JPH09118649A - ラクトン変性アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents

ラクトン変性アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法

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JPH09118649A
JPH09118649A JP29980996A JP29980996A JPH09118649A JP H09118649 A JPH09118649 A JP H09118649A JP 29980996 A JP29980996 A JP 29980996A JP 29980996 A JP29980996 A JP 29980996A JP H09118649 A JPH09118649 A JP H09118649A
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仲男 伝田
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秀樹 栗田
Kunihiko Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ラクトン変性(メタ)アクリル酸エステルを、
簡便な方法でかつ低温、短時間で製造することができる
方法を提供する。 【解決手段】多価アルコールと(メタ)アクリル酸との
エステルであって、水酸基及びカルボキシル基を有しな
いエステルとラクトンを酸性触媒存在下に反応させるこ
とを特徴とする、前記エステルの多価アルコール部分に
由来する残基と(メタ)アクリロイルオキシ基がラクト
ンの開環体単位又は開環重合体単位を介して結合したラ
クトン変性(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線或いは紫外
線等の活性エネルギー線の照射により、又は常温で或い
は加熱により硬化可能な、室温で液状のラクトン変性ア
クリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法
に関するものであり、本発明により得られる化合物は、
塗料、印刷インキ等の各種産業分野において利用され得
るものである。尚、以下においては、アクリル酸エステ
ル及び/又はメタクリル酸エステルを(メタ)アクリル
酸エステル、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイル
オキシ基を(メタ)アクリロイルオキシ基、アクリル酸
及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
【0002】
【従来の技術】紫外線又は電子線硬化樹脂の応用分野
は、近年大きな広がりをみせている。これら紫外線又は
電子線硬化樹脂の成分は、基本成分としてモノマーとオ
リゴマーからなり、紫外線硬化樹脂はこれらの成分と光
重合開始剤から構成されている。オリゴマーは一般に粘
度の高いものが多く、その使用に当っては希釈剤として
適当なモノマーを選択することが重要になってくる。応
用分野が広がるにつれて、それぞれの用途に合ったモノ
マーの開発が活発に行われており、特徴あるモノマーが
開発されてきた。
【0003】これらのモノマーの中で、(メタ)アクリ
ル酸エステル系モノマーは、種々の条件を満たすモノマ
ーとして頻繁に使用されているものであるが、これらの
中には臭気や毒性が強い物もあるため、臭気が少なく毒
性の無い(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを開発
することが重要になる。これらの目的を達成するための
改良手段として、下記2法が知られている。 1.アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド)を付加させた高分子量アル
コールを用いて、(メタ)アクリル酸エステルの分子量
を増大させる。 2.ラクトン(例えばカプロラクトン、バレロラクト
ン)とアルコールを用いて、高分子量の(メタ)アクリ
ル酸エステルとする。
【0004】上記2により得られる化合物は、分子末端
の一方に(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、他方に
ラクトンの開環体又は開環重合体を介して(メタ)アク
リル酸エステル中のアルコール部位に由来する(メタ)
アクリル酸エステル残基を有するラクトン変性(メタ)
アクリル酸エステルであり、該ラクトン変性(メタ)ア
クリル酸エステルは、臭気や皮膚刺激性(PII)が低
く、組成物に配合して得られる硬化物のTgを低下させ
ることが可能なものである。該ラクトン変性(メタ)ア
クリル酸エステルの製造方法としては、従来、触媒の存
在下に高温でアルコールとラクトンを反応させラクトン
変性アルコールを合成した後、このラクトン変性アルコ
ールと(メタ)アクリル酸とを、酸性触媒の存在下脱水
溶媒を使用してエステル化反応させる方法、及び(メ
