JPH09104335A - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JPH09104335A
JPH09104335A JP26535195A JP26535195A JPH09104335A JP H09104335 A JPH09104335 A JP H09104335A JP 26535195 A JP26535195 A JP 26535195A JP 26535195 A JP26535195 A JP 26535195A JP H09104335 A JPH09104335 A JP H09104335A
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wheel
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Junji Tsutsumi
淳二 堤
Akira Higashimata
章 東又
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 【解決手段】流入弁が閉動作するときの脈圧発生を低減
すると共に、高μ路面でのホイールシリンダ圧の増圧ゲ
インを増加して制御性能を確保する。 【構成】増減圧モードの設定周期よりも十分に短い周期
ΔTEVi で実行されるタイマ割込により、前後加速度
(減速度)Xgが大きかったり減圧直前のホイールシリ
ンダ圧Pi0が小さかったりすることから判定される低μ
路面では、ホイールシリンダ圧を制御可能なデューティ
比のうち,流入弁がほぼ全閉状態となる閉側所定デュー
ティ比DHEViまでデューティ比DEVi を次第に大きく設
定して当該流入弁がゆっくり閉じられるようにすると共
に、高μ路面では流入弁へのデューティ比制御パターン
を完全開弁状態(0%)と完全閉弁状態(100%)と
を繰返す矩形波形状にして増圧ゲインを増加し、必要な
ホイールシリンダの増圧量が各増圧制御信号出力時に確
保できる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各車輪の制動用シ
リンダの流体圧を最適状態に制御して車輪のロックを防
止するアンチスキッド制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このようなアンチスキッド制御装置は、
一般に,制御対象車輪の車輪速度を検出して、例えばそ
の車輪速度から得られる車輪スリップ状態(以下、スリ
ップ率とも記す)が、舵取り効果や制動距離の確保に有
効とされる基準スリップ率より大きくなるような場合に
は、制動用シリンダへの流体圧を減圧し、この減圧によ
って当該車輪速度が増速してその車輪スリップ率が前記
基準スリップ率より小さくなるようになると再び制動用
シリンダへの流体圧を増圧し、所謂ポンピングブレーキ
的な操作を自動制御することによって,当該制御対象車
輪のスリップ率が基準スリップ率に維持されるように制
動力を調整制御する。なお、このアンチスキッド制御中
の作動流体の増圧調整制御は、所定時間毎に制限された
増圧を繰り返して、マクロ的には各車輪の制動用シリン
ダの流体圧が比較的ゆっくりと増圧される(以下,緩増
圧とも記す)ようにしている。
【0003】このような制動用シリンダの作動流体圧
(以下,ホイールシリンダ圧とも記す)の緩増圧制御を
行うために、例えば図17に示すような電磁弁8が用い
られる。この電磁弁8の吐出孔51が図示されないホイ
ールシリンダ側に接続され、絞り52を介した流入孔5
3が図示されないマスタシリンダ側に接続される。この
流入孔53と吐出孔51との間に形成されている弁座面
54には、ニードル55が対向配置されており、更にこ
のニードル55の後端にアーマチャ56が形成されてい
て、このアーマチャ56の外側先方にソレノイド57が
配設されている。また、前記ニードル55と弁座面54
との間に介装されたリターンスプリング58が、当該ニ
ードル55を弁座面54から離間する方向に付勢してい
る。従って、ソレノイド57に通電のない状態では、前
記リターンスプリング58の弾性力によってニードル5
5が弁座面54から離間し、流入孔53と吐出孔51と
は絞り52を介して連通状態となり、マスタシリンダ圧
は絞りの影響を受けながらホイールシリンダ圧を増圧す
る。また、ソレノイド57に通電があると、前記リター
ンスプリング57の弾性力に抗してアーマチャ56がソ
レノイド57側に変位してニードル55の先端部が弁座
面54に当接し、前記流入孔53と吐出孔51とが遮断
されてホイールシリンダ圧は保持される。
【0004】従って、この電磁弁8を用いて前述のよう
にホイールシリンダ圧を緩増圧する際には、前記ソレノ
イド57に通電し続けて流入孔53−吐出孔51間を閉
状態とするホイールシリンダ圧の保持圧状態から、前記
所定時間毎に,例えばデューティ比制御された短い矩形
波(パルス)形状に前記ソレノイド57への通電を解除
して、前記流入孔53−吐出孔51間を開状態とするホ
イールシリンダ圧の増圧状態とし、これを前記所定時間
毎に繰り返して当該ホイールシリンダ圧がステップ状に
増圧されるようにしている。なお、このホイールシリン
ダ圧の緩増圧制御で、前記短いパルス形状のソレノイド
への通電解除信号は、電流値或いは電圧値としては論理
値“0”のOFF状態であるが、ここでは、この通電解
除の信号状態を増圧信号を出力すると称する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
作動流体圧或いはその流量を小刻みに制御する場合に
は、その流体の脈動に伴って流体路系に振動が生じる。
つまり、前記電磁弁からホイールシリンダまでの間は閉
鎖された流体圧系となり、これらを結ぶ流体路系,主と
して配管系の共振周波数に対応する周期で作動流体の圧
力変動が発生する。その状態を、単一パルスの増減圧信
号(開弁信号)を与えた場合の圧力変動として図18に
示す。このように、開弁信号が継続して前記ニードル5
5が弁座面54から離間しているにも係わらず、ホイー
ルシリンダ圧は一旦低下し、その後、緩やかに増加す
る。このように開弁信号が与えられた場合に、電磁弁が
開弁しているにも係わらず流体圧が低下するのは、前記
ソレノイド−アーマチャ間の励磁力によってその断面積
が規制される前記座面絞り52の影響である。そして、
当該開弁信号の出力終了後に閉状態となると、配管系の
共振に起因する圧力変動が発生する。ちなみに、電磁弁
の開弁時と閉弁時とでは、閉弁時に発生するホイールシ
リンダ圧の脈動の方が大きい。
【0006】このようなホイールシリンダ圧の脈動を抑
制するために、一般的には前記電磁弁を含むアクチュエ
ータ内にオリフィスやダンパ等の流体圧ディバイスを付
加しているが、これらの流体圧ディバイスの付加によっ
て通常ブレーキ時(非アンチスキッド制御時)の制動力
発生の応答性が低下する虞れがある。また、このような
流体圧ディバイスを付加する分だけコスト高になるとい
う問題もある。また、何よりもこれらの流体圧ディバイ
スによる脈圧抑制は、その振幅を抑制して収束を早める
というものであり、根本的なホイールシリンダ圧そのも
のの脈圧発生原因,所謂トリガ波を抑制することはでき
ない。
【0007】このような問題を解決するために、本出願
人は先に特願平7−106369号に記載されるアンチ
スキッド制御装置を提案した。このアンチスキッド制御
装置(発明の名称はブレーキ液圧制御装置)は、特にホ
イールシリンダ圧の脈動の大きい電磁弁の閉弁時に当該
電磁弁がゆっくりと閉状態に移行するように、その指令
信号を調整する。より具体的には、現実的にPWM(Pu
lse Width Modulation) 制御される指令信号のデューテ
ィ比可変範囲を、実質的に電磁弁の開度を制御可能な電
流値範囲に設定し、主として矩形波に変換される指令信
号のデューティ比をこのデューティ比可変範囲内で調整
出力すると共に、少なくとも電磁弁が開状態から閉状態
に移行するときの閉動作時デューティ比を、閉弁側制限
値に向けて次第に変更設定することで、特にホイールシ
リンダ圧の増圧制御を司る電磁弁がゆっくりと閉じら
れ、もってホイールシリンダ圧の脈圧発生そのものを抑
制防止することができるようにした。
【0008】しかしながら、このように電磁弁をゆっく
りと閉じると、その閉弁移行時に、特有のフィルタリン
グがかかるような現象が発生する。つまり、元来、ホイ
ールシリンダ圧の増圧信号として出力される指令信号が
発生しているにも関わらず、当該ホイールシリンダ圧が
十分に増圧しなくなる現象が発生することがある。これ
は、特にホイールシリンダ圧の増圧代(増圧ゲイン)を
左右するマスタシリンダ圧と当該ホイールシリンダ圧と
の差圧が小さいときに発生し易く、例えば路面の摩擦係
数状態(以下,単にμとも記す)が高い状況で、マスタ
シリンダ圧と液圧制御中のホイールシリンダ圧との差圧
が小さくなるような場合には、その緩増圧制御時にホイ
ールシリンダ圧の増圧不足が生じ、同時に前記制限され
た増圧の繰り返し回数が増加する。或いは、実際のアン
チスキッド制御では、前記ホイールシリンダ圧の緩増圧
制御時に、前記制限された増圧の繰り返し回数が或る所
定値以上となると、通常のブレーキ,つまりマスタシリ
ンダ圧を直接にホイールシリンダ圧に供給する急増圧制
御に移行するが、これによってそれまで十分に増圧して
いないホイールシリンダ圧が急速に増圧し、もって車輪
のスリップ率が急速に大きくなると、これを基準スリッ
プ率まで低減するために直ぐにホイールシリンダ圧の減
圧制御に移行し、結果的にはホイールシリンダ圧が不必
要に増減して所謂制御性能が低下するという問題も併せ
持つ。
【0009】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、ホイールシリンダ圧の増圧調整のための
電磁弁の閉動作時に、それが緩やかに閉じられるように
することでホイールシリンダ圧の脈動そのものを抑制防
止すると共に、高μ路面等でマスタシリンダ圧とホイー
ルシリンダ圧との差圧が小さいとき等,ホイールシリン
ダ圧の増圧ゲインが小さい状況でもホイールシリンダ圧
を必要圧まで十分に増圧して制御性能を確保可能とする
アンチスキッド制御装置を提供することを目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するた
めに、本発明のうち請求項1に係るアンチスキッド制御
装置は、指令信号により開閉動作する複数の電磁弁を備
えて構成されて、各車輪の制動用シリンダの作動流体圧
を各電磁弁への指令信号に応じて各々増減圧調整するア
クチュエータと、車輪のスリップ状態に基づいて、少な
くとも作動流体圧制御中は前記各車輪の制動用シリンダ
