JPH09316051A - N−フェニルマレイミド溶液およびその取り扱い方法 - Google Patents

N−フェニルマレイミド溶液およびその取り扱い方法

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JPH09316051A
JPH09316051A JP8128334A JP12833496A JPH09316051A JP H09316051 A JPH09316051 A JP H09316051A JP 8128334 A JP8128334 A JP 8128334A JP 12833496 A JP12833496 A JP 12833496A JP H09316051 A JPH09316051 A JP H09316051A
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acrylonitrile
phenylmaleimide
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Kazuo Kishino
和夫 岸野
Kinichi Nakayama
欽一 中山
Yuichi Kita
裕一 喜多
Fumioki Shimoyama
文興 下山
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相の良好なN−フェニルマレイミドの有機
溶媒(例えば、アクリロニトリル)溶液、このN−フェ
ニルマレイミドの有機溶媒溶液の着色ないしは変色を効
果的に防止して取り扱う方法、およびこのN−フェニル
マレイミドの有機溶媒溶液を用いて得られるN−フェニ
ルマレイミド系樹脂を提供する。 【解決手段】 N−フェニルマレイミドの有機溶媒溶液
中のアゾベンゼンおよびN,N’−ジフェニルヒドラジ
ンの合計含量を500ppm以下(アクリロニトリル溶
液の重量基準)にする、あるいはその合計含量を500
ppm以下にして取り扱う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はN−フェニルマレイ
ミドの有機溶媒(アクリロニトリルなど)溶液、その取
り扱い方法およびこのN−フェニルマレイミドの有機溶
媒溶液を用いて得られるN−フェニルマレイミド系樹脂
に関する。更に詳しくは、色相が良好であって、取り扱
いの際の着色ないしは変色が少なく、色相に関し安定な
N−フェニルマレイミドの有機溶媒(アクリロニトリル
など)溶液およびその取り扱い方法、ならびにこのN−
フェニルマレイミドの有機溶媒溶液を用いて得られる色
相の良好なN−フェニルマレイミド系樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】N−フェニルマレイミドなどに代表され
るマレイミド類はアクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム
−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−スチレ
ン(AS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレ
ン−スチレン(ACS)樹脂などのアクリロニトリル系
共重合体の耐熱向上剤として、これら樹脂を構成するモ
ノマーとの共重合に広く用いられている。
【0003】常温で固体のマレイミド類は、その取り扱
いの際に粉化して、微粉末の発生による作業環境の悪化
などの問題を起こすことから、このような問題を解決す
るため、本出願人は先にマレイミド類をアクリロニトリ
ル溶液として取り扱う方法を提案した(特公平3−12
057号公報)。この取り扱い方法は、アクリロニトリ
ル溶液をそのままアクリロニトリル系共重合体の製造に
使用できることから、現在、工業的に広く用いられてい
る。
【0004】マレイミド類は鮮やかな黄色の結晶であ
り、そのアクリロニトリル溶液は黄色である。しかし、
このアクリロニトリル溶液を、例えば加温して貯蔵する
と、溶液の色が濃くなったり、場合によっては褐色に変
色する場合がある。このようなマレイミド類のアクリロ
ニトリル溶液をそのまま、例えばABS樹脂の製造に使
用すると、製品ABS樹脂の着色となって現れ、その商
品価値を著しく損なうことになる。このような事情か
ら、マレイミド類のアクリロニトリル溶液を取り扱う際
のアクリロニトリル溶液の着色(白濁を包含する場合も
ある)を防止することは工業的に非常に重要なことであ
る。このため、アクリロニトリル溶液の着色を防止する
ために種々の方法が提案されている。本出願人も、マレ
イミド類のアクリロニトリル溶液中に種々の安定剤を添
加する方法(特公平6−72134号、同6−7637
4号各公報など)のほかに、マレイミド類のアクリロニ
トリル溶液中の酸分を0.3重量%以下に調整する方法
