JP2590332B2 - 正帯電性トナ− - Google Patents

正帯電性トナ−

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JP2590332B2
JP2590332B2 JP62099644A JP9964487A JP2590332B2 JP 2590332 B2 JP2590332 B2 JP 2590332B2 JP 62099644 A JP62099644 A JP 62099644A JP 9964487 A JP9964487 A JP 9964487A JP 2590332 B2 JP2590332 B2 JP 2590332B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電子写真法に用いる正帯電性トナーに関す
るもので、より詳細には、帯電量の経時変化、特に帯電
量の減衰が極めて小さく、他のトナー特性にも優れた正
帯電性トナーに関する。
(従来の技術) 電子写真法は、種々の複写や高速プリンター等の用途
に使用されているが、用いる感光体の種類によって正帯
電性を有するトナーが要求される。
トナー用定着媒質としては、トナーへの成形性や定着
性、更には耐オフセット性の見地から、スチレン−アク
リル系共重合体が特に適しているが、従来のスチレン−
アクリル系共重合体を用いたトナーは殆んど負帯電性で
あり、正帯電性トナーとしての用途には適していなかっ
た。
特開昭61−219963号公報には、アミノアクリル系単量
体を全成分中に2乃至15重量%含有し且つ重合開始剤と
してアゾニトリル系開始剤を用いて得られる共重合体
と、金属、金属酸化物、金属硫化物又は金属ハライドを
含有せしめた正帯電性トナーが記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 上記正帯電性トナーにおけるアミノアクリル単量体
は、このトナーに正帯電性を付与するが、トナーの粉砕
性を悪くするという欠点がある。このため、トナー中に
金属酸化物等を含有させて、粉砕性を良くしている。
しかしながら、この金属酸化物等はもともとトナー中
に不必要な成分であるばかりではなく、トナー中に含有
させた金属酸化物等は粉砕機や分級機を摩耗させる傾向
があるために、トナー中に含有させないことが望まし
い。
従って、本発明の目的は、スチレン−アクリル系共重
合体を定着媒質として含有しながら、安定した正帯電性
を示す電子写真用正帯電トナーを提供するにある。
本発明の他の目的は、帯電量の経時変化が少なくしか
も帯電の立上りも速く、トナー飛散や地肌かぶりが少な
く、更にトナー成形性(粉砕性)、定着性及び耐オフセ
ット性の組合せにも優れている正帯電性トナーを提供す
るにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、スチレン系単量体とアクリルエステ
ル系単量体のみから成る単量体成分をアゾニトリル系開
始剤の存在下に重合して得られる共重合体を定着媒質と
して含有し、且つ該媒質中に荷電制御剤としてpH6以上
のニグロシン染料が分散されていることを特徴とする正
帯電性トナーが提供される。
(作用) 本発明のトナーでは、スチレン単量体とアクリルエス
テル系単量体とをアゾニトリル系開始剤の存在下に重合
させて得られる共重合体を定着媒質として用いることが
第一の特徴である。先ず、スチレン−アクリル共重合体
は、スチレン類とアクリル系単量体との組合せ、即ち種
類及び量比を変化させることにより、そのガラス転移点
(Tg)をトナーに適した範囲に自由に調節することがで
き、これにより更にトナーへの粉砕性、定着性及び耐オ
フセットの望ましい組合せを得ることができる。また、
重合開始剤の内でも最も代表的な有機過酸化物開始剤を
用いて得られたスチレン−アクリル系共重合体では、開
始剤分解残渣(不純物)として酸性物質が樹脂中に残存
し、従ってこの共重合体中に正電化制御剤を配合したと
しても、この分解残渣が正帯電性を阻害する。これに対
して、本発明に従い、アゾニトリル開始剤を用いて重合
した共重合体樹脂では、正帯電性を阻害する物質は存在
しなく、アゾニトリル開始剤の分解残渣はむしろ正帯電
性に寄与すると考えられることから、トナーの正帯電性
が安定する。
本発明の正帯電性トナーでは、以上説明した特定の共
重合体定着媒質に、pHが6以上のニグロシン染料を電荷
制御剤として組合せることが第二の特徴である。即ち、
電荷制御用ニグロシン染料には、その製造条件等によっ
て各種pHのものが知られているが、本発明によれば、こ
のうちでも特にpHが6以上のものを選択し、これを特定
の共重合体中に配合することにより、安定した正帯電性
を有し、帯電の立上りが速く、しかも帯電量の経時変化
も極めて小さいトナーが得られる。
尚、ニグロシン染料のpHは、試料5gを300mlのビーカ
ーにとり、イオン交換水100mlを加えて、ガラス棒でか
き混ぜながら5分間煮沸する。これを室温で放冷した
後、蒸発した水を補充し、東洋濾紙No.2を用いて濾過す
る。得られた濾液について、ガラス電極pH計で測定する
ことにより求められる。
