JPH0892208A - マレイミド類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法 - Google Patents

マレイミド類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法

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JPH0892208A
JPH0892208A JP22764894A JP22764894A JPH0892208A JP H0892208 A JPH0892208 A JP H0892208A JP 22764894 A JP22764894 A JP 22764894A JP 22764894 A JP22764894 A JP 22764894A JP H0892208 A JPH0892208 A JP H0892208A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マレイミド類を重合禁止剤の存在下にアクリ
ロニトリル溶液として安全かつ安定的に取り扱う方法を
提供する。 【構成】 マレイミド類を重合禁止剤の存在下にアクリ
ロニトリル溶液として取り扱う際に、この溶液の気相部
の分子状酸素量を0.01〜10容量%(但し、マレイ
ミド類およびアクリロニトリルを除く混合ガスの容量基
準)とする。 【効果】 マレイミド類のアクリロニトリル溶液中に微
量の過酸化物や芳香族ビニル化合物などの不純物が混入
しても溶液の白濁やポリマーの生成などを防止すること
ができ、当該アクリロニトリル溶液の安定した取り扱い
が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマレイミド類のアクリロ
ニトリル溶液の取り扱い方法、詳しくはマレイミド類を
重合禁止剤の存在下にアクリロニトリル溶液として安全
かつ安定的に取り扱う方法に関する。
【0002】なお、本発明における「取り扱う」との用
語は、マレイミド類のアクリロニトリル溶液のタンクロ
ーリーなどによる輸送、タンクなどでの貯蔵、パイプ、
バルブ、ノズルなどを含めた配管(例えば、マレイミド
類のアクリロニトリル溶液の貯槽から重合系への供給ラ
イン)での移送などを意味する。
【0003】
【従来の技術】N−フェニルマレイミドなどに代表され
るマレイミド類はアクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム
−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン(AS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレ
ン−スチレン(ACS)樹脂などの耐熱向上剤として、
これら樹脂を構成するモノマーとの共重合に広く用いら
れている。そのほか、医薬、農薬などの原料としても有
用な化合物である。
【0004】常温で固体のマレイミド類は、従来、粉
体、フレーク、タブレットなどの形態で取り扱うのが一
般的であった。しかし、このような固体状のマレイミド
類は、その移送中に粉化が進み、微粉末を多量に発生
し、作業環境などの悪化など種々の問題を生じる。本出
願人は、これら問題を解決するために、先にマレイミド
類を重合禁止剤の存在下にアクリロニトリル溶液の形態
で安全かつ安定的に取り扱う方法を提案した(特公平3
−12057号公報)。このマレイミド類をアクリロニ
トリル溶液の形態で取り扱う方法は、上記のような問題
を解決した点で優れていることから、現在、工業的に広
く用いられている。
【0005】そのほか、本出願人は、マレイミド類をア
クリロニトリル溶液として取り扱う方法として、マレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液中の酸分を0.3重量%
に調整する方法(特開昭64−61456号公報)およ
びマレイミド類のアクリロニトリル溶液中の酸分を0.