の作動流体圧に対して所定の減圧を行った後、所定時間
毎に制限された増圧を繰返すことにより当該作動流体圧
を緩増圧するために、前記アクチュエータの電磁弁の開
閉動作を電流値によって制御するための指令信号を出力
するアクチュエータ制御手段とを備え、前記アクチュエ
ータ制御手段は、各制動用シリンダへの作動流体圧制御
時に前記電磁弁への電流値を制御するための指令信号を
PWM制御するPWM制御手段を備え、当該PWM制御
手段は、路面の摩擦係数状態を検出する摩擦係数状態検
出手段と、少なくとも前記制動用シリンダへの作動流体
圧を増圧調整する電磁弁が、少なくともその閉動作時に
次第に閉状態に移行するように、当該電磁弁への指令信
号のデューティ比を次第に変更設定するデューティ比設
定手段と、前記摩擦係数状態検出手段で検出された路面
摩擦係数状態検出値が所定値以上であるときに、前記作
動流体圧制御中の各車輪の制動用シリンダの作動流体圧
の増圧量が増加する方向に、当該作動流体圧を増圧調整
する電磁弁への前記PWM制御される指令信号のデュー
ティ比を調整する指令信号調整手段とを備えたことを特
徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項2に係るアンチ
スキッド制御装置は、前記指令信号調整手段が、前記作
動流体圧制御中の各車輪の制動用シリンダの作動流体圧
の増圧量を増加するときに、前記各制動用シリンダへの
作動流体圧を増圧調整する電磁弁のデューティ比制御パ
ターンを矩形波形状に変更設定することを特徴とするも
のである。
【0012】また、本発明のうち請求項3に係るアンチ
スキッド制御装置は、前記指令信号調整手段が、前記摩
擦係数状態検出手段で検出された路面摩擦係数状態検出
値の増加に伴って、段階的に各制動用シリンダへの作動
流体圧の増圧量が増加する方向に、当該作動流体圧を増
圧調整する電磁弁へのPWM制御される指令信号のデュ
ーティ比を変更設定することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアンチスキッド制
御装置の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明のアンチスキッド制御装置を,FR(フロ
ントエンジン・リアドライブ)方式をベースにした後輪
駆動車両に展開した一例である。
【0014】図中、1FL,1FRは前左右輪、1R
L,1RRは後左右輪であって、後左右輪1RL,1R
RにエンジンEGからの回転駆動力が変速機T、プロペ
ラシャフトPS及びディファレンシャルギヤDGを介し
て伝達され、各車輪1FL〜1RRには、それぞれ制動
用シリンダとしてのホイールシリンダ2FL〜2RRが
取付けられ、更に前輪1FL,1FRにこれらの車輪回
転数に応じたパルス信号を出力する車輪速センサ3F
L,3FRが取付けられ、プロペラシャフトPSに後輪
の平均回転数に応じたパルス信号を出力する車輪速セン
サ3Rが取付けられている。なお、車両には車両の前後
方向加速度Xgを検出する前後加速度センサ16が設け
られている。
【0015】各前輪側ホイールシリンダ2FL,2FR
には、ブレーキペダル4の踏込みに応じて前輪側及び後
輪側の2系統のマスタシリンダ圧を発生するマスタシリ
ンダ5からのマスタシリンダ圧が前輪側アクチュエータ
6FL,6FRを介して個別に供給されると共に、後輪
側ホイールシリンダ2RL,2RRには、マスタシリン
ダ5からのマスタシリンダ圧が共通の後輪側アクチュエ
ータ6Rを介して供給され、全体として3センサ3チャ
ンネルシステムに構成されている。ちなみに、各前輪側
アクチュエータ6FL,6FRと前輪側ホイールシリン
ダ2FL,2FRとの流体路の夫々及び後輪側アクチュ
エータ6Rと後輪側ホイールシリンダ6RL,6RRと
の流体路の夫々には、各ホイールシリンダ6FL〜6R
Rの内圧,即ちアクチュエータ6FL〜6Rから出力さ
れるホイールシリンダ圧PFL〜P R を検出する圧力セン
サ18FL〜18Rが取付けられている。
【0016】前記アクチュエータ6FL〜6Rの夫々
は、図2に示すように、マスタシリンダ5に接続される
油圧配管7とホイールシリンダ2FL〜2RRとの間に
介装された電磁流入弁8と、この電磁流入弁8と並列に
接続された電磁流出弁9、油圧ポンプ11及び逆止弁1
1の直列回路と、流出弁9及び油圧ポンプ10間の油圧
配管に接続されたアキュームレータ12とを備えてい
る。この流入弁8及び流出弁9を構成する電磁弁は、前
記図17に示す従来のものと同様又はほぼ同様であり、
またその接続構成や作用についても前述の内容と同様又
はほぼ同様であるために、その詳細な説明を省略する。
また、異常時の作動補償,所謂フェールセーフの関係か
ら、前記電磁流入弁8は通電のないノーマル位置で常時
開状態(増圧状態),通電による切換え位置で閉状態
(圧力保持状態)に移行し、前記電磁流出弁9は通電の
ないノーマル位置で常時閉状態(圧力保持状態),通電
による切換え位置で開状態(減圧状態)に移行する。そ
して、これらの電磁弁8,9の開状態への移行を開動
作、閉状態への移行を閉動作と定義する。また、実質的
な各電磁弁8,9L〜26Rの制御は後述するPWM制
御によってデューティ比制御されており、従って後述す
るホイールシリンダ圧緩増圧モードは,前記電磁流入弁
8による増圧状態と保持状態とを所定時間毎に繰り返し
て選択設定することで達成され、これにより当該ホイー
ルシリンダ圧は見掛け上,比較的ゆっくりと増圧され
る。
【0017】そして、各アクチュエータ6FL〜6Rの
電磁流入弁8、電磁流出弁9及び油圧ポンプ10は、車
輪速センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号及び前
後加速度センサ16からの前後加速度Xg及び圧力セン
サ18FL〜18Rのホイールシリンダ圧PFL〜PR
入力されるコントロールユニットCRからの液圧制御信
号EV,AV及びMRによって制御される。
【0018】前記コントロールユニットCRは、車輪速
センサ3FL〜3Rからの車輪速パルス信号が入力さ
れ、これらと各車輪1FL〜1RRのタイヤ転がり動半
径とから各車輪の周速度でなる車輪速VwFL〜VwR
演算する車輪速演算回路15FL〜15Rと、前記車輪
速演算回路15FL〜15Rの車輪速VwFL〜VwR
び前後加速度センサ16の前後加速度Xg及び圧力セン
サ18FL〜18Rからのホイールシリンダ圧PFL〜P
R が入力されて、これらに基づいてアクチュエータ6F
L〜6Rに対する制御信号EV,AV及びMRを出力す
るアクチュエータ制御手段としてのマイクロコンピュー
タ20とを備えており、当該マイクロコンピュータ20
から出力される指令信号としての制御信号EVFL〜EV
R ,AVFL〜AVR 及びMRFL〜MRR がPWM駆動回
路22aFL〜22aR ,22bFL〜22bR 及び22c
FL〜22cR を介してアクチュエータ6FL〜6Rに供
給される。
【0019】そして、前記マイクロコンピュータ20
は、前記各車輪速度演算回路15FL〜15Rからの出
力値である車輪速VwFL〜VwR 及び前後加速度センサ
16からの前後加速度Xgを読込むためのA/D変換機
能等を有する入力インタフェース回路20aと、マイク
ロプロセサ等の演算処理装置20bと、ROM,RAM
等の記憶装置20cと、前記演算処理装置20bで得ら
れた制御信号EVFL〜EVR ,AVFL〜AVR 及びMR
FL〜MRR をアナログ信号として出力するためのD/A
変換機能を有する出力インタフェース回路20dとを備
えている。このマイクロコンピュータ20では、前記各
車輪速VwFL〜VwR を用いて例えば従来周知の車体速
算出演算処理に従って最大車輪速等から車体速算出値と
しての疑似車速Vi を算出し、この疑似車速Vi に対し
て後述する図3の演算処理に従って車輪速VwFL〜Vw
R からスリップ率SFL〜SR を算出すると共に、各車輪
速VwFL〜VwR の微分値として車輪加減速度V'wFL
V'wR を算出し、これら車輪速VwFL〜VwR ,車輪加
減速度V'wFL〜V'wR 及び基準スリップ率Si0に基づい
てアクチュエータ6FL〜6Rに対する制御信号EVFL
〜EVR ,AVFL〜AVR 及びMRFL〜MRR を出力す
る。
【0020】それでは次に、本実施形態のアンチスキッ
ド制御装置による基本的なアンチスキッド制御の構成
を,前記マイクロコンピュータ20で実行される図3の
フローチャートに示す演算処理に従って説明する。この
演算処理は所定のサンプリング時間(例えば5msec)Δ
T毎にタイマ割込処理として実行される。なお、図3の
フローチャート中,ASはアンチスキッド制御フラグで
あり、“1”のセット状態でアンチスキッド制御のため
のホイールシリンダ圧制御が行われていることを示し、
リセット状態は“0”とする。また、Tは減圧タイマで
あり、前記アンチスキッド制御のためのホイールシリン
ダ圧制御で、当該ホイールシリンダ圧が所定回数T0
上減圧されないようにするためのものである。そして、
これらはキースイッチのオンによる電源投入時及び前回
のアンチスキッド制御の終了時にステップS9からステ
ップS11に移行して“0”にリセットされる。また、
このフローチャートでは特に情報の入出力ステップを設
けていないが、演算処理装置20bの演算処理で算出さ
れたり設定されたりした情報は随時前記記憶装置20c
に更新記憶され、また記憶装置20cに記憶されている
情報は随時演算処理装置20bのバッファ等に通信記憶
されるものとする。
【0021】この図4の演算処理が開始されると,先ず
ステップS1で各車輪速演算回路15i(i=FL,F
R,R)から出力された現在の車輪速Vwi を読込むと
共に、図示されない個別の演算処理で算出され且つ記憶
装置20cに更新記憶されている疑似車速Vi を読込
む。なお、この疑似車速Vi の算出のための演算処理と
しては、例えば本出願人が先に提案した特開平4−27
650号公報等にハード構成されたものをソフト化して
用いることが挙げられる。
【0022】次にステップS2に移行して、例えば前記
ステップS1で読込んだ各車輪速の今回値Vwi(N)を,
前回の処理時に読込んだ車輪速Vwi(N-1)から減算し、
更に前記サンプリング時間ΔTで除して,単位時間当た
りの車輪速変化量,即ち車輪加減速度V'wi を算出し、
これを記憶装置20cの所定記憶領域に記憶する。次に
ステップS3に移行して、下記2式の演算を行って各車
輪のスリップ率S i を算出する。
【0023】 Si =(Vi −Vwi )/Vi ・100 ……… (2) 次にステップS4に移行して、前記ステップS3で算出
された各車輪のスリップ率Si が予め設定された基準ス
