JPH05331137A - マレイミド組成物 - Google Patents

マレイミド組成物

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JPH05331137A
JPH05331137A JP4164095A JP16409592A JPH05331137A JP H05331137 A JPH05331137 A JP H05331137A JP 4164095 A JP4164095 A JP 4164095A JP 16409592 A JP16409592 A JP 16409592A JP H05331137 A JPH05331137 A JP H05331137A
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JP
Japan
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maleimides
maleimide
polymerization
solvent
stabilizer
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Application number
JP4164095A
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English (en)
Inventor
Kazutada Yamawaki
一公 山脇
Katsuro Omura
勝郎 大村
Yoichi Kamoshita
洋一 鴨志田
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マレイミド類を着色、重合などの変質の防止
された状態で、安全に輸送ないし貯蔵できるマレイミド
組成物を提供する。 【構成】 安定剤の存在下、マレイミド類をメチルエチ
ルケトンなどの溶媒との組成物とする。 【効果】 本発明によればマレイミドを安定化でき、そ
の組成物をそのまま重合反応に使用することが可能であ
り、高品質の重合体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マレイミド組成物に関
する。さらに詳しくは、マレイミド類を着色、重合など
の変質の防止された状態で、安全に輸送ないし貯蔵でき
る組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】マレイミド類は、樹脂、医薬、農薬等の
原料として有用な化合物である。従来、常温で固体のマ
レイミド類は、粉体、フレーク、タブレット等の形状で
取扱われているのが一般的である。そしてこのような形
態のマリレイミド類の中には、マレイミド類の微粉末が
含まれている。特にこのような固体状のマレイミド類
は、輸送中、粉化が進み、微粉末が多量に発生する。
【0003】マレイミド類そのものは、人体に対して刺
激性があり、特に微粉末を吸入すると鼻腔、咽喉を刺激
し、咳、くしゃみが出、また皮膚に付着したまま放置す
ると炎症を起こすなど、好ましくない性質を有してい
る。それゆえ、このような微粉末を含有しているマレイ
ミド類を取扱う場合には、できるかぎり皮膚への接触を
避けるよう厳重な注意を払う必要がある。従って、マレ
イミド類の輸送に際して、できるだけ微粉末を発生しな
いようにしたり、また輸送後のマレイミド類から微粉末
を除去するために多大の労力を要している。
【0004】通常、固体物質の輸送は、多くの場合、紙
袋、ドラム缶、コンテナなどに固体物質を充填し輸送さ
れるが、この方法をマレイミド類の輸送に適用すると、
どうしてもマレイミド類と人体との接触が避けられず、
人体にマレイミド類の微粉末が付着することは不可避で
ある。加えて、人体と接触しないようにするために固体
物質の配管による輸送は、基本的にむずかしく、配管輸
送中に管内を閉塞したりするために、これら固体物質を
安定に輸送するために、固体の形、大きさ、比重など、
きびしい制約が課せられる。このように、常温で固体の
マレイミド類の輸送または移送方法には数々の困難があ
ると言わざるをえない。同様のことは、その貯蔵方法に
ついてもいえる。
【0005】一方、上記問題点を解決するためにマレイ
ミド類を融点以上の温度に加熱し、液体状態で取扱う方
法も考えせらている。この方法では、マレイミド類を融
点以上の温度に加熱するため、マレイミド類の重合を防
止することが必要であり、その方法として、特開昭62
−145062号、特開昭62−143911号および
特開昭63−316767号に開示されている。これら
の方法によれば、マレイミド類の重合を効果的に抑制す
ることができる。しかしながら、マレイミド類を加熱す
ることによる着色性不純物の生成を完全に防止すること
ができない。従って、マレイミド類を融点以上の高温に
保持して、液体状態で長期間保存した場合、マレイミド
類が着色してしまうために、全く商品価値が低下してし
まうという問題があった。このように従来のマレイミド
類を取扱う方法は、万全の方法とは言えないものであっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、マレイミド類の新規な組成物を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、輸送ないし貯蔵時に微粉末の
発生の心配のないマレイミド類の安全、かつ簡単な輸送
ないし貯蔵方法および重合系への供給ができる組成物を
提供することにある。本発明のさらに他の目的は、マレ
イミド類の着色を防止し、長期間高品質を維持でき、そ
のまま重合に供することができるマレイミド類の組成物
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マレイミ
ド類を融点以上に加熱して得た溶融品、なわち液状品で
取扱う際におけるマレイミド類の重合防止、着色防止な
どの熱安定化方法について鋭意検討した結果、マレイミ
ド類は溶解性パラメーターが6.8〜12の範囲の中〜
強水素結合性の溶媒と極めて相溶性がよく、これら溶媒
の添加によって効果的にマレイミド類の融点を下げるこ
とができ、従って、この方法によればマレイミド類を比
較的低い温度で液状化ならびに液状で保持できるので、
マレイミド類の重合が防止できることを見い出した。ま
た、当該マレイミド類とこれら溶媒との混合物を加熱し
て、液状品として取扱う際におけるマレイミド類の着色
防止などの熱安定性について鋭意検討した結果、マレイ
ミド類の着色防止は、気相中の分子状酸素濃度を特定濃
度以下に抑えることにより達成できることを見い出し
た。
【0008】すなわち本発明は、安定剤、マレイミド化
合物および溶解性パラメーターが6.8〜12の中〜強
水素結合性の溶媒との組成物、ならびにマレイミド化合
物を該組成物として取扱うことを特徴とするマレイミド
類の取扱い方法に関する。さらに本発明は、気相部の分
子状酸素含有量を10容量%以下に調整してなる雰囲気
下で、マレイミド類をマレイミド類100重量部、溶解
性パラメーターが6.8〜12の中〜強水素結合性の溶
媒1〜100重量部、および安定剤0.0001〜1重
量部よりなる組成物とする融点が−10℃以上のマレイ
ミドの組成物に関する。また、上記組成物を重合に供し
てなるマレイミド系重合体の製法に関する。
【0009】
【作 用】以下、本説明を詳しく説明する。本発明に使
用できるマレイミド類としては、例えば、N−メチルマ
レイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマ
レイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレ
イミド、N−ドデシルマレイミドなどの炭素数1〜20
のアルキル−N−置換マレイミド類、N−ベンジルマレ
イミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどの炭素数5
〜6のシクロアルキル−N−置換マレイミド類、N−フ
ェニルマレイミド、N−ニトロフェニルマレイミド、N
−メトキシフェニルマレイミド、N−メチルフェニルマ
レイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ヒ
ドロキシフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレ
イミド、N−ジメチルフェニルマレイミド、N−ジクロ
ルフェニルマレイミド、N−ブロムフェニルマレイミ
ド、N−ジブロムフェニルマレイミド、N−トリクロル
フェニルマレイミド、N−トリブロムフェニルマレイミ
ドなどの1〜4個のニトロ基、ヒドロキシル基、アルキ
ル基、ハロゲンまたはカルボキシル基を有するフェニル
−N−置換マレイミド類が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
【0010】本発明において用いられる安定剤として
は、工業製品や研究用試薬などの分野で用いられるもの
であればよく、限定されるものではないが、例えば、メ
トキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、フェノ
チアジン、ヒドロキノン、ジフェニルアミン類、メチレ
ンブルー、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル
ジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅
などのジアルキルジチオカルバミン酸塩、サリチル酸
銅、チオジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズ
イミダゾール、アルキル置換ヒドロキシベンゼン類、ア
ルキルビスフェノール類、ヒンダードフェノール類、リ
ン酸エステル類、亜リン酸エステル類、リン酸アミド類
が挙げられ、これらの安定剤は1種または2種以上併用
することもできる。
【0011】特に、アルキル置換ヒドロキシベンゼン
類、チオジプロピオン酸エステル類、ヒンダードフェノ
ール類、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類および
リン酸アミド類よりなる群から選ばれた少なくとも1種
の安定剤は、マレイミド類の融点以上の温度において、
マレイミド類の着色防止に非常に効果的であることか
ら、本発明においては、これらの安定剤が好適に使用さ
れる。また、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類お
よびリン酸アミド類から選ばれた少なくとも1種のリン
化合物などの安定剤も好適に使用される。
【0012】以下、各種安定剤を具体的に示すと、アル
キル置換ヒドロキシベンゼン類としては、例えば、2,
4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−
tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−
ブチルヒドロキノン、2−tert−ジブチルヒドロキ
ノン、4,4′−チオ−ビス(6−tert−ブチル−
m−クレゾール)などが挙げられ、好ましくは4−te
rt−ブチルカテコールなどである。
【0013】チオジプロピオン酸エステル類としては、
例えば、ジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネー
ト、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジ
テトラデシル−3,3′−チオジプロピオネート、ジス
テアリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジオクチ
ル−3,3′−チオジプロピオネートなどが挙げられ、
好ましくはジトリデシル−3,3′−チオジプロピオネ
ートなどである。
【0014】ヒンダードフェノール類としては、例え
ば、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−
1,3,5−トリアジン、2,2′−チオ−ビス(4−
メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチ
レングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピ
オネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ
イト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)べンゼン、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナムアミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエス
テルなどが挙げられ、好ましくは2,4−ビス(n−オ
クチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t
ert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
2,2′−チオビス−(4−メチル−6−tert−ブ
チルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−
[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネイト]などであるが、これ
らに限定されるものではない。
【0015】亜リン酸エステル類としては、例えば、ト
リフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エ
チルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリ
ルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシ
ル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイ
ト、ジフェニルモノトリデシルホスファイト、ジラウリ
ルヒドロゲンホスファイト、ジフェニルヒドロゲンホス
ファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホ
スファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデ
シル)−4,4′−イソプロピリデンジフェニルホスフ
ァイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ト
リデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリ
トールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホ
スファイトポリマーなどが挙げられ、好ましくはジステ
アリルペンタエリストールジホスファイトなどである。
【0016】リン酸エステル酸およびその他のリン化合
物としては、例えば、ヘキサメチルホスリックトリアミ
ド、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッ
ドホスフェート、β−クロロエチルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェ
ート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチ
ルヘキシルアシッドホスフェート、ジ(2−エチルヘキ
シル)ホスフェート、エチレングリコールアシッドホス
フェート、(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートア
シッドホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホス
フェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、
オクチルジクロロプロピルホスフェート、フェニルジク
ロロプロピルホスフェート、トリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ト
リオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
トリフェニルホスフェートなどが挙げられ、好ましくは
トリス(2−クロロエチル)ホスフェートなどである。
【0017】本発明における安定剤の使用量は、マレイ
ミド類100重量部に対して0.0001〜1.0重量
部、好ましくは、0.001〜0.1重量部である。安
定剤の種類については、製造する重合体の種類、重合の
方法、使用する開始剤などを勘案して選択される。さら
に、前記のアルキル置換ヒドロキシベンゼン類と前記の
リン酸エステル類、亜リン酸エステル類およびリン酸ア
ミド類などのリン化合物とを組合わせて使用することに
より、前記の安定剤を単独で使用するよりもなお一層優
れたマレイミド類の着色防止効果が得られる。その比率
は特に限定されるものではないが、好ましくは、アルキ
ル置換ヒドロキシベンゼン類とリン化合物との重量比が
1:0.1〜1〜1000、より好ましくは1:1〜
1:1000である。
【0018】本発明に使用される溶媒としては、溶解性
パラメーターが6.8〜12の中〜強水素結合性の溶媒
であり、好ましくは溶解度パラメーターが8〜11、さ
らに好ましくは9〜10の溶媒であり、製造する重合体
の種類、重合の方法、使用する開始剤などを勘案して選
択される。かかる溶媒としては、エチルエーテル、プロ
ピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテ
ル、ペンチルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2
−ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、アニソールなど
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン
などのケトン類、メチルアセテート、エチレングリコー
ルジアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテー
ト、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソ
ブチルアセテート、2−ブチルアセテート、メチルセロ
ソルブアセテート、セロソルブアセテート、イソペンチ
ルアセテート、γ−ブチロラクトーンなどのエステル
類、アセトニトリル、プロピオニトリル、サクシノニト
リル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルなどのニト
リル類、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミ
ドなどのアミド類などが挙げられ、好ましくは、メチル
エチルケトン、アセトン、ジエチルケトンなどのケトン
類、特に好ましくはメチルエチルケトンが挙げられる。
【0019】本発明において、マレイミド類の溶液を取
扱う温度は、マレイミド類の融点または溶解度によって
も異なるが、通常0〜120℃である。また、マレイミ
ド類に添加される溶媒の量は、マレイミド類と溶媒との
混合物が当該温度範囲内で均一溶液となるよう適宜決め
られる。その量は、マレイミド類の種類や溶媒の種類に
よっても異なるが、マレイミド類100重量部に対し
て、溶媒を1〜100重量部、好ましくは10〜70重
量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。
【0020】本発明において、他の溶媒を混合使用して
もよく、混合使用できる溶媒は、例えば芳香族系炭化水
素溶媒があり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレ
ン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ブチルベン
ゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベン
ゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼンなどが挙げ
られる。混合使用できる溶媒量は特に制限はないが、マ
レイミド100重量部に対して、100重量部以下が好
ましい。
【0021】本発明においては、気相部の分子状酸素濃
度を10容量%以下に抑制することが好ましい。本発明
者らの知見によれば、マレイミド類の着色と気相分子状
酸素濃度との間に、はっきりとした関係があり、通常の
空気雰囲気下ではマレイミド類が著しく速い速度で着色
し、特に安定剤の非共存化、分子状酸素濃度の高い条件
では、この着色は促進されてしまい、また安定剤の共存
下であっても、気相部の分子状酸素濃度が10容量%を
超えると同様にマレイミド類が着色してしまい、商品価
値が著しく損なわれることになる。
【0022】マレイミド類を溶解性パラメーターが6.
8〜12.0の範囲の中〜強水素結合性の溶媒との溶液
として加熱条件下、液体状態で取扱う場合、気相中の分
子状酸素濃度が10容量%以下であれば着色防止に有効
であるが、この濃度が低いほどよい結果が得られる。特
に、気相部が窒素、二酸化炭素、ヘリウムおよびアルゴ
ンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の不活発気体
により置換されている方がさらに好ましい。
【0023】前記マレイミド組成物と芳香族ビニル単量
体との共重合体は、高い熱変形温度を有し、高温下で熱
安定性にも優れている。本発明において共重合を行なう
場合には、重合器に前記マレイミド組成物をそのまま供
給してもよいし、あるいは重合前に溶媒および安定剤の
一部を除去し供給してもかまわない。使用される単量体
は、前記マレイミド系化合物と芳香族ビニル化合物を主
体とする単量体であるが、該混合物中におけるマレイミ
ド系化合物/芳香族ビニル化合物(モル比)=60〜5
/40〜95、好ましくは50〜10/50〜90であ
る。さらに、本発明において使用される芳香族ビニル化
合物としては、スチレン:α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、t−ブチル
スチレンなどのアルキル基置換スチレン誘導体:α−ブ
ロムスチレン、p−ブロムスチレンなどのハロゲン化ス
チレンなどを挙げることができ、好ましくはスチレンで
ある。これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独で使用
しても、また2種以上を併用することもできる。かかる
芳香族ビニル化合物には、例えば、アクリロニトリル、
メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体:メチ
ルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアク
リレート、エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル
酸エステル:アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和
酸:無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和無水
物などの他の単量体の1種または2種以上を、本発明の
目的とする熱可塑性樹脂に支障のない範囲で併用するこ
ともできる。
【0024】重合方法は、塊状重合法あるいは溶液重合
法などが適当である。この際の重合触媒、重合温度ある
いは重合溶媒は、一般的なビニル系単量体で適用される
ラジカル重合法に準じて実施することが可能である。な
お、好ましい重合溶媒としては、ベンゼン、トルエン、
エチルベンゼン、キシレン、t−プロピルベンゼンなど
のような芳香族炭化水素、または該芳香族炭化水素と脂
肪族炭化水素、ケトン類、エステル類、エーテル類、ア
ミド類、ハロゲン化炭化水素などとの併用などが挙げら
れ、さらに好ましいものは芳香族炭化水素とケトン類で
ある。これらの重合溶媒は、1種または2種以上の混合
溶媒として使用することができる。また、重合器の中の
重合系の粘度は、50℃において10×10瑤〜200
×10瑤cpsが好ましく、さらに好ましくは50×1
0瑤〜150×10瑤cpsである。通常、重合後は常
法により脱溶媒、単量体回収をした上で本発明の目的と
する樹脂が得られる。
【0025】本発明で得られる熱可塑性樹脂は、そのま
まで押し出し成形などにより耐熱性、耐衝撃性に優れた
樹脂として利用することも可能であり、ゴムが含まれな
い樹脂の場合は、耐熱性、透明性に優れた樹脂として利
用することが可能である。さらに、他の熱可塑性樹脂、
例えばスチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹
脂)、スチレン/メタクリル酸メチル(MS樹脂)、α
−メチルスチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレ
ン/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸メ
チル/N−フェニルマレイミド共重合体、ABS樹脂、
AES樹脂、MBS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、ポリフェニレンオキサイトド樹脂、ポリエ
ステル樹脂などに配合して耐衝撃性、耐熱性あるいは加
工性を改良することも可能である。また、本発明の熱可
塑性樹脂は通常使用されるプラスチック用の各種添加剤
あるいは補強剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線
吸収剤、難燃剤、滑剤、着色剤、顔料、ガラス繊維、炭
素繊維などを混合することもできる。これらの樹脂ある
いは添加剤の混合方法には特に制限はなく、常法により
実施される。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 実施例1〜53および比較例1〜3 マレイミド類の種類、重合防止剤の種類、その添加量お
よび気相部の分子状酸素濃度などの条件を種々変えて、
マレイミド類と重合防止剤および溶媒とを密閉可能なス
テンレス容器に計入し、所定温度のオイルバスにつけて
加熱した。なお、このとき気相部は窒素ガスで置換し、
気相部の分子状酸素濃度を所定濃度に調整した。1〜3
ヶ月経過後、この容器を取出し溶液の外観を目視した。
さらに、加熱後のマレイミド類をスチレンと溶液重合さ
せて、生成したポリマーの外観を目視した。結果を表1
(安定剤としてアルキル置換ヒドロキシベンゼン類を使
用)、表2(安定剤としてチオジプロピオン酸エステル
類を使用)、表3(安定剤としてヒンダードフェノール
類を使用)、表4(安定剤としてリン酸エステル類、亜
リン酸エステル類を使用)、表5(アルキル置換ヒドロ
キシベンゼン類とリン化合物の併用)および表6(比較
例)に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】参考例1 マレイミド系共重合体の製造 撹拌機、冷却機および滴下ロートを備えた1リットルの
4つ口フラスコに、実施例1で得られたN−フェニルマ
レイミドのメチルエチルケトン溶液を使用して、N−フ
ェニルマレイミド96.55g、スチレン58.07g
およびメチルエチルケトン500gの混合溶液を仕込
み、気相部を十分に窒素置換し、80℃に加熱した。さ
らに、アゾビスイソブチロニトリル0.77gおよびメ
チルエチルケトン20gの溶液を内温80℃に保ちなが
ら4時間で滴下し、さらに1時間撹拌を続けた。次に反
応物を冷却し、2リットルのメタノールに沈殿させ、濾
過、乾燥後、白色粉末状のポリマーを得た。同様の方法
で各実施例で得られたマレイミド類の溶液を用い、マレ
イミドとスチレンのモル比を1として、アゾイソブチロ
ニトリルを対モノマー0.5重量%とし、対応するポリ
マーを合成して外観を判定した。結果を表1〜5に示
す。
【0034】参考例2 グラフト共重合体の製造方法 ポリブタジエンゴムラテックスを固形分換算で60部加
え、イオン交換水150部、スチレン7部、アクリロニ
トリル3部を加えてフラスコ内温度を温度を60℃に昇
温した後、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄
7水和物0.01部、ぶどう糖0.4部をイオン交換水
20部に溶解た溶液を加え、キュメンハイドロパーオキ
シド0.05部を加えて重合を開始し、温浴温度を70
℃に保った。1時間重合させた後、スチレン21部、ア
クリロニトリル9部、キュメンハイドロパーオキシド
0.05部を3時間かけて連続的に添加し、さらに1時
間重合させて反応を完結させた。得られた共重合体を塩
化カルシウムを用いて凝固し、水洗、乾燥した。マレイ
ミド系共重合体実施例とグラフト共重合体を30/70
の比で配合し、ヘンシェル型ミキサーによって混合した
後ペレット化し、射出成形機により成形した。その物性
を表7に示す。熱変形温度(HDT)は、ASTM D
−648により1/2″26 4psiにより測定し
た。アイゾット衝撃強度(Izod Imp.)は、A
STMD−256により1/4″23℃で測定した。ま
たメルトフローレート(MFR)は、JIS K−72
10により240℃、10kg荷重で測定した。
【0035】
【表7】
【0036】
【発明の効果】以上、本発明について説明したが、本発
明によって得られる利点は、以下の通りである。 (1)人体に対して強い刺激性を有するマレイミド類
を、粉体の形でなく液体状で取扱えるようになるため、
マレイミド類の取扱いが安全かつ容易になる。 (2)マレイミド類を液体状で高品質のまま長期間にわ
たり貯蔵できるようになる。 (3)当該液状保持されたマレイミド類を用いて重合物
を製造したとき、製品の着色がほとんど見られず、高品
質の最終製品を得ることができる。 (4)マレイミド類は、ABS樹脂、AAS樹脂、AS
樹脂、ACS樹脂などの耐熱向上剤として広く使用され
ており、マレイミド類に添加する芳香族系炭化水素類を
あらかじめ適当なものを選択することにより、これら重
合反応に当該溶液をそのまま用いることができる。
【0037】このように、本発明方法をもってすればマ
レイミド類を液状で、安全かつ高品質のまま貯蔵、移送
などの取扱いを行なうことが可能となり、さらにマレイ
ミド類溶液をそのまま重合反応に使用することも可能と
なる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定剤、マレイミド化合物および溶解度
    パラメーターが6.8〜12の中〜強水素結合溶媒から
    なるマレイミド組成物。
  2. 【請求項2】 マレイミド化合物100重量部、請求項
    1の溶媒1〜100重量部および安定剤0.0001〜
    1重量部よりなるマレイミド組成物。
  3. 【請求項3】 安定剤の存在下、マレイミド化合物を溶
    解性パラメーターが6.8〜12の中〜強水素結合性の
    溶媒の溶液として取扱うことを特徴とするマレイミド類
    の取扱い方法。
  4. 【請求項4】 安定剤の存在下、マレイミド化合物を溶
    解性パラメーターが6.8〜12の中〜強水素結合性の
    溶媒の溶液に共重合可能な単量体を加え、必要に応じて
    重合溶媒を添加して重合してなることを特徴とするマレ
    イミド系共重合体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011006508A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Tosoh Corp 重合体の製造方法

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JP2011006508A (ja) * 2009-06-23 2011-01-13 Tosoh Corp 重合体の製造方法

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