JPH08995B2 - すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法 - Google Patents

すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法

Info

Publication number
JPH08995B2
JPH08995B2 JP4075942A JP7594292A JPH08995B2 JP H08995 B2 JPH08995 B2 JP H08995B2 JP 4075942 A JP4075942 A JP 4075942A JP 7594292 A JP7594292 A JP 7594292A JP H08995 B2 JPH08995 B2 JP H08995B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
overlay layer
alloy
addition amounts
ratio
sliding surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4075942A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05239691A (ja
Inventor
正 田中
求 和田
日出夫 石川
義和 藤沢
丈志 成重
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Daido Metal Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Daido Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd, Daido Metal Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP4075942A priority Critical patent/JPH08995B2/ja
Publication of JPH05239691A publication Critical patent/JPH05239691A/ja
Publication of JPH08995B2 publication Critical patent/JPH08995B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はすべり軸受におけるオー
バーレイ層形成方法、特に、ライニング層上に回転軸と
の摺動面を持つオーバーレイ層を電気メッキ法により形
成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種オーバーレイ層の形成方法
としては、特開昭56−96088号公報に開示された
方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この種すべり軸受は、
エンジンにおけるクランクシャフトのジャーナル部、コ
ンロッドの大端部等に適用されているが、エンジンが高
速、且つ高出力化の傾向にある現在の状況下では、従来
のすべり軸受におけるオーバーレイ層はオイル保持性、
つまり保油性が十分でなく、また初期なじみ性も悪いた
め耐焼付き性が乏しいという問題があった。
【0004】そこで、本出願人は先に、オーバーレイ層
に十分な保油性と良好な初期なじみ性を具備させてその
オーバーレイ層の耐焼付き性を大幅に向上させたすべり
軸受を開発した。そのオーバーレイ層は、ライニング層
上に電気メッキ法により形成されたもので、摺動面を形
成すべく、結晶面をミラー指数で(h00)面と直交す
る方向に配向させた複数の四角錐体状Pb合金結晶を有
する(特開平3−215694号公報参照)。
【0005】本発明は、前記のような特定構造を有する
オーバーレイ層を確実に形成することのできる前記オー
バーレイ層形成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、摺動面を形成
すべく、結晶面をミラー指数で(h00)面と直交する
方向に配向させた複数の四角錐体状Pb合金結晶を有す
るオーバーレイ層をライニング層上に電気メッキ法によ
って形成するに当り、メッキ液として、Pbイオンおよ
び合金元素イオンを含む電解液にタンパク質および多価
フェノール系化合物を添加したものを用い、前記電解液
1リットル当りの前記タンパク質の添加量をXgとし、
また前記電解液1リットル当りの前記多価フェノール系
化合物の添加量をYgとしたとき、両添加量の比X/Y
を、0<X/Y≦20に設定して、前記摺動面における
前記四角錐体状Pb合金結晶の存在率を高めることを特
徴とする。
【0007】
【実施例】図1,図2において、すべり軸受1は、エン
ジンにおけるクランクシャフトのジャーナル部、コンロ
ッドの大端部等に適用されるもので、第1および第2半
体11 ,12 よりなる。両半体11 ,12 は同一構造を
有し、裏金2と、裏金2の内周面に形成されたライニン
グ層3と、そのライニング層3の内周面に形成されて回
転軸4との摺動面5を持つオーバーレイ層6とを備えて
いる。裏金2およびライニング層3間にはCuメッキ層
が、またライニング層3およびオーバーレイ層6間には
Niメッキバリヤ層がそれぞれ必要に応じて設けられ
る。
【0008】裏金2は圧延鋼板より構成され、その厚さ
はすべり軸受1の設定厚さにより決められる。ライニン
グ層3はCu、Cu合金、Al、Al合金等より構成さ
れ、その厚さは50〜500μm、通常は300μm程
度である。オーバーレイ層6はPb合金より構成され、
その厚さは1〜50μm、通常は20μm程度である。
【0009】オーバーレイ層6を構成するPb合金は、
80〜90重量%のPbと、合金元素である3〜20重
量%のSnとを含有し、必要に応じ、他の合金元素とし
てCu、In、Ag、Tl、Nb、Sb、Ni、Cd、
Te、Bi、Mn、Ca、Baから選択される少なくと
も一種を10重量%以下含有する。
【0010】Cu、Ni、Mnはオーバーレイ層6の硬
さを向上させる機能を有するが、その含有量が10重量
%を上回ると、硬さが高くなり過ぎて初期なじみ性が低
下する。Cu等を添加する場合には、オーバーレイ層6
の硬さHmvが15〜25になるように、その含有量を
調整するのが望ましい。
【0011】In、Ag、Tl、Nb、Sb、Cd、T
e、Bi、Ca、Baは、オーバーレイ層6を軟化して
初期なじみ性を改善する機能を有するが、その含有量が
10重量%を上回ると、オーバーレイ層6の強度が低下
する。In等を添加する場合には、オーバーレイ層6の
硬さHmvが8〜15になるように、その含有量を調整
するのが望ましい。
【0012】オーバーレイ層6は電気メッキ法により形
成される。この場合、メッキ液としては、電解液にタン
パク質および多価フェノール系化合物を添加したものが
用いられる。これらタンパク質および多価フェノール系
化合物は、電解に際し、前記配向性を有するPb合金結
晶の析出を促進し、またその規則的配置を現出させる、
といった機能を有する。
【0013】電解液は、水を溶媒とし、40〜180g
/リットルのPb2+、1.5〜35g/リットルのSn
2+、15〜20g/リットルの42%フッ化ホウ素酸
(HBF4 )水溶液および5〜50g/リットルのホウ
酸(H3 BO3 )を含み、必要に応じ、例えば15g/
リットル以下のCu2+または20g/リットル以下のI
3+を含む。この場合、Pb、Sn、Cu、Inはそれ
ぞれホウフッ化物(フッ化ホウ素酸塩)の形態で水に混
入され溶解される。
【0014】タンパク質としては、プロタミン系化合物
等の単純タンパク質、ゼラチン、ペプトン等の誘導タン
パク質等が用いられ、何れもペプチド結合を持つ水溶性
高分子化合物である。タンパク質の添加量は、電解液1
リットル当り0.1〜20gに設定される。
【0015】また多価フェノール系化合物としては、2
価フェノールおよびその誘導体、3価フェノールおよび
その誘導体が用いられる。多価フェノール系化合物の添
加量は電解液1リットル当り0.1〜20gに設定され
る。
【0016】図3は多価フェノール系化合物を例示した
もので、同図(a)〜(f)は2価フェノールおよびそ
の誘導体に該当し、同図(g)〜(i)は3価フェノー
ルおよびその誘導体に該当する。図中、(a)は、1,
4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、(b)
は、2−クロロ−1,4−ジヒドロキシベンゼン、
(c)は、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノ
ール)、(d)は、5−ブロモ−1,3−ジヒドキシベ
ンゼン、(e)は、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カ
テコール)、(f)は、4−ヨード−1,2−ジヒドロ
キシベンゼン、(g)は、1,2,4−トリヒドロキシ
ベンゼン(ヒドロキシヒドロキノン)、(h)は、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン、(i)は、5−ブロ
モ−1,2,4−トリヒドロキシベンゼンである。
【0017】メッキ液の温度は5〜40℃、陰極電流密
度は1〜30A/dm2 が適当である。
【0018】図4は、オーバーレイ層6の摺動面5を真
上から見たときのPb合金(Pb−8重量%Sn−2重
量%Cu)の結晶構造を示す電子顕微鏡写真(10,000
倍)であり、このオーバーレイ層6はCu合金製ライニ
ング層3上に電気メッキ法により形成されている。図4
よりオーバーレイ層6は、摺動面5を形成する複数の四
角錐体状Pb合金結晶を有することが判る。この場合、
摺動面5における四角錐体状Pb合金結晶の存在率R
は、R=100%である。