3重量%以下に調整し、かつ重合禁止剤を共存させる方
法(特開平1−250348号公報)を提案している。
これら方法は、マレイミド類のアクリロニトリル溶液に
よる金属材料の腐食を防止しながら当該アクリロニトリ
ル溶液を安全かつ安定的に取り扱う方法に関するもので
ある。
【0006】さらに、本出願人はマレイミド類を溶融状
態で取り扱う新規な方法も提案している(特開平3−2
09363号、特開平4−26673号各公報)。この
方法はマレイミド類を、アクリロニトリル溶液の形態で
はなく、その融点以上の温度、つまり溶融状態で、かつ
気相部の分子状酸素含有量が0.1容量%以上、あるい
は10容量%以下の条件で取り扱うというものである。
【0007】しかし、上記特公平3−12057号公報
記載の方法によりマレイミド類をアクリロニトリル溶液
の形態で取り扱う際、特に工業的に多量に取り扱うと
き、当該アクリロニトリル溶液の着色あるいは白濁など
が生じて、その安定性が損なわれる場合があることが判
明した。例えば、洗浄後、空気雰囲気で長期間放置した
貯槽中にマレイミド類のアクリロニトリル溶液を貯蔵し
たとき、あるいは他の目的で使用した装置を転用してマ
レイミド類のアクリロニトリル溶液の貯槽としたときも
当該アクリロニトリル溶液の着色あるいは白濁が生じる
場合がある。そして、この現象はマレイミド類のアクリ
ロニトリル溶液の商品価値を損なうばかりか、目的とす
る樹脂の製造における重合転化率の低下、耐熱性などの
樹脂物性の低下、さらには当該アクリロニトリル溶液の
貯槽から重合系への供給ラインを閉塞させて樹脂の製造
そのものを困難にする事態となるのである。
【0008】かくして、このような問題を解決して、マ
レイミド類をアクリロニトリル溶液の形態として安全か
つ安定的に取り扱う方法が工業的に強く望まれていた。
【0009】そこで、本発明者らはマレイミド類のアク
リロニトリル溶液の着色あるいは白濁など好ましくない
現象の原因について検討した結果、当該アクリロニトリ
ル溶液中に微量の過酸化物が混在すると、それが分解し
てポリマーが生成し、当該アクリロニトリル溶液中に白
濁物を発生させるのではないかと推測するに到った。具
体的には、例えば洗浄後、空気雰囲気で長期間放置した
貯槽を用いた場合、あるいは他の目的で使用した装置を
転用してマレイミド類のアクリロニトリル溶液の貯槽と
した場合などは、洗浄不足に起因して付着あるいは残存
した有機物が空気中の酸素により酸化され、有機過酸化
物を生成し、それが原因となってポリマーが発生すると
いうものである。
【0010】さらに、この有機過酸化物は、マレイミド
類のアクリロニトリル溶液中にマレイミド類およびアク
リロニトリル以外のモノマーが混入するとポリマーの生
成を一段と促進すると考えられている。特に、マレイミ
ド類のアクリロニトリル溶液は、前記のように、ABS
樹脂、AS樹脂などの製造に用いられることから、当該
アクリロニトリル溶液中にスチレンが混入することがあ
り、これによってポリマーの生成が一段と加速され、実
際の取り扱いにおいて不測の事態を引き起こすことにな
る。具体的には、例えばスチレン系樹脂の製造の場合、
重合系におけるスチレンモノマー供給ラインからマレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液の貯槽へのスチレンの逆
流、スチレンタンクと連結された不活性ガスシールライ
ンからの貯槽へのスチレンの混入となって現れ、マレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液の着色や白濁、あるいは
ポリマーの生成が進行する。そして、このような現象は
スチレンに限らず、α−メチルスチレン、p−メトキシ
スチレン、p−メチルスチレン、o,m,p−クロルス
チレン、p−ブロモスチレンなどの芳香族ビニル化合物
の場合も同様であることが確認された。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題を解決して、マレイミド類のアクリロニトリル溶
液を安全かつ安定的に取り扱う方法を提供することを目
的とするものである。
【0012】また、本発明は、マレイミド類のアクリロ
ニトリル溶液を、当該アクリロニトリル溶液中に微量の
過酸化物や芳香族ビニル化合物などの不純物が混入して
も、安全かつ安定的に取り扱うことができる方法を提供
することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マレイミ
ド類のアクリロニトリル溶液を安全かつ安定的に取り扱
