JP2741437B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

Info

Publication number
JP2741437B2
JP2741437B2 JP19743291A JP19743291A JP2741437B2 JP 2741437 B2 JP2741437 B2 JP 2741437B2 JP 19743291 A JP19743291 A JP 19743291A JP 19743291 A JP19743291 A JP 19743291A JP 2741437 B2 JP2741437 B2 JP 2741437B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface layer
crystal
alloy
columnar
sliding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP19743291A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0517897A (ja
Inventor
誠 辻
丈志 成重
義和 藤沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP19743291A priority Critical patent/JP2741437B2/ja
Publication of JPH0517897A publication Critical patent/JPH0517897A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2741437B2 publication Critical patent/JP2741437B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動部材、特に、基板
と、その基板に形成されて相手部材との摺動面を持つ
b−Sn系合金製表面層とを備え、その表面層は基板よ
り延出する複数の柱状晶と、それら柱状晶間を埋める複
数の粒状晶とより構成される摺動部材の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動部材として、前記表面
層をPb−Sn系合金より構成したすべり軸受が知られ
ている(特開昭56−96088号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記表面層は、一般に
電気メッキ処理により形成されており、それに起因して
複数の柱状晶と複数の粒状晶とが析出する。
【0004】この場合、柱状晶相互間ならびに柱状晶
よび粒状晶相互間の接合強度は、粒状晶相互間の接合強
度に比べて低くなり易い。
【0005】したがって、回転軸によるスラスト等に対
抗すべく、摺動面と平行な平面内における表面層の引張
強さを向上させるためには、柱状晶の析出量を抑制する
のが望ましい。
【0006】本発明はかかる点に鑑みて提案されたもの
であり、前記要望を満足することのできる前記摺動部材
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板と、その
基板に形成されて相手部材との摺動面を持つPb−Sn
合金製表面層とを備え、その表面層は前記基板より延
出する複数の柱状晶と、それら柱状晶間を埋める複数の
粒状晶とより構成される摺動部材において、前記表面層
における前記柱状晶の存在率を10%以上、50%以下
に設定したことを特徴とする。
【0008】
【実施例】図1,図2において、摺動部材としてのすべ
り軸受1は、エンジンにおけるクランクシャフトのジャ
ーナル部、コンロッドの大端部等に適用されるもので、
第1および第2半体11 ,12 よりなる。両半体11
2 は同一構造を有し、基板2と、その基板2の内周面
に形成されて相手部材xとの摺動面3aを持つPb−S
n系合金製表面層3とを備えている。この合金は、以下
単にPb合金と称される。基板2は裏金21 と、その裏
金21 表面に形成されて表面層3を支持するライニング
層22 とよりなる。裏金21 およびライニング層22
にはCuメッキ層が、またライニング層22 および表面
層3間にはNiメッキバリヤ層がそれぞれ必要に応じて
設けられる。
【0009】裏金21 は圧延鋼板より構成され、その厚
さはすべり軸受1の設定厚さにより決められる。ライニ
ング層22 はCu、Cu系合金、Al、Al系合金等よ
り構成され、その厚さは50〜500μm、通常は、3
00μm程度である。表面層3の厚さは5〜50μm、
通常は、20μm程度である。
【0010】表面層3を構成するPb合金は、80〜9
7重量%のPbと、3〜20重量%のSnとを含有し、
必要に応じてCu、In、Ag、Tl、Nb、Sb、N
i、Cd、Te、Bi、Mn、Ca、Baから選択され
る少なくとも一種を10重量%以下含有する。
【0011】Cu、Ni、Mnは表面層3の硬さを向上
させる機能を有するが、その含有量が10重量%を上回
ると、硬さが高くなり過ぎて初期なじみ性が低下する。
Cu等を添加する場合には、表面層3の硬さHmvが1
5〜25になるように、その含有量を調整するのが望ま
しい。
【0012】In、Ag、Tl、Nb、Sb、Cd、T
e、Bi、Ca、Baは、表面層3を軟化して初期なじ
み性を改善する機能を有するが、その含有量が10重量
%を上回ると、表面層3の強度が低下する。In等を添
加する場合には、表面層3の硬さHmvが8〜15にな
るように、その含有量を調整するのが望ましい。
【0013】表面層3は、電気メッキ法により形成され
るもので、メッキ液としては、例えば1リットル当り4
0〜180gのPb2+、1リットル当り1.5〜35g
のSn2+、必要に応じて1リットル当り15g以下のC
2+を含むホウフッ化系メッキ液が用いられる。またメ
ッキ液の温度は10〜35℃、陰極電流密度は3〜15
A/dm2 にそれぞれ設定される。
【0014】図3(a)は、摺動面3aにおけるPb合
金の結晶構造を示す電子顕微鏡写真(10,000倍)であ
り、同図(b)は(a)の要部概略図である。図4は、
表面層3を縦断した場合における要部概略図である。表
面層3は8重量%のSnと、2重量%のCuとを含有す
るPb合金よりなる。その表面層3はCu合金製ライニ
ング層22 上に形成され、表面層3を形成する際の電気
メッキ処理における陰極電流密度は4A/dm2 に設定
された。
【0015】図2〜図4に明示するように、表面層3
は、複数の柱状晶4と、それら柱状晶4間を埋める複数
の粒状晶5とより構成される。各柱状晶4はライニング
層22より延出しており、四角錐体状先端部6を有す
る。大部分の柱状晶4は摺動面3aまで延びているが、