【0019】図5は、オーバーレイ層6におけるPb合
金結晶のX線回折図であり、ミラー指数で(200)面
および(400)面の回折ピークのみが認められる。
【0020】ここで、ミラー指数で(hkl)面と直交
する方向へ配向した結晶面の存在量を表わす配向指数O
eを、 (ただし、hklはミラー指数、Ihklは(hkl)
面の積分強度、ΣIhklはIhklの総和)と定義す
ると、或(hkl)面において、その配向指数Oeが1
00%に近ければ近い程、その(hkl)面と直交する
方向へ配向した結晶面の存在量が多いことになる。
【0021】Pb合金結晶の(200)面および(40
0)面における積分強度Ihklおよび配向指数Oeは
表1の通りである。
【0022】
【表1】 表1より、Pb合金結晶の(h00)面における配向指
数Oeは100%であり、したがってPb合金結晶は結
晶軸a,b,cにおいて各軸方向に配向した結晶面、即
ち(h00)面を持つことになる。このように、結晶面
を(h00)面と直交する方向に配向させると、Pb合
金の結晶構造が面心立方構造であることから、配向方向
における原子密度が高くなるので、オーバーレイ層6の
硬度が増してその耐焼付き性が向上する。
【0023】図4から明らかなように、四角錐体状Pb
合金結晶のうち大部分のものは、真直ぐに成長している
が、残りの僅かなものは若干傾いている。
【0024】ここで、図6に示すように、四角錐体状P
b合金結晶8の底面側に、摺動面5に沿う仮想面Aを規
定し、また四角錐体状Pb合金結晶8の頂点aと底面中
央部bを通る直線cが、底面中央部bを通り仮想面Aに
垂直な基準線dに対してなす傾き角をθと規定すると、
図4に示した四角錐体状Pb合金結晶8の全部(100
%)が傾き角θ≒0°、したがって各四角錐体状Pb合
金結晶8が略真直ぐであることが判明した。
【0025】前記のように摺動面5を四角錐体状Pb合
金結晶8より形成する理由は、摺動面5の表面積を拡大
してオーバーレイ層6に十分な保油性を持たせ、また四
角錐体状Pb合金結晶8の頂点a側を優先的に摩耗させ
てオーバーレイ層6の初期なじみ性を向上させることに
ある。このような効果を得るためには、四角錐体状Pb
合金結晶8の傾き角θの範囲は、0°≦θ≦30°が適
当である。
【0026】次にオーバーレイ層6の形成について具体
的に説明する。
【0027】表2は、水を溶媒とした電解液の組成を示
す。
【0028】
【表2】 タンパク質としてゼラチンを、また多価フェノール系化
合物としてヒドロキノンをそれぞれ選択した。そして、
電解液1リットル当りのゼラチンの添加量をXgとし、
またヒドロキノンの添加量をYgとしたとき、両添加量
の和(X+Y)gを(X+Y)g=8gに設定し、また
両添加量の比X/Yを種々変化させて各種メッキ液を調
製した。
【0029】表3は、各種メッキ液A1 〜A11における
ゼラチンの添加量X(g/リットル)、ヒドロキノンの
添加量Y(g/リットル)、両添加量の比X/Yおよび
両添加量の和X+Y(g/リットル)の関係を示す。
【0030】
【表3】 各種メッキ液A1 〜A11を用いて、メッキ液温度25
℃、陰極電流密度5A/dm2 の条件下でCu合金製ラ
イニング層3上に厚さ20μmのオーバーレイ層6を形
成した。
【0031】各オーバーレイ層6について、両添加量の
比X/Yと、傾き角θが0°≦θ≦30°である四角錐
体状Pb合金結晶の、摺動面5における存在率Rとの関
係を求めたところ、図7、線g1 で示す結果を得た。線
1 において、各点A1 〜A11は各メッキ液No.A1
〜A11に対応する。
【0032】図7において、線g2 は両添加量の和(X
+Y)gを(X+Y)g=25gに設定した場合に、ま
た線g3 は両添加量の和(X+Y)gを(X+Y)g=
30gに設定した場合にそれぞれ該当する。
【0033】図7、線g1 〜g3 から明らかなように、
両添加量の比X/Yが0<X/Y、即ち、電解液にゼラ
チンおよびヒドロキノンを微少量添加すると、四角錐体
状Pb合金結晶8の前記存在率Rが急激に高くなり、そ
の後は両添加量の比X/Yが増してもその値が所定の範
囲にある間は前記存在率Rが高められた状態で略一定と
なり、さらに両添加量の比X/Yが前記範囲を超えると
前記存在率Rは低下傾向となる。
【0034】ゼラチンおよびヒドロキノンの添加効果を
有効に利用するためには、両添加量の比X/Yの上限値
はX/Y≦20に設定される。
【0035】次に、他のメッキ液を用いて、前記同様に
Cu合金製ライニング層3上に厚さ20μmのオーバー
レイ層6を形成した。この場合の電解液組成は表2のそ
れと同じである。
【0036】表4は、各種メッキ液B〜Fにおけるタン
パク質および多価フェノール系化合物の種類ならびに両
添加量の和X+Y(g/リットル)を示す。
【0037】
【表4】 各オーバーレイ層6について、両添加量の比X/Yと、
傾き角θが0°≦θ≦30°である四角錐体状Pb合金
結晶8の、摺動面5における存在率Rとの関係を求めた