う方法について鋭意研究した結果、アクリロニトリル溶
液の気相部の分子状酸素が当該アクリロニトリル溶液の
安定性に大きな影響を及ぼすこと、そして気相部の酸素
含有量を特定範囲に調整すると当該アクリロニトリル溶
液は安定であり、微量の過酸化物や芳香族ビニル化合物
などの不純物が混入してもその安定性は損なわれず、安
定した状態で取り扱えることを見出し、この知見に基づ
いて本発明を完成するに到った。このような知見は、ア
クリロニトリルはその防災指針に規定されているように
窒素雰囲気で貯蔵するのが一般的であることからして、
まったく予想外のことであった。
【0014】すなわち、本発明はマレイミド類を重合禁
止剤の存在下にアクリロニトリル溶液の形態で取り扱う
際に、該アクリロニトリル溶液の気相部の分子状酸素含
有量をマレイミド類およびアクリロニトリルを除くガス
混合物の容量基準で0.01〜10容量%とすることを
特徴とするマレイミド類のアクリロニトリル溶液の取り
扱い方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明により取り扱えるマレイミド類とし
ては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、
N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N
−ドデシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−
シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−ニトロフェニルマレイミド、N−メトキシフェニル
マレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−カル
ボキシフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマ
レイミド、N−クロルフェニルマレイミド、N−ジメチ
ルフェニルマレイミド、N−ジクロルフェニルマレイミ
ド、N−ブロムフェニルマレイミド、N−ジブロムフェ
ニルマレイミド、N−トリクロルフェニルマレイミド、
N−トリブロムフェニルマレイミドなどを挙げることが
できる。マレイミド類をアクリロニトリルに溶解するに
は、例えばアクリロニトリル中にマレイミド類を投入す
るなど、任意の方法により行うことができる。なお、マ
レイミド類の溶解はアクリロニトリルの沸点(78.5
℃)以下の温度で行うのが好ましく、アクリロニトリル
が高い蒸気圧を有することから通常30〜70℃の範囲
の温度で行うのがよい。
【0016】アクリロニトリル溶液中のマレイミド類の
濃度については特に制限はなく、取り扱い温度、取り扱
いの態様(例えば、輸送または貯蔵)、あるいは当該ア
クリロニトリル溶液を用いて製造する共重合体の種類、
製造法および製造条件などを考慮して適宜決定すること
ができる。例えば、マレイミド類含有率の高い共重合体
の製造に使用する場合には、高濃度とするのが好ましい
こともある。
【0017】本発明においては、通常、マレイミド類の
濃度を40〜80重量%とし、この範囲の濃度のマレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液を30〜70℃の範囲の
温度で取り扱う。なお、本発明によれば、濃度が60〜
80重量%という高濃度のマレイミド類のアクリロニト
リル溶液も安全かつ安定して取り扱うことができる。マ
レイミド類のアクリロニトリル溶液に使用する重合禁止
剤としては、従来公知の重合禁止剤を用いることができ
る。例えば、メトキシベンゾキノン、p−メトキシフェ
ノール、フェノチアジン、ハイドロキノン、アルキル化
ジフェニルアミン類、メチレンブルー、tert−ブチ
ルカテコール、tert−ブチルハイドロキノン、ジメ
チルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミ
ン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、サリチル酸
銅、チオジイプロピオン酸エステル類、メルカプトベン
ズイミダゾール、トリフェニルホスファイト、アルキル
フェノール類、アルキルビスフェノール類などを挙げる
ことができる。重合禁止剤の種類については、目的生成
物としての共重合体の種類およびその製造法、使用する
重合開始剤の種類などを考慮して適宜選択することがで
きる。
【0018】これら重合禁止剤のうち、p−メトキシフ
ェノール、tert−ブチルカテコールおよび2,4−
ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−
3,4−シ゛−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリ
アジン、2,2’−チオビス−(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−
[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネイト]などのヒンダードフェノー
ル類、特にp−メトキシフェノールが好適に用いられ
る。
【0019】重合禁止剤の使用量は、マレイミド類に対
して、0.0001〜1.0重量%、好ましくは0.0
01〜0.1重量%である。
【0020】本発明によれば、マレイミド類のアクリロ
ニトリル溶液を取り扱う際、当該アクリロニトリル溶液
の気相部の酸素含有量をマレイミド類およびアクリロニ
トリルを除くガス混合物の容量基準で0.01〜10容
量%、好ましくは0.1〜8容量%、更に好ましくは1
〜7容量%とする。
【0021】上記マレイミド類およびアクリロニトリル
を除くガス混合物は、通常、分子状酸素および窒素、二
酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスからな
る。この不活性ガスとしては窒素が特に好適に用いられ
る。かくして、マレイミド類およびアクリロニトリルを
除くガス混合物の好ましい例としては、分子状酸素およ
び窒素からなる混合ガスを挙げることができる。
【0022】つまり、本発明の好適な態様においては、
マレイミド類のアクリロニトリル溶液の気相部は、マレ
イミド類、アクリロニトリル、分子状酸素および窒素ガ
スからなるガス混合物からなり、この分子状酸素および
窒素ガスの混合ガス中の酸素含有量が0.01〜10容
量%、好ましくは0.1〜8容量%、更に好ましくは1
〜7容量%である。
【0023】気相部の分子状酸素含有量(マレイミド類
およびアクリロニトリルを除くガス混合物の容量基準、
以下同じ)が0.01容量%より少ないと、マレイミド
類およびアクリロニトリル以外のモノマーなどの混入、
あるいは貯槽などの容器の汚染によって惹起される、マ
レイミド類のアクリロニトリル溶液の白濁、あるいはポ
リマーの生成などを防止することができない。一方、気
相部の分子状酸素含有量が10容量%を超えるとマレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液が着色し、例えば比較例
3に示すように溶液のガードナーNo.が7から13に
増加して好ましくない。マレイミド類のアクリロニトリ
ル溶液の着色は当該アクリロニトリル溶液を用いて製造
する樹脂の着色、樹脂の物理的特性の低下など引き起こ
し、製品樹脂に及ぼす悪影響は大きく、当該アクリロニ
トリル溶液の着色によってもたらされる工業的デメリッ
トは著しいものがある。かくして、マレイミド類のアク
リロニトリル溶液を、着色を引き起こすることなく、安
全かつ安定的に取り扱う方法が望まれていたのである。
【0024】マレイミド類のアクリロニトリル溶液の気
相部の分子状酸素含有量を本発明で規定する範囲にする
方法については特段の制限はなく、例えば予め窒素など
の不活性ガスで所定の分子状酸素含有量にした混合ガス
を用いて気相部の置換を行えばよい。なお、この混合ガ
スを撹拌あるいはバブリングなどの操作によりマレイミ
ド類のアクリロニトリル溶液中に導入すると短時間で本
発明の効果が発現されるので好ましい。
【0025】
【発明の効果】本発明の主たる効果を挙げると次のとお
りである。
【0026】(1)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液を安全かつ安定的に取り扱うことができる。
【0027】(2)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液の着色や白濁、あるいはポリマーの生成などの原因と
考えられる有機過酸化物が発生するような条件、例えば
洗浄後、空気雰囲気で長期間放置した貯槽を用いた場
合、あるいは他の目的で使用した装置を転用してマレイ
ミド類のアクリロニトリル溶液の貯槽とした場合などで
あって、洗浄不足に起因して有機物が付着あるいは残存
しているような条件下においても、当該アクリロニトリ
ル溶液の着色や白濁、あるいはポリマーの生成などを効
果的に防止することができる。