なかには、表面層3の厚さ方向中間部までしか成長して
いないものも存在する。表面層3における柱状晶4の存
在率は、図3の例では15%である。
【0016】図5は、柱状晶4のX線回折図であり、ミ
ラー指数で(200)面および(400)面の回折ピー
クのみが認められる。
【0017】ここで、結晶面の配向性を表わす指数とし
て配向指数Oeを、Oe={(Ihkl/(ΣIhk
l)}×100(%)、(ただし、hklはミラー指
数、Ihklは(hkl)面の積分強度、ΣIhklは
Ihklの総和)と定義すると、或(hkl)面におい
て、その配向指数Oeが100%に近ければ近い程、そ
の(hkl)面と直交する方向へ配向した結晶面が多い
ことになる。
【0018】前記Pb合金結晶の(200)面および
(400)面における積分強度Ihklおよび配向指数
Oeは表1の通りである。
【0019】
【表1】
【0020】表1より、Pb合金結晶の(h00)面に
おける配向指数Oeは100%であり、したがってPb
合金結晶は、結晶軸a,b,cにおいて各軸方向に配向
した結晶面、即ち(h00)面を持つことになる。
【0021】柱状晶4は傾く場合があり、その傾き角θ
は次のように設定される。即ち、図6に示すように、四
角錐体状先端部6の底面側に、その先端部6を突出させ
て摺動面3aに沿う仮想面Aを規定し、また四角錐体状
先端部6の頂点Bと底面中央部Cを通る直線Dが、底面
中央部Cを通り仮想面Aに垂直な基準線Eに対してなす
傾き角をθと規定したとき、柱状晶4の傾き角θは、0
°≦θ≦30°に設定される。傾き角θが、θ>30°
になると、(h00)面以外の結晶面が回折される。
【0022】したがって、この実施例における柱状晶
、(h00)面のみが摺動面3a側に向くような配向
性を有し、且つ傾き角θが0°≦θ≦30°であるもの
といえる。
【0023】前記のように、結晶面を(h00)面と直
交する方向に配向させると、Pb合金の結晶構造が面心
立方構造であることから、配向方向における原子密度が
高くなるので、柱状晶4の硬度が増大する。
【0024】図7は、粒状晶5のX線回折図である。本
図からは特定の結晶面への配向は認められない。種々の
(hkl)面における積分強度Ihklおよび配向指数
Oeは表2の通りである。
【0025】
【表2】
【0026】図7および表2から明らかなように、Pb
合金の結晶形状は結晶面がランダムに配向した不定形状
である。したがって、この実施例における粒状晶5
は、(h00)面およびその他の結晶面を摺動面側に向
けた各種結晶よりなるものであるといえる。
【0027】図8、(a)は、表面層3における柱状晶
4の存在率と表面層3の引張強さとの関係を示す。
【0028】引張テストは、次のような条件下で行われ
た。図8、(b)はテストピース7を示し、そのテスト
ピース7の寸法は、全長L1 =50mm、両端部の幅W1
=10.5mm、肩部間の長さL2 =32mm、平行部の長
さL3 =32mm、平行部の幅W2 =6mm、厚さ20μm
である。このような薄状テストピース7は、それと同一
寸法のステンレス板に電気メッキ処理を施すことによっ
て、前記表面層3と同一構成のテストピースを形成し、
次いでテストピース7をステンレス板から剥離する、と
いった方法により製作された。テスト条件は、室温下、
引張速度20mm/min である。
【0029】図8、(a)から明らかなように、表面層
3における柱状晶4の存在率を10%以上、50%以下
に設定することによって、表面層3の引張強さを向上さ
せることができる。このように存在率の下限値を限定す
る理由は、柱状晶4の存在率を10%未満に抑制し得る
ように電気メッキ処理条件を設定すると、表面層3の形
成速度が大幅に遅くなるため、生産性が悪くなるからで
ある。
【0030】前記実施例では、表面層を電気メッキ法に
より形成したが、その他の表面層形成方法としては、P
VD、イオンプレーティング、CVD、スパッタリング
等の気相を介する形成方法を挙げることができる。
【0031】本発明はすべり軸受に限らず、他の摺動部
材にも適用される。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、表面層における柱状晶
の存在率を前記のように特定することによって、その表
面層の引張強さを向上させた摺動部材を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】すべり軸受の分解平面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】(a)は、摺動面におけるPb合金の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、(b)は、(a)の要部概略
図である。
【図4】表面層を縦断した場合における要部概略図であ
る。
【図5】Pb合金よりなる柱状晶のX線回折図である。
【図6】柱状晶の傾き角測定法を示す説明図である。
【図7】Pb合金よりなる粒状晶のX線回折図である。
【図8】(a)は、表面層における柱状晶の存在率と、
表面層の引張強さとの関係を示すグラフであり、(b)
は、引張テスト用テストピースの平面図である。
【符号の説明】
1 すべり軸受(摺動部材) 2 基板 3 表面層 3a 摺動面 4 柱状 5 粒状 x 相手部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板(2)と、その基板(2)に形成さ
    れて相手部材(x)との摺動面(3a)を持つPb−S
    n系合金製表面層(3)とを備え、その表面層(3)は
    前記基板(2)より延出する複数の柱状晶(4)と、そ
    れら柱状晶(4)間を埋める複数の粒状晶(5)とより
    構成される摺動部材において、前記表面層(3)におけ
    る前記柱状晶(4)の存在率を10%以上、50%以下
    に設定したことを特徴とする摺動部材。
JP19743291A 1991-07-12 1991-07-12 摺動部材 Expired - Fee Related JP2741437B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19743291A JP2741437B2 (ja) 1991-07-12 1991-07-12 摺動部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19743291A JP2741437B2 (ja) 1991-07-12 1991-07-12 摺動部材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0517897A JPH0517897A (ja) 1993-01-26
JP2741437B2 true JP2741437B2 (ja) 1998-04-15

