リカ(キャボット社製 商品名:キャボシルTS−53
0)0.3部とをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌
し、該粒子の表面に疎水性シリカを付着させ本発明の電
子写真用トナーを得た。
【0027】合成例7 合成例1で天然ガス系フィッシャートロプシュワックス
を添加しない以外は合成例1と同様に操作してスチレン
/アクリル酸エステル共重合体を得た。
【0028】比較例1 合成例7のスチレン/アクリル酸エステル共重合体樹脂 100部 クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) カーボンブラック 7.5部 (三菱化学社製 商品名:MA−100) 天然ガス系フィッシャートロプシュワックス (シェル・MDS社製商品名FT−100: 融点91
℃)実施例1のスチレン/アクリル酸エステル共重合体
樹脂の代わりに合成例7で得られた樹脂組成物を使用
し、天然ガス系フィッシャートロプシュワックスを後添
加した以外は、実施例1と同様に操作して比較用の電子
写真用トナーを得た。
【0029】比較例2 比較例1の天然ガス系フィッシャートロプシュワックス
の代わりにポリプロピレンワックス(三洋化成工業社製
商品名ビスコール550P:融点145℃)を使用した
以外は、比較例1と同様に操作して比較用の電子写真用
トナーを得た。
【0030】次に前記実施例および比較例で得られた各
電子写真用トナーについて下記の項目の試験をおこなっ
た。 (1) 非オフセット温度領域および非オフセット温度
幅 まず、各電子写真用トナー4部とノンコートフェライト
キャリア(パウダーテック社製 商品名:FL−102
0)96部とを混合して二成分系現像剤を作製した。次
に該現像剤を使用して市販の複写機(シャープ社製 商
品名:SF−9800)を使用してA4の転写紙に縦2
cm、横5cmの帯状の未定着画像を複数作製した。つ
いで、表層がテフロンで形成された熱定着ロールと、表
層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロールが対に
なって回転する定着機をロール圧力が1Kg/cm2
よびロールスピードが50mm/secになるように調
節し、該熱定着ロールの表面温度を段階的に変化させ
て、各表面温度において上記未定着画像を有した転写紙
のトナー像の定着をおこなった。この時余白部分にトナ
ー汚れが生じるか否かの観察をおこない、汚れが生じな
い温度領域を非オフセット温度領域とした。また、非オ
フセット温度領域の最大値と最小値の差を非オフセット
温度幅とした。
【0031】(2) 定着強度 前記定着機の熱定着ロールの表面温度を130℃に設定
し、前記未定着画像が形成された転写紙のトナー像の定
着をおこなった。そして、形成された定着画像の画像濃
度を反射濃度計(マクベス社製、商品名:RD−91
4)を使用して測定した後、該定着画像に対して綿パッ
ドによる摺擦を施し、ついで同様にして画像濃度を測定
した。得られた測定値から下記式によって定着強度を算
出し低エネルギー定着性の指標とした。 定着強度(%)=(摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦
前の定着画像の画像濃度)×100 上記項目の試験結果および電子写真用トナーの溶融開始
温度の測定結果を表1に示す。
【0032】(3) 流動性 トナーの流動性を表す指標としてJIS K5101に
準じて見掛密度を測定した。
【0033】(4) 保存安定性 トナー20gを容積150ccのポリエチレン製ボトル
に入れ、50℃の恒温槽で24時間保管した。室温に放
冷後、トナーをボトルから取り出し状態を観察した。
【0034】 表1 非オフセット 非オフセット 定着強度 流動性 保存 温度領域(℃) 温度幅(℃) (%) (g/cm3) 安定性 実施例1 125〜200 75 83 0.36 ○ 実施例2 120〜200 80 80 0.36 ○ 実施例3 120〜200 80 82 0.36 ○ 実施例4 120〜200 80 81 0.36 ○ 実施例5 120〜200 80 82 0.36 ○ 実施例6 120〜200 80 80 0.36 ○ 比較例1 125〜190 65 78 0.34 ○ 比較例2 130〜200 70 55 0.36 ○
【0035】表1の試験結果から明らかなように、本発
明の電子写真用トナーの非オフセット温度領域は低温度
から高温度までオフセットが発生せず、その温度幅も7
5〜80℃という実用上十分な範囲を維持していること
が確認された。また、定着温度130℃における定着強
度が80%以上あり実用上十分な定着強度を有するた
め、自動原稿送り装置等に使用しても実用上問題がない
ことが確認された。これに対して、比較例1は高温側非
オフセット温度が低く、比較例2は低温側の非オフセッ
ト温度が高く、両者の非オフセット温度幅は65〜70
℃であって実用上必要な80℃以上が得られなかった。
さらに比較例2は定着温度130℃における定着強度が
60%以下という低いものであった。比較例1は見掛け
密度が低く、トナー中のワックス分散が良好でないため
