JP3570019B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。更に詳しくは、特定の分子量分布を有する樹脂をバインダー樹脂として用いる定着性(低温定着性、定着強度等)、耐オフセット性及び耐ブロッキング性に優れた静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
着色剤等が分散されたバインダー樹脂を粉砕・分級して得られる静電荷像現像用トナーは、速やかに定着し、かつトナーが定着ローラー表面に転移して、以後定着工程を通過する転写材をローラー上のトナーによって汚す、所謂オフセット現象を発生しないことが必要である。従って、定着時には低温で速やかに溶融すること、そして溶融時に溶融トナーが凝集性を示すことが必要である。
【0003】
また、トナーは、現像器内の攪はんによる機械的衝撃に対して微粉を発生することなく、またトナー自体が凝集することなく良好な流動性を示すことが必要であり、さらに、トナーは保存時あるいは運搬時等にブロッキングするような事があってはならない。
これらの性能を全て満足するトナーを設計することは困難であり、特に定着性と耐オフセット性・耐ブロッキング性は相反する性能である為、両者の性能を両立することは難しい。そこで、トナーの主要成分であるバインダー樹脂には微妙な硬度及び熱溶融特性が要求される。
【0004】
従来からバインダー樹脂として使用される重合体の分子量及び分子量分布について多くの提案がなされている。例えば、特開昭56−16144号公報においては分子量が10〜8×10及び10〜8×10の各々の領域に少なくとも1つの極大値をもつバインダー樹脂を使用することが提案されているが、いまだ十分な定着性と耐ブロッキング性が得られていない。特開平4−211271号公報には、2つの分子量ピークを結ぶ直線と分子量分布曲線が囲む面積について、ある条件が記載されているが、最適条件ではなかった。また、特開平5−6031号公報には、分子量5000以下の含有量に関して限定が述べられているが、必ずしも最適ではなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決して、定着性(低温定着性、定着強度等)、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れたトナーを提供すべく鋭意検討の結果、上記性能を満足するトナーを完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、バインダー樹脂および着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、該バインダー樹脂はスチレンホモポリマーである低分子量成分と、高分子量成分とを含むものであり、該バインダー樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、重量平均分子量が5万以上、重量平均分子量/数平均分子量が20以上、分子量5000
以下の割合が40〜70重量%、分子量5万以下の割合が45〜90重量%であり、かつ、該低分子量成分は分子量1万以下に分子量ピークMaを有し、該高分子量成分は分子量10万〜500万の範囲に分子量ピークMbを有し、Maの頂点とMbの頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれる面積が、分子量分布曲線と分子量軸により囲まれる面積の65〜85重量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーに存する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるテトラヒドロフラン不溶分とは、テトラヒドロフランに1重量%になるようにバインダー樹脂、またはトナー中のバインダー樹脂を加え、25℃で8時間強くかくはんした後にろ過されない成分と定義できる。本発明に用いるバインダー樹脂は該不溶分を25重量%以下含有することが好ましい。更には、該不溶分を実質的に含有していないことが好ましく、いわゆる非架橋樹脂であることが好ましい。
【0007】
本発明において、上記の方法で得られた可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムを得るには、公知の通常の方法が用いられる。例えば、以下のように通常のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)における適正な方法が用いられる。
【0008】
【表1】
1.測定条件
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:100μl
【0009】
2.カラム
1×10〜2×10の分子量領域を適正に測定するために使用するカラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組合せたものを用いる。
本発明の測定に際しては、東ソー(株)製のGMHXL(30cm×2本)を用いた。
【0010】
3.検量線
検量線作成に当っては、標準ポリスチレンを用いて行う。標準ポリスチレンとしては例えばPressure chemical Co.製あるいは東ソー(株)製の例えば分子量が6×10、2.8×10、6.2×10、1.03×10、1.67×10、4.39×10、1.02×10、1.86×10、2.2×10、7.75×10、1.26×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレンを用いるのが適当である。
【0011】
4.検出器
検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いる。
本発明のトナーに用いられるバインダー樹脂のGPCによる重量平均分子量は5万以上が必要である。5万より小さいと耐ブロッキング性が悪い。好ましくは、10万以上であり、特に好ましくは15万以上である。重量平均分子量は高分子量成分が多くなると特に大きくなるが、分子量100万以上が2重量%以上、好ましくは5重量%以上あることが好ましい。
【0012】
さらに重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値Mw/Mnが20以上であることが必要である。すなわち、高分子量側分子量はより高く、低分子量側分子量はより低いことが好ましい。Mw/Mn<20の場合は、定着下限温度と耐ブロッキング性をバランスをとりながら両方とも良い方向へもっていくことができない。好ましくは、40以上、特に好ましくは、60以上である。
【0013】
GPCによる分子量5000以下の割合は、35〜75重量%が必要である。35重量%より小さい場合は定着性が悪く、75重量%より大きい場合は、ホットオフセットを防止できない。好ましくは、40〜70重量%、特に好ましくは、45〜65重量%である。
また、GPCによる分子量5万以下の割合は45〜90重量%であることが必要である。この範囲外の場合は、定着性と耐ブロッキング性のバランスがとれない。好ましくは55〜85重量%、特に好ましくは70〜85重量%である。
【0014】
本発明のバインダー樹脂は、GPCによる分子量測定のクロマトグラムにおいて分子量1万以下と分子量10万〜500万のそれぞれの領域に少くとも1つの分子量ピークを有する。それぞれのピークをMa、MbとするとMaの頂点とMbの頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれた面積〔S′〕が分子量分布曲線と分子量軸(横軸)により囲まれた面積〔S〕の50〜90重量%であることが必要である。50重量%より小さい場合には、定着性を良くしようとするとホットオフセットがおきてしまい実用にはならない。また、耐ブロッキング性も良くすることができない。90重量%より大きい場合は、合成が難しく、また、トナー混練時の相溶性に問題がある。好ましくは、65〜85重量%、特に好ましくは、70〜85重量%である。更には70〜80重量%が好ましい。
【0015】
本発明に用いられるバインダー樹脂の種類は特に制限されないが、ビニル系モノマーに対応する構造単位を有するビニル系樹脂並びにポリエステル樹脂のうち、一種以上の樹脂を含有することが好ましい。
ビニル系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルなどのメタクリル酸エステル類;エチレン、プロピレン、ブチレン、iso−ブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルiso−ブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルiso−プロペニルケトンなどのビニルケトン類;フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどの不飽和二塩基酸のジエステル類;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノオクチルなどの不飽和二塩基酸のモノエステル類;アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルフォン酸、ビニルナフタレン類、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのN−ビニル類などが挙げられる。ビニル系樹脂は単独重合体でも共重合体であってもよく、スチレン類モノマー、アクリル酸エステル類モノマー及びメタクリル酸エステル類モノマーのうち、1種以上のモノマーに対応する構造単位を有しているビニル系樹脂が好ましい。また更にスチレンに対応する構造単位が20重量%以上であると好ましく、60重量%以上であるとより好ましい。
【0016】
本発明に用いるポリエステル樹脂は酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸類;p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸類;コハク酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸類;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサハイドロフタル酸、テトラハイドロフタル酸等の脂環式ポリカルボン酸類等がある。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール類;1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ポリオール類;ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物類等を挙げることができる。
【0017】
バインダー樹脂として、好ましくはスチレン系樹脂である。スチレン系樹脂とは少なくとも30重量%以上がスチレン類モノマーに対応する構造単位であるビニル系ポリマーと定義できる。特に好ましくは60重量%以上である
本発明に用いるバインダー樹脂は組成の異なるものを混合してもよい。すなわち、種々の分子量に対応する樹脂の組成が異なっていてもよい。
【0018】
本発明の条件を満たす樹脂の製法は特に限定されないが、例えば、低分子量から高分子量まで複数回にわけて、それぞれ公知の方法で合成した後、同一有機溶媒の溶液として再沈させる方法が挙げられる。また、混合溶液の溶媒を留去して混合する方法も挙げられる。また、まずある分子量の成分を合成後にとりださず、次いで他の分子量成分を合成して同時にとりだす方法も可能である。また、トナーとして混練する際、種々の分子量の成分を別々に入れて混合する方法も挙げられる。
【0019】
さらに、本トナーには種々の添加剤が好適に用いられる。一般にワックス、滑剤と言われるものが高分子、単量体にかかわらず好適に用いられる。滑剤としては、示差走査型熱量計(DSC)測定において50℃〜130℃の範囲に吸熱ピークを有し、かつ、該吸熱ピークの半値幅が、15℃以下であるものが特に好ましい。
【0020】
本発明のトナーに用いる着色剤としては、公知のものが全て使用でき、たとえば、カーボンブラック、ニグロシン、ベンジジンイエロー、キナクリドン、ローダミンB、フタロシアニンブルーなどがある。
また、本発明によるトナーは、乾式1成分現像剤又は2成分現像剤のいずれにも使用でき、1成分現像剤に使用される磁性体としては、フェライト、マグネタイト等をはじめとする鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性元素を含む合金或いは化合物、または強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を示すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウムあるいはマンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、または二酸化クロム等を挙げることが出来る。磁性体は、平均粒径0.3〜30μmの微粉末の形でバインダー樹脂中に均一に分散される。磁性体粒子の含有量は、バインダー樹脂100重量部当り20〜70重量部が好ましく、特には40〜70重量部が望ましい。
【0021】
トナーの帯電制御は、バインダー樹脂、着色剤自体で行っても良いが、必要に応じて帯電制御剤を併用しても良い。正帯電制御剤として、第4アンモニウム塩、塩基性又は電子供与性の有機物質、負帯電制御剤として、金属キレート類、含金染料、酸性又は電子求引性の有機物質等を用いることができる。この他、金属酸化物等の無機粒子や前記有機物質で表面処理した無機物質を用いても良い。帯電制御剤の添加量は、バインダー樹脂の帯電性、着色剤の添加量及び分散方法を含めた製造方法、その他の添加剤の帯電性等の条件を考慮した上で決めることができるが、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が適当である。これら帯電制御剤は、バインダー樹脂中に混合添加して用いても、トナー粒子表面に付着させた形で用いても良い。
【0022】
さらにまた、固体電解質、高分子電解質、電荷移動錯体、酸化スズ等の金属酸化物等の導電体、半導体、あるいは強誘電体、磁性体等を添加しトナーの電気的性質を制御することができる。
この他、トナー中には熱特性、物理的特性等を調整する目的で各種可塑剤及び離型剤等の助剤を添加することも可能である。その添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が適当である。
【0023】
さらに、トナー粒子にたいして、TiO、Al、SiO等の微粉末を添加し、これらでトナー粒子表面を被覆せしめることによってトナーの流動性及び耐凝集性の向上を図ることができる。その添加量は、バインダー樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましい。
本発明のトナーの製造方法には、従来から用いられている各種トナー製造方法が適用できるが、例えば一般的製造方法として次の例が挙げられる。まず、バインダー樹脂、着色剤、場合により帯電制御剤および滑剤等の添加剤を加え、ボールミル、V型混合機、S型混合機、ヘンシェルミキサー等で均一に分散する。次いで分散物を双腕ニーダー、加圧ニーダ等で溶融混練する。該混合物をハンマーミル、ジェットミル、ボールミル等の粉砕機で粉砕し、さらに得られた粉体を風力分級機等で分級する。トナーの粒径は通常5〜20μmである。
【0024】
得られたトナーは、必要に応じてキャリアと混合して電子写真用現像剤を形成させ、従来から実施されている電子写真法による複写に用いることができる。なお、キャリアは、公知の鉄粉系、フェライト系キャリア等の磁性物質またはそれらの表面にコーティングを施したものをトナー1重量部に対して10〜100重量部用いることが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を表す。
実施例1
キシレンを溶媒として、ベンゾイルパーオキサイドをラジカル重合開始剤として、溶液重合で分子量ピーク4,800(Ma)、重量平均分子量4,500のスチレンホモポリマーを合成した。一方過硫酸カリウムをラジカル重合開始剤として、ラウリン酸カリウムを乳化剤として、60℃で乳化重合することによって分子量ピーク90万(Mb)のスチレン/ステアリルアクリレート=90/10(重量比)共重合体を合成した。上記のスチレンホモポリマー80部とスチレン/ステアリルアクリレート共重合体20部をテトラヒドロフラン500部に溶解して、水中に再沈させた後、60℃で真空乾燥させてバインダー樹脂を得た。
【0026】
GPC測定の結果このバインダー樹脂の重量平均分子量は19万で、Mw/Mnが90であった。また、分子量5000以下の割合が51重量%、分子量5万以下の割合が80重量%であった。また2つの分子量ピークMa,Mbを結ぶ直線と分子量曲線により囲まれた面積(S′)の分子量曲線の面積(S)に対する割合は76重量%であった。
【0027】
このバインダー樹脂を30部、ポリプロピレンワックス(三洋化成(株)製「ビスコール550P」)3部、カーボンブラック(三菱化成(株)製「#30」)6部、ニグロシン染料(オリエント化学製「ボントロンN−04」)2部を分散混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練した。冷却後、ハンマーミルにより粗粉砕し、次いで、超音速ジェットミル粉砕機にて微粉砕した。得られた粉体を風力分級機で分級し、平均粒径10.3μmのトナーを得た。
【0028】
上記トナーを用い、以下の方法に従い定着テストと耐ブロッキングテストを行った。結果を表2に示す。
定着テスト:未定着のトナーを400mm/secの定着ローラーに通紙し、定着する下限温度とホットオフセットが発生する温度を調べた。
耐ブロッキングテスト:トナーに一定荷重を加え、50℃の環境下に5時間放置した後のブロッキング性の良否を判定した。
【0029】
実施例2、比較例1〜4
表1に記した組成、分子量分布のポリマーを実施例1と同様に合成し、表記した混合比で実施例1と同様に混合し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0030】
Figure 0003570019
【0031】
表1において、Stはスチレンを、STAはステアリルアクリレートを、BAはn−ブチルアクリレートを示し、低分子量成分と高分子量成分の混合比は重量比である。また、耐ブロッキング性の評価は、以下の通りである。
○…良好、×…悪い
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、低温定着性、定着強度、耐オフセット性、および耐ブロッキング性に優れたトナーが得られる。

Claims (3)

  1. バインダー樹脂および着色剤を含有する静電荷像現像用トナーであって、該バインダー樹脂はスチレンホモポリマーである低分子量成分と、高分子量成分とを含むものであり、該バインダー樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、重量平均分子量が5万以上、重量平均分子量/数平均分子量が20以上、分子量5000以下の割合が40〜70重量%、分子量5万以下の割合が45〜90重量%であり、かつ、該低分子量成分は分子量1万以下に分子量ピークMaを有し、該高分子量成分は分子量10万〜500万の範囲に分子量ピークMbを有し、Maの頂点とMbの頂点を結ぶ直線と分子量分布曲線により囲まれる面積が、分子量分布曲線と分子量軸により囲まれる面積の65〜85重量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. バインダー樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、分子量5万以下の割合が70〜85重量%であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. バインダー樹脂のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおいて、分子量5000以下の割合が44〜65重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
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