リップ率Si0(凡そ15%程度)以上であるか否かを判
定し、当該車輪のスリップ率Si が基準スリップ率Si0
以上である場合にはステップS5に移行し、そうでない
場合にはステップS6に移行する。
【0024】前記ステップS5では、前記ステップS2
で算出された各車輪加減速度V'wiが予め設定された正
の車輪加減速度閾値β以上であるか否かを判定し、当該
車輪加減速度V'wi が前記閾値β以上である場合にはス
テップS7に移行し、そうでない場合にはステップS8
に移行する。前記ステップS7では、前記減圧タイマT
を“0”にリセットしてからステップS9に移行する。
【0025】また、前記ステップS8では、前記減圧タ
イマTを所定値T0 にセットすると共に,アンチスキッ
ド制御フラグASを“1”にセットしてから前記ステッ
プS9に移行する。一方、前記ステップS6では、前記
減圧タイマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該
減圧タイマTが“0”より大きい場合にはステップS1
0に移行し、そうでない場合には前記ステップS9に移
行する。
【0026】前記ステップS10では、現在の減圧タイ
マTから“1”を減じた値を新たな減圧タイマTとし
て,これを記憶装置25cの所定記憶領域に記憶してか
ら前記ステップS9に移行する。前記ステップS9で
は、アンチスキッド制御を終了できるか否かを判定し、
当該アンチスキッド制御終了可能である場合にはステッ
プS11に移行し、そうでない場合にはステップS12
に移行する。
【0027】前記ステップS11では、前記減圧タイマ
Tを“0”にリセットすると共に,前記アンチスキッド
制御フラグASを“0”にリセットしてからステップS
13に移行する。また、前記ステップS12では、前記
減圧タイマTが“0”より大きいか否かを判定し、当該
減圧タイマTが“0”より大きい場合にはステップS1
4に移行し、そうでない場合には前記ステップS15に
移行する。
【0028】前記ステップS15では、前記ステップS
2で算出された車輪加減速度V'wiが前記予め設定され
た閾値β以上であるか否かを判定し、当該車輪加減速度
V'w i が前記閾値β以上である場合にはステップS16
に移行し、そうでない場合にはステップS17に移行す
る。前記ステップS16では、前記アンチスキッド制御
フラグASが“0”のリセット状態であるか否かを判定
し、当該アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセ
ット状態である場合には前記ステップS13に移行し、
そうでない場合にはステップS20に移行する。
【0029】一方、前記ステップS17では、前記ステ
ップS2で算出された車輪加減速度V'wi が予め設定さ
れた車輪加減速度閾値α以下であるか否かを判定し、当
該車輪加減速度V'wi が前記閾値α以下である場合には
ステップS18に移行し、そうでない場合にはステップ
S19に移行する。また、前記ステップS19では、前
記アンチスキッド制御フラグASが“0”のリセット状
態であるか否かを判定し、当該アンチスキッド制御フラ
グASが“0”のリセット状態である場合には前記ステ
ップS13に移行し、そうでない場合にはステップS2
1に移行する。
【0030】そして、前記ステップS13では、当該制
御対象車輪1FL〜1RRの各ホイールシリンダ2FL
〜2RRへの制動圧を急増圧モードに設定すると共に、
制御モードフラグF1iを、急増圧モードを示す“0”に
セットしてからメインプログラムに復帰する。また、前
記ステップS14では、当該制御対象車輪1FL〜1R
Rの各ホイールシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を減
圧モードに設定すると共に、制御モードフラグF1iを、
減圧モードを示す“2”にセットしてからメインプログ
ラムに復帰する。
【0031】また、前記ステップS18では、当該制御
対象車輪1FL〜1RRの各ホイールシリンダ2FL〜
2RRへの制動圧を高圧保持モードに設定すると共に、
制御モードフラグF1iを、保持圧モードを示す“3”に
セットしてからメインプログラムに復帰する。また、前
記ステップS20では、当該制御対象車輪1FL〜1R
Rの各ホイールシリンダ2FL〜2RRへの制動圧を低
圧保持モードに設定すると共に、制御モードフラグF1i
を、保持圧モードを示す“3”にセットしてからメイン
プログラムに復帰する。
【0032】また、前記ステップS21では、当該制御
対象車輪1FL〜1RRの各ホイールシリンダ2FL〜
2RRへの制動圧を緩増圧モードに設定すると共に、制
御モードフラグF1iを、緩増圧モードを示す“1”にセ
ットしてからメインプログラムに復帰する。それでは次
に、前記マイクロコンピュータ20で実行される前記流
入弁8及び流出弁9に対するアクチュエータ制御信号出
力演算処理について、図4のフローチャートに示す演算
処理に従って説明する。この演算処理は、前記図3の演
算処理が実行されるサンプリング時間ΔTよりも十分に
短い所定サンプリング時間(例えば1msec)ΔTEVi
にフリーランタイマ割込処理として実行される。なお、
図4のフローチャート中,前出のフラグ符号やタイマ符
号,デューティ比符号等は前記図3の演算処理の説明と
同様である。
【0033】ここで、このフローチャートにも用いられ
る流入弁デューティ比DEVi の閉側所定デューティ比D
HEV0i 及び後述する開側所定デューティ比DLEV0i につ
いて簡潔に説明する。前述のように前記流入弁8は通常
開状態であり、通電により閉状態となり、その電流値が
前記デューティ比DEVi によって制御される。このデュ
ーティ比DEVi の可変範囲は勿論0〜100%である
が、図5aに示すようにホイールシリンダ圧(図ではW
/C圧)をマスタシリンダ圧まで増圧制御可能なデュー
ティ比DEVi は比較的大きい閉側所定デューティ比D
H(EV0i) でほぼ全閉状態となり、比較的小さい開側所定
デューティ比DL(EV0i) でほぼ全開状態となってしま
う。これをバルブ変位に置換したものが図5bである。
ここでバルブ変位を調整制御可能なデューティ比の可変
有効範囲(図では有効duty範囲)は、全可変範囲の僅か
10〜15%しかない。従って、このデューティ比可変
有効範囲の閉側デューティ比DEVi 又はそれよりやや大
きいデューティ比を流入弁8の閉側基準デューティ比D
HEV0i とし、開側デューティ比DEVi 又はそれよりやや
小さいデューティ比を開側基準デューティ比DLEV0i
する。また、図中の中間基準デューティ比DMEV0i は前
記デューティ比可変有効範囲の中央デューティ比値であ
り、一般の電磁弁では前述のデューティ比可変有効範囲
の中央デューティ比値で完全開又は略開状態となった
り、完全閉又は略閉状態となったりすることはない。
【0034】そして、前記図4の制御信号出力演算処理
では、まずステップS101で前記図3の演算処理によ
って設定された制御モードが急増圧モードであるか否か
を、前記制御モードフラグF1iが“0”であるか否かに
よって判定し、当該制御モードフラグF1iが“0”であ
る場合には急増圧モードであるとしてステップS102
に移行し、そうでない場合にはステップS103に移行
する。
【0035】前記ステップS103では、同じく設定さ
れた制御モードが減圧モードであるか否かを、前記制御
モードフラグF1iが“2”であるか否かによって判定
し、当該制御モードフラグF1iが“2”である場合には
減圧モードであるとしてステップS104に移行し、そ
うでない場合にはステップS105に移行する。前記ス
テップS105では、同じく設定された制御モードが緩
増圧モードであるか否かを、前記制御モードフラグF1i
が“1”であるか否かによって判定し、当該制御モード
フラグF1iが“1”である場合には緩増圧モードである
としてステップS106に移行し、そうでない場合には
ステップS107に移行する。
【0036】このうち、前記設定された制御モードが急
増圧モードであるとして移行したステップS102では
流出弁デューティ比DAVi を“0”%に設定出力し、次
いでステップS108に移行して流入弁デューティ比D
EVi を“0”%に設定出力してからメインプログラムに
復帰する。また、前記設定された制御モードが減圧モー
ドであるとして移行したステップS104では減圧開始
制御フラグF2iが“0”のリセット状態であるか否かを
判定し、当該減圧開始制御フラグF2iが“0”のリセッ
ト状態である場合にはステップS109に移行し、そう
でない場合にはステップS110に移行するが、このう
ちステップS109では前記減圧開始制御フラグF2i
“1”にセットし、次いでステップS111に移行し
て、そのとき圧力センサ18i(i=FL〜R)で検出
されたホイールシリンダ圧Pi を減圧開始ホイールシリ
ンダ圧Pi0として前記記憶装置20cに更新記憶してか
ら前記ステップS110に移行する。そして、このステ
ップS110では流出弁デューティ比DAVi を“10
0”%に設定出力し、次いでステップS112に移行し
て流入弁デューティ比DEVi を“100”%に設定出力
してからメインプログラムに復帰する。
【0037】また、前記設定された制御モードが緩増圧
モードでもない,即ち保持圧モードであるとして移行し
たステップS107では減圧開始制御フラグF2i
“0”にリセットし、次いでステップS113に移行し
て流出弁デューティ比DAVi を“0”%に設定出力し、
次いでステップS114に移行して流入弁デューティ比
EVi を“100”%に設定出力してからメインプログ
ラムに復帰する。
【0038】一方、前記設定された制御モードが緩増圧
モードであるとして移行したステップS106では、前
記前後加速度センサ16で検出された前後加速度Xgを
読込む。次にステップS115に移行して、減圧制御フ
ラグF2iを“0”にリセットする。
【0039】次にステップS116に移行して、前記記
憶装置20cに更新記憶あれている減圧開始ホイールシ
リンダ圧Pi0を読込む。次にステップS117に移行し
て、前記ステップS106で読込まれた前後加速度Xg
(制動中であるから減速度であって、数値的には負値と
なる)が予め設定された負値の所定前後加速度値Xg0
(例えば−0.4G(G:Gravity,重力加速度))以上で
あるか否かを判定し、当該前後加速度Xgが当該所定前
後加速度値Xg0 以上である場合にはステップS118
に移行し、そうでない場合にはステップS119に移行
する。
【0040】前記ステップS118では、前記ステップ
S116で読込まれた減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0