流動性が劣ることが確認された。
【0036】また、前項(1)における実施例の各現像
剤を使用して市販の複写機(東芝社製 商品名:BD−
3810)で5000枚までの連続コピー試験をおこな
った結果を表2に示す。
【0037】 表2 画像濃度 カブリ 摩擦帯電量 初期 5000枚 初期 5000枚 初期 5000枚 実施例1 1.42 1.39 0.48 0.59 -24.4 -26.2 実施例2 1.40 1.42 0.40 0.49 -25.2 -26.0 実施例3 1.42 1.41 0.45 0.60 -24.2 -25.6 実施例4 1.42 1.41 0.38 0.48 -24.0 -24.8 実施例5 1.42 1.41 0.42 0.55 -24,2 -24.9 実施例6 1.42 1.41 0.45 0.56 -24.4 -25.2 注:摩擦帯電量の単位はμc/gである。
【0038】実施例1〜実施例3の全てにおいて、摩擦
帯電量が初期から5000枚までの間を−24μc/g
から−27μc/gの値で推移し、画像濃度も初期から
5000枚までの間を1.42から1.39までの値を
推移し、実用上問題のないことが確認された。また、カ
ブリは各実施例において0.60以下で問題のないもの
であった。なお、連続コピーした原稿は黒色部を6%有
するA4版原稿である。摩擦帯電量は東芝ケミカル社製
のブローオフ摩擦帯電量測定装置TB−200を使用し
て測定した。画像濃度はマクベス社製の反射濃度計RD
−914を使用して測定した。またカブリは日本電色社
製色差計Z−1001DPを使用して測定した。
【0039】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーは、十分な非
オフセット温度領域を維持し低い温度で定着することが
でき、かつ定着強度に優れていると共に十分な画像濃度
を有するコピーを多数枚得ることができるという効果を
奏する。したがって、本発明の電子写真用トナーを複写
機あるいはプリンター等に適用した場合、消費電力を削
減することができ、低ロール圧力化による機械コストの
低減、複写速度の高速化等の効果を奏する。また、この
ように本発明では天然ガス系または石炭系フィッシャー
トロプシュワックスの存在下に重合させた結着樹脂を使
用することで、ワックスの分散性が良好になり、該ワッ
クスの離型性が有効に発揮され、耐高温オフセット性を
悪化させない効果を奏する。

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結着樹脂及び着色剤を主成分とする電子
    写真用トナーにおいて、該結着樹脂が、融点85〜10
    0℃である天然ガス系フィッシャートロプシュワックス
    の存在下で重合されたビニル系共重合体を含有すること
    を特徴とする電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】 天然ガス系フィッシャートロプシュワッ
    クスが、25℃における針入度が2以下であることを特
    徴とする請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. 【請求項3】 結着樹脂が、天然ガス系フィッシャート
    ロプシュワックスを溶解したビニル系単量体を懸濁重合
    もしくは乳化重合により共重合させて得られたものであ
    る請求項1記載の電子写真用トナー。
  4. 【請求項4】 結着樹脂及び着色剤を主成分とする電子
    写真用トナーの製造方法において、該結着樹脂を、予め
    融点85〜100℃である天然ガス系フィッシャートロ
    プシュワックスが溶解されたビニル系単量体を懸濁重合
    もしくは乳化重合により共重合させて得ることを特徴と
    する電子写真用トナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 ビニル系単量体が、スチレンと少なくと
    も1種以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体
    であることを特徴とする請求項記載の電子写真用トナ
    ーの製造方法。
  6. 【請求項6】 天然ガス系および/または石炭系フィッ
    シャートロプシュワックスが溶解されたビニル系単量体
    を懸濁重合もしくは乳化重合により共重合させて得る結
    着樹脂、及び着色剤を主成分とする電子写真用トナーの
    製造方法において、該結着樹脂が、 (1) 第1のビニル系単量体に重合開始剤を混合して油
    相を作成する工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
    フィッシャートロプシュワックスを溶解し、重合開始剤
    を混合して油相を作成する工程、 (3) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (4) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第一のビ
    ニル系単量体を懸濁重合し、ビニル系共重合体を作成す