本発明において、スチレン系単量体としては、スチレ
ンの他にビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ク
ロルスチレン等を挙げることができ、またアクリルエス
テル系単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸の
エステル類、例えばメチルエステル、エチルエステル、
プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、
2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。スチレン
系単量体とアクリルエステル系単量体との共重合比率は
種々変化させ得るが、前述した目的に対しては、スチレ
ン系単量体とアクリルエステル系単量体とを、5:95乃至
95:5、特に10:90乃至90:10の重量比で組合せて用いるこ
とが望ましい。
これらの単量体の重合に用いる重合開始剤は、アゾニ
トリル類であり、 式中、R1,R2,R3及びR4は水素原子又はアルキル基であ
る で表わされるアゾビスニトリル類が好ましく、その適当
な例としてアゾビスイソブチルニトリル、アゾビスイソ
バレルニトリル等が挙げられる。このアゾニトリル系開
始剤の使用量は、所謂触媒量でよく、一般に単量体合計
量当り0.05乃至5重量%、特に0.1乃至3重量%の量で
用いるのがよい。
共重合は、それ自体公知の方法、例えば塊状重合、溶
液重合、懸濁重合、乳化重合等により行うことができ
る。
本発明に用いるスチレン−アクリル共重合体は、一般
に1000乃至40000、特に2000乃至30000の数平均分子量
(Mn)を有することが好ましく、また重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表わさ
れる分子量分布は、3.5乃至40、特に4.0乃至30の範囲内
にあることが望ましい。また、ガラス転移点(Tg)は一
般に40乃至110℃、特に50乃至100℃で、環球法軟化点
は、100乃至170℃、特に110乃至160℃の範囲にあること
が望ましい。
電荷制御剤として使用するニグロシン染料としては、
ニグロシンやニグロシンベースを例示することができ
る。このものは、アニリン、アニリン塩酸塩及びニトロ
ベンゼンの混合物に少量の塩化鉄を加えて加熱し、得ら
れる色素を必要により硫酸でスルホン化することにより
得られるものであり、この場合スルホン化の程度、中和
の程度及び水洗による精製の程度で各種のpHのものが得
られる。本発明の目的に適当な荷電制御剤は、オリエン
ト化学工業株式会社からBONTRON N−01の商品名で入手
される。電荷制御剤は、前述した共重合体定着媒質当り
0.5乃至10重量%、特に1乃至5重量%の量で用いるの
がよい。
本発明の正帯電性トナーには、前述した必須成分に加
えて、それ自体公知のトナー配合剤、例えばカーボンブ
ラック等の着色顔料や低分子量ポリプロピレン等のオレ
フィン樹脂系離型剤等を配合することができる。着色顔
料は定着媒質当り2乃至20重量%の量、離型剤は定着媒
質当り1乃至10重量%の量で夫々使用するのがよい。
トナー粒子の製造は、前述した各成分を配合し、樹脂
の軟化点以上の温度で混練し、この混練組成物を粉砕
し、次いで分級操作に付することにより、容易に行われ
る。トナー粒子の粒度は、その平均粒径が7乃至15ミク
ロンの範囲となるようなものがよい。トナー粒子の流動
性を調節するために、気相法酸化アルミ等の流動性調節
剤をトナー粒子表面にマブシ配合することができる。
本発明のトナーは、鉄粉、フェライト等の磁性キャリ
ヤと混合した二成分系現像剤の形で磁気ブラシを形成さ
せ、負の静電潜像を現像する用途に使用される。トナー
は、現像剤当り1乃至15重量%、特に2乃至12重量%と
なる割合いで用いるのがよい。
(発明の効果) 本発明によれば、スチレン−アクリル系共重合体を使
用しながら、安定した正帯電性を有するトナーが提供さ
れ、このトナーは帯電量の経時変化が少なく、しかも帯
電の立上りも速くその結果トナー飛散や地肌カブリが少
ないという利点を有し、更にトナー成形性、定着性及び
耐オフセット性の組合せにも優れている。
以下、実施例を記すが、本発明がこれらによって限定
されるものではない。
実施例−1. 重合開始剤としてアゾビスイソブチルニトリルをモノ
マー総重量当り2重量%使用して、溶液重合にて得たス
チレン/n−ブチルアクリレート共重合体(組成比70:30,
Mw=198,000,Mn=9860,Mw/Mn=20.08,Tg=65.1℃、環球
法軟化点=130.5℃)100重量部、カーボンブラック(三
菱化成製;#44)10重量部、ポリプロピレン(三洋化成
製;ビスコール660P)2重量部、及びニグロシン染料
(pH6.8、オリエント化学工業製;ボントロンN−01)
5重量部を溶融混練後、ジェットミルを用い粉砕し、分
級を行って粒径5〜25μmのトナーを製造した。
該トナー5部と、フェライトキャリア95部とを混合
し、負帯電潜像を形成するように改造した三田工業製複
写機DC−111を用いて連続複写試験を行ったところ、10
