JPH089732Y2 - 感光体ドラム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、電子写真複写機等の画像形成装置に使用さ
れ、端部にフランジが装着される感光体ドラムに関し、
さらに詳述すれば、所定の回転軸に一体回転し得るよう
に装着されて、該回転軸の回転をドラムに伝達するドラ
ム用フランジを備える感光体ドラムに関する。

（従来の技術） 電子写真複写機等の画像形成装置では、外周面に感光
層が形成された感光体ドラムにより、画像が形成され
る。該感光体ドラムは、画像形成装置本体内に回転可能
に支持されて、その回転の間に、外周面の感光層上に画
像が形成される。

画像形成装置に使用される感光体ドラムは、通常、第
５図に示すように、各端部にドラム用フランジ40および
50が、それぞれ感光体ドラム20と一体的に回転し得るよ
うに装着されている。各端部にフランジ40および50が装
着された感光体ドラム20は、各フランジ40および50と一
体的に回転される。各フランジ40および50の軸心部に
は、それぞれ貫通孔41および51が形成されており、各貫
通孔41および51内に、回転軸30の各端部が挿通される。
一方のフランジ40の貫通孔41は、通常、断面真円状にな
っており、他方のフランジ50の貫通孔51は、断面が例え
ば長孔のような楕円状になっている。回転軸30の各端部
は、フランジ40および50の貫通孔41および51の断面形状
と同様の断面形状になっており、一方のフランジ40の貫
通孔41に挿通される端部は真円状であるのに対し、他方
の端部31は、フランジ50の貫通孔51の断面形状と同様の
断面形状になるように、各側部が面取りされている。面
取りされた回転軸30の該端部が、フランジ50における楕
円状の貫通孔51に挿通されると、該回転軸30の回転は、
該端部31を介してフランジ50に伝達され、該フランジ50
が回転軸30と一体回転することにより、感光体ドラム20
が回転軸30と一体的に回転する。

（考案が解決しようとする課題） 画像形成装置では、感光体ドラム20が回転される間
に、その外周面の感光層に潜像が形成されるとともに、
該潜像が現像剤により現像され、画像が形成される。従
って、感光体ドラム20が、回転軸30に対して偏心状態に
なっていると、該感光体ドラム20は振れながら回転れ、
該感光体ドラム20上に形成される潜像が歪んだ状態にな
ったり、感光体ドラム20上の潜像が現像剤により鮮明に
現像されないおそれがある。このため、良好な画像を形
成するためには、感光体ドラム20を回転軸30に対して同
心状に支持することが必要になる。しかし、感光体ドラ
ム20を画像形成装置本体に取り付けた状態では、感光体
ドラム20の回転時における振れを測定することは容易で
はなく、また、感光体ドラム20が正常に回転しない場合
には感光体ドラム20を取り替えなければならない等、作
業性が著しく低下するため、通常は、感光体ドラム20の
各端部に、フランジ40および50を取り付けた状態で、各
フランジ40および50を支持して回転させ、感光体ドラム
20の振れを測定している。

感光体ドラム20の回転時の振れの測定は、通常、次の
ように行われている。各フランジ40および50の貫通孔41
および51には、円錐状の回転ピンをそれぞれ挿入して、
感光体ドラム20を各回転ピンにより支持し、各回転ピン
を回転させることにより、各フランジ40および50を介し
て感光体ドラム20に回転が伝達され該感光体ドラム20が
回転される。そして、感光体ドラム20の外周面の各端部
における非画像形成領域の振れを、ダイヤルケージで測
定することにより、感光体ドラム20の回転した状態での
振れが測定される。

しかし、前述したように、感光体ドラム20の一方の端
部に装着されるフランジ50の貫通孔51は、該フランジ50
が回転軸30と一体回転し得るように、回転軸30の面取り
された端部31の断面形状に整合する断面楕円状になって
いる。このため、断面楕円状の該貫通孔51に円錐状の回
転ピンを挿通した状態で該回転ピンを回転させると、フ
ランジ50が該回転ピンに同心状に安定的に支持されず、
フランジ50自体が回転ピンに対して振れるおそれがあ
る。このため、感光体ドラム20自体の回転時の振れを正
確に測定することができないおそれがある。

本考案は上記従来の問題を解決するものであり、その
目的は、ドラムに装着された状態で回転軸の回転を該ド
ラムに確実に伝達し得るとともに、ドラムに装着された
状態で、該ドラム自体の回転時の振れを正確に測定し得
るドラム用フランジを備える感光体ドラムを提供する （課題を解決するための手段） 本考案の感光体ドラムは、ドラムとその両端部に各々
装着されるドラム用フランジとを備え、これら両フラン
ジが該ドラムと一体的に回転すると共に軸心部に貫通孔
を有する感光体ドラムであって、該一方のフランジの該
貫通孔が、片側方向の断面を楕円状とし、もう片側方向
の断面を該楕円状の断面の貫通孔部分の長径以上の内径
を持つ真円状として形成され、該一方のフランジが、他
方のフランジの貫通孔を挿通する回転軸の端部が挿入さ
れる断面楕円状の貫通孔部分をドラムの内側にし、該真
円状の貫通孔側を外側にして該ドラムの片方の端部に装
着され、他方のフランジは、該ドラムの外側に真円状の
貫通孔を有するよう該ドラムのもう片方の端部に装着さ
れ、そのことにより上記目的が達成される。

（実施例） 以下に本考案を実施例について説明する。

本考案の感光体ドラムに備わったドラム用フランジ
は、第１図に示すように、例えば、感光体ドラム20の一
方の端部に圧入されて使用される。該ドラム用フランジ
10は、例えば、合成樹脂により円板状に成形された本体
部11を有する。該本体部11の外周側部分には、感光体ド
ラム20に装着される際に該感光体ドラム20内に圧入され
るように一方の側方へ突出した外壁部12が、一体的に形
成されている。該外壁部12の先端部外周面は先端になる
に連れて順次縮径したテーパ面になっている。該外壁部
12の外径は、感光体ドラム20内に圧入されるように、該
感光体ドラム20の内径と略等しくなれている。

フランジ10の本体部11における外壁部12突出側とは反
対側部分には、外方および径方向に突出する当接部13
が、該外壁部12に連設されている。該当接部13には、外
壁部12が感光体ドラム20内に圧入された際に、該感光体
ドラム20の端面が当接する。

フランジ10の本体部11における外壁部12に囲まれた端
面には、多数の補強リブ14が、同心状および放射状とな
るように適当に配設されている。また、該端面には、外
壁部12突出方向に突出する複数の支持部15が適当な間隔
をあけて配設されている。各支持部15には、ステンレス
等の導電性金属製の導電板60が支持される。該導電板60
は、感光体ドラム20内周面と電気的に接続され、該導電
板60を介して、回転する感光体ドラム20は、電気的に導
通状態とされる。該導電板60外周縁には、外方へ突出す
る複数の係止突部61が適当な間隔をあけて配設されてい
る。感光体ドラム20は、例えば、アルマイト処理された
アルミニウム素管の外周面に感光層が形成された状態で
あるために、該アルミニウム素管を各係止突部61により
傷付けて、該アルミニウム素管と導電板60とを電気的に
接続状態とする。

フランジ10の本体部11における当接部13配設側の端面
には、軸心部に筒状部17が突設されている。該筒状部17
の軸心部および本体部11の軸心部には、貫通孔16が挿通
している。該貫通孔16は、第２図に示すように、一方の
側部である本体部11を挿通する部分16aは、断面が、例
えば長孔のような楕円状になっており、他方の側部であ
る筒状部17を挿通する部分16bは、断面が真円状になっ
ている。

このような構成のドラム用フランジは、第３図に示す
ように、感光体ドラム20の一方の端部に、外壁部12が圧
入されて、該感光体ドラム20とは一体的に回転し得るよ
うに装着される。該感光体ドラム20の他方の端部には、
従来のフランジと同様の、回転軸30の断面真円状の端部
が挿通される貫通孔41が形成されたフランジ40が、装着
される。

このように、感光体ドラム20の各端部にフランジ10お
よび40が装着された状態で、該感光体ドラム20の回転時
の振れの測定、換言すれば各フランジ10および40におけ
る貫通孔16および41と感光体ドラム20との同真度の測定
が行われる。この振れの測定は、先端部が円錐状の一対
の回転ピン70および70が使用される。一方の回転ピン70
は、フランジ10の貫通孔16における筒状部17の軸心部を
挿通する断面真円状部分16b内に挿入され、この断面真
円状部分16bの開口縁に密着した状態になる。他方の回
転ピン70は、他方のフランジ40の断面真円状の貫通孔41
内へ挿入され、該貫通孔41の開口縁に密着した状態にな
る。このような状態で、各回転ピン70が回転されると、
各回転ピン70先端部の円錐状部分が各フランジ10および
40における断面真円状の貫通孔16bおよび41の開口縁に
密着した状態であるため、各フランジ10および40は、各
回転ピン70とは同心状態で一体的に回転する。これによ
り、各フランジ10および40とは一体となった感光体ドラ
ム20が回転される。そして、感光体ドラム20の各端部外
周面における非画像形成領域に、ダイヤルゲージ80が接
触されて、該感光体ドラム20の回転時における振れが測
定される。

このようにして、感光体ドラム20と、該感光体ドラム
20の各端部に装着されたフランジ10および40の各貫通孔
16および41の同心状態が確認される。そして、その同心
状態が確認された感光体ドラム20は、第４図に示すよう
に、回転軸30に装着される。該回転軸30は、一端部31の
各側部が面取りされた状態になっており、その面取りさ
れた端部31から、フランジ40の貫通孔41内に挿入され
て、該回転軸30の端部31が、本考案のフランジ10の貫通
孔16における断面長孔状部分16a内に挿入される。そし
て、該回転軸30の端部31は、貫通孔16における断面真円
状部分16bを挿通して、フランジ10の外方へ延出され
る。該回転軸30の他方の端部は、感光体ドラム20に装着
されたフランジ40の貫通孔41内に位置される。このよう
な状態で、該回転軸30は、画像形成装置本体内の所定位
置に装着され、該回転軸30に回転が伝達されることによ
り、感光体ドラム20が回転される。

（考案の効果） 本考案にあっては、ドラムの両端部に装着された両フ
ランジの貫通孔はその外側においては共に断面真円状で
あり、回転軸の端部が挿入される一方のフランジの内側
の貫通孔においては断面楕円状の状態となる。

よって、両フランジの外側は断面真円状であるので、
円錐状の回転ピンが同心状態で確実に嵌合される。この
ため、ドラムの各端部にフランジを装着した状態で、一
対の回転ピンにより各フランジを各回転ピンと同心状態
で回転させることがでるため、各端部にフランジが装着
された状態で、ドラムの回転時の振れを正確に測定し得
る。

また、回転軸の端部が挿入される一方のフランジの内
側の貫通孔においては断面楕円状となっているので、そ
の断面楕円状部分に回転軸の断面楕円状部分が嵌合さ
れ、その一方のフランジは回転軸とは確実に一体回転さ
れる。更に、この一方のフランジの断面楕円状部分と断
面真円状部分とは、後者の内径が前者の長径と同一か、
それよりも大きい寸法であるので、この一方のフランジ
に対しては、回転軸の端部が断面楕円状部分を貫通し、
断面真円状部分にまで到達する状態で回転軸を嵌合させ
得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の感光体ドラムに備わったドラム用フラ
ンジの一例を示す断面図、第２図はその正面図、第３図
および第４図はその動作説明のための概略図、第５図は
従来のドラム用のフランジの使用状態を示す断面図であ
る。 10…ドラム用フランジ、11…本体部、12…外壁部、13…
当接部、16…貫通孔、16a…断面楕円状部分、16b…断面
真円状部分、20…貫通孔、30…回転軸、40…ドラム用フ
ランジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドラムとその両端部に各々装着されるドラ
   ム用フランジとを備え、これら両フランジが該ドラムと
   一体的に回転すると共に軸心部に貫通孔を有する感光体
   ドラムであって、 該一方のフランジの該貫通孔が、片側方向の断面を楕円
   状とし、もう片側方向の断面を該楕円状の断面の貫通孔
   部分の長径以上の内径を持つ真円状として形成され、該
   一方のフランジが、他方のフランジの貫通孔を挿通する
   回転軸の端部が挿入される断面楕円状の貫通孔部分をド
   ラムの内側にし、該真円状の貫通孔側を外側にして該ド
   ラムの片方の端部に装着され、他方のフランジは、該ド
   ラムの外側に真円状の貫通孔を有するよう該ドラムのも
   う片方の端部に装着されている感光体ドラム。