Family

ID=16374420

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19743291A Expired - Fee Related JP2741437B2 (ja) 1991-07-12 1991-07-12 摺動部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2741437B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3964184B2 (ja) 2000-12-28 2007-08-22 株式会社デンソー 積層型圧電アクチュエータ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0517897A (ja) 1993-01-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3057457B2 (ja) 摺動部材
JP2741437B2 (ja) 摺動部材
JP2704799B2 (ja) 摺動部材
JP3057458B2 (ja) 摺動部材
JP3052010B2 (ja) 摺動部材
JP3223194B2 (ja) 摺動部材
JP2657335B2 (ja) 摺動部材
JP2657336B2 (ja) 摺動部材
JP2704800B2 (ja) 摺動部材
JP2607986B2 (ja) 摺動部材
JP2645767B2 (ja) 摺動部材
JP2607983B2 (ja) 摺動部材
JP2607991B2 (ja) 摺動部材
JP2607985B2 (ja) 摺動部材
JP3008222B2 (ja) 摺動部材
JP2607984B2 (ja) 摺動部材
JP3000402B2 (ja) 摺動部材
JP2946252B2 (ja) 摺動部材
JP2607988B2 (ja) 摺動部材
JP2607987B2 (ja) 摺動部材
JPH08995B2 (ja) すべり軸受におけるオーバーレイ層形成方法
JP3052008B2 (ja) すべり軸受
JP3052006B2 (ja) すべり軸受
JPH0525687A (ja) 摺動部材
JPH04358093A (ja) 摺動部材

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080130

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090130

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100130

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100130

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110130

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees