JPH0649024A - マレイミド類の取扱い方法 - Google Patents

マレイミド類の取扱い方法

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JPH0649024A
JPH0649024A JP16582091A JP16582091A JPH0649024A JP H0649024 A JPH0649024 A JP H0649024A JP 16582091 A JP16582091 A JP 16582091A JP 16582091 A JP16582091 A JP 16582091A JP H0649024 A JPH0649024 A JP H0649024A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マレイミド類を着色、重合等の変質の防止さ
れた状態で安全に輸送ないし貯蔵する等のマレイミド類
の取扱い方法を提供する。 【構成】 安定剤の存在下、マレイミド類をBTX等の
芳香族系炭化水素類の溶液として取扱う。さらに、気相
部の分子状酸素濃度含有量を10容量%以下に調整す
る。 【効果】 本発明によればマレイミド類溶液をそのまま
重合反応に使用することが可能であり、高品質の重合体
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マレイミド類の取扱い
方法に関する。詳しく述べると、マレイミド類を着色、
重合等の変質の防止された状態で、安全に輸送ないし貯
蔵する方法、あるいは、マレイミド類を反応器に容易に
仕込む等の取扱い方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マレイミド類は、樹脂、医薬、農薬等の
原料として有用な化合物である。従来、常温で固体のマ
レイミド類は粉体、フレーク、タブレット等の形状で取
扱われているのが一般的である。そしてこの様な形態の
マレイミド類の中には、マレイミド類の微粉末が含まれ
ている。特にこの様な固体状のマレイミド類は、輸送
中、粉化が進み、微粉末が多量に発生する。
【0003】マレイミド類そのものは、人体に対して刺
激性があり、特に微粉末を吸入すると鼻腔、咽喉を刺激
し、咳、くしゃみが出、また皮膚に付着したまま放置す
ると炎症を起こすなど、好ましくない性質を有してい
る。それゆえ、この様な微粉末を含有しているマレイミ
ド類を取扱う場合には、できるかぎり皮膚への接触を避
けるよう厳重な注意を払う必要がある。
【0004】したがって、マレイミド類の輸送に際し
て、できるだけ微粉末を発生しないようにしたり、また
輸送後のマレイミド類から微粉末を除去するために多大
の労力を要している。
【0005】通常、固体物質の輸送は、多くの場合、紙
袋、ドラム缶、コンテナ等に固体物質を充填し輸送され
るが、この方法をマレイミド類の輸送に適用すると、ど
うしてもマレイミド類と人体との接触が避けられず、人
体にマレイミド類の微粉末が付着することは不可避であ
る。加えて、人体と接触しないようにするために固体物
質の配管による輸送は、基本的にむずかしく配管輸送中
に管内を閉塞したりするために、これら固体物質を安定
に輸送するために、固体の形、大きさ、比重等きびしい
制約が課せられる。このように、常温で固体のマレイミ
ド類の輸送または移送方法には数々の困難があるといわ
ざるをえない。同様のことは、その貯蔵方法についても
いえる。
【0006】一方、上記問題点を解決するためにマレイ
ミド類を融点以上の温度に加熱し液体状態で取扱う方法
も考えられている。この方法では、マレイミド類を融点
以上の温度に加熱するため、マレイミド類の重合を防止
することが必要であり、その方法として、特開昭62―
145062号、特開昭62―143911号および特
開昭63―316767号に開示されている。これらの
方法によれば、マレイミド類の重合を効果的に抑制する
ことができる。しかしながら、マレイミド類を加熱する
ことによる着色性不純物の生成を完全に防止することが
できない。
【0007】したがって、マレイミド類を融点以上の高
温に保持して、液体状態で長期間保存した場合、マレイ
ミド類が着色してしまうために全く商品価値が低下して
しまうという問題があった。このように従来のマレイミ
ド類を取扱う方法は、万全の方法とは言えないものであ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、マレイミド類の新規な取扱い方法を提供するこ
とにある。
【0009】本発明の他の目的は、輸送ないし貯蔵時に
微粉末の発生の心配のないマレイミド類の安全かつ簡単
な輸送ないし貯蔵方法を提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、マレイミド類
の着色を防止し長期間高品質を維持できるマレイミド類
の取扱い方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マレイミ
ド類を融点以上に加熱して得た溶融品すなわち液状品で
取扱う際におけるマレイミド類の重合防止、着色防止等
の熱安定化方法について鋭意検討した結果、マレイミド
類は芳香族系炭化水素類と極めて相溶性が良く芳香族系
炭化水素類の添加によって効果的にマレイミド類の融点
を下げることができ、したがって、この方法によればマ
レイミド類を比較的低い温度で液状化ならびに液状で保
持できるので、マレイミド類の重合が防止できることを
見い出した。また、当該マレイミド類と芳香族系炭化水
素との混合物を加熱して、液状品として取扱う際におけ
るマレイミド類の着色防止等の熱安定性について鋭意検
討した結果、マレイミド類の着色防止は気相中の分子状
酸素濃度を特定濃度以下に抑えることにより達成できる
ことを見い出した。
【0012】すなわち、上記諸目的は、安定剤の存在
下、マレイミド類を芳香族系炭化水素類との溶液として
取扱うことを特徴とするマレイミド類の取扱い方法によ
り達成される。
【0013】さらに上記諸目的は、気相部の分子状酸素
含有量を10容量%以下に調整してなる雰囲気下で、マ
レイミド類をマレイミド類100重量部、芳香族炭化水
素類1〜60重量部および安定剤0.0001〜1重量
部よりなる溶融物として取扱うことを特徴とする常温で
固体のマレイミド類の取扱い方法によっても達成され
る。
【0014】
【作用】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の方法
により、輸送ないし貯蔵等の取扱いのできるマレイミド
類としては、例えば、N―メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ヘキ
シルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシ
ルマレイミド等の炭素数1〜20のアルキル−N−置換
マレイミド類、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘ
キシルマレイミド等の炭素数5〜6のシクロアルキル−
N−置換マレイミド類、N−フェニルマレイミド、N−
ニトロフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレ
イミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−カルボキ
シフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイ
ミド、N−クロルフェニルマレイミド、N−ジメチルフ
ェニルマレイミド、N−ジクロルフェニルマレイミド、
N−ブロムフェニルマレイミド、N−ジブロムフェニル
マレイミド、N−トリクロルフェニルマレイミド、N−
トリブロムフェニルマレイミド等の1〜4個のニトロ
基,ヒドロキシル基,アルキル基,ハロゲンまたはカル
ボキシル基を有するフェニル−N−置換マレイミド類が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】本発明において用いられる安定剤として
は、工業製品や研究用試薬等の分野で用いられるもので
あればよく、限定されるものではないが、例えば、メト
キシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、フェノチ
アジン、ヒドロキノン、ジフェニルアミン類、メチレン
ブルー、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジ
チオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等
のジアルキルジチオカルバミン酸塩、サリチル酸銅、チ
オジプロピオン酸エステル類、メルカプトベンズイミダ
ゾール、アルキル置換ヒドロキシベンゼン類、アルキル
ビスフェノール類、ヒンダードフェノール類、リン酸エ
ステル類、亜リン酸エステル類、リン酸アミド類等が挙
げられ、これらの安定剤は1種または2種以上併用する
こともできる。
【0016】特に、アルキル置換ヒドロキシベンゼン
類、チオジプロピオン酸エステル類、ヒンダードフェノ
ール類、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類および
リン酸アミド類よりなる群から選ばれた少なくとも1種
の安定剤は、マレイミド類の融点以上の温度において、
マレイミド類の着色防止に非常に効果的であることか
ら、本発明においては、これらの安定剤が好適に使用さ
れる。また、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類お
よびリン酸アミド類から選ばれた少なくとも1種のリン
化合物等の安定剤も好適に使用される。
【0017】以下、各種安定剤を具体的に示すと、アル
キル置換ヒドロキシベンゼン類としては、例えば、2,
4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−
tert−ブチルカテコール、2,5−ジ−tert−
ブチルヒドロキノン、2−tert−ジブチルヒドロキ
ノン、4,4´−チオ−ビス(6−tert−ブチル−
m−クレゾール)等が挙げられ、好ましくは4−ter
t−ブチルカテコール等である。
【0018】チオジプロピオン酸エステル類としては、
例えば、ジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネー
ト、ジラウリル−3,3´−チオジプロピオネート、ジ
テトラデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジス
テアリル−3,3´−チオジプロピオネート、ジオクチ
ル−3,3´−チオジプロピオネート等が挙げられ、好
ましくはジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネー
ト等である。
【0019】ヒンダードフェノール類としては、例え
ば、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒ
ドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−
1,3,5−トリアジン、2,2´−チオビス(4−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレ
ングリコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト)、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、2,2−チオ−ジエチレンビス(3−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオ
ネート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート)、トリス(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレ
イト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N´−ヘキサメチレンビス(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナムアミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエス
テル等が挙げられ、好ましくは2,4−ビス(n−オク
チルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−te
rt−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、
2,2´−チオビス−(4−メチル−6−tert−ブ
チルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−
(3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネイト)等であるが、これら
に限定されるものではない。
【0020】亜リン酸エステル類としては、例えば、ト
リフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホ
スファイト、トリエチルホスファイト、トリス(2−エ
チルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリ
ルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシ
ル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイ
ト、ジフェニルモノトリデシルホスファイト、ジラウリ
ルヒドロゲンホスファイト、ジフェニルヒドロゲンホス
ファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホ
スファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペン
タエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデ
シル)−4,4´−イソプロピリデンジフェニルホスフ
ァイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ト
リデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス
(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリ
トールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホ
スファイトポリマー等が挙げられ、好ましくはジステア
リルペンタエリストールジホスファイト等である。
【0021】リン酸エステル類およびその他のリン化合
物としては、例えば、ヘキサメチルホスリックトリアミ
ド、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッ
ドホスフェート、β−クロロエチルアシッドホスフェー
ト、ブチルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェ
ート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチ
ルヘキシルアシッドホスフェート、ジ(2−エチルヘキ
シル)ホスフェート、エチレングリコールアシッドホス
フェート、(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートア
シッドホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホス
フェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、
オクチルジクロロプロピルホスフェート、フェニルジク
ロロプロピルホスフェート、トリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ト
リオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、
トリフェニルホスフェート等が挙げられ、好ましくはト
リス(2−クロロエチル)ホスフェート等である。
【0022】本発明における安定剤の使用量は、マレイ
ミド類100重量部に対して0.0001〜1.0重量
部、好ましくは、0.001〜0.1重量部である。安
定剤の種類については、製造する重合体の種類、重合の
方法、使用する開始剤等を勘案して選択される。
【0023】さらに前記のアルキル置換ヒドロキシベン
ゼン類と前記のリン酸エステル類、亜リン酸エステル類
およびリン酸アミド類等のリン化合物とを組合わせて使
用することにより前記の安定剤を単独で使用するよりも
なお一層優れたマレイミド類の着色防止効果が得られ
る。その比率は、特に限定されるものではないが、好ま
しくは、アルキル置換ヒドロキシベンゼン類とリン化合
物との重量比が1:0.1〜1〜1000、より好まし
くは1:1〜1:1000である。
【0024】本発明において使用される芳香族系炭化水
素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレ
ン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン、ブチルベン
ゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベン
ゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではなく、一般的に溶
媒として用いられる芳香族系炭化水素類であればよく、
製造する重合体の種類、重合の方法、使用する開始剤等
を勘案して選択される。
【0025】本発明において、マレイミド類の芳香族系
炭化水素溶液を取扱う温度は、マレイミド類の融点また
は溶解度によっても異なるが、通常30〜120℃であ
る。また、マレイミド類に添加される芳香族系炭化水素
の量はマレイミド類と芳香族系炭化水素との混合物が当
該温度範囲内で均一溶液となるよう適宜決められる。そ
の量は、マレイミド類の種類や芳香族系炭化水素の種類
によっても異なるが、マレイミド類100重量部に対し
て芳香族炭化水素類1〜60重量部である。
【0026】本発明においては、気相部の分子状酸素濃
度を10容量%以下に抑制することが好ましい。本発明
者らの知見によればマレイミド類の着色と気相分子状酸
素濃度との間に、はっきりとした関係があり、通常の空
気雰囲気下ではマレイミド類が著しく速い速度で着色
し、特に安定剤の非共存下、分子状酸素濃度の高い条件
では、この着色は促進されてしまい、また、安定剤の共
存下であっても、気相部の分子状酸素濃度が10容量%
を越えると同様にマレイミド類が着色してしまい、商品
価値が著しく損なわれることになる。
【0027】マレイミド類を芳香族系炭化水素類溶液と
して加熱条件下、液体状態で取扱う場合、気相中の分子
状酸素濃度が10容量%以下であれば着色防止に有効で
あるが、この濃度が低いほど良い結果が得られる。特
に、気相部が窒素、二酸化炭素、ヘリウムおよびアルゴ
ンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の不活性気体
により置換されている方がさらに好ましい。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0029】実施例1〜53および比較例1〜3 マレイミド類の種類、重合防止剤の種類、その添加量お
よび気相部の分子状酸素濃度等の条件を種々変えて、マ
レイミド類と重合防止剤および芳香族系炭化水素類とを
密閉可能なステンレス容器に計入し、所定温度のオイル
バスにつけて加熱した。なお、この時気相部は窒素ガス
で置換し、気相部の分子状酸素濃度を所定濃度に調節し
た。1〜3ヶ月経過後、この容器を取り出し溶液の外観
を目視した。さらに加熱後のマレイミド類をスチレンと
溶液重合させて、生成したポリマーの外観を目視した。
結果を表1(安定剤としてアルキル置換ヒドロキシベン
ゼン類を使用)、表2(安定剤としてチオジプロピオン
酸エステル類を使用)、表3(安定剤としてヒンダード
フェノール類を使用)、表4(安定剤としてリン酸エス
テル類、亜リン酸エステル類を使用)、表5(アルキル
置換ヒドロキシベンゼン類とリン化合物の併用)および
表6(比較例)に示す。
【0030】参考例1 ポリマーの合成 撹拌機,冷却器,窒素ガス導入管および滴下ロートをそ
なえた1リットルの4つ口フラスコにメチルエチルケト
ン44gを仕込み、気相部を充分に窒素置換し80℃に
加熱した。実施例1で得られたN−フェニルマレイミド
のo−キシレン溶液を使用しN−フェニルマレイミド9
6.55g、スチレン58.07gおよびo−キシレン
460gの混合溶液を調整し、該混合溶液とアゾイソブ
チロニトリル0.77g、およびo−キシレン11gの
溶液を内温80℃に保ちながら4時間で滴下しさらに1
時間撹拌を続けた。次に反応物を冷却し2リットルのメ
タノールに移し、ろ過、乾燥後、白色粉末状のポリマー
を得た。
【0031】同様の方法で各実施例で得られたマレイミ
ド類の溶液を用い、マレイミドとスチレンのモル比を1
として、アゾイソブチロニトリルを対モノマー0.5重
量%とし、対応するポリマーを合成して外観を判定し
た。結果を表1〜表5に示す。
【0032】参考例2 N−フェニルマレイミド(PMI)のトルエンおよびo
−キシレンに対する溶解度を測定した。結果をそれぞれ
図1,図2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【発明の効果】以上、本発明について説明したが、本発
明によって得られる利点は、以下の通りである。
【0040】(1)人体に対して強い刺激性を有するマ
レイミド類を粉体の形でなく、液体状で取扱えるように
なるため、マレイミド類の取扱いが安全かつ容易にな
る。
【0041】(2)マレイミド類を液体状で高品質のま
ま長期間にわたり、貯蔵できるようになる。
【0042】(3)当該液状保持されたマレイミド類を
用いて重合物を製造したとき、製品の着色がほとんど見
られず高品質の最終製品を得ることができる。
【0043】(4)マレイミド類はABS樹脂,AAS
樹脂,AS樹脂,ACS樹脂等の耐熱向上剤として広く
使用されており、マレイミド類に添加する芳香族系炭化
水素類をあらかじめ適当なものを選択することにより、
これら重合反応に当該溶液をそのまま用いることができ
る。
【0044】このように、本発明方法をもってすればマ
レイミド類を液状で、安全かつ高品質のまま貯蔵、移送
等の取扱いを行なうことが可能となり、さらにマレイミ
ド類溶液をそのまま重合反応に使用することも可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 N−フェニルマレイミド(PMI)のトルエ
ンに対する溶解度を示すグラフである。
【図2】 N−フェニルマレイミド(PMI)のo−キ
シレンに対する溶解度を示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安定剤の存在下、マレイミド類を芳香族
    炭化水素類の溶液として取扱うことを特徴とするマレイ
    ミド類の取扱い方法。
  2. 【請求項2】 気相部の分子状酸素含有量を10容量%
    以下に調整してなる雰囲気下で、マレイミド類をマレイ
    ミド類100重量部、芳香族炭化水素類1〜60重量部
    および安定剤0.0001〜1重量部よりなる溶融物と
    して取扱うことを特徴とする常温で固体のマレイミド類
    の取扱い方法。
  3. 【請求項3】 安定剤がアルキル置換ヒドロキシベンゼ
    ン類、チオジプロピオン酸エステル類、ヒンダードフェ
    ノール類、リン酸エステル類、亜リン酸エステル類およ
    びリン酸アミド類よりなる群から選ばれた少なくとも1
    種の安定剤である請求項1または請求項2に記載のマレ
    イミド類の取扱い方法。
  4. 【請求項4】 安定剤がアルキル置換ヒドロキシベンゼ
    ン類から選ばれた少なくとも1種と、リン酸エステル
    類、亜リン酸エステル類およびリン酸アミド類よりなる
    群から選ばれた少なくとも1種のリン化合物とを併用す
    るものである請求項3に記載のマレイミド類の取扱い方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0892208A (ja) * 1994-09-22 1996-04-09 Nippon Shokubai Co Ltd マレイミド類のアクリロニトリル溶液の取り扱い方法

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