ところ、図8の結果を得た。図中、各線B〜Fは各メッ
キ液No.B〜Fに対応する。
【0038】図8から明らかなように、前記存在率Rを
高めるためには、両添加量の比X/Yを0<X/Y≦2
0に設定するのが良い。
【0039】次に、ゼラチンとヒドロキノンの両添加量
の比X/Yを、X/Y=1に設定し、また両添加量の和
X+Y(g/リットル)を種々変化させた各種メッキ液
を用いて、前記同様にCu合金製ライニング層3上に厚
さ20μmのオーバーレイ層6を形成した。この場合の
電解液組成は表2のそれと同じである。
【0040】各オーバーレイ層6について、両添加量の
和X+Y(g/リットル)と、傾き角θが0°≦θ≦3
0°である四角錐体状Pb合金結晶8の、摺動面5にお
ける存在率Rとの関係を求めたところ、図9、線h1
示す結果を得た。
【0041】図9において、線h2 は両添加量の比X/
Yを、X/Y=10に設定した場合に、また線h3 は両
添加量の比X/Yを、X/Y=15に設定した場合にそ
れぞれ該当する。
【0042】図9、線h1 〜h3 の何れにおいても、両
添加量の和X+Y(g/リットル)=25(g/リット
ル)の位置に変曲点が現われるもので、したがって前記
存在率RをR≧50%に高めるためには、両添加量の比
X/Y=1、したがって0<X/Y≦20において、両
添加量の和X+Y(g/リットル)をX+Y(g/リッ
トル)≦25(g/リットル)に設定すれば良いことが
判る。この場合、前記存在率RをR=50%にするため
の両添加量の和X+Y(g/リットル)の最低値はX+
Y(g/リットル)=0.2(g/リットル)である。
【0043】次に、図9、線h1 〜h3 における各オー
バーレイ層6について焼付きテストを行って、両添加量
の和X+Y(g/リットル)と焼付き発生面圧との関係
を求めたところ、図10の結果が得られた。図10の線
1 〜h3 は図9の線h1 〜h3 にそれぞれ対応し、各
線h1 〜h3 において、両添加量の和X+Y(g/リッ
トル)=25(g/リットル)の位置に変曲点が現われ
ることが判る。焼付きテストは前記と同一方法および同
一条件にて行われた。
【0044】図10から明らかなように、両添加量の和
X+Y(g/リットル)をX+Y(g/リットル)≦2
5(g/リットル)に設定することによって、前記存在
率RがR≧50%となることからオーバーレイ層6の焼
付き発生面圧を200kg/cm2 以上に上昇させて、その
耐焼付き性を大幅に向上させることができる。
【0045】表5は、各種オーバーレイ層6を得るため
のメッキ液の組成を、また表6は、各オーバーレイ層6
における前記存在率Rおよび焼付き発生面圧をそれぞれ
示す。表5、表6において、オーバーレイ層No.a3
は、表3、メッキ液No.A3 (図7、線g1 、点
3 )に対応し、オーバーレイ層No.b1 〜f1 は、
それぞれ図8、点b1 〜f1 で示してある。また焼付き
テストは前記と同一方法および同一条件にて行われた。
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】 なお、表5、表6のオーバーレイ層No.g1 は、合金
元素としてInを用いているため、合金元素としてCu
を用いたオーバーレイ層No.b1 に比べて同一存在率
Rにおいて焼付き発生面圧が高くなる。
【0048】次に、ゼラチンとヒドロキノンの両添加量
の比X/Yを、X/Y=1に設定すると共に両添加量の
和X+Y(g/リットル)を種々変化させた各種メッキ
液を用い、また陰極電流密度を変えて、前記同様にCu
合金製ライニング層3上に厚さ20μmのオーバーレイ
層6を形成した。この場合の電解液組成は表2のそれと
同じである。
【0049】各オーバーレイ層6について、両添加量の
和X+Y(g/リットル)と、傾き角θが0°≦θ≦3
0°である四角錐体状Pb合金結晶8の、摺動面5にお
ける存在率Rとの関係を求めたところ、図11の結果を
得た。
【0050】図11において、各線k1 〜k3 と陰極電
流密度との関係は表7の通りである。
【0051】
【表7】 図11から明らかなように、両添加量の比X/Yおよび
両添加量の和X+Y(g/リットル)をそれぞれ前記範
囲に設定すると、陰極電流密度に影響されることなく、
前記存在率RをR≧50%に高めることができる。
【0052】前記のように、タンパク質および多価フェ
ノール系化合物を所定の割合で電解液に添加したメッキ
液を用いることによって、前記配向性を有するPb合金
結晶の析出を促進し、またその規則的配置を現出させる
ことができるのは次のような理由によるものと思われ
る。
【0053】即ち、多価フェノール系化合物は還元能が
強いので、Pb合金結晶の析出に際して触媒的に作用し
てその析出を促進し、一方、タンパク質は、ペプチド結
合を持つ高分子構造によってPb2+、Sn2+、Cu2+
を捕獲してそれらイオンの自由運動を抑制するからであ
る。
【0054】表5、表6において、オーバーレイ層N
o.h1 ,i1 ,j1 から明らかなように、タンパク質
および多価フェノール系化合物を添加しないメッキ液ま
たは何れか一方を添加したメッキ液を用いても、前記存
在率Rを本発明要求値、即ち、R≧50%に高めること
はできない。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、特定量のタンパク質お
よび多価フェノール系化合物を含むメッキ液を用いるこ
とによって、前記のように特定された構造を持つ摺動特
性の優れたオーバーレイ層を確実に形成することがで
き、したがって本発明はこの種すべり軸受の量産性を向
上させる上に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】すべり軸受の分解平面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】各種多価フェノール系化合物の化学式を示す図
面である。
【図4】摺動面を真上から見たときのPb合金の結晶構
造を示す顕微鏡写真である。
【図5】オーバーレイ層におけるPb合金結晶のX線回
折図である。
【図6】オーバーレイ層の要部概略斜視図である。
【図7】両添加量の比X/Yと傾き角θが0°≦θ≦3
0°である四角錐体状Pb合金結晶の存在率Rとの関係
を示すグラフである。
【図8】両添加量の比X/Yと傾き角θが0°≦θ≦3
0°である四角錐体状Pb合金結晶の存在率Rとの関係
を示す他例のグラフである。
【図9】両添加量の和X+Yと傾き角θが0°≦θ≦3
0°である四角錐体状Pb合金結晶の存在率Rとの関係
を示すグラフである。
【図10】両添加量の和X+Yと焼付き発生面圧との関
係を示すグラフである。
【図11】両添加量の和X+Yと傾き角θが0°≦θ≦
30°である四角錐体状Pb合金結晶の存在率Rとの関
係を示す他例のグラフである。
【符号の説明】
3 ライニング層 5 摺動面 6 オーバーレイ層 8 四角錐体状Pb合金結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沢 義和 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 成重 丈志 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平4−358093(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摺動面(5)を形成すべく、結晶面をミ
    ラー指数で(h00)面と直交する方向に配向させた複
    数の四角錐体状Pb合金結晶(8)を有するオーバーレ
    イ層(6)をライニング層(3)上に電気メッキ法によ
    って形成するに当り、メッキ液として、Pbイオンおよ
    び合金元素イオンを含む電解液にタンパク質および多価
    フェノール系化合物を添加したものを用い、前記電解液
    1リットル当りの前記タンパク質の添加量をXgとし、
    また前記電解液1リットル当りの前記多価フェノール系
    化合物の添加量をYgとしたとき、両添加量の比X/Y
    を、0<X/Y≦20に設定して、前記摺動面(5)に
    おける前記四角錐体状Pb合金結晶(8)の存在率を高
    めることを特徴とする、すべり軸受におけるオーバーレ
    イ層形成方法。
  2. 【請求項2】 前記電解液1リットル当りの前記タンパ
    ク質の添加量Xgと前記電解液1リットル当りの前記多
    価フェノール系化合物の添加量Ygとの和(X+Y)g
    を、(X+Y)g≦25gに設定して、前記摺動面
    (5)における前記四角錐体状Pb合金結晶(8)の存
    在率(R)をR≧50%に高めるようにした、請求項1
    記載のすべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法。
JP4075942A 1992-02-28 1992-02-28 すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法 Expired - Fee Related JPH08995B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4075942A JPH08995B2 (ja) 1992-02-28 1992-02-28 すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4075942A JPH08995B2 (ja) 1992-02-28 1992-02-28 すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05239691A JPH05239691A (ja) 1993-09-17
JPH08995B2 true JPH08995B2 (ja) 1996-01-10

Family

ID=13590798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4075942A Expired - Fee Related JPH08995B2 (ja) 1992-02-28 1992-02-28 すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08995B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016166140A1 (de) 2015-04-16 2016-10-20 Basf Se Polyamide mit besseren optischen eigenschaften

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62220531A (ja) * 1986-03-24 1987-09-28 Central Glass Co Ltd 被覆用組成物
JP2559598B2 (ja) * 1987-09-09 1996-12-04 大阪有機化学工業株式会社 被覆組成物
AT503397B1 (de) * 2006-03-30 2011-10-15 Miba Gleitlager Gmbh Gleitelement

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016166140A1 (de) 2015-04-16 2016-10-20 Basf Se Polyamide mit besseren optischen eigenschaften
US11674015B2 (en) 2015-04-16 2023-06-13 Basf Se Polyamides with improved optical properties

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05239691A (ja) 1993-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5721836B2 (ja) 摺動構成部品用層状複合材料、その製造方法及びその使用
KR100696010B1 (ko) 슬라이딩 요소용 복합 다층 재료 및 이의 제조 방법
US5324596A (en) Slide member
JPH08995B2 (ja) すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法
JP3057457B2 (ja) 摺動部材
JP3057458B2 (ja) 摺動部材
JP2704799B2 (ja) 摺動部材
JP2657336B2 (ja) 摺動部材
JP3223194B2 (ja) 摺動部材
JP2519556B2 (ja) 摺動部材
JP2657335B2 (ja) 摺動部材
JP2741437B2 (ja) 摺動部材
JP2607985B2 (ja) 摺動部材
JP2607991B2 (ja) 摺動部材
JP2607988B2 (ja) 摺動部材
JP2607986B2 (ja) 摺動部材
JP3052007B2 (ja) すべり軸受
JP2704800B2 (ja) 摺動部材
JP2607984B2 (ja) 摺動部材
JP3000402B2 (ja) 摺動部材
JP2519557B2 (ja) 摺動部材
JP3052008B2 (ja) すべり軸受
JPH0525689A (ja) 摺動部材
JPH0525685A (ja) 摺動部材
JP2607983B2 (ja) 摺動部材

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080110

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090110

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100110

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100110

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110110

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110110

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120110

Year of fee payment: 16

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees