JP2599197B2 - N―フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液の安定化剤 - Google Patents
N―フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液の安定化剤Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はN−フェニルマレイミド系化合物のアクリロ
ニトリル溶液を安定に保持するための安定化剤に関す
る。
ニトリル溶液を安定に保持するための安定化剤に関す
る。
(従来の技術) AS樹脂,ABS樹脂などの耐熱性を向上させる目的で,N−
フェニルマレイミドおよび/またはN−フェニルマレイ
ミドのベンゼン環に置換基を有する誘導体(以下,これ
らを,N−フェニルマレイミド系化合物という)を樹脂の
共重合成分として含有させる方法が近年実施されてい
る。
フェニルマレイミドおよび/またはN−フェニルマレイ
ミドのベンゼン環に置換基を有する誘導体(以下,これ
らを,N−フェニルマレイミド系化合物という)を樹脂の
共重合成分として含有させる方法が近年実施されてい
る。
上記方法に使用されるN−フェニルマレイミド系化合
物は一般に常温で固体であり,フレーク,粉体などの形
状で取扱われている。しかし,人体に対する刺激性があ
り,特に微粉末は吸入すると咳やくしゃみが出たり,皮
膚に付着すると,炎症をおこすなどの好ましくない性質
を有している。そのため,微粉末を含有する固体の取扱
いには,皮膚への接触および吸入をさけるよう厳重な注
意を払う必要がある。そこで,N−フェニルマレイミド系
化合物の貯蔵や輸送方法として,該化合物を溶解させた
溶液として取扱う方法が考えられるようになった。その
理由としては,N−フェニルマレイミド系化合物はアクリ
ロニトリルに対して溶解性が良好であり,かつ該化合物
とアクリロニトリルとは互いに共重合性が悪く,両者が
共存しても安定に存在するからである。この安定性につ
いてては,例えば,福井大学工学部研究報告第13巻第2
号(昭和40年3月31日受理)に記載されている。また,
この方法は,工業的にも既に実施されており,例えば,
特開昭62−101612号公報には,N−フェニルマレイミド系
化合物をアクリロニトリルに溶解させて使用する方法が
開示されている。
物は一般に常温で固体であり,フレーク,粉体などの形
状で取扱われている。しかし,人体に対する刺激性があ
り,特に微粉末は吸入すると咳やくしゃみが出たり,皮
膚に付着すると,炎症をおこすなどの好ましくない性質
を有している。そのため,微粉末を含有する固体の取扱
いには,皮膚への接触および吸入をさけるよう厳重な注
意を払う必要がある。そこで,N−フェニルマレイミド系
化合物の貯蔵や輸送方法として,該化合物を溶解させた
溶液として取扱う方法が考えられるようになった。その
理由としては,N−フェニルマレイミド系化合物はアクリ
ロニトリルに対して溶解性が良好であり,かつ該化合物
とアクリロニトリルとは互いに共重合性が悪く,両者が
共存しても安定に存在するからである。この安定性につ
いてては,例えば,福井大学工学部研究報告第13巻第2
号(昭和40年3月31日受理)に記載されている。また,
この方法は,工業的にも既に実施されており,例えば,
特開昭62−101612号公報には,N−フェニルマレイミド系
化合物をアクリロニトリルに溶解させて使用する方法が
開示されている。
しかし,実際にN−フェニルマレイミド系化合物をア
クリルニトリル溶液として貯蔵する場合,経時的に溶液
の着色が起こり短期間のうちに赤褐色を呈する。ここで
生じる着色は製造される樹脂の色に影響するため,この
様なN−フェニルマレイミド系化合物の保存方法は樹脂
の製造には,不適切である。さらに,N−フェニルマレイ
ミド系化合物の純度が経時的に変化するという欠点もあ
る。
クリルニトリル溶液として貯蔵する場合,経時的に溶液
の着色が起こり短期間のうちに赤褐色を呈する。ここで
生じる着色は製造される樹脂の色に影響するため,この
様なN−フェニルマレイミド系化合物の保存方法は樹脂
の製造には,不適切である。さらに,N−フェニルマレイ
ミド系化合物の純度が経時的に変化するという欠点もあ
る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は,N−フェニルマレイミド系化合物のア
クリロニトリル溶液を,経時的な着色および純度の低下
を引き起こすことなく安定に保存するための,安定化剤
を提供することにある。
クリロニトリル溶液を,経時的な着色および純度の低下
を引き起こすことなく安定に保存するための,安定化剤
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) N−フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル
溶液を安定に保持するための本発明の安定化剤は,下記
式(I)で示されるトリチオホスファイトを含み,その
ことにより上記目的が達成される: R1,R2およびR3は,それぞれ独立して,H,1個〜18個の
炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
溶液を安定に保持するための本発明の安定化剤は,下記
式(I)で示されるトリチオホスファイトを含み,その
ことにより上記目的が達成される: R1,R2およびR3は,それぞれ独立して,H,1個〜18個の
炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
好ましい実施態様において,上記安定化剤は,さらに
下記式(II)で示されるチオジプロピオン酸アルキルエ
ステルを含む: R4およびR5は,それぞれ独立して,8個〜18個の炭素原
子を有するアルキル基またはアリール基である。
下記式(II)で示されるチオジプロピオン酸アルキルエ
ステルを含む: R4およびR5は,それぞれ独立して,8個〜18個の炭素原
子を有するアルキル基またはアリール基である。
本発明の安定化剤が適用されるN−フェニルマレイミ
ド系化合物とは上記のように,N−フェニルマレイミド,
およびN−フェニルマレイミドのベンゼン環に種々の基
が置換した化合物である。置換基としては,アルキル
基,ハロゲン,フェニル基などが挙げられる。具体的に
は,例えば,N−フェニルマレイミド,N−メチルフェニル
マレイミド,N−ジメチルフェニルマレイミド,N−トリメ
チルフェニルマレイミド,N−エチルフェニルマレイミ
ド,N−ジエチルフェニルマレイミド,N−ヒドロキシフェ
ニルマレイミド,N−カルボキシフェニルマレイミド,N−
クロルフェニルマレイミド,N−ジクロルフェニルマレイ
ミド,N−トリクロルフェニルマレイミド,N−ブロムフェ
ニルマレイミド,N−ジブロムフェニルマレイミド,N−ト
リブロムフェニルマレイミドなどが挙げられる。上記化
合物のうち,その化合物が本来有する外観が淡黄色〜黄
色を呈する化合物を使用するときに,本発明の安定化剤
が特に有効である。このような淡黄色〜黄色を呈するN
−フェニルマレイミド系化合物としては,N−フェニルマ
レイミド,N−(2−メチルフェニル)マレイミド,N−
(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド,N−(2,5−ジメ
チルフェニル)マレイミド,N−(3,4−ジメチルフェニ
ル)マレイミド,N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マ
レイミド,N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドな
どがある。N−フェニルマレイミド系化合物は約95%以
上の純度であれば,そのアクリロニトリル溶液が本発明
の安定化剤により,安定に保存され得る。そのアクリロ
ニトリル溶液中のN−フェニルマレイミド系化合物の濃
度は特に限定されないが,通常,40〜70重量%である。
ド系化合物とは上記のように,N−フェニルマレイミド,
およびN−フェニルマレイミドのベンゼン環に種々の基
が置換した化合物である。置換基としては,アルキル
基,ハロゲン,フェニル基などが挙げられる。具体的に
は,例えば,N−フェニルマレイミド,N−メチルフェニル
マレイミド,N−ジメチルフェニルマレイミド,N−トリメ
チルフェニルマレイミド,N−エチルフェニルマレイミ
ド,N−ジエチルフェニルマレイミド,N−ヒドロキシフェ
ニルマレイミド,N−カルボキシフェニルマレイミド,N−
クロルフェニルマレイミド,N−ジクロルフェニルマレイ
ミド,N−トリクロルフェニルマレイミド,N−ブロムフェ
ニルマレイミド,N−ジブロムフェニルマレイミド,N−ト
リブロムフェニルマレイミドなどが挙げられる。上記化
合物のうち,その化合物が本来有する外観が淡黄色〜黄
色を呈する化合物を使用するときに,本発明の安定化剤
が特に有効である。このような淡黄色〜黄色を呈するN
−フェニルマレイミド系化合物としては,N−フェニルマ
レイミド,N−(2−メチルフェニル)マレイミド,N−
(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド,N−(2,5−ジメ
チルフェニル)マレイミド,N−(3,4−ジメチルフェニ
ル)マレイミド,N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マ
レイミド,N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドな
どがある。N−フェニルマレイミド系化合物は約95%以
上の純度であれば,そのアクリロニトリル溶液が本発明
の安定化剤により,安定に保存され得る。そのアクリロ
ニトリル溶液中のN−フェニルマレイミド系化合物の濃
度は特に限定されないが,通常,40〜70重量%である。
本発明の安定化剤であるトリチオホスファイトは下記
式(I)で示される: R1,R2およびR3は,それぞれ独立して,H,1個〜18個の
炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
式(I)で示される: R1,R2およびR3は,それぞれ独立して,H,1個〜18個の
炭素原子を有するアルキル基またはアリール基である。
このような化合物としては,トリオクチルトリチオホ
スファイト,トリラウリルトリチオホスファイト,トリ
ミリスチルトリチオホスファイト,トリステアリルトリ
チオホスファイト,トリフェニルトリチオホスファイト
などが挙げられる。
スファイト,トリラウリルトリチオホスファイト,トリ
ミリスチルトリチオホスファイト,トリステアリルトリ
チオホスファイト,トリフェニルトリチオホスファイト
などが挙げられる。
本発明の安定化剤は,上記トリチオホスファイトに加
えてさらに下記式(II)で示されるチオジプロピオン酸
アルキルエステルを含み得る: R4およびR5は,それぞれ独立して,8個〜18個の炭素原
子を有するアルキル基またはアリール基である。
えてさらに下記式(II)で示されるチオジプロピオン酸
アルキルエステルを含み得る: R4およびR5は,それぞれ独立して,8個〜18個の炭素原
子を有するアルキル基またはアリール基である。
このような化合物としては,ジラウリルジチオプロピ
オネート,ジミリスチルチオジプロピオネート,ジステ
アリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。上記安
定化剤は,N−フェニルマレイミド系化合物のアクリロニ
トリル溶液に対して,0.0001〜0.5重量%,好ましくは0.