が予め設定された所定ホイールシリンダ圧Pi02 (例え
ば7MPa)以下であるか否かを判定し、当該減圧開始ホ
イールシリンダ圧Pi0が当該所定ホイールシリンダ圧P
i02 以下である場合にはステップS120に移行し、そ
うでない場合には前記ステップS119に移行する。
【0041】前記ステップS120では、流入弁開側規
制デューティ比DLEViを前記開側基準デューティ比D
LEV0i に、流入弁中間規制デューティ比DMEViを前記中
間基準デューティ比DMEV0i に、流入弁閉側規制デュー
ティ比DHEViを前記閉側基準デューティ比DHEV0i に、
夫々設定してからステップS121に移行する。また、
前記ステップS119では、流入弁開側規制デューティ
比DLEViを予め設定された前記開側基準デューティ比D
LEV0i より小さい開側所定デューティ比DLEV1i (ここ
では0%に設定した)に、流入弁中間規制デューティ比
MEViを予め設定された前記中間基準デューティ比D
MEV0i より大きい中間所定デューティ比DMEV1i (ここ
では100%に設定した)に、流入弁閉側規制デューテ
ィ比DHEViを予め設定された前記閉側基準デューティ比
HEV0i より大きい中間所定デューティ比DMEV1i (こ
こでは100%に設定した)に、夫々設定してから前記
ステップS121に移行する。
【0042】そして、前記ステップS121では、流出
弁デューティ比DAVi を“0”%に設定出力する。次に
ステップS122に移行して、増圧サイクルタイマT
PEViをインクリメントする。次にステップS123に移
行して、流入弁デューティ比減少許可フラグFDEVi
“1”のセット状態であるか否かを判定し、当該デュー
ティ比減少許可フラグFDEViが“1”のセット状態であ
る場合にはステップS124に移行し、そうでない場合
にはステップS125に移行する。
【0043】前記ステップS124では、増圧タイマT
EVi が予め設定された増圧時間TLE Viに等しくないか否
か,即ちカウントアップ値である当該増圧時間TLEVi
カウントアップしていないか否かを判定し、両者が等し
くない場合にはステップS126に移行し、両者が等し
い場合にはステップS127に移行する。前記ステップ
S126では、流入弁デューティ比DEVi を前記開側規
制デューティ比DLEViに設定出力してからステップS1
28に移行する。
【0044】前記ステップS128では、増圧タイマT
EVi をインクリメントしてからメインプログラムに復帰
する。また、前記ステップS127では、流入弁デュー
ティ比DEVi を前記中間規制デューティ比DMEViに設定
出力してからステップS129に移行する。前記ステッ
プS129では、流入弁デューティ比減少許可フラグF
DEViを“0”にリセットしてからメインプログラムに復
帰する。
【0045】一方、前記ステップS125では、流入弁
デューティ比DEVi が前記閉側所定デューティ比DHEVi
以上であるか否かを判定し、当該流入弁デューティ比D
EViが前記閉側所定デューティ比DHEVi以上である場合
にはステップS130に移行し、そうでない場合にはス
テップS131に移行する。
【0046】前記ステップS131では、前回の流入弁
デューティ比DEVi に予め設定された正値のデューティ
比所定増加量ΔDEV0iを和して今回の流入弁デューティ
比D EVi を算出設定及び出力してからメインプログラム
に復帰する。一方、前記ステップS130では、流入弁
デューティ比DEVi を前記閉側所定デューティ比DHEVi
に設定出力してからステップS132に移行する。
【0047】前記ステップS132では、前記増圧サイ
クルタイマTPEViが、予め設定された増圧所定間隔に相
当する所定増圧カウントアップ値TdEVi以上であるか否
かを判定し、当該増圧サイクルタイマTPEViが所定増圧
カウントアップ値TdEVi以上である場合にはステップS
133に移行し、そうでない場合にはステップS134
に移行する。
【0048】前記ステップS133では、流入弁デュー
ティ比減少許可フラグFDEViを“1”にセットしてから
ステップS135に移行する。前記ステップS135で
は、増圧サイクルタイマTPEViを“0”にクリアしてか
ら前記ステップS134に移行する。そして、前記ステ
ップS134では、前記増圧タイマTEVi を“0”にク
リアしてからメインプログラムに復帰する。
【0049】以上の構成において、本実施形態は、本発
明のうち請求項1及び2に係るアンチスキッド制御装置
を実施化したものであり、図4の演算処理のステップS
106,ステップS116〜ステップS118が本発明
のアンチスキッド制御装置の路面摩擦係数状態検出手段
に相当し、以下同様に、図4の演算処理のステップS1
31がデューティ比設定手段に相当し、図4の演算処理
のステップS117〜ステップS120が指令信号調整
手段に相当し、図4の演算処理全体がPWM制御手段に
相当し、図3の演算処理及び図4の演算処理全体がアク
チュエータ制御手段に相当する。
【0050】次に、前記図4のアクチュエータ制御信号
出力演算処理及び前記図3のアンチスキッド制御演算処
理の作用について、ここでは前記前後加速度センサ16
で検出される前後加速度Xgが前記所定前後加速度値X
2 以上で且つ前記記憶装置20cに更新記憶されてい
る前記圧力センサ18iで検出された減圧開始ホイール
シリンダ圧Pi0が前記所定ホイールシリンダ圧Pi02
下である場合について説明する。
【0051】まず、各車輪1FL〜1Rのスリップ率S
i (i=FL〜R)が基準スリップ率Si0未満であり、
且つ制御フラグAS及び減圧タイマTが共に“0”であ
り、または車輪加減速度V'wi が予め設定された負の加
減速度閾値α及び正の加減速度閾値βの間,即ちα<
V'wi <βである非制動時及び制動初期時には、図3の
演算処理のステップS9,S11又はS15,S17,
S19を経て,S13でアクチュータ6FL〜6Rの圧
力をマスタシリンダ5の圧力に応じた圧力とする急増圧
モードに設定する。この急増圧モードでは、当該図3の
演算処理で制御モードフラグF1iが“0”に設定される
から、図4の演算処理ではステップS101からステッ
プS102に移行して各アクチューエータ6FL〜6R
の流出弁9に対して“0”%の流出弁デューティ比D
AVi が出力され、また、次のステップS108では各ア
クチューエータ6FL〜6Rの流入弁8に対して“0”
%の流入弁デューティ比DEVi が出力される。ところ
が、この図4の演算処理は前記図3の演算処理よりも大
幅に短いサンプリング時間毎に実行されるから、結果的
に前記流出弁9は完全閉状態に継続して制御され、流入
弁8は完全開状態に継続して制御されている。
【0052】そして、制動状態となると車輪速Vwi
徐々に減少し、これに応じて図6の曲線に示すように車
輪スリップ率Si の増加に伴って、車輪加減速度V'wi
が負の方向に減少して負の加減速度閾値αを越えると,
図3の演算処理のステップS17からステップS18に
移行し、ホイールシリンダ2FL〜2RRの内圧を一定
値に保持する高圧側の保持モードとなる。この高圧側の
保持モードでは、図3の演算処理において制御モードフ
ラグF1iが“3”に設定されるから、図4の演算処理で
はステップS101からステップS103,S105を
経てステップS107に移行する。このステップS10
7では後述する減圧開始制御フラグF2iがリセットされ
る。また、次のステップS113では各アクチューエー
タ6FL〜6Rの流出弁9に対して“0”%の流出弁デ
ューティ比DAVi が出力され、また、次のステップS1
14では各アクチューエータ6FL〜6Rの流入弁8に
対して“100”%の流入弁デューティ比DEVi が出力
される。これにより、各アクチュエータ6FL〜6Rの
流入弁8は完全閉状態に,流出弁9は完全閉状態に夫々
継続制御され、ホイールシリンダ2FL〜2RRの内圧
はその直前の圧力に保持される。
【0053】この保持モードによって、図6の曲線に示
すように車輪加減速度V'wi が減少すると共に、スリッ
プ率Si が増加して基準スリップ率Si0を越え,且つ車
輪加減速度V'wi が正の加減速度閾値β未満を維持して
いるときには、図3の演算処理のステップS4からステ
ップS5を経てステップS8に移行して,減圧タイマT
を予め設定された所定値T0 にセットすると共にアンチ
スキッド制御フラグASを“1”にセットし、これに応
じて論理値“1”の制御中信号MRを出力してアクチュ
エータ6FL〜6Rの油圧ポンプ10を作動状態とす
る。このため、同演算処理ではステップS12からステ
ップS14に移行し、アクチュエータ6FL〜6Rの圧
力を徐々に減圧する減圧モードとなる。
【0054】この減圧モードでは、前記図3の演算処理
において制御モードフラグF1iが“1”に設定されるか
ら、図4の演算処理ではステップS101からステップ
S103を経てステップS104に移行する。このステ
ップS104では、それまで前記減圧開始制御フラグF
2iが“0”にリセットされているから、次のステップS
109に移行して当該減圧開始制御フラグF2iを“1”
にセットし、次のステップS111で、そのときのホイ
ールシリンダ圧,即ち減圧制御直前のホイールシリンダ
圧Pi を減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0として更新記
憶し、次いでステップS110では各アクチューエータ
6FL〜6Rの流出弁9に対して“100”%の流出弁
デューティ比DAVi が出力され、また、次のステップS
111では各アクチューエータ6FL〜6Rの流入弁8
に対して“100”%の流入弁デューティ比DEVi が出
力されるが、この減圧モードが継続して、次回のサンプ
リング時刻以後に前記ステップS104に移行した際に
は前記減圧開始制御フラグF2iが“1”にセットされて
いるために前記ステップS110〜S112〜メインプ
ログラムというフローが繰返され、これにより前記減圧
開始ホイールシリンダ圧Pi0には正に減圧制御直前のホ
イールシリンダ圧Pi がサンプルホールドされる。そし
て、これにより、各アクチュエータ6FL〜6Rの流入
弁8は完全閉状態,流出弁9は完全開状態とされ、ホイ
ールシリンダ2FL〜2RRに保持されている圧力を流
出弁9,油圧ポンプ10及び逆止弁11を介してマスタ
シリンダ5側に戻し、ホイールシリンダ2FL〜2RR
の内圧を減圧させる。
【0055】この減圧モードにより、図6の曲線に示す
ように車輪加減速度V'wi が正方向に増加して正の加減
速度閾値β以上となると、前記図3の演算処理のステッ
プS4からステップS5を経てステップS7に移行す