タ)アクリル酸とラクトン類を反応させ、ラクトン変成
(メタ)アクリル酸を合成した後、さらにこれとアルコ
ールをエステル化反応させる方法により製造されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記製
造方法でラクトン変性(メタ)アクリル酸エステルを製
造する場合、いずれも2段で反応を行う必要があるため
工程が複雑になり、またいずれの反応においても高温、
長時間の条件が必要であるという欠点を有する。本発明
者らは、簡便な方法でかつ低温、短時間でラクトン変性
(メタ)アクリル酸エステル類を製造することができる
方法を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、多価アルコー
ルと(メタ)アクリル酸とのエステルであって、水酸基
及びカルボキシル基を有しないエステルとラクトンを酸
性触媒存在下に反応させることを特徴とする、前記エス
テルの多価アルコール部分に由来する残基と(メタ)ア
クリロイルオキシ基がラクトンの開環体単位又は開環重
合体単位を介して結合したラクトン変性(メタ)アクリ
ル酸エステルの製造方法に関するものである。以下に本
発明について詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる、多価アルコール
と(メタ)アクリル酸とのエステルであって、水酸基及
びカルボキシル基を有しないエステルは、通常の市販品
が使用できる。当該(メタ)アクリル酸エステルの代表
的具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチ
レンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイ
ド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペ
ンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジアクリ
レート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジア
クリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエス
テル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸
エステルを挙げることができる。
【0008】ラクトンは、6員環以上のラクトンを使用
することが開環反応がスムーズに進行するため好まし
く、具体的にはδ−バレロラクトン、β−メチル−δ−
バレロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチルカプ
ロラクトン等があげられ、特にε−カプロラクトンを使
用することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルに
対するラクトンの使用量は、目的物の分子量及び粘度に
応じて決まる量であり、又触媒の種類及び量、溶媒の種
類及び量等により影響を受けるが、(メタ)アクリル酸
エステル中の全(メタ)アクリル基1モルに対し0.0
1〜100モルが好ましく、より好ましくは0.05〜
20モルである。(メタ)アクリル酸エステル中の全
(メタ)アクリル基1モルに対するラクトンの使用量が
100モルを越える場合は、製造中粘度が高くなりすぎ
反応の続行が困難になる恐れがある。尚、本発明におけ
る反応原料の理論的比率は、ラクトンに由来する単位の
繰り返し数が例えば1の場合、(メタ)アクリル酸エス
テル中の(メタ)アクリロイル基1モル当たりラクトン
1モルである。しかしながら、等モルの原料を用いて
も、実際の反応においては、ラクトンに由来する単位の
繰り返し数が数個のラクトン変性(メタ)アクリル酸エ
ステルを生成することもある。この場合、ラクトンとの
反応に関与しない原料の(メタ)アクリル酸エステル
は、未反応物として反応系に残存し、反応時の溶剤とし
て機能する他、反応生成物をそのまま硬化性組成物とし
て用いるときは、希釈剤として利用される。又、ラクト
ンの使用量を理論量より少なくしてエステル化反応を行
ったときの過剰量の原料(メタ)アクリル酸エステルの
機能及び利用性も同様である。
【0009】本発明に使用しうる酸性触媒としては、塩
化アルミニウム、塩化第二スズ等のルイス酸、硫酸、p
−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルホン
酸型イオン交換樹脂等のブレンステッド酸、リンモリブ
テン酸、リンタングステン酸リンモリブトタングステン
酸、ケイタングステン酸、ケイモリブテン酸等のヘテロ
ポリ酸、シリカ、アルミナ、ゼオライト等の固体酸が挙
げられるが、反応液に溶解する触媒が良く、硫酸、P−
トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヘテロポリ
酸が好ましい。酸性触媒の使用量は、目的とする生成物
の平均重合度によって異なるが、(メタ)アクリル酸エ
ステル及びラクトンの合計量100重量部に対して0.