(特開昭64−61456号公報)、マレイミド類のア
クリロニトリル溶液中の酸分を0.3重量%以下に調整
し、さらに安定剤を共存させる方法(特公平6−721
33号、同6−72135各公報)などを提案してい
る。
【0005】上記従来方法は、それなりに問題を解決し
たものであるが、近年、最終樹脂製品の商品価値を高め
るために、マレイミド類のアクリロニトリル溶液の色に
関する基準もしくは要求が一段と厳しくなり、従来方法
によっては、このような色に関する厳しい要求に必ずし
も充分に応えられるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色相が良好
であって、取り扱いの際の着色ないしは変色を防止した
N−フェニルマレイミドの有機溶媒(アクリロニトリル
など)溶液およびその取り扱い方法、ならびにこの有機
溶媒溶液を用いて得られる色相の良好なN−フェニルマ
レイミド系樹脂を提供しようとするものである。
【0007】本発明における「取り扱う」との用語は、
N−フェニルマレイミドの有機溶媒溶液のタンクローリ
ーなどによる輸送、タンクなどでの貯蔵、パイプ、バル
ブ、ノズルなどを含めた配管(例えば、N−フェニルマ
レイミドの有機溶媒溶液の貯蔵槽から重合系への供給ラ
イン)での移送などを意味する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、N−フェ
ニルマレイミドの有機溶媒溶液、特にアクリロニトリル
溶液を取り扱う際に発生する着色の原因についての長年
の研究の結果、その原因物質はアゾベンゼン(以下、
「AZB」と略記する場合もある)およびN,N’−ジ
フェニルヒドラジン(以下、「DPH」と略記する場合
もある)であることを究明し、その合計量を500pp
m(アクリロニトリル溶液の重量基準)以下にしたN−
フェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液は、色相が
良好であり、また着色ないしは変色が少なく、色相に関
し安定していることを知り、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0009】本発明の一つは、アゾベンゼンおよびN,
N’−ジフェニルヒドラジンの合計含量が500ppm
以下であるN−フェニルマレイミドの有機溶媒溶液であ
る。他の発明は、アゾベンゼンおよびN,N’−ジフェ
ニルヒドラジンの合計含量が500ppm以下であるN
−フェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液である。
他の発明は、上記N−フェニルマレイミドの有機溶媒溶
液を20〜70℃で取り扱うN−フェニルマレイミドの
有機溶媒溶液の取り扱い方法である。
【0010】他の発明は、上記N−フェニルマレイミド
の有機溶媒溶液を用いて得られるN−フェニルマレイミ
ド系樹脂である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いるN−フェニルマレ
イミドは、その製造法に制限はなく、各種方法によって
得られるものを使用することができる。例えば、マレイ
ミド類の前駆体としてのマレアミド酸類を無水酢酸など
の酸無水物を用いて脱水環化する方法、マレアミド酸類
を減圧下に酸触媒とともに加熱し脱水環化する方法、マ
レアミド酸類を有機溶媒中で加熱し、脱水環化によって
生成する水を有機溶媒との共沸混合物として反応系外に
留去させながら反応を行う方法、有機溶媒としてベンゼ
ンなどの不活性有機溶媒およびN,N−ジメチルホルム
アミドなどの非プロトン性の極性有機溶媒からなる混合
溶媒を用い、この混合溶媒中でマレアミド酸類を加熱し
て脱水環化させる方法などによって得られるマレイミド
類を用いることができる。製造法によっては、N−フェ
ニルマレイミド中に酸成分、例えば反応に使用した酸触
媒などが含まれている場合もあり、5重量%程度の酸成
分を含むN−フェニルマレイミドも使用可能であるが、
水洗、蒸留などの方法により酸成分の含量を0.3重量
%以下にして使用するのが望ましい。
【0012】本発明で用いる有機溶媒としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;ベ
ンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプ
ロピルベンゼン、メシチレン、テトラヒドルナフタレ
ン、ブチルベンゼン、シメンなどの芳香族炭化水素類;
クロルベンゼン、テトラクロルベンゼンなどのハロゲン
化炭化水素類;1,4−ジオキサン、テトラヒドルフラ
ンなどのエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトンなどのケトン類などを挙げることができ
る。これらのうち、アクリロニトリルが好適に用いられ
る。なお、有機溶媒中の水分含有量は1重量%以下であ
るのが好ましい。
【0013】以下、有機溶媒としてアクリロニトリルを
用いる場合を例に挙げて、本発明を詳しく説明する。
【0014】N−フェニルマレイミドをアクリロニトリ
ルに溶解するには、例えばアクリロニトリル中にN−フ
ェニルマレイミドを投入するなど、任意の方法により行
うことができる。なお、N−フェニルマレイミドの溶解
はアクリロニトリルの沸点(78.5℃)以下の温度で
行うのが好ましく、アクリロニトリルが高い蒸気圧を有
することから通常30〜70℃の範囲の温度で行うのが
よい。また、N−フェニルマレイミドのアクリロニトリ
ル溶液の取り扱いは、通常、20〜70℃の範囲の温度
で行なう。特に、30〜70℃の加温状態で取り扱うの
がよい。
【0015】アクリロニトリル溶液を取り扱う設備の材
質には特に制限はなく、アクリロニトリル溶液と接触す
る設備(配管なども含む)の表面を不動態化、例えばガ
ラスライニング、セラミックコーティングなどとしても
よいが、汎用の工業材料である炭素鋼ないしはステンレ
ス鋼製の設備を用いるのがアクリロニトリル溶液の工業
的規模での取り扱いには経済的で有利であり、本発明の
N−フェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液は、こ
のような炭素鋼ないしはステンレス鋼製の設備で取り扱
う際に特に効果的に着色を防止することができる。
【0016】アクリロニトリル溶液中のN−フェニルマ
レイミドの濃度については特に制限はなく、取り扱い温
度、取り扱いの形態(例えば、輸送または貯蔵)、ある
いはこのアクリロニトリル溶液を用いて製造する共重合
体の種類、製造法および製造条件などを考慮して適宜決
定することができる。例えば、N−フェニルマレイミド
含有率の高いアクリロニトリル系共重合体の製造に使用
する場合には、高濃度とするのが好ましいこともある。
通常、N−フェニルマレイミドの濃度は40〜90重量
%である。
【0017】AZBおよびDPHがN−フェニルマレイ
ミド中に生成、増加する理由については次のように考え
られている。すなわち、N−フェニルマレイミドをアク
リロニトリル中に溶解し、炭素鋼ないしはステンレス鋼
製のタンクに貯蔵する場合、通常の工業用アクリロニト
リル中には、例えば0.5〜1重量%程度の水が含まれ
ているため、この水の作用によってN−フェニルマレイ
ミドの加水分解が一部起こり、先ずアニリンが生成し、
さらにこのアニリンの活性化によって生成するアニリン
ラジカルを経由してAZBおよびDPHが生成する。な
お、本発明はこのような理論的考察によって制約を受け
るものではない。
【0018】そして、本発明者らは、アクリロニトリル
溶液中のAZBおよびDPHの合計含量を500ppm
以下、好ましくは100ppm以下にすることにより着
色ないしは変色を防止することができ、このように取り
扱ったアクリロニトリル溶液は色に関する近年の厳しい
要求に応えられるものであることを見出した。なお、ア
クリロニトリル溶液中のAZBおよびDPHの合計含量
は少ない程、望ましいが、用途などによっては、その合
計含量が20ppm程度となるようにすれば十分であ
る。
【0019】以下に、N−フェニルマレイミドのアクリ
ロニトリル溶液中のAZBおよびDPHの合計含量を5
00ppm以下にするための方法を説明する。
【0020】<方法A>N−フェニルマレイミドの加水
分解を防止するためにアクリロニトリル溶液中の水分量
を0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下に
する。このためには、N−フェニルマレイミド中には実
質的に水は含まれていないので、溶剤として用いるアク
リロニトリルの水分量を0.1重量%、好ましくは0.
05重量%以下にすればよい。アクリロニトリル中の水
分量は、従来公知の方法、例えば精密蒸留、シリカゲ
ル、モレキュラーシーブなどを用いた物理的吸着、無水
硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウムなどによる脱水
などによって調整することができる。
【0021】<方法B>アニリンラジカルの発生を防止
するに有効な酸化防止剤をアクリロニトリル溶液中の共
存させる。この酸化防止剤としては、アルキル置換ヒド
ロキシベンゼン類およびヒンダードフェノール類から選
ばれる少なくとも1種、または亜リン酸エステル類、リ
ン酸エステル類およびリン酸アミド類から選ばれる少な
くとも1種をそれぞれ単独に使用することができるが、
アルキル置換ヒドロキシベンゼン類およびヒンダードフ
ェノール類から選ばれる少なくとも1種と亜リン酸エス
テル類、リン酸エステル類およびリン酸アミド類から選
ばれる少なくとも1種とを組み合わせて使用するのが効
果的である。この場合、アクリロニトリル溶液中の水分
量には特に制限はないが、その水分量を0.2重量%以
下、好ましくは0.1重量%以下、特に好ましくは0.
05重量%以下にするのがよい。つまり、方法Aと方法
Bとを組み合わせて用いるのが好ましい。
【0022】アルキル置換ヒドロキシベンゼン類の代表
例としては、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル
フェノール、4−tert−ブチルカテコール、2,5
−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2−tert
−ブチルハイドロキノン、4,4’−チオ−ビス(6−
tert−ブチル−m−クレゾール)などを挙げること
ができる。
【0023】ヒンダードフェノール類の代表例として
は、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−
1,3,5−トリアジン、2,2’−チオビス−(4−
メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチ
レングリコール−ビス−[3−(3−tert−ブチル
−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネイ
ト]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネイト]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネイト、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネイト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネイト]、トリス−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシア
ヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン、N,N’−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒ
ドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネイト−ジエチル
エステルなどを挙げることができる。
【0024】これらのなかでも、2,4−ジメチル−6
−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチル
カテコール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキ
ノン、2−tert−ジブチルハイドロキノン、4,
4’−チオ−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾ
ール)、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4
−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリ
ノ)−1,3,5−トリアジン、2,2’−チオビス−
(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)およ
びトリエチレングリコール−ビス−[3−(3−ter
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネイト]が好適に用いられる。
【0025】亜リン酸エステル類の代表例としては、ト
リフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エ
チルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリ
ルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシ
ル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイ
ト、ジフェニルモノトリデシルホスファイト、ジラウリ
ルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲン
ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール
ホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペ
ンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリ
デシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホス
ファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス
(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファ
イト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、水添ビスフェノールA−ペンタエリ
スリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノール
A−ホスファイトポリマーなどが挙げられる。
【0026】リン酸エステル類およびリン酸アミド類の
代表例としては、エチルジエチルホスホノアセテート、
エチルアシッドホスフェート、β−クロロエチルアシッ
ドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブチル
ピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェー
ト、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジ(2
−エチルヘキシル)ホスフェート、エチレングリコール
アシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)メタ
クリレートアシッドホスフェート、トリス(2−クロロ
エチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホ
スフェート、オクチルジクロロプロピルホスフェート、
フェニルジクロロプロピルホスフェート、トリメチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホス
フェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホ
スフェート、トリフェニルホスフェート、ヘキサメチル
ホスリックトリアミドなどが挙げられる。
【0027】これら亜リン酸エステル類、リン酸エステ
ル類およびリン酸アミド類のなかでも、トリス(ノニル
フェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリ
トールジホスファイト、トリステアリルホスファイト、
ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェートなどが好適に用
いられる。
【0028】上記アルキル置換ヒドロキシベンゼン類お
よびヒンダードフェノール類から選ばれる少なくとも1
種の使用量はN−フェニルマレイミドに対し0.000
1〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%で
ある。また、上記亜リン酸エステル類、リン酸エステル
類およびリン酸アミド類から選ばれる少なくとも1種の
使用量はN−フェニルマレイミドに対し0.0001〜
1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%であ
る。アルキル置換ヒドロキシベンゼン類およびヒンダー
ドフェノール類の少なくとも1種とリン化合物とを組み
合せ使用する場合、その割合には特に制限はなく、上記
使用量の範囲内で適宜決定することができる。
【0029】上記アルキル置換ヒドロキシベンゼン類お
よびヒンダードフェノール類の少なくとも1種とリン化
合物との組み合せのうち、特に好適な組み合せとして
は、4−tert−ブチルカテコールとジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイトとの組み合せ、トリ
エチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチ
ル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]とジステアリルペンタエリスリトールジホスファ
イトとの組み合せ、4−tert−ブチルカテコールと
トリステアリルホスファイトとの組み合せなどを挙げる
ことができる。
【0030】<方法C>アクリロニトリル溶液の気相部
の分子状酸素濃度(N−フェニルマレイミドおよびアク
リロニトリルを除くガス混合物の容量基準;以下同じ)
を0.01〜10容量%、好ましくは0.1〜8容量
%、更に好ましくは1〜7容量%とする。特に、方法A
および/または方法Bにおいて、上記のようにアクリロ
ニトリル溶液の気相部の分子状酸素濃度を調整するのが
よい。すなわち、方法Aおよび/または方法Bと方法C
とを組み合せ用いるのが好ましい。N−フェニルマレイ
ミドおよびアクリロニトリルを除くガス混合物は、通
常、分子状酸素および窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ア
ルゴンなどの不活性ガスからなり、そしてこの不活性ガ
スとしては窒素が特に好適に用いられることから、N−
フェニルマレイミドおよびアクリロニトリルを除くガス
混合物の好ましい例としては、分子状酸素および窒素か
らなるガス混合物を挙げることができる。
【0031】<方法D>前記方法A、BまたはC、もし
くはこれらの任意の組み合せにおいて、金属不活性化剤
をアクリロニトリル溶液に添加する。この金属不活性化
剤の代表例としては、N,N’−ビス[3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオニル]ヒドラジン、2,2’−オキザミドビス−
[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ジ
サリチリデン−1,2−プロパンジアミン、ベンゾトリ
アゾール、トリルトリアゾール、トリルトリアゾール−
カリウム塩、メルカプトベンゾトリアゾール−ナトリウ
ム塩などを挙げることができる。これらのうち、N,
N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、
2,2’−オキザミドビス−[エチル−3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]などが好適に用いられる。これら金属不活
性化剤は単独でも、あるいは2種以上混合して使用する
こともできる。上記金属不活性化剤の添加量はN−フェ
ニルマレイミドに対し0.0001〜1重量%、好まし
くは0.001〜0.1重量%である。
【0032】したがって、本発明の取り扱い方法の好適
な態様の一つは、N−フェニルマレイミドのアクリロニ
トリル溶液を20〜70℃の温度で取り扱う際に、
(A)アクリロニトリル溶液中の水分量を0.1重量%
以下、好ましくは0.05重量%以下にする、(B)酸
化防止剤としてアルキル置換ヒドロキシベンゼン類およ
びヒンダードフェノール類から選ばれる少なくとも1
種、または亜リン酸エステル類、リン酸エステル類およ
びリン酸アミド類から選ばれる少なくとも1種、好まし
くはアルキル置換ヒドロキシベンゼン類およびヒンダー
ドフェノール類から選ばれる少なくとも1種と亜リン酸
エステル類、リン酸エステル類およびリン酸アミド類か
ら選ばれる少なくとも1種とを組み合わせて添加する、
または(C)アクリロニトリル溶液の気相部の分子状酸
素濃度(N−フェニルマレイミドおよびアクリロニトリ
ルを除くガス混合物の容量基準)を0.01〜10容量
%、好ましくは0.1〜8容量%とする、好ましくは上
記(A)〜(C)の2つを適宜組み合わせて、特に好ま
しくは(A)、(B)および(C)を組み合わせて、ア
クリロニトリル溶液中のAZBおよびDPHの合計含量
を500ppm以下、好ましくは100ppm以下にす
る。
【0033】本発明の方法により取り扱うことにより、
N−フェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液の着色
ないしは変色を効果的に防止することができる。すなわ
ち、アクリロニトリル溶液は色相に優れ、しかもその取
り扱い前後の色相の変化が著しく少ないものである。
【0034】上記色相は、R.S.HunterのL.
a.b.値により、また取り扱い前後の色相の変化は、
取り扱いの前後のL.a.b.値によって求められる色
差、具体的には取り扱う前のL.a.b.値と取り扱い
後のL.a.b.値との差(絶対値)である△L、△a
および△bをもって表すことができる(The Mea
surement of Appearance,2n
d Ed.(1987))。例えば、△Lとは、|(取
り扱う前のL)−(取り扱い後のL)|(絶対値)であ
る。
【0035】本発明のAZBおよびDPHの合計含量が
500ppm以下のN−フェニルマレイミドのアクリロ
ニトリル溶液の、下記の方法により測定した、L.a.
b.値はそれぞれL=90〜100、a=−10〜−3
0、b=30〜50の範囲にある。また、アクリロニト
リル溶液中のAZBおよびDPHの合計含量を500p
pm以下にして取り扱うことにより、取り扱い前後の色
相の変化、すなわち取り扱い前後のL.a.b.値の差
△L、△aおよび△bをそれぞれ5以下、5以下および
10以下とすることができる。
【0036】L.a.b.値測定法 日本電色工業(株)製Σ−80型色差計を用い、サンプ
ルとしてのマレイミド類のアクリロニトリル溶液の濃度
を30重量%に調整した後、そのL.a.b.値を透過
モードにより測定した。なお、対照としては、市販のア
クリロニトリル(試薬特級)を用い、使用したセルの厚
みは10mmであった。
【0037】本発明のN−フェニルマレイミド系樹脂
は、前記のN−フェニルマレイミドのアクリロニトリル
溶液を用いて得られたものであり、N−フェニルマレイ
ミドおよびアクリロニトリルの共重合体、N−フェニル
マレイミド、アクリロニトリルおよびこれらと共重合可
能な単量体との共重合体などのほかに、N−フェニルマ
レイミドを共重合体の一成分として含むアクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニ
トリル−アクリルゴム−スチレン(AAS)樹脂、アク
リロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン(AC
S)樹脂などを包含する。特に、出発原料としてアクリ
ロニトリル溶液をそのまま使用できることから、N−フ
ェニルマレイミド−アクリロニトリル系樹脂を好適なも
のとして挙げることができる。最も好ましいのはN−フ
ェニルマレイミド−アクリロニトリル−スチレン共重合
体である。
【0038】上記共重合可能な単量体の代表例として
は、メタクリル酸エステル類、例えばメタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸イソボニ
ル;アクリル酸エステル類、例えばアクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル
酸ブチル;芳香族ビニル化合物、例えばスチレンおよび
α−メチルスチレン;共役ジエン類、例えばブタジエン
などを挙げることができる。これらのうち、メタクリル
酸メチル、アクリル酸メチル、スチレン、α−メチルス
チレンなどが特にその優れた反応性および耐熱性に優れ
た樹脂が得られるという点において好適に用いられる。
【0039】本発明のN−フェニルマレイミド系樹脂は
いずれも公知なものであり、従来のN−フェニルマレイ
ミドのアクリロニトリル溶液の代わりに本発明のN−フ
ェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液を用いる以外
は、従来公知の重合方法によって容易に製造することが
できる。
【0040】そして、本発明のN−フェニルマレイミド
系樹脂は、前記のような色相が良好であり、着色ないし
は変色が防止され、色相に関して安定したN−フェニル
マレイミドのアクリロニトリル溶液を用いて得られるこ
とから、低着色性であって、色相に関し優れたものであ
る。
【0041】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0042】実施例1 N−フェニルマレイミド((株)日本触媒製)9gと水
分含量0.41重量%のアクリロニトリル(住友化学
(株)製)6gとを18mmφのパイレックス製試験管
に入れ、40℃で溶解させて60重量%のN−フェニル
マレイミドのアクリロニトリル溶液を調製した。このア
クリロニトリル溶液にSUS製テストピース(10×5
0×2mm)を入れ、空気雰囲気のままシリコンゴム栓
で密封した後、55℃で30日間保存した。前記のL.
a.b.値測定法による保存前後のL.a.b.値およ
びその差は次のとおりであった。
【0043】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=97.9、a=−20.1、b=42.8 差 :△L=1.4、△a=1.3、△b=2.9 上記アクリロニトリル溶液からアクリロニトリルを留去
し、N−フェニルマレイミド中のAZBおよびDPHを
液体クロマトグラフィーで測定したところ、その合計量
はアクリロニトリル溶液の重量基準で120ppmであ
った。
【0044】比較例1 実施例1において、アクリロニトリル溶液を55℃で3
0日間保存する代わりに70℃で120日間保存した以
外は実施例1と同様の操作を行った。保存前後のL.
a.b.値およびその差は次のとおりであった。
【0045】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=92.2、a=−10.6、b=59.5 差 :△L=7.1、△a=10.8、△b=19.
6 上記アクリロニトリル溶液中のAZBおよびDPHの合
計量を実施例1と同様にして測定したところ520pp
mであった。
【0046】実施例1および比較例1の結果から、アク
リロニトリル溶液中のAZBおよびDPHの合計量が5
00ppmを超えるとL.a.b.値のうちb値が50
を超え、しかも△L、△aおよび△bがそれぞれ5、5
および10を超え、着色ないしは変色が著しいことが分
かる。
【0047】実施例2 実施例1において、7容量%の分子状酸素を含有する窒
素ガスをアクリロニトリル溶液中に吹き込んで十分置換
し、気相部にも同じ気体を充填しシリコンゴム栓で密封
した以外は同様の操作を行った。保存前後のL.a.
b.値およびその差は次のとおりであった。
【0048】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=98.6、a=−20.8、b=41.7 差 :△L=0.7、△a=0.6、△b=1.8 上記アクリロニトリル溶液からアクリロニトリルを留去
し、N−フェニルマレイミド中のAZBおよびDPHを
液体クロマトグラフィーで測定したところ、その合計量
はアクリロニトリル溶液の重量基準で35ppmであっ
た。
【0049】上記結果から、分子状酸素濃度が7容量%
の雰囲気中でアクリロニトリル溶液を保存してAZBお
よびDPHの合計含量を500ppm以下にすると、ア
クリロニトリル溶液の色相は良好であり、また保存によ
る色相の変化が少なく、着色ないしは変色を効果的に防
止できることが分かる。
【0050】実施例3 実施例1において、フレッシュな溶融N−フェニルマレ
イミドを用い、また酸化防止剤としてトリエチレングリ
コール−ビス−[3−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]とジ
ステアリルペンタエリスリトールジホスファイトをそれ
ぞれ1000ppm(N−フェニルマレイミドの重量基
準)添加し、さらに7容量%の分子状酸素を含有する窒
素ガスを溶液中に吹き込んで十分置換し、気相部も同じ
気体を充填してシリコンゴム栓で密閉した以外は実施例
1と同様の操作を行った。保存前後のL.a.b.値お
よびその差は次のとおりであった。
【0051】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=99.0、a=−21.2、b=40.4 差 :△L=0.3、△a=0.2、△b=0.5 上記アクリロニトリル溶液からアクリロニトリルを留去
し、N−フェニルマレイミド中のAZBおよびDPHを
液体クロマトグラフィーで測定したところ、その合計量
はアクリロニトリル溶液の重量基準で10ppmであっ
た。
【0052】上記結果から、酸化防止剤の共存下にアク
リロニトリル溶液を保存してAZBおよびDPHの合計
含量を500ppm以下にすると、アクリロニトリル溶
液の色相は良好であり、また保存による色相の変化が少
なく、着色ないしは変色を効果的に防止できることが分
かる。
【0053】実施例4 実施例1において、フレッシュな溶融N−フェニルマレ
イミドを用い、またアクリロニトリル溶液中の水分量を
0.03重量%とし、さらに酸化防止剤としてN−フェ
ニルマレイミドに対してトリエチレングリコール−ビス
−[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]およびジステアリ
ルペンタエリスリトールジホスファイトをそれぞれ10
00ppm添加した。次に、7容量%の分子状酸素を含
有する窒素ガスを溶液中に吹き込んで十分置換し、気相
部も同じ気体を充填してシリコンゴム栓で密閉した以外
は実施例1と同様の操作を行った。保存前後のL.a.
b.値およびその差は次のとおりであった。
【0054】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=99.1、a=−21.3、b=40.1 差 :△L=0.2、△a=0.1、△b=0.2 上記アクリロニトリル溶液からアクリロニトリルを留去
し、N−フェニルマレイミド中のAZBおよびDPHを
液体クロマトグラフィーで測定したところ、その合計量
はアクリロニトリル溶液の重量基準で10ppm以下で
あった。
【0055】上記結果から、アクリロニトリル溶液中の
水分量を0.03重量%とし、酸化防止剤の共存下、分
子状酸素濃度が7容量%の雰囲気中でアクリロニトリル
溶液を保存してAZBおよびDPHの合計含量を500
ppm以下にすると、アクリロニトリル溶液の色相は良
好であり、また保存による色相の変化が少なく、着色な
いしは変色を効果的に防止できることが分かる。
【0056】実施例5 実施例1において、フレッシュな溶融N−フェニルマレ
イミドを用い、また酸化防止剤としてトリエチレングリ
コール−ビス−[3−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]とジ
ステアリルペンタエリスリトールジホスファイトをそれ
ぞれ1000ppm(N−フェニルマレイミドの重量基
準)添加し、さらに7容量%の分子状酸素を含有する窒
素ガスをアクリロニトリル溶液中に吹き込んで十分置換
し気相部にも同じ気体を充填してシリコンゴム栓で密閉
した後、70℃で120日間保存した以外は実施例1と
同様の操作を行った。保存前後のL.a.b.値および
その差は次のとおりであった。
【0057】 保存前:L=99.3、a=−21.4、b=39.9 保存後:L=98.3、a=−20.1、b=42.6 差 :△L=1.0、△a=1.3、△b=2.7 上記アクリロニトリル溶液からアクリロニトリルを留去
し、N−フェニルマレイミド中のAZBおよびDPHを
液体クロマトグラフィーで測定したところ、その合計量
はアクリロニトリル溶液の重量基準で90ppmであっ
た。
【0058】上記結果から、酸化防止剤の共存下、かつ
分子状酸素濃度が7容量%の雰囲気中でアクリロニトリ
ル溶液を保存してAZBおよびDPHの合計含量を50
0ppm以下にすると、アクリロニトリル溶液の色相は
良好であり、また保存による色相の変化が少なく、着色
ないしは変色を効果的に防止できることが分かる。
【0059】実施例6 撹拌機、冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備
えたフラスコにスチレン30重量部、トルエン36.6
7重量部(ともに和光純薬(株)製;試薬特級)および
tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート
0.016重量部(化薬アクゾ(株)製)を仕込み、気
相部を十分に窒素で置換した後、100℃に加熱した。
これにN−フェニルマレイミド10重量部をアクリロニ
トリル6.67重量部に溶解した溶液およびtert−
ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.032
重量部をトルエン16.67重量部に溶解した液をそれ
ぞれ滴下ロートにより、沸点還流下に保ちながら2時間
かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続け
た。その後、この重合液を120℃で減圧下に乾燥し
た。得られた重合物を15%のクロロホルム溶液とし
て、日本電色製Σ80型色差計(No.1基準板を用い
10mmセルで透過法により測定)でイエローインデッ
クス(YI)を測定したところ、YIは2.7であっ
た。
【0060】実施例7 実施例6において、アクリロニトリル溶液として実施例
1の55℃で30日間保存した後のアクリロニトリル溶
液を用いた以外は同様にして重合を行い、得られた重合
物のYIを同様にして測定したところ、YIは5.6で
あった。
【0061】実施例8 実施例6において、アクリロニトリル溶液として実施例
2の55℃で30日間保存した後のアクリロニトリル溶
液を用いた以外は同様にして重合を行い、得られた重合
物のYIを同様にして測定したところ、YIは4.8で
あった。
【0062】実施例9 実施例6において、アクリロニトリル溶液として実施例
3の55℃で30日間保存した後のアクリロニトリル溶
液を用いた以外は同様にして重合を行い、得られた重合
物のYIを同様にして測定したところ、YIは2.7で
あった。
【0063】実施例10 実施例6において、アクリロニトリル溶液として実施例
4の55℃で30日間保存した後のアクリロニトリル溶
液を用いた以外は同様にして重合を行い、得られた重合
物のYIを同様にして測定したところ、YIは2.7で
あった。
【0064】比較例2 実施例6において、アクリロニトリル溶液として比較例
1の70℃で120日間保存した後のアクリロニトリル
溶液を用いた以外は同様にして重合を行い、得られた重
合物のYIを同様にして測定したところ、YIは17.
6であった。
【0065】実施例6〜10および比較例2の結果か
ら、比較例1の保存後のアクリロニトリル溶液を用いて
得られる重合体は著しく着色しているのに対して、実施
例1〜4の保存後のアクリロニトリル溶液を用いて得ら
れる重合体は色相が良好であることが分かる。
【0066】
【発明の効果】本発明のN−フェニルマレイミドの有機
溶媒溶液は良好な色相を有している。また、本発明の取
り扱い方法によれば、N−フェニルマレイミドの有機溶
媒溶液を取り扱う際の着色ないしは変色を効果的に防止
することができる。
【0067】例えば、N−フェニルマレイミドのアクリ
ロニトリル溶液のL.a.b.値をそれぞれL=90〜
100、a=−10〜−30、b=30〜50の範囲と
し、しかも取り扱い前後の色相の変化、すなわち差△
L、△aおよび△bをそれぞれ5以下、5以下および1
0以下とすることができる。
【0068】本発明の、ないしは本発明の方法にしたが
って取り扱ったN−フェニルマレイミドの有機溶媒溶液
を用いることにより、色相の良好なN−フェニルマレイ
ミド系樹脂を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下山 文興 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−フェニルマレイミドと有機溶媒とを
    含んでなり、アゾベンゼンおよびN,N−ジフェニルヒ
    ドラジンの合計含量が500ppm以下であるN−フェ
    ニルマレイミド溶液。
  2. 【請求項2】 アゾベンゼンおよびN,N−ジフェニル
    ヒドラジンの合計含量が500ppm以下であるN−フ
    ェニルマレイミドのアクリロニトリル溶液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の溶液を20〜70℃の
    温度で取り扱うN−フェニルマレイミド溶液の取り扱い
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2のN−フェニルマレイミ
    ド溶液を用いて得られるN−フェニルマレイミド系樹
    脂。
JP8128334A 1995-08-29 1996-05-23 N−フェニルマレイミド溶液およびその取り扱い方法 Pending JPH09316051A (ja)

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TW085110485A TW429264B (en) 1995-08-29 1996-08-28 Acrylonitrile solutions of maleimides, method for preparation thereof, and acrylonitrile based copolymers obtained by use of the solutions background of the invention
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