る。このステップS7では、減圧タイマTを“0”にリ
セットしてから前記ステップS9に移行する。従って、
ステップS12の判定でT=0となるのでステップS1
5に移行し、V'wi ≧βであるのでステップS16に移
行し、制御フラグAS=1であるのでステップS20に
移行し、アクチュエータ6FL〜6Rの圧力を低圧側で
保持する低圧側の保持モードに移行する。この低圧側の
保持モードでも、前記高圧側の保持モードと同様に、図
3の演算処理で制御モードフラグF1iが“3”に設定さ
れるから、図4の演算処理ではステップS105からス
テップS104に移行するフローが実行され、前記高圧
側の保持モードと同様にホイールシリンダ2FL〜2R
Rの内圧をその直前の圧力に保持する。
【0056】この低圧側の保持モードにより、図6の曲
線に示すように車輪加減速度V'wiが正の加減速度閾値
β未満となると、図3の演算処理のステップS15から
ステップS17に移行し、V'wi >αであるのでステッ
プS19に移行し、制御フラグASが未だ“1”である
のでステップS21に移行する。このステップS21で
は、マスタシリンダ5からの圧力作動油を間欠的にホイ
ールシリンダ2FL〜2RRに供給し,当該ホイールシ
リンダ2FL〜2RRの内圧がステップ状に増圧されて
緩増圧モードとなる。なお、前記アクチュエータ6FL
〜6Rへの制御信号により流入弁8が開弁状態となって
ステップ状に増圧する一回のホイールシリンダ圧Pi
増圧量ΔPは、流体圧の脈動を考えないときは基本的
に、そのときのホイールシリンダ2FL〜2RRの内圧
とマスタシリンダ圧PMCとの差分及びデューティ比及び
開弁時間に比例する。
【0057】この緩増圧モードでは、前記図3の演算処
理において制御モードフラグF1iが“1”に設定される
から、図4の演算処理ではステップS105からステッ
プS106に移行して前後加速度Xgを読込み、次のス
テップS115で前記減圧開始制御フラグF2iを“0”
にリセットし、次のステップS116で前記減圧開始ホ
イールシリンダ圧Pi0を読込む。そして、ここでは前記
前後加速度Xgが前記所定前後加速度値Xg2 以上であ
るためにステップS118に移行し、前記減圧開始ホイ
ールシリンダ圧Pi0が前記所定ホイールシリンダ圧P
i02 以下であるためにステップS120に移行して、前
記流入弁8のデューティ比可変制御範囲に設定した開側
基準デューティ比DLEV0i が流入弁開側規制デューティ
比DLEViに、以下同様に中間基準デューティ比DMEV0i
が流入弁中間規制デューティ比DME Viに、閉側基準デュ
ーティ比DHEV0i が流入弁開側規制デューティ比DHEVi
に設定される。
【0058】また、これに続くステップS121では、
各アクチュータ6FL〜6Rの流出弁9に対して“0”
%の流出弁デューティ比DAVi が出力され、以後、緩増
圧モードで制御モードフラグF1iが“1”に設定され続
ける限り、このステップS121を繰返し通過するか
ら、各アクチュータ6FL〜6Rの流出弁9に対して
“0”%の流出弁デューティ比DAVi が出力され続け
る。
【0059】一方、続くステップS115で増圧サイク
ルタイマTPEViをインクリメントした後、前回の緩増圧
モードにおいて同演算処理のステップS133で“1”
にセットされた流入弁デューティ比減少許可フラグF
DEViは未だ“1”にセットされたままであるからステッ
プS123からステップS124に移行し、未だ増圧タ
イマTEVi は所定増圧時間TLEViでカウントアップして
いないからステップS116に移行する。このステップ
S116では、前記ステップS120で開側基準デュー
ティ比DLEV0i に設定された流入弁開側規制デューティ
比DLEViが出力されるから、前記図3の演算処理によっ
て緩増圧モードが選択された直後に、図7aに実線で示
すように当該流入弁デューティ比DEVi は前記開側基準
デューティ比DLEV0i まで一気に減少して流入弁8は開
又は略開状態となる。そして、前記ステップS128で
インクリメントされる増圧タイマTEVi が増圧時間T
LEViとなって、同ステップS124でカウントアップす
るまでの間、前記ステップS123,S124,S12
6に移行するフローが繰返され、流入弁デューティ比D
EVi は前記開側規制デューティ比DLEVi(=DLEV0i
に維持されるから、流入弁8は開又は略開状態に維持さ
れてホイールシリンダ圧Pi は当該開側規制デューティ
比DLEVi及び増圧時間TLEViに見合った分だけ増圧され
る。
【0060】そして、増圧タイマTEVi が前記増圧時間
LEVi(=TLEV0i )でカウントアップすると、図4の
演算処理のステップS124からステップS127に移
行して、前記ステップS120で前記中間基準デューテ
ィ比DMEVOi に設定された中間規制デューティ比DMEVi
を流入弁デューティ比DEVi として出力し、次のステッ
プS129で流入弁デューティ比減少許可フラグFDEVi
を“0”にリセットする。そして、次に図4の演算処理
が実行されるとステップS123からステップS125
に移行し、未だ流入弁デューティ比DEVi は前記閉側規
制デューティ比DHEVi(=DHEV0i )より小さいからス
テップS131に移行し、前回の流入弁デューティ比D
EVi に予め設定された前記デューティ比所定増加量ΔD
EV0iを和したデューティ比を今回の流入弁デューティ比
EVi として出力し、次第に増加する流入弁デューティ
比DEVi が前記ステップS120で前記閉側規制デュー
ティ比DHEVi以上と判定されるまでの間、このフローが
繰返される。従って、図7に実線で示すように、前記増
圧時間TLEVi経過後に、流入弁デューティ比DEViは一
旦,前記中間所定デューティ比DMEViまで一気に増加し
て、開閉状態の中間のような中庸状態になり、その後、
デューティ比制御信号は前記中間所定デューティ比D
MEViから閉側規制デューティ比DHEViまで、ミクロ的に
は前記所定サンプリング時間ΔTEVi 毎に前記デューテ
ィ比所定増加量ΔDEV0iずつ大きくなり、マクロ的には
前記デューティ比可変制御範囲内で前記中庸状態から閉
方向へと次第に移行される。なお、このときの傾き,即
ち閉弁動作速度は比較的小さく、当該流入弁8はその閉
動作時に相応にゆっくりと閉じられることになる。
【0061】やがて、増加される流入弁デューティ比D
EVi が前記ステップS120で閉側基準デューティ比D
HEV0i に設定された閉側規制デューティ比DHEViまで大
きくなると、図4の演算処理のステップS125からス
テップS130に移行して、この閉側規制デューティ比
HEViを流入弁デューティ比DEVi として出力し、次い
でステップS132で前記インクリメントされ続ける増
圧サイクルタイマTPE Viが所定増圧カウントアップ値T
dEVi以上となるまでの間、ステップS134で増圧タイ
マTEVi をクリアしてからメインプログラムに復帰する
フローが繰返され、前記増圧サイクルタイマTPEViが所
定増圧カウントアップ値TdEViまで大きくなると、ステ
ップS132からステップS133に移行して流入弁デ
ューティ比減少許可フラグFDEViを“1”にセットし、
次のステップS135で増圧サイクルタイマTPEViをク
リアし、従って次回以後、図4の演算処理が実行される
際には、前記ステップS123からステップS124を
経てステップS126に移行して流入弁デューティ比D
EVi を前記開側規制デューティ比DLEViに設定出力する
フローに戻る。従って、この間、図7に実線で示すよう
に、前記流入弁デューティ比DEVi の減少を開始してか
ら前記所定増圧カウントアップ値TdEViが経過するま
で、流入弁デューティ比DEVi は閉側規制デューティ比
HEViに維持されるから、流入弁8は閉又は略閉状態に
維持されてホイールシリンダ圧Pi は保持され、前記増
圧サイクルタイマTPEViが前記所定増圧カウントアップ
値TdEViでカウントアップする時間毎に、前記流入弁デ
ューティ比DEVi の増減或いは保持設定が繰り返され
て、当該ホイールシリンダ圧Pi はマスタシリンダ圧P
MCに向けて次第に増圧設定されることになる。
【0062】このため、各アクチュエータ6iの流出弁
9が閉状態を維持するが、流入弁8は前記図4のアクチ
ュエータ制御信号出力演算処理によって通常は閉状態に
維持され且つ所定時間TdEVi毎に前記増圧時間TLEVi
け開状態となり、マスタシリンダ5側の作動流体がホイ
ールシリンダ2i内に供給され、これによってホイール
シリンダ2iのシリンダ圧が増圧開始され、その後は、
前記所定増圧カウントアップ値TdEViに相当する時間毎
に保持圧と増圧とを繰り返してステップ状に増圧されて
ゆく。
【0063】このバルブ制御信号によれば、少なくとも
流入弁8が完全に閉状態となる直前の閉弁動作速度がゆ
っくりとなって特に前記閉弁後のホイールシリンダ圧の
脈動が抑制されると共に、ホイールシリンダ圧の脈動が
さほど大きくない開弁動作時には、当該流入弁が速やか
に開状態となるから、ホイールシリンダ圧の増圧制御応
答性を確保し易くなる。また、特に閉弁後のホイールシ
リンダ圧の脈動にはさほど影響のない、閉弁動作途中
(前記中庸状態)までは一気にバルブが閉動作するため
に、その分だけホイールシリンダ圧の増圧制御精度を向
上することができる。
【0064】従って、この緩増圧モードになると、ホイ
ールシリンダ2FL〜2RRの圧力上昇が緩やかとなる
ので、車輪1FL〜1RRに対する制動力が徐々に増加
し、図6の曲線に示すように車輪1FL〜1RRが減速
状態となって車輪速Vwi も減少する。その後、車輪加
減速度V'wi が負の加減速度閾値α未満となると,前述
と同様に高圧側の保持モードとなり、その後、各輪のス
リップ率Si が基準スリップ率Si0以上となると,減圧
モードとなり、然る後、低圧保持モード、緩増圧モー
ド、高圧保持モード、減圧モードが繰り返され、アンチ
スキッド効果を発揮することができる。
【0065】なお、車両の速度がある程度低下したとき
には、減圧モードにおいてスリップ率Si が基準スリッ
プ率Si0未満に回復する場合があり、このときには前記
ステップS4からステップS6に移行し、前記したよう
に減圧モードを設定するステップS8で減圧タイマTが
所定値T0 にセットされているので、ステップS10に
移行して減圧タイマTの所定設定値を“1”だけ減算し
てからステップS9に移行することになる。従って、こ
のステップS6からステップS10に移行する処理を繰
り返して減圧タイマTが“0”となると,ステップS9
〜S19を経てステップS21に移行して緩増圧モード
に移行し、次いで高圧側の保持モードに移行してから減