001〜0.05重量%の割合で使用される。
オネート,ジミリスチルチオジプロピオネート,ジステ
アリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。上記安
定化剤は,N−フェニルマレイミド系化合物のアクリロニ
トリル溶液に対して,0.0001〜0.5重量%,好ましくは0.
001〜0.05重量%の割合で使用される。
N−フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル
溶液を保存する場合には,必要に応じて重合禁止剤が添
加される。重合禁止剤としては,p−メトキシフェノー
ル,ハイドロキノン,アルキルフェノール類などが挙げ
られる。重合禁止剤の種類と使用量についてはN−フェ
ニルマレイミド系化合物溶液の用途,例えば,N−フェニ
ルマレイミド系化合物を用いて製造する樹脂の種類およ
び重合方法を考慮して適宜決定される。
溶液を保存する場合には,必要に応じて重合禁止剤が添
加される。重合禁止剤としては,p−メトキシフェノー
ル,ハイドロキノン,アルキルフェノール類などが挙げ
られる。重合禁止剤の種類と使用量についてはN−フェ
ニルマレイミド系化合物溶液の用途,例えば,N−フェニ
ルマレイミド系化合物を用いて製造する樹脂の種類およ
び重合方法を考慮して適宜決定される。
本発明の安定化剤を含むN−フェニルマレイミド系化
合物のアクリロニトリル溶液の調製方法は,特に限定さ
れない。通常,アクリロニトリル中へ所望の濃度となる
量のN−フェニルマレイミド系化合物を投入し,アクリ
ロニトリルの沸点以下(通常40〜50℃)の温度にて撹拌
し溶解させる。この時,上記安定化剤および必要に応じ
て上記重合禁止剤が加えられる。この溶液は適当な容器
に入れて保存され,通常,容器の気相部分は窒素などの
不活性ガスでシールがなされる。
合物のアクリロニトリル溶液の調製方法は,特に限定さ
れない。通常,アクリロニトリル中へ所望の濃度となる
量のN−フェニルマレイミド系化合物を投入し,アクリ
ロニトリルの沸点以下(通常40〜50℃)の温度にて撹拌
し溶解させる。この時,上記安定化剤および必要に応じ
て上記重合禁止剤が加えられる。この溶液は適当な容器
に入れて保存され,通常,容器の気相部分は窒素などの
不活性ガスでシールがなされる。
本発明の安定化剤を添加することによって,N−フェニ
ルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液は,経時
的な溶液の着色,および該N−フェニルマレイミド系化
合物の純度の低下が,ほとんどおこらない。特に,淡黄
色〜黄色を呈するN−フェニルマレイミド系化合物を使
用する場合には,この効果が大きい。このように保存さ
れた溶液は,例えば,そのままAS樹脂やABS樹脂を製造
するための重合反応に供することが可能である。
ルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液は,経時
的な溶液の着色,および該N−フェニルマレイミド系化
合物の純度の低下が,ほとんどおこらない。特に,淡黄
色〜黄色を呈するN−フェニルマレイミド系化合物を使
用する場合には,この効果が大きい。このように保存さ
れた溶液は,例えば,そのままAS樹脂やABS樹脂を製造
するための重合反応に供することが可能である。
(実施例) 以下に本発明の実施例につき説明する。
実施例1 撹拌機と冷却管とを取付けた1000mlの反応容器にアク
リロニトリル200gを入れた。これを50℃に加温し,撹拌
しながら純度99.2重量%のN−フェニルマレイミド300
g,安定化剤としてトリラウリルトリチオホスファイト25
mg;そして重合禁止剤としてp−メトキシフェノール25m
gを加えて溶解させ60重量%の完全に透明な黄色のアク
リロニトリル溶液を得た。この溶液をステンレス鋼製容
器に入れ,気相部を窒素ガスでシールし,密閉し,50℃
にて60日間保存した。この間,5日目毎にサンプリング
し,経時的な色相およびN−フェニルマレイミド系化合
物の純度の変化を調べた。上記色相は,ASTM D−1209の
方法に準じて行った。この方法において,上記アクリロ
ニトリル溶液をパイレックス製の透明比色管(内径22m
m,高さ400mm)に125mmの高さにまで入れ,アクリロニト
リルを250mmの高さにまで追加して希釈し,これを試料
とした。N−フェニルマレイミド系化合物の純度は,高
速液体クロマトグラフィーにより測定した。これらの結
果を下表に示す。後述の実施例2および比較例1〜4の
結果もあわせて下表に示す。下表において,色相は,上
記試験法による色相No.で示されている。下表から,本
発明の安定化剤を使用すると,60日経過後も,N−フェニ
ルマレイミド系化合物溶液の着色はほとんど起こらず,
純度も低下しないことが明らかである。
リロニトリル200gを入れた。これを50℃に加温し,撹拌
しながら純度99.2重量%のN−フェニルマレイミド300
g,安定化剤としてトリラウリルトリチオホスファイト25
mg;そして重合禁止剤としてp−メトキシフェノール25m
gを加えて溶解させ60重量%の完全に透明な黄色のアク
リロニトリル溶液を得た。この溶液をステンレス鋼製容
器に入れ,気相部を窒素ガスでシールし,密閉し,50℃
にて60日間保存した。この間,5日目毎にサンプリング
し,経時的な色相およびN−フェニルマレイミド系化合
物の純度の変化を調べた。上記色相は,ASTM D−1209の
方法に準じて行った。この方法において,上記アクリロ
ニトリル溶液をパイレックス製の透明比色管(内径22m
m,高さ400mm)に125mmの高さにまで入れ,アクリロニト
リルを250mmの高さにまで追加して希釈し,これを試料
とした。N−フェニルマレイミド系化合物の純度は,高
速液体クロマトグラフィーにより測定した。これらの結
果を下表に示す。後述の実施例2および比較例1〜4の
結果もあわせて下表に示す。下表において,色相は,上
記試験法による色相No.で示されている。下表から,本
発明の安定化剤を使用すると,60日経過後も,N−フェニ
ルマレイミド系化合物溶液の着色はほとんど起こらず,
純度も低下しないことが明らかである。
比較例1 安定化剤としてジラウリルジチオトプロピネート25mg
を使用したこと以外は実施例1と同様である。その結果
を下表に示す。
を使用したこと以外は実施例1と同様である。その結果
を下表に示す。
実施例2 N−フェニルマレイミドの代わりに純度99.5重量%の
N−(2−メチルフェニル)マレイミドを用いたこと以
外は実施例1と同様である。下表から,本発明の安定化
剤を使用すると,60日経過後も,N−フェニルマレイミド
系化合物溶液の着色はほとんど起こらず,純度も低下し
ないことが明らかである。
N−(2−メチルフェニル)マレイミドを用いたこと以
外は実施例1と同様である。下表から,本発明の安定化
剤を使用すると,60日経過後も,N−フェニルマレイミド
系化合物溶液の着色はほとんど起こらず,純度も低下し
ないことが明らかである。
比較例2 安定化剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様
である。溶解直後は,透明な黄色であり,色相No.は220
であった。しかし,5日目頃より急激に着色を始め,30日
後には赤褐色に変化し,色相No.は560となった。N−フ
ェニルマレイミド系化合物の当初の純度が99.2重量%で
あったが,30日後には,98.5重量%へと低下した。このた
め30日間以降の貯蔵テストを中止した。
である。溶解直後は,透明な黄色であり,色相No.は220
であった。しかし,5日目頃より急激に着色を始め,30日
後には赤褐色に変化し,色相No.は560となった。N−フ
ェニルマレイミド系化合物の当初の純度が99.2重量%で
あったが,30日後には,98.5重量%へと低下した。このた
め30日間以降の貯蔵テストを中止した。
比較例3 安定剤として一般的に用いられている2,6−ジ−t−
ブチルp−クレゾールを25mgを使用したこと以外は実施
例1と同様である。溶解直後は,透明な黄色であり,色
相No.は220であった。しかし,30日後には赤褐色に変化
し,色相No.は530となった。N−フェニルマレイミド系
化合物の当初の純度は99.2重量%であったが,30日後に
は,98.7重量%へと低下した。このため30日間以降の貯
蔵テストを中止した。
ブチルp−クレゾールを25mgを使用したこと以外は実施
例1と同様である。溶解直後は,透明な黄色であり,色
相No.は220であった。しかし,30日後には赤褐色に変化
し,色相No.は530となった。N−フェニルマレイミド系
化合物の当初の純度は99.2重量%であったが,30日後に
は,98.7重量%へと低下した。このため30日間以降の貯
蔵テストを中止した。
比較例4 安定剤を全く使用しなかったこと以外は,実施例2と
同様である。溶解直後は,色相No.が170であった。しか
し,30日後には赤褐色に変化し,色相No.は450となっ
た。N−フェニルマレイミド系化合物の当初の純度が9
9.5重量%であったが,30日後には98.6重量%へと低下し
た。このため30日間以降の貯蔵テストを中止した。
同様である。溶解直後は,色相No.が170であった。しか
し,30日後には赤褐色に変化し,色相No.は450となっ
た。N−フェニルマレイミド系化合物の当初の純度が9
9.5重量%であったが,30日後には98.6重量%へと低下し
た。このため30日間以降の貯蔵テストを中止した。
(発明の効果) 本発明により,このように,N−フェニルマレイミド系
化合物のアクリロニトリル溶液を着色および変質させる
ことなく,長期間安定に保持し得る安定剤が得られた。
この安定化剤を使用することにより,上記N−フェニル
マレイミド系化合物溶液を長期間にわたり保存すること
ができるため,N−フェニルマレイミド系化合物を粉末で
取り扱うことによる咳,くしゃみ,および皮膚への付着
による炎症が回避される。本発明の安定化剤を含むN−
フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液
は,耐熱性向上の目的のためN−フェニルマレイミド系
化合物を使用するAS樹脂やABS樹脂の製造にそのまま使
用することができる。
化合物のアクリロニトリル溶液を着色および変質させる
ことなく,長期間安定に保持し得る安定剤が得られた。
この安定化剤を使用することにより,上記N−フェニル
マレイミド系化合物溶液を長期間にわたり保存すること
ができるため,N−フェニルマレイミド系化合物を粉末で
取り扱うことによる咳,くしゃみ,および皮膚への付着
による炎症が回避される。本発明の安定化剤を含むN−
フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液
は,耐熱性向上の目的のためN−フェニルマレイミド系
化合物を使用するAS樹脂やABS樹脂の製造にそのまま使
用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−126167(JP,A) 特開 昭62−145062(JP,A) 特開 昭58−187447(JP,A) 特開 昭47−2591(JP,A) 特開 平1−250346(JP,A) 特開 平1−250347(JP,A) 特開 平1−250348(JP,A) 特開 昭54−29356(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】重合禁止剤の存在下,または非存在下にお
いて,N−フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリ
ル溶液を安定に保持するための安定化剤であって, 下記式(I)で示されるトリチオホスファイトを含む,
安定化剤: R1,R2およびR3は,それぞれ独立して,H,1個〜18個の炭
素原子を有するアルキル基またはアリール基である。 - 【請求項2】さらに下記式(II)で示されるチオジプロ
ピオン酸アルキルエステルを含む,請求項1に記載の安
定化剤: R4およびR5は,それぞれ独立して,8個〜18個の炭素原子
を有するアルキル基またはアリール基である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1117978A JP2599197B2 (ja) | 1989-05-11 | 1989-05-11 | N―フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液の安定化剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP1117978A JP2599197B2 (ja) | 1989-05-11 | 1989-05-11 | N―フェニルマレイミド系化合物のアクリロニトリル溶液の安定化剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02300162A JPH02300162A (ja) | 1990-12-12 |
JP2599197B2 true JP2599197B2 (ja) | 1997-04-09 |
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ID=14724986
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Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2599197B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2804837B2 (ja) | 1990-09-05 | 1998-09-30 | 大八化学工業株式会社 | マレイミド系化合物の安定化剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1989
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JP2804837B2 (ja) | 1990-09-05 | 1998-09-30 | 大八化学工業株式会社 | マレイミド系化合物の安定化剤 |
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JPH02300162A (ja) | 1990-12-12 |
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