    る工程、 (5) 前記ビニル系共重合体の懸濁液に油相を加え加
    熱、攪拌して第2のビニル系単量体を懸濁重合する工
    程、 を経て合成されることを特徴とする電子写真用トナーの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 天然ガス系および/または石炭系フィッ
    シャートロプシュワックスが溶解されたビニル系単量体
    を懸濁重合もしくは乳化重合により共重合させて得る結
    着樹脂、及び着色剤を主成分とする電子写真用トナーの
    製造方法において、該結着樹脂が、 (1) 第1のビニル系単量体を混合して油相を作成す
    る工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
    フィッシャートロプシュワックスを溶解、混合して油相
    を作成する工程、 (3) 水に重合開始剤を添加して水相を作成する工程、 (4) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第1のビ
    ニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作成
    する工程、 (5) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第2のビ
    ニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作成
    する工程、 (6) 前記ビニル系共重合体とを混合する工程、 を経て合成されることを特徴とする電子写真用トナーの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 天然ガス系および/または石炭系フィッ
    シャートロプシュワックスが溶解されたビニル系単量体
    を懸濁重合もしくは乳化重合により共重合させて得る結
    着樹脂、及び着色剤を主成分とする電子写真用トナーの
    製造方法において、該結着樹脂が、 (1) 第1のビニル系単量体を混合して油相を作成す
    る工程、 (2) 第2のビニル系単量体に天然ガス系または石炭系
    フィッシャートロプシュワックスを溶解し、重合開始剤
    を混合して油相を作成する工程、 (3) 水に重合開始剤を添加して水相を作成する工
    程、 (4) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (5) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第1の
    ビニル系単量体を乳化重合し、ビニル系共重合体を作
    成する工程、 (6) 前記水相に油相を加え加熱、攪拌して第2の
    にビニル系単量体を懸濁重合し、ビニル系共重合体を
    作成する工程、 (7) 前記ビニル系共重合体とを混合する工程、 を経て合成されることを特徴とする電子写真用トナーの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 天然ガス系および/または石炭系フィッ
    シャートロプシュワックスが溶解されたビニル系単量体
    を共重合させて得る結着樹脂、及び着色剤を主成分とす
    る電子写真用トナーの製造方法において、該結着樹脂
    が、 (1) 第1のビニル系単量体に重合開始剤を混合して
    油相を作成する工程、 (2) 水に分散剤を添加して水相を作成する工程、 (3) 前記水相に油相を加え、加熱、撹拌して第1の
    ビニル系単量体を懸濁重合し、第1のビニル系共重合体
    を作成する工程、 (4) 前記第1のビニル系共重合体と第2のビニル系
    単量体、天然ガス系または石炭系フィッシャートロプシ
    ュワックスおよび重合開始剤を溶剤に添加し加熱、撹拌
    して第2のビニル系共重合体を溶液重合する工程、 を経て合成されることを特徴とする電子写真用トナーの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 天然ガス系および/または石炭系フィ
    ッシャートロプシュワックスが溶解されたビニル系単量
    体を共重合させて得る結着樹脂、及び着色剤を主成分と
    する電子写真用トナーの製造方法において、該結着樹脂
    が、 (1) 第1のビニル系単量体を混合して油相を作成す
    る工程、 (2) 水に重合開始剤を添加して水相を作成する工
    程、 (3) 前記水相に油相を加え、加熱、撹拌して第1の
    ビニル系単量体を乳化重合し、第1のビニル系共重合体
    を作成する工程、 (4) 前記第1のビニル系共重合体と第2のビニル系
    単量体、天然ガス系または石炭系フィッシャートロプシ
    ュワックスおよび重合開始剤を溶剤に添加し加熱、撹拌
    して第2のビニル系共重合体を溶液重合する工程、 を経て合成されることを特徴とする電子写真用トナーの
    製造方法。
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