圧モードに移行する,即ち図6に破線で示すように制動
圧制御が実行されることになる。
【0066】そして、車両が停止近傍の速度になったと
き、例えば緩増圧モードの増圧回数が所定値以上となっ
たとき等の制御終了条件を満足する状態となったときに
は,ステップS9の判断によって制御終了と判断される
ので、このステップS9からステップS11に移行して
減圧タイマT及び制御フラグASを夫々“0”にリセッ
トしてからステップS13に移行して、急増圧モードと
してからアンチスキッド制御を終了する。
【0067】次に、前記図5の流入弁に対するアクチュ
エータ制御信号出力演算処理によるホイールシリンダ圧
脈動抑制効果について、図8,図9を用いて簡潔に説明
する。同図8aは、前記図4の演算処理による流入弁に
対する制御信号出力のデューティ比パターンであり、同
図8bは、このデューティ比パターンによるホイールシ
リンダ圧の増圧状態を実験により採取したものである。
これに対して、図9aは従来の完全矩形波状のバルブ制
御信号出力のデューティ比パターンであり、同図9bは
それによるホイールシリンダ圧の増圧状態である。ま
ず、図9から明らかなように、この完全矩形波状のバル
ブ駆動信号では、前述のようにバルブ開時にもバルブ閉
時にも大きな脈圧が発生し、特に閉弁後の前記配管系共
振による脈圧は振幅も大きく且つ収束性もよくない。こ
れに対して本実施形態の開弁デューティ比パターン制御
では、特に閉弁時の脈圧が大幅に低減されていることが
明らかであり、特に閉弁時の傾き,即ちバルブの閉方向
への移行速度を小さくすることによって、急激な開弁時
に発生する脈圧までが抑制されている。従って、本実施
形態のアクチュエータ制御信号出力制御では、特にバル
ブ閉時の作動流体の流量変化を小さくすることによっ
て、その圧力変動入力を抑制防止し、脈圧が発生する原
因そのものを抑制することから、前述した従来のような
流体圧ディバイスを低減し或いは必要とせず、ホイール
シリンダ圧制御の応答性を確保することができる。ま
た、特にホイールシリンダ圧の脈動が大きい閉弁直前の
閉弁動作速度のみを遅くして前述のようなバルブ閉弁後
のホイールシリンダ圧脈動を抑制すると共に、それ以外
の開弁動作速度及び閉弁動作速度が速くなるから、当該
ホイールシリンダ圧の増減圧制御応答性や精度を確保す
ることができる。
【0068】以上は、前記本出願人が先に提案した特願
平7−106369号に記載される発明の内容と同様又
はほぼ同様である。一方、本実施形態のアンチスキッド
制御装置では、前記図4の演算処理において、前記ステ
ップS106で読込まれる前後加速度Xgが前記所定前
後加速度値Xg2 より小さい(減速度が大きい)場合に
はステップS117から、前記ステップS116で読込
まれる前記減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が前記所定
ホイールシリンダ圧Pi02 より大きい場合にはステップ
S118から、夫々ステップS119に移行して、前記
開側基準デューティ比DLEV0i より小さい開側所定デュ
ーティ比DLEV1i (=0%)が前記流入弁開側規制デュ
ーティ比DLEViに、前記中間基準デューティ比DMEV0i
より大きい中間所定デューティ比DMEV1i (=100
%)が前記流入弁中間規制デューティ比DMEViに、前記
閉側基準デューティ比DHEV0i より大きい閉側所定デュ
ーティ比DHEV1i (=100%)が前記流入弁閉側規制
デューティ比DHEViに設定される。
【0069】従って、このような状況下で流入弁8に出
力される制御信号のデューティ比パターンは図7bに実
線で示すように、増圧制御信号の出力と共に流入弁デュ
ーティ比DEVi は、前記新たに設定された比較的小さな
流入弁開側規制デューティ比DLEViまで一気に減少され
て、当該流入弁8は大きく開弁され(ここではデューテ
ィ比“0”%であって完全開状態となる)、この大きな
開弁状態を、前記増圧時間TLEViだけ継続する。ここ
で、前記ステップS119で中間規制デューティ比D
MEViと閉側規制デューティ比DHEViとに設定される中間
所定デューティ比D MEV1i と閉側所定デューティ比D
HEV1i とが異なる場合には、前記増圧時間TLE Vi経過後
に、前述と同様に一旦,前記新たに設定された中間規制
デューティ比D MEVi(=DMEV1i )まで一気に増加し
て、前述と同様の中庸状態になり、その後、デューティ
比制御信号は当該中間規制デューティ比DMEViから、新
たに設定された閉側規制デューティ比DHEVi(=D
HEV1i )まで、前記所定サンプリング時間ΔTEVi 毎に
前記デューティ比所定増加量ΔDEV0iずつ大きくなり、
当該流入弁8は前記デューティ比可変制御範囲内で前記
中庸状態から閉方向へと次第に移行される。
【0070】但し、この実施形態では前記新たな中間規
制デューティ比DMEViと閉側規制デューティ比DHEVi
に設定される中間所定デューティ比DMEV1i と閉側所定
デューティ比DHEV1i とが、共に100%で同じである
ために、前記増圧時間TLEViだけ完全開弁状態を継続し
た後、デューティ比制御信号は図7bに実線で示すよう
に、100%の中間規制デューティ比DMEViまで一気に
増加し、それ以後の演算処理でステップS123からス
テップS125に移行しても、既に流入弁デューティ比
EVi が前記新たな開側規制デューティ比DHEV2i に等
しいために、同じく100%の開側規制デューティ比D
HEV2i が出力されて完全閉弁状態が継続される。しかし
ながら前記増圧サイクルタイマTPEViが前記所定増圧カ
ウントアップ値TdEViでカウントアップする時間、つま
り次に流入弁8が開弁されるまでの時間は変わらないか
ら、当該流入弁8は所定増圧カウントアップ値TdEVi
相当する時間毎に、より大きく開弁されることになる。
この間のホイールシリンダ圧Pi の増圧量は、後述する
マスタシリンダ圧との差圧を除くと、前述のように流入
弁の開度とその開弁時間とに応じて増加するから、ここ
では例えば図7aに実線で示す増圧信号デューティ比パ
ターンの開弁状態面積と、同図7bに実線で示す増圧信
号デューティ比パターンの開弁状態面積との面積比が、
それまでのホイールシリンダ圧Pi の増圧量の増加比で
あり、同時にそれが増圧ゲインの増加量であると考えら
れる。つまり、ここでは本発明のアンチスキッド制御装
置に提唱される流入電磁弁の開弁操作デューティ比制御
パターンを、従来と同様の矩形波形状に変更設定してい
ることになる。
【0071】さて、前述のように増圧ゲインを増加しな
い増圧信号デューティ比パターン,即ち図7aに実線で
示すようなデューティ比パターンの増圧信号でホイール
シリンダ圧の緩増圧制御を実行した場合、図10に示す
ようにマスタシリンダ圧(M/C圧)が高く且つホイー
ルシリンダ圧(W/C圧)が低い場合には、前述のよう
にホイールシリンダ圧の増圧ゲインを司る両者の差圧が
大きいから、一回の増圧信号出力当たり十分な増圧ゲイ
ンが得られる。即ち、例えば低μ路面におけるアンチス
キッド制御による作動流体圧(図では液圧)制御の制御
液圧領域が比較的低い液圧領域である場合には、短い緩
増圧時間で十分な制動力を得て後述のようにアンチスキ
ッド制御装置としての制御性能を確保することができ
る。しかしながら、マスタシリンダ圧(M/C圧)が高
くてもホイールシリンダ圧(W/C圧)が高くなると、
当該マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧が
小さいから一回の増圧信号出力時の増圧ゲインを十分に
確保することができない。従って、高μ路面において前
記基準スリップ率を満足するようなアンチスキッド制御
の制御液圧領域が高い場合には、その緩増圧制御で十分
なホイールシリンダ圧の増圧量を確保することができ
ず、これが後述のようにアンチスキッド制御装置として
の制御性能を低下してしまう。
【0072】これに対して、従来の矩形波形状のデュー
ティ比制御パターンによる増圧信号では、マスタシリン
ダ圧(M/C圧)とホイールシリンダ圧(W/C圧)と
の差圧が小さい領域でも、緩増圧時間に応じたほぼリニ
アな増圧特性曲線となるのが分かる。これを前記図3の
演算処理によるアンチスキッド制御の実際にあててみた
のが図11である。そして、マスタシリンダ圧(M/C
圧)さえ高ければ、低μ路面のようにアンチスキッド制
御の作動液圧領域が低い場合に、緩増圧制御の一回の増
圧制御によってホイールシリンダ圧(W/C圧)の適切
な増圧量を得ることができるから、当該低μ路面での制
御液圧制御では、増圧回数を適正回数(図では3〜4回
程度)としてアンチスキッド制御の液圧制御サイクルを
満足し、もってアンチスキッド制御装置としての制御性
能が確保されているのが分かる。一方、マスタシリンダ
圧(M/C圧)が高くても、高μ路面のようにアンチス
キッド制御の作動液圧領域が高い場合には、図11に示
すように緩増圧制御の一回の増圧制御によるホイールシ
リンダ圧(W/C圧)の増圧量が小さいから、この緩増
圧制御が継続され、その増圧制御が多数回に渡って繰返
される。ところが、前記図3のような通常のアンチスキ
ッド制御では、前述のように、緩増圧制御の増圧回数が
所定回数値以上となると、一旦,アンチスキッド制御を
終了して、前述の急増圧モードに設定してしまうため、
ホイールシリンダ圧(W/C圧)がマスタシリンダ圧
(M/C圧)近傍まで一気に増圧されて制動力が急速に
大きくなり、これに伴って車輪のスリップ率が大きくな
り過ぎると、再び前記アンチスキッド制御の減圧モード
制御によってホイールシリンダ圧を大きく減圧してしま
う。このようになると、作動液圧の不必要な増減圧が発
生することになるから、アンチスキッド制御装置として
の制御性能が低下する。
【0073】そこで、本実施形態のアンチスキッド制御
装置では、前記図4の演算処理により、前後加速度Xg
が前記負値の所定前後加速度値Xg2 より小さい場合や
減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が所定ホイールシリン
ダ圧Pi02 より大きい場合に、前述のように制御信号の
デューティ比制御パターンを通常の矩形波形状とするこ
とにより増圧ゲインを増加させている。ここで、制動中
の減速度に相当する前後加速度Xgが数値的に小さいほ
ど、タイヤと路面との粘着性に比例する路面μが高いこ
とは容易に想定されよう。また、前述のように車輪スリ
ップ率を前記基準スリップ率に安定させることを目的と
するアンチスキッド制御中の制動力減少開始時、即ち車
輪スリップ率を減少回復させるための減圧が開始される
直前のホイールシリンダ圧(W/C圧)は図12に示す