1〜50重量部が好ましく、1〜20重量部がさらに好
ましい。スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる場合に
は、硫酸、p−トルエンスルホン酸等に比べ多量必要と
する。
【0010】本発明は、無溶媒で反応を行うことが、反
応速度が速くなるため好ましいが、必要に応じて溶媒を
使用することもできる。使用しうる溶媒としては、(メ
タ)アクリル酸エステル、ラクトン及び酸性触媒と反応
しないものであり、具体的にはベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0011】本発明のラクトン変性(メタ)アクリル酸
エステルの製造方法を具体的に述べると、(メタ)アク
リル酸エステル及びラクトンの合計量100重量部に対
し酸性触媒0.1〜50重量部及び必要に応じて重合防止
剤として例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン(BH
T)、フェノチアジン等を0.01〜0.5重量部加
え、反応温度40〜150℃好ましくは60〜110℃
でラクトン類を一括又は連続的に加えて反応させる。溶
媒を使用する場合の溶媒の量としては、反応液中好まし
くは95重量%以下の濃度で使用できる。反応終了後、
ラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル含む反応液
は、中和、吸着等の処理により反応液から酸性触媒を除
去し、又必要に応じて水洗、蒸留等を行い精製する。こ
れらの操作により、(メタ)アクリル酸エステルの(メ
タ)アクリロイルオキシ基と(メタ)アクリル酸エステ
ルの多価アルコール部分に由来する残基との間に、開環
したラクトン単位或いは開環重合したラクトン単位が挿
入した本発明の目的とする生成物を得ることができる。
得られたラクトン変性(メタ)アクリル酸エステルの構
造は、NMR、元素分析、GPC、二重結合等の測定に
より同定確認することができる。
【0012】本発明により得られるラクトン変成(メ
タ)アクリル酸エステルは、電子線或いは紫外線等の活
性エネルギー線の照射により、又は常温或いは加熱によ
って硬化可能なものであり、単独で或いは各種組成物に
配合して、塗料、印刷インキ等の各種産業分野において
使用することができる。
【0013】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をさらに具体
的に説明する。尚、各例における部は重量部を意味し、
収量は得られた生成物重量の仕込みの(メタ)アクリル
酸エステル及びラクトンの合計重量に対する百分率を示
す。
【0014】実施例1 撹拌機、環流冷却器、温度計を備えたガラスフラスコ
に、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリ
レート(エチレンオキサイド付加数≒4)70.96
部、ε−カプロラクトン20.02部、ハイドロキノン
モノメチルエーテル0.02部及びp−トルエンスルホ
ン酸一水塩9部を仕込み、撹拌下に80℃、6時間反応
させた。反応液をGPCにより測定したところ、ε−カ
プロラクトンの反応率は、ほぼ100%であった。反応
液を冷却後、トルエン100部を追加し充分混合した
後、50部の水を加え、2回水洗した。その後、トルエ
ンを80℃で減圧下に留去した。得られた生成物の収量
は83.7%であり、その色調、粘度及び酸価を測定し
た結果を表1に示す。
【0015】実施例2 トリメチロールプロパントリアクリレート77.13
部、ε−カプロラクトン14.85部、ハイドロキノン
モノメチルエーテル0.02部、p−トルエンスルホン
酸一水塩9部を使用し、実施例1と同条件で反応した。
反応液をGPCにより測定したところ、ε−カプロラク
トンの反応率は、ほぼ100%であった。反応液を実施
例1と同様に精製したところ、得られた生成物の収量は
80.9%であった。得られた生成物の色調、粘度、酸
価を測定した結果を表1に示す。
【0016】実施例3 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート82.41
部、ε−カプロラクトン8.57部、ハイドロキノンモ
ノメチルエーテル0.02部、p−トルエンスルホン酸
−水塩9部を使用し、実施例1と同条件で反応した。反
応液をGPCにより測定したところ、ε−カプロラクト
ンの反応率は、ほぼ100%であった。反応液を実施例
1と同様に精製したところ、得られた生成物の収量は7
8%であった。得られた生成物の色調、粘度、酸価を測
定した結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】本発明のラクトン変性(メタ)アクリル
酸エステルの製造方法によれば、複雑な工程を必要とせ
ず1段で、又低温、短時間で目的物を製造することがで
きる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多価アルコールとアクリル酸又は/及びメ
    タクリル酸とのエステルであって、水酸基及びカルボキ
    シル基を有しないエステルとラクトンを酸性触媒存在下
    に反応させることを特徴とする、前記エステルの多価ア
    ルコール部分に由来する残基とアクリロイルオキシ基又
    はメタクリロイルオキシ基がラクトンの開環体単位又は
    開環重合体単位を介して結合したラクトン変性アクリル
    酸エステル又はメタクリル酸エステルの製造方法。
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