【0028】(3)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液に、マレイミド類およびアクリロニトリル以外のモノ
マーであって、アクリロニトリル溶液の安定性を著しく
損なうスチレンなどの芳香族ビニル化合物などが混入し
た場合も、当該アクリロニトリル溶液の着色や白濁、あ
るいはポリマーの生成などを効果的に防止することがで
きる。
【0029】(4)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液を40〜80重量%の濃度、かつ30〜70℃の温度
で安定的に取り扱うことができる。
【0030】(5)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液を長期保存しても溶液の着色や白濁、あるいはポリマ
ーの生成がないので商品価値が損なわれることはない。
【0031】(6)マレイミド類のアクリロニトリル溶
液は長期保存しても溶液の着色や白濁、あるいはポリマ
ーの生成がないので、当該アクリロニトリル溶液を用い
ることにより色相、物理的特性などに優れた樹脂を製造
することができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。なお、以下の実施例、比較例および各表にお
ける気相部の酸素含有量とは、マレイミド類およびアク
リロニトリルを除く混合ガスの容量を基準とする。
【0033】実施例1 撹拌機と冷却器とを取り付けた500mlのフラスコに
アクリロニトリル90gおよび重合防止剤としてp−メ
トキシフェノール10mgを入れた。このフラスコを水
浴上に置き、水浴温度を調整して内温(アクリロニトリ
ル溶液の温度)を65℃とした。次に、撹拌しながら純
度99.5%のN−フェニルマレイミドの結晶を210
g加えたところN−フェニルマレイミドの結晶は速やか
に溶解し、完全に澄明な黄色の溶液を得られた。この溶
液の色調を比色計(デルタ比色計、東京光電(株)製)
で測定したところガードナーNo.7であった。
【0034】この溶液中に20mm×40mm×2mm
の大きさのステンレス(SUS304)のテストピース
を入れ、次いでこの溶液中に分子状酸素を7容量%含有
した窒素ガスを供給して気相部の空気をこの分子状酸素
含有窒素ガスで置換した後、密封した。気相部の分子状
酸素含有量は7容量%であった。
【0035】引続き、内温65℃にて60日間保持した
ところ、60日後も溶液の澄明さは変わらず、色調はガ
ードナーNo.8であった。
【0036】この溶液からアクリロニトリルを蒸発せし
めたところ鮮やかな黄色の結晶を得た。この結晶のN−
フェニルマレイミド含有量を高速液体クロマトグラフィ
ーで分析したところ99.5%であり、重合はまったく
認められなかった。
【0037】この結果から、ステンレス製容器中でN−
フェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液を安定して
取り扱うことができることが分かる。
【0038】取り扱い条件および結果をそれぞれ表1お
よび表2にまとめて示した。
【0039】実施例2 実施例1で使用したと同じフラスコにアクリロニトリル
100g、スチレン3gおよび重合防止剤としてp−メ
トキシフェノール10mgを入れた。このフラスコを水
浴上に置き、水浴温度を調整してフラスコの内温を65
℃とした。次に、撹拌しながら純度99.5%のN−フ
ェニルマレイミドの結晶を200g加えたところN−フ
ェニルマレイミドの結晶は速やかに溶解し、完全に澄明
な黄色の溶液が得られた。この溶液の色調を実施例1と
同様にして測定したところガードナーNo.7であっ
た。
【0040】この溶液中に実施例1で使用したと同じス
テンレス製のテストピースを入れ、引続き気相部に分子
状酸素を7容量%含有した窒素ガスを供給して気相部の
空気を酸素含有窒素ガスで置換した後、フラスコを密閉
した。気相部の分子状酸素含有量は7容量%であった。
【0041】引続き、内温65℃にて30日保持したと
ころ、30日後も溶液の澄明さは変わらず、色調もガー
ドナーNo.8であった。
【0042】この溶液からアクリロニトリルを蒸発せし
めたところ、鮮やかな黄色の結晶を得た。この結晶のN
−フェニルマレイミド含有量を実施例1と同様にして分
析したところ純度99.5%であり、重合はまったく認
められなかった。
【0043】この結果から、スチレンが混入した場合で
も、ステンレス製容器中でN−フェニルマレイミドのア
クリロニトリル溶液を安定して取り扱うことできること
が分かる。
【0044】取り扱い条件および結果をそれぞれ表1お
よび表2にまとめて示した。
【0045】比較例1 実施例2において、分子状酸素を含有した窒素ガスの代
わりに窒素ガスを使用して気相部の置換を行った。置換
後、気相部のガス組成をガスクロマトグラフィーにより
分析したところ酸素含有量は0.001容量%であり実
質的に含まれていなかった。
【0046】引続き、内温65℃にて保持したところ3
日目に溶液は白濁し、粘凋な溶液となった。このものを
激しく撹拌した1リットルのメタノール溶液中に滴下す
ると白色のポリマーが析出した。
【0047】このポリマーをろ過、乾燥した後、重量を
測定したところ最初に使用したN−フェニルマレイミド
とアクリロニトリルとの合計量に対し3重量%生成して
おり、明らかに重合していることが分かった。
【0048】取り扱い条件および結果をそれぞれ表3お
よび表4にまとめて示した。
【0049】実施例3〜6 実施例2において、マレイミドの種類、重合防止剤の種
類、気相部の分子状酸素含有量などの条件を表1に示す
ように変更した以外は実施例2と同様にしてマレイミド
のアクリロニトリル溶液の取り扱いを行った。取り扱い
条件および結果をそれぞれ表1および表2にまとめて示
した。
【0050】比較例2〜3 実施例2において、マレイミドの種類、重合防止剤の種
類、気相部の分子状酸素含有量などの条件を表3に示す
ように変更した以外は実施例2と同様にしてマレイミド
のアクリロニトリル溶液の取り扱いを行った。
【0051】取り扱い条件および結果をそれぞれ表3お
よび表4にまとめて示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】実施例7 無水マレイン酸−スチレン−メタクリル酸メチル系の重
合物の製造に使用された、撹拌機と冷却器とを備えた、
ジャケット付反応槽(200リットル容量、SUS30
4製)を熱水とスチームとで洗浄し、次に100℃の空
気気流中で乾燥した後、N−フェニルマレイミドのアク
リロニトリル溶液の貯蔵容器に転用した。
【0057】上記容器を窒素ガスで完全に置換した後、
アクリロニトリル60kgとp−メトキシフェノール
4.5gとを加え、50℃に昇温した。次に、N−フェ
ニルマレイミド90kgを加えて溶解したところ、速や
かに溶解し、完全に澄明な黄色の溶液が得られた。さら
に気相部を窒素ガスで置換し、出口ガス中の酸素含有量
を分析したところ酸素は検出されなかった。
【0058】次に、この窒素雰囲気で上記アクリロニト
リル溶液を50℃に保持したところ、5時間後にアクリ
ロニトリル溶液は白濁した。
【0059】これに対し、上記操作において、窒素ガス
の代わりに7容量%の分子状酸素を含有する窒素ガスで
置換した以外は上記と同様の操作を行ったところ、アク
リロニトリル溶液は30日後も澄明であり、溶液の白濁
は認められなかった。
【0060】上記の結果から、容器の汚染によって引き
起こされたと考えられるアクリロニトリル溶液の白濁も
気相部の分子状酸素含有量を7容量%とすることで完全
に防止できることが分かる。
【0061】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイミド類を重合禁止剤の存在下にア
    クリロニトリル溶液の形態で取り扱う際に、該アクリロ
    ニトリル溶液の気相部の分子状酸素含有量をマレイミド
    類およびアクリロニトリルを除くガス混合物の容量基準
    で0.01〜10容量%とすることを特徴とするマレイ
    ミド類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法。
  2. 【請求項2】 マレイミド類およびアクリロニトリルを
    除くガス混合物が分子状酸素および不活性ガスからなる
    請求項1のマレイミド類のアクリロニトリル溶液の取り
    扱い方法。
  3. 【請求項3】 不活性ガスが窒素である請求項2のマレ
    イミド類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法。
  4. 【請求項4】 アクリロニトリル溶液を30〜70℃に
    加温、保持する請求項1のマレイミド類のアクリロニト
    リル溶液の取り扱い方法。
  5. 【請求項5】 アクリロニトリル溶液中のマレイミド類
    の濃度が40〜80重量%である請求項1のマレイミド
    類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法。
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