ように、当該路面μが安定していれば、ほぼ一定とな
り、同時に前述のようにアンチスキッド制御中の作動液
圧領域は路面μが高くなるほど高くなることから、前記
減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が数値的に大きいほ
ど、路面μが高いことになる。従って、本実施形態のア
ンチスキッド制御装置では、前記前後加速度Xgが前記
負値の所定前後加速度値Xg2 以上で且つ減圧開始ホイ
ールシリンダ圧Pi0が所定ホイールシリンダ圧P i02
下であるような低μ路面では、図13aに示すような増
圧信号によってホイールシリンダ圧の脈動を防止し、こ
れらの条件から外れるような高μ路面では、図13bに
示すような完全開弁状態と完全閉弁状態とを繰返す矩形
波形状の増圧信号によって、増圧ゲインを増加させてホ
イールシリンダ圧(W/C圧)の増圧量を確保し、もっ
て適正な緩増圧制御中の制動力を達成してアンチスキッ
ド制御装置としての制御性能を確保することができる。
【0074】なお、前記実施形態では、アクチュエータ
制御信号のデューティ比制御パターンを高μ路面で矩形
波形状としたために、実質的にそのときのホイールシリ
ンダ圧には脈動が発生する。しかしながら、このような
高μ路面では一般にロードノイズ等のその他の振動や騒
音が大きく、所謂マスキング効果によって前記ホイール
シリンダ圧の脈動に伴う振動や騒音が問題とならないた
めに、これを改善することよりも操安性や制動距離に係
る液圧レベルそのものを改善することが望まれ、本発明
はそれらの課題に対応している。
【0075】また、前記実施形態では、車両前後加速度
と減圧開始ホイールシリンダ圧との双方から路面μの検
出又は判定を行っているが、何れか一方だけを用いても
路面μの検出又は判定を行うことができる。但し、特に
車両前後加速度だけに着目したとき、高μ路面でもマス
タシリンダ圧が低く、従って車両前後加速度も減速度と
して小さい場合に、それだけを考えれば路面μが低いと
誤認識する虞れがある。しかしながら、マスタシリンダ
圧そのものが低ければ実際のホイールシリンダ圧も低
く、従ってこのような高μ路面で車輪が過大にスリップ
することはないから、前述のアンチスキッド制御でホイ
ールシリンダ圧を保持したり減圧したりすることもな
く、従って当該ホイールシリンダ圧を緩増圧する必要も
ないから、当該緩増圧モードで作動するデューティ比制
御の演算処理に、前記前後加速度から路面μを検出又は
判定する演算処理を組込んでおけば、前述のような誤認
識が発生する虞れはない。
【0076】次に、本発明のアンチスキッド制御装置の
第2実施形態について図14乃至図16を用いて説明す
る。まず、本実施形態のアンチスキッド制御装置の車両
構成は、アクチュエータやコントロールユニットを含め
て前記第1実施形態のものと同様又はほぼ同様であるた
めに、その詳細な説明を省略する。また、コントロール
ユニット内のマイクロコンピュータで実行される主とな
るアンチスキッド制御の演算処理内容も、前記図3の演
算処理の第1実施形態のものと同様又はほぼ同様である
ためにその詳細な説明を省略する。
【0077】そして、このアンチスキッド制御に基づく
アクチュエータ制御信号出力演算処理が、前記第1実施
形態の図4のフローチャートに示すものから図14のフ
ローチャートに示すものへと変更されているが、その大
部分は同じであり、具体的には前記図4の演算処理に対
して図13では各規制デューティ比を設定する前記ステ
ップS120,S119に加えてステップS119’が
併設され、前記ステップS117とステップS119と
の間及びステップS118とステップS119との間に
は夫々ステップS117’,ステップS118’が追加
介入されているだけで、その他のステップについては同
様又はほぼ同様であるために同等の符号を附して、その
詳細な説明を省略する。
【0078】つまり、前記ステップS117で前後加速
度Xgが前記所定前後加速度値Xg 2 より小さいとして
移行したステップS117’では、当該前後加速度Xg
が、前記所定前後加速度値Xg2 より小さい,予め設定
された負値の第2の所定前後加速度値Xg1 以下である
か否かを判定し、当該前後加速度Xgが第2の所定前後
加速度値Xg1 以下である場合には、後述するステップ
S118’に移行し、そうでない場合にはステップS1
19’に移行する。
【0079】また、前記ステップS118で減圧開始ホ
イールシリンダ圧Pi0が前記所定ホイールシリンダ圧P
i02 より大きいとしても移行する前記ステップS11
8’では、当該減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が、前
記所定ホイールシリンダ圧Pi0 2 より大きい,予め設定
された第2の所定ホイールシリンダ圧Pi01 以上である
か否かを判定し、当該減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0
が第2の所定ホイールシリンダ圧Pi01 以上である場合
にはステップS119に移行し、そうでない場合にはス
テップS119’に移行する。
【0080】そして、前記ステップS119’では、前
記流入弁開側規制デューティ比DLE Viを、前記開側基準
デューティ比DLEV0i より小さく且つ前記開側所定デュ
ーティ比DLEV1i 以上の値に予め設定された第2の開側
所定デューティ比DLEV2i (ここでは0%に設定した)
に設定し、流入弁中間規制デューティ比DMEViを、前記
中間基準デューティ比DMEV0i 以上で且つ前記中間所定
デューティ比DMEV1iより小さい値に予め設定された第
2の中間所定デューティ比DMEV2i (ここでは中間基準
デューティ比DMEV0i と同等の値に設定した)に設定
し、流入弁閉側規制デューティ比DHEViを、前記閉側基
準デューティ比DHEV0i 以上で且つ前記中間所定デュー
ティ比DMEV1i より小さい値に予め設定された第2の閉
側所定デューティ比DHEV2i (ここでは閉側基準デュー
ティ比DHEV0i と同等の値に設定した)に設定してから
前記ステップS121に移行する。
【0081】以上の構成において、本実施形態は、本発
明のうち請求項1乃至3の全てに係るアンチスキッド制
御装置を実施化したものであり、図14の演算処理のス
テップS106,ステップS115〜ステップS11
8’が本発明のアンチスキッド制御装置の路面摩擦係数
状態検出手段に相当し、以下同様に、図14の演算処理
のステップS131がデューティ比設定手段に相当し、
図14の演算処理のステップS117〜ステップS12
0が指令信号調整手段に相当し、図14の演算処理全体
がPWM制御手段に相当し、図3の演算処理及び図4の
演算処理全体がアクチュエータ制御手段に相当する。
【0082】次に、前記図14のアクチュエータ制御信
号出力演算処理の作用について簡潔に説明する。なお、
前記前後加速度Xgが前記所定前後加速度値Xg2 以上
で且つ減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が前記所定ホイ
ールシリンダ圧Pi02 以下であるような低μ路面におい
て、前記図14の演算処理のステップS117からステ
ップS120に移行して、前記流入弁開側規制デューテ
ィ比DLEVi,中間規制デューティ比DMEVi,閉側規制デ
ューティ比DHEViの夫々が、前記開側基準デューティ比
LEV0i ,中間基準デューティ比DMEV0i ,閉側基準デ
ューティ比DHE V0i に設定された場合の制御信号のデュ
ーティ比制御パターンは図15aに示すものとなり、そ
の作用は、前記図4の演算処理の基本的な制御信号出力
の作用と同様又はほぼ同様であるためにその詳細な説明
を割愛する。
【0083】この図14の演算処理では、前記前後加速
度Xgが前記所定前後加速度値Xg 2 より小さかった
り、減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が前記所定ホイー
ルシリンダ圧Pi02 より大きかったりした場合に設定さ
れる路面μよりも、更に高い路面μで達成される前後加
速度Xgを前記第2の所定前後加速度値Xg1 に、その
ときの減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0を前記第2の所
定ホイールシリンダ圧P i01 に設定し、当該前後加速度
Xgが前記第2の所定前後加速度値Xg1 より大き(減
速度としては小さ)かったり、当該減圧開始ホイールシ
リンダ圧Pi0が前記第2の所定ホイールシリンダ圧P
i01 より小さかったりした場合には、路面μがさほど高
くも低くもない中程度(この路面を中μ路面とも記す)
であるとして、ステップS119’で前記開側基準デュ
ーティ比DLEV0i より大きい第2の開側所定デューティ
比DLEV2i を流入弁開側規制デューティ比DLEViに設定
し、合わせて前記中間基準デューティ比DMEV0i 以上の
第2の中間所定デューティ比D MEV2i を流入弁中間規制
デューティ比DMEViに設定し、前記閉側基準デューティ
比DHEV0i 以上の第2の閉側所定デューティ比DHEV2i
を流入弁閉側規制デューティ比DHEViに設定する。
【0084】従って、このような状況下で、流入弁8に
出力される制御信号のデューティ比制御パターンは図1
5bに実線で示すように、増圧制御信号の出力と共に流
入弁デューティ比DEVi は、前記新たに設定された比較
的小さな流入弁開側規制デューティ比DLEViまで一気に
減少されて、当該流入弁8は大きく開弁され(ここでは
第2の開側所定デューティ比“0”%であって完全開状
態となる)、この大きな開弁状態を、前記増圧時間T
LEViだけ継続し、その後、前述と同様に一旦,前記新た
に設定された中間規制デューティ比DMEVi(=第2中間
所定デューティ比DMEV2i =中間基準デューティ比D
MEV0i )まで一気に増加して、開閉状態の中間のような
中庸状態になり、その後、デューティ比制御信号は当該
中間規制デューティ比DMEViから、新たに設定された閉
側規制デューティ比DHEVi(=第2閉側所定デューティ
比DHEV2i =閉側基準デューティ比DHEV0i )まで、前
記所定サンプリング時間ΔTEVi 毎に前記デューティ比
所定増加量ΔDEV0iずつ大きくなり、当該流入弁8は前
記デューティ比可変制御範囲内で前記中庸状態から閉方
向へと次第に移行され、しかしながら前記増圧サイクル
タイマTPEViが前記所定増圧カウントアップ値TdEVi
カウントアップする時間、つまり次に流入弁8が開弁さ
れるまでの時間は変わらないから、当該流入弁8は所定
増圧カウントアップ値TdEViに相当する時間毎に、前記
低μ路面よりは、より大きく開弁されて増圧ゲインが増
加されることになる。
【0085】更に、前後加速度Xgが前記第2の所定前
後加速度値Xg1 より小さ(減速度としては大き)かっ
たり、減圧開始ホイールシリンダ圧Pi0が前記第2の所
定ホイールシリンダ圧Pi01 より大きかったりした場合
には、相応の高μ路面であるとして、前記図4の演算処
理と同様に、図15cに実線で示す完全開弁状態と完全
閉弁状態とを繰返す矩形波形状のデューティ比制御パタ
ーンに変更された制御信号が出力される。
【0086】従って、本実施形態のアンチスキッド制御
装置では、前記図13aに相当する図16aの低μ路面
での液圧制御及び図13bに相当する図16cの高μ路
面での液圧制御に加えて、同図16bに示す中μ路面で
の液圧制御が実行される。このような増圧ゲインを段階
的に増加させることで、路面μに応じたきめ細かいアン
チスキッド制御が達成されると共に、前記第1実施態様
で中μ路面でも実行される高μ路面相当の液圧制御に伴
う脈動を、この第2実施態様では効果的に抑制すること
が可能となる。勿論、各路面μ検出又は判定の閾値を適
切に設定することで、アンチスキッド制御装置としての
制御性能を確保することができる。
【0087】なお、前記実施形態では、緩増圧制御のき
め細かさの要求に基づいて設定された増圧サイクルタイ
ムに相当する増圧カウントアップ値TdEViの下で、例え
ば流入弁開側所定デューティ比DLEV0i や閉側所定デュ
ーティ比DHEViやデューティ比所定増加量ΔDEV0iなど
は以下の理由によって適宜設定したり選定したりするこ
とができる。まず、前述のように一般にデューティ弁と
称される電磁弁の前記デューティ比可変有効範囲は個体
ばらつきや発熱等の動作環境によって異なるために、少
なくとも前記流入弁開側所定デューティ比DLEV0i や閉
側所定デューティ比DHEViは各車両に応じて設定する必
要がある。また、デューティ比所定増加量ΔDEV0i
は、その絶対値を小さく設定するほど、ホイールシリン
ダ圧の脈動抑制効果は高い。しかし、これを小さくし過
ぎるとバルブの開状態から閉状態又は閉状態から開状態
への移行時間が長くなり、十分な増圧時間TLEViが確保
できなくなる。よって、車両に要求されるホイールシリ
ンダ圧制御の応答性並びにホイールシリンダ圧の脈動抑
制効果(例えば音振の抑制効果等)に照らしてこれらを
設定する必要がある。そして、前記流入弁開側所定デュ
ーティ比DLEV0i 及びデューティ比所定増加量ΔD
EV10i を総合的に考慮して増圧時間TLEViを設定する。
実車にあっては当該ホイールシリンダ圧Pi の増減圧量
を設定するにあたっても、車体速や路面μなどを考慮す
べきである。更に、前記デューティ比の増減変化率に関
与するフリーランタイマ割込のサンプリング時間やメイ
ンとなる図4の演算処理のサンプリング時間等について
も十分に考慮する必要がある。
【0088】また、前記実施形態では、作動流体圧を保
持圧から所定時間毎に増圧する緩増圧のみを行うアンチ
スキッド制御装置についてのみ説明したが、作動流体圧
の増圧と減圧とを所定時間毎に繰り返す場合の制御信号
にも同様に展開することができる。また、前記実施形態
においては後輪側の車輪速を共通の車輪速センサで検出
する3チャンネルアンチスキッド制御装置の場合につい
てのみ詳述したが、これに限らず後輪側の左右輪につい
ても個別に車輪速センサを設け、これに応じて左右のホ
イルシリンダに対して個別のアクチュエータを設ける,
所謂4チャンネルのアンチスキッド制御装置にも展開可
能である。
【0089】また、本発明のアンチスキッド制御装置
は,後輪駆動車,前輪駆動車,四輪駆動車等のあらゆる
車両に適用可能である。また、前記各実施形態はコント
ロールユニットとしてマイクロコンピュータを適用した
場合について説明したが、これに代えてカウンタ,比較
器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように本発明のアンチスキ
ッド制御装置によれば、制動用シリンダへの作動流体圧
を増圧調整する電磁弁の閉動作時に次第に閉状態に移行
するようにデューティ比を設定することで、作動流体圧
の脈圧や振動,騒音を抑制防止すると共に、路面の摩擦
係数状態が高いときに、当該作動流体圧の増圧調整を行
う電磁弁の開側規制デューティ比をより開方向に変更設
定したりすることによって、制動用シリンダの作動流体
圧の増圧量が増加する方向に指令信号のデューティ比を
調整することで、一回の作動流体圧の増圧ゲインを増加
せしめ、もってマスタシリンダ内の作動流体圧と制動用
シリンダの作動流体圧との差圧が小さくなる高摩擦係数
状態路面で十分な制動力を発揮できるようにすることで
アンチスキッド制御装置としての制御性能を確保するこ
とができる。
【0091】また、高摩擦係数状態路面における指令信
号のデューティ比制御パターンを、従来と同様の矩形波
形状とすることで、増圧信号に対する制動用シリンダの
作動流体圧の増圧変化量をリニアにして制御性を向上す
ることができる。また、前記路面摩擦係数状態検出値の
増加に応じて、前記制動用シリンダへの作動流体圧の増
圧ゲインが段階的に増加するようにすることで、各路面
係数状態に応じた適切な制動力を発揮してアンチスキッ
ド制御装置としての制御性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンチスキッド制御装置の一例を示す
車両概略構成図である。
【図2】図1のアクチュエータの一例を示す概略構成図
である。
【図3】図1のコントロールユニットで実行される基本
的なアンチスキッド制御の演算処理の一例を示すフロー
チャートである。
【図4】図1のコントロールユニットで実行されるアク
チュエータ制御信号出力演算処理の第1実施形態を示す
フローチャートである。
【図5】デューティ比制御される電磁弁のデューティ比
有効範囲の説明図である。
【図6】図3の演算処理による制動用シリンダの作動流
体圧制御パターンの説明図である。
【図7】図4の演算処理によって制動用シリンダへの作
動流体圧の緩増圧制御時に出力される制御信号デューテ
ィ比パターンの説明図である。
【図8】図7の制御信号デューティ比パターンによるホ
イールシリンダ圧の脈動の説明図である。
【図9】従来の矩形波駆動信号によるホイールシリンダ
圧の脈動の説明図である。
【図10】図7の制御信号デューティ比パターン及び矩
形波駆動信号による制動用シリンダの作動流体圧の状態
を示す説明図である。
【図11】図10の作動流体圧状態をアンチスキッド制
御の実際に当てはめてみた場合の説明図である。
【図12】アンチスキッド制御で発生する減圧直前の作
動流体圧の説明図である。
【図13】図7の制御信号デューティ比パターンで制御
ゲインを増加する場合の説明図である。
【図14】図1のコントロールユニットで実行されるア
クチュエータ制御信号出力演算処理の第2実施形態を示
すフローチャートである。
【図15】図14の演算処理によって制動用シリンダへ
の作動流体圧の緩増圧制御時に出力される制御信号デュ
ーティ比パターンの説明図である。
【図16】図15の制御信号デューティ比パターンで制
御ゲインを増加する場合の説明図である。
【図17】電磁弁の一例の構造説明図である。
【図18】開弁信号によって発生する作動流体圧変動の
説明図である。
【符号の説明】
1FL〜1RRは車輪 2FL〜2RRはホイールシリンダ(制動用シリンダ) 3FL〜3Rは車輪速センサ 4はブレーキペダル 5はマスタシリンダ 6FL〜6Rはアクチュエータ 8は流入電磁弁(増圧調整を行う電磁弁) 9は流出電磁弁 10はポンプ 15FL〜15Rは車輪速度演算回路 16は前後加速度センサ 18FL〜18Rは圧力センサ 20はマイクロコンピュータ 22aFL〜22cRはPWM駆動回路 EGはエンジン Tは変速機 DGはディファレンシャルギヤ CRはコントロールユニット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 指令信号により開閉動作する複数の電磁
    弁を備えて構成されて、各車輪の制動用シリンダの作動
    流体圧を各電磁弁への指令信号に応じて各々増減圧調整
    するアクチュエータと、車輪のスリップ状態に基づい
    て、少なくとも作動流体圧制御中は前記各車輪の制動用
    シリンダの作動流体圧に対して所定の減圧を行った後、
    所定時間毎に制限された増圧を繰返すことにより当該作
    動流体圧を緩増圧するために、前記アクチュエータの電
    磁弁の開閉動作を電流値によって制御するための指令信
    号を出力するアクチュエータ制御手段とを備え、前記ア
    クチュエータ制御手段は、各制動用シリンダへの作動流
    体圧制御時に前記電磁弁への電流値を制御するための指
    令信号をPWM制御するPWM制御手段を備え、当該P
    WM制御手段は、路面の摩擦係数状態を検出する摩擦係
    数状態検出手段と、少なくとも前記制動用シリンダへの
    作動流体圧を増圧調整する電磁弁が、少なくともその閉
    動作時に次第に閉状態に移行するように、当該電磁弁へ
    の指令信号のデューティ比を次第に変更設定するデュー
    ティ比設定手段と、前記摩擦係数状態検出手段で検出さ
    れた路面摩擦係数状態検出値が所定値以上であるとき
    に、前記作動流体圧制御中の各車輪の制動用シリンダの
    作動流体圧の増圧量が増加する方向に、当該作動流体圧
    を増圧調整する電磁弁への前記PWM制御される指令信
    号のデューティ比を調整する指令信号調整手段とを備え
    たことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 前記指令信号調整手段は、前記作動流体
    圧制御中の各車輪の制動用シリンダの作動流体圧の増圧
    量を増加するときに、前記各制動用シリンダへの作動流
    体圧を増圧調整する電磁弁のデューティ比制御パターン
    を矩形波形状に変更設定することを特徴とする請求項1
    に記載のアンチスキッド制御装置。
  3. 【請求項3】 前記指令信号調整手段は、前記摩擦係数
    状態検出手段で検出された路面摩擦係数状態検出値の増
    加に伴って、段階的に各制動用シリンダへの作動流体圧
    の増圧量が増加する方向に、当該作動流体圧を増圧調整
    する電磁弁へのPWM制御される指令信号のデューティ
    比を変更設定することを特徴とする請求項1又は2に記
    載のアンチスキッド制御装置。
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