万枚の複写においても画像濃度の低下、地肌カブリのな
い良好な画像が得られた。又、10℃、15%Rの低温低湿
下、35℃、85%RHの高温高湿下において同様の複写試験
を行なったが、このような特殊環境下においても画像濃
度の低下や地肌カブリのない良好な画像が得られた。
更に、該トナーとフェライトキャリアより成る、現像
剤を撹拌して摩擦帯電させた後、常温、常湿下で90日間
放置し、帯電量の変化を示したのが図−1である。図か
らも明らかなように、初期における帯電量(15.5μC/
g)が90日後においても、殆んど低下せず15μC/gを示し
た。更に図−2は、混合撹拌の時間に対する帯電量の変
化を示したもので、混合撹拌開始から4分後には所望の
帯電量(約15μC/g)に達しており、帯電の立ち上がり
が早いことがわかる。尚、帯電量の測定はブローオフ法
によって行った。
比較例−1 重合開始剤として過酸化ベンゾイルをモノマー総重量
当り2重量%使用して溶液重合にて得たスチレン/n−ブ
チルアクリレート共重合体(組成比70:30,Mw=165,000,
Mn=7100,Mw/Mn=23.2,Tg=62.8℃、環球法軟化点=12
6.4℃)を、実施例1で用いた共重合体に替えて使用し
た他は実施例1と全く同様にしてトナーを製造した。
該トナー5部とフェライトキャリア95部とを混合した
現像剤を用いて、実施例−1と同様の試験を行った。複
写試験においては、10万枚を通じて、地肌カブリが多く
機内でのトナー飛散も著しく発生した。又特殊環境下に
おいては、画像濃度が低下してしまった。90日間におけ
る帯電量の変化は図−1からも明らかなように、初期帯
電量が、90日後に半分まで低下してしまい、又帯電の立
ち上がりにおいては図−2に示すように、10分かけて混
合撹拌させても所望の帯電量(約15μC/g)に達しなか
った。
比較例−2 実施例1で用いたpH値6.8のニグロシン染料をpH値3.2
のニグロシン染料(オリエント化学工業製:ボントロン
N−05)に変更した以外は全く同様にしてトナーを製造
した。
該トナー5部とフェライトキャリア95部とを混合して
現像剤を得、実施例−1と同様の試験を行った。複写試
験においては、10万枚を通じて、地肌カブリが多く、ト
ナー飛散が著しかった。又、特殊環境下では、画像濃度
が低下してしまった。90日間における帯電量の変化は、
図−1からもわかるように、初期帯電量が90日後におい
て、半分以下にまで低下してしまった。又、帯電の立ち
上がりにおいても、比較例−1と同様に満足する結果が
得られなかった。
比較例−3 比較例1で用いた共重合体100重量部、カーボンブラ
ック(三菱化成製;#44)10重量部、ポリプロピレン
(三洋化成製:ビスコール660−P)2重量部及びpH値
3.2のニグロシン染料5重量部を用いて、実施例1と同
様にしてトナーを製造した。
該トナー5部とフェライトキャリア95部とを混合し
て、現像剤を得、実施例−1と同様の試験を行った。複
写試験では10万枚を通じて、地肌カブリ、トナー飛散が
著しく発生し、最もひどい状態であった。又、特殊環境
下においては、画像濃度が著しく低下してしまった。90
日間における帯電量の変化は、初期から所望の帯電量が
得られず、90日後には殆んど帯電していなかった。又帯
電の立ち上がりも悪く、10分間撹拌させても所望の帯電
量の半分にも達していなかつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるトナーとフエライトキヤリヤよ
り成る現像剤を撹拌して摩擦帯電させた後、常温、常圧
下で90日間放置した際の帯電量の変化を示す図であり、 第2図は、混合撹拌の時間に対する帯電量の変化を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木嶋 章乃 大阪市東区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 石原 隆博 大阪市東区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (72)発明者 木村 登彦 大阪市東区玉造1丁目2番28号 三田工 業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−71967(JP,A) 特開 昭61−184555(JP,A) 特開 昭57−78549(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系単量体とアクリルエステル系単
    量体のみから成る単量体成分をアゾニトリル系開始剤の
    存在下に重合して得られる共重合体を定着媒質として含
    有し、且つ該媒質中に荷電制御剤としてpH6以上のニグ
    ロシン染料が分散されていることを特徴とする正帯電性
    トナー。
JP62099644A 1987-04-24 1987-04-24 正帯電性トナ− Expired - Lifetime JP2590332